JPH08145485A

JPH08145485A - 再生熱交換器

Info

Publication number: JPH08145485A
Application number: JP28385694A
Authority: JP
Inventors: Takahiro Nakamura; 隆広中村; Takafumi Nakayama; 隆文中山
Original assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Current assignee: Sanyo Electric Co Ltd
Priority date: 1994-11-17
Filing date: 1994-11-17
Publication date: 1996-06-07

Abstract

(57)【要約】【目的】冷凍システム、動力源等に用いられる再生熱
交換器の伝熱性能を向上させ、冷凍システム、動力源等
の性能を向上させる。【構成】再生熱交換器に充填される金属の表面に微細
な凹凸を設ける。又、該凹凸は、化学エッチング処理に
より行なう。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スターリング冷凍機、
パルスチューブ冷凍機等の、ガスの膨張を利用して冷凍
を発生させる冷凍システム、及びスターリングエンジン
等のガスの膨張を利用して動力を発生させるシステムに
用いられる再生熱交換器に関し、特に再生熱交換器の伝
熱性能の向上に関する。

【０００２】

【従来の技術】冷媒ガスの膨張及び圧縮を利用して冷凍
を発生させるスターリング冷凍機(２)、パルスチューブ
式冷凍機等の冷凍システムに於て、再生熱交換器(蓄冷
器)(１)は、冷凍システムの膨張室(４)と圧縮室(３)間
の冷媒ガス流路(21)中に設けられ、移動する冷媒ガスの
熱を蓄熱及び放熱して、冷凍システムの能力を向上させ
る装置である。スターリングエンジン等のガスの膨張及
び圧縮を利用して動力を発生させるシステムに於ても同
様に、再生熱交換器は、膨張室と圧縮室間のガスの流路
中に設けられ、移動するガスの熱を蓄熱及び放熱する。

【０００３】以下では、再生熱交換器(１)を配備したス
ターリング冷凍機(２)について詳述する。図５に示す如
く、スターリング冷凍機(２)の構成は、圧縮ピストン(3
1)を配備した圧縮室(３)と、膨張ピストン(41)を配備し
た膨張室(４)が、ケーシング(23)によって包囲され、圧
縮室(３)と膨張室(４)はガス流路(21)によって接続され
ており、圧縮室(３)と膨張室(４)のケーシング(23)の外
壁には夫々熱交換を行なうための熱交換器(34)(44)が配
備されている。ガス流路(21)と、各ピストン(31)(41)に
よって閉じられた圧縮室(３)と膨張室(４)によって形成
される密閉空間には、ヘリウム、水素、窒素等の冷媒ガ
スが封入されている。図５に示す如く、ピストン(31)(4
1)には、夫々Ｏリング(35)(45)が配備され、冷媒ガスの
流出を防止しており、又、圧縮ピストン(31)が膨張ピス
トン(41)よりも９０度位相が早くなるようにずらして、
夫々ピストンロッド(32)(42)を介してコネクティングロ
ッド(33)(43)によりクランク軸(22)に接続されている。
クランク軸(22)は、モータ等の動力源(図示せず)に接続
されており、該動力源の駆動によりクランク軸(22)が回
転駆動する。

【０００４】再生熱交換器(１)は、圧縮室(３)と膨張室
(４)を接続する前記ガス流路(21)中に配備される。再生
熱交換器(１)は、図３に示す如く、直径略40μm〜50μm
の金属線(12)を間隔が、一辺の長さ100〜150μmの略矩
形となるように編み込んだ金属メッシュ(11)を、300〜4
00枚程度積層し、加圧又は加圧後、焼結を行なって形成
されてガス流路(21)中に配置され、該ガス流路(21)の外
壁を断熱材(図示せず)で包囲して形成される。再生熱交
換器(１)に利用される金属としては、発生する冷凍の温
度によって、ステンレス鋼(略−200℃以上)、銅(略−22
0℃以上)、鉛(略−250℃以上)等が用いられる。再生熱
交換器(１)に充填される金属の種類が同一であれば、該
金属の表面積の増加に比例して、再生熱交換器(１)の伝
熱性能は上昇する。

【０００５】スターリング冷凍機(２)の動作原理を、以
下で説明する。尚、図４は、冷媒ガスの温度−エントロ
ピ線図(Ｔ−ｓ線図)を示している。スターリング冷凍機
(２)は、動力源の回転駆動により、クランク軸(22)が回
転し、該クランク軸(22)の回転により、クランク軸(22)
に係合された圧縮ピストン(31)及び膨張ピストン(41)が
往復運動を開始する。尚、以下では、圧縮ピストン(31)
及び膨張ピストン(41)の往復運動について、クランク軸
(22)の方向に近づく移動を「降下」、クランク軸(22)か
ら遠ざかる方向の移動を「上昇」と呼ぶ。

【０００６】クランク軸(22)の回転により、図５の位置
にある膨張ピストン(41)は、降下を開始し、膨張室(４)
の容積を拡大させる(等温膨張)。圧縮ピストン(31)は下
死点付近にある。膨張室(４)の容積が拡大することによ
り、膨張室(４)内の冷媒ガスが膨張し、該冷媒ガスの温
度が低下して、膨張室側熱交換器(44)を介して外部から
熱を奪い、外部に冷凍を発生させる(図４の段階Ａ)。

【０００７】図６に示す如く、膨張ピストン(41)が下死
点付近まで降下すると、圧縮ピストン(31)が上昇を開始
する(図４の段階Ｂ)。圧縮ピストン(31)の上昇に伴っ
て、圧縮室(３)内の冷媒ガスが圧縮され、該冷媒ガスの
温度が上昇するが、圧縮室側熱交換器(34)を介して外部
に熱を放出するため、圧縮室(３)内の冷媒ガスの温度は
略50℃に保たれる(図４の段階Ｃ、図７)。圧縮ピストン
(31)の上昇により、圧縮室(３)から略50℃に保たれた冷
媒ガスが、冷媒ガス流路(21)を経て膨張室(４)に流入す
る。このとき、冷媒ガスは、冷媒ガス流路(21)に設けら
れた再生熱交換器(１)を通過し、金属線(12)が熱を吸収
し、略−50℃となって、膨張室(４)に流入する。圧縮ピ
ストン(31)が上死点付近まで上昇すると、膨張ピストン
(41)が上昇を開始する。

【０００８】図８に示す如く、膨張ピストン(41)が上死
点付近まで上昇すると、圧縮ピストン(31)が降下を開始
する。膨張室(４)内で略−50℃となっている冷媒ガス
が、圧縮ピストン(31)の降下により、圧縮室(３)に流入
する(図４の段階Ｄ)。このとき、冷媒ガスは、再生熱交
換器(１)で熱交換を行ない、略50℃となって圧縮室(３)
に流入する。上記した工程によって、一つのサイクルが
終了し、この工程がクランク軸(22)の回転によって繰り
返される。又、スターリング冷凍機(２)の稼働中に、再
生熱交換器(１)は、図９に示す如く、圧縮室(３)側から
膨張室(４)に向かって、略50℃から略−50℃に線形の温
度勾配を保っている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】スターリング冷凍機
(２)等の再生熱交換器(１)を利用するシステムに於て、
該システムの性能を向上、即ち、冷凍システムに於ては
冷凍能力の向上、動力システムに於ては動力損失の低下
を行なうためには、再生熱交換器(１)の伝熱性能を向上
させることが不可欠である。

【００１０】再生熱交換器(１)の伝熱性能を向上させる
ためには、再生熱交換器(１)を構成する金属とガスとの
接触面積を増大することが考えられる。そこで、発明者
は、メッシュ状に編み込まれた金属線の径を太くするこ
とによって、金属線の表面積を拡大し、ガスとの接触面
積の拡大を図ったが、ガスの流路が狭くなり、冷媒ガス
が流路を通過する際の圧力損失が大きくなった。圧力損
失の増大は、冷凍システムに於ては、冷凍性能の低下を
招くため望ましくない。又、太径の金属線によって構成
される金属メッシュを積層し、加圧を行なわず、一定間
隔を開けることによって圧力損失の低下を図ってみた
が、システムに於ける再生熱交換器(１)の容積が大きく
なってしまった。再生熱交換器(１)は、冷凍システム等
の構成要素のうち圧縮及び膨張を行なわない無効容積部
分であるため、再生熱交換器(１)の容積の拡大は、無効
容積の拡大となり、圧力損失を招く。

【００１１】又、発明者は、金属線をメッシュ状に編み
込んだ金属メッシュの表面をヤスリで削り、表面に凹凸
を設けることによって、表面積の拡大を図ったが、ヤス
リによって削られるのは、金属メッシュの表面だけであ
って、金属メッシュの内部には凹凸が出来ないため効果
が薄かった。

【００１２】本発明の目的は、冷凍システム、動力源等
に用いられる再生熱交換器の伝熱性能を向上させ、冷凍
システム、動力源等の性能を向上させることである。

【００１３】

【課題を解決する為の手段】そこで、本発明の再生熱交
換器に於ては、再生熱交換器に充填される繊維状の金
属、粒子状の金属、又は、メッシュ状に編まれた金属線
の表面に微細な凹凸を設ける。又、前記金属の表面の微
細な凹凸は、化学エッチング処理によって行なう。

【００１４】

【作用及び効果】再生熱交換器に充填される金属の表面
に微細な凹凸を設けることにより、ガスの流路を狭める
ことく、金属の表面積が拡大するため、ガスとの接触面
積が増大し、再生熱交換器の伝熱性能が向上する。又、
金属線を編み込んで金属メッシュとし、該金属メッシュ
を積層し、加圧して筒状の再生熱交換器を作製した後で
も、化学エッチング処理によって、金属の表面に微細な
凹凸を設けることが出来る。更に、従来の再生熱交換器
に充填されていた金属に、化学エッチング処理を施すこ
とにより、表面積が拡大すると共に、ガスの流路が拡大
するため、再生熱交換器の伝熱性能が向上する。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の一実施例につき、図面に沿っ
て詳述する。尚、以下の説明では、本発明の再生熱交換
器(１)の加工方法及び加工後の再生熱交換器(１)を、ス
ターリング冷凍機に適用した場合について述べる。又、
スターリング冷凍機(２)の構成及び動作原理は、従来と
同様であるため省略する。

【００１６】本発明の再生熱交換器(１)は、図３に示す
如く、平均径が略40μm〜50μmのステンレス鋼の金属線
(12)を金属線(12)の間隔が、一辺の長さ100〜150μmの
略矩形となるようにメッシュ状に編み込み、直径略30mm
とした金属メッシュ(11)を、塩化第二鉄(ＦｅＣｌ₃)と
塩酸(ＨＣｌ)と水(Ｈ₂Ｏ)を１：１０：２０で混合した
エッチング液に２分間浸漬した。金属メッシュ(11)をエ
ッチング処理した結果、金属線(12)の表面に図１に示す
ごとき微細な凹凸が作製され、金属線(12)の表面積が処
理前に比べて略40％増大した。

【００１７】金属線(12)の表面をエッチング処理した金
属メッシュ(11)を図２に示す如く、積層して、加圧し、
その後略1000〜1100℃、60分間で焼結を行ない筒状の再
生熱交換器(１)を作製した。尚、再生熱交換器(１)の伝
熱性能を比較するために、金属メッシュ(11)の積層枚数
を、400枚、360枚、320枚、280枚、240枚と10％ずつ減
少させて、従来の再生熱交換器と比較実験を行なった。

【００１８】［比較実験］上記化学エッチング処理によ
り表面処理された金属メッシュ(11)の積層枚数を400
枚、360枚、320枚、280枚、240枚と10％ずつ変化させた
再生熱交換器(１)と、従来の表面処理を行なっていない
金属メッシュを400枚積層した再生熱交換器とを、夫々
スターリング冷凍機(２)の圧縮室(３)と膨張室(４)とを
接続するガス流路(21)中に配備し、スターリング冷凍機
(２)を稼働させて、従来の再生熱交換器と同様の伝熱性
能を発揮したときの、再生熱交換器(１)の金属メッシュ
(11)の積層枚数を測定し、伝熱性能が向上しているか否
かを測定した。実験結果は、以下の通りである。

【００１９】［実験結果］実験の結果、図１０に示す如
く、化学エッチング処理を行なった金属メッシュ(11)を
400枚、360枚、320枚積層した再生熱交換器(１)につい
ては、従来の再生熱交換器よりも伝熱性能が向上した。
又、金属メッシュ(11)を280枚積層した再生熱交換器
(１)については、従来の金属メッシュを400枚積層した
再生熱交換器と略同等の伝熱性能を示した。更に、金属
メッシュ(11)を240枚積層した再生熱交換器(１)につい
ては、従来の再生熱交換器よりも伝熱性能が低下してい
た。即ち、本発明の再生熱交換器(１)は、従来の再生熱
交換器と同様の伝熱性能を発揮するためには、金属メッ
シュ(11)の枚数を、略30％減少させることが出来ること
が解った。これに伴って、再生熱交換器(１)の容積を略
30％減少させることが出来るため、スターリング冷凍機
(２)に於ける、再生熱交換器(１)の占める容積が減少
し、冷媒ガスの圧縮及び膨張に関与しない無効容積が減
少するため、スターリング冷凍機(２)の冷凍性能も上昇
することが解る。

【００２０】上記実施例では、本発明の再生熱交換器
(１)をスターリング冷凍機(２)に適用した例を述べた
が、本発明の再生熱交換器(１)が、スターリング冷凍機
(２)に限定されず、パルスチューブ冷凍機等の冷凍シス
テム、スターリングエンジン等の動力源等に適用できる
ことは明白である。

【００２１】上記実施例の説明は、本発明を説明するた
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本
発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲
に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは
勿論である。

【００２２】例えば、再生熱交換器(１)に充填される金
属の表面に凹凸を設ける方法は、上記実施例に挙げた化
学エッチング処理に限定されず、鉄酸化細菌等のバクテ
リアを用いて、金属の表面に微細な凹凸を設けることも
出来る。又、予め微細な凹凸を設けた金属線をメッシュ
状に編み込んで金属メッシュを形成することも出来る
し、金属メッシュを積層して、加圧、焼結した後に、化
学エッチング処理を行なってもよい。更に、再生熱交換
器(１)に充填される金属は、ステンレス鋼に限定され
ず、銅、鉛等にも本発明は適応することが出来るし、形
状もメッシュ状に限定されず、繊維状、粒子状等とする
ことが出来る。

【００２３】再生熱交換器(１)に充填される金属の表面
の凹凸は、充填される金属が線状である場合には、金属
線の最大直径と最小直径の差が、最大直径に対して、略
５〜10％となるような凹凸を設けることが望ましく、
又、充填される金属が粒子状である場合には、粒子の最
大直径と最小直径の差が、最大直径に対して、略５〜10
％となるような凹凸を設けることが望ましい。

【図面の簡単な説明】

【図１】化学エッチング処理した金属メッシュの部分拡
大図である。

【図２】金属メッシュを積層して、加圧後焼結した再生
熱交換器の斜視図である。

【図３】化学エッチング処理を行なっていない従来の金
属メッシュの拡大図である。

【図４】冷媒ガスのＴ−ｓ線図である。

【図５】図４の段階Ａにおけるスターリング冷凍機のピ
ストンの配置を示す断面図である。

【図６】図４の段階Ｂにおけるスターリング冷凍機のピ
ストンの配置を示す断面図である。

【図７】図４の段階Ｃにおけるスターリング冷凍機のピ
ストンの配置を示す断面図である。

【図８】図４の段階Ｄにおけるスターリング冷凍機のピ
ストンの配置を示す断面図である。

【図９】再生熱交換器及び再生熱交換器周辺の冷媒ガス
流路の温度勾配を示す図である。

【図１０】実験結果を示す図である。

【符号の説明】

(１) 再生熱交換器 (11) 金属メッシュ (12) 金属線 (２) スターリング冷凍機 (３) 圧縮室 (４) 膨張室

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】繊維状の金属を充填してなる再生熱交換
器に於て、金属の表面に微細な凹凸を設けることを特徴
とする再生熱交換器。
【請求項２】粒子状の金属を充填してなる再生熱交換
器に於て、金属の表面に微細な凹凸を設けることを特徴
とする再生熱交換器。
【請求項３】金属線を編み込んだメッシュを積層して
なる再生熱交換器に於て、金属の表面に微細な凹凸を設
けることを特徴とする再生熱交換器。
【請求項４】金属の表面の微細な凹凸は、化学エッチ
ング処理によることを特徴とする請求項１乃至請求項３
記載の再生熱交換器。