JPH08152096A - 曲管ホース用プロテクター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 曲管ホースの曲がり形状を変化させることな
く、その外周に容易に挿入して装着でき、しかも低コス
トで製造できる直管形状の曲管ホース用プロテクターを
提供する。 【構成】 可撓性材料の直管２からなり、直管２の長さ
方向に対してほぼ直角で且つ深さが等しい複数の切込み
３を設け、各切込み３は直管２の中心線を挟んで対向す
る側壁部にそれぞれ長さ方向に直線的に夫々１列に且つ
等しい間隔で配列し、対向する側壁部の各切込み３を互
いに対向して又は互い違いに設けるか、若しくは各切込
み３は直管２の長さ方向に沿って螺旋状に且つ等しい間
隔で設けてある曲管ホース用プロテクター。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の燃料用ホース
や冷媒用ホース等の外周に装着して用いるプロテクタ
ー、特に曲管ホースへの装着に適したプロテクターに関
する。

【０００２】

【従来の技術】自動車の燃料用ホース等の各種ホース
は、エンジンや車体構造物に近接して配管されることが
多いので、走行中の振動等により互いに接触を繰り返す
間に、摩耗し或は損傷する恐れがある。このため、これ
らの自動車用ホースの他の構造物と近接する箇所には、
その外周に予め管状のプロテクターを装着し、ホースの
摩耗や損傷を防ぐことが行われている。

【０００３】特に自動車用ホースは狭い場所に配管する
必要から、その殆どが種々の形状に曲がった曲管ホース
であるため、この曲管ホースの外周にプロテクターを挿
入する作業は非常に強い力を必要とする極めて困難な作
業であった。又、ホース及びプロテクターが３次元形状
であるため、プロテクターの挿入作業を自動化すること
が難しい状況であった。

【０００４】又、直管のプロテクターを曲管ホースに装
着すると、直管プロテクターの反発力によって曲管ホー
スの曲がり角度が変化することが避けられない。このた
め、曲管ホースの曲がり角度が設計値と異なる結果とな
り、狭い場所への配管に支障を来したり、配管取付後に
予定していない箇所と逆に接触しやすくなる等の問題が
あった。

【０００５】そこで、プロテクターを曲管ホースの曲が
り形状に合わせて成形した曲管プロテクターが一般に使
用されているが、曲管プロテクターは曲管ホースと同様
に、内側に芯金を入れて専用の加硫缶で加硫する必要が
あるためコスト高になる上、曲管ホースの外周に挿入す
る作業が一層困難になる欠点があった。

【０００６】一方、曲管ホースへの装着が容易なプロテ
クターとして、実開昭６０−２４９９４号公報には、ホ
ースへのスナップ嵌合が可能なように、溝形をなす硬質
弾性材の本体の溝の両側部に複数の切込みを設けたプロ
テクターが提案されている。しかし、このプロテクター
は、その管壁の一部が直線状に除去されて溝状ないし樋
状に形成されているので、装着が簡単である反面、自動
車走行時の振動等による位置ズレや脱落の危険があっ
た。

【０００７】又、実開昭６３−１７０６８７号公報に
は、管壁を貫通して螺旋状のスリットを設けたプロテク
ターが開示されている。このプロテクターは、ホースの
一端からホースに沿って通すこともできるが、切込みが
螺旋になっているため重なりやすく、又ホースに沿って
回しながら巻き付けると工数が非常にかかり、容易には
装着できない。更に、自動車走行時の振動などによって
螺旋に沿って逆に移動したり、螺旋状のスリットが開き
やすい等の欠点があった。

【０００８】

【発明が解決しよとする課題】本発明は、かかる従来の
事情に鑑み、曲管ホースの曲がり形状を変化させること
なく、その外周に容易に挿入して装着でき、しかも低コ
ストで製造できる直管のプロテクターを提供することを
目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する曲管ホース用プロテクターの１つ
は、可撓性材料の直管からなり、該直管の長さ方向に対
してほぼ直角な複数の切込みを有し、各切込みは深さが
等しく、前記直管の中心線を挟んで対向する側壁部にそ
れぞれ長さ方向に直線的に夫々１列に且つ等しい間隔で
配列し、対向する側壁部の各切込みは互いに対向して又
は互い違いに設けられていることを特徴とするものであ
る。

【００１０】本発明が提供する曲管ホース用プロテクタ
ーの他の１つは、可撓性材料の直管からなり、該直管の
長さ方向に対してほぼ直角な複数の切込みを有し、各切
込みは深さが等しく、前記直管の長さ方向に沿って螺旋
状に配列し且つ長さ方向に等しい間隔で設けられている
ことを特徴とするものである。

【００１１】かかる本発明の曲管ホース用プロテクター
の材質は、可撓性材料であれば特に制限されず、例えば
エチレン−プロピレン−ジエンゴム（ＥＰＤＭ）、クロ
ロプレンゴム（ＣＲ）等のゴム材料、塩化ビニール、ポ
リエチレン、ポリアミド等の合成樹脂材料であって良
い。

【００１２】次に、本発明の曲管ホース用プロテクター
を図１〜図４により具体的に説明する。このプロテクタ
ー１、１ａ、１ｂ、１ｃは、ＥＰＤＭ等の可撓性材料か
らなる直管２である。直管２の長さ及び径等のサイズ
は、装着する曲管ホースの装着箇所に合わせて決定す
る。ただし、曲管ホースの外径とプロテクター１の直管
２の内径との差は、装着を容易にするために、１ｍｍ以
上に設定することが好ましい。

【００１３】プロテクター１、１ａ、１ｂ、１ｃには複
数の切込み３を設けるが、各切込み３は直管２の長さ方
向に沿って規則的に配置する。即ち、図１に示すプロテ
クター１ａでは、各切込み３は直管２の長さ方向に対し
てほぼ直角な向きであり、この切込み３が直管２の中心
線を挟んで対向する側壁部にそれぞれ直管２の長さ方向
に直線的に夫々１列に且つ等しい間隔で配列しており、
対向する側壁部の各切込み３は互い違いに設けられてい
る。

【００１４】又、図２のプロテクター１ｂでは、図１の
場合と同様に各切込み３は直管２の長さ方向に対してほ
ぼ直角な向きであり、この切込み３が直管２の中心線を
挟んで対向する側壁部にそれぞれ直管２の長さ方向に直
線的に夫々１列に且つ等しい間隔で配列しているが、対
向する側壁部の各切込み３は図１の場合と違い互いに対
向して設けられている。

【００１５】更に、図３のプロテクター１ｃでは、図１
の場合と同様に各切込み３は直管２の長さ方向に対して
ほぼ直角であるが、この切込み３が直管２の長さ方向に
沿って螺旋状に配列されている。この場合においても、
螺旋状に並んだ各切込み３の長さ方向の間隔は全て等し
くなっている。

【００１６】上記図１〜図３のいずれの配列の場合であ
っても、各切込み３の間隔（Ｐ）は夫々の配列ごとに等
しく、且つ図４に示すように全ての切込み３の深さ
（Ｌ）は同じ深さに設けてある。

【００１７】尚、本発明のプロテクターは直管であるか
ら、従来の曲管プロテクターのように芯金を挿入して専
用の加硫缶で加硫する必要はなく、押出して連続加硫す
ることができる。従って、加硫後に切込みを入れたり、
押出と同時に又は連続加硫と同時に切込みを入れること
が可能であり、更にはこれらの工程を全て自動化するこ
とも可能である。

【００１８】

【作用】本発明のプロテクターを曲管ホースに装着する
際には、図５に示すように、固定した直線芯棒５を用い
る方法が便利である。この方法では、最初に直線芯棒５
の解放された一端から直管状の本発明のプロテクター１
を挿入し、更にこの一端に曲管ホース４を強制的に挿入
する。次に、プロテクター１を曲管ホース４側に移動さ
せ、直管に近い形になっている曲管ホース４の外周に押
し込んで挿入した後、曲管ホース４ごと直線芯棒５から
取り外す。

【００１９】プロテクター１には複数の切込み３が設け
てあるので、直線芯棒５に挿入した曲管ホース４の外周
に押し込む際に曲管ホース４の形状に沿って曲がりやす
く、切込み３がない場合に比べて非常に小さい力で、楽
に挿入することができる。

【００２０】又、直線芯棒５から外した曲管ホース４
は、図５に示すように、元の曲がり形状に戻るが、その
外周に装着されたプロテクター１に複数の切込み３が存
在するので、曲管ホース４の曲がり箇所では切込み３が
曲がり箇所の外側に沿って並ぶようになり、しかも切込
み３が開くので反発力が殆どなくなり、曲管ホース４の
曲がり角度の変化を防止することができる。

【００２１】これらの効果を得るためには、切込み３の
間隔Ｐは５〜１０ｍｍの範囲内で設定することが好まし
く、また切込み３の深さＬは直管２の外径Ｄの１／２以
上とし、好ましくは約２／３とすることが望ましい。

【００２２】

【実施例】外径が２４ｍｍの曲管ホースに装着するプロ
テクターとして、次のごとく本発明のプロテクターを製
造した。即ち、ＥＰＤＭを直管状に押出し、連続加硫す
ることによって、図１に示す内径が２６.５ｍｍで肉厚
が１.８ｍｍの直管２をまず製造した。

【００２３】次に、このＥＰＤＭ製の直管２に、その長
さ方向に対してほぼ直角であって、深さが等しい複数の
切込み３を直管２の中心線を挟んで対向する側壁部にそ
れぞれ長さ方向に直線的に夫々１列に且つ等しい間隔で
配列し、しかも対向する側壁部の各切込み３が互い違い
になるように形成した。即ち、各切込み３の間隔Ｐは５
ｍｍとし、切込み３の深さＬは直管２の外径Ｄの２／
３、即ち２０.０ｍｍとした。

【００２４】得られたプロテクター１を、図５に示すよ
うに一端を固定した直線芯棒５の端からを挿入し、続い
てこの解放端に外径２４ｍｍの曲管ホース４を強制的に
挿入した。次に、直線芯棒５上でプロテクター１を曲管
ホース４側に移動させ、曲管ホース４の外周に押し込ん
で挿入し、曲管ホース４の所定曲がり箇所に装着した
後、全体を直線芯棒５から取り外した。

【００２５】曲管ホース４へのプロテクター１の装着
は、小さな力で楽に行うことができ、例えば女性作業者
であっても容易に装着できた。又、直線芯棒５から外し
た曲管ホース４の曲がり角度を測定したところ、設計通
りの角度であり、プロテクター１の装着によって全く影
響を受けないことが分かった。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、曲管ホースの外周に容
易に装着でき、装着後の曲管ホースの曲がり形状を変化
させず、且つ装着箇所のズレや脱落の心配のないプロテ
クターを提供することができ、しかもこのプロテクター
は直管であるから、曲管のものに比べて低コストで提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の曲管ホース用プロテクターの一具体例
を示す概略の側面図である。

【図２】本発明の曲管ホース用プロテクターの他の具体
例を示す概略の側面図である。

【図３】本発明の曲管ホース用プロテクターの更に別の
具体例を示す概略の側面図である。

【図４】本発明のプロテクターの切込みに沿った概略の
断面図である。

【図５】本発明のプロテクターを曲管ホースに装着する
方法を説明するための概略の側面図である。

【図６】本発明のプロテクターを装着した曲管ホースを
示す概略の側面図である。

【符号の説明】

１、１ａ、１ｂ、１ｃ プロテクター ２ 直管 ３ 切込み ４ 曲管ホース ５ 直線芯棒

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 可撓性材料の直管からなり、該直管の長
   さ方向に対してほぼ直角な複数の切込みを有し、各切込
   みは深さが等しく、前記直管の中心線を挟んで対向する
   側壁部にそれぞれ長さ方向に直線的に夫々１列に且つ等
   しい間隔で配列し、対向する側壁部の各切込みは互いに
   対向して又は互い違いに設けられていることを特徴とす
   る曲管ホース用プロテクター。
2. 【請求項２】 可撓性材料の直管からなり、該直管の長
   さ方向に対してほぼ直角な複数の切込みを有し、各切込
   みは深さが等しく、前記直管の長さ方向に沿って螺旋状
   に配列し且つ長さ方向に等しい間隔で設けられているこ
   とを特徴とする曲管ホース用プロテクター。
3. 【請求項３】 切込みの間隔が５〜１０ｍｍ、深さが直
   管の外径の約２／３であることを特徴とする、請求項１
   又は２に記載の曲管ホース用プロテクター。