JPH08149992A - 高純度光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents
高純度光学活性アルコールの製造方法Info
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- JPH08149992A JPH08149992A JP6317700A JP31770094A JPH08149992A JP H08149992 A JPH08149992 A JP H08149992A JP 6317700 A JP6317700 A JP 6317700A JP 31770094 A JP31770094 A JP 31770094A JP H08149992 A JPH08149992 A JP H08149992A
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Abstract
状アルキレンジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステ
ルとを、耐熱性リパーゼの存在下、溶媒を用いることな
く、実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上にて
エステル交換反応、好ましくは常圧および減圧で反応さ
せ、ラセミ体アルコールをR体およびS体のいずれか一
方に富む各光学活性アルコールに分割する。さらに好ま
しくは前記の一連の操作を繰り返す。 【効果】 ラセミ体アルコールのエステル交換反応を短
時間で行うことができ、ラセミ体アルコールからR体お
よびS体の各光学活性アルコールを、簡略化された工程
により、簡便に、高収率で、高純度化することが可能と
なり、しかも半連続的に大量生産できる。
Description
たは中間原料や液晶等のファインケミカルの合成中間体
として重要な光学活性アルコールの製造方法に関するも
のである。
原料または中間原料、強誘電性液晶等のファインケミカ
ル分野の合成中間体として重要な物質であるが、十分な
生理活性や特性を発現させるためには物質そのものの純
度および光学的純度ともにかなり高い精度が要求され
る。一方、リパーゼ、リポプロテインリパーゼあるいは
エステラーゼ等の酵素を用いる反応においては、通常の
高温を伴う化学反応では困難な鏡像異性体の識別が可能
となる。このため該酵素反応は光学純度を上げる、すな
わち光学分割を行う手段として有用であり、近年、これ
を利用した光学活性アルコールの製造法が鋭意研究され
ている。
は数日から数十日以上の非常に長時間の反応を行わなけ
ればならない(例えば特開昭62−166898号、特
開昭63−273499号、特開平2−86797号各
公報)。しかも、酵素反応を行える温度領域はリパーゼ
を用いる場合には高々20〜70℃程度、好ましくは3
0〜50℃であり、例えばラセミ体アルコールとエステ
ル交換反応させるエステルはその温度領域で液状のもの
か溶剤に溶解させて反応させなければならない(特開昭
62−166898号、特開昭63−284184号、
特開平2−282340号、特開平4−349894号
等の各公報)。
テルとラセミ体アルコールとは沸点や融点等の物理的性
状がほぼ近似したものとなることが多く、通常、未反応
物や副反応物等の種々の成分を含む反応物の中から目的
物質を効率良く分離回収し、その物質純度ならびに光学
純度を高めるための精製手段としては物性の差を利用し
づらく、他の煩雑かつ高価な工程を踏まなければならな
い。つまり、エステル交換反応終了後、該反応物から目
的の光学活性アルコールを回収するためにはさらに加水
分解反応等の処理を必要とし、また共沸蒸留や分子蒸留
もしくは分取液体クロマトグラフィー等を用いて物質純
度を高めているのが実情である。
の光学活性アルコールの製造法では酵素反応を非常に長
時間にわたって行わなければならないという欠点があ
る。さらに、酵素反応温度が実質的には30〜50℃に
限られ、これに適した原料が選択されるため、反応後の
目的物の分離精製工程において融点や沸点といった物性
の差を利用しづらく、煩雑な方法、手段を選ばざるを得
ず、目的とする光学活性アルコールを反応物から効率良
く回収するために過大なコストを必要とするという問題
点がある。したがって本発明は、エステル交換反応を利
用する光学活性アルコールの製造法において、酵素反応
を短時間で行うことができ、目的物を簡単に分離、精製
でき、かつ光学活性アルコールの製造工程を簡略化でき
るような前記方法を開発することを目的とした。
を解決し、工業的に簡便かつ有利な方法で光学活性アル
コールを得るために鋭意研究を行った。その結果、ラセ
ミ体アルコールと特定のエステル類とを、耐熱性リパー
ゼの共存下に、高温でエステル交換(アルコリシス)反
応させることにより、より好ましくは該反応を2度行わ
せることにより、ラセミ体アルコールから光学活性アル
コールを効率的に分割できることさらにはかかる光学活
性アルコールの分割方法を繰り返して行えることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
と、下記一般式(1)で表されるジオールの炭素数16
以上の脂肪酸エステルとを、耐熱性リパーゼの存在下、
溶媒を用いることなく、かつ実質的に水分を含まない条
件下で、81℃以上にてエステル交換反応を行い、R体
およびS体のいずれか一方に富む光学活性アルコールに
分割することを特徴とする高純度光学活性アルコールの
製造方法にある。
応を終了後、鏡像異性体の一方を減圧蒸留して回収し、
さらにそのまま減圧状態を維持しながら同様の条件下で
エステル交換反応させ、該反応によって生成、遊離する
鏡像異性体の他方を減圧蒸留して回収する高純度光学活
性アルコールの製造方法である。ルの製造法である。
アルコールは特に限定されるものではないが、2−アル
カノールが分割しやすく、また好ましくは下記一般式
(2)
たは下記一般式(3)
はハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素
数1〜3のアルコキシ基)で表される置換基であり、B
は炭素数1〜3のアルキル基またはCF3 またはCN〕
で表されるラセミ体アルコールであれば、以下に述べる
本発明の方法により効率よく光学分割を行うことができ
る。
ール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オク
タノール、2−ノナノール、2−デカノール、1−フェ
ニルエタノール、1−フェニル−1−プロパノール、エ
チル−3−ヒドロキシ−ブタネート、エチル−3−ヒド
ロキシ−プロピオネート、メチル−3−ヒドロキシ−ペ
ンタネート、1−フェニル−1,3−プロパンジオー
ル、2−フェニル−1−シクロヘキサノール、1−ペン
チン−3−オール、1−(2−ブロモフェニル)エタノ
ール、1−パラクロロフェニルエタノール、1−(4−
クロロフェニル)エタノール、1−クロロ−2−オクタ
ノール、1,1−ジフルオロ−2−オクタノール、1−
(2,4−ジクロロフェニル)エタノール等のラセミ体
アルコールがある。このうち、好ましくは2−オクタノ
ール、1−フェニルエタノール、1−フェニル−1,3
−プロパンジオール、2−フェニル−1−シクロヘキサ
ノールであり、最も好ましくは1−フェニルエタノー
ル、2−オクタノール、1−(2−ブロモフェニル)エ
タノールである。
基をもつ炭素数4〜8のアルキレングリコールであり、
具体例として1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,8−オクタンジオール等をあげること
ができる。このうち1,4−ブタンジオールが好まし
い。
と炭素数が16以上の脂肪酸とのエステルをいい、該ジ
オールのパルミチン酸エステル、2−ヘキシルデカン酸
エステル、パルミトオレイン酸エステル、ステアリン酸
エステル、イソステアリン酸(2−ヘプチルウンデカン
酸、エメリー社製イソステアリン酸等)エステル、オレ
イン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エス
テル、アラキジン酸エステル、ベヘン酸エステル、エル
シン酸エステル、リグノセリン酸エステル、セロチン酸
エステル、モンタン酸エステル、メリシン酸エステル等
を具体的に例示できる。これらのエステルは任意の割合
の混合物としても使用でき、またその構成脂肪酸も植物
油脂(大豆油、菜種油、オリーブ油、コーン油、サフラ
ワー油、ひまわり油、綿実油、パーム油等)、動物油脂
(牛脂、豚脂等)、魚油(イワシ油、サンマ油、タラ肝
油等)を加水分解して得られる混合脂肪酸、それらの水
素添加物を用いてもよい。このうち好ましいエステルは
前記ジオールのパルミチン酸エステル、ステアリン酸エ
ステル、オレイン酸エステル、ベヘン酸エステル(いず
れも直鎖状脂肪酸のエステル)であり、最も好ましくは
ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステルである。ま
た、モノエステルでもジエステルでも使用できるが、エ
ステル交換反応の効率性の点からジエステルが望まし
い。前記エステルは、望ましくは炭素数が18以上30
程度までの直鎖状飽和脂肪酸で構成されるものであっ
て、高融点(好ましくは60℃以上、より好ましくは7
0℃以上)であることを特徴とする。これにより、本発
明のエステル交換反応物から目的の光学活性アルコール
を効率良く分離できる利点がある。
テルはジオールの脂肪酸エステルである必要があり、1
価アルコールの脂肪酸エステルでは蒸留処理の際に不純
物が混入し、高純度の光学活性アルコールが得られな
い。またトリグリセリドを用いるとエステル交換反応は
進行するものの、リパーゼが1、3特異性である場合、
生成した1,2型ジグリセリドが1,3型ジグリセリド
に転移し、2段目反応で減圧操作を行っても光学活性ア
ルコールが再び遊離することはない。さらには、4価以
上の多価アルコールのエステルでは反応速度が極端に低
下してしまう。
パーゼを用いることを特徴とする。これによりエステル
交換反応を高温に維持して速やかに進行させることがで
き、さらにまた高温かつ減圧下でエステル交換反応を行
うことができ、該反応を進めながら反応生成物として発
生してくる光学活性アルコールを同時に回収することが
可能となる。
6953号公報に記載のアルカリゲネス(Alcaligenes
)属由来のリパーゼ、特開昭59−156282号公
報に記載のリゾプス キネンシス(Rhizopus chinensi
s)等を例示できる。本発明ではとりわけ、特公昭58
−36953号公報に記載されたアルカリゲネス エス
ピー(Alcaligenes sp.PL−266)(微工研菌寄第
3187号)が生産するリパーゼPL−266、特公昭
60−15312号公報に記載のアルカリゲネスエスピ
ー(Alcaligenes sp. PL−679)(微工研菌寄第3
783号)が生産するリパーゼPL−679が好まし
く、さらには名糖産業(株)製のリパーゼPLおよびリ
パーゼQLとりわけリパーゼQLが望ましい。かかる耐
熱性リパーゼは、活性炭、セライト、吸着性樹脂、イオ
ン交換樹脂、セラミックス等の公知の担体に固定化して
もよいが、後述するように粉末状態のままで原料に共存
させることが望ましい。
ルコールとエステルとをラセミ体アルコールを基準にし
て1:5以下、好ましくは1:2〜1のモル比率で原料
として混合し、該原料の溶媒を使用することなく、なお
かつ実質的に水分を含まない(すなわち原料中の平衡水
分含量である約0.1重量%以下、望ましくは0.05
重量%以下の)反応系に、好ましくは前記リパーゼの粉
末を分散させて、攪拌しながら反応を行う。このときリ
パーゼ粉末の粒子の90%以上が1〜100μm、好ま
しくは20〜50μmの大きさになるようにコントロー
ルしてエステル交換反応を行うことが望ましい。この粒
子サイズをそろえる手段としては、必要に応じて加温し
溶解した原料にリパーゼ粉末を分散させた後、超音波処
理、分散液の精密膜または限外濾過膜による濾過処理、
遠心沈降処理等を施せばよいが、好ましくは反応温度以
下、20〜150kHz 、100〜250Wの条件下で1
〜30分間超音波を照射処理することが簡便である。
1〜130℃、最も好ましくは101〜120℃に設定
し、エステル交換(本発明ではアルコリシス)反応を1
回行う場合、および2回行う場合の1段目の該反応のと
きには、常圧状態で、緩やかに攪拌もしくは振とうしな
がら、反応率を例えばガスクロマトグラフィーでチェッ
クして、所定の時間、望ましくは数時間から100時
間、エステル交換反応を行わせる。反応温度が81℃を
下回ると該反応の進行が遅く、逆に130℃を超えると
リパーゼの失活を招く。この反応によってラセミ体アル
コールの鏡像異性体(R体またはS体)のいずれか一方
が前記ジオールの脂肪酸エステルとエステル交換(アル
コリシス)され、R体またはS体のいずれか一方の光学
活性アルコールの脂肪酸エステルと未反応の光学活性ア
ルコールとを生じる。かかる成分を含むエステル交換反
応物はこれから耐熱性リパーゼを濾別して除去し、もし
くは除去せずに減圧状態(5〜1mmHg)で前記未反応の
光学活性アルコールを蒸留し、またエステル交換反応し
た光学活性アルコールの脂肪酸エステルを分別、再結
晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の方
法で分離し、酸またはアルカリ加水分解して、他方の光
学活性アルコールを得ることができる。本発明ではこれ
によりR体およびS体の各光学活性アルコールを高純度
化できる。
がより好ましく、これによりラセミ体アルコールからR
体およびS体の各光学活性アルコールの高純度品をさら
に簡便に高収率で得ることが可能となる。すなわちラセ
ミ体アルコールと、前記ジオールの炭素数16以上の脂
肪酸エステルとを、まず前記と同様の条件すなわち耐熱
性リパーゼの存在下、溶媒を用いることなく、かつ実質
的に水分を含まない条件下で、81℃以上にて常圧状態
でエステル交換反応(1段目反応)を行い、該反応終了
後、未反応のR体またはS体のいずれか一方に富む光学
活性アルコールを減圧蒸留して分離する。これにより該
蒸留処理した残分中には、エステル交換したR体または
S体のいずれか一方の光学活性アルコール(減圧蒸留さ
れなかった鏡像異性体の他方)の脂肪酸エステル、原料
として用いた前記ジオールの脂肪酸エステルが部分的な
いし完全に加アルコール分解された成分等が共存するこ
とになるから、1段目反応にひき続き2段目反応では前
記残分をそのまま減圧状態(5〜1mmHg)に維持して、
1段目反応と同様の条件下(耐熱性リパーゼの共存下、
無溶媒かつ実質的無水の条件で81℃以上)でエステル
交換(アルコリシス)反応させ、該反応により生成して
くるR体またはS体のいずれか一方の光学活性アルコー
ルを、望ましくは該反応を行いながらあるいは該反応終
了後に減圧蒸留して分離する。ここで耐熱性リパーゼは
1段目反応に用いたものをそのまま反応物に共存させて
2段目反応を行わせることが簡便であるが、2段目反応
開始時に新たに添加してもよい。かくしてラセミ体アル
コールから高純度のR体およびS体の各光学活性アルコ
ールを容易に高収率で分割することができる。
した後の反応系は初期状態に戻っており、これに再び新
たなラセミ体アルコールを添加して同様の処理を行え
ば、本発明の方法により繰り返して光学分割を行うこと
が可能である。すなわち前記した一連のエステル交換反
応を経てR体およびS体の光学活性アルコールを分離し
た残分に、同種もしくは異種のラセミ体アルコールを添
加し、前記同様の一連のエステル交換反応(1段または
2段反応)を行わせれば、高純度の光学活性アルコール
(R体およびS体)を半連続的に大量に製造することが
できる。
化合物の物質純度はガスクロマトグラフィー((株)島
津製作所製、GC−14A)を用いて、また光学純度は
比旋光度を旋光度計(日本分光(株)製、DIP−37
0)を用いてそれぞれ測定し、その測定値を標準試料の
値と比較することにより算出した。
リパーゼQL (名糖産業(株)製)3g、(R,S)−
1−フェニルエタノール50gおよび1,4−ブタンジ
オールのオレイン酸ジエステル(1,4−ブタンジオー
ルとオレイン酸とを、パラトルエンスルホン酸を触媒と
し、150〜200℃で5時間エステル化反応させて得
たもの。純度:99%)270gを500mlセパラブル
フラスコに入れ、室温で超音波発生装置((株)島津製
作所製、SUS−103)を用いて45kHz で1分間超
音波を照射した。その後、90℃にて攪拌速度350rp
mで攪拌し、常圧状態で25時間エステル交換反応を行
った。反応系の水分量(カールフィッシャー法):0.
05重量%、リパーゼ粒子のサイズ(コールターエレク
トロニクス社製の粒度分布測定装置:マルチサイザーに
よる測定):95%以上が20〜60μmであった。反
応終了後、反応物をガスクロマトグラフィーで測定した
ところ、(R,S)−1−フェニルエタノールの48モ
ル%がオレイン酸エステルに変換されていた。そのまま
反応系内を90℃、1mmHgに減圧して20分間蒸留し、
未反応の(S)−(−)−1−フェニルエタノール(収
率:98%、物質純度:100%、光学純度:99%ee
以上)を得た。さらにそのまま減圧状態を維持しながら
前記リパーゼの共存下でエステル交換反応を90℃にて
24時間つづけて(R)−(+)−1−フェニルエタノ
ール(収率:89%、物質純度:100%、光学純度:
99%ee以上)を減圧蒸留して分離した。
リパーゼPL(名糖産業(株)製)5g、(R,S)−
1−(p−クロロフェニル)エタノール50gおよび
1,6−ヘキサンジオールのパルミチン酸ジエステル
(1,6−ヘキサンジオールとパルミチン酸とを実施例
1記載の方法でエステル化反応させて得たもの。純度:
99%。)270gを500mlセパラブルフラスコに入
れ、85℃で超音波発生装置(実施例1と同じ)を用い
て45kHz で1分間超音波を照射した。その後、85℃
にて攪拌速度350rpm で攪拌し、常圧状態で20時間
エステル交換反応を行った。実施例1に記載の方法で測
定した反応系の水分量:0.04重量%、リパーゼ粒子
のサイズ:90%以上が20〜50μmであった。反応
終了後、反応物をガスクロマトグラフィーで測定したと
ころ、(R,S)−1−(p−クロロフェニル)エタノ
ールの49モル%がパルミチン酸エステルに変換されて
いた。そのまま反応系内を90℃、1mmHgに減圧して3
0分間蒸留し、未反応の(S)−(−)−1−(p−ク
ロロフェニル)エタノール(収率:93%、物質純度:
100%、光学純度:99%ee以上)を得た。さらにそ
のまま減圧状態を維持しながら85℃で前記リパーゼの
共存下でエステル交換反応を60時間つづけて(R)−
(+)−1−(p−クロロフェニル)エタノール(収
率:85%、物質純度:100%、光学純度:99%ee
以上)を減圧蒸留して分離した。この一連の反応終了
後、新たに(R,S)−1−(p−クロロフェニル)エ
タノール50gのみを加えて前記と同様の操作を合計2
回繰り返した。この繰り返し操作1回目および2回目の
各光学活性アルコールの収率は、(S)−(−)体が9
3%および91%、(R)−(+)体が85%および8
4%であり、両光学活性アルコールの物質純度はすべて
100%であり、光学純度はすべて99%eeであった。
−オクタノール50gに入れ、室温で超音波発生装置
(実施例1と同じ)を用いて45kHz で1分間超音波を
照射した。その後、実施例1と同様の方法でエステル合
成した1,8−オクタンジオールのステアリン酸ジエス
テル(純度:99%)270gを加えて500mlセパラ
ブルフラスコで105℃にて攪拌速度350rpm で攪拌
し、常圧状態で12時間エステル交換反応を行った。実
施例1に記載の方法で測定した反応系の水分量:0.0
5重量%、リパーゼ粒子のサイズ:95%以上が20〜
50μmであった。反応終了後、反応物をガスクロマト
グラフィーで測定したところ、(R,S)−2−オクタ
ノールの52モル%がステアリン酸エステルに変換され
ていた。そのまま反応系内を105℃、3mmHgに減圧し
て10分間蒸留し、未反応の(S)−(+)−2−オク
タノール(収率:88%、物質純度:100%、光学純
度:99%ee以上)を得た。さらにそのまま減圧状態を
維持しながら110℃で前記リパーゼの共存下にエステ
ル交換反応を24時間つづけて(R)−(−)−2−オ
クタノール(収率:97%、物質純度:100%、光学
純度:97%ee)を減圧蒸留して得た。この一連の反応
終了後、新たに(R,S)−2−オクタノール50gお
よびリパーゼQL(前出)0.5gを加えて前記と同様
の操作を合計5回繰り返した。この繰り返し操作1回目
〜5回目の各光学活性アルコールの収率は、(S)−
(+)体が89%、88%、90%、93%および87
%、(R)−(−)体が96%、99%、99%、97
%および98%であり、両光学活性アルコールの物質純
度はすべて100%であり、光学純度は(S)−(+)
体がすべて99%ee以上、また(R)−(−)体が99
%ee以上、98%ee、99%ee以上、99%ee以上およ
び98%eeであった。
酸ジエステルに代えてn−プロパノールのオレイン酸モ
ノエステル270gを用いて同様に処理し、エステル交
換反応物を同条件で減圧蒸留したところ、留出物はn−
プロパノールが混在し、(S)−(−)−1−フェニル
エタノールの収率:99%、物質純度:78%、光学純
度:69%eeであった。さらに減圧蒸留後の残分を同条
件下で処理したが留出物は得られなかった。
と前記特定のジオール類の脂肪酸エステルとを、耐熱性
リパーゼの共存下に高温でエステル交換(アルコリシ
ス)反応を行わせるため、該反応が短時間に速やかに進
行し、鏡像異性体の一方を簡単に高純度かつ高収率で得
ることができる。さらに前記鏡像異性体の一方を分離し
た残分をそのまま減圧状態で同様にエステル交換(アル
コリシス)反応させるため、鏡像異性体の他方が再び遊
離し、該反応を行いながら同時に前記鏡像異性体の他方
をも高純度かつ高収率で得ることができ、その製造工程
は簡略化される。また本発明の方法は、一連の操作を終
了した後に原料のラセミ体アルコールを新たに添加すれ
ば、同様に繰り返し操作が可能であり、高純度の鏡像異
性体を半連続的に高収率で大量生産する方法として好適
である。
Claims (9)
- 【請求項1】 ラセミ体アルコールと下記一般式(1)
で表されるジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステル
とを、耐熱性リパーゼの存在下、溶媒を用いることな
く、かつ実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上
にてエステル交換反応を用い、R体およびS体のいずれ
か一方に富む各光学活性アルコールに分割することを特
徴とする高純度光学活性アルコールの製造方法。 【化1】HO−(CH2 )n −OH (1) (ただし、nは4〜8の整数) - 【請求項2】 ラセミ体アルコールと下記一般式(1)
で表されるジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステル
とを、耐熱性リパーゼの存在下、溶媒を用いることな
く、かつ実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上
にてエステル交換反応を行い、該反応終了後、未反応の
R体またはS体のいずれか一方に富む光学活性アルコー
ルを減圧蒸留して回収し、ついで前記減圧蒸留した残分
をそのまま減圧状態に維持して、前記同様に耐熱性リパ
ーゼを共存させ、無溶媒かつ実質的無水の条件下で81
℃以上にてエステル交換反応を行い、該反応により遊離
するR体またはS体のいずれか一方に富む光学活性アル
コールを回収することを特徴とする高純度光学活性アル
コールの製造方法。 【化2】HO−(CH2 )n −OH (1) (ただし、nは4〜8の整数) - 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法によって
得られるR体およびS体の光学活性アルコールを分離し
た残分に新たなラセミ体アルコールを添加し、請求項1
または2に記載の方法を繰り返すことを特徴とする高純
度光学活性アルコールの製造方法。 - 【請求項4】 ラセミ体アルコールが2−アルカノール
である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。 - 【請求項5】 ラセミ体アルコールが下記一般式(2) 【化3】 〔式(2)中、A≠Bであり、Aはフェニル基または下
記一般式(3)(式(3)においてD1 、D2 、D3 、
D4 およびD5 はハロゲン原子または炭素数1〜3のア
ルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基)で表され
る置換基であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基または
CF3 またはCN)〕で表される化合物である請求項1
〜4のいずれか1項に記載の製造方法。 【化4】 - 【請求項6】 ジオールが1,4−ブタンジオールであ
る請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。 - 【請求項7】 脂肪酸が炭素数18以上の直鎖状飽和脂
肪酸である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方
法。 - 【請求項8】 耐熱性リパーゼがアルカリゲネス属由来
のリパーゼである請求項1〜3のいずれか1項に記載の
製造方法。 - 【請求項9】 耐熱性リパーゼが粉末状でなおかつその
粒子の90%以上が粒子径1〜100μmである請求項
1、2、3または8のいずれか1項に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31770094A JP3606619B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 高純度光学活性アルコールの製造方法 |
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