JPH08152116A - 噴気ロストルを備えた焼却炉における焼却方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼却物の燃焼を効率よく行わせることができ
る噴気ロストル式焼却炉における焼却方法を提供する。 【構成】 噴気ロストル２を備えた焼却炉において、噴
気ロストル２の上方に揺動体１５を配置し、燃焼中に前
記揺動体１５を揺動させながら焼却を行わせる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、噴気ロストルを備えた
焼却炉における焼却方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種のロストル式焼却炉で、バ
ッチ式で焼却物を効果的に焼却する手段として、グレー
ト式のロストルを上下に移動させたり、前方へ移動させ
たり、または階段状に移動させたりする方法がとられて
おり、このようにして焼却物の火層を動かし攪拌するこ
とにより、焼却残渣の分離を行い、またロストル下面か
らの通気をよくして焼却能力の向上を図っている。

【０００３】しかしながら、このようなロストルの移動
方法では、機械部分が大きくなるため、１〜２ Ton／時
以下の中型炉，小型炉に採用することが困難であり、ま
た価格が高価であるといったことから、大型の焼却炉に
しか採用されていないのが現状である。

【０００４】このため、従来の中小型焼却炉には、固定
床か、または固定ロストル炉が採用され、焼却を効果的
にするためにユンボー等の重機の先端を焼却物投入口よ
り炉内に挿入し、それを前後に動かすことによって焼却
物の火層を動かし攪拌する作業を行ってる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ユンボ
ー等の重機を用いた作業では、下記のような問題点があ
った。 （ａ）ユンボー等の重機の先端を挿入するために焼却物
投入口を大きくしなければならず、そこから冷風が吸込
まれて、炉温の低下や、未燃煤塵の排出が起こる。 （ｂ）ロストルの隙間から未焼却物が強制的に落下さ
れ、焼却残渣の熱灼減量の割合が多いという、焼却炉に
とってマイナスの結果を生じる。 （ｃ）重機の先端が炉内壁に接触して、該炉内壁を損傷
させる。

【０００６】本発明の目的は、重機の先端で焼却物の火
層を動かし撹拌しなくても、焼却物の燃焼を効率よく行
わせることができる噴気ロストルを備えた焼却炉におけ
る焼却方法を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、噴気ロストル
を備えた焼却炉における焼却方法を改良の対象とするも
のであり、請求項１記載の発明は、噴気ロストルの上方
に揺動体を配置し、燃焼中に前記揺動体を揺動させなが
ら焼却を行わせるようにした。

【０００８】また、請求項２記載の発明は、燃焼中に噴
気ロストルを所定の角度の範囲で往復回転させて空気の
噴出角度を変えながら、且つ噴気ロストルの上方に揺動
体を配置し、燃焼中に前記揺動体を揺動させながら焼却
を行わせるようにした。

【０００９】

【作用】請求項１記載の発明によれば、噴気ロストルの
上に揺動体を配置し、該揺動体を揺動させつつ焼却を行
わせるので、揺動体の揺動により揺動体及び噴気ロスト
ル上の焼却残渣が落下され、また焼却物の燃焼層と未燃
焼層とが混合攪拌される。これにより、焼却物に対する
通気が良好になり、その置火が未燃焼層の着火に役立ち
焼却が推進され、焼却物の燃焼を効率よく行わせること
ができる。

【００１０】請求項２記載の発明によれば、燃焼中に前
記噴気ロストルを所定の角度の範囲で往復回転させて前
記空気の噴出角度を変えながら、且つ前記噴気ロストル
の上方に揺動体を配置し、燃焼中に前記揺動体を揺動さ
せながら焼却を行わせるので、揺動体の揺動と、噴出空
気の移動によって噴気ロストル上の焼却残渣が崩され落
下され、焼却物に対する通気が良好になり、また揺動体
の揺動によって焼却物の燃焼層と未燃焼層とが混合攪拌
されることによりその置火が未燃焼層の着火に役立ち焼
却が推進され、同時に空気の噴出角度が変ることによっ
て、空気が焼却物下層の火層に万遍なく噴出することに
より、焼却物の燃焼をより効率よく行わせることができ
る。

【００１１】

【実施例】図１、図２は、請求項１記載の発明を実施す
る噴気ロストルを備えた焼却炉の構成の一例を示したも
のである。該焼却炉は、炉体１内に複数の噴気ロストル
２が所定間隔で配置され、その上に炉体１の焼却物投入
口３から焼却物４が投入されるようになっている。焼却
物投入口３を開閉する扉５は、炉体１の上部に設置され
たウインチ（図示せず）によるワイヤー６の巻き上げ，
巻き戻し操作により開閉されるようになっている。７は
焼却残渣である。

【００１２】また、これら噴気ロストル２とは別に、こ
れら噴気ロストル２の間で且つ上部に位置して水冷管１
４が配置され、この水冷管１４に耐熱性鋳物からなる略
菱形の揺動体１５が設けられている。前記水冷管１４の
両端は炉体１の外に導出されていており回転自在に支持
されており、適宜の正，反転式回転機構（図示せず）に
より所定角度θの範囲の正回転，逆回転の往復回転が与
えられるようになっている。

【００１３】次に、上記構成の焼却炉により、請求項１
記載の発明の実施例を説明する。図３に示すように各揺
動体１５を垂直向きにした状態で、焼却物４をこれら各
揺動体１５，各噴気ロストル２上に投入し、各噴気ノズ
ル１０から燃焼用空気を噴出させながら焼却物４に着火
する。燃焼が盛んになってきたら各水冷管１４を正，反
転式回転機構により回転させ、各水冷管１４の回転によ
り各揺動体１５を図４に示すように正方向にθ度揺動さ
せ、次に図５に示すように逆方向にθ度揺動させること
により、各揺動体１５の方向を垂直状態からθ度の範囲
で往復揺動させる。

【００１４】このときの各揺動体１５の揺動角度θは２
０度から４５度、揺動速度は２秒から１０秒の間が好ま
しいが、前記揺動角度θ、揺動速度、更に揺動の順序等
にあっては特に限定されるものではない。

【００１５】燃焼中にこのように該揺動体１５を揺動さ
せつつ焼却を行わせるので、揺動体１５の揺動により揺
動体１５及び噴気ロストル２上の焼却残渣７が落下さ
れ、また焼却物の燃焼層と未燃焼層とが混合攪拌され
る。これにより焼却物４に対する通気が良好になり、そ
の置火が未燃焼層の着火に役立ち焼却が推進され、焼却
物４の燃焼を効率よく行わせることができる。

【００１６】このようにして噴気ロストル２上の焼却残
渣７を崩し落下させることができるので、ユンボー等の
重機の先端を焼却物投入口３から炉体１内に挿入して焼
却物４を撹拌する必要がなくなり、このため従来の問題
点である、冷風の炉内への吸込みにより炉温が低下され
たり、未燃煤塵が排出されたり、未焼却物の強制的落下
による焼却残渣７の熱灼減量の割合が多くなったり、重
機の先端により炉内壁が損傷されたりするのを防止する
ことができる。

【００１７】図６、図７は、請求項２記載の発明を実施
する噴気ロストルを備えた焼却炉の構成の一例を示した
ものである。該焼却炉にあっては、図１に示した焼却炉
の各噴気ロストル２は空気を通す内管８と、この内管８
を収容していて冷却水を通す外管９と、これら管８，９
の長手方向に所定間隔でこれら管８，９を径方向に貫通
し上方に開口するように設けられている噴気ノズル１０
とで構成されている。各噴気ロストル２の両端は、炉体
１の外に導出されていている。炉体１の外に出た内管８
の長手方向の一端には空気供給口１１が設けられ、他端
は閉塞されている。外管９の長手方向の一端には冷却水
供給口１２が設けられ、他端には冷却水排出口１３が設
けられている。

【００１８】そして、前記各噴気ロストル２は炉体１の
外に導出されている両端が軸受１６によりその軸心を中
心に回転自在に支持されている。各噴気ロストル２の一
端にはスプロケット１８が取付けられ、該スプロケット
１８には正，反転式回転機構１７のスプロケット１９か
らチェーン２０を経て所定角度θの範囲の正回転，逆回
転の往復回転が与えられるようになっている。

【００１９】次に、上記構成の焼却炉により、請求項２
記載の発明の実施例を説明する。図６に示すように、各
揺動体１５の上面を垂直向きにし且つ各噴気ロストル２
の各噴気ノズル１０を上向きにした状態で、焼却物投入
口３から焼却物４を各噴気ロストル２上に投入し、各噴
気ノズル１０から燃焼用空気を噴出させながら焼却物４
に着火する。燃焼が盛んになってきたら各噴気ロストル
２を正，反転式回転機構１７により、正逆方向に所定角
度回転させることにより、各噴気ノズル１０の方向を所
定角度の範囲で変化させ且つ各揺動体１５を垂直状態か
ら所定角度の範囲で往復揺動させる。

【００２０】このときの噴気ロストル２の回転角度は２
０度から４５度、回転速度は２秒から１０秒の間が好ま
しいが、前記回転角度、回転速度、更に回転の順序等に
あっては特に限定されるものではない。また、各揺動体
１５の揺動角度は２０度から４５度、揺動速度は２秒か
ら１０秒の間が好ましいが、前記揺動角度、揺動速度、
更に揺動の順序等にあっては特に限定されるものではな
い。

【００２１】燃焼中にこのように各噴気ロストル２を、
その軸心を中心に所定の角度の範囲で往復回転させて空
気の噴出角度を変えながら、且つ揺動体１５を揺動させ
つつ焼却を行わせるので、これにより、揺動体１５の揺
動と、噴出空気の移動によって噴気ロストル２上の焼却
残渣７が崩され落下され、焼却物４に対する通気が良好
になり、また揺動体１５の揺動によって焼却物の燃焼層
と未燃焼層とが混合攪拌されることによりその置火が未
燃焼層の着火に役立ち焼却が推進され、同時に空気の噴
出角度が変ることによって、空気が焼却物４下層の火層
に万遍なく噴出することにより、焼却物４の燃焼をより
効率よく行わせることができる。

【００２２】このようにして噴気ロストル２上の焼却残
渣７を崩し落下させることができるので、請求項１記載
の発明と同様に、ユンボー等の重機の先端を焼却物投入
口３から炉体１内に挿入して焼却物４を撹拌するする必
要がなくなり、このため従来の問題点である、冷風の炉
内への吸込みにより炉温が低下されたり、未燃煤塵が排
出されたり、未焼却物の強制的落下による焼却残渣７の
熱灼減量の割合が多くなったり、重機の先端により炉内
壁が損傷されたりするのを防止することができる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る噴気ロ
ストル式焼却炉による焼却方法によれば、噴気ロストル
上の焼却残渣が崩され落下することにより、焼却物に対
する通気が良好になり、また焼却物の燃焼層と未燃焼層
とが混合攪拌されることによりその置火が未燃焼層の着
火に役立ち焼却が推進され、同時に空気の噴出角度が変
ることによって、空気が焼却物下層の火層に万遍なく噴
出するので、焼却物の燃焼をより効率よく行わせること
ができる。

【００２４】また、焼却残渣を落下させることができる
ので、従来のようにユンボー等の重機の先端を焼却物投
入口から炉内に挿入して焼却物を撹拌するする必要がな
くなり、このため従来の問題点である、冷風の炉内への
吸込みにより炉温が低下されたり、未燃煤塵が排出され
たり、未焼却物の強制的落下による焼却残渣の熱灼減量
の割合が多くなったり、重機の先端により炉内壁が損傷
されたりするのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１記載の発明を実施する噴気ロストルを
備えた焼却炉の構成の一例を示した縦断面図。

【図２】図１に示した噴気ロストルと揺動体の斜視図。

【図３】図１に示した噴気ロストルと揺動体の動作を示
した説明図。

【図４】図１に示した噴気ロストルと揺動体の動作を示
した説明図。

【図５】図１に示した噴気ロストルと揺動体の動作を示
した説明図。

【図６】請求項２記載の発明を実施する噴気ロストルを
備えた焼却炉の要部の一例を示した説明図。

【図７】図６に示した噴気ロストルの往復回転手段の構
造を示す断面図。

【符号の説明】

１ 炉体 ２ 噴気ロストル ３ 焼却物投入口 ４ 焼却物 ５ 扉 ６ ワイヤー ７ 焼却残渣 ８ 内管 ９ 外管 １０ 噴気ノズル １１ 空気供給口 １２ 冷却水供給口 １３ 冷却水排出口 １４ 水冷管 １５ 揺動体 １６ 軸受 １７ 正，反転式回転機構 １８ スプロケット １９ スプロケット ２０ チェーン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ２３Ｈ 3/02 ＺＡＢ Ｂ 9/00 ＺＡＢ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 噴気ロストルを備えた焼却炉において、
   噴気ロストルの上方に揺動体を配置し、燃焼中に前記揺
   動体を揺動させながら焼却を行わせることを特徴とする
   噴気ロストルを備えた焼却炉における焼却方法。
2. 【請求項２】 噴気ロストルを備えた焼却炉において、
   燃焼中に噴気ロストルを所定の角度の範囲で往復回転さ
   せて空気の噴出角度を変えながら、且つ噴気ロストルの
   上方に揺動体を配置し、燃焼中に前記揺動体を揺動させ
   ながら焼却を行わせることを特徴とする噴気ロストルを
   備えた焼却炉における焼却方法。