JPH08143377A - セラミックス基繊維複合材料 - Google Patents

セラミックス基繊維複合材料

Info

Publication number
JPH08143377A
JPH08143377A JP6287967A JP28796794A JPH08143377A JP H08143377 A JPH08143377 A JP H08143377A JP 6287967 A JP6287967 A JP 6287967A JP 28796794 A JP28796794 A JP 28796794A JP H08143377 A JPH08143377 A JP H08143377A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic
matrix
composite material
fiber
buffer layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6287967A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsuneji Kameda
常治 亀田
Akiko Suyama
章子 須山
Masahiro Asayama
雅弘 浅山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP6287967A priority Critical patent/JPH08143377A/ja
Publication of JPH08143377A publication Critical patent/JPH08143377A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】破壊抵抗特性を従来よりさらに改良した信頼性
が高いセラミックス基繊維複合材料を提供する。 【構成】セラミックスから成るマトリックス3中にセラ
ミックス繊維2を配置したセラミックス基繊維複合材料
1において、マトリックス3を構成するセラミックス粒
子相互の結合強度と比較してマトリックス3との結合強
度が小さい緩衝層4をマトリックス3内に形成したこと
を特徴とする。また緩衝層4は、厚さが0.2〜5μm
の層状物または最大部分の径が100μm以下の塊状物
あるいは連続相から成る。さらに緩衝層4は、カーボン
(C),窒化ほう素(BN)およびけい素(Si)の少
なくとも1種から構成するとよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス基繊維複合
材料に係り、特に破壊抵抗特性を従来よりさらに改良し
た信頼性が高いセラミックス基繊維複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にセラミックス焼結体は、高温まで
強度低下が少なく、硬度,電気絶縁性,耐摩耗性,耐熱
性,耐腐食性,軽量性等の諸特性が従来の金属材と比較
して優れているため、重電設備部品,航空機部品,自動
車部品,電子機器,精密機械部品,半導体装置材料など
の電子用材料や構造用材料として広い分野において使用
されている。
【0003】しかし、セラミックス焼結体は、圧縮応力
に比較して引張り応力に弱く、特にこの引張り応力下に
おいては破壊が一気に進行する、いわゆる脆性という欠
点を有している。このようなことから、高信頼性が要求
される部位へのセラミックス部品の適用を可能にするた
めに、セラミックス焼結体の高靭性化や破壊エネルギー
の増大を図ることが強く求められている。
【0004】すなわちガスタービン部品,航空機部品,
自動車部品等に使用されるセラミックス構造部品には、
耐熱性および高温強度に加えて高い信頼性が要求され
る。その要求に対応するため、無機物質や金属から成る
繊維,ウィスカー,プレート,粒子等の複合素材をマト
リックス焼結体に分散複合化させて破壊靭性値や破壊エ
ネルギー値や耐熱衝撃性等を高めたセラミックス複合材
料の実用化研究が内外の研究機関等において進められて
いる。
【0005】しかし単に上記のような長繊維などの複合
素材をマトリックス焼結体中に分散複合化させたセラミ
ックス基複合材料においては、複合素材とセラミックス
マトリックスとが界面で強固に結合し、一旦クラックが
発生した場合に、複合素材によるクラックの進展阻止が
不十分となり、複合材料の破壊が瞬時に進行する場合が
あった。
【0006】そこで特に繊維複合材料においては、繊維
の表面に、炭素(C),窒化ほう素(BN),炭化けい
素系化合物(Si−C−O)等から成るすべり層を形成
した複合材料も開発されている。このすべり層は、繊維
表面にカーボン(C)や窒化ほう素(BN),炭化けい
素系化合物(Si−C−O)等をコーティングして形成
される。
【0007】このすべり層を形成することにより、複合
繊維とセラミックスマトリックスとの間の強固な結合強
度が緩和され、材料の破壊抵抗を増大させることができ
る。すなわち複合材料に過大な応力が負荷したり、また
は、マトリックスにクラックが発生して繊維とマトリッ
クスとの間に変位が生じたりした場合においても、上記
すべり層における剥離やすべりが両者の歪差を吸収する
メカニズムが発揮されるため、クラックの進展を偏向さ
せることができ、また繊維の引抜き抵抗が寄与して結果
として破壊抵抗を増大させることができ、靭性値が高い
複合材料が得られる場合もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら炭素やB
N等によってすべり層を形成した従来の複合材料では、
特に大きな応力が急激に負荷された場合等においては、
上記の変位吸収のメカニズムやクラックの進展を偏向さ
せるメカニズムが十分に作用せず、脆性的な破壊が瞬時
に進行して材料の機能が喪失してしまう問題点があっ
た。
【0009】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、特に破壊抵抗特性を従来よりさらに
改良した信頼性が高いセラミックス基繊維複合材料を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願発明者らは、種々の繊維およびセラミックス焼
結体を用いて繊維複合材料を調製し、繊維およびセラミ
ックスマトリックスの形態が、材料の密度,マトリック
スの初期破壊強度,材料の破壊抵抗,歪み量および靭性
に及ぼす影響を比較調査した。その結果、特にカーボン
(C),窒化ほう素(BN),けい素(Si)などを、
セラミックスマトリックス中に層状または塊状に析出さ
せてマトリックスとの結合力が弱い緩衝層を形成したと
きに、この緩衝層によってクラックの進展が効果的に鈍
化して破壊抵抗が増加し、破壊抵抗特性に優れた繊維複
合材料が初めて得られるという知見を得た。本発明は上
記知見に基づいて完成されたものである。
【0011】すなわち本発明に係るセラミックス基繊維
複合材料は、セラミックスから成るマトリックス中にセ
ラミックス繊維を配置したセラミックス基繊維複合材料
において、マトリックスを構成するセラミックス粒子相
互の結合強度と比較してマトリックスとの結合強度が小
さい緩衝層をマトリックス内に形成したことを特徴とす
る。また緩衝層は、厚さが0.2〜5μmの層状物から
構成するとよい。または緩衝層は、最大部分の径が10
0μm以下の塊状物あるいは連続相から構成することも
できる。さらに緩衝層は、カーボン(C),窒化ほう素
(BN)およびけい素(Si)の少なくとも1種から構
成するとよい。
【0012】ここで上記セラミックス基繊維複合材料の
マトリックスを構成するセラミックスとしては、種々の
セラミックスを用いることができ、例えば炭化けい素
(SiC),窒化アルミニウム(AlN),窒化けい素
(Si3 4 ),窒化ほう素(BN),サイアロン(S
i−A−O−N)等の非酸化物系のセラミックスやアル
ミナ(Al2 3 ),ジルコニア(ZrO2 ),チタニ
ア(TiO2 ),ムライト(3Al2 3 ・2Si
2 ),ベリリア(BeO),コージェライト,ジルコ
ン,スピネル(MgAl2 4 )などの酸化物系のセラ
ミックス、けい化モリブデン等のけい化物系のセラミッ
クスが1種または2種以上混合して使用さる。また、上
記マトリックスを形成するためのセラミックス原料粉末
には、必要に応じて酸化イットリウム,酸化アルミニウ
ム,酸化セリウム,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム
もしくは珪酸等の焼結助剤や添加剤が添加される。さら
にマトリックスを反応焼結過程で形成することも可能で
ある。
【0013】またマトリックス中に配置されるセラミッ
クス繊維は複合材料の靭性を高めるために所定量複合化
される。上記セラミックス繊維は、直径10μm前後の
微細なセラミックス長繊維(モノフィラメント)をその
まま使用してもよいが、このモノフィラメントを100
〜3000本程度束ねて直径0.1〜1.5mm程度の長
繊維束とした後に、この長繊維束を直径の1〜30倍の
長さに切断して形成したものを使用することもできる。
さらに上記モノフィラメントまたは繊維束を二次元方向
または三次元方向に織って繊維織物として使用すること
もできる。
【0014】また上記セラミックス繊維の材質は、特に
限定されるものではなく、マトリックスの構成材料と同
様な組成のセラミックス繊維を用いることができる。こ
のようなセラミックス繊維の具体例としては、炭化けい
素系繊維(SiC,Si−C−O,Si−Ti−C−O
等),SiC被覆繊維(芯線は例えばC),アルミナ繊
維,ジルコニア繊維,炭素繊維,ボロン繊維,窒化けい
素系繊維,Si3 4被覆繊維(芯線は例えばC)およ
びムライト(3Al2 3 ・2SiO2 〜2Al2 3
・SiO2 )繊維等があり、これらから選択された少な
くとも一種を使用するとよい。
【0015】上記セラミックス繊維は、複合材料全体に
対して繊維体積率(Vf)で2%以上の割合となるよう
にマトリックス中に分散配置される。しかしながら繊維
体積率が55%を超える過量となると、各セラミックス
繊維周囲にマトリックスを均一に配置することが困難に
なり、空隙など欠陥の発生に伴い複合材料の強度特性が
急激に低下してしまう。したがって繊維複合効果が有効
に現れる好ましい添加量は20〜40体積%の範囲であ
る。
【0016】繊維の径および長さは、マトリックス中に
おける繊維の分散性および配向性さらには複合材料の強
度特性およびマクロの破壊特性に大きく影響を及ぼすも
のであり、本発明では直径が3〜150μm、長さが
0.1mm以上の短繊維または連続繊維を使用する。繊維
の長さが0.1mm未満の場合あるいは繊維の直径が3μ
m未満の場合には、繊維による靭性向上効果が少ない一
方、繊維の直径が150μmを超える太い繊維では、目
的とする微視的なレンジでのクラック進展に対する阻止
効果が期待できず、かつ繊維の高い剛性により形状付与
がしにくくなる。
【0017】すなわち、直径が3〜150μmで、かつ
長さが0.1mm以上の繊維を用いることによって、良好
な形状付与性能を維持しつつ、繊維による靭性改良効果
を充分に確保することが可能となる。但し、このような
繊維の体積率が2%未満であると、繊維による靭性改良
効果が低下するため、繊維の体積率は2%以上とするこ
とが好ましい。
【0018】またマトリックス内に形成される緩衝層
は、マトリックスにおいて発生したクラックの進展を鈍
化せしめるために形成される。上記緩衝層は、カーボン
(C),窒化ほう素(BN),けい素(Si)の少なく
とも1種をマトリックス中に層状(フィルム状)または
塊状にあるいは連続相として析出させて形成する。緩衝
層を層状物として形成する場合の厚さは0.2〜5μm
の範囲に設定される一方、塊状物あるいは連続相として
形成する場合における塊状物等の最大部分の径は100
μm以下に設定される。
【0019】上記層状の緩衝層の厚さが0.2μm未満
の場合は、クラックの進展を鈍化させる効果が少ない一
方、厚さが5μmを超えるように過大となると、緩衝層
における剥離が生じ易くなり、複合材料の強度および耐
久性が低下してしまう。また塊状に形成した緩衝層の塊
状物あるいは連続相の最大部分の径が100μmを超え
ると、同様に複合材料の強度が低下してしまう。したが
って緩衝層の層状物の厚さおよび塊状物あるいは連続相
の最大部分の径は上記範囲に設定される。
【0020】上記のような層状または塊状あるいは連続
相の緩衝層をマトリックス内にSiで形成すると、高温
で複合材料を使用する場合に緩衝層が軟化する。そして
マトリックスと緩衝層との結合強度は、マトリックスを
構成するセラミックス粒子相互の結合強度より小さくな
り、界面に弱い結合部が形成される。この状態でマトリ
ックスに初期破壊が発生しても、クラックの先端部が緩
衝層に達した段階で、クラックの進展方向が上記弱い結
合部方向に偏向されると同時にクラックによって生じた
マトリックスの歪が緩衝層によって吸収されるため、以
後のクラックの進展が効果的に阻止される結果、破壊進
展抵抗が大きい高靭性の複合材料が得られる。
【0021】また上記繊維とマトリックスとの界面に
は、初期破壊後の繊維の引抜けを有効に発現させるた
め、および両者の反応を防止し界面におけるすべり抵抗
を適正値にする目的でセラミックス繊維表面に厚さ5μ
m以下の界面層を形成するとよい。この界面層は繊維表
面にカーボン(C)や窒化ほう素(BN)をコーティン
グして形成される。
【0022】上記界面層によりセラミックス繊維と、マ
トリックスとの間の強固な結合強度が緩和され、応力負
荷時に界面での剥離が生じ、靭性向上に不可欠の繊維の
引抜けが生じ、靭性値が高い複合材料が得られる。
【0023】また複合材料の全表面にマトリックスのみ
から成る厚さ500μm以下のマトリックス層を形成
し、繊維とマトリックスとの界面部が複合材料表面に露
出しないように構成することにより、繊維の露出による
熱劣化,酸化劣化および強度低下を防止することができ
る。さらに繊維表面に形成した界面層を構成するCやB
N成分の酸化によるすべり機能の低下が防止でき、複合
材料の高温強度の低下を効果的に防止することができ
る。上記マトリックス層を厚さ500μm以下に形成す
ることにより、上記強度低下防止機能を十分に発現でき
る。
【0024】上記マトリックス中に複数の繊維層を積層
配置した平板状のセラミックス基繊維複合材料は、例え
ば以下のように製造される。すなわちセラミックス繊維
の束(ヤーン)を織って形成した各繊維織布層の上下
に、焼結助剤や添加剤を配合したセラミックス原料粉末
およびカーボン,窒化ほう素,けい素の少なくとも1種
の粉末を所定割合にて積層配置した上で成形し、得られ
た成形体を非酸化性雰囲気中でホットプレス法,常圧焼
結法または反応焼結法によって焼結して製造される。
【0025】一方、平板状ではなく、例えばタービン動
翼などの複雑な形状を有するセラミックス基繊維複合材
料は、例えば以下のような方法で製造される。すなわ
ち、繊維を編んで所定の部品形状に近似した予備成形体
(プリフォーム)を形成し、この予備成形体中にC,B
N,Siの少なくとも1種を含有したセラミックススラ
リーを含浸せしめて成形体とし、得られた成形体を乾燥
し脱脂した後に、得られた成形体を非酸化性雰囲気中で
ホットプレス法または常圧焼結法によって焼結して製造
される。
【0026】
【作用】上記構成に係るセラミックス基繊維複合材料に
よれば、層状または塊状あるいは連続相の緩衝層をマト
リックス内に形成することにより、複合材料の使用温度
においてマトリックスと緩衝層との結合強度は、マトリ
ックスを構成するセラミックス粒子相互の結合強度より
小さくなり、界面に弱い結合部が形成される。この状態
でマトリックスに初期破壊が発生しても、クラックの先
端部が緩衝層に達した段階で、クラックの進展方向が上
記弱い結合部方向に偏向されると同時にクラックによっ
て生じたマトリックスの歪が緩衝層によって吸収される
ため、以後のクラックの進展が効果的に阻止される結
果、繊維を複合したことによる靭性向上分に加えて破壊
進展抵抗がさらに大きい高靭性の複合材料が得られる。
【0027】
【実施例】以下本発明の実施例について添付図面を参照
して説明する。
【0028】実施例1〜3 厚さ0.03μmのカーボンを被覆した直径15μmの
C被覆SiC連続繊維を500本束ねて直径約500μ
mの長繊維束(ヤーン)を形成し、この長繊維束を二次
元方向に織って平織りクロス状の繊維織物を多数調製し
た。一方、平均粒径0.8μmのSi3 4 粉末に、焼
結助剤として5重量%のY2 3 粉末と2重量%のAl
2 3 粉末とを配合して均一なマトリックス用混合体を
調製した。そして上記繊維織物とマトリックス用混合体
とを成形型内に交互に充填積層するとともに各マトリッ
クス用混合体の厚さ方向の中間部に平均粒径0.2μm
のBN粉末を部分的に配置して実施例1〜3用の成形体
を形成した。なお各繊維織物とマトリックス用混合体と
の配合比は、表1に示すように複合材料中に含有される
各繊維織物の繊維体積率Vfが20〜40vol%の範囲で
変化するように設定した。
【0029】次に、得られた各成形体を自然乾燥後、温
度800℃で1時間脱脂し、得られた脱脂成形体をカー
ボンモールド中に充填し、さらにN2 ガス雰囲気下で温
度1550℃で0.5時間加熱すると同時に圧力40M
Paで加圧しながらホットプレス焼結することにより、
縦50mm×横50mm×厚さ5mmの平板状の実施例1〜3
に係るセラミックス基繊維複合材料をそれぞれ製造し
た。
【0030】図1に示すように、各実施例1〜3に係る
セラミックス基繊維複合材料1は、複数のセラミックス
繊維層(SiC繊維織物)2をセラミックスマトリック
ス(Si3 4 マトリックス)3中に積層配置した構造
を有する。また各セラミックスマトリックス3の厚さ方
向の中間部には部分的に層状に析出したBNから成る緩
衝層4が形成されている。
【0031】実施例4〜6 実施例1〜3においてBN粉末を層状に配置せずに、B
N粉末を10重量%の配合比率でマトリックス用混合体
中に予め均一に配合した点を除き、以下実施例1〜3と
同様に成形焼結処理して、それぞれ実施例1〜3と同一
の繊維体積率Vfを有する実施例4〜6に係るセラミッ
クス基繊維複合材料をそれぞれ調製した。
【0032】各実施例4〜6に係るセラミックス基繊維
複合材料は、図2に示すように、複数のセラミックス繊
維層(SiC繊維織物)2aをセラミックスマトリック
ス(Si3 4 マトリックス)3a中に積層配置した構
造を有する。また各セラミックスマトリックス3aの中
間部には塊状に析出したBNから成る緩衝層4aが形成
されている。
【0033】実施例7〜9 実施例1〜3において調製した繊維織物を複数枚積層し
て予備成形体(繊維積層プリフォーム)を調製した。一
方、骨材としてのSiC粉末(粒径32μm以下)と炭
素源としてのカーボンブラックとを溶媒に分散せしめて
低粘度のマトリックス用スラリーを調製した。
【0034】次に圧力鋳込み成形法を使用して、上記予
備成形体中にマトリックス用スラリーを加圧含浸充填し
た。成形圧力は5MPa,成形時間は10分とした。な
おマトリックス用スラリーの含浸量は、表1に示すよう
に、複合材料中の繊維体積率Vfが20〜40体積%と
なるように設定した。さらにマトリックス用スラリーを
含浸した予備成形体を自然乾燥した後に、N2 ガス雰囲
気中で温度600℃で2時間脱脂することにより、スラ
リーに成形助剤として添加した有機成分を除去した。次
に得られた脱脂成形体に対して溶融したSiを真空中で
含浸させながら温度1420℃で2時間加熱して反応焼
結を実施し、成形体内部にSiCから成る反応焼結Si
Cマトリックスを形成すると同時に、マトリックス中に
過剰のSiを連続相状に析出せしめて緩衝層を形成し、
実施例7〜9に係るセラミックス基繊維複合材料をそれ
ぞれ調製した。
【0035】実施例10〜12 実施例1〜3において使用したC被覆SiC連続繊維織
物に代えて、厚さ0.3μmのBNを被覆した直径85
μmで長さが300μmのSiC系短繊維(モノフィラ
メント)を使用した点,および実施例1〜3において使
用したSi3 4 粉末を主体とするマトリックス用混合
体に代えて、平均粒径0.3μmのSiC粉末に10重
量%のカーボンブラックと2重量%のB4 C粉末とを配
合したマトリックス用混合体を使用した点,および常圧
焼結法にて焼成した点以外は実施例1〜3と同様に成形
焼成することにより、平板状に析出したカーボン(最大
径8μm,厚さ0.7μm)から成る緩衝層を有する実
施例10〜12に係るセラミックス基繊維複合材料をそ
れぞれ製造した。
【0036】比較例1 BN粉末を全く添加しない点以外は実施例2,5と同様
に成形焼結処理して比較例1に係るセラミックス基繊維
複合材料を製造した。
【0037】比較例2 過剰のSiを含浸させず、連続相状のSiから成る緩衝
層を形成しない点以外は、実施例8と同様に処理して比
較例2に係るセラミックス基繊維複合材料を製造した。
【0038】比較例3 実施例11においてカーボンブラックを過剰に添加しな
いマトリックス用混合体を使用した点以外は、実施例1
1と同様に成形焼結して比較例3に係るセラミックス基
繊維複合材料を製造した。
【0039】こうして調製した実施例および比較例に係
る各セラミックス基繊維複合材料の特性を評価するた
め、各複合材料から試験片を切り出し、各試験片につい
て、密度を測定した後に温度1200℃で3点曲げ強度
試験を実施して初期破壊応力および破壊エネルギーを測
定し、下記表1に示す結果を得た。なお破壊エネルギー
は1200℃で試験片を3点曲げ強度試験に供して得ら
れた応力−歪曲線から算出し、比較例1の場合を基準値
1として相対的に表示した。
【0040】
【表1】
【0041】上記表1に示す結果から明らかなように、
BN,C,Siをマトリックス中に層状または塊状ある
いは連続相として部分的に析出させて緩衝層を形成した
各実施例の複合材料は、いずれも密度が高く緻密な組織
構造を有し、初期破壊応力も高く、さらにカタストロフ
ィックな破壊を起こすことがなく、優れた破壊抵抗特性
を示した。すなわち、マトリックス中を進展してきたク
ラックの先端が、緩衝層に到達した以降においては、ク
ラックの進展が阻止される効果が発現されるため、複合
材料全体の破壊抵抗が増大したものと考えられる。
【0042】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係るセラミック
ス基繊維複合材料によれば、層状または塊状あるいは連
続相として緩衝層をマトリックス中に形成することによ
り、複合材料の使用温度においてマトリックスと緩衝層
との結合強度は、マトリックスを構成するセラミックス
粒子相互の結合強度より小さくなり、界面に弱い結合部
が形成される。この状態でマトリックスに初期破壊が発
生しても、クラックの先端部が緩衝層に達した段階で、
クラックの進展方向が上記弱い結合部方向に偏向される
と同時にクラックによって生じたマトリックスの歪が緩
衝層によって吸収されるため、以後のクラックの進展が
効果的に阻止される結果、破壊進展抵抗が大きい高靭性
の複合材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るセラミックス基繊維複
合材料の構造を示す部分断面図。
【図2】本発明の他の実施例に係るセラミックス基繊維
複合材料の構造を示す部分断面図。
【符号の説明】
1,1a セラミックス基繊維複合材料 2,2a SiC繊維織物(セラミックス繊維織物) 3,3a セラミックスマトリックス(Si3 4 ,S
iC) 4,4a 緩衝層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスから成るマトリックス中に
    セラミックス繊維を配置したセラミックス基繊維複合材
    料において、マトリックスを構成するセラミックス粒子
    相互の結合強度と比較してマトリックスとの結合強度が
    小さい緩衝層をマトリックス内に形成したことを特徴と
    するセラミックス基繊維複合材料。
  2. 【請求項2】 緩衝層は、厚さが0.2〜5μmの層状
    物から成ることを特徴とする請求項1記載のセラミック
    ス基繊維複合材料。
  3. 【請求項3】 緩衝層は、最大部分で径が100μm以
    下の塊状物あるいは連続相から成ることを特徴とする請
    求項1記載のセラミックス基繊維複合材料。
  4. 【請求項4】 緩衝層が、カーボン(C),窒化ほう素
    (BN)およびけい素(Si)の少なくとも1種から成
    ることを特徴とする請求項2または3記載のセラミック
    ス基繊維複合材料。
JP6287967A 1994-11-22 1994-11-22 セラミックス基繊維複合材料 Pending JPH08143377A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6287967A JPH08143377A (ja) 1994-11-22 1994-11-22 セラミックス基繊維複合材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6287967A JPH08143377A (ja) 1994-11-22 1994-11-22 セラミックス基繊維複合材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08143377A true JPH08143377A (ja) 1996-06-04

Family

ID=17724077

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6287967A Pending JPH08143377A (ja) 1994-11-22 1994-11-22 セラミックス基繊維複合材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08143377A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016024062A (ja) * 2014-07-22 2016-02-08 株式会社東芝 チャンネルボックス
JP2016135728A (ja) * 2015-01-23 2016-07-28 イビデン株式会社 管状体
CN108147828A (zh) * 2017-12-13 2018-06-12 广东核电合营有限公司 Max相陶瓷管材及其制备方法、核燃料包壳管

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016024062A (ja) * 2014-07-22 2016-02-08 株式会社東芝 チャンネルボックス
US20170229195A1 (en) * 2014-07-22 2017-08-10 Kabushiki Kaisha Toshiba Channel box
EP3174063A4 (en) * 2014-07-22 2018-04-04 Kabushiki Kaisha Toshiba Channel box
US10878968B2 (en) 2014-07-22 2020-12-29 Kabushiki Kaisha Toshiba Channel box
JP2016135728A (ja) * 2015-01-23 2016-07-28 イビデン株式会社 管状体
CN108147828A (zh) * 2017-12-13 2018-06-12 广东核电合营有限公司 Max相陶瓷管材及其制备方法、核燃料包壳管
CN108147828B (zh) * 2017-12-13 2021-08-27 广东核电合营有限公司 Max相陶瓷管材及其制备方法、核燃料包壳管

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4772524A (en) Fibrous monolithic ceramic and method for production
Dong et al. Preparation of SiC/SiC composites by hot pressing, using Tyranno‐SA fiber as reinforcement
Kodama et al. Silicon Carbide Monofilament‐Reinforced Silicon Nitride or Silicon Carbide Matrix Composites
JP4106086B2 (ja) セラミックス基繊維複合材料
Yoshida et al. Improvement of the mechanical properties of hot-pressed silicon-carbide-fiber-reinforced silicon carbide composites by polycarbosilane impregnation
Droillard et al. Strong interface in CMCs, a condition for efficient multilayered interphases
Hurwitz et al. Polymer Derived Nicalon/Si‐C‐O Composites: Processing and Mechanical Behavior
EP0370176B1 (en) Ceramic composit material and process of manufacturing thereof
JPH0967165A (ja) 炭化けい素セラミックスおよびその製造方法
JPH0925178A (ja) セラミックス基繊維複合材料およびその製造方法
JPH08143377A (ja) セラミックス基繊維複合材料
JP3604438B2 (ja) 炭化珪素基繊維複合材料およびその製造方法
JPH06340475A (ja) 繊維強化セラミックス複合材料およびその製造方法
JP3141512B2 (ja) 炭化ケイ素系無機繊維強化セラミックス複合材料
JPH0867574A (ja) セラミックス基繊維複合材料部品およびその製造方法
JP2997868B2 (ja) セラミックス基セラミックス長繊維複合材料とその製造方法
JPH0624726A (ja) ジルコニア−二ケイ化モリブデン組成物およびその製造法
JPH06321620A (ja) 高靱性セラミック材料
JPH08143374A (ja) セラミックス基繊維複合材料
JPH08143376A (ja) セラミックス基繊維複合材料
JPH06287070A (ja) 複合強化セラミックス
Park et al. Indentation crack length anisotropy in silicon nitride with aligned reinforcing grains
JPH08143375A (ja) セラミックス基繊維複合材料
JP3616790B2 (ja) 高耐性粒子配向窒化ケイ素多孔体とその製造方法
JPH1059781A (ja) セラミックス基繊維複合材料