JPH08154656A - 核酸ハイブリダイゼーション試験の方法、核酸ハイブリダイゼーション試験用基材および核酸ハイブリダイゼーション試験用装置 - Google Patents

核酸ハイブリダイゼーション試験の方法、核酸ハイブリダイゼーション試験用基材および核酸ハイブリダイゼーション試験用装置

Info

Publication number
JPH08154656A
JPH08154656A JP6300918A JP30091894A JPH08154656A JP H08154656 A JPH08154656 A JP H08154656A JP 6300918 A JP6300918 A JP 6300918A JP 30091894 A JP30091894 A JP 30091894A JP H08154656 A JPH08154656 A JP H08154656A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nucleic acid
sample
probe
acid hybridization
hybridization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6300918A
Other languages
English (en)
Inventor
Kouji Yamagaki
浩司 山垣
Kaoru Naito
薫 内藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP6300918A priority Critical patent/JPH08154656A/ja
Publication of JPH08154656A publication Critical patent/JPH08154656A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】少量のプローブを有効に利用して核酸ハイブリ
ダイゼーション反応試験を行う。 【構成】標本と、プローブ溶液とを2枚の基材間に挾持
し、基材に電圧を印加して、上記プローブを上記標本に
接近させ、プローブと標本とを反応させる核酸ハイブリ
ダイゼーション試験方法。該方法に用いられる、基板と
該基板の表面に備えられた導電体層とを有する基材。該
基材と、該基材に電圧を印加するための電源とを備える
核酸ハイブリダイゼーション試験用装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生物学的試料検査の核
酸ハイブリダイゼーション試験の方法、核酸ハイブリダ
イゼーション試験用基材および核酸ハイブリダイゼーシ
ョン試験用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体組織には様々な生理活性物質、レセ
プター、酵素等の物質が存在しておりこれらの動態は生
理機能の発現に直接関与している。従って、これらの物
質の生合成が行なわれている細胞を知ることは、生化学
の研究上重要なだけでなく、生成異常等により発生する
病気の診断、治療にも寄与するところが大きい。これら
の物質は、DNAによりコードされており、DNAの転
写により、mRNAを介して生合成される。そこで、mRNAを
検出し、その組織中における局在性を調べれば、これら
のタンパク質が、どの細胞で作られているかを知ること
ができる。
【0003】また、遺伝子または染色体の異常は、遺伝
病、ガン等の病気の原因となることが知られている。そ
こで、遺伝子または染色体の異常を検出することは、遺
伝病、ガン、その他の遺伝子に関係する多くの病気の診
断および治療方針決定上の有効な手段として活用でき
る。
【0004】そこで、生物学的試料中のmRNAの存在を検
出したり、染色体や遺伝子の異常を検出する方法が、従
来より開発されてきた。核酸ハイブリダイゼーション反
応を用いる方法では、スライド硝子等の標本基材上に作
成した組織、細胞または染色体の標本中の、mRNAの存在
位置や染色体の異常を検出することができる。
【0005】この方法は、mRNAまたは一本鎖DNAを、一
本鎖核酸プローブとを反応させることにより検出する。
この方法では、まず、スライド硝子上に組織標本や、細
胞または染色体標本を調製する。なお、DNAを検出する
場合は、細胞および染色体標本中の染色体DNAを、あら
かじめ熱処理等で変性させ、一本鎖DNAを得る。このよ
うにして、標本を調製したのち、組織標本中のmRNAや、
細胞または染色体標本中の一本鎖DNAを標的とする一本
鎖核酸プローブを含む溶液で処理することによりハイブ
リッドを形成させ、未反応の核酸プローブを洗浄除去す
る。ここで用いられる一本鎖核酸プローブは、検出対象
のmRNAまたは一本鎖DNAの塩基配列と相補的な塩基配列
を有し、容易に検出が可能な物質で標識されている。こ
のため、標本中のハイブリッドを形成した染色体やmRNA
を同定し、mRNAの局在や染色体異常の存在を検出するこ
とができる。
【0006】ハイブリダイゼーションに使用される核酸
プローブは高価であるため、できるだけ少ないプローブ
量で反応を行わせることが望ましい。そのための方法と
して、2つの方法が用いられている。第1の方法として
は、2枚の標本スライド硝子の試料面を狭い間隙(30
μm弱)を挾んで並行に対向させ、この間隙に毛管作用
によってプローブ溶液の供給を行うというものである。
スライド硝子間の間隔をできるだけ狭くすれば、使用す
るプローブ溶液の量を少なくすることができる。第2の
方法としては、プローブ溶液中にデキストラン硫酸等の
膨潤剤を添加するものである。このようにすれば、プロ
ーブ溶液の濃度を局所的に高くすることができるため、
使用するプローブの量を減らすことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、第1の方法で
は、スライド硝子の間の間隔を狭くすれば狭くする程プ
ローブ溶液の供給の際に空隙が生じやすい。これは、試
料面の濡れ性が均一ではなく、プローブ溶液の浸入速度
に差があるため、濡れ性の悪い箇所に空気が閉じ込めら
れた部分が残ってしまうことによる。ハイブリダイゼー
ション反応は、プローブ溶液の存在しない空隙部分では
進行しないため、試料の一部が反応しないまま残ること
になってしまう。さらに、この第1の方法では、溶液の
排出が困難であり、未反応プローブの洗浄除去を充分に
行うことができない。従って、スライド硝子間の間隙を
狭くするのには限度があり、これだけでは使用するプロ
ーブ量を十分少なくできない。
【0008】また、第2の方法では、プローブ溶液中へ
の膨潤剤の添加によりプローブ溶液の粘度が増すため、
プローブ溶液の供給および排出が困難である。さらに、
プローブが高濃度となる部域が染色体付近にあるとは限
らないため、ハイブリダイゼーション反応に全プローブ
を有効に利用することができない。
【0009】そこで、本発明は、この様な従来の欠点を
解消し、少量のプローブを有効に利用して核酸ハイブリ
ダイゼーション反応を行わせるハイブリダイゼーション
試験方法、および、該方法を用いた試験装置の提供を目
的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、標本と、プローブを含むハイブリダイ
ゼーション溶液とを少なくとも2枚の基材間に挾持し、
標本とプローブの結合反応であるハイブリダイゼーショ
ン反応を起こさせる核酸ハイブリダイゼーション試験の
方法において、上記基材に電圧を印加して、上記プロー
ブを上記標本に接近させるステップと、上記プローブと
上記標本とを反応させるステップとを、この順に備える
ことを特徴とする核酸ハイブリダイゼーション試験方法
が提供される。なお、上記プローブと上記標本とを反応
させるステップは、上記基材への間歇的な電圧の印加を
含むことが望ましい。また、上記2つのステップの代わ
りに、上記基材に電圧を印加して、上記プローブを上記
標本に接近させながら、該プローブと該標本とを反応さ
せるステップを備えるようにしてもよい。
【0011】さらに、本発明では、標本と、プローブを
含むハイブリダイゼーション溶液とを少なくとも2枚の
基材間に挾持し、標本とプローブの結合反応であるハイ
ブリダイゼーション反応を起こさせる核酸ハイブリダイ
ゼーション試験において、標本とハイブリダイゼーショ
ン溶液とを挾持するために用いられる基材であって、基
板と、上記基板の少なくとも表裏一方の面に備えられた
導電体層とを有することを特徴とする核酸ハイブリダイ
ゼーション試験用基材が提供される。
【0012】なお、前記基板は、ガラス板のような透明
材料であることが望ましい。また、導電体層としては、
クロム膜を用いることができる。上記基材は、前記導電
体層上に備えられた誘電体酸化物膜をさらに有すること
が望ましい。この誘電体酸化物膜としては、SiO2
を用いることができる。
【0013】さらに、本発明では、少なくとも2枚の板
状基材を備え、標本とハイブリダイゼーション溶液とを
該基材間に挾持し、ハイブリダイゼーション反応を起こ
させる核酸ハイブリダイゼーション試験に用いられる核
酸ハイブリダイゼーション試験用装置において、電源を
備え、上記基材は、基板と、該基板の少なくとも表裏一
方の面に備えられた導電体層とを有し、上記電源は、上
記導電体層に電圧を印加する手段を備えることを特徴と
する核酸ハイブリダイゼーション試験用装置が提供され
る。この装置に用いられる基材は、本発明により提供さ
れる上述の基材を用いることが好ましい。
【0014】なお、この装置は、上記電源を制御する制
御装置をさらに備えることが好ましく、該制御装置は、
上記電圧の印加を、間歇的に行なう手段を有することが
好ましい。
【0015】
【作用】まず、従来技術によるハイブリダイゼーション
反応試験の方法を図2を用いて説明する。通常の標本ス
ライド硝子を用いたハイブリダイゼーション反応試験の
方法では、スライド硝子22上に被検体標本(細胞およ
び/または染色体)16を伸展し、該スライド硝子22
とカバー基材24とを対向させて、その間隙を核酸プロ
ーブ17を含んだハイブリダイゼーション溶液18で満
たすことにより、標本中の核酸とプローブ17とのハイ
ブリッドを形成させる。
【0016】このような従来技術では、核酸プローブ1
7のうちハイブリダイゼーション反応に有効利用される
ものは、被検体標本16に含まれる標的の近くにある少
数のプローブだけであり、その他多数のプローブ、例え
ばカバー基材24付近にあるプローブは利用され難い。
【0017】そこで、できるだけ多くのプローブを有効
利用し、ハイブリダイゼーション反応を促進するため、
本発明では、プローブ溶液に電圧を印加することによ
り、標本付近のプローブ溶液濃度を局所的に上昇させ
る。本発明のハイブリダイゼーション反応試験の方法
を、図1を用いて説明する。本発明のハイブリダイゼー
ション反応試験方法を用いた試験装置の概略図を図1に
示した。
【0018】本発明のハイブリダイゼーション反応試験
装置は、対向する標本基材12およびカバー基材14
と、電源15とを備える。標本基材12およびカバー基
材14は、表面にそれぞれ電極層11,13を備える基
板10からなる。電源15は、電極層11,13に電圧
を印加するためのものである。なお、基板10の素材は
特に限定されるものではないが、ハイブリダイゼーショ
ン反応後に、ハイブリダイゼーションシグナルを検出す
るため、光学顕微鏡等で観察する際に、そのままスライ
ド硝子として用いることができるため、基板10および
電極11,13は透明であることが好ましい。
【0019】本発明のハイブリダイゼーション反応試験
方法では、このような装置を用い、図1に示すように、
標本基材12上に細胞および染色体16を伸展して、標
本基材12とカバー基材14との間隙に核酸プローブ1
7を含むハイブリダイゼーション溶液18を満たした
後、電源15を用いて電極層11を陽極、電極層13を
陰極として電圧を印加する。これにより、負電荷を有す
る核酸プローブ17は陽極側である標本基材12の方へ
移動するので、被検体標本16付近の核酸プローブ17
の濃度は、図2の状態よりも高くなる。
【0020】なお、電圧を印加したままでは、核酸プロ
ーブ17は陽極である電極層11に引きつけられたまま
で自由に動けないので、ハイブリダイゼーション反応の
速度が遅くなってしまう。従って、被検体付近の核酸プ
ローブ濃度が所望の濃度に達すれば、印加電圧を低下さ
せたり、電圧の印加を停止するなどして核酸プローブ1
7の動きを自由にしてハイブリダイゼーション反応の速
度を高めることが望ましい。また、印加電圧を低下させ
たり、電圧の印加を停止すると、時間の経過に伴いプロ
ーブは拡散してしまう。このため、定期的に短時間電圧
を印加することにより、被検体16付近の濃度を常に高
く維持することが望ましい。
【0021】なお、導電体膜として金属膜を用いた場
合、組織、細胞および染色体が固着しにくかったり、標
本作成の過程で細胞および染色体が適度な大きさに伸展
しないことがある。そこで、導電体膜を誘電体酸化物の
薄膜により覆うことが好ましい。このようにすれば、電
圧印加の効果を損なうことなく、標本の伸展を改善する
ことができる。
【0022】また、長時間高圧の電圧を印加すると、標
本および核酸プローブのハイブリッド体が損傷すること
があるため、電圧の印加は、短時間で停止することが望
ましい。このため、ハイブリダイゼーション反応を長時
間行う場合、電圧の印加により一旦標本基材側に引き寄
せられた核酸プローブが、電圧印加の停止により、再び
拡散してしまい、標本付近の核酸プローブ濃度が低下す
ることがある。従って、このようなプローブの核酸を抑
制するため、ハイブリダイゼーション反応を長時間行う
場合には、ハイブリダイゼーション反応中、ハイブリッ
ドを形成した核酸プローブに影響を及ぼさない程度の低
電圧を、間歇的に印加して拡散を抑えることが望まし
い。
【0023】
【実施例】
(実施例1)本実施例1では、標本基材およびカバー基
材として、スライド硝子の表面にスパッタリングにてク
ロムの導電体膜を厚さ100nmになるように形成した
7.6cm×2.6cmのスライド硝子を2枚用意し
た。さらに、この導電体膜に電圧を印加するための配線
および電源を用意した。
【0024】本実施例1では、バソプレッシンmRNAの3'
糖蛋白質コード領域の所在を検出する。まず、ラット
を、生理食塩水および固定液(4%パラホルムアルデヒ
ドを含む0.1mol/lナトリウムリン酸緩衝液)を
用いて潅流固定した後、脳を取り出し、固定液に1時間
浸したのち、30%のショ糖を含む4℃の0.1mol
/lナトリウムリン酸緩衝液中に一晩浸した。この一晩
固定した組織を、20μmの厚さにスライスし、上記導
電体膜を形成したスライド硝子(標本基材)にのせた。
【0025】この標本基材上の組織切片を、ピロ炭酸ジ
エチルでリンスし、該組織切片上に前処理用混合溶液を
100μl滴下して37℃に保持し、1時間インキュベ
ートした。本実施例1では、前処理用混合溶液は、 塩化ナトリウム 0.3mol/l クエン酸ナトリウム 0.03mol/l 牛血清アルブミン 0.2% ポリビニルピロリドン 0.2% フィコール 0.2% ホルムアミド 50% イーストtRNA 85ng/ml 一本鎖サーモン精子DNA 0.1% を含有するように、20×SSC(和光純薬工業(株)
製)と、50×デンハルト溶液(和光純薬工業(株)
製)と、ホルムアミドと、イーストtRNA溶液と、一
本鎖サーモン精子DNA溶液とを混合して調製した。な
お、この前処理は、イーストtRNAおよび一本鎖サー
モン精子DNA溶液により、プローブの非特異結合を阻
止するために行なわれるものである。
【0026】つぎに、標本基材上の前処理用溶液に、1
pmol/mlとなるようにプローブを添加してハイブ
リダイゼーション溶液とし、該溶液の上にカバー基材を
被せて、標本およびハイブリダイゼーション溶液を2枚
のスライド硝子(標本基材およびカバー基材)で挾持し
た後、スライド硝子上に形成された導電体膜に10V/
cm2の電圧を5分間印加してから、一晩放置した。な
お、2枚のスライド硝子の間隙は、約100μmとなっ
た。また、本実施例1では、プローブとして、アルカリ
ホスファターゼで標識した、バソプレッシンmRNAの3’
糖蛋白質コード領域に相補的な27塩基のオリゴヌクレオ
チドを用いた。このプローブは、バソプレッシンmRNAの
3’糖蛋白質コード領域に特異的に結合する。
【0027】つぎに、標本基材の標本を、2×SSC
(20×SSC(和光純薬工業(株)製)の10倍希釈
液)から、0.5×SSC(2×SSCの4倍希釈液)
になるまで、徐々に薄い溶液を用いながら37℃で繰り
返し洗浄した。0.5×SSCによる洗浄後の標本を、
さらに0.1mol/lトリス緩衝液で洗浄した後、
0.1mol/lの塩化ナトリウムと50mmol/l
の塩化マグネシウムとを含む0.1mol/lトリス緩
衝液中で、0.33mg/mlのニトロブルーテトラゾ
リウムおよび0.17mg/mlの5−ブロモ−4−ク
ロロ−3−インドリルリン酸と反応させた。これは、プ
ローブの結合した部位を、比色により検出することがで
きるようにするために行なわれる。5−ブロモ−4−ク
ロロ−3−インドリルリン酸は、プローブの標識である
アルカリホスファターゼにより、青色のインジゴとな
り、沈着する。また、このインジゴ生成反応に伴って発
生する水素イオンにより、ニトロブルーテトラゾリウム
が紫色のジホルマザンに変化し、発色する。これによ
り、シグナルを増幅することができる。
【0028】最後に、標本基材上の標本を水で洗浄して
反応を停止させた後、乾燥させ、光学顕微鏡で観察した
ところ、アルカリホスファターゼ活性のある部位(すな
わち、プローブが結合した部位)で、青紫色の沈着が生
じており、バックグラウンドには色素沈着がなく、良好
なS/N比でハイブリダイゼーションシグナルを検出す
ることができた。
【0029】(比較例1)導電体膜を形成したスライド
硝子の代わりに、導電体膜を形成していないスライド硝
子を用い、スライド硝子に電圧を印加しないこと以外は
実施例1と同様に処理して、ハイブリダイゼーションシ
グナルを検出したところ、ハイブリダイゼーションシグ
ナルは非常に弱く、実施例1の結果に比べてS/N比が
きわめて低かった。
【0030】(比較例2)導電体膜を形成したスライド
硝子の代わりに、導電体膜を形成していないスライド硝
子を用い、スライド硝子に電圧を印加しないことと、ハ
イブリダイゼーション溶液のプローブ濃度を、実施例1
の5倍の濃度である5pmol/mlとしたこと以外
は、実施例1と同様に処理して、ハイブリダイゼーショ
ンシグナルを検出したところ、シグナルのS/N比は実
施例1と同様であった。
【0031】(実施例2)本実施例2で用いたハイブリ
ダイゼーション装置を図3に示す。本実施例の装置は、
スライド硝子20の表裏の一方の面に、クロムの導電体
層11,13とSiO2の誘電体酸化物膜19とが積層
された、縦横各1cmの標本基材12およびカバー基材
14と、スペーサ22と、導電体層11,13に電圧を
印加するための電源15と、電圧の印加を制御するため
の制御装置21とを備える。
【0032】なお、クロムからなる導電体層11,13
の厚さは100nmであり、スパッタリングにより形成
される。また、SiO2膜の厚さは200nmであり、
導電体層11または13上に、スパッタリングにより形
成される。なお、本実施例2では、SiO2膜により、
標本(細胞および染色体)を適度な大きさに伸展させる
ことができた。
【0033】また、標本基材12およびカバー基材14
は、SiO2膜19を内側にして、対向しており、その
間隙は、スペーサ22により100μmに保たれてい
る。これは、溶液の供給および排出を毛管作用を利用し
て行なったても、空隙の発生がなく、かつ排出が容易な
間隙を確保するためである。スペーサとしては、使用す
る各溶液に溶解せず、ハイブリダイゼーション反応に影
響を与えないものであれば用いることができるが、本実
施例2では、ポリテレフタル酸エチレン製の高さ100
μmの柱状部材を用いた。なお、本実施例2では、スペ
ーサ22は、カバー基材14のSiO2膜の四隅に接着
されている。
【0034】本実施例2では、ヒト末梢血単核白血球を
被検体として用いた。ヒトの末梢血から単核白血球を分
離し、この単核白血球をハンクスBBS液(和光純薬工
業(株)製)で洗った後、5%炭酸ガス雰囲気下、37
℃に保った培養液中で72時間培養した。培養液には、
20%の血清と、2%のPHA(フィトヘムアグルチニ
ン)を溶解したRMPI1640(和光純薬工業(株)
製)の溶液を用いた。培養後、培養細胞を37℃の0.
075mol/l塩化カリウム溶液で10分間低張処理
した後、固定液(メタノール:酢酸=3:1)で固定し
て、細胞を懸濁させた固定液を得た。
【0035】この細胞を懸濁させた固定液を、標本基材
12のSiO2膜上に滴下して染色体標本を得、該染色
体標本についてハイブリダイゼーション試験を行なっ
た。ハイブリダイゼーション反応に用いられる各種試薬
には、オンコー クロモソームイン サイチュー ハイブ
リダイゼーション システム(オンコー社製)の試薬を
用いた。
【0036】まず、標本基材12上の標本を1×RNa
se(1000×RNase(オンコー社製)の100
0倍希釈液)で処理し、エタノールで脱水後、70%の
ホルムアミドを溶解した70℃の2×SSC液(20×
SSC(オンコー社製)の10倍希釈液)中に入れ、染
色体DNAを変性させた。なお、標本基材12とカバー
基材14との間隙への溶液の供給および排出は、毛管作
用を利用して行なった。
【0037】つぎに、標本基材12上の標本をエタノー
ルで脱水し、風乾後、変性したビオチン標識プローブ
(オンコー社製、ヒト第1番染色体αサテライトDN
A)3ngを含むハイブリゾールVI(65%ホルムア
ミド/2×SSC)(オンコー社製、”ハイブリゾー
ル”はオンコー社の登録商標である)を、標本基材12
とカバー基材14との間隙へ供給し、電圧(10V/c
2)を10分間印加してから、37℃に保って一晩反
応させた。ただし、制御装置21により1時間おきに5
分間だけ電圧(1V/cm2)を印加した。これによ
り、核酸プローブの拡散を抑えることができた。
【0038】最後に、標本基材12上の標本を43℃の
65%ホルムアミド/2×SSCに15分間漬けて洗浄
したのち、フルオレセイン標識アビジンを添加して、プ
ローブの標識であるビオチンとフルオレセイン標識アビ
ジンとを反応させた。これにより、プローブの結合位置
に標識としてフルオレセインが結合した標本が得られた
ので、プロピジウム・アイオダイドで染色体の対比染色
を行った後、標本を落射式蛍光顕微鏡で観察したとこ
ろ、ヒト第1番染色体αサテライトDNAに蛍光が観察
され、バックグラウンドには蛍光の発光がなく、良好な
S/N比でハイブリダイゼーションシグナルを検出する
ことができた。
【0039】(比較例3)標本基材およびカバー基材と
して、導電体層と誘電体酸化物膜とを備える基材12,
14の代わりに、導電体層と誘電体酸化物膜とのいずれ
も有しないスライド硝子22,24を用い、標本基材お
よびカバー基材に電圧を印加しないこと以外は実施例2
と同様に処理して、ハイブリダイゼーションシグナルを
検出したところ、ハイブリダイゼーションシグナルは非
常に弱く、実施例2の結果に比べてS/N比がきわめて
低かった。
【0040】(比較例4)標本基材およびカバー基材と
して、導電体層と誘電体酸化物膜とを備える基材12,
14の代わりに、導電体層と誘電体酸化物膜とのいずれ
も有しないスライド硝子22,24を用い、標本基材お
よびカバー基材に電圧を印加せず、さらに、ハイブリダ
イゼーション溶液として、実施例2の5倍の濃度である
プローブ15ngを含むハイブリゾールVIを用いたこ
と以外は、実施例2と同様に処理して、ハイブリダイゼ
ーションシグナルを検出したところ、シグナルのS/N
比は実施例2と同様であった。
【0041】(上記各実施例1,2)上記各実施例1,
2によれば、電圧を印加することにより、核酸プローブ
を標本基材側に引き寄せて核酸ハイブリダイゼーション
反応速度および反応効率を高めることができる。さら
に、実施例2によれば、導電体層を誘電体酸化物で覆う
ことにより、標本の固着、伸展を抑制することなく、基
材に電極を備えることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、少量のプローブを有効
に利用して核酸ハイブリダイゼーション反応を行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のハイブリダイゼーション装置を示す
説明図である。
【図2】 従来のハイブリダイゼーション装置を示す説
明図である。
【図3】 実施例2で用いたハイブリダイゼーション装
置を示す構成図である。
【符号の説明】
10…ガラス基板、 11,13…電極層、 12,2
2…標本基材、 14,24…カバー基材、 15…電
源、 16…被検体標本、 17…核酸プローブ、18
…ハイブリダイゼーション溶液、 19…誘電体酸化物
膜、 20…スライド硝子、 21…制御装置、 22
…スペーサ。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】標本と、プローブを含むハイブリダイゼー
    ション溶液とを少なくとも2枚の基材間に挾持し、標本
    とプローブの結合反応であるハイブリダイゼーション反
    応を起こさせる核酸ハイブリダイゼーション試験におい
    て、標本とハイブリダイゼーション溶液とを挾持するた
    めに用いられる基材であって、 基板と、 上記基板の少なくとも表裏一方の面に備えられた導電体
    層とを有することを特徴とする核酸ハイブリダイゼーシ
    ョン試験用基材。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記基板は、ガラス板であることを特徴とする核酸ハイ
    ブリダイゼーション試験用基材。
  3. 【請求項3】請求項1において、 前記導電体層上に備えられた誘電体酸化物膜をさらに有
    することを特徴とする核酸ハイブリダイゼーション試験
    用基材。
  4. 【請求項4】請求項1または3において、 前記導電体層は、クロムからなることを特徴とする核酸
    ハイブリダイゼーション試験用基材。
  5. 【請求項5】請求項3において、 前記誘電体酸化物膜は、SiO2からなることを特徴と
    する核酸ハイブリダイゼーション試験用基材。
  6. 【請求項6】少なくとも2枚の板状基材を備え、標本と
    ハイブリダイゼーション溶液とを該基材間に挾持し、ハ
    イブリダイゼーション反応を起こさせる核酸ハイブリダ
    イゼーション試験に用いられる核酸ハイブリダイゼーシ
    ョン試験用装置において、 電源を備え、 上記基材は、基板と、該基板の少なくとも表裏一方の面
    に備えられた導電体層とを有し、 上記電源は、上記導電体層に電圧を印加する手段を備え
    ることを特徴とする核酸ハイブリダイゼーション試験用
    装置。
  7. 【請求項7】請求項6において、 前記電源を制御する制御装置をさらに備えることを特徴
    とする核酸ハイブリダイゼーション試験用装置。
  8. 【請求項8】請求項7において、 前記制御装置は、上記電圧の印加を、間歇的に行なう手
    段を有することを特徴とする核酸ハイブリダイゼーショ
    ン試験用装置。
  9. 【請求項9】標本と、プローブを含むハイブリダイゼー
    ション溶液とを少なくとも2枚の基材間に挾持し、標本
    とプローブの結合反応であるハイブリダイゼーション反
    応を起こさせる核酸ハイブリダイゼーション試験の方法
    において、 上記基材に電圧を印加して、上記プローブを上記標本に
    接近させるステップと、 上記プローブと上記標本とを反応させるステップとを、
    この順に備えることを特徴とする核酸ハイブリダイゼー
    ション試験方法。
  10. 【請求項10】請求項9において、 上記プローブと上記標本とを反応させるステップは、上
    記基材への間歇的な電圧の印加を含むことを特徴とする
    核酸ハイブリダイゼーション試験方法。
  11. 【請求項11】標本と、プローブを含むハイブリダイゼ
    ーション溶液とを少なくとも2枚の基材間に挾持し、標
    本とプローブの結合反応であるハイブリダイゼーション
    反応を起こさせる核酸ハイブリダイゼーション試験の方
    法において、 上記基材に電圧を印加して基材面に電場をつくり、上記
    プローブを上記標本に接近させて、該プローブと該標本
    とを反応させるステップを備えることを特徴とする核酸
    ハイブリダイゼーション試験方法。
JP6300918A 1994-12-05 1994-12-05 核酸ハイブリダイゼーション試験の方法、核酸ハイブリダイゼーション試験用基材および核酸ハイブリダイゼーション試験用装置 Pending JPH08154656A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6300918A JPH08154656A (ja) 1994-12-05 1994-12-05 核酸ハイブリダイゼーション試験の方法、核酸ハイブリダイゼーション試験用基材および核酸ハイブリダイゼーション試験用装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6300918A JPH08154656A (ja) 1994-12-05 1994-12-05 核酸ハイブリダイゼーション試験の方法、核酸ハイブリダイゼーション試験用基材および核酸ハイブリダイゼーション試験用装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08154656A true JPH08154656A (ja) 1996-06-18

Family

ID=17890704

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6300918A Pending JPH08154656A (ja) 1994-12-05 1994-12-05 核酸ハイブリダイゼーション試験の方法、核酸ハイブリダイゼーション試験用基材および核酸ハイブリダイゼーション試験用装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08154656A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001038482A1 (fr) * 1999-11-25 2001-05-31 Hitachi Software Engineering Co., Ltd. Dispositif d'hybridation, kit, support et agent de marquage
JP2004264068A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Institute Of Tsukuba Liaison Co Ltd バイオセンサーチップ
WO2004088298A1 (ja) * 2003-03-28 2004-10-14 Fujitsu Limited キャビティ電極構造体並びにそれを用いたセンサー及び蛋白質検出デバイス
EP1548104A1 (en) * 2002-08-26 2005-06-29 Japan Science and Technology Agency Nucleic acid recovery chip and nucleic acid recovery device
JP2007508554A (ja) * 2003-10-16 2007-04-05 ホンコン・ディエヌエイ・チップス・リミテッド 生物サンプル中の核酸を検出するための器具および方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001038482A1 (fr) * 1999-11-25 2001-05-31 Hitachi Software Engineering Co., Ltd. Dispositif d'hybridation, kit, support et agent de marquage
US6482640B1 (en) 1999-11-25 2002-11-19 Hitachi Software Engineering Co., Ltd. Hybridization device, case, support, and label agent
EP1548104A1 (en) * 2002-08-26 2005-06-29 Japan Science and Technology Agency Nucleic acid recovery chip and nucleic acid recovery device
EP1548104A4 (en) * 2002-08-26 2008-06-25 Japan Science & Tech Agency CHIP AND DEVICE FOR RECOVERING NUCLEIC ACIDS
JP2004264068A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Institute Of Tsukuba Liaison Co Ltd バイオセンサーチップ
WO2004088298A1 (ja) * 2003-03-28 2004-10-14 Fujitsu Limited キャビティ電極構造体並びにそれを用いたセンサー及び蛋白質検出デバイス
JP2007508554A (ja) * 2003-10-16 2007-04-05 ホンコン・ディエヌエイ・チップス・リミテッド 生物サンプル中の核酸を検出するための器具および方法
JP2013140168A (ja) * 2003-10-16 2013-07-18 Hai Kang Life Corp Ltd 生物サンプル中の核酸を検出するための器具および方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chen et al. A novel non-invasive detection method for the FGFR3 gene mutation in maternal plasma for a fetal achondroplasia diagnosis based on signal amplification by hemin-MOFs/PtNPs
Song et al. A novel hydrogen peroxide sensor based on horseradish peroxidase immobilized in DNA films on a gold electrode
JP4822753B2 (ja) 細胞構成物質分取チップならびに細胞構成物質解析システム及びこれらを用いる細胞構成物質解析法
JP5949767B2 (ja) 標的物質の検出方法
CN110146566B (zh) 修饰电极、组合产品及其电致化学发光生物传感器与应用
CN111440851B (zh) 一种检测miRNA的电化学生物传感器及其制备方法与应用
CN110106232B (zh) 基于靶标催化的无酶无标记双尾杂交生物传感器及制备方法
Huang et al. Electrochemical immunosensor of platelet-derived growth factor with aptamer-primed polymerase amplification
JP2006514264A (ja) 液体溶媒中の検体の測定
US7267837B2 (en) Enzyme electrode and process for preparation thereof
JPH08154656A (ja) 核酸ハイブリダイゼーション試験の方法、核酸ハイブリダイゼーション試験用基材および核酸ハイブリダイゼーション試験用装置
Zhang et al. A surface-confined DNA assembly enabled target recycling amplification for multiplexed electrochemical DNA detection
Yu et al. Sensitive and Specific Y-Shaped Ratio Biosensor for Detecting Serum miR-18a: Potential Early Scanning Tool for Non-Small Cell Lung Cancer
Fan et al. An electrochemical DNA sensor based on an integrated and automated DNA walker
CN110470712B (zh) 一种基于通道内生成DNA纳米花的miRNA检测装置
Guo et al. A laser-induced graphene-based electrochemical immunosensor for nucleic acid methylation detection
US20160333301A1 (en) Bio-reactive system and method for voltage controlled metabolism
Mahshid et al. Extracellular Biomarkers of Inner Ear Disease and Their Potential for Point‐of‐Care Diagnostics
CN115466787A (zh) 一种三维石墨烯/银纳米粒子复合纳米标记材料和lncRNA分子的电化学传感检测方法
Gundagatti et al. Development of electrochemical biosensor for mir204-based cancer diagnosis
Fu et al. A hairpin electrochemical aptasensor for sensitive and specific detection of thrombin based on homogenous target recognition
CN100342029C (zh) 酶电极的制备方法
Anik Gold Nanoparticle‐Based Electrochemical Biosensors for Medical Applications
CN111175363A (zh) 双极电极芯片及制备方法与其检测Cas9酶活性的应用
Song et al. Tailoring high-energy self-powered sensing system by Walker-mediated CRISPR/Cas12a cascade signal amplification and hybridization chain reaction for ultrasensitive microRNA detection