JPH08157404A - 芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法 - Google Patents

芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法

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JPH08157404A
JPH08157404A JP6303414A JP30341494A JPH08157404A JP H08157404 A JPH08157404 A JP H08157404A JP 6303414 A JP6303414 A JP 6303414A JP 30341494 A JP30341494 A JP 30341494A JP H08157404 A JPH08157404 A JP H08157404A
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JP
Japan
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compound
aromatic
reaction
hydroxy compound
aromatic hydroxy
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JP6303414A
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English (en)
Inventor
Fujio Matsuda
藤夫 松田
Kaoru Inoue
薫 井上
Kozo Kato
高藏 加藤
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベンゼン等の芳香族化合物から一工程で、フ
ェノール等の芳香族ヒドロキシ化合物を製造する方法を
提供する。 【構成】 触媒の存在下または非存在下に、ベンゼン等
の芳香族化合物とイソプロピルアルコール等の第2級ア
ルコールと酸素等の酸化剤を酸性物質の存在下に反応さ
せフェノール等の芳香族ヒドロキシ化合物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族化合物から芳香
族ヒドロキシ化合物の少なくとも一種を一工程で製造す
ることを特徴とする新規な芳香族ヒドロキシ化合物の製
造方法に関する。さらに詳しくは、特定の化合物の存在
下に芳香族化合物を酸化剤により直接酸化することによ
る芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ベンゼンと酸素からフェノールを
一工程で製造する方法は、触媒の存在下にベンゼンと酸
素を気相または液相で反応させる方法が知られている。
しかし、気相反応の場合、ベンゼンの完全酸化が起こ
り、フェノールの選択率が大変低い(特開昭56−87
527号)。また、液相反応の場合、銅塩と酸素を用い
てベンゼンを酸化する方法があるが、ベンゼンの転化率
が低く、フェノールの収率が低い(有機合成化学41
巻,839(1983))。
【0003】さらに、パラジウム系触媒を用い、1,1
0−フェナントロリンおよび一酸化炭素の存在下にベン
ゼンを酸化する方法があるが、フェノールの収量は低い
(特開平2−19809号)。そのため、ベンゼンの直
接酸化でフェノールを製造する方法が望まれていたが、
いまだに工業化されていない。
【0004】また、特開平3−236338号には金属
リン酸塩触媒を用いて、ベンゼンからフェノールを製造
する方法が開示されている。この方法によれば、フェノ
ールの収率が6%前後と従来にない高い収率であるが、
反応温度が500℃前後と高く、未だ充分経済的な製法
には至っていない。
【0005】またその他の酸化剤を用いて芳香族化合物
の直接酸化により芳香族ヒドロキシ化合物を製造する方
法としては、例えば、過酸化水素により酸化する方法
(有機合成化学、41巻、840(1983))、一酸化二窒
素で酸化する方法(特開昭58−146522号)、ハ
イドロパーオキサイドで酸化する方法(特開昭58−2
10036号)、水で酸化する方法(特公平2−198
08号)等がある。
【0006】しかしながら、これらの方法においては、
例えば過酸化水素による方法では、過酸化水素が高価で
あり、工業的な芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法に用
いるには経済性の観点から不利である。
【0007】また、一酸化二窒素により酸化する方法も
同様に酸化剤としての一酸化二窒素が高価であるため工
業的な製造方法に使用することには問題がある。さら
に、ハイドロパーオキサイドは同様に高価であることに
加え、爆発等の危険性の高い有機過酸化物であるため、
その取扱いが困難である欠点も有している。
【0008】水により芳香族化合物を酸化する方法にお
いては、パラジウム触媒と一酸化炭素の存在下に芳香族
化合物を酸化する方法であるが、フェノール等の芳香族
ヒドロキシ化合物の収率(パラジウム基準)が極めて低
くいまだ工業的製造法となるにはほど遠い。従って、芳
香族化合物の直接酸化による芳香族ヒドロキシ化合物の
工業的な製造方法として成功した例はいまだかってな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、ベンゼン及びベンゼン誘導体に代表される芳香族化
合物を酸化剤により直接酸化し、フェノール類に代表さ
れる芳香族ヒドロキシ化合物を穏和な条件下に高収率で
製造する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
に関して鋭意検討した結果、ベンゼン及びベンゼン誘導
体に代表される芳香族化合物から酸素等の酸化剤の存在
下にフェノール類等に代表される芳香族ヒドロキシ化合
物を穏和な条件下に高収率で製造する方法を見いだし本
発明を完成するに到った。即ち、本発明は、脂肪族第2
級アルコールおよび脂環式第2級アルコールよりなる群
から選ばれた少なくとも一種の第2級アルコール及び酸
性物質の存在下に、芳香族化合物を酸化剤と反応させる
ことを特徴とする芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法で
ある。この結果、本発明を実施する事で、極めて効率の
高い且つ、経済性の観点から優れた芳香族ヒドロキシ化
合物の工業的な製造方法が提供される。
【0011】本発明に用いられる芳香族化合物は、ベン
ゼン、置換ベンゼン類、ナフタレン、置換ナフタレン
類、アンスラセン、置換アンスラセン類、ジュレン、置
換ジュレン類等の炭素6員環縮合化合物、チオフェン、
置換チオフェン類、フラン、置換フラン類、ピリジン、
置換ピリジン類、キノリン、置換キノリン類等のヘテロ
芳香族化合物等である。これらの芳香族化合物が有する
置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル基
等のアルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ
基、シアノ基、アセチル基、アルコキシ基、ヒドロキシ
ル基、アセトキシ基、ハロゲン元素、チオアルコキシ基
等である。これらは単独でまたは2種以上で使用する。
置換ベンゼン類の具体例としては、トルエン、エチルベ
ンゼン、キシレン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼ
ン、安息香酸、ニトロベンゼン、アニリン、ベンゾニト
リル、アセトフェノン、アニソール、フェノール、カテ
コール、レゾルシン、ハイドロキノン、酢酸フェニル、
フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、
ヨードベンゼン、チオアニソール等がある。
【0012】本発明において定義する芳香族ヒドロキシ
化合物とは、前記した芳香族化合物の芳香環を形成する
炭素に直接ヒドロキシル基が少なくとも1個以上結合し
た化合物であり、更に詳しくは、前記芳香族化合物の芳
香環を形成する炭素における炭素−水素結合が少なくと
も1個以上炭素−ヒドロキシ結合に変換されたものであ
る。例えば、ベンゼンからはフェノール、カテコール、
ヒドロキノン、レゾルシン等が生成し、ナフタレンから
はナフトール類、ジヒドロキシナフタレン類等が生成
し、トルエンからはモノおよびポリヒドロキシトルエン
類、アニソールからはメトキシフェノール、メトキシレ
ゾルシン等が生成する。同様にして前記芳香族化合物か
らは、直接芳香族炭素に結合したヒドロキシル基を1個
以上有する化合物が生成する。反応条件によっては、ベ
ンゾキノン、ナフトキノンまたはアンスラキノンといっ
た、キノン類も同時に芳香族ヒドロキシ化合物と共に生
成する。
【0013】本発明においては、脂肪族第2級アルコー
ルおよび脂環式第2級アルコールよりなる群から選ばれ
た少なくとも1種の第2級アルコール及び酸性物質の存
在下に反応させることが必須である。本発明に使用する
脂肪族第2級アルコールまたは脂環式第2級アルコール
とは脂肪族もしくは脂環式化合物の第2級炭素に直接水
酸基が結合したアルコール類をいう。好ましくは炭素数
3以上15以下の脂肪族第2級アルコールおよび炭素数
3以上15以下の脂環式第2級アルコールよりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種を用いる。具体的に例示すれ
ば、イソプロピルアルコール、第2級ブチルアルコー
ル、第2級ペンチルアルコール、第2級デシルアルコー
ル、ベンズヒドロール等の脂肪族第2級アルコール、シ
クロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタ
ノール等の脂環式第2級アルコール等が挙げられる。し
かしながら本発明においてはこれらのアルコールのみに
限定されることはない。また、脂肪族第2級アルコール
および/または脂環式第2級アルコールの使用量は、特
に限定されないが、通常原料である芳香族化合物1.0
モルに対して0.01〜100モル、好ましくは0.1
〜10モルである。
【0014】また、本発明において使用する酸化剤と
は、反応系内で反応状態において酸素分子、酸素原子、
酸素イオン、酸素ラジカルを供給できる物質である。具
体的には酸素ガス、不活性なガスで希釈された酸素ガ
ス、空気、不活性なガスで希釈された空気等が例示され
る。安全性の観点から窒素、アルゴン、ヘリウム等の反
応において不活性なガス等により希釈した酸素が好まし
い。本発明においては反応系を酸性とするために酸性物
質を添加する。反応系に添加する酸性物質としては例え
ばブレンステッド酸、ルイス酸等である。ブレンステッ
ド酸としては例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸
等の鉱酸類、酢酸、安息香酸、トリフルオロメタンスル
ホン酸、スルホン酸等の有機酸類、ヘテロポリ酸、ゼオ
ライト類、混合酸化物の無機酸化物酸類等が挙げられ
る。また、ルイス酸としては、塩化アルミニウム、塩化
第二鉄、塩化ホウ素化合物、塩化アンチモン化合物、塩
化第二錫、フッ化アンチモン、ゼオライト類、混合酸化
物等が挙げられる。さらには無機または有機酸性塩等も
酸性物質として挙げられる。ここにおいて本発明方法で
いうヘテロポリ酸は一般的には異なる2種以上の酸化物
複合体からなる、複合酸化物酸、およびこれらの酸のプ
ロトンの一部もしくは総てを金属カチオンで置き換えた
ものである。好ましいヘテロポリ酸としては、一般式
【0015】H(3+n)PV(n)Mo(12-n)40、H(4+n)
SiV(n)Mo(12-n)40、 H(3+n)PV(n)(12-n)40、H(4+n)SiV(n)
(12-n)40(式中、nは0もしくは6以下の正の整数で
あり、Hは水素原子、Pはリン原子、Vはバナジウム原
子、Moはモリブデン原子、Wはタングステン原子、O
は酸素原子を表す。)、で表されるヘテロポリ酸、およ
びこれらのプロトンを金属イオンで一部もしくは総てを
交換したヘテロポリ酸類が入手し易いものとして例示さ
る。本発明において、使用するプロトンの一部もしくは
総てを金属イオンで交換したヘテロポリ酸塩も使用する
事ができる。ここにおいて、プロトンと交換する金属イ
オンは典型金属および遷移行金属いずれの金属イオンで
あっても差し支えないが、好ましくは典型金属のイオ
ン、更に好ましくはアルカリ金属もしくはアルカリ土類
金属イオンの少なくとも1種と交換したヘテロポリ酸で
ある。従って、本発明方法で言うヘテロポリ酸とはこれ
らヘテロポリ酸の塩も含まれる。プロトンを金属イオン
で交換する方法について、本発明方法では特に限定はさ
れなく、実質的に金属イオンで交換された形態が得られ
るならば如何なる方法で行っても差し支えないが、実施
し易い方法として例示すれば、金属水酸化物、金属炭酸
塩、金属酢酸塩等の水溶液とヘテロポリ酸水溶液を混合
撹拌した後、蒸発乾固等により単離する等の方法が挙げ
られる。
【0016】本発明に使用する酸性物質の使用量は特に
限定はされないが、通常、原料である芳香族化合物1モ
ルに対して0.001〜10モル、好ましくは0.01
〜1モルの範囲である。本発明を実施するに際して、基
本的には触媒等を存在させずに、脂肪族第2級アルコー
ルおよび脂環式第2級アルコールよりなる群から選ばれ
た少なくとも1種の存在下に芳香族化合物と酸素を反応
させることにより芳香族ヒドロキシ化合物を製造するこ
とが可能であるが、さらにこの反応系に酸化触媒を添加
することで、芳香族ヒドロキシ化合物の生成量を増大さ
せることができる。
【0017】本発明でいう酸化触媒とは、酸化剤により
芳香族化合物を酸化する際に用いる触媒のことであり、
一般的には金属及び金属化合物である。具体的に例示す
れば、国際純正および応用化学連合、無機化学命名法改
訂版(1989年)による周期律表における4〜16族
の金属、及びこれらの酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、
硫酸塩、シアン化物等の金属化合物等が挙げられる。ま
たこれらの金属の複合化合物(例えば複合酸化物)等も
触媒として使用される。
【0018】具体的には、4族金属としては、元素記号
でTi、Zr、Hfで表される金属であり、5族金属としては、
元素記号V、Nb、Taで表される金属であり、6族金属とし
ては、元素記号Cr、Mo、Wで表される金属であり、7族金
属としては元素記号Mn、Reで表される金属であり、8族
金属としては元素記号Fe、Ru、Osで表される金属であり、
9族金属としては元素記号Co、Rh、Irで表される金属であ
り、10族金属としては元素記号Ni、Pd、Ptで表される金
属であり、11族金属としては元素記号Cu、Ag、Auで表さ
れる金属であり、12族金属としては元素記号Zn、Cd、Hg
で表される金属であり、13族金属としては元素記号G
a、In、Tlで表される金属であり、14族金属としては元
素記号Ge、Sn、Pbで表される金属であり、15族金属とし
は元素記号As、 Sb、Biで表される金属であり、16族金
属としては元素記号Se、Te で表される金属である。好
ましくは酸化触媒として、鉄(Fe)、銅(Cu)、パ
ラジウム(Pd)、白金(Pt)及びチタン(Ti)金
属よりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属の塩も
しくは金属化合物を用いることが推賞される。
【0019】本発明を実施するにあたり、反応試剤に対
して少量の反応開始剤をあらかじめ添加して実施するこ
とでフェノール等の芳香族ヒドロキシ化合物の生成量を
向上させることができる。本発明に使用される反応開始
剤としては無機過酸化物(過酸化水素、過酸化バリウム
等)、有機過酸化物(過酢酸等の有機過カルボン酸、ク
メンヒドロペルオキシド等の有機ヒドロ過酸化物等)が
例示される。更に、無機過酸化物または有機過酸化物に
変わり得る化合物、例えば有機カルボン酸、クメン等も
使用する事ができる。
【0020】本発明に従えば、例えばベンゼンとイソプ
ロピルアルコールと酸素からフェノールを一段で製造す
ることができる。本発明を実施するに当たり、反応系内
に芳香族化合物、酸化触媒、芳香族ヒドロキシ化合物に
対して不活性な、溶媒もしくは気体を添加して、希釈し
た状態で行う事も可能である。具体的には、メタン、エ
タン、プロパン、ブタン、ヘキサン、シクロヘキサン等
の脂肪族飽和炭化水素類、窒素、アルゴン、ヘリウム、
等の不活性気体等が例示される。
【0021】反応温度は、特に限定されないが、好まし
くは50゜〜300℃、更に好ましくは80゜〜250
℃の範囲である。反応温度が極端に低すぎると、芳香族
化合物の転化率が低い、言い換えれば極端に反応速度が
低下し、反応生成物の生産性が低下する。一方、反応温
度を300℃以上で実施すれば、好ましからざる副反応
等が進行し副生成物の増大や、原料である芳香族化合
物、更に生成物である芳香族ヒドロキシ化合物の安定性
にも好ましくなく、反応の選択率の低下をもたらし経済
的ではない。
【0022】反応は減圧、加圧および常圧の何れの状態
でも実施することが可能である。反応効率(単位体積あ
たりの反応効率)の観点から余りに低い圧力で実施する
ことは好ましくない。また、反応装置等の設備的な経済
性の観点から余りに高い圧力で実施する事も好ましくな
い。通常好ましい実施圧力範囲は0.1〜200kg/cm2
Gであり、更に好ましくは0.5〜100kg/cm2Gであ
る。しかしながら本発明はこれらの圧力範囲のみに限定
されるものではない。
【0023】本発明においては、前記したごとく、無触
媒で実施することも可能であるが、酸化触媒を存在させ
ることで、芳香族ヒドロキシ化合物の生成量は増大し、
より効率的な芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法とな
る。ここにおいて、本発明方法に使用する酸化触媒の使
用量は特に限定されることはないが、例えばバッチ反応
においては、原料である芳香族化合物の重量に対して、
0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜50重量
%、さらに好ましくは0.3〜30重量%である。無
論、本発明はこれらの範囲のみに限定されることはな
い。
【0024】また、反応は液相、気−液相または気相の
何れの状態でも実施する事が可能である。更に、触媒は
均一、不均一の何れの形態でも使用する事が可能であ
る。これらの触媒は、溶液状態、二層分離状態、二層混
層状態、スラリー状態、固定床、移動床、流動床等の何
れの方式でも用いる事が可能である。
【0025】本発明は、通常のバッチ反応、一部の原料
もしくは触媒等を連続的に供給するようなセミバッチ反
応又は流通連続反応の何れの反応方法においても実施可
能である。また、芳香族化合物、酸化剤、触媒等の各成
分の添加順序および添加方式等、特に制限される事はな
い。
【0026】更に、酸素等の酸化剤を連続的にまたは逐
次、その消費等に応じて数段回にわたって断続的に添加
する等のセミバッチ形式で行う事も可能であり、これに
より、フェノール等の芳香族ヒドロキシ化合物の収率の
向上がもたらされる。
【0027】反応時間(流通反応においては滞留時間も
しくは触媒接触時間)は特に限定されないが、通常0.
1秒〜30時間、好ましくは0.5秒〜15時間であ
る。反応後、反応生成物を必要であるならば、前記触媒
等から濾過分離、抽出、留去等の方法によって分離回収
することができる。目的生成物である芳香族ヒドロキシ
化合物は前記分離回収回収物から溶媒抽出、蒸留、アル
カリ処理、酸処理等の逐次的な処理方法、或いは、これ
らを適宜組み合わせた操作等の通常の分離、精製法によ
って分離、精製し取得することができる。また、未反応
原料は回収して、再び反応系へリサイクルして使用する
こともできる。
【0028】バッチ式反応の場合、反応後に反応生成物
を分離して回収された触媒はそのまま、又はその一部も
しくは全部を再生した後、繰り返して触媒として反応に
再度、使用することもできる。固定床又は流動床流通連
続反応方式で実施する場合には、反応に供する事によっ
て、一部又は総てが失活もしくは活性低下した触媒は、
反応を中断後再生して反応に供する事もできるし、ま
た、連続的もしくは断続的に触媒の一部を抜き出し、再
生後、再び反応器へリサイクルして、再使用することも
できる。更に、新たな触媒を連続的又は断続的に反応器
に供給する事もできる。移動床式流通連続反応、もしく
は均一触媒流通反応方式で実施する際には、バッチ式反
応と同様に触媒を分離、再生して再使用することができ
る。
【0029】さらに本発明においては芳香族ヒドロキシ
化合物と共に、反応に加えた第2級アルコールからケト
ン類が生成する。例えば本発明にイソプロピルアルコー
ルを使用した場合には、芳香族ヒドロキシ化合物と共に
アセトンが生成する。このアセトンは反応終了後分離
し、水素等により還元しイソプロピルアルコールとし、
再度、本発明に使用することができる。言い替えれば、
反応副生成物であるケトン類は再度還元し、第2級アル
コールとして本発明に再使用することが可能である。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例のみに
限定されるものではない。尚、各実施例および表中に記
した生成物であるヒドロキシ化合物の収率は仕込みの原
料である芳香族化合物を基準とした。
【0031】実施例1 50mlのハステロイC製オートクレーブ中にベンゼン
5.0g、イソプロピルアルコール15.0g及び85
%リン酸0.2gを仕込んだ後、このオートクレーブ内
を酸素9%、窒素91%の混合ガスで置換後更に40kg/cm2
まで圧入した。さらにこのオートクレーブを調圧弁付き
酸素ボンベに接続し、調圧弁を調節しながら反応と共に
減少する酸素量に見合う酸素を酸素ボンベから連続的に
供給できるようにし、160℃、5時間、撹拌しながら
反応を行った後、冷却し反応液をガスクロマトグラフ法
により分析した結果、仕込みベンゼン基準でフェノール
が5.2%の収率及び80.1%の選択率で生成してい
ることが確認された。
【0032】実施例2 実施例1で実施した方法において、リン酸の代わりに酢
酸1.0gを用いた以外は総て実施例1と同一の条件及
び方法で実施した。この結果、フェノール収率は4.7
%であり、選択率は88.6%であった。
【0033】実施例3 実施例1において実施した方法において、リン酸の代わ
りにヘテロポリ酸H6PV3Mo940・30H2Oを0.
05gおよび純水0.5gを用いた以外は総て実施例1
と同一の条件及び方法で実施した。この結果、フェノー
ル収率は4.3%であり、選択率は76.6%であっ
た。
【0034】実施例4 実施例1で実施した方法において、リン酸の代わりに
0.01N塩酸3.0gを用いた以外は総て実施例1と
同一の条件及び方法で実施した。この結果、フェノール
収率は3.8%であり、選択率は74.5%であった。
【0035】比較例1 実施例1で実施した方法において、リン酸を用いなかっ
た以外は総て実施例1と同一の条件及び方法で実施し
た。この結果、フェノール収率は3.1%であり、選択
率は82.3%であった。 実施例5 実施例1において実施した方法で、反応液に触媒として
FeCl3 を0.05g及びPdCl2 を0.05g添
加した以外は総て実施例1と同様にして実施した。この
結果、フェノールは収率10.2%、選択率85.6%
で得られた。
【0036】実施例6 実施例5において実施した方法で、リン酸の代わりに酢
酸1.0gを用いた以外は総て実施例5と同一の条件及
び方法で実施した。この結果、フェノール収率は9.9
%であり、選択率は88.2%であった。
【0037】実施例7 実施例5において実施した方法において、リン酸の代わ
りにヘテロポリ酸H6PV3Mo940・30H2Oを0.
05gおよび純水0.5gを用いた以外は総て実施例5
と同一の条件及び方法で実施した。この結果、フェノー
ル収率は9.6%であり、選択率は77.8%であっ
た。
【0038】比較例2 実施例5で実施した方法において、リン酸を用いなかっ
た以外は総て実施例5と同一の条件及び方法で実施し
た。この結果、フェノール収率は8.8%であり、選択
率は88.2%であった。
【0039】実施例8〜12 実施例1においてベンゼンの代わりにそれぞれトルエ
ン、ナフタレン、β−ナフトール、アニソールまたはp
−キシレンを各々5.0gとした以外は全て実施例1と
同一の条件および方法で反応及び分析を行った。結果は
表1に示したようにそれぞれよい収率で芳香族ヒドロキ
シ化合物の生成が認められた。なお、生成物中の芳香族
ヒドロキシ化合物及び芳香族ジヒドロキシ化合物の収率
は全ての異性体の合計で示した。
【0040】
【表1】 表1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 芳香族化合物 収率(%) ヒドロキシ化合物 ジヒドロキシ化合物 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例8 トルエン 4.2 0.2 実施例9 ナフタレン 2.8 0.1 実施例10 β−ナフトール 原料 0.3 実施例11 アニソール 1.7 微量 実施例12 p−キシレン 3.3 微量 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0041】
【発明の効果】本発明に従えば、以下の効果が得られ
る。 (1)ベンゼンを直接酸化して、フェノールを選択率良
く製造することができる。 (2)従来の方法に比較して、フェノールを低温、低圧
の温和条件で直接酸化製造することができる。 (3)工業上重要なフェノールを安全上、プロセス上、
経済上著しく優位に生産することができる。 (4)フェノール以外の反応生成物であるケトン(例え
ばアセトン)を水素添加して、第2級アルコール(例え
ばイソプロピルアルコール)としてリサイクル使用する
ことが可能である。前述したように、本発明によって工
業上著しく優れたフェノールの新規な製造方法を提供す
ることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族第2級アルコールおよび脂環式第
    2級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも一種
    の第2級アルコール及び酸性物質の存在下に、芳香族化
    合物を酸化剤と反応させることを特徴とする芳香族ヒド
    ロキシ化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸性物質が、リン酸である請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 酸性物質が、酢酸である請求項1記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 酸性物質が、ヘテロポリ酸である請求項
    1記載の方法。
  5. 【請求項5】 芳香族化合物がベンゼンであり、芳香族
    ヒドロキシ化合物がフェノールである請求項1記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 第2級アルコールが、イソプロピルアル
    コールである請求項1ないし5記載のいずれかの方法。
  7. 【請求項7】 反応をさらに、酸化触媒の存在下に行う
    請求項1ないし6記載のいずれかの方法。
  8. 【請求項8】 酸化触媒が鉄、銅、パラジウム、白金お
    よびチタン金属よりなる群から選ばれた少なくとも1種
    の金属の塩もしくは金属化合物である請求項7記載の方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114057549A (zh) * 2020-07-30 2022-02-18 中国石油化工股份有限公司 一种同时制备苯酚和苯二酚的方法

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