JPH08149880A - 直流機のトルク制御装置及び直流機のトルク計測装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低回転時のトルク制御を安定させる。 【構成】 直流機２の電機子電圧Ｖａ，電流Ｉａ及び回
転速度Ｎを検出して、演算回路１１，１３でトルクＴを
演算し、この電気演算トルクＴをトルク制御アンプ１６
に入れ、位相制御部１７により制御整流器１のサイリス
タを位相制御して直流機をトルク制御するものにおい
て、トルク制御アンプのトルク検出値の入力側に電気演
算トルクＴと電機子電流Ｉａとを切替えるスイッチ２２
と、回転速度Ｎが定格の０〜５％になったことを検出す
るコンパレータ１２を設け、Ｎが０〜５％のときコンパ
レータ１２が出力してスイッチ２２を切替え、電機子電
流Ｉａをトルク検出として制御する。Ｎが０〜５％では
Ｎを分母とするトルクＴの演算精度が悪くなり制御が不
安定となるが、基底回転数ではＴ≒Ｉａとなるので、ト
ルク検出にＩａを使用することで、Ｎが０〜５％の範囲
の制御が安定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電気演算トルクを使用
した直流機のトルク制御装置及び直流機のトルク計測装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】シャシーダイナモメータ等における直流
機（ダイナモメータ）のトルク制御において、トルク検
出に電気演算トルクを使用する場合トルクＴを、Ｔ≒Ｋ
（Ｖａ・Ｉａ）／Ｎとして求めている。ただし、Ｖａ，
Ｉａ，Ｎは直流機電機子の電圧，電流，回転速度の検出
値。

【０００３】図２は従来電気演算トルクを使用する場合
の直流機のトルク制御装置の構成を示すブロック図で、
１は直流機２の電機子に出力する制御整流器、５は直流
機２の電機子電圧Ｖａを検出する電圧検出器、６は制御
整流器１の入力電流検出器、７は電流検出器６の出力を
整流して直流機２の電機子電流Ｉａを出力する整流器、
８は直流機２の回転軸に設けられたパルスピックアッ
プ。

【０００４】１１は検出した電機子電圧Ｖａと電機子電
流Ｉａを掛けて電気子入力Ｐ＝Ｖａ×Ｉａを出力する乗
算器、１２はパルスピックアップ８からのパルス列から
回転速度Ｎを得るＦ／Ｖ変換器、１３は電気子入力Ｐを
回転速度Ｎで割ってトルクＴを出力する除算器。

【０００５】１６はトルク設定器１５からの設定トルク
と除算器１３からの電気演算トルクとの偏差をＰＩ演算
するトルク制御アンプ、１７はトルク制御アンプ出力に
応じて前記偏差がなくなるように制御整流器１のサイリ
スタを位相制御して直流機２に設定トルクを出力させる
位相制御部である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来直流機のトル
ク制御において、回転数Ｎが定格の５％以下の零回転付
近では前記電気演算トルクを求めるトルク式の分母Ｎが
零に近くなるためトルク演算精度が悪くなるばかりか、
非常に不安定値を出力する場合がある。このためトルク
制御が不安定となっていた。

【０００７】そのため従来は直流機の回転速度が定格の
５％以下のときトルクを演算する除算器の出力に強制的
に遮断をかけて零出力とし、低回転ではトルク検出が得
られないようにしている。

【０００８】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、低回転速度時の制御を安定させることができる
直流機のトルク制御装置、及び直流機の回転速度零以上
のトルクを電気的に計測しうるようにした直流機のトル
ク計測装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、（１）本発明における直流機のトルク制御装置は、
直流機の電機子電圧，電流及び回転速度を検出してその
検出値からトルクを演算し、この電機演算トルクをトル
ク検出値としてトルク制御アンプに入力して直流機をト
ルク制御するものにおいて、前記演算したトルクと電機
子電流検出値とを切替えて前記制御アンプのトルク検出
値入力端子に入力させるスイッチと、前記回転速度検出
値が入力しこの検出値が小さくなると出力して前記スイ
ッチを電機子電流検出値側に切替えるスイッチ制御手段
を設けたことを特徴とする。

【００１０】（２）また本発明における直流機のトルク
計測装置は、直流機の電機子電圧，電流及び回転速度を
検出する回路と、前記検出した電機子電圧，電流及び回
転速度からトルクを演算するトルク演算回路と、前記演
算による電気演算トルクと前記検出した電機子電流を切
替えるスイッチと、前記回転速度検出値が入力し、この
検出値が小さくなると出力して前記スイッチを電機子電
流側に切替えるスイッチ切替手段を設けたことを特徴と
する。

【００１１】

【作用】

（１）について、通常電気演算トルクをトルク検出値と
して直流機トルク制御する。直流機回転速度が低くな
り、回転速度検出値が小さくなるとコンパレータが出力
してスイッチを切替える。これによりトルク制御アンプ
に入力するトルク検出値が電気演算トルクから電機子電
流検出値に切替えられ、電機子電流検出値をトルク検出
とする制御になる。低回転速度になると電気演算トルク
の演算精度が悪くなり制御が不安定となるが、基底回転
速度ではトルクＴはＴ≒Ｉａとなるので、低回転速度時
に電機子電流Ｉａをトルク検出として使用することで低
回転速度時の制御が安定する。

【００１２】（２）について、演算回路は検出した直流
機の電機子電圧，電流，回転速度から演算により直流機
のトルクを計測する。トルク演算の精度が悪くなる低回
転速度になるとコンパレータがスイッチを電機子電流側
に切替えてトルクＴをＴ≒Ｉａとして計測する。従って
回転速度零以上の直流機のトルクを電気的に精度よく計
測することが可能となる。

【００１３】

【実施例】本発明の実施例について図１を参照して説明
する。図１は直流機のトルク制御装置の構成を示すブロ
ック図である。なお、前記従来図２に示したものと同一
構成部分は、同一符号を付してその重複する説明を省略
する。

【００１４】図１において、２１はＦ／Ｖ変換器１２に
接続されＦ／Ｖ変換器１２からの回転速度値が定格の０
〜５％のとき出力するコンパレータ、２２はコンパレー
タ（リレー）２１の出力で切替られるスイッチ（リレー
接点）で、コンパレータ２１の出力がない場合、除算器
１３からの電気演算トルクＴをトルク制御アンプ１６に
入力させ、コンパレータ２１が出力すると整流器７から
の電機子電流Ｉａをトルク制御アンプ１６に入力させる
ように接続されている。その他の構成は従来図２に示し
たものと変わりがない。

【００１５】以上のように構成されているので、直流機
２が定格速度の５％以上で運転しているときは、直流機
２は従来図２と同様に、除算器１３から出力される電気
演算トルクが設定器１５からの設定トルクと等しくなる
ように直流機２をトルク制御する。

【００１６】直流機２が定格速度の５％以下になると、
コンパレータ２１が出力しスイッチ２２を切替えてトル
ク制御アンプ１６の検出側端子に整流器７からの電機子
電流Ｉａを入力させる。しかして、トルク制御アンプ１
６は電機子電流値Ｉａをトルク検出として直流機をトル
ク制御する。

【００１７】ここで、基本的には回転速度５％以下では
Ｔ≒Ｉａとなるので、Ｉａをトルク検出信号とすること
によって、０〜５％のトルク制御ができる。スイッチ２
２はコンパレータ２１により自動的に切替るので回転速
度が定格の０〜１００％まで、スムーズに精度よくトル
ク制御することが可能となる。

【００１８】本発明は、エンジンダイナモ設備、パワー
トレイン系の駆動又は吸収体のダイナモ設備、シャシー
ダイナモ設備における直流機のトルク制御に適用でき
る。

【００１９】上記実施例は直流機のトルク制御装置に関
するものであるが、実施例におけるトルク検出回路をト
ルク制御に使用せずに直流機のトルク計測回路としてダ
イナモメータのトルク計測設備に付加することができ
る。

【００２０】

【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次に記載する効果を奏する。

【００２１】（１）トルク検出に電気演算トルクを使用
した速応性のよいダイナモメータ設備のトルクの制御又
は計測が定格速度の０〜１００％の範囲においてスムー
ズに精度よく行うことができる。

【００２２】（２）シャシーダイナモメータのような車
速０から走行抵抗制御を行う場合の発進時ジャンピング
のような不安定要素を解消できる。

【００２３】（３）従来装置にコンパレータとこのコン
パレータにより制御される切替スイッチを設けるだけで
あるので、簡単にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例にかかるトルク制御装置の回路
構成を示すブロック図。

【図２】従来例にかかるトルク制御装置の回路構成を示
すブロック図。

【符号の説明】

１…制御整流器 ２…直流機 １１…乗算器 １２…Ｆ／Ｖ変換器 １３…除算器 １６…トルク制御アンプ １７…位相制御部 ２１…コンパレータ（リレー） ２２…切替スイッチ（リレーの接点）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 直流機の電機子電圧，電流及び回転速度
   を検出してその検出値からトルクを演算し、この電気演
   算トルクをトルク検出値としてトルク制御アンプに入力
   して直流機をトルク制御するものにおいて、 前記演算したトルクと電機子電流検出値とを切替えて前
   記制御アンプのトルク検出値入力端子に入力させるスイ
   ッチと、 前記回転速度検出値が入力しこの検出値が小さくなると
   出力して前記スイッチを電機子電流検出値側に切替える
   スイッチ制御手段と、 を設け、低回転速度時に電機子電流をトルク検出として
   トルク制御することを特徴とした直流機のトルク制御装
   置。
2. 【請求項２】 直流機の電機子電圧，電流及び回転速度
   を検出する回路と、 前記検出した電機子電圧，電流及び回転速度からトルク
   を演算するトルク演算回路と、 前記演算による電気演算トルクと前記検出した電機子電
   流を切替えるスイッチと、 前記回転速度検出値が入力し、この検出値が小さくなる
   と出力して前記スイッチを電機子電流電流側に切替える
   スイッチ切替手段と、 を備えてなり、回転速度零以上のトルクを電気的に計測
   しうるようにしたことを特徴とした直流機のトルク計測
   装置。