JPH08143374A - セラミックス基繊維複合材料 - Google Patents

セラミックス基繊維複合材料

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JPH08143374A
JPH08143374A JP6286849A JP28684994A JPH08143374A JP H08143374 A JPH08143374 A JP H08143374A JP 6286849 A JP6286849 A JP 6286849A JP 28684994 A JP28684994 A JP 28684994A JP H08143374 A JPH08143374 A JP H08143374A
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fiber
composite material
ceramic
matrix
woven fabric
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JP6286849A
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Tsuneji Kameda
常治 亀田
Masahiro Asayama
雅弘 浅山
Akiko Suyama
章子 須山
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特に初期破壊強度,破壊抵抗および繊維層の剥
離方向強度を共に改善した信頼性が高いセラミックス基
繊維複合材料を提供する。 【構成】繊維束2a,2bを編み上げて形成した繊維織
物3を、セラミックスから成るマトリックス4中に配置
したセラミックス基繊維複合材料1において、繊維織物
3の空隙部5の面積割合を、織物の全面積の2.5〜8
3%の範囲に設定し、上記空隙部5を埋めて繊維織物3
の表裏を連通するマトリックス層6を一体に形成したこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス基繊維複合
材料に係り、特に初期破壊強度,破壊抵抗および繊維層
の剥離方向強度を改善した信頼性が高いセラミックス基
繊維複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス原料粉末を所定形状に成形
してセラミックス成形体とした後に、得られたセラミッ
クス成形体を焼結したセラミックス焼結体は、一般に高
温まで強度低下が少なく、硬度,電気絶縁性,耐摩耗
性,耐熱性,耐腐食性,軽量性等の諸特性が従来の金属
材と比較して優れているため、重電設備部品,航空機部
品,自動車部品,電子機器,精密機械部品,半導体装置
材料などの電子用材料や構造用材料として広い分野にお
いて使用されている。
【0003】しかし、セラミックス焼結体は、圧縮に比
べ引張の応力に弱く、特にこの引張応力下では破壊が一
気に進行する、いわゆる脆性という欠点を有している。
このようなことから、高信頼性が要求される部位へのセ
ラミックス部品の適用を可能にするために、セラミック
ス焼結体の高靭性化や破壊エネルギーの増大を図ること
が強く求められている。
【0004】すなわちガスタービン部品,航空機部品,
自動車部品等に使用されるセラミックス構造部品には耐
熱性および高温強度に加えて高い信頼性が要求される。
そのため無機物質や金属から成る繊維,ウィスカー,プ
レート,粒子等の複合素材をマトリックス焼結体に分散
複合化させて靭性値や破壊エネルギー値等を高めたセラ
ミックス基複合材料の実用化研究が内外の研究機関等に
おいて進められている。
【0005】しかし単に上記のような複合素材をマトリ
ックス焼結体中に分散複合化させたセラミックス基複合
材料においては、複合素材とセラミックスマトリックス
とが界面で強固に接合しているため、一旦クラックが発
生した場合に、複合素材によるクラックの進展阻止が不
十分となり、複合材料の破壊が瞬時に進行する場合があ
った。
【0006】そこで、特に繊維複合材料においては、繊
維の表面に、炭素(C),窒化ほう素(BN),炭化け
い素系化合物(Si−C−O)等から成るすべり層を形
成した複合材料も開発されている。このすべり層は、繊
維表面にカーボン(C)や窒化ほう素(BN),炭化け
い素系化合物(Si−C−O)等をコーティングして形
成される。
【0007】このすべり層を形成することにより、複合
繊維とセラミックスマトリックスとの間の強固な接合強
度が緩和される。すなわち複合材料に過大な応力が作用
した場合においても、上記すべり層におけるすべりや剥
離が両者の歪差を吸収するため、クラックの進展を偏向
させることができ、また繊維の引抜き抵抗が寄与して破
壊抵抗を増大させ、靭性値が高い複合材料が得られる場
合もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら炭素やB
N等によってすべり層を形成した従来の複合材料では、
繊維とマトリックスとの間の結合力を弱くしたすべり層
によって破壊抵抗を増大させる機能を発揮させているた
め、一旦クラックが発生した後において破断に至るまで
の破壊抵抗は大きくなる反面、初期のクラック自体を発
生させる応力、すなわち初期破壊強度が低下し易いとい
う問題点があった。
【0009】特に複数の布状の繊維織物をマトリックス
中に積層配置した構造を有するセラミックス基繊維複合
材料においては、繊維織物の積層面間の剥離方向強度が
低下する問題点があり、いずれにしろ複合材料全体とし
ての耐久性が低く実用部品に適用することが困難となる
問題があった。
【0010】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、特に初期破壊強度,破壊抵抗および
繊維層の剥離方向強度を共に改善した信頼性が高いセラ
ミックス基繊維複合材料を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願発明者らは、種々の繊維織物およびセラミック
ス焼結体を用いて繊維複合材料を調製し、繊維織物の形
態およびセラミックスマトリックスの配置状態が、初期
破壊強度,破壊抵抗,剥離方向強度および靭性に及ぼす
影響を比較調査した。その結果、特に繊維織物の織目の
粗さ(空隙部の幅,目開き幅)すなわち織物空隙部の面
積割合を所定の範囲に設定することにより、上記空隙部
を埋めるように繊維織物の表裏を連通するマトリックス
層が一体に形成される結果、初期破壊強度,破壊抵抗お
よび剥離方向強度が共に大幅に向上した繊維複合材料が
初めて得られるという知見を得た。本発明は上記知見に
基づいて完成されたものである。
【0012】すなわち本発明に係るセラミックス基繊維
複合材料は、繊維束を編み上げて形成した繊維織物を、
セラミックスから成るマトリックス中に配置したセラミ
ックス基繊維複合材料において、繊維織物面に垂直方向
から見たときの織物空隙部の面積割合を、2.5〜83
%の範囲に設定し、上記空隙部を埋めて繊維織物の表裏
を連通するマトリックス層を一体に形成したことを特徴
とする。また繊維束は複数のセラミックス繊維を束ねて
形成され、繊維表面にカーボン(C)および窒化ほう素
(BN)の少なくとも一方から成るすべり層を形成した
連続繊維の束であることが望ましい。さらに複合材料中
における繊維織物の含有割合は、2〜55体積%に設定
するとよい。
【0013】ここで上記セラミックス基繊維複合材料の
マトリックスを構成するセラミックスとしては、種々の
セラミックス焼結体を用いることができ、例えば炭化け
い素(SiC),窒化アルミニウム(AlN),窒化け
い素(Si3 4 ),窒化ほう素(BN),サイアロン
等の非酸化物系の汎用セラミックス焼結体やアルミナ
(Al2 3 ),ジルコニア(ZrO2 ),チタニア
(TiO2 ),ムライト(3Al2 3 ・2Si
2 ),ベリリア(BeO),コージェライト,ジルコ
ン,スピネル(MgAl2 4 )などの酸化物系のセラ
ミックス原料が1種または2種以上混合して使用され
る。また、上記焼結体を形成するためのセラミックス原
料粉末には、必要に応じて酸化イットリウム,酸化アル
ミニウム,酸化セリウム,炭酸マグネシウム,炭酸カル
シウムもしくは珪酸等の焼結助剤や添加剤が添加され
る。さらにマトリックスを反応焼結過程で形成すること
も可能である。
【0014】またマトリックス中に配置される繊維織物
は複合材料の靭性を高めるために所定量複合化される。
上記繊維織物は、直径10μm前後の微細な繊維を10
0〜600本程度束ねて直径0.1〜1.0mm程度の繊
維束とした後に、この繊維束を2次元方向または3次元
方向に編み上げて形成される。この繊維織物において隣
接する繊維束間には織目に相当する空隙部が形成され
る。なお本発明において使用する繊維束の直径は、繊維
織物面に垂直な方向から観察して得た投影図における繊
維束の太さで規定される。また複数の繊維束を合体させ
て実質的に1本の繊維束とし、この合体した繊維束を織
りの構成単位とする場合は、合体した繊維束の外径を直
径とする。さらに織物空隙部の面積割合は、繊維織物面
の垂直方向から観察して得た投影図における上述の繊維
束以外の部分の面積とする。
【0015】また上記繊維束を構成する繊維の材質は、
特に限定されるものではなく、マトリックスの構成材料
と同様なセラミックス繊維を用いることができる。この
ようなセラミックス繊維の具体例としては、炭化けい素
系繊維(SiC,Si−C−O,Si−Ti−C−O
等),SiC被覆繊維(芯線は例えばC),アルミナ繊
維,ジルコニア繊維,炭素繊維,ボロン繊維,窒化けい
素系繊維,Si3 4 被覆繊維(芯線は例えばC)およ
びムライト(3Al2 3 ・2SiO2 〜2Al2 3
・SiO2 )繊維等があり、これらから選択された少な
くとも一種を使用するとよい。
【0016】上記繊維織物の空隙部(織目)の幅(目開
き幅)は、複合材料の初期破壊強度,破壊抵抗および剥
離強度に大きな影響を及ぼすことが、本願発明者らの実
験研究により明らかになり、本願発明では、上記織物空
隙部の面積割合は、1つの織物の全面積に対して2.5
〜83%の範囲に設定される。この織物空隙部の面積割
合が2.5%未満の場合においては、繊維束とマトリッ
クスとの結合状態に起因した性質が支配的になり、複合
材料の初期破壊強度,破壊抵抗および剥離方向強度の改
善効果が少ない。一方、織物空隙部の面積割合が83%
を超える場合には、空隙部内にもマトリックスを容易に
かつ緻密に形成でき、複合材料の剥離方向強度を高める
ことは可能になるが、クラックの進展抑制効果および繊
維による補強効果が少なくなり、複合材料の靭性値が低
下してしまう。
【0017】上記織物空隙部の面積割合を2.5〜83
%の範囲に設定することにより、繊維織物の空隙部内に
形成したセラミックスマトリックスの性質を活かすこと
が可能となるため複合材料の初期破壊強度および破壊抵
抗を大幅に高めることができる。特に繊維織物の表裏を
連通するマトリックス層が形成され、このマトリックス
層により織物の両側に形成されたマトリックスが強固に
結合されるため、複合材料の剥離方向強度を大幅に高め
ることができる。
【0018】繊維束を編み上げて形成した繊維織物は、
複合材料全体に対して繊維体積率(Vf)で2%以上の
割合となるようにマトリックス中に配置される。しかし
ながら繊維体積率が55%を超える過量となると、各繊
維束周囲にマトリックス基地を均一に配置することが困
難になり、空隙など欠陥の発生に伴い複合材料の強度特
性が急激に低下してしまう。したがって繊維複合効果が
有効に現れる好ましい添加量は20〜35体積%の範囲
である。
【0019】繊維束の径は、成形体中における繊維束の
分散性および配向性さらには複合材料の強度特性に大き
く影響を及ぼすものであり、本発明では直径が0.5mm
〜5.0mmの連続繊維束を使用する。直径が0.5mm未
満の場合には靭性向上効果が小さく、また直径が5.0
mmを超える太い繊維束では、形状付与性が悪化する場合
があるとともに短い領域でクラック進行を有効に抑制す
ることが困難になる。
【0020】すなわち、直径が0.5mm〜5.0mmの連
続繊維束を用いることによって、良好な形状付与性能を
維持しつつ、繊維複合による靭性改良効果を充分に確保
することが可能となる。但し、このような繊維束の体積
率が2%未満であると、靭性改善効果が充分に発揮され
ず、また形状付与性能も低下するため、繊維束の体積率
は2%以上とすることが好ましい。
【0021】また上記繊維とマトリックスとの間の反応
を防止するため、または両者の界面におけるすべりを改
善するためにセラミックス繊維表面に厚さ0.01〜2
μm程度のすべり層を形成するとよい。このすべり層は
繊維表面にカーボン(C)や窒化ほう素(BN)をコー
ティングして形成される。
【0022】上記すべり層によりセラミックス繊維と、
マトリックスとの間の強固な接合強度が緩和され、靭性
値が高い複合材料が得られる。
【0023】また複合材料の全表面に、繊維を含まない
モノリシックセラミックスのみから成る厚さ10μm以
上の単体層を一体に形成し、繊維とマトリックスとの界
面部が複合材料表面に露出しないように構成することに
より、繊維の切断面の露出による酸化劣化および強度低
下を防止することができる。さらに繊維表面に形成した
すべり層を構成するCやBN成分の酸化によるすべり機
能の低下が防止でき、複合材料の高温強度特性の劣化を
効果的に防止することができる。上記モノリシックセラ
ミックス単体層を厚さ10μm以下に形成することによ
り、上記強度低下防止機能を十分に発揮できる。
【0024】上記マトリックス中に複数の繊維織物を積
層配置した平板状のセラミックス基繊維複合材料は、例
えば以下のように製造される。すなわちセラミックス繊
維束を織り上げて形成した各繊維織物の上下に、焼結助
剤や添加剤を配合したセラミックス原料粉末を所定割合
にて積層配置した上で成形し、得られた成形体を非酸化
性雰囲気中でホットプレス法または常圧焼結法によって
焼結して製造される。
【0025】一方、平板状ではなく、例えばタービン動
翼などの複雑な形状を有するセラミックス基繊維複合材
料は、例えば以下のような方法で製造される。すなわ
ち、繊維束を編み上げて最終部品形状に近似した予備成
形体(プリフォーム)を形成し、この予備成形体中にマ
トリックスとなるセラミックススラリーを含浸せしめて
成形体を形成し、得られた成形体を本焼結して製造され
る。なお上記マトリックスを反応焼結法によって製造す
ることも可能である。
【0026】
【作用】上記構成に係るセラミックス基繊維複合材料に
よれば、繊維織物の空隙部の面積割合を、2.5〜83
%の範囲に設定しているため、繊維織物の空隙部内にセ
ラミックスマトリックスを緻密に形成することが可能と
なり、複合材料の初期破壊強度および破壊抵抗を高める
ことができる。特に繊維織物の表裏を連通するマトリッ
クス層が充分に形成され、このマトリックス層により織
物の両側に形成されたマトリックスが強固に結合される
ため、複合材料の剥離方向強度を大幅に高めることもで
きる。
【0027】
【実施例】以下本発明の実施例について添付図面を参照
して説明する。
【0028】実施例1 直径14μmのSiC連続繊維を500本束ねて繊維束
(ヤーン)を形成し、この繊維束表面に厚さ0.3μm
のBN被覆層を形成することにより、直径約0.5mmの
SiC連続繊維束を調製した。さらにこの繊維束を1イ
ンチ当り12本の打込み割合で2次元方向に編み上げて
平織りクロス状の繊維織物を多数調製した。
【0029】一方、平均粒径0.7μmのSi3 4
末を85重量%,平均粒径1.0μmのAl2 3 粉末
を10重量%,および平均粒径1.2μmのHfO2
末を5重量%から成る混合粉末を調製し、この混合粉末
35重量%に対して水64.5重量%および分散剤0.
5重量%を配合してマトリックス用スラリーを調製し
た。
【0030】次に繊維織物を縦40mm×横40mmの正方
形状に切断して多数の織物片を形成し、縦40mm×横4
0mm×深さ7mmのキャビティを有する圧力鋳込み成形用
樹脂型内に上記織物片を10枚積層配置して予備成形体
とした。次に上記予備成形体中に前記マトリックス用ス
ラリーを、3MPaの加圧力で鋳込み成形して成形体と
した。さらに得られた成形体を自然乾燥し、さらに温度
600℃で2時間脱脂した後に、一辺が40mmの正方形
断面を有するカーボンモールド中に配置し、1気圧の窒
素ガス雰囲気下で、温度1550℃,加圧力40MPa
で30分間ホットプレス焼結して、図1に示すような実
施例1に係るセラミックス基繊維複合材料1を調製し
た。
【0031】この実施例1に係る複合材料1は、図1お
よび図2に示すように、SiC連続繊維を束ねて形成し
た繊維束2a,2bを2次元方向に編み上げて形成した
10枚の繊維織物3をサイアロン焼結体から成るマトリ
ックス4中に積層配置した構造を有する。また織物とし
たときの各繊維束2a,2bの直径Dは1.34mmであ
り、隣り合う繊維束2a,2b間に形成される目開き幅
Wに対応する空隙部5の面積割合は、織物全面積に対し
て12.6%であった。また上記空隙部5を埋めて、繊
維織物3の表裏を連通するマトリックス層6が形成され
ている。
【0032】実施例2 平均粒径1.5μmのSiC粉末を70重量%および平
均粒径0.1μmのカーボン粉末を30重量%から成る
混合粉末を調製し、この混合粉末35重量%に対して水
64.5重量%および分散剤0.5重量%を配合してマ
トリックス用スラリーを調製した。
【0033】次に実施例1において調製した予備成形体
中に上記マトリックス用スラリーを、3MPaの加圧力
で鋳込み成形して成形体とした。さらに得られた成形体
を自然乾燥し、さらに温度600℃で2時間脱脂した後
に、カーボンモールド中に配置し、真空中で温度145
0℃で4時間加熱し、成形体中に溶融したSi(純度9
9%)を含浸させながら反応焼結を実施し、成形体内部
および外周部にSiCおよびSiから成る反応焼結マト
リックスを合成して実施例2に係るセラミックス基繊維
複合材料を製造した。
【0034】実施例3 平均粒径が0.7μmのSi3 4 粉末を93重量%,
平均粒径が1.2μmのY2 3 粉末を5重量%,およ
び平均粒径が1.0μmのAl2 3 粉末を2重量%含
有する混合粉末を使用した点以外は、実施例1と同様に
処理して実施例3に係るセラミックス基繊維複合材料を
製造した。
【0035】実施例4 繊維束の打込み割合を1インチ当り9本として、繊維束
を2次元方向に編み上げて図2に示すような繊維織物を
形成し、織物空隙部の面積割合を26.8%とした点以
外は、実施例1と同様に処理して実施例4に係るセラミ
ックス基繊維複合材料を製造した。
【0036】実施例5 実施例4において調製した繊維織物を使用し、以下実施
例2と同様にしてSiCマトリックスを反応焼結法によ
って形成することにより実施例5に係るセラミックス基
繊維複合材料を製造した。
【0037】実施例6 実施例4において調製した繊維織物を使用し、以下実施
例3と同様にしてY2 3 ,Al2 3 を添加したSi
3 4 原料混合粉末を使用してマトリックスを形成し、
実施例6に係るセラミックス基繊維複合材料を製造し
た。
【0038】実施例7 直径8.5μmのカーボン連続繊維をそれぞれ130
本,500本束ねて直径約0.1mm,0.3mmの繊維束
を形成し、この繊維束を使用して、図3に示すような、
からみ織りの繊維織物3aを形成した。繊維織物3aの
縦方向は直径0.3mmの繊維束2cを構成単位とする一
方、横方向は直径0.1mmの繊維束2dを2本束ねたも
のを構成単位とした。各繊維束2c,2dの打込み割合
は1インチ当り6本とし、織物空隙部5aの面積割合は
77.4%とした。
【0039】次に上記繊維織物3aを使用し、実施例1
のマトリックス形成法と同様な条件でAl2 3 を含有
するSi3 4 を主体とするマトリックス用スラリーを
繊維織物中に鋳込んで成形体とし、得られた成形体を自
然乾燥,脱脂,ホットプレス焼結して実施例7に係るセ
ラミックス基繊維複合材料を製造した。
【0040】実施例8 実施例7で調製したからみ織りの繊維織物3aを使用
し、以下実施例3と同様にしてY2 3 ,Al2 3
添加したSi3 4 を主体とするマトリックス用スラリ
ーを繊維織物3a中に鋳込んで成形体とし、得られた成
形体を自然乾燥,脱脂,ホットプレス焼結して実施例8
に係るセラミックス基繊維複合材料を製造した。
【0041】比較例1 繊維束の打込み割合を1インチ当り18本として、繊維
束を2次元方向に密に編み上げて繊維織物を形成し、織
物空隙部の面積割合を0.15%とした点以外は、実施
例1と同様に処理して比較例1に係るセラミックス基繊
維複合材料を製造した。
【0042】比較例2 比較例1において調製した繊維織物を使用し、以下実施
例2と同様にしてSiCマトリックスを反応焼結法によ
って形成することにより比較例2に係るセラミックス基
繊維複合材料を製造した。
【0043】比較例3 比較例1において調製した繊維織物を使用し、以下実施
例3と同様にしてY2 3 ,Al2 3 を添加したSi
3 4 原料混合粉末を使用してマトリックスを形成し、
比較例3に係るセラミックス基繊維複合材料を製造し
た。
【0044】比較例4 実施例7において調製した2種の繊維束2c,2dの打
込み割合を1インチ当り4本と疎にして、織物空隙部の
面積割合を、84.6%と過大に設定したからみ織りの
繊維織物を調製した。
【0045】次に上記繊維織物を使用し、実施例1のマ
トリックス形成法と同様な条件でAl2 3 およびHf
2 を含有するSi3 4 を主体とするマトリックス用
スラリーを繊維織物中に鋳込んで成形体とし、得られた
成形体を自然乾燥,脱脂,ホットプレス焼結して比較例
4に係るセラミックス基繊維複合材料を製造した。
【0046】比較例5 比較例4で調製したからみ織りクロス状の繊維織物を使
用し、以下実施例3と同様にしてY2 3 ,Al2 3
を添加したSi3 4 を主体とするマトリックス用スラ
リーを繊維織物中に鋳込んで成形体とし、得られた成形
体を自然乾燥,脱脂,ホットプレス焼結して比較例5に
係るセラミックス基繊維複合材料を製造した。
【0047】こうして調製した実施例および比較例に係
るセラミックス基繊維複合材料の特性を評価するため、
各材料から試験片を切り出して、3点曲げ強度試験を実
施して初期破壊強度を測定するとともに、破壊抵抗の指
標として初期破断直後に負担している応力(強度保持
率)を測定した。また各試験片について積層剥離方向に
引張り力を作用させる剥離試験を実施して繊維層間の剥
離方向強度を測定した。測定結果を下記表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】上記表1に示す結果から明らかなように、
繊維織物の空隙部の面積割合を適正に制御した各実施例
の複合材料によれば、上記空隙部内にセラミックスマト
リックスを緻密に形成することが可能となるため、初期
破壊強度および繊維層間の剥離方向強度が共に高く、ク
ラックが発生した後においても、破壊抵抗が大きい複合
材料が得られた。特に実施例1〜6においては、微少な
クラックが発生した場合においても、クラックは繊維束
とマトリックスとの界面において偏向され、そのクラッ
クの進展が効果的に抑止されるため、初期破断後におい
ても強度保持率が高く、極めて高い破壊抵抗を示した。
また実施例7〜8においては、実施例1〜6と比較して
やや強度保持率は低下するが実用上の耐久性および信頼
性については問題はなかった。
【0050】一方、比較例1〜3においては繊維織物の
空隙部の面積割合が過小であるため、織物の表裏を連通
するマトリックス層の形成が不十分となるため、層間剥
離方向強度が小さい上に、繊維束とマトリックスとの界
面におけるクラック進展を阻止する機能が不十分で初期
クラック発生後における強度保持率も低下し、破壊抵抗
が低下した。さらに比較例4〜5においては繊維織物の
空隙部の面積割合が過大であり、強固なマトリックスが
形成されているため、初期破壊強度および層間剥離方向
強度は高くなる反面、初期破断後の強度保持率は極めて
小さく、一旦クラックが発生した場合、クラックが一気
に進展してカタストロフィックな破断を生じ易く、実用
上信頼性に乏しいことが判明した。
【0051】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係るセラミック
ス基繊維複合材料によれば、繊維織物の空隙部の面積割
合を、織物の全面積の2.5〜83%の範囲に設定して
いるため、繊維織物の空隙部内にセラミックスマトリッ
クスを緻密に形成することが可能となり、複合材料の初
期破壊強度および破壊抵抗を高めることができる。特に
繊維織物の表裏を連通するマトリックス層が形成され、
このマトリックス層により織物の両側に形成されたマト
リックスが強固に結合されるため、複合材料の剥離方向
強度を大幅に高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミックス基繊維複合材料の一
実施例を示す要部断面図。
【図2】図1におけるII−II矢視平断面図。
【図3】本発明の他の実施例に係る複合材料の平断面
図。
【符号の説明】
1 セラミックス基繊維複合材料 2a,2b,2c,2d 繊維束 3,3a 繊維織物 4 マトリックス 5,5a 空隙部 6,6a マトリックス層 D 繊維束の直径 W 繊維織物の空隙部の幅

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維束を編み上げて形成した繊維織物
    を、セラミックスから成るマトリックス中に配置したセ
    ラミックス基繊維複合材料において、繊維織物面の垂直
    方向から見たときの織物空隙部の面積割合を、2.5〜
    83%の範囲に設定し、上記空隙部を埋めて繊維織物の
    表裏を連通するマトリックス層を一体に形成したことを
    特徴とするセラミックス基繊維複合材料。
  2. 【請求項2】 繊維束は複数のセラミックス繊維を束ね
    て形成され、繊維表面にカーボン(C)および窒化ほう
    素(BN)の少なくとも一方から成るすべり層を形成し
    た連続繊維の束であることを特徴とする請求項1記載の
    セラミックス基繊維複合材料。
  3. 【請求項3】 複合材料中における繊維織物の含有割合
    が2〜55体積%であることを特徴とする請求項1記載
    のセラミックス基繊維複合材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7318906B2 (en) 2001-05-31 2008-01-15 Japan Science And Technology Corporation Method for producing SiC fiber-reinforced SiC composite material

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