JPH08157263A - セラミック抵抗体 - Google Patents

セラミック抵抗体

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JPH08157263A
JPH08157263A JP6296386A JP29638694A JPH08157263A JP H08157263 A JPH08157263 A JP H08157263A JP 6296386 A JP6296386 A JP 6296386A JP 29638694 A JP29638694 A JP 29638694A JP H08157263 A JPH08157263 A JP H08157263A
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謙治 北澤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】窒化アルミニウム結晶相を主体とし、例えばC
VD法により作製されたセラミック抵抗体であって、抵
抗体中にS、Se、Teなどの周期律表第6b族元素が
0.005〜20原子%存在し、結晶相における格子定
数が窒化アルミニウム単相の格子定数からa軸で0.0
03〜0.015オングストローム、c軸で0.004
〜0.020オングストロームだけシフトした値である
とともに、25℃における体積固有抵抗が1014Ω−c
m以下の抵抗体を提供する。 【効果】−50℃から300℃までの温度範囲において
抵抗変化の小さい抵抗体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒータ材料、真空管外
囲管や半導体製造装置における帯電除去材料、ウエハ搬
送用アーム、ウエハハンドリング用治具や静電チャック
などに適した窒化アルミニウムを主体とするセラミック
抵抗体に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、絶縁性のセラミックスの電気抵
抗を調整するための方法としては、絶縁性セラミックス
に対して、導電性材料を添加して抵抗値を制御すること
が一般に行われている。例えば、アルミナに対して窒化
チタンを添加して電気抵抗を小さくすることが行われて
いる。
【0003】一方、窒化アルミニウムは、非酸化性セラ
ミックスの1種であり、構造材料や高温材料としての応
用が期待され、最近では耐プラズマに対しても優れた耐
久性を有することが報告されている。よって、この窒化
アルミニウムを静電チャックなど半導体製造装置内の部
品としての応用が考慮されている。しかしながら、この
窒化アルミニウム自体、高絶縁材料であり、室温でも1
16Ω−cm以上の抵抗値を有するために実用化には至
っていないのが現状である。
【0004】このような窒化アルミニウムに対しても、
電気抵抗を小さくする試みが行われている。例えば、窒
化アルミニウムや窒化ホウ素の絶縁性セラミックスに対
してもAlなどの導電性材料を添加して比抵抗を調整す
ることが特開昭56ー4509号に提案されている。ま
た、薄膜状セラミックスにおいては、例えば窒化アルミ
ニウムに金属アルミニウムを分散させて抵抗温度係数の
小さな薄膜抵抗体を得ることも特公昭55ー50364
号に提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】一般に、絶縁体の体
積固有抵抗値は温度とともに低下する傾向にあるが、例
えば窒化アルミニウムの場合には室温で1016Ω−cm
から300℃で1011Ω−cm以下まで減少する傾向に
ある。そのため、室温から300℃の高温まで使用する
場合、安定した動作が得られないために、使用温度条件
に制限があるなどの問題があった。また、室温以下では
AlN単体では抵抗が高いために適度の抵抗を有する抵
抗体として利用できないといった欠点があった。
【0006】また、導電性材料を加えることにより電気
抵抗を制御する方法においては、導電性材料自体の特性
により、絶縁性セラミックスが本来有する特性が損なわ
れるなどの問題があった。例えば、耐食性や耐久性に欠
けたり、窒化アルミニウムの特性が劣化したりした。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記問
題点に対して特に電気抵抗が1014Ω−cm以下のセラ
ミック抵抗体としてその組成および組織の観点から検討
を重ねた結果、例えば化学気相合成法により形成された
窒化アルミニウムを主成分とする絶縁体中に酸素を除く
周期律表第6b族元素を0.005〜20原子%含有さ
せ、そして、その元素を窒化アルミニウム結晶中に固溶
させて窒化アルミニウムの格子定数を特定の範囲に制御
することによって、絶縁層の体積固有抵抗が1014Ω−
cm以下の範囲に調整でき、かつ温度に対する抵抗変化
が小さく広い温度域において安定した材料特性が得られ
ることを見いだし本発明に至った。
【0008】即ち、本発明のセラミック抵抗体は、窒化
アルミニウム結晶相を主体とするセラミック抵抗体であ
って、該抵抗体中に酸素を除く周期律表第6b族元素が
0.005〜20原子%存在し、前記結晶相における格
子定数がa軸で0.003〜0.015オングストロー
ム、c軸で0.004〜0.020オングストロームだ
けシフトした値でであるとともに、25℃における体積
固有抵抗が1014Ω−cm以下であることを特徴とする
ものである。
【0009】以下、本発明を詳述する。本発明における
セラミック抵抗体は、窒化アルミニウムを主体とするも
のであるが、組成上、周期律表第6b族元素(但し、酸
素を除く。)を0.005〜20原子%含有するもので
ある。この周期律表第6b族元素量は、窒化アルミニウ
ムに対して導電性を付与するための重要な元素であり、
この元素量が0.005原子%より少ないと所望の抵抗
が得られず、20原子%を越えると、他の結晶相が生成
しやすくなり抵抗制御が難しくなり、また薄膜において
は剥離やクラックが発生しやすくなる。なお、周期律表
第6b族元素とは、具体的にはS、Se、Teであり、
特にSとSeが成膜性の点で望ましい。
【0010】また、このセラミック抵抗体は、組織上、
窒化アルミニウム結晶を主体とするものであるが、この
抵抗体中の周期律表第6b族元素の一部は窒化アルミニ
ウム結晶中に固溶するが、この結晶中に固溶しきれない
周期律表第6b族元素により周期律表第6b族の窒化物
等の結晶相が20重量%以下の割合で存在する場合もあ
る。また、窒化アルミニウム結晶は、周期律表第6b族
元素の固溶により格子定数が窒化アルミニウムの格子定
数からa軸0.003〜0.015オングストローム、
c軸で0.004〜0.020オングストロームだけシ
フトした値の範囲にあるもので、窒化アルミニウム単体
からなる結晶の格子定数(a軸3.120オングストロ
ーム、c軸4.994オングストローム)とは明らかに
異なる格子定数を有するものである。
【0011】本発明のセラミック抵抗体は、上記の構成
により25℃において1014Ω−cm以下の体積固有抵
抗を有するもので、その下限値は実験での確認では10
9 Ω−cmであった。しかも、この抵抗体は後述する実
施例から明らかなように、−50℃から300℃までの
温度領域において、25℃の抵抗値に対する変化が3桁
以下の優れた抵抗安定性を有することも大きな特徴であ
る。
【0012】本発明のセラミック抵抗体を製造する方法
としては、上記の構成を満足する限りにおいて格別その
製法を限定するものではないが、その製造の容易性の点
で、特に気相成長法が好ましく、具体的には、スパッタ
リング、イオンプレーティングなどの物理気相合成法
(PVD法)や、プラズマCVD、光CVD、MO(M
etal−organic)CVDなどの化学気相合成
法(CVD法)により形成されるが、これらの中でもC
VD法がよい。これらの成膜法によれば、周期律表第6
b族元素を過剰に固溶させた窒化アルミニウムを合成で
き、本発明により採用される周期律表第6b族元素を
0.01〜20原子%含有して窒化アルミニウム結晶の
格子定数の変化したセラミック抵抗体を得ることができ
る。
【0013】周期律表第6b族元素としてS(イオウ)
を選択し、CVD法を用いた具体的な製法としては、原
料ガスとしてN2 ガス、NH3 ガス、H2 SおよびAl
Cl3 ガスを用い、これらのガスの流量比をN2 /Al
Cl3 =5〜70、H2 S/NH3 =0.001〜5、
NH3 /AlCl3 =0.1〜10とし、成膜温度を8
50℃以上の比較的高めに設定することにより作製する
ことができる。AlCl3 の代わりにAlBr3 等のハ
ロゲン化物やトリメチルアルミニウム等の有機金属を用
いることができる。
【0014】その他の周期律表第6b族元素含有ガスと
しては、H2 Se、Se(CH3 2 、Se(C
2 5 )、H2 Te、Te(CH3 2 、Te(C2
5 2 などが挙げられる。
【0015】一方、膜を形成する基体としては、あらゆ
るものが使用できるが、具体的にはAl2 3 、AlO
N、Si3 4 、ダイヤモンド、ムライト、ZrO2
W、Mo、Mo−Mn、TiN、SiC、WC、カーボ
ンやSi半導体材料(n型あるいはp型)も挙げられる
が、これらの中でも室温から800℃までの熱膨張係数
が4.0〜8.0×10-6/℃、特に5〜7.5×10
-6/℃のものがAlN膜との密着性を考慮すると最も望
ましい。
【0016】
【作用】通常、窒化アルミニウムは体積固有抵抗1014
Ω−cmを越える高絶縁体であるが、その窒化アルミニ
ウム結晶中に周期律表第6b族元素を固溶させてアルミ
ニウムまたは窒素を周期律表第6b族元素で置換させる
と、ドナーまたはアクセプターとして導電性に寄与し結
晶の導電率を高める作用となすものと考えられる。ま
た、窒化アルミニウム結晶への周期律表第6b族元素の
固溶は格子定数の変化により判定できる。例えば、周期
律表第6b族元素を含まない窒化アルミニウムの格子定
数はa軸で3.120オングストローム、c軸で4.9
94オングストロームであるが、周期律表第6b族元素
が固溶するに従い、a軸、c軸とも変化する。そして格
子定数をこれらの値からa軸で0.003〜0.015
オングストローム、c軸で0.004〜0.020オン
グストロームだけシフトした値にすると体積固有抵抗を
1014Ω−cm以下に制御することができる。
【0017】しかも本発明のセラミック抵抗体は温度に
対する抵抗変化が小さく、例えば、一般的窒化アルミニ
ウムの場合、室温(25℃)から300℃までの温度範
囲では1016Ω−cmから1012Ω−cmまで変化する
のに対して、本発明のセラミック抵抗体では例えば、1
12Ω−cmから1010Ω−cmまでと3桁以下しか変
化しないという特徴を有するものである。また、−50
℃の低温でも変化率の小さな体積固有抵抗値を維持する
ものである。
【0018】従って、広い温度範囲にわたって安定した
抵抗が必要とされる半導体製造装置中の静電チャックな
どの用途に対しては特に有用性が高いものである。
【0019】
【実施例】
実施例1 窒化アルミニウム質焼結体からなる基体表面に化学気相
合成法によってAlN膜を形成した。AlN膜の成膜
は、基体を外熱式によって900℃に加熱した炉に入
れ、窒素を8SLM、アンモニアを1SLM、0〜0.
3SLMのH2 S、Se(CH3 2 、H2 Se、H2
Te、Te(CH3 2 のうちの1種を流して圧力を5
0torrとした。さらに、塩化アルミニウム(AlC
3 )を0.3SLMの流量で導入して反応を開始し、
およそ300μmの膜厚の膜を形成した。
【0020】得られた膜に対してX線回折法でSi(S
RM640b)を標準試料として角度補正を行い、ピー
クトップ法により算出した。測定面指数は(100)、
(002)、(101)、(102)、(110)、
(103)、(112)、(004)であった。
【0021】
【表1】
【0022】表1の結果から明らかなように、窒化アル
ミニウム中の周期律表第6b族元素量および格子定数は
周期律表第6b族元素含有ガスの流量によって変化し、
周期律表第6b族元素含有ガスを全く導入せず、周期律
表第6b族元素も不純物レベルの0.0001原子%の
場合には、体積固有抵抗も9×1015Ω−cmと高絶縁
性であったが、周期律表第6b族元素含有ガスの流量を
徐々に増加させるに伴い、膜中の第6b族元素量が増加
するとともに、格子定数も次第に小さくなり、体積固有
抵抗も4.7×109 Ω−cm(25℃)まで低下し
た。しかし、第6b族元素量が20原子%を越える試料
No.7では、AlN膜の剥離が生じた。なお、得られた
窒化アルミニウム膜はX線回折測定から(002)に配
向するAlN膜であった。
【0023】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、窒
化アルミニウム中の周期律表第6b族元素量及び格子定
数を制御することにより、室温における体積固有抵抗が
1014Ω−cm以下で、−50℃から300℃までの温
度範囲において抵抗変化の小さい抵抗体を得ることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05B 3/14 B 0380−3K

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウム結晶相を主体とするセラ
    ミック抵抗体であって、該抵抗体中に酸素を除く周期律
    表第6b族元素が0.005〜20原子%存在し、前記
    結晶相における格子定数が窒化アルミニウム単相の格子
    定数からa軸で0.003〜0.015オングストロー
    ム、c軸で0.004〜0.020オングストロームだ
    けシフトした値であるとともに、25℃における体積固
    有抵抗が1014Ω−cm以下であることを特徴とするセ
    ラミック抵抗体。
  2. 【請求項2】前記抵抗体が化学気相合成法により形成さ
    れたものである請求項1記載のセラミック抵抗体。
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