JP3606619B2 - 高純度光学活性アルコールの製造方法 - Google Patents

高純度光学活性アルコールの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は医薬品、農薬等の原料または中間原料や液晶等のファインケミカルの合成中間体として重要な光学活性アルコールの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学活性アルコールは医薬品、農薬等の原料または中間原料、強誘電性液晶等のファインケミカル分野の合成中間体として重要な物質であるが、十分な生理活性や特性を発現させるためには物質そのものの純度および光学的純度ともにかなり高い精度が要求される。一方、リパーゼ、リポプロテインリパーゼあるいはエステラーゼ等の酵素を用いる反応においては、通常の高温を伴う化学反応では困難な鏡像異性体の識別が可能となる。このため該酵素反応は光学純度を上げる、すなわち光学分割を行う手段として有用であり、近年、これを利用した光学活性アルコールの製造法が鋭意研究されている。
【0003】
しかしながら、現在行われている酵素反応は数日から数十日以上の非常に長時間の反応を行わなければならない(例えば特開昭62−166898号、特開昭63−273499号、特開平2−86797号各公報)。しかも、酵素反応を行える温度領域はリパーゼを用いる場合には高々20〜70℃程度、好ましくは30〜50℃であり、例えばラセミ体アルコールとエステル交換反応させるエステルはその温度領域で液状のものか溶剤に溶解させて反応させなければならない(特開昭62−166898号、特開昭63−284184号、特開平2−282340号、特開平4−349894号等の各公報)。
【0004】
したがって、エステル交換反応させるエステルとラセミ体アルコールとは沸点や融点等の物理的性状がほぼ近似したものとなることが多く、通常、未反応物や副反応物等の種々の成分を含む反応物の中から目的物質を効率良く分離回収し、その物質純度ならびに光学純度を高めるための精製手段としては物性の差を利用しづらく、他の煩雑かつ高価な工程を踏まなければならない。つまり、エステル交換反応終了後、該反応物から目的の光学活性アルコールを回収するためにはさらに加水分解反応等の処理を必要とし、また共沸蒸留や分子蒸留もしくは分取液体クロマトグラフィー等を用いて物質純度を高めているのが実情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、現在の光学活性アルコールの製造法では酵素反応を非常に長時間にわたって行わなければならないという欠点がある。さらに、酵素反応温度が実質的には30〜50℃に限られ、これに適した原料が選択されるため、反応後の目的物の分離精製工程において融点や沸点といった物性の差を利用しづらく、煩雑な方法、手段を選ばざるを得ず、目的とする光学活性アルコールを反応物から効率良く回収するために過大なコストを必要とするという問題点がある。したがって本発明は、エステル交換反応を利用する光学活性アルコールの製造法において、酵素反応を短時間で行うことができ、目的物を簡単に分離、精製でき、かつ光学活性アルコールの製造工程を簡略化できるような前記方法を開発することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を解決し、工業的に簡便かつ有利な方法で光学活性アルコールを得るために鋭意研究を行った。その結果、ラセミ体アルコールと特定のエステル類とを、耐熱性リパーゼの共存下に、高温でエステル交換(アルコリシス)反応させることにより、より好ましくは該反応を2度行わせることにより、ラセミ体アルコールから光学活性アルコールを効率的に分割できることさらにはかかる光学活性アルコールの分割方法を繰り返して行えることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明の要旨は、ラセミ体アルコールと、下記一般式(3)で表されるジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステルとを、耐熱性リパーゼ存在下、溶媒を用いることなく、かつ実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上にてエステル交換反応を行い、R体およびS体のいずれか一方に富む光学活性アルコールに分割することを特徴とする高純度光学活性アルコールの製造方法にある。
【化9】
Figure 0003606619
一般式(3)
(ただし、nは4〜8の整数)
そして好ましい実施態様の一例は、前記エステル交換反応を終了後、鏡像異性体の一方を減圧蒸留して回収し、さらにそのまま減圧状態を維持しながら同様の条件下でエステル交換反応させ、該反応によって生成、遊離する鏡像異性体の他方を減圧蒸留して回収する高純度光学活性アルコールの製造方法である。
【0008】
本発明において、光学分割を行うラセミ体アルコールは特に限定されるものではないが、2−アルカノールが分割しやすく、また好ましくは下記一般式(1)
【化10】
Figure 0003606619
一般式(1)
〔但し、式(1)中、A≠Bであり、Aはフェニル基または下記一般式(2)
【化11】
Figure 0003606619
一般式(2)
式(2)においてD、D、D、DおよびDはハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基)で表される置換基であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基またはCFまたはCN〕で表されるラセミ体アルコールであれば、以下に述べる本発明の方法により効率よく光学分割を行うことができる。
【0009】
具体的には2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール、1−フェニルエタノール、1−フェニル−1−プロパノール、エチル−3−ヒドロキシ−ブタネート、エチル−3−ヒドロキシ−プロピオネート、メチル−3−ヒドロキシ−ペンタネート、1−フェニル−1,3−プロパンジオール、2−フェニル−1−シクロヘキサノール、1−ペンチン−3−オール、1−(2−ブロモフェニル)エタノール、1−パラクロロフェニルエタノール、1−(4−クロロフェニル)エタノール、1−クロロ−2−オクタノール、1,1−ジフルオロ−2−オクタノール、1−(2,4−ジクロロフェニル)エタノール等のラセミ体アルコールがある。このうち、好ましくは2−オクタノール、1−フェニルエタノール、1−フェニル−1,3−プロパンジオール、2−フェニル−1−シクロヘキサノールであり、最も好ましくは1−フェニルエタノール、2−オクタノール、1−(2−ブロモフェニル)エタノールである。
【0010】
本発明に用いるジオールは、両末端に水酸基をもつ炭素数4〜8のアルキレングリコールであり、具体例として1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等をあげることができる。このうち1,4−ブタンジオールが好ましい。
【0011】
本発明で用いるエステルとは前記ジオールと炭素数が16以上の脂肪酸とのエステルをいい、該ジオールのパルミチン酸エステル、2−ヘキシルデカン酸エステル、パルミトオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、イソステアリン酸(2−ヘプチルウンデカン酸、エメリー社製イソステアリン酸等)エステル、オレイン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、アラキジン酸エステル、ベヘン酸エステル、エルシン酸エステル、リグノセリン酸エステル、セロチン酸エステル、モンタン酸エステル、メリシン酸エステル等を具体的に例示できる。これらのエステルは任意の割合の混合物としても使用でき、またその構成脂肪酸も植物油脂(大豆油、菜種油、オリーブ油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、パーム油等)、動物油脂(牛脂、豚脂等)、魚油(イワシ油、サンマ油、タラ肝油等)を加水分解して得られる混合脂肪酸、それらの水素添加物を用いてもよい。このうち好ましいエステルは前記ジオールのパルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、ベヘン酸エステル(いずれも直鎖状脂肪酸のエステル)であり、最も好ましくはステアリン酸エステル、ベヘン酸エステルである。また、モノエステルでもジエステルでも使用できるが、エステル交換反応の効率性の点からジエステルが望ましい。前記エステルは、望ましくは炭素数が18以上30程度までの直鎖状飽和脂肪酸で構成されるものであって、高融点(好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上)であることを特徴とする。これにより、本発明のエステル交換反応物から目的の光学活性アルコールを効率良く分離できる利点がある。
【0012】
なおラセミ体アルコールと反応させるエステルはジオールの脂肪酸エステルである必要があり、1価アルコールの脂肪酸エステルでは蒸留処理の際に不純物が混入し、高純度の光学活性アルコールが得られない。またトリグリセリドを用いるとエステル交換反応は進行するものの、リパーゼが1、3特異性である場合、生成した1,2型ジグリセリドが1,3型ジグリセリドに転移し、2段目反応で減圧操作を行っても光学活性アルコールが再び遊離することはない。さらには、4価以上の多価アルコールのエステルでは反応速度が極端に低下してしまう。
【0013】
本発明のエステル交換反応では、耐熱性リパーゼを用いることを特徴とする。これによりエステル交換反応を高温に維持して速やかに進行させることができ、さらにまた高温かつ減圧下でエステル交換反応を行うことができ、該反応を進めながら反応生成物として発生してくる光学活性アルコールを同時に回収することが可能となる。
【0014】
耐熱性リパーゼとしては、特公昭58−36953号公報に記載のアルカリゲネス(Alcaligenes )属由来のリパーゼ、特開昭59−156282号公報に記載のリゾプス キネンシス(Rhizopus chinensis)等を例示できる。本発明ではとりわけ、特公昭58−36953号公報に記載されたアルカリゲネス エスピー(Alcaligenes sp.PL−266)(微工研菌寄第3187号)が生産するリパーゼPL−266、特公昭60−15312号公報に記載のアルカリゲネス
エスピー(Alcaligenes sp. PL−679)(微工研菌寄第3783号)が生産するリパーゼPL−679が好ましく、さらには名糖産業(株)製のリパーゼPLおよびリパーゼQLとりわけリパーゼQLが望ましい。かかる耐熱性リパーゼは、活性炭、セライト、吸着性樹脂、イオン交換樹脂、セラミックス等の公知の担体に固定化してもよいが、後述するように粉末状態のままで原料に共存させることが望ましい。
【0015】
エステル交換反応は、前記したラセミ体アルコールとエステルとをラセミ体アルコールを基準にして1:5以下、好ましくは1:2〜1のモル比率で原料として混合し、該原料の溶媒を使用することなく、なおかつ実質的に水分を含まない(すなわち原料中の平衡水分含量である約0.1重量%以下、望ましくは0.05重量%以下の)反応系に、好ましくは前記リパーゼの粉末を分散させて、攪拌しながら反応を行う。このときリパーゼ粉末の粒子の90%以上が1〜100μm、好ましくは20〜50μmの大きさになるようにコントロールしてエステル交換反応を行うことが望ましい。この粒子サイズをそろえる手段としては、必要に応じて加温し溶解した原料にリパーゼ粉末を分散させた後、超音波処理、分散液の精密膜または限外濾過膜による濾過処理、遠心沈降処理等を施せばよいが、好ましくは反応温度以下、20〜150kHz 、100〜250Wの条件下で1〜30分間超音波を照射処理することが簡便である。
【0016】
反応温度は81℃以上、より好ましくは91〜130℃、最も好ましくは101〜120℃に設定し、エステル交換(本発明ではアルコリシス)反応を1回行う場合、および2回行う場合の1段目の該反応のときには、常圧状態で、緩やかに攪拌もしくは振とうしながら、反応率を例えばガスクロマトグラフィーでチェックして、所定の時間、望ましくは数時間から100時間、エステル交換反応を行わせる。反応温度が81℃を下回ると該反応の進行が遅く、逆に130℃を超えるとリパーゼの失活を招く。この反応によってラセミ体アルコールの鏡像異性体(R体またはS体)のいずれか一方が前記ジオールの脂肪酸エステルとエステル交換(アルコリシス)され、R体またはS体のいずれか一方の光学活性アルコールの脂肪酸エステルと未反応の光学活性アルコールとを生じる。かかる成分を含むエステル交換反応物はこれから耐熱性リパーゼを濾別して除去し、もしくは除去せずに減圧状態(5〜1mmHg)で前記未反応の光学活性アルコールを蒸留し、またエステル交換反応した光学活性アルコールの脂肪酸エステルを分別、再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の方法で分離し、酸またはアルカリ加水分解して、他方の光学活性アルコールを得ることができる。本発明ではこれによりR体およびS体の各光学活性アルコールを高純度化できる。
【0017】
なお、本発明では、以下に述べる実施態様がより好ましく、これによりラセミ体アルコールからR体およびS体の各光学活性アルコールの高純度品をさらに簡便に高収率で得ることが可能となる。すなわちラセミ体アルコールと、前記ジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステルとを、まず前記と同様の条件すなわち耐熱性リパーゼの存在下、溶媒を用いることなく、かつ実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上にて常圧状態でエステル交換反応(1段目反応)を行い、該反応終了後、未反応のR体またはS体のいずれか一方に富む光学活性アルコールを減圧蒸留して分離する。これにより該蒸留処理した残分中には、エステル交換したR体またはS体のいずれか一方の光学活性アルコール(減圧蒸留されなかった鏡像異性体の他方)の脂肪酸エステル、原料として用いた前記ジオールの脂肪酸エステルが部分的ないし完全に加アルコール分解された成分等が共存することになるから、1段目反応にひき続き2段目反応では前記残分をそのまま減圧状態(5〜1mmHg)に維持して、1段目反応と同様の条件下(耐熱性リパーゼの共存下、無溶媒かつ実質的無水の条件で81℃以上)でエステル交換(アルコリシス)反応させ、該反応により生成してくるR体またはS体のいずれか一方の光学活性アルコールを、望ましくは該反応を行いながらあるいは該反応終了後に減圧蒸留して分離する。ここで耐熱性リパーゼは1段目反応に用いたものをそのまま反応物に共存させて2段目反応を行わせることが簡便であるが、2段目反応開始時に新たに添加してもよい。かくしてラセミ体アルコールから高純度のR体およびS体の各光学活性アルコールを容易に高収率で分割することができる。
【0018】
また、分割した光学活性アルコールを分離した後の反応系は初期状態に戻っており、これに再び新たなラセミ体アルコールを添加して同様の処理を行えば、本発明の方法により繰り返して光学分割を行うことが可能である。すなわち前記した一連のエステル交換反応を経てR体およびS体の光学活性アルコールを分離した残分に、同種もしくは異種のラセミ体アルコールを添加し、前記同様の一連のエステル交換反応(1段または2段反応)を行わせれば、高純度の光学活性アルコール(R体およびS体)を半連続的に大量に製造することができる。
【0019】
【実施例】
以下の実施例および比較例において得られた化合物の物質純度はガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC−14A)を用いて、また光学純度は比旋光度を旋光度計(日本分光(株)製、DIP−370)を用いてそれぞれ測定し、その測定値を標準試料の値と比較することにより算出した。
【0020】
実施例1
アルカリゲネス エスピー(Alcaligenes sp.)由来のリパーゼQL (名糖産業(株)製)3g、(R,S)−1−フェニルエタノール50gおよび1,4−ブタンジオールのオレイン酸ジエステル(1,4−ブタンジオールとオレイン酸とを、パラトルエンスルホン酸を触媒とし、150〜200℃で5時間エステル化反応させて得たもの。純度:99%)270gを500mlセパラブルフラスコに入れ、室温で超音波発生装置((株)島津製作所製、SUS−103)を用いて45kHz で1分間超音波を照射した。その後、90℃にて攪拌速度350rpm で攪拌し、常圧状態で25時間エステル交換反応を行った。反応系の水分量(カールフィッシャー法):0.05重量%、リパーゼ粒子のサイズ(コールターエレクトロニクス社製の粒度分布測定装置:マルチサイザーによる測定):95%以上が20〜60μmであった。反応終了後、反応物をガスクロマトグラフィーで測定したところ、(R,S)−1−フェニルエタノールの48モル%がオレイン酸エステルに変換されていた。そのまま反応系内を90℃、1mmHgに減圧して20分間蒸留し、未反応の(S)−(−)−1−フェニルエタノール(収率:98%、物質純度:100%、光学純度:99%ee以上)を得た。さらにそのまま減圧状態を維持しながら前記リパーゼの共存下でエステル交換反応を90℃にて24時間つづけて(R)−(+)−1−フェニルエタノール(収率:89%、物質純度:100%、光学純度:99%ee以上)を減圧蒸留して分離した。
【0021】
実施例2
アルカリゲネス エスピー(Alcaligenes sp.)由来のリパーゼPL(名糖産業(株)製)5g、(R,S)−1−(p−クロロフェニル)エタノール50gおよび1,6−ヘキサンジオールのパルミチン酸ジエステル(1,6−ヘキサンジオールとパルミチン酸とを実施例1記載の方法でエステル化反応させて得たもの。純度:99%。)270gを500mlセパラブルフラスコに入れ、85℃で超音波発生装置(実施例1と同じ)を用いて45kHz で1分間超音波を照射した。その後、85℃にて攪拌速度350rpm で攪拌し、常圧状態で20時間エステル交換反応を行った。実施例1に記載の方法で測定した反応系の水分量:0.04重量%、リパーゼ粒子のサイズ:90%以上が20〜50μmであった。反応終了後、反応物をガスクロマトグラフィーで測定したところ、(R,S)−1−(p−クロロフェニル)エタノールの49モル%がパルミチン酸エステルに変換されていた。そのまま反応系内を90℃、1mmHgに減圧して30分間蒸留し、未反応の(S)−(−)−1−(p−クロロフェニル)エタノール(収率:93%、物質純度:100%、光学純度:99%ee以上)を得た。さらにそのまま減圧状態を維持しながら85℃で前記リパーゼの共存下でエステル交換反応を60時間つづけて(R)−(+)−1−(p−クロロフェニル)エタノール(収率:85%、物質純度:100%、光学純度:99%ee以上)を減圧蒸留して分離した。この一連の反応終了後、新たに(R,S)−1−(p−クロロフェニル)エタノール50gのみを加えて前記と同様の操作を合計2回繰り返した。この繰り返し操作1回目および2回目の各光学活性アルコールの収率は、(S)−(−)体が93%および91%、(R)−(+)体が85%および84%であり、両光学活性アルコールの物質純度はすべて100%であり、光学純度はすべて99%eeであった。
【0022】
実施例3
実施例1に記載のリパーゼQL3gを、(R,S)−2−オクタノール50gに入れ、室温で超音波発生装置(実施例1と同じ)を用いて45kHz で1分間超音波を照射した。その後、実施例1と同様の方法でエステル合成した1,8−オクタンジオールのステアリン酸ジエステル(純度:99%)270gを加えて500mlセパラブルフラスコで105℃にて攪拌速度350rpm で攪拌し、常圧状態で12時間エステル交換反応を行った。実施例1に記載の方法で測定した反応系の水分量:0.05重量%、リパーゼ粒子のサイズ:95%以上が20〜50μmであった。反応終了後、反応物をガスクロマトグラフィーで測定したところ、(R,S)−2−オクタノールの52モル%がステアリン酸エステルに変換されていた。そのまま反応系内を105℃、3mmHgに減圧して10分間蒸留し、未反応の(S)−(+)−2−オクタノール(収率:88%、物質純度:100%、光学純度:99%ee以上)を得た。さらにそのまま減圧状態を維持しながら110℃で前記リパーゼの共存下にエステル交換反応を24時間つづけて(R)−(−)−2−オクタノール(収率:97%、物質純度:100%、光学純度:97%ee)を減圧蒸留して得た。この一連の反応終了後、新たに(R,S)−2−オクタノール50gおよびリパーゼQL(前出)0.5gを加えて前記と同様の操作を合計5回繰り返した。この繰り返し操作1回目〜5回目の各光学活性アルコールの収率は、(S)−(+)体が89%、88%、90%、93%および87%、(R)−(−)体が96%、99%、99%、97%および98%であり、両光学活性アルコールの物質純度はすべて100%であり、光学純度は(S)−(+)体がすべて99%ee以上、また(R)−(−)体が99%ee以上、98%ee、99%ee以上、99%ee以上および98%eeであった。
【0023】
比較例1
実施例1において、1,4−ブタンジオールのオレイン酸ジエステルに代えてn−プロパノールのオレイン酸モノエステル270gを用いて同様に処理し、エステル交換反応物を同条件で減圧蒸留したところ、留出物はn−プロパノールが混在し、(S)−(−)−1−フェニルエタノールの収率:99%、物質純度:78%、光学純度:69%eeであった。さらに減圧蒸留後の残分を同条件下で処理したが留出物は得られなかった。
【0024】
【本発明の効果】
本発明によれば、ラセミ体アルコールと前記特定のジオール類の脂肪酸エステルとを、耐熱性リパーゼの共存下に高温でエステル交換(アルコリシス)反応を行わせるため、該反応が短時間に速やかに進行し、鏡像異性体の一方を簡単に高純度かつ高収率で得ることができる。さらに前記鏡像異性体の一方を分離した残分をそのまま減圧状態で同様にエステル交換(アルコリシス)反応させるため、鏡像異性体の他方が再び遊離し、該反応を行いながら同時に前記鏡像異性体の他方をも高純度かつ高収率で得ることができ、その製造工程は簡略化される。また本発明の方法は、一連の操作を終了した後に原料のラセミ体アルコールを新たに添加すれば、同様に繰り返し操作が可能であり、高純度の鏡像異性体を半連続的に高収率で大量生産する方法として好適である。

Claims (7)

  1. 2−アルカノールまたは下記一般式(1)で表される化合物のラセミ体アルコールと、下記一般式(3)で表されるジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステルとを、アルカリゲネス(Alcaligenes)属由来の耐熱性リパーゼの存在下、溶媒を用いることなく、かつ実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上にてエステル交換反応を行い、R体およびS体のいずれか一方に富む各光学活性アルコールに分割することを特徴とする高純度光学活性アルコールの製造方法。
    Figure 0003606619
    一般式(1)
    〔式(1)中、A≠Bであり、Aはフェニル基または下記一般式(2)(式(2)においてD 、D 、D 、D およびD はハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基)で表される置換基であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基〕
    Figure 0003606619
    一般式(2)
    Figure 0003606619
    一般式(3)
    (ただし、nは4〜8の整数)
  2. 2−アルカノールまたは下記一般式(1)で表される化合物のラセミ体アルコールと、下記一般式(3)で表されるジオールの炭素数16以上の脂肪酸エステルとを、アルカリゲネス(Alcaligenes)属由来の耐熱性リパーゼの存在下、溶媒を用いることなく、かつ実質的に水分を含まない条件下で、81℃以上にてエステル交換反応を行い、該反応終了後、未反応のR体またはS体のいずれか一方に富む光学活性アルコールを減圧蒸留して回収し、ついで前記減圧蒸留した残分をそのまま減圧状態に維持して、前記同様にアルカリゲネス(Alcaligenes)属由来の耐熱性リパーゼを共存させ、無溶媒かつ実質的無水の条件下で81℃以上にてエステル交換反応を行い、該反応により遊離するR体またはS体のいずれか一方に富む光学活性アルコールを回収することを特徴とする高純度光学活性アルコールの製造方法。
    Figure 0003606619
    一般式(1)
    〔式(1)中、A≠Bであり、Aはフェニル基または下記一般式(2)(式(2)においてD 、D 、D 、D およびD はハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基)で表される置換基であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基〕
    Figure 0003606619
    一般式(2)
    Figure 0003606619
    一般式(3)
    (ただし、nは4〜8の整数)
  3. 請求項1または2に記載の方法によって得られるR体およびS体の光学活性アルコールを分離した残分に新たな2−アルカノールまたは下記一般式(1)で表される化合物のラセミ体アルコールを添加し、請求項1または2に記載の方法を繰り返すことを特徴とする高純度光学活性アルコールの製造方法。
    Figure 0003606619
    一般式(1)
    〔式(1)中、A≠Bであり、Aはフェニル基または下記一般式(2)(式(2)においてD 、D 、D 、D およびD はハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基)で表される置換基であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基〕
    Figure 0003606619
    一般式(2)
  4. ジオールが1,4−ブタンジオールである請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度光学活性アルコールの製造方法。
  5. 脂肪酸が炭素数18以上の直鎖状飽和脂肪酸である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高純度光学活性アルコールの製造方法。
  6. アルカリゲネス(Alcaligenes)属由来の耐熱性リパーゼがアルカリゲネス エスピー(Alcaligenes sp.)由来のリパーゼである請求項1〜5のいずれか1項に記載の高純度光学活性アルコールの製造方法。
  7. アルカリゲネス(Alcaligenes)属由来の耐熱性リパーゼが粉末状でなおかつその粒子の90%以上が粒子径1〜100μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の高純度光学活性アルコールの製造方法。
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