JPH08149992A - 高純度光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents

高純度光学活性アルコールの製造方法

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JPH08149992A
JPH08149992A JP6317700A JP31770094A JPH08149992A JP H08149992 A JPH08149992 A JP H08149992A JP 6317700 A JP6317700 A JP 6317700A JP 31770094 A JP31770094 A JP 31770094A JP H08149992 A JPH08149992 A JP H08149992A
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聖一 白沢
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ラセミ体アルコールと、炭素数4〜8の直鎖
状アルキレンジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステ
ルとを、耐熱性リパーゼの存在下、溶媒を用いることな
く、実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上にて
エステル交換反応、好ましくは常圧および減圧で反応さ
せ、ラセミ体アルコールをR体およびS体のいずれか一
方に富む各光学活性アルコールに分割する。さらに好ま
しくは前記の一連の操作を繰り返す。 【効果】 ラセミ体アルコールのエステル交換反応を短
時間で行うことができ、ラセミ体アルコールからR体お
よびS体の各光学活性アルコールを、簡略化された工程
により、簡便に、高収率で、高純度化することが可能と
なり、しかも半連続的に大量生産できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬品、農薬等の原料ま
たは中間原料や液晶等のファインケミカルの合成中間体
として重要な光学活性アルコールの製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】光学活性アルコールは医薬品、農薬等の
原料または中間原料、強誘電性液晶等のファインケミカ
ル分野の合成中間体として重要な物質であるが、十分な
生理活性や特性を発現させるためには物質そのものの純
度および光学的純度ともにかなり高い精度が要求され
る。一方、リパーゼ、リポプロテインリパーゼあるいは
エステラーゼ等の酵素を用いる反応においては、通常の
高温を伴う化学反応では困難な鏡像異性体の識別が可能
となる。このため該酵素反応は光学純度を上げる、すな
わち光学分割を行う手段として有用であり、近年、これ
を利用した光学活性アルコールの製造法が鋭意研究され
ている。
【0003】しかしながら、現在行われている酵素反応
は数日から数十日以上の非常に長時間の反応を行わなけ
ればならない(例えば特開昭62−166898号、特
開昭63−273499号、特開平2−86797号各
公報)。しかも、酵素反応を行える温度領域はリパーゼ
を用いる場合には高々20〜70℃程度、好ましくは3
0〜50℃であり、例えばラセミ体アルコールとエステ
ル交換反応させるエステルはその温度領域で液状のもの
か溶剤に溶解させて反応させなければならない(特開昭
62−166898号、特開昭63−284184号、
特開平2−282340号、特開平4−349894号
等の各公報)。
【0004】したがって、エステル交換反応させるエス
テルとラセミ体アルコールとは沸点や融点等の物理的性
状がほぼ近似したものとなることが多く、通常、未反応
物や副反応物等の種々の成分を含む反応物の中から目的
物質を効率良く分離回収し、その物質純度ならびに光学
純度を高めるための精製手段としては物性の差を利用し
づらく、他の煩雑かつ高価な工程を踏まなければならな
い。つまり、エステル交換反応終了後、該反応物から目
的の光学活性アルコールを回収するためにはさらに加水
分解反応等の処理を必要とし、また共沸蒸留や分子蒸留
もしくは分取液体クロマトグラフィー等を用いて物質純
度を高めているのが実情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、現在
の光学活性アルコールの製造法では酵素反応を非常に長
時間にわたって行わなければならないという欠点があ
る。さらに、酵素反応温度が実質的には30〜50℃に
限られ、これに適した原料が選択されるため、反応後の
目的物の分離精製工程において融点や沸点といった物性
の差を利用しづらく、煩雑な方法、手段を選ばざるを得
ず、目的とする光学活性アルコールを反応物から効率良
く回収するために過大なコストを必要とするという問題
点がある。したがって本発明は、エステル交換反応を利
用する光学活性アルコールの製造法において、酵素反応
を短時間で行うことができ、目的物を簡単に分離、精製
でき、かつ光学活性アルコールの製造工程を簡略化でき
るような前記方法を開発することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決し、工業的に簡便かつ有利な方法で光学活性アル
コールを得るために鋭意研究を行った。その結果、ラセ
ミ体アルコールと特定のエステル類とを、耐熱性リパー
ゼの共存下に、高温でエステル交換(アルコリシス)反
応させることにより、より好ましくは該反応を2度行わ
せることにより、ラセミ体アルコールから光学活性アル
コールを効率的に分割できることさらにはかかる光学活
性アルコールの分割方法を繰り返して行えることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち本発明の要旨は、ラセミ体アルコール
と、下記一般式(1)で表されるジオールの炭素数16
以上の脂肪酸エステルとを、耐熱性リパーゼの存在下、
溶媒を用いることなく、かつ実質的に水分を含まない条
件下で、81℃以上にてエステル交換反応を行い、R体
およびS体のいずれか一方に富む光学活性アルコールに
分割することを特徴とする高純度光学活性アルコールの
製造方法にある。
【化5】HO−(CH2 n −OH (1) (ただし、nは4〜8の整数) そして好ましい実施態様の一例は、前記エステル交換反
応を終了後、鏡像異性体の一方を減圧蒸留して回収し、
さらにそのまま減圧状態を維持しながら同様の条件下で
エステル交換反応させ、該反応によって生成、遊離する
鏡像異性体の他方を減圧蒸留して回収する高純度光学活
性アルコールの製造方法である。ルの製造法である。
【0008】本発明において、光学分割を行うラセミ体
アルコールは特に限定されるものではないが、2−アル
カノールが分割しやすく、また好ましくは下記一般式
(2)
【化6】 〔但し、式(2)中、A≠Bであり、Aはフェニル基ま
たは下記一般式(3)
【化7】 (式(3)においてD1 、D2 、D3 、D4 およびD5
はハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素
数1〜3のアルコキシ基)で表される置換基であり、B
は炭素数1〜3のアルキル基またはCF3 またはCN〕
で表されるラセミ体アルコールであれば、以下に述べる
本発明の方法により効率よく光学分割を行うことができ
る。
【0009】具体的には2−ブタノール、2−ペンタノ
ール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オク
タノール、2−ノナノール、2−デカノール、1−フェ
ニルエタノール、1−フェニル−1−プロパノール、エ
チル−3−ヒドロキシ−ブタネート、エチル−3−ヒド
ロキシ−プロピオネート、メチル−3−ヒドロキシ−ペ
ンタネート、1−フェニル−1,3−プロパンジオー
ル、2−フェニル−1−シクロヘキサノール、1−ペン
チン−3−オール、1−(2−ブロモフェニル)エタノ
ール、1−パラクロロフェニルエタノール、1−(4−
クロロフェニル)エタノール、1−クロロ−2−オクタ
ノール、1,1−ジフルオロ−2−オクタノール、1−
(2,4−ジクロロフェニル)エタノール等のラセミ体
アルコールがある。このうち、好ましくは2−オクタノ
ール、1−フェニルエタノール、1−フェニル−1,3
−プロパンジオール、2−フェニル−1−シクロヘキサ
ノールであり、最も好ましくは1−フェニルエタノー
ル、2−オクタノール、1−(2−ブロモフェニル)エ
タノールである。
【0010】本発明に用いるジオールは、両末端に水酸
基をもつ炭素数4〜8のアルキレングリコールであり、
具体例として1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,8−オクタンジオール等をあげること
ができる。このうち1,4−ブタンジオールが好まし
い。
【0011】本発明で用いるエステルとは前記ジオール
と炭素数が16以上の脂肪酸とのエステルをいい、該ジ
オールのパルミチン酸エステル、2−ヘキシルデカン酸
エステル、パルミトオレイン酸エステル、ステアリン酸
エステル、イソステアリン酸(2−ヘプチルウンデカン
酸、エメリー社製イソステアリン酸等)エステル、オレ
イン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エス
テル、アラキジン酸エステル、ベヘン酸エステル、エル
シン酸エステル、リグノセリン酸エステル、セロチン酸
エステル、モンタン酸エステル、メリシン酸エステル等
を具体的に例示できる。これらのエステルは任意の割合
の混合物としても使用でき、またその構成脂肪酸も植物
油脂(大豆油、菜種油、オリーブ油、コーン油、サフラ
ワー油、ひまわり油、綿実油、パーム油等)、動物油脂
(牛脂、豚脂等)、魚油(イワシ油、サンマ油、タラ肝
油等)を加水分解して得られる混合脂肪酸、それらの水
素添加物を用いてもよい。このうち好ましいエステルは
前記ジオールのパルミチン酸エステル、ステアリン酸エ
ステル、オレイン酸エステル、ベヘン酸エステル(いず
れも直鎖状脂肪酸のエステル)であり、最も好ましくは
ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステルである。ま
た、モノエステルでもジエステルでも使用できるが、エ
ステル交換反応の効率性の点からジエステルが望まし
い。前記エステルは、望ましくは炭素数が18以上30
程度までの直鎖状飽和脂肪酸で構成されるものであっ
て、高融点(好ましくは60℃以上、より好ましくは7
0℃以上)であることを特徴とする。これにより、本発
明のエステル交換反応物から目的の光学活性アルコール
を効率良く分離できる利点がある。
【0012】なおラセミ体アルコールと反応させるエス
テルはジオールの脂肪酸エステルである必要があり、1
価アルコールの脂肪酸エステルでは蒸留処理の際に不純
物が混入し、高純度の光学活性アルコールが得られな
い。またトリグリセリドを用いるとエステル交換反応は
進行するものの、リパーゼが1、3特異性である場合、
生成した1,2型ジグリセリドが1,3型ジグリセリド
に転移し、2段目反応で減圧操作を行っても光学活性ア
ルコールが再び遊離することはない。さらには、4価以
上の多価アルコールのエステルでは反応速度が極端に低
下してしまう。
【0013】本発明のエステル交換反応では、耐熱性リ
パーゼを用いることを特徴とする。これによりエステル
交換反応を高温に維持して速やかに進行させることがで
き、さらにまた高温かつ減圧下でエステル交換反応を行
うことができ、該反応を進めながら反応生成物として発
生してくる光学活性アルコールを同時に回収することが
可能となる。
【0014】耐熱性リパーゼとしては、特公昭58−3
6953号公報に記載のアルカリゲネス(Alcaligenes
)属由来のリパーゼ、特開昭59−156282号公
報に記載のリゾプス キネンシス(Rhizopus chinensi
s)等を例示できる。本発明ではとりわけ、特公昭58
−36953号公報に記載されたアルカリゲネス エス
ピー(Alcaligenes sp.PL−266)(微工研菌寄第
3187号)が生産するリパーゼPL−266、特公昭
60−15312号公報に記載のアルカリゲネスエスピ
ー(Alcaligenes sp. PL−679)(微工研菌寄第3
783号)が生産するリパーゼPL−679が好まし
く、さらには名糖産業(株)製のリパーゼPLおよびリ
パーゼQLとりわけリパーゼQLが望ましい。かかる耐
熱性リパーゼは、活性炭、セライト、吸着性樹脂、イオ
ン交換樹脂、セラミックス等の公知の担体に固定化して
もよいが、後述するように粉末状態のままで原料に共存
させることが望ましい。
【0015】エステル交換反応は、前記したラセミ体ア
ルコールとエステルとをラセミ体アルコールを基準にし
て1:5以下、好ましくは1:2〜1のモル比率で原料
として混合し、該原料の溶媒を使用することなく、なお
かつ実質的に水分を含まない(すなわち原料中の平衡水
分含量である約0.1重量%以下、望ましくは0.05
重量%以下の)反応系に、好ましくは前記リパーゼの粉
末を分散させて、攪拌しながら反応を行う。このときリ
パーゼ粉末の粒子の90%以上が1〜100μm、好ま
しくは20〜50μmの大きさになるようにコントロー
ルしてエステル交換反応を行うことが望ましい。この粒
子サイズをそろえる手段としては、必要に応じて加温し
溶解した原料にリパーゼ粉末を分散させた後、超音波処
理、分散液の精密膜または限外濾過膜による濾過処理、
遠心沈降処理等を施せばよいが、好ましくは反応温度以
下、20〜150kHz 、100〜250Wの条件下で1
〜30分間超音波を照射処理することが簡便である。
【0016】反応温度は81℃以上、より好ましくは9
1〜130℃、最も好ましくは101〜120℃に設定
し、エステル交換(本発明ではアルコリシス)反応を1
回行う場合、および2回行う場合の1段目の該反応のと
きには、常圧状態で、緩やかに攪拌もしくは振とうしな
がら、反応率を例えばガスクロマトグラフィーでチェッ
クして、所定の時間、望ましくは数時間から100時
間、エステル交換反応を行わせる。反応温度が81℃を
下回ると該反応の進行が遅く、逆に130℃を超えると
リパーゼの失活を招く。この反応によってラセミ体アル
コールの鏡像異性体(R体またはS体)のいずれか一方
が前記ジオールの脂肪酸エステルとエステル交換(アル
コリシス)され、R体またはS体のいずれか一方の光学
活性アルコールの脂肪酸エステルと未反応の光学活性ア
ルコールとを生じる。かかる成分を含むエステル交換反
応物はこれから耐熱性リパーゼを濾別して除去し、もし
くは除去せずに減圧状態(5〜1mmHg)で前記未反応の
光学活性アルコールを蒸留し、またエステル交換反応し
た光学活性アルコールの脂肪酸エステルを分別、再結
晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の方
法で分離し、酸またはアルカリ加水分解して、他方の光
学活性アルコールを得ることができる。本発明ではこれ
によりR体およびS体の各光学活性アルコールを高純度
化できる。
【0017】なお、本発明では、以下に述べる実施態様
がより好ましく、これによりラセミ体アルコールからR
体およびS体の各光学活性アルコールの高純度品をさら
に簡便に高収率で得ることが可能となる。すなわちラセ
ミ体アルコールと、前記ジオールの炭素数16以上の脂
肪酸エステルとを、まず前記と同様の条件すなわち耐熱
性リパーゼの存在下、溶媒を用いることなく、かつ実質
的に水分を含まない条件下で、81℃以上にて常圧状態
でエステル交換反応(1段目反応)を行い、該反応終了
後、未反応のR体またはS体のいずれか一方に富む光学
活性アルコールを減圧蒸留して分離する。これにより該
蒸留処理した残分中には、エステル交換したR体または
S体のいずれか一方の光学活性アルコール(減圧蒸留さ
れなかった鏡像異性体の他方)の脂肪酸エステル、原料
として用いた前記ジオールの脂肪酸エステルが部分的な
いし完全に加アルコール分解された成分等が共存するこ
とになるから、1段目反応にひき続き2段目反応では前
記残分をそのまま減圧状態(5〜1mmHg)に維持して、
1段目反応と同様の条件下(耐熱性リパーゼの共存下、
無溶媒かつ実質的無水の条件で81℃以上)でエステル
交換(アルコリシス)反応させ、該反応により生成して
くるR体またはS体のいずれか一方の光学活性アルコー
ルを、望ましくは該反応を行いながらあるいは該反応終
了後に減圧蒸留して分離する。ここで耐熱性リパーゼは
1段目反応に用いたものをそのまま反応物に共存させて
2段目反応を行わせることが簡便であるが、2段目反応
開始時に新たに添加してもよい。かくしてラセミ体アル
コールから高純度のR体およびS体の各光学活性アルコ
ールを容易に高収率で分割することができる。
【0018】また、分割した光学活性アルコールを分離
した後の反応系は初期状態に戻っており、これに再び新
たなラセミ体アルコールを添加して同様の処理を行え
ば、本発明の方法により繰り返して光学分割を行うこと
が可能である。すなわち前記した一連のエステル交換反
応を経てR体およびS体の光学活性アルコールを分離し
た残分に、同種もしくは異種のラセミ体アルコールを添
加し、前記同様の一連のエステル交換反応(1段または
2段反応)を行わせれば、高純度の光学活性アルコール
(R体およびS体)を半連続的に大量に製造することが
できる。
【0019】
【実施例】以下の実施例および比較例において得られた
化合物の物質純度はガスクロマトグラフィー((株)島
津製作所製、GC−14A)を用いて、また光学純度は
比旋光度を旋光度計(日本分光(株)製、DIP−37
0)を用いてそれぞれ測定し、その測定値を標準試料の
値と比較することにより算出した。
【0020】実施例1 アルカリゲネス エスピー(Alcaligenes sp.)由来の
リパーゼQL (名糖産業(株)製)3g、(R,S)−
1−フェニルエタノール50gおよび1,4−ブタンジ
オールのオレイン酸ジエステル(1,4−ブタンジオー
ルとオレイン酸とを、パラトルエンスルホン酸を触媒と
し、150〜200℃で5時間エステル化反応させて得
たもの。純度:99%)270gを500mlセパラブル
フラスコに入れ、室温で超音波発生装置((株)島津製
作所製、SUS−103)を用いて45kHz で1分間超
音波を照射した。その後、90℃にて攪拌速度350rp
mで攪拌し、常圧状態で25時間エステル交換反応を行
った。反応系の水分量(カールフィッシャー法):0.
05重量%、リパーゼ粒子のサイズ(コールターエレク
トロニクス社製の粒度分布測定装置:マルチサイザーに
よる測定):95%以上が20〜60μmであった。反
応終了後、反応物をガスクロマトグラフィーで測定した
ところ、(R,S)−1−フェニルエタノールの48モ
ル%がオレイン酸エステルに変換されていた。そのまま
反応系内を90℃、1mmHgに減圧して20分間蒸留し、
未反応の(S)−(−)−1−フェニルエタノール(収
率:98%、物質純度:100%、光学純度:99%ee
以上)を得た。さらにそのまま減圧状態を維持しながら
前記リパーゼの共存下でエステル交換反応を90℃にて
24時間つづけて(R)−(+)−1−フェニルエタノ
ール(収率:89%、物質純度:100%、光学純度:
99%ee以上)を減圧蒸留して分離した。
【0021】実施例2 アルカリゲネス エスピー(Alcaligenes sp.)由来の
リパーゼPL(名糖産業(株)製)5g、(R,S)−
1−(p−クロロフェニル)エタノール50gおよび
1,6−ヘキサンジオールのパルミチン酸ジエステル
(1,6−ヘキサンジオールとパルミチン酸とを実施例
1記載の方法でエステル化反応させて得たもの。純度:
99%。)270gを500mlセパラブルフラスコに入
れ、85℃で超音波発生装置(実施例1と同じ)を用い
て45kHz で1分間超音波を照射した。その後、85℃
にて攪拌速度350rpm で攪拌し、常圧状態で20時間
エステル交換反応を行った。実施例1に記載の方法で測
定した反応系の水分量:0.04重量%、リパーゼ粒子
のサイズ:90%以上が20〜50μmであった。反応
終了後、反応物をガスクロマトグラフィーで測定したと
ころ、(R,S)−1−(p−クロロフェニル)エタノ
ールの49モル%がパルミチン酸エステルに変換されて
いた。そのまま反応系内を90℃、1mmHgに減圧して3
0分間蒸留し、未反応の(S)−(−)−1−(p−ク
ロロフェニル)エタノール(収率:93%、物質純度:
100%、光学純度:99%ee以上)を得た。さらにそ
のまま減圧状態を維持しながら85℃で前記リパーゼの
共存下でエステル交換反応を60時間つづけて(R)−
(+)−1−(p−クロロフェニル)エタノール(収
率:85%、物質純度:100%、光学純度:99%ee
以上)を減圧蒸留して分離した。この一連の反応終了
後、新たに(R,S)−1−(p−クロロフェニル)エ
タノール50gのみを加えて前記と同様の操作を合計2
回繰り返した。この繰り返し操作1回目および2回目の
各光学活性アルコールの収率は、(S)−(−)体が9
3%および91%、(R)−(+)体が85%および8
4%であり、両光学活性アルコールの物質純度はすべて
100%であり、光学純度はすべて99%eeであった。
【0022】実施例3 実施例1に記載のリパーゼQL3gを、(R,S)−2
−オクタノール50gに入れ、室温で超音波発生装置
(実施例1と同じ)を用いて45kHz で1分間超音波を
照射した。その後、実施例1と同様の方法でエステル合
成した1,8−オクタンジオールのステアリン酸ジエス
テル(純度:99%)270gを加えて500mlセパラ
ブルフラスコで105℃にて攪拌速度350rpm で攪拌
し、常圧状態で12時間エステル交換反応を行った。実
施例1に記載の方法で測定した反応系の水分量:0.0
5重量%、リパーゼ粒子のサイズ:95%以上が20〜
50μmであった。反応終了後、反応物をガスクロマト
グラフィーで測定したところ、(R,S)−2−オクタ
ノールの52モル%がステアリン酸エステルに変換され
ていた。そのまま反応系内を105℃、3mmHgに減圧し
て10分間蒸留し、未反応の(S)−(+)−2−オク
タノール(収率:88%、物質純度:100%、光学純
度:99%ee以上)を得た。さらにそのまま減圧状態を
維持しながら110℃で前記リパーゼの共存下にエステ
ル交換反応を24時間つづけて(R)−(−)−2−オ
クタノール(収率:97%、物質純度:100%、光学
純度:97%ee)を減圧蒸留して得た。この一連の反応
終了後、新たに(R,S)−2−オクタノール50gお
よびリパーゼQL(前出)0.5gを加えて前記と同様
の操作を合計5回繰り返した。この繰り返し操作1回目
〜5回目の各光学活性アルコールの収率は、(S)−
(+)体が89%、88%、90%、93%および87
%、(R)−(−)体が96%、99%、99%、97
%および98%であり、両光学活性アルコールの物質純
度はすべて100%であり、光学純度は(S)−(+)
体がすべて99%ee以上、また(R)−(−)体が99
%ee以上、98%ee、99%ee以上、99%ee以上およ
び98%eeであった。
【0023】比較例1 実施例1において、1,4−ブタンジオールのオレイン
酸ジエステルに代えてn−プロパノールのオレイン酸モ
ノエステル270gを用いて同様に処理し、エステル交
換反応物を同条件で減圧蒸留したところ、留出物はn−
プロパノールが混在し、(S)−(−)−1−フェニル
エタノールの収率:99%、物質純度:78%、光学純
度:69%eeであった。さらに減圧蒸留後の残分を同条
件下で処理したが留出物は得られなかった。
【0024】
【本発明の効果】本発明によれば、ラセミ体アルコール
と前記特定のジオール類の脂肪酸エステルとを、耐熱性
リパーゼの共存下に高温でエステル交換(アルコリシ
ス)反応を行わせるため、該反応が短時間に速やかに進
行し、鏡像異性体の一方を簡単に高純度かつ高収率で得
ることができる。さらに前記鏡像異性体の一方を分離し
た残分をそのまま減圧状態で同様にエステル交換(アル
コリシス)反応させるため、鏡像異性体の他方が再び遊
離し、該反応を行いながら同時に前記鏡像異性体の他方
をも高純度かつ高収率で得ることができ、その製造工程
は簡略化される。また本発明の方法は、一連の操作を終
了した後に原料のラセミ体アルコールを新たに添加すれ
ば、同様に繰り返し操作が可能であり、高純度の鏡像異
性体を半連続的に高収率で大量生産する方法として好適
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/20 C12R 1:05) C07M 7:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラセミ体アルコールと下記一般式(1)
    で表されるジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステル
    とを、耐熱性リパーゼの存在下、溶媒を用いることな
    く、かつ実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上
    にてエステル交換反応を用い、R体およびS体のいずれ
    か一方に富む各光学活性アルコールに分割することを特
    徴とする高純度光学活性アルコールの製造方法。 【化1】HO−(CH2 n −OH (1) (ただし、nは4〜8の整数)
  2. 【請求項2】 ラセミ体アルコールと下記一般式(1)
    で表されるジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステル
    とを、耐熱性リパーゼの存在下、溶媒を用いることな
    く、かつ実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上
    にてエステル交換反応を行い、該反応終了後、未反応の
    R体またはS体のいずれか一方に富む光学活性アルコー
    ルを減圧蒸留して回収し、ついで前記減圧蒸留した残分
    をそのまま減圧状態に維持して、前記同様に耐熱性リパ
    ーゼを共存させ、無溶媒かつ実質的無水の条件下で81
    ℃以上にてエステル交換反応を行い、該反応により遊離
    するR体またはS体のいずれか一方に富む光学活性アル
    コールを回収することを特徴とする高純度光学活性アル
    コールの製造方法。 【化2】HO−(CH2 n −OH (1) (ただし、nは4〜8の整数)
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法によって
    得られるR体およびS体の光学活性アルコールを分離し
    た残分に新たなラセミ体アルコールを添加し、請求項1
    または2に記載の方法を繰り返すことを特徴とする高純
    度光学活性アルコールの製造方法。
  4. 【請求項4】 ラセミ体アルコールが2−アルカノール
    である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 ラセミ体アルコールが下記一般式(2) 【化3】 〔式(2)中、A≠Bであり、Aはフェニル基または下
    記一般式(3)(式(3)においてD1 、D2 、D3
    4 およびD5 はハロゲン原子または炭素数1〜3のア
    ルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基)で表され
    る置換基であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基または
    CF3 またはCN)〕で表される化合物である請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の製造方法。 【化4】
  6. 【請求項6】 ジオールが1,4−ブタンジオールであ
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 脂肪酸が炭素数18以上の直鎖状飽和脂
    肪酸である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 耐熱性リパーゼがアルカリゲネス属由来
    のリパーゼである請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 耐熱性リパーゼが粉末状でなおかつその
    粒子の90%以上が粒子径1〜100μmである請求項
    1、2、3または8のいずれか1項に記載の製造方法。
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