JPH08155072A - 滑走具用化粧板 - Google Patents

滑走具用化粧板

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JPH08155072A
JPH08155072A JP33031594A JP33031594A JPH08155072A JP H08155072 A JPH08155072 A JP H08155072A JP 33031594 A JP33031594 A JP 33031594A JP 33031594 A JP33031594 A JP 33031594A JP H08155072 A JPH08155072 A JP H08155072A
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layer
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resin
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JP33031594A
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Yasushi Hasegawa
靖 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】透明なプラスチック材料と他のプラスチック材
料を組み合わせて、印刷を施す場合に、内部が透けて見
えないようにし、かつまた印刷自体を鮮明に見えるよう
にするため、バックコートをしたり、下層のプラスチッ
クに着色剤を混入し、不透明にする。このような場合混
練された着色剤と印刷用の染料が混ざるなどして、彩度
が低下するのを防止し所望の色彩を再現することを可能
とする。 【構成】透明な染料染着性のあるプラスチックよりなる
表面層と、透明な染料染着性のあるプラスチックよりな
る中間層と、隠蔽性のあるプラスチックよりなる下層を
有し、前記表面層の裏面と前記中間層の表面のうちの一
方もしくは双方に染料によって形成された印刷面を設
け、前記3つの層を一体化して成る滑走具用化粧板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スキー板その他の滑走
具に用いる表面化粧板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日のスキーの多くは、若年層の好みに
合わせ、その表面にカラフルで美麗なデザインを施して
購買意欲をそそる工夫がなされている。今日のスキー
は、単純な色彩や模様のみでは、購買意欲をそそること
はできず、衣料品におけるように多くの色を用いた極め
て複雑なデザインが要求されるに至っている。
【0003】このような複雑なデザインを得るために、
従来のスキー板においては、顔料を用いた印刷方法と、
最近では染料を用いた印刷方法が用いられている。顔料
を用いた印刷方法としては、ナイロンエラストマー、ポ
リエチレン樹脂等の耐溶剤性の高い樹脂を表面材料とし
て用い、その裏面に、顔料を着色材としたインクおよび
塗料を溶剤で希釈した上、スクリーン印刷等の方法でデ
ザイン膜を形成することが行われている。また、最近の
より多色で複雑なデザインに対応するためポリブチレン
テレフタレートや、ポリアミド樹脂等の不透明な樹脂の
表面材料の表面側にあらかじめ紙等に印刷された昇華性
分散染料を加熱加圧手段により、転写浸透させる塗膜を
形成しない昇華印刷の方法により、より鮮明なデザイン
を施こすことが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ナイロンエラストマーなどの表面材料の裏面に顔料によ
るスクリーン印刷を施したものは、印刷面が材料の裏面
であるため使用に際して多少傷がついても、印刷した模
様自体は容易に損傷しない利点があるが、その印刷プロ
セスにおいて多色化するためには、印刷と乾燥を繰り返
す作業が必要であり、複雑なデザインに対応できない問
題がある。しかも印刷模様を鮮明にするため更に印刷面
の裏からエポキシやウレタンなどの不透明で溶剤で希釈
した塗料によるバックコートを施す必要があるなど、印
刷プロセスが多工程で複雑であるという問題がある。ま
た、印刷模様および該バックコート面は、乾燥工程で十
分に溶剤を蒸発させないと、他のスキー材料との接着に
対して剥離の危険を含むなど不利であるという問題があ
る。また作業において有機溶剤を使用する必要があるた
め、耐溶剤性の低い樹脂を表面材料として用いることが
できず、透明性の優れた材料を選ぶことができない制限
があって、印刷の鮮明性が好ましくなく、また作業環境
も低下するなど、多くの問題があった。 また後者のポ
リブチレンテレフタレート樹脂等の表面材の表側に染料
を用いて印刷した方法は、複雑多色なデザインに対応で
き、印刷プロセスも単純化できる利点はあるが、スキー
表面が使用に際して傷が付くと印刷模様自体が損傷して
しまう問題が生ずる。そのため印刷デザインを表面から
より深く浸透させる必要があるが、材料の耐熱性の面よ
り昇華印刷時の加熱加圧時間を長くとるため、印刷時間
が短縮できないなどの問題もある。また染料によるデザ
インがスキー表面となるので直射日光により染料が退
色、変色する等の耐候性に劣る問題もあるほか、溶剤等
に触れると染料が浸み出したり、接触する相手物に色う
つりするなど多くの問題があった。
【0005】そこで本発明者は、このような従来の問題
点を解決するため、特願平6ー185086号の発明に
より、透明で少なくとも染料染着性のあるプラスチック
を有する表面材と、少なくとも染料染着性のあるプラス
チックを有する裏打ち材を有し、前記表面材の裏面と前
記裏打ち材の表面のうちの一方もしくは双方に、染料に
よって形成された印刷面を設け、前記表面材と前記裏打
ち材とを一体化して成るスキー用化粧板を提案した。該
発明は、透明性の優れた表面材料の裏面側に染料を用い
て印刷を施し、使用に際する傷によっても印刷模様が容
易に損傷することがなく、しかも単純な工程で短時間に
印刷を施すことができるものであった。
【0006】このような透明なプラスチック材料と他の
プラスチック材料を組み合わせて、印刷を施す場合に、
内部が透けて見えないようにし、かつまた印刷自体を鮮
明に見えるようにするため、前述したバックコートに代
えて、下層のプラスチックに顔料または染料を着色剤と
して混入し、混練して不透明にすることが考えられる。
しかしながら、このようにして着色したプラスチックに
染料を用いて印刷を施すと、混練された着色剤と印刷用
の染料が混ざるなどして、彩度が低下し所望の色彩を再
現することができない問題がある。例えば白色に着色し
たプラスチックに赤色の染料で印刷を施すと、全体がピ
ンク色になったり、また黒の印刷を施すと全体がグレー
がかった色になってしまい、本来の意図する色彩となら
ない。また、上層の透明プラスチックの裏面に印刷を施
そうとすると、下層の着色したプラスチックと一体化す
る際の融着の熱によって印刷の染料が再昇華するため、
着色した下層と色混じりを起こし前述と同様の結果とな
る問題がある。また印刷を施した側のプラスチックが冷
えた状態で下層のプラスチックと融着せざるを得ず、下
層のプラスチックとうまく一体化できない問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による上述の問題
点を解決する手段は前記特許請求の範囲に記載したとお
り、透明な染料染着性のあるプラスチックよりなる表面
層と、透明な染料染着性のあるプラスチックよりなる中
間層と、隠蔽性のあるプラスチックよりなる下層を有
し、前記表面層の裏面と前記中間層の表面のうちの一方
もしくは双方に染料によって形成された印刷面を設け、
前記3つの層を一体化して成る滑走具用化粧板であり、
染料染着性のあるプラスチックが、その分子構造中に官
能基を有する樹脂であって、密度1.0以上の樹脂であ
るもの、表面層が、光線透過率が30%以上のプラスチ
ックよりなるもの、表面層が、紫外線透過率が波長20
0〜400nmの範囲で0となるもの、表面層および中
間層の一方もしくは双方が、ポリアミド系樹脂よりなる
もの、中間層および下層の一方もしくは双方がエポキシ
系樹脂組成物よりなるもの、表面層および中間層の一方
もしくは双方に、金属または無機物の箔粉を混入してな
るもの、下層の裏面に、接着助材を設けたもの、などを
含む。本発明における透明なプラスチックとは、下側に
位置するデザインが認識できる範囲の透明性を有するプ
ラスチックを意味する。表面層および中間層は無着色透
明であることが好ましいが、素材プラスチック本来の色
相により有色であってもよく、また意匠の必要性から透
明性を保持する範囲で着色することも可能である。
【0008】
【作用】本発明のスキー等の滑走具用化粧板は、染着性
樹脂に染料を用いて印刷を施すので、転写による昇華印
刷などの簡単な方法で印刷を施すことができ、印刷工程
を省力化することができる。また染料は印刷部分で安定
し、ニジミが出て印刷が不鮮明となったりすることがな
い。また印刷面が、表面材の裏面側にあるので、スキー
等の使用中に付いた傷などによっても、容易に印刷が損
なわれることがない。また、印刷に際し溶剤を用いない
ので、使用できる材料に制限が少なく、透明性の高い材
料や、紫外線を遮断する材料などを選択することができ
るため、外部から印刷面を鮮明に見通すことができ、ま
た染料の耐候性を向上させて、印刷の劣化を防止するこ
とができる。
【0009】透明の中間層の表面側に印刷を施すため、
印刷自体は他の染料や顔料などと混じりあうことがない
ので鮮明であり、下層が隠蔽性であるため、表面からみ
た印刷の彩度が所望のとおりに保たれる。また、下層材
裏面に、接着助材を設けたものなどは、印刷面に影響を
与えずにスキー等滑走具全体の堅牢性を向上させる。
【0010】本発明の滑走具用化粧板の製造にあたって
は、染着性樹脂に染料を用いて印刷を施すので、転写に
よる昇華印刷などの簡単な方法で印刷を施すことがで
き、印刷工程を省力化するのみならず、短時間で印刷を
完了することができ、また印刷に際し溶剤を用いないの
で、作業環境を良好に保つことができる。また、厚く透
明な表面層を押し出し成型しつつ印刷を施した比較的薄
い層と熱融着するか、塗膜を形成し乾燥することによっ
て強固に一体化される。さらに印刷は表面層と中間層を
構成する染料染着性のあるプラスチックの中間に位置さ
れるのでこれら一体化に際する熱履歴に対してもニジん
だり下層と色まじりを起こすことがない。
【0011】
【実施例】図1〜図2は、本発明をスキー用化粧板に適
用した実施例を示す断面図である。この実施例はスキー
の非滑走面に用いる化粧板を構成する例であり、1はポ
リアミド樹脂による透明性のよい表面層であり、2は無
着色のポリアミド樹脂の中間層、3は、ポリアミド樹脂
による下層であり、この例では白色に着色して隠蔽性を
与えてある。この例では、表面層1と中間層2と下層の
3層がいずれもポリアミド樹脂であるが、表面層1と中
間層2を構成する樹脂は、染料に対し染着座席を有する
所謂染着性樹脂である。 本発明では、染着性樹脂とし
て、ポリアミド樹脂のほか、ポリメタクリル樹脂、ポリ
カーボネイト樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、
ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリサルフォン樹
脂、ポリアリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化
ビニル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、エポキシ
樹脂組成物などおよびこれらの共重合体樹脂また、ポリ
スチレン樹脂およびその共重合体であるAS、BS、A
BS、MBS、AES、AAS、などの樹脂、およびセ
ルロース系のセルロースアセテート、セルロースアセテ
ートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート
などの樹脂から選択したものが使用できる。またポリア
ミド樹脂のなかでも透明性、染料に対する染着性、耐候
性、耐薬品性および耐摩耗性などの観点から、ポリアミ
ド12、ポリアミド11、ポリアミド12とポリアミド
6との共重合体、およびポリエーテルとの共重合体のほ
か非晶質ポリアミドなどが好ましく利用できる。これら
の樹脂は染料の染着する場、すなわち染着座席を有する
樹脂であり、これら樹脂が分子構造上有するさまざまな
官能基が、染料親和基として作用し、染料と結合するこ
とにより染着が行なわれるため容易にニジんだり、退色
したりすることがなく、浸透固着されるに最適である。
また染料は印刷の際に加熱され気体となって樹脂中に分
散拡散する。そのため気体透過係数の大きい樹脂にあっ
ては樹脂中で染料がランダム方向に分散、拡散するた
め、拡散が過大であると、印刷が容易に滲む結果とな
る。そのため気体透過係数の小さい樹脂、すなわち極性
が高く官能基をもち分子構造が緻密であって染料が過大
に拡散することのない、密度(比重)1.0以上の範囲
の樹脂であることが好ましい。また染着性樹脂が有する
官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、アミ
ド基、アミノ基、エステル基、エーテル基、シアン基、
メチル基、メチレン基、ニトリル基、ニトロ基、ビニル
基、アセチル基、ブチリル基、プロピオニル基、エポキ
シ基、水酸基などのほかに、ウレタン結合、炭素の二重
結合などが挙げられる。これに対してポリエチレンなど
の樹脂にあっては、非極性の樹脂でありその分子構造中
に官能基を持たないため、染料と親和結合できず染着能
力がないため、ニジんだり、退色等の原因となる。ま
た、密度は1・0未満であるので、これらは緻密な分子
構造を取らず気体透過係数が大きく、染料の分散拡散が
大きい。
【0012】この例では、まず中間層2と下層3とを2
層押し出しシート成型によって製造する。中間層は、1
00〜300μmの厚さから選ばれた薄い層とし、下層
は300μm程度の厚さとなるように、ともに押し出し
成型しながら連続的に熱融着する。後述する接着助材が
必要であるときには、下層を中心として3層を同時に熱
融着する。
【0013】次いでこのように融着した中間層2の表側
に、染料による印刷4を施す。この例では中間層2の表
側に印刷を施したが、表面層1の裏側に印刷を施しても
よいし、両方同時に印刷を施してもよい。この例の染料
による印刷としては、紙に昇華性染料をインクとして用
いて模様をあらかじめ能率よく印刷したものを、中間層
2の表面に加熱加圧して転写する、昇華印刷による印刷
が施されている。このような印刷は、単純な作業工程で
行われ、染料が染着性樹脂の表層部分のみに浸透固着さ
れるので、印刷模様が滲んで不鮮明となることがなく、
また有機溶剤を必要としないので作業環境も良好に保た
れる。染料としては、アゾ系染料、ピラゾロピリジン系
染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料な
どから選ばれる分散染料もしくは油溶染料が適宜使用で
きる。本発明では、印刷面が表面材の下側に位置するた
め、従来技術である表面に昇華印刷を施こすのと比較し
て染料の浸透深さを小さくすることが可能となる。従来
技術の方法では印刷面が表面に位置するためスキー使用
の際の損傷を考慮して印刷が滲んで不鮮明にならない範
囲で可能な限り深く浸透させる必要があり、その深さは
100〜200μm程度であり印刷時間は2〜3分程度
の加熱加圧時間が必要であった。本発明では、印刷が明
瞭に見える範囲の浸透深さがあればよく、デザインによ
っては、10〜100μmの深さも可能であり、印刷時
間も1分以内の単位で完了することも可能となる。
【0014】表面層1としてはその内部に印刷面を有す
るので透明度の高い樹脂であることが好ましく、一般的
に非晶性の樹脂は透明性が良好で好ましく使用できる。
また、結晶性の樹脂であっても透明性の優れたものもあ
り例えばポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、セル
ロース系の樹脂などで好ましく使用できる。また樹脂の
特性として光線透過率が30%以上、好ましくは50%
以上の透明性を有する樹脂であれば十分表面側よりデザ
インを認識することができる。(試験方法ASTM−D
1003・表面鏡面状態の透過率)また表面層1は、ス
キーの使用の際にデザインが容易に損傷することがない
ような適切な厚みの表面材として構成される必要がある
が、以下に述べる製造方法との関係でその範囲は300
μm以上〜2.0mm程度の範囲で化粧板の厚みの40%
以上の厚さをもつものが適宜決定できる。
【0015】次いで、表面層1と、印刷を施した中間層
2および下層3を融着したものとスキー本体裏を構成す
る板材5とは、図2に示されるように更に一体化され
る。この例において表面層1を、500μm相当のシー
トとなるように押し出し成型しつつ、これに前記印刷済
の裏打ち材を添わせて熱融着させる。この例のように、
熔融している表面層1の樹脂が厚く、十分な熱容量を保
有しているので、薄い印刷済みの前記裏打ち材が既に冷
却状態にあっても、該板材の表面を熔融させることがで
き、熱融着を確実なものとすることができる。このよう
に、この発明では表面層を構成する材料の厚さを300
μm以上と厚く構成し、これに対し一体化した中間層と
下層からなる裏打ち材の厚さを薄く構成すれば、熱融着
が容易で確実となる。またこの場合表面材と裏打ち材の
相対的な厚さの関係において、表面層を形成する板材は
一体化後の化粧板の厚みの40%以上の厚みが必要であ
る。
【0016】また前記染料による印刷では、染料が樹脂
内部に浸透し固着されるので、印刷面に残存する皮膜が
なく、印刷面で他の材料と一体化することが容易であ
る。分散染料は大気中の酸化窒素類の作用で退色するこ
とが知られているがこのように一体化すると、印刷面は
表面層1と中間層2との層間に位置するため、その染色
部は完全に空気と遮断された状態となるので、その退色
防止効果は絶大である。さらに印刷面の退色、変色に対
しては、使用中の紫外線劣化によるものがあるが表面層
1としては特に有害な紫外線の透過率の小さい樹脂を使
用することが好ましく、例えばメタクリル樹脂、ポリカ
ーボネイト樹脂、透明ABS樹脂、透明ポリアミド樹
脂、セルロース系樹脂などが好ましい。またこれらの樹
脂またはこれら以外の透明樹脂であっても適宜の紫外線
吸収剤を混入することによっても達成される。その結果
紫外線透過率として波長が200〜400nmの範囲で
0%となることが好ましい。ここで表面材層に混入する
紫外線吸収剤としてはサリシレート系、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、イ
ンドール系などから適宜選定できる。またヒンダードア
ミン系光安定剤を加えることでさらに特性が向上する。
これらは樹脂中に複数選定して混入することもでき、総
量で1、000〜10、000 p.p.mの混入で十分であ
るがその範囲は特定されず適宜決定するものである。以
上の処置によって従来不可能であった蛍光染料を用いた
デザインを付与することも容易となる。また、熱融着の
際、印刷された染料が再昇華しても、中間層2にとどま
り着色された下層3に到達せず色混じりすることもなく
所望の色彩を保持することができる。
【0017】このようにして構成されたスキー用化粧板
は、従来のポリエチレンの表面材に印刷を施した場合な
どと比べ、表面層1が透明性の高い樹脂が選択できるの
で、内部のデザインが鮮明に見え、美観が保てる。ま
た、使用している樹脂に染料染着性があるので、デザイ
ンが滲んで不鮮明となることがない。また、表面層1に
耐候性があり、また紫外線透過率が低いので、染料の経
年劣化を防ぐことができ、デザインの鮮明性を保持でき
る。また、スキー製造工程中において、印刷染料が他の
顔料や染料と混在することがなく、彩度が低下したり所
望の色彩と異なった結果となることがない。また、印刷
面が、透明な樹脂の裏側に存在するので、スキーの使用
中にエッジなどで傷がついても、印刷されたデザインが
容易に切除したり剥離することがない。
【0018】図3〜図4は、更に他の実施例でスキー用
化粧板を示す図である。前記同様21はポリアミド樹脂
による透明な表面層、22はポリアミド樹脂による無着
色で透明な中間層、23は着色したエポキシ樹脂組成物
による下層である。この例では、前記の例とはその製造
方法を異にしている。この例では、中間層22の表面に
前記同様昇華印刷による印刷を施し、表面層21と該印
刷を施した中間層22を熱融着したのち、着色したエポ
キシ樹脂組成物を中間層22の裏面にロールコーター、
フローコーター、スプレーコーター等の方法によって付
着させ、その後乾燥硬化させ下層23を形成した例であ
る。この場合においても熱融着および乾燥による熱履歴
に対して印刷は安定でありニジミ、色混じりを防止でき
る。エポキシ樹脂組成物としては、ビスフェノールA系
エポキシ樹脂であって、エポキシ当量が130〜500
の範囲で使用できるが、140〜270の範囲のものが
好ましく選択できる。反応性硬化剤として、脂肪族ポリ
アミン、ポリアミドアミンなどのアミン系化合物が好ま
しい。着色は、白色に着色するのがよい。
【0019】図5〜図6は、スキー用化粧板に本発明を
適用した更に他の実施例である。前記同様31はポリア
ミド樹脂による透明な表面層、32はエポキシ樹脂組成
物による無着色で透明な中間層、33は着色したABS
樹脂による下層である。この例では、表面層31の裏面
に前記同様昇華印刷による印刷34を施し、該印刷を施
した表面層31の裏面にエポキシ樹脂組成物を塗布した
後乾燥して一部を反応させ、次いで更に同じエポキシ樹
脂組成物を塗布して中間層32を形成し、着色したAB
S樹脂と一体に乾燥硬化させ一体化している。しかし、
手順によっては中間層を形成するエポキシ樹脂組成物
は、乾燥しないままの状態で下層との間の接着層として
も用い、結果的に中間層を形成するようにしてもよい。
中間層を構成するエポキシ樹脂組成物は10〜200μ
mの範囲で構成することで染料が下層に到達せず下層と
の色混じりを防止する。ここでエポキシ樹脂組成物とし
て、前述説明したエポキシ樹脂組成物が好ましく、これ
ら樹脂は通常液状の樹脂であり、反応性硬化剤との反応
により、硬化樹脂となる。溶剤を含まないので環境上の
問題もなく硬化時の体積収縮がないため安定した層を形
成することができる上、透明性、接着性、耐候性にも優
れる。また分子構造中にエポキシ基、アミノ基、水酸基
などの官能基を有し、これら官能基は染料との親和性が
良く、染料染着性のあるプラスチックである。さらにそ
の密度はおおむね1.1〜1.2の範囲にあり分子構造が
緻密であるため気体の透過係数が小さく乾燥等の工程に
おいても印刷がニジんだり下層と色混じりすることがな
い。下層としては、着色性が良好でスキー本体への接着
性に優れた材料がよいが、ABS樹脂のほかに、ポリア
ミドとABSとのポリマーアロイ(ABSポリアミドア
ロイ)が好ましく適用できるほか、ポリアミド樹脂、ポ
リエチレン樹脂アイオノマー樹脂など広範囲の樹脂が適
用できる。該方法によると、熱融着等による一体化を行
う場合に比べて、性質の異なる樹脂であっても容易に一
体化することができる。またエポキシ樹脂をポリアミ
ド、ポリエステル等の不織布に予め塗布または含浸させ
て中間層を構成することもでき、この場合中間層の厚さ
を任意に保持することができる。
【0020】図7〜図8は、同様にスキー用化粧板に本
発明を適用した更に他の実施例である。41はポリアミ
ド樹脂による透明な表面層、42はエポキシ樹脂による
無着色で透明な中間層、43は着色したエポキシ樹脂に
よる下層である。この例では、表面層41の裏面に前記
同様昇華印刷による印刷44を施し、該印刷を施した表
面層41の裏面にエポキシ樹脂組成物を前述と同様の方
法によって付着させて中間層42を形成し、そののち、
着色したエポキシ樹脂組成物を前記同様の方法によって
付着させて下層43を形成して一体化した例である。
【0021】図9は、更に本発明の他の実施例であり、
51はポリアミド樹脂による透明な表面層、52はポリ
アミド樹脂による無着色で透明な中間層、53は接着性
ポリオレフィン樹脂による着色した下層、54は染料に
よる印刷、56はポリアミド不織布による接着助材であ
る。接着助材として、ポリアミド、ポリエステル、天然
繊維などの不織布、布帛やガラス繊維のほか、周知の炭
素繊維その他の繊維を用いてもよく、スキーの他の構成
材と、本発明の化粧板との接着性を向上させるものであ
り、予めこれを中間層52と下層53からなる裏打ち材
と一体化しておく。
【0022】図10は、表面層61に金属粉を混入し、
メタリック調のデザインとした実施例を示す図である。
61が透明なABS樹脂による表面層であり金属粉とし
てアルミ粉65を混入し散在させてある。62は無着色
のポリメタクリル樹脂による中間層、64が中間層に施
した染料による印刷、63は白色に着色したABS樹脂
の下層である。従来スキーにメタリックなデザインを施
す場合には、表面材に金属粉や金属箔を混入し、その上
面に塗膜によってデザインを施していたものであったか
ら、デザインが限られ、また奥行きの感じられるデザイ
ンは得られなかった。そうかといってこのようなメタリ
ックな材料に染料による印刷を施そうとすると、金属や
無機物のメタリック用粉や箔は、染料の浸透を妨げるた
め、所望のデザインを得ることができす、染料による印
刷でメタリック調のデザインを得ることは不可能とされ
ていた。しかしながら、本発明では、染料による印刷層
とメタリック用金属粉等を別々の層に施すことによっ
て、染料による印刷とメタリックデザインを混在させる
ことができ、それぞれに独特の奥行を感じさせるメタリ
ック調デザインとすることが可能となった。メタリック
デザインに用いる粉や箔は、例えばアルミ、銅、真鍮な
どの金属や、マイカなどの無機物が任意に使用できる。
また印刷は表面層61の裏面に施してもよく、またメタ
リック粉は中間層62に混入してもよい。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明のスキーやス
ノーボード等の滑走具用化粧板において、染着性樹脂に
染料を用いて印刷を施すので、転写による昇華印刷など
の簡単な方法で印刷を施すことができ、多色化や複雑な
デザインでも容易に印刷でき、印刷工程を省力化するこ
とができる。無着色の中間層の表面側に印刷を施すた
め、印刷自体は他の染料や顔料などと混じりあうことが
ないので鮮明であり、下層が隠蔽性であるため、表面か
らみた印刷の彩度や鮮明度が所望のとおりに保たれる。
染料は印刷部分で安定し、滲んだりかすれたりして印刷
が不鮮明となったりすることがない。印刷面が、表面材
の裏面側にあるので、スキーの使用中に付いた傷などに
よっても、容易に印刷されたデザインが損なわれること
がない。使用できる材料に制限が少なく、透明性の高い
材料や、紫外線を遮断する材料を使用できるため、外部
から印刷面を鮮明に見通すことができるうえ、印刷の劣
化を防止することができる。また、スキー等の滑走具の
製造工程を簡易化でき、一体化された化粧板の強度も向
上する。また溶剤の使用を可及的に少なくするなど作業
環境を改善できるので、コストの節減も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の化粧板の製造工程を説明する
断面図である。
【図2】本発明の実施例の化粧板とスキー本体を示す断
面図である。
【図3】本発明の実施例の化粧板の製造工程を示す断面
図である。
【図4】本発明の実施例の化粧板を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例の化粧板の製造工程を説明する
断面図である。
【図6】本発明の実施例の化粧板の断面図である。
【図7】本発明の実施例の化粧板の製造工程を説明する
断面図である。
【図8】本発明の実施例の化粧板の断面図である。
【図9】本発明の実施例の化粧板の断面図である。
【図10】本発明の実施例の化粧板の断面図である。
【符号の説明】
1、 表面層 2、 中間層 3、 下層 4、 染料による印刷 5、 スキー構成材 21、表面層 22、中間層 23、下層 24、染料による印刷 31、表面層 32、中間層 33、下層 34、染料による印刷 41、表面層 42、中間層 43、下層 44、染料による印刷 51、表面層 52、中間層 53、下層 54、染料による印刷 55、接着助材 61、表面層 62、中間層 63、下層 64、染料による印刷 65、アルミ粉

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明な染料染着性のあるプラスチックより
    なる表面層と、透明な染料染着性のあるプラスチックよ
    りなる中間層と、隠蔽性のあるプラスチックよりなる下
    層を有し、前記表面層の裏面と前記中間層の表面のうち
    の一方もしくは双方に染料によって形成された印刷面を
    設け、前記3つの層を一体化して成る滑走具用化粧板。
  2. 【請求項2】染料染着性のあるプラスチックが、その分
    子構造中に官能基を有する樹脂であって、密度1.0以
    上の樹脂であるものを含む請求項1項の滑走具用化粧
    板。
  3. 【請求項3】表面層が、光線透過率が30%以上のプラ
    スチックよりなる請求項1項乃至請求項2項のいずれか
    の滑走具用化粧板。
  4. 【請求項4】表面層が、紫外線透過率が波長200〜4
    00nmの範囲で0となる請求項1項乃至請求項3項の
    いずれかの滑走具用化粧板。
  5. 【請求項5】表面層および中間層の一方もしくは双方
    が、ポリアミド系樹脂よりなる請求項1項乃至請求項4
    項のいずれかの滑走具用化粧板。
  6. 【請求項6】中間層および下層の一方もしくは双方がエ
    ポキシ系樹脂組成物よりなる請求項1項乃至請求項5項
    のいずれかの滑走具用化粧板。
  7. 【請求項7】表面層および中間層の一方もしくは双方
    に、金属または無機物の箔粉を混入してなる請求項1項
    乃至請求項6項のいずれかの滑走具用化粧板。
  8. 【請求項8】下層の裏面に、接着助材を設けた請求項1
    項乃至請求項7項のいずれかの滑走具用化粧板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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