JPH08144242A - 壁体の間隔保持施工法および施工装置 - Google Patents

壁体の間隔保持施工法および施工装置

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JPH08144242A
JPH08144242A JP7049313A JP4931395A JPH08144242A JP H08144242 A JPH08144242 A JP H08144242A JP 7049313 A JP7049313 A JP 7049313A JP 4931395 A JP4931395 A JP 4931395A JP H08144242 A JPH08144242 A JP H08144242A
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tie
rod
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修治 雪谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 壁体連結具を支える資材を不要とするととも
に、施工工数を少なくし、工期短縮、低コスト化、安全
性、省力化、省人化、省エネルギー化等を図る。 【構成】 施工装置21を用いて壁体連結具であるタイ
ロッド3の本体部ロッド12を吊し、壁体2に定着用ナ
ット10により仮止めしている端部ロッド8とリングジ
ョイント13により連結する。タイロッド3を施工装置
21により水平方向でほぼ直線状に保持した状態で、定
着用ナット10を締め付けてタイロッド3を壁体2間に
水平方向でほぼ直線状に取付ける。取付け後、施工装置
21をタイロッド3から外して除去し、タイロッド3を
残す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、河川や港湾の埋立等に
際し、矢板、鋼管杭等を連続状態で打設し、若しくは圧
入して構築した対向する仕切壁等、各種の壁体の間を壁
体連結具により連結して壁体の間隔を保持するために用
いる壁体の間隔保持施工法および施工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】河川や港湾の埋立等に際しては、図21
に示すように、例えば、鋼矢板1を平行して直線状に連
結状態で連続的に打設し、若しくは圧入して壁体(仕切
壁)2を構築し、これら壁体2の間にごみ、土砂等を投
入する。このとき、壁体2が投入されるごみ、土砂等に
よる内圧により外方へ倒れないように壁体2の間隔を保
持するため、対向する壁体2の所望間隔ごと、すなわ
ち、所望枚数ごとの対向する鋼矢板1間をタイロッド3
により連結する。壁体2の間隔は6m〜36m程度に設
定され、タイロッド3は壁体2の間隔に対応する長さで
棒径が25mm〜90mmのものを用いる場合が多い。
【0003】壁体2の間隔が15m以上と広く、長尺で
46mm以上の比較的径の大きいタイロッド3を用いる
必要がある場合、鋼矢板1間をタイロッド3のみで連結
すると、タイロッド3が自重により下方へ撓んで直線状
に保持することができず、タイロッド3の引張り力を軸
線方向に正しく作用させることができない。そこで、従
来においては、まず、壁体2の内側で所望間隔、例え
ば、5mごとに多数の鋼管からなる支持杭4を2列に打
設し、両列の支持杭4同士をH型鋼からなる補強ビーム
5により連結し、各列の支持杭4の側部間にH型鋼から
なる支持ビーム6を連結し、両支持ビーム6の上面を水
平に保つ。次に、タイロッド3における端部ロッド8を
クレーンにより吊し、鋼矢板1およびその外側に水平方
向で取付けられた腹起し9に挿通して定着用ナット10
により仮止めする。次に、タイロッド3におけるターン
バックル11で連結された本体部ロッド12をクレーン
により吊し、その両端部を端部ロッド8の先端部とリン
グジョイント13により連結する。その後、タイロッド
3を両支持ビーム6上に乗せ、水平を保った状態で定着
用ナット10を締め付けることにより、タイロッド3を
鋼矢板1および腹起し9、すなわち、壁体2間に水平方
向で直線状に取付け、タイロッド3の引張り力を軸線方
向に正しく作用させるようにする。タイロッド3は、以
下、上記と同様にして順次、所望間隔、例えば、160
cmごとに壁体2間に水平方向で直線状に取付ける。
【0004】壁体2の間隔が15m以下で比較的狭く、
タイロッド3の棒径が46mm以下の比較的軽量で、し
かも、比較的短い場合には、壁体2間をタイロッド3の
みで連結する場合もある。
【0005】従来、タイロッド3に代えて壁体2間をタ
イロープ(タイワイヤ、タイケーブル)により連結する
方法もあり、この場合には、前者の例のような支持杭
4、補強ビーム5、支持ビーム6を用いていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例のうち、タイロッド3とその支持手段を用いた方法
では、鋼矢板1の引張り力における信頼性には優れてい
るが、多数の資材を必要とするばかりでなく、多数の高
価な資材を埋殺しにして使用し、また、施工工数が多く
なり、更には多数の作業員や機械を必要とする。したが
って、施工費が高くなり、工事期間が長くなるばかりで
なく、安全性、省力化、省人化、省エネルギー化等を図
ることがきないという問題があった。
【0007】タイロッド3のみを用いた方法では、タイ
ロッド3の複数箇所にワイヤロープの一端を連結し、ワ
イヤロープの他端をクレーンのフックに掛けて吊した状
態でタイロッド3を壁体2に取付けるが、タイロッド3
は吊した状態で水平方向の直線状に保持していないた
め、波打った状態となり、この状態で定着用ナットを締
め付けたり、中間部のターンバックルを調整しても水平
方向でほぼ直線状に緊張させることはできない。また、
ワイヤロープのタイロッド3に対する連結作業は勿論の
こと、取外し作業にも手数を要するだけでなく、危険を
伴い、施工能率に劣るなどの問題があった。
【0008】タイロープを用いた方法では、タイロッド
3に比べて素材重量が軽いものの、中間部を支えていな
いため、自重により撓みを生じ、結局、水平方向で直線
状に張ることができず、しかも、タイロッドのみの施工
法と同様、施工能率に劣るなどの施工上の問題がある。
鋼矢板1の引張り力を正しく作用させるには、タイロッ
ド3の場合と同様、支持手段を用いる必要があり、結
局、上記と同様に施工費、工事期間、安全性等の問題が
生じる。
【0009】本発明は、上記のような従来の問題を解決
するものであり、壁体連結具を支える資材を不要にする
とともに、施工工数を少なくして壁体連結具をほぼ直線
状に保持した状態で壁体間に取付け、壁体連結具の引張
り力をほぼ軸線方向に正しく作用させるようにすること
ができ、したがって、工期短縮、低コスト化、安全性、
省力化、省人化、省エネルギー化等を図ることができる
ようにした壁体の間隔保持施工法および施工装置を提供
することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の壁体の間隔保持施工法は、対向する壁体の上
部において、施工装置により壁体連結具をほぼ直線状に
保持した状態で、この壁体連結具を上記壁体間に取付
け、取付け後、上記施工装置の少なくとも本体部を上記
壁体連結具から外して除去するようにしたものである。
【0011】上記技術的手段における施工装置を対向す
る壁体の上端に取外し可能に載せた状態で壁体連結具を
ほぼ直線状に保持することができる。
【0012】そして、上記各技術的手段において、壁体
連結具としてタイロッドを用いることができ、このタイ
ロッドは壁体の穴に挿通させた端部のねじ部に定着用ナ
ットを螺着して壁体間に取付けることができ、またはタ
イロッドは両端の連結部を壁体に取付けた連結部に連結
具により連結して壁体間に取付けることができ、または
タイロッドは両端の係合部を壁体に取付けた係合部に係
合して壁体間に取付けることができる。また、壁体連結
具としてタイロープを用いることができる。
【0013】上記目的を達成するための本発明の壁体の
間隔保持施工装置は、吊下げ台と、この吊下げ台の長手
方向に沿う複数箇所から下垂される吊下げ部材と、各吊
下げ部材の先端に取付けられ、壁体連結具を解放可能に
保持する保持手段とを備えたものである。
【0014】上記技術的手段における吊下げ台の両端部
を対向する壁体の上端に取外し可能に載置することがで
きる。
【0015】上記技術的手段における吊下げ部材は自身
に備えた長さ可変手段により長さを変えるようにするこ
とができる。
【0016】上記技術的手段における吊下げ部材は長さ
可変手段により吊下げ台から下垂される長さを変えるよ
うにすることができる。
【0017】上記技術的手段における少なくとも壁体側
寄り位置の保持手段は、一対の保持部材と、これらの保
持部材を先端側の壁体連結具の保持部より基部側の重量
が大きくなるように中間部で回動可能に連結する連結手
段と、上記一対の保持部材を壁体連結具の保持状態で解
放可能にロックするロック手段とを備えることができ
る。
【0018】上記技術的手段における中間部の保持手段
は、壁体連結具を下方から係合状態で保持することがで
き、下降持に壁体連結具から離脱することができるフッ
ク状に形成することができる。
【0019】
【作用】本発明によれば、施工装置を用いて壁体連結具
をほぼ直線状に保持した状態で壁体間に取付け、壁体連
結具の引張り力をほぼ軸線方向に正しく作用させるよう
にし、壁体連結具の取付け後、施工装置の少なくとも本
体部を壁体連結具から外して除去するようにしている。
このように壁体連結具を支える資材を不要とすることが
できるとともに、施工工数を少なくすることができる。
【0020】そして、施工装置を対向する壁体の上端に
取外し可能に載せるようにすれば、水上作業船のように
揺れる状態で施工する場合でも壁体連結具を揺れの影響
を受けることなく、確実に安定状態に吊すことができ
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。まず、本発明の第1の実施例について
説明する。図1ないし図4は本発明の第1の実施例にお
ける壁体の間隔保持施工法および施工装置を示し、図1
は施工装置を用いて壁体連結具であるタイロッドの本体
部ロッドを壁体の上部間に吊した状態の一部破断正面
図、図2は施工装置によりタイロッドをほぼ直線状に保
持して壁体間に取付けた状態の一部破断正面図、図3は
タイロッドの取付け後、施工装置をタイロッドから除去
した状態の一部破断正面図、図4(a)、(b)はそれ
ぞれ施工装置の先端の保持手段を示す拡大側面図、拡大
正面図である。
【0022】図1ないし図4に示すように、本実施例の
壁体連結具であるタイロッドの施工装置21は、横方向
に配置される吊下げ台22、ワイヤロープ23、シャッ
クル24等の吊下げ部材、保持手段25等から構成され
る。吊下げ台22は、例えば、H型鋼から成り、上フラ
ンジと下フランジが左右に配置されるように用いられ、
ウエブの長手方向の複数箇所、図示例では両側部と中間
部2箇所の計4箇所にアイプレート26が固定されてい
る。ワイヤロープ23はその両端に連結環27、28が
形成されている。保持手段25は一対の保持部材29、
30の中間部が軸31により回動可能に連結され、先端
側の保持部32、33が互いに協力してタイロッド3を
円周上から包囲するように中間部でほぼ直角に折れ曲が
るように形成され、各保持部32、33の内側に歯34
が軸31と平行方向で多数形成されている。軸31の一
側の雄ねじ35には操作部材36の基部の雌ねじ37が
螺合されている。そして、操作部材36をいずれかの方
向へ回動させることにより、軸31に沿って移動させ、
これに伴い、保持部材29、30を軸31の頭部38に
対して押圧し、回動しないようにロックし、若しくは保
持部材29、30に対する押圧力を解放してロック解除
し、保持部材29、30の回動を許すようになってい
る。保持部材29、30は、基端部が肉厚に形成され、
軸31に対して先端側の保持部32、33より基部側の
重量が大きくなるように設定され、ロック解除状態では
保持部32、33を解放する方向に回動するのを許すよ
うになっている。軸31のねじ部35の先端部には抜け
止め用のナット39が螺合されている。
【0023】ワイヤロープ23の一方の連結環27がシ
ャックル24によりアイプレート26に取外し可能に係
止され、他方の連結環28が各保持部材29、30の基
部に穴40、41を利用して回動可能に取付けられた連
結環42、43に連結されている。吊下げ台22の上フ
ランジと下フランジの上部両側部に形成された穴44に
ワイヤロープ45が掛けられ、施工装置21はワイヤロ
ープ45を利用してクレーン等により吊されるようにな
っている。保持部材29、30は軸31の先方の保持部
32、33側より軸31の後方側が重くなるように設定
されているので、操作部材36の操作により保持部材2
9、30に対する押圧力を解放するとともに、ワイヤロ
ープ23を緩めることにより、保持部材29、30は自
身で保持部32、33側が開放方向に回動される。
【0024】次に、本発明の第1の実施例における壁体
の間隔保持施工法について図1ないし図3を参照しなが
ら上記施工装置21の動作と共に説明する。まず、壁体
連結具であるタイロッド3における一方の端部ロッド8
をクレーンにより吊し、図1に示すように、一側の壁体
(仕切壁)2を構成する鋼矢板1の上部に形成された穴
46および腹起し9に挿通させ、端部ロッド8の外方突
出部にワッシャー47を介して定着用ナット10を螺合
させて端部ロッド8を仮止めする。続いて上記と同様に
して他方の端部ロッド8を他側の壁体(仕切壁)2を構
成する鋼矢板1の上部に形成された穴46および腹起し
9に挿通させ、端部ロッド8の外方突出部にワッシャー
47を介して定着用ナット10を螺合させて端部ロッド
8を仮止めする。
【0025】次に、施工装置21における各保持部材2
9、30の歯34を有する保持部32、33によりタイ
ロッド3の本体部ロッド12を保持させ、操作部材36
を回動させ、保持部材29、30を回動しないようにロ
ックして本体部ロッド12を保持した状態に固定し、ワ
イヤロープ45を利用して施工装置21および本体部ロ
ッド12をクレーンにより壁体2に対する取付け位置、
すなわち、端部ロッド8の間に吊す。
【0026】次に、図2に示すように、施工装置21を
用いて本体部ロッド12を吊した状態で、この本体部ロ
ッド12の両端を仮止めしてある端部ロッド8とリング
ジョイント13により連結する。そして、施工装置21
により本体部ロッド12の軸心を端部ロッド8の軸心と
ほぼ一致させることができるように水平方向にセットす
る。このようにタイロッド3を水平方向でほぼ直線状に
保持した状態で、定着用ナット10を締め付けるなどに
より、タイロッド3を緊張させて鋼矢板1間に水平方向
でほぼ直線状に連結状態に取付け、タイロッド3が自重
により下方へ向かって突出するように湾曲するのを防止
してタイロッド3を水平な直線状態に保ち、タイロッド
3の引張り力をほぼ軸線方向に正しく作用させるように
する。
【0027】タイロッド3の取付け後、操作部材36を
逆方向に回動させて保持部材29、30のロックを解除
し、吊下げ台22等を下降させてワイヤロープ23を緩
めることにより、上記のように施工装置21はその保持
手段25の保持部材29、30が自身で保持部32、3
3側を開放するように回動し、タイロッド3から自然に
外れる。
【0028】したがって、施工装置21をタイロッド3
から除去することにより、図3に示すように、タイロッ
ド3を壁体2の間に水平方向でほぼ直線状に取付けた状
態に残すことができる。以下、上記と同様にして所望枚
数ごとの鋼矢板1および腹起し9同士を水平方向でほぼ
直線状態に保持されたタイロッド3により連結すること
により作業を完了する。
【0029】そして、投入物により壁体2内の埋立を行
うことができる。この間、タイロッド3は施工装置21
を除去しても当初にほぼ直線状に保持してほぼ緊張状態
に取付けているので、中間部が下方に湾曲し難く、長尺
の場合にはやや下方へ湾曲するおそれがあるが、壁体2
内の埋立に伴い、壁体2が少し外方へ傾斜することによ
りタイロッド3が水平方向で直線状に緊張され、軸線方
向に正しく作用することになり、実用上、問題はない。
したがって、タイロッド3は最初の取付けに際し、後の
埋立に伴う壁体2の外方への傾斜を考慮して少し下方へ
撓ませて湾曲させておいてもよい。
【0030】なお、タイロッド3における端部ロッド8
も施工装置21を用いて吊すことができる。
【0031】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。図5は本発明の第2の実施例における壁体の間隔
保持施工法および施工装置を示す正面図である。本実施
例においては、主として特徴を有する部分について説明
し、上記第1の実施例の施工装置および施工法と同一部
分についてはその説明を省略する。
【0032】図5に示すように、本実施例で用いる施工
装置50は、ワイヤロープ51、保持手段25等から構
成される。ワイヤロープ51は上記第1の実施例よりや
や長く形成され、その両端に連結環52、53が形成さ
れている。複数本(図示例では5本)のワイヤロープ5
1の一端の連結環52がまとめられて一つの吊環54に
連結され、他端の連結環53が保持手段25の保持部材
29、30の連結環42、43に連結されている。
【0033】上記構成の施工装置50を用いるには、保
持手段25により本体部ロッド12と端部ロッド8をリ
ングジョイント13で連結したタイロッド3を保持した
状態でロックし、吊環54を利用してクレーンにより壁
体2に対する取付け位置に吊すことができる。そして、
一方の端部ロッド8を一方の壁体2を構成する鋼矢板1
の穴46および腹起し9に挿通させ、続いて他方の端部
ロッド8を他方の壁体2を構成する鋼矢板1の穴46お
よび腹起し9に挿通させ、タイロッド3を水平方向でほ
ぼ直線状に保持した状態で、各端部ロッド8の外方突出
部にワッシャー47を介して定着用ナット10を螺合さ
せて締め付けるなどにより、タイロッド3を壁体2間に
水平方向でほぼ直線状に取付けた状態に保持することが
できる。取付け後、施工装置50を上記第1の実施例と
同様に、タイロッド3から外して除去する。
【0034】次に、本発明の第3の実施例について説明
する。図6は本発明の第3の実施例における壁体の間隔
保持施工法および施工装置を示す正面図である。本実施
例においては、主として特徴を有する部分について説明
し、上記第1の実施例の施工装置および施工法と同一部
分についてはその説明を省略する。
【0035】図6に示すように、本実施例で用いる施工
装置55は、比較的長く形成されたワイヤロープ56の
両端に連結環57、58が形成され、複数本(図示例で
は3本)のワイヤロープ56の両端に連結環57がまと
められて一つの吊環59に連結され、他端の連結環58
にシャックル60が連結され、各シャックル60には一
対の比較的短いワイヤロープ61、62の各一端に形成
された連結環63、64が連結され、ワイヤロープ6
1、62の各他端にはタイロッド3と係合し得る係合環
65、66が形成されている。中央のシャックル60に
連結されたワイヤロープ61、62はその係合環65、
66が中央部の継ぎ部であるターンバックル11の両側
部でタイロッド3に係合するので、ほぼ等しい長さに設
定されている。両側のシャッル60に連結されたワイヤ
ロープ61、62はその係合環65、66が両側部の継
ぎ部であるリングジョイント13の両側部でタイロッド
3に係合するので、外側に位置するワイヤロープ61が
内側に位置するワイヤロープ62よりやや長くなるよう
に設定されている。
【0036】上記構成の施工装置55を用いるには、ワ
イヤロープ61、62の係合環65、66に本体部ロッ
ド12と端部ロッド8とをリングジョイント13で連結
したタイロッド3を挿通させ、中央部のワイヤロープ6
1、62の係合環65、66を中央部のターンバックル
11の両側でタイロッド3に係合させ、両側のワイヤロ
ープ61、62の係合環65、66を両側部のリングジ
ョイント13の両側でタイロッド3に係合させ、ターン
バックル11とリングジョイント13により係合位置が
ずれないようにする。この保持状態でタイロッド3を吊
環59を利用してクレーンにより壁体2に対する取付け
位置に吊す。そして、一方の端部ロッド8を一方の壁体
2を構成する鋼矢板1の穴46および腹起し9に挿通さ
せ、続いて他方の端部ロッド8を他方の壁体2を構成す
る鋼矢板1の穴46および腹起し9に挿通させ、タイロ
ッド3を水平方向でほぼ直線状に保持した状態で、各端
部ロッド8の外方突出部にワッシャー47を介して定着
用ナット10を螺合させて締め付けるなどにより、タイ
ロッド3を壁体2間に水平方向でほぼ直線状に取付けた
状態に保持することができる。取付け後、シャックル6
0をワイヤロープ61、62の連結環63、64から外
し、連結環63、64をタイロッド3側に残して施工装
置55の本体部をタイロッド3から除去する。
【0037】次に、本発明の第4の実施例について説明
する。図7は本発明の第4の実施例における壁体の間隔
保持施工法および施工装置を示し、壁体連結具であるタ
イロッドを壁体の間に取付けた状態の一部破断正面図で
ある。本実施例における施工装置は上記第1の実施例の
施工装置と同様であるので、主として施工法において上
記実施例と異なる点について説明する。
【0038】本実施例の特徴とするところは、図7に示
すように、鋼矢板1の上端部内側に左右一対の連結部材
67を固定し、タイロッド3における端部ロッド8の一
端の目玉68を連結部材67に連結具69により連結
し、本体部ロッド12の両端をリングジョイント13に
より端部ロッド8の内端に連結するようにした点にあ
る。
【0039】次に、本発明の第5の実施例について説明
する。図8は本発明の第5の実施例における壁体の間隔
保持施工法および施工装置を示し、壁体連結具であるタ
イロッドを壁体間に取付けた状態の一部破断正面図、図
9(a)、(b)はそれぞれ壁体に対するタイロッドの
取付け部を示す拡大平面図、拡大正面図である。本実施
例における施工装置は上記第1の実施例の施工装置と同
様であるので、主として施工法について説明する。
【0040】図8、図9(a)、(b)に示すように、
タイロッド3は両端に大径の係合部70を有し、所望の
継ぎ部を有し、図示例では、両端部にターンバックル7
1を有し、中間部に長さ調整可能なジョイント72、7
3を有している。壁体2の所望間隔ごとの鋼矢板1の上
部内側には対向して係合部74が固定されている。各係
合部74にはタイロッド3の係合部70と、係合部70
側のロッド部が上方から挿入して係合される幅の広い溝
75と幅の狭い溝76が形成され、溝75の底部には受
板77は固定されている。
【0041】壁体2間にタイロッド3を取付けるには、
例えば、図8に一点鎖線で示すように施工装置21の保
持手段25によりタイロッド3を保持した状態で保持さ
せ、施工装置21およびタイロッド3をクレーンにより
吊し、タイロッド3の両端の係合部70を鋼矢板1の係
合部74に係合する。そして、施工装置21によりタイ
ロッド3を水平方向でほぼ直線上に保持した状態で、タ
イロッド3をターンバックル71とジョイント72、7
3の調整により緊張させ、タイロッド3を鋼矢板1の間
に水平方向でほぼ直線状に取付け、タイロッド3の引張
り力をほぼ軸線方向に正しく作用させるようにする。取
付け後、上記第1の実施例と同様に、施工装置21をタ
イロッド3から外して除去する。
【0042】上記実施例は、特に、壁体2の間隔で15
m以下で比較的狭く、タイロッド3の棒径が46mm以
下の比較的軽量で、しかも、比較的短い場合に適する
が、壁体2を構築している土壌の条件、例えば、非常に
固い地盤である場合のようにタイロッド3を20トン
(通常は5〜10トン)の締付け力で締付けても施工上
の問題がなければ、壁体2の間隔が広く、また、タイロ
ッド3の棒径が大きく、長い場合でも本実施例を適用す
ることができる。
【0043】次に、本発明の第6の実施例について説明
する。図10は本発明の第6の実施例における壁体の間
隔保持施工法および施工装置を示し、壁体連結具である
タイロッドを壁体間に取付けた状態の一部破断正面図で
ある。本実施例における施工装置は上記第1の実施例の
施工装置と同様であるので、主として施工法について説
明する。
【0044】本実施例の特徴とするところは、図10に
示すように、壁体連結具としてタイロープ(タイワイ
ヤ、タイケーブル)80を用いた点にある。
【0045】壁体2間にタイロープ80を取付けるに
は、あらかじめ、対向する鋼矢板1の穴181にボルト
182を挿通し、ボルト182に鋼矢板1の外側から定
着用ナット183を螺合して仮止めしておく。次に、例
えば、図10に一点鎖線で示すように施工装置21の保
持手段25によりタイロープ80を保持した状態でロッ
クし、施工装置21およびタイロープ80をクレーンに
より吊し、タイロープ80の両端の連結環184をボル
ト182の内端に固定した一対の挟持片185の間に挿
入する。次に、挟持片185の穴と連結環184を利用
して連結具、例えば、ボルト、ナット186によりタイ
ロープ80をボルト182に連結する。そして、施工装
置21によりタイロープ80を水平方向でほぼ直線上に
保持した状態で、定着用ナット183を締め付けること
により、タイロープ80を緊張させ、タイロープ80を
鋼矢板1の間に水平方向でほぼ直線上に取付け、タイロ
ープ80の引張り力をほぼ軸線方向に正しく作用させる
ようにする。取付け後、上記第1の実施例と同様に、施
工装置21をタイロープ80から外して除去し、タイロ
ープ80を水平方向でほぼ直線状の状態で残す。
【0046】本実施例においても、壁体2の間隔が比較
的狭く、タイロープ80が比較的細く、しかも、比較的
短い場合に適するが、壁体2を構築している土壌の条
件、例えば、非常に固い地盤である場合のようにタイロ
ープ80を強い締付け力で締付けても施工上の問題がな
ければ、壁体2の間隔が広く、また、タイロープ80の
径が太く、しかも、長い場合でも本実施例を適用するこ
とができる。
【0047】次に、本発明の第7の実施例について説明
する。図11は本発明の第7の実施例における壁体の間
隔保持施工法および施工装置を示し、壁体連結具である
タイロッドを壁体間に取付けた状態の一部破断正面図、
図12はその一部の破断側面図、図13は変形例の一部
の破断側面図である。
【0048】上記各実施例における施工法および施工装
置は、吊下げ台22を壁体2の間でクレーン等により吊
下げた状態で使用するので、特に、クレーン等を地上等
の固定部に設置している場合に適する。しかし、クレー
ン等を波、風等の影響により揺れる水上作業船上に設置
している場合には施工装置21、タイロッド3等が吊下
げられた状態で揺れやすく、作業能率に劣るばかりでな
く、作業に危険を伴う。そこで、本実施例においては、
特に、水上作業船のように揺れを伴う場所からの施工に
適するようにしたものであり、主として上記第1の実施
例と異なる点について説明する。
【0049】図11ないし図13に示すように、本実施
例で用いる施工装置81の特徴とするところは、吊下げ
台22の両端部が対向する壁体2の上端に取外し可能に
載置されるように構成された点にある。なお、図12に
おいては、吊下げ台22が一本のH型鋼により構成さ
れ、図13においては、吊下げ台22が二本のH型鋼の
組み合わせにより長尺であっても湾曲し難いように構成
されている。
【0050】壁体2間にタイロッド3を取付けるには、
まず、対向する鋼矢板1の穴46および腹起し9に端部
ロッド8をワッシャー47および定着用ナット10によ
り仮止めする(図1参照)。次に、施工装置81の保持
手段25により本体部ロッド12を保持した状態にロッ
クし、ワイヤロープ45を利用して施工装置81および
本体部ロッド12を水上作業船上のクレーンにより端部
ロッド8の間に吊し、吊下げ台22の両端部を対向する
壁体2上に載せる。次に、施工装置81から水平方向に
吊した状態の本体部ロッド12の両端を仮止めしてある
端部ロッド8とリングジョント13により連結する(図
2参照)。そして、タイロッド3を水平方向でほぼ直線
状に保持した状態で、定着用ナット10を締め付けるな
どにより、タイロッド3を壁体2間に水平方向でほぼ直
線状に取付けられた状態に保持することができる。取付
け後、施工装置81の保持手段25をタイロッド3から
外し、施工装置81を除去する。なお、本実施例におい
ても、タイロープを用いる場合に適用することができ
る。
【0051】次に、本発明の第8の実施例について説明
する。図14は本発明の第8の実施例における壁体の間
隔保持施工法および施工装置を示し、壁体連結具である
タイロッドを壁体間に取付けた状態の一部破断正面図で
ある。本実施例における施工装置および施工法は上記第
1、第7の実施例と同様であるので、主として異なる点
について説明する。
【0052】本実施例における施工装置82の特徴とす
るところは、図14に示すように、吊下げ部材が長さ可
変手段を有する点に特徴を有する。すなわち、吊下げ台
22のアイプレート26にシャックル24が取外し可能
に係止され、シャックル24にチェーンブロック83の
基部の連結具84が連結され、チェーンブロック83の
先端側のフック85が保持手段25の連結環42、43
に取外し可能に係止されている。チェーンブロック83
は歯車、鎖車、エンドレスのチェーンを組み合わせて用
いた滑車装置であり、公知の機構を用いることができ、
このチェーンブロック83の作動により自身の吊下げ台
22から下垂される長さを変えて保持手段25を昇降さ
せることができるようになっている。その他の構成につ
いては上記第1および第7の実施例と同様であるので、
同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】本実施例における施工法の特徴とするとこ
ろは、本体部ロッド12を保持した施工装置82の吊下
げ台22を壁体2上に載置した状態で、吊下げ台22が
自重により下方へ湾曲したとき、チェーンブロック83
の作動により保持手段25の高さを調整して本体部ロッ
ド12を水平状態でほぼ直線状に保持し、また、保持手
段25をタイロッド12から解放したとき、チェーンブ
ロック83の作動により保持手段25を下降させてタイ
ロッド12から簡単に外すことができるようにした点に
ある。
【0054】なお、チェーンブロック83は電動式に構
成し、遠隔操作により作動させるようにしてもよい。ま
た、吊下げ台22を両側部と中央部でクレーン等により
吊し、中央部の吊下げ部材にチェーンブロックを挿入
し、長さを調整して湾曲しようとする吊下げ台22を水
平方向に矯正することもでき、このチェーンブロックを
上記と同様に遠隔操作により作動させるようにしてもよ
い。本実施例においても、タイロープを用いる場合に適
用することができる。
【0055】次に、本発明の第9の実施例について説明
する。図15および図16は本発明の第9の実施例にお
ける壁体の間隔保持施工法および施工装置を示し、壁体
連結具であるタイロッドを壁体間に取付けた状態の平面
図および一部破断正面図、図17は図16のA−A矢視
拡大図、図18は図16のB−B矢視拡大断面図、図1
9(a)、(b)はそれぞれ同施工装置に用いる壁体側
寄り位置の保持手段を示す拡大側面図、拡大正面図、図
19(c)は図19(a)のC−C矢視断面図、図20
(a)、(b)はそれぞれ同施工装置に用いる中間部位
置の保持手段を示す拡大側面図、拡大正面図である。
【0056】本実施例の施工装置86について説明す
る。図15ないし図20に示すように、吊下げ台87は
吊下げ台本体88と一対の支持脚89とから構成され
る。吊下げ台本体88はH型鋼から成り、上フランジと
下フランジが上下になり、横方向に配置されるように用
いられる。各支持脚89は鋼材が枠状に組み合わされ、
吊下げ台本体88の両側部に固定されている。この吊下
げ台87はその両側の支持脚89が対向する壁体2の上
に取外し可能に載置されるようになっている。
【0057】吊下げ台本体88の複数箇所、図示例では
両側部と中間部2箇所の計4箇所で上下フランジを貫通
して吊下げ部材を構成するワイヤロープ90と91が下
垂され、各ワイヤロープ90と91は長さ可変手段によ
り吊下げ台本体88から下垂される長さが可変される。
その一例について説明すると、吊下げ台本体88の一側
端に一対の支柱92が立設され、両支柱92に伸縮装置
93におけるモータ94、ブレーキ95、減速機96、
ねじ送り機構を有するロッド伸縮用の支持部97等から
成る本体部が支持されている。伸縮装置93はモータ9
4の駆動により支持部97にねじ送り機構により支持さ
れた伸縮用のロッド98が伸縮されるようになってい
る。
【0058】吊下げ台本体88には支柱92の内方に位
置して一対ずつ計二対の支柱99が立設され、各列の支
柱99に吊下げ台本体88の長手方向に沿うようにチャ
ンネル材100とその内側の上下水平方向に設けられた
丸棒101から成るガイド102が対向して固定されて
いる。伸縮装置93の伸縮ロッド98の先端にはガイド
枠103が連結され、このガイド枠103の両側部がガ
イド102の丸棒101間に挿入され、ピストンロッド
98の伸縮が案内される。ガイド枠103の先端には連
結枠104が取付けられている。
【0059】吊下げ台本体88上には各ワイヤロープ9
0、91に対応して支持台105が固定され、各支持台
105には吊ローラ106が回転可能に支持されてい
る。吊下げ台本体88上には伸縮装置93側の吊ローラ
106とその内方の吊ローラ106の間に位置して支持
台107が固定され、この支持台107には方向転換用
ローラ108が回転可能に支持されている。吊下げ台本
体88上には各中間部の吊りローラ106に対し、伸縮
装置93から少し離れた箇所において支持台109が固
定され、各支持台109には複数本の縦方向と横方向の
ガイドローラ110と111が回転可能に支持されてい
る。そして、各ワイヤロープ90、91は吊下げ台本体
88の上方で吊ローラ106に掛けられ、伸縮装置93
側の側方のワイヤロープ90と中間部のワイヤロープ9
1は方向転換用ローラ108に掛けられ、伸縮装置93
から離隔側の中間部のワイヤロープ91と側方のワイヤ
ロープ90は横方向と縦方向のガイドローラ111と1
10に案内され、各ワイヤロープ90、91の基部が連
結枠104に連結されている。したがって、伸縮装置9
3の伸縮ロッド98の伸縮に伴い、ローラ106、10
8、110、111等によりワイヤロープ90、91の
移動が案内され、ワイヤロープ90、91の吊下げ台本
体88からの下垂長さが長くなり、若しくは短くなるよ
うになっている。
【0060】壁体2側寄り位置で、タイロッド3を保持
する保持手段112は、特に、図19(a)〜(c)か
ら明らかなように、一対の保持部材113、114の中
間部がボルト、ナットから成る連結具115により回動
可能に連結され、先端側の保持部116、117が互い
に協力してタイロッド3を下側から保持するように湾曲
され、タイロッド3の保持状態で先端部が側方で重ねら
れて閉じるようになっている。一方の保持部材113の
基部には掛け金118の基部が連結具119により回動
可能に取付けられ、掛け金118が他方の保持部材11
4の基部に固定された受具120に係合されることによ
り、保持部材113、114がその保持部116、11
7を閉じた状態でロックされ、掛け金118が受具12
0から離脱されることにより保持部材113、114が
解除され、自由に回動し得るようになっている。保持部
材114の基部には保持部116、117を閉じたタイ
ロッド3の保持状態で保持部材113に当接し、保持部
116、117がそれ以上狭められないように規制する
ストッパ121が固定されている。保持部材113、1
14は連結具115より先端側に比べて基部側の重量が
大きくなるように設定され、ロック解除状態では保持部
116、117を開放する方向に回動するようになって
いる。両側部のワイヤロープ90の下端にシャックル1
22が連結され、シャックル122が各保持部材11
3、114の基部にワイヤロープ等の連結部材123、
124により連結され、吊された状態で保持部116、
117が閉じるように回動されている。
【0061】中間部でタイロッド3を保持する保持手段
125は、特に、図20(a)、(b)から明らかなよ
うに、先端にタイロッド3を下側から保持し得るフック
状の保持部126を有し、基部に保持部126側と同じ
側に突出する円板状突出部127を有している。中間部
のワイヤロープ91の下端にシャックル128を介して
保持手段125の中間部が連結され、吊された状態で突
出部127の重量により保持部126がタイロッド3の
保持に適する位置に回動されている。
【0062】吊下げ台本体88の両側部と中央部に吊具
129が回動可能に連結され、各吊具129にワイヤロ
ープ130の先端に取り付けられたフック131が係合
され、中央部のワイヤロープ130には中間部に長さ調
整具132が挿入され、各ワイヤロープ130の基部が
まとめられてクレーンのフック(図示省略)に係合さ
れ、施工装置全体が吊されるようになっている。このと
き、吊下げ台87が水平方向となるように吊下げ台本体
88には伸縮装置93の反対側でバランスウエイト13
3が取付けられている。
【0063】本発明の第9の実施例における壁体の間隔
保持施工法について、図15、図16を参照しながら上
記施工装置86の動作と共に説明する。上記第1の実施
例と同様に、タイロッド3における端部ロッド8を各壁
体2にワッシャー47と定着用ナット10により仮止め
する。次に、施工装置86における保持手段112によ
りタイロッド3の本体部ロッド12の両側部を保持した
状態でロックし、保持手段125により本体部ロッド1
2の中間部を保持し、ワイヤロープ130を利用して施
工装置86および本体部ロッド12を水上作業船等のク
レーンにより壁体2に対する取付け位置、すなわち、端
部ロッド8の間に吊し、吊下げ台87の各支持脚89を
各壁体2上に取外し可能に載置する。
【0064】次に、施工装置86から吊した本体部ロッ
ド12の両端を仮止めしてある端部ロッド8とリングジ
ョイント13により連結する。このとき、本体部ロッド
12の軸心が端部ロッド8の軸心と一致していなけれ
ば、伸縮装置93のロッド98の伸縮によりワイヤロー
プ90、91の吊下げ台本体88からの下垂長さを調整
し、保持手段112、125の高さを調整して本体部ロ
ッド12の軸心を端部ロッド8の軸心とほぼ一致させる
ことができるようにセットする。このようにタイロッド
3を水平方向でほぼ直線状に保持した状態で、定着用ナ
ット10を締め付けるなどにより、タイロッド3を緊張
させて鋼矢板1間に水平方向でほぼ直線状に連結状態に
取付け、タイロッド3が自重により下方へ向かって突出
するように湾曲するのを防止してタイロッド3を水平な
直線状態に保ち、タイロッド3の引張り力をほぼ軸線方
向に正しく作用させるようにする。
【0065】タイロッド3の取付け後、保持手段112
のロックを解除し、伸縮装置93のロッド98を伸長さ
せて各ワイヤロープ90、91における吊下げ台本体8
8からの下垂長さが長くなるように繰り出すことによ
り、保持手段112は保持部材113、114が自身で
保持部116、117側を開放するように回動してタイ
ロッド3から自然に外れるとともに、保持手段125は
フック状の保持部126がそのまま自然に外れる。した
がって、施工装置86をタイロッド3から除去すること
により、タイロッド3を壁体2の間に水平方向でほぼ直
線状に取付けた状態に残すことができる。以下、上記と
同様にして所望枚数ごとの鋼矢板1および腹起し9同士
を水平方向でほぼ直線状態に保持されたタイロッド3に
より連結することにより作業を完了する。
【0066】本実施例のように壁体2上に載置してある
施工装置86から本体部ロッド12を吊した状態でタイ
ロッド3の取付け作業を行うようにすれば、揺れ等を伴
う水上作業船のクレーンを用いても安全に、かつ確実に
施工することができる。また、両側の保持手段112は
壁体2の近くに位置しているので、作業者が比較的安全
に、かつ簡単にロックを解除することができるるが、中
間部においては揺れ等により操作に危険を伴うおそれが
あるので、ロック装置を備えない構造の保持手段125
を用いるのが好ましい。また、本実施例においても、壁
体連結具としてタイロープを用いる場合にも適用するこ
とができる。本実施例においては壁体2に対するタイロ
ッド3の取付け位置が壁体2の上端に近いため、吊下げ
台87は支持脚89を備えてワイヤロープ90、91の
長さが本体部ロッド12の吊下げに適するようにしてい
るが、タイロッド3の取付け位置が低ければ、支持脚8
9は不要となる。また、吊下げ台87は横方向に二列に
並べるなど、長さに対応して適宜補強することができ
る。
【0067】なお、本発明は、両側のロッドを自在ジョ
イントにより連結する形式等、各種形式のタイロッドの
施工に適用することができ、タイロープも各種形式のも
のを用いることができる。また、本発明は図示例のU型
鋼矢板1および腹起し9や、それ以外の各種形式の矢板
などを用いて構築した壁体(仕切壁)2に限定されるも
のではなく、それ以外の各種の壁体の場合にも適用する
ことができることは言うまでもない。また、保持手段2
5、112、125として電磁石を用いることができ
る。更に、上記各実施例の施工法および施工装置21、
51、55、86はその構成要素を適宜組み合わせるこ
とができ、施工装置は各実施例の構成に限定されるもの
ではなく、壁体連結具をほぼ直線状に保持することがで
きれば、いかなる構成でもよい。このほか、本発明は、
その基本的技術思想を逸脱しない範囲で種々設計変更す
ることができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、施
工装置を用いて壁体連結具をほぼ直線状に保持した状態
で壁体間に取付け、壁体連結具の引張り力をほぼ軸線方
向に正しく作用させるようにし、壁体連結具の取付け
後、施工装置の少なくとも本体部を壁体連結具から外し
て除去するようにしている。このように壁体連結具を支
える資材を不要とすることができるとともに、施工工数
を少なくすることができる。したがって、工期短縮、低
コスト化、安全化、省力化、省人化、省エネルギー化等
を図ることができる。
【0069】施工装置を対向する壁体の上端に取外し可
能に載せた状態で壁体連結具の取付け作業を行うことに
より、水上作業船のように揺れを伴う場所でも安全に、
かつ確実に施工することができる。
【0070】壁体連結具としてタイロッドを用いること
により、壁体の引張り力における信頼性を向上させるこ
とができ、壁体連結具としてタイロープを用いることに
より、コストの低下を図ることができる。
【0071】施工装置が、吊下げ台と、この吊下げ台の
長手方向に沿う複数箇所から下垂される吊下げ部材と、
各吊下げ部材の先端に取付けられ、壁体連結具を解放可
能に保持する保持手段を備えることにより、壁体連結具
を確実に保持して取付け位置に吊すことができ、作業の
安全性を向上させることができる。
【0072】また、吊下げ台の両端部を対向する壁体の
上端に取外し可能に載置するようにすれば、水上作業船
のように揺れを伴う場所でも安全に、かつ確実に施工す
ることができる。
【0073】吊下げ部材が長さ可変手段を有し、吊下げ
台からの長さが可変となるように構成し、または吊下げ
部材が長さ可変手段により吊下げ台から下垂される長さ
が可変となるように構成することにより、吊下げ台が自
重により湾曲してもタイロッドを簡単にほぼ水平状態に
保つことができ、しかも、保持手段を取付け後のタイロ
ッドから外す作業を簡単に行うことができる。
【0074】また、施工装置における少なくとも壁体側
寄り位置の保持手段が、一対の保持部材と、これらの保
持部材を先端側の壁体連結具の保持部より基部側の重量
が大きくなるように中間部で回動可能に連結する連結手
段と、上記一対の保持部材を壁体連結具の保持状態で解
放可能にロックするロック手段とを備えることにより、
壁体連結具を確実に保持して作業の安全性を向上させる
ことができるとともに、壁体連結具の保持作業と解放作
業とを簡単に、かつ迅速に行うことができる。
【0075】また、施工装置における中間部の保持手段
として壁体連結具を下方から係合状態で保持することが
でき、下降時に壁体連結具から離脱することができるフ
ック状に形成することにより、壁体連結具の保持作業と
解放作業とを更に一層、簡単に、かつ迅速に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における壁体の間隔保持
施工法および施工装置を示し、施工装置を用いて壁体連
結具であるタイロッドの本体部ロッドを壁体の上部間に
吊した状態の一部破断正面図である。
【図2】同施工法および施工装置を示し、タイロッドを
施工装置によりほぼ直線状に保持した壁体間に取付けた
状態の一部破断正面図である。
【図3】同施工法を示し、タイロッドの取付け後、施工
装置をタイロッドから除去した状態の一部破断正面図で
ある。
【図4】(a)は同施工装置に用いる先端の保持手段を
示す拡大側面図である。(b)は同保持手段を示す拡大
側面図である。
【図5】本発明の第2の実施例における壁体の間隔保持
施工法および施工装置をす正面図である。
【図6】本発明の第3の実施例における壁体の間隔保持
施工法および施工装置をす正面図である。
【図7】本発明の第4の実施例における壁体の間隔保持
施工法および施工装置を示し、壁体連結具であるタイロ
ッドを壁体間に取付けた状態の一部破断正面図である。
【図8】本発明の第5の実施例における壁体の間隔保持
施工法および施工装置を示し、壁体連結具であるタイロ
ッドを壁体間に取付けた状態の一部破断正面図である。
【図9】(a)は第5の実施例による壁体に対するタイ
ロッドの取付け部を示す拡大平面図である。(b)は同
取付け部を示す拡大正面図である。
【図10】本発明の第6の実施例における壁体の間隔保
持施工法および施工装置を示し、壁体連結具であるタイ
ロッドを壁体間に取付けた状態の一部破断正面図であ
る。
【図11】本発明の第7の実施例における壁体の間隔保
持施工法および施工装置を示し、壁体連結具であるタイ
ロッドを壁体間に取付けた状態の一部破断正面図であ
る。
【図12】図11の一部の破断側面図である。
【図13】本発明の第7の実施例の変形例を示す一部の
破断側面図である。
【図14】本発明の第8の実施例における壁体の間隔保
持施工法および施工装置を示し、壁体連結具であるタイ
ロッドを壁体間に取付けた状態の一部破断正面図であ
る。
【図15】本発明の第9の実施例における壁体の間隔保
持施工法および施工装置を示し、壁体連結具であるタイ
ロッドを壁体間に取付けた状態の平面図である。
【図16】図15の一部破断正面図である。
【図17】図16のA−A矢視拡大図である。
【図18】図16のB−B矢視拡大面図である。
【図19】(a)は同施工装置に用いる壁体側寄り位置
の保持手段を示す拡大側面図である。(b)は同保持手
段を示す拡大正面図である。(c)は同保持手段を示
し、(a)のC−C矢視断面図である。
【図20】(a)は同施工装置に用いる中間部位置の保
持手段を示す拡大側面図である。(b)は同保持手段を
示す拡大正面図である。
【図21】従来のタイロッドの施工法を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
1 鋼矢板 2 壁体 3 タイロッド(壁体連結具) 21 施工装置 22 吊下げ台 23 ワイヤロープ 25 保持手段 29 保持部材 30 保持部材 50 施工装置 51 ワイヤロープ 55 施工装置 56 ワイヤロープ 80 タイロープ(壁体連結具) 81 施工装置 82 施工装置 83 チェーンブロック 86 施工装置 87 吊下げ台 88 吊下げ台本体 89 支持脚 90 ワイヤロープ 91 ワイヤロープ 93 伸縮装置 112 保持手段 113 保持部材 114 保持部材 125 保持手段

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する壁体の上部において、施工装置
    により壁体連結具をほぼ直線状に保持した状態で、この
    壁体連結具を上記壁体間に取付け、取付け後、上記施工
    装置の少なくとも本体部を上記壁体連結具から外して除
    去する壁体の間隔保持施工法。
  2. 【請求項2】 施工装置を対向する壁体の上端に取外し
    可能に載せた状態で壁体連結具をほぼ直線状に保持する
    請求項1記載の壁体の間隔保持施工法。
  3. 【請求項3】 壁体連結具がタイロッドである請求項1
    または2記載の壁体の間隔保持施工法。
  4. 【請求項4】 壁体連結具がタイロープである請求項1
    または2記載の壁体の間隔保持施工法。
  5. 【請求項5】 吊下げ台と、この吊下げ台の長手方向に
    沿う複数箇所から下垂される吊下げ部材と、各吊下げ部
    材の先端に取付けられ、壁体連結具を解放可能に保持す
    る保持手段とを備えた壁体の間隔保持施工装置。
  6. 【請求項6】 吊下げ台の両端部が対向する壁体の上端
    に取外し可能に載置される請求項5記載の壁体の間隔保
    持施工装置。
  7. 【請求項7】 吊下げ部材が長さ可変手段を有し、吊下
    げ台からの長さを変えることができるように構成された
    請求項5または6記載の壁体の間隔保持施工装置。
  8. 【請求項8】 吊下げ部材が長さ可変手段により吊下げ
    台からの下垂長さを変えることができるように構成され
    た請求項5または6記載の壁体の間隔保持施工装置。
  9. 【請求項9】 少なくとも壁体側寄り位置の保持手段
    が、一対の保持部材と、これらの保持部材を先端側の壁
    体連結具の保持部より基部側の重量が大きくなるように
    中間部で回動可能に連結する連結手段と、上記一対の保
    持部材を壁体連結具の保持状態で解放可能にロックする
    ロック手段とを備えた請求項5ないし8のいずれかに記
    載の壁体の間隔保持施工装置。
  10. 【請求項10】 中間部の保持手段が、壁体連結具を下
    方から係合状態で保持することができ、下降持に壁体連
    結具から離脱することができるフック状に形成された請
    求項5ないし8のいずれかに記載の壁体の間隔保持施工
    装置。
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