JPH0814216A - 物体表面の流体抵抗低減構造 - Google Patents

物体表面の流体抵抗低減構造

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JPH0814216A
JPH0814216A JP17355094A JP17355094A JPH0814216A JP H0814216 A JPH0814216 A JP H0814216A JP 17355094 A JP17355094 A JP 17355094A JP 17355094 A JP17355094 A JP 17355094A JP H0814216 A JPH0814216 A JP H0814216A
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fluid
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recesses
reducing
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Kenji Inaba
健嗣 稲葉
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F15FLUID-PRESSURE ACTUATORS; HYDRAULICS OR PNEUMATICS IN GENERAL
    • F15DFLUID DYNAMICS, i.e. METHODS OR MEANS FOR INFLUENCING THE FLOW OF GASES OR LIQUIDS
    • F15D1/00Influencing flow of fluids
    • F15D1/002Influencing flow of fluids by influencing the boundary layer
    • F15D1/0025Influencing flow of fluids by influencing the boundary layer using passive means, i.e. without external energy supply
    • F15D1/003Influencing flow of fluids by influencing the boundary layer using passive means, i.e. without external energy supply comprising surface features, e.g. indentations or protrusions
    • F15D1/005Influencing flow of fluids by influencing the boundary layer using passive means, i.e. without external energy supply comprising surface features, e.g. indentations or protrusions in the form of dimples

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新しい流体力学理論に基づいて、物体の表面
の流体抵抗をその表面が平滑な場合よりも減少させるこ
とができ、燃費、加速性、最高速度、安定性等の向上、
省エネルギー化及び環境問題の改善、摩擦熱や様々な有
害抗力の減少等の、従来のレベルからは飛躍した革新技
術が得られる画期的な物体表面の流体抵抗低減構造を提
供する。 【構成】 例えばスペースシャトル11においては、空
気との相対移動方向が、地上からの打上げ時には胴体の
長手方向であるが、機首を30〜40度上げた姿勢での
大気圏再突入時には胴体の底面から上面への方向とな
る。このように、相対移動方向が一方向に定まらないの
で、スペースシャトル11の表面には多数の六角形凹部
2と陸部3とが、いかなる相対移動方向にも交互に現わ
れるように配設されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、次に例示するように、
物体と流体とが相対移動するようなあらゆる物体におけ
る表面の流体抵抗低減構造に関するものである。 (1)空気や水等の流体中を移動する物体 スペースシャトル、ロケット、スペースプレーン等
の宇宙航行体 旅客機、貨物輸送機、戦闘機、ヘリコプター等の航
空機 在来線車両、新幹線車両、リニアモーターカー、H
SST等の鉄道車両 F1等のレースカー、乗用車、バス、トラック、オ
ートバイ等の自動車 ヨット、旅客船、貨物輸送船、潜水艦等の船舶 大陸間弾道弾、ミサイル、砲弾、弾丸、魚雷等の兵
器 競技用服、帽子、ヘルメット、ソリ、投げ槍、自転
車等の各種スポーツ用品、アイテム フリスビー、ラジコン飛行機等の玩具 ロボット (2)空気や水等の流体が周囲を移動していく物体 建物、橋、水中構築物等の建造物
【0002】
【従来の技術】一般に、物体の表面の空気抵抗は、その
表面が平滑な場合に小さくなり、その表面が凹凸の場合
に大きくなると考えられている。このため、従来の宇宙
航行体、航空機等の表面は、できる限り平滑に仕上げら
れている。また、現代では、空気力学的に物体を流線形
フォルムとするのが代表的であり、その流線形からなる
姿は非常に美しく斬新なものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、たとえ表面が
平滑な物体であっても、空気抵抗は無視し得ず、上に例
示した輸送用物体においては、その燃費、加速性、最高
速度、安定性等に悪影響を与える。特に燃費の問題は、
エネルギー資源の問題、公害、酸性雨、地球温暖化等の
環境問題に直接関係し、最近の交通用エネルギーの増加
に伴ってますます重要性を増している。また、超高速で
飛行する物体には空気との摩擦熱(空力加熱)の問題が
あり、例えばスペースシャトルは、大気圏再突入時に秒
速7.6kmもの速度に達するため、摩擦熱により表面
温度は部分的には1400℃以上にもなる。従って、耐
熱材や断熱構造の開発が困難で、大きな課題とされてお
り、耐久性等についても、今後の新しい発想が期待さ
れ、また急がれている。
【0004】本発明の目的は、上記課題を解決し、新し
い流体力学理論に基づいて、物体の表面の流体抵抗をそ
の表面が平滑な場合よりも減少させることができ、例え
ばあらゆる輸送用物体において燃費、加速性、最高速
度、安定性等を向上でき、特に省エネルギー化及び環境
問題への改善努力に全地球的に取り組むことができ、ま
た、超高速で飛行する物体においては摩擦熱や様々な有
害抗力を減少させて耐熱材や断熱構造の耐久性、コスト
等を改善できる等の、従来のレベルからは飛躍した革新
技術が得られる画期的な物体表面の流体抵抗低減構造を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の物体表面の流体抵抗低減構造では、物体と
流体とが相対移動するような物体において、物体の表面
に多数の凹部と陸部とを前記相対移動方向に交互に現わ
れるように配設するという手段をとった。ここで、凹部
と陸部は相対的な概念で、表面に多数の凹部を凹設した
ときには凹部間に陸部が残り、表面に多数の陸部を凸設
したときには陸部間に凹部が残る。
【0006】ここで、物体表面は平面に限定されず、例
えば曲面でも凹凸面でもよい。また、多数の凹部と陸部
は、物体の全表面に配設することが好ましいが、必ずし
も全表面に限定されず、物体の一部の表面に配設するこ
ともできる。
【0007】前記凹部の平面形状としては、次のような
粒状凹部(次の溝状に対する広い概念で、平面から見て
粒状に独立した凹部を意味する。)、溝状凹部、それら
の中間的な凹部、それらの組み合わせ等を例示できる。
【0008】(1)粒状凹部 物体が回転したり向きを変えたり、流体が色々な方向か
ら流れたりするときのように、物体と流体との相対移動
方向が一方向に定まらない場合には、凹部と陸部とがい
かなる相対移動方向にも交互に現われるようにする必要
があるため、多数の粒状凹部を配設することが好まし
い。粒状凹部の具体例を次に挙げる。
【0009】 円形、楕円形、長円形等の略円形凹部 略円形とは、真円形のみならず、楕円、多少歪んだ円形
等も含む意味である。図1(a)は物体1の表面に略円
形凹部2を縦横に碁盤目状に配設した例、図1(b)は
略円形凹部2を六方稠密に配設した例を示す。各図にお
いて矢印は物体に対する流体の相対移動方向を例示し、
多数の略円形凹部2と、凹部2間に残った陸部3とが流
体の相対移動方向に交互に現われる。図1(b)のよう
に略円形凹部2を六方稠密に配設すれば、後述する流体
接触面積をより小さくできる。
【0010】 略多角形凹部 略多角形とは、正規の多角形のみならず、角が丸まった
多角形、辺が湾曲した多角形等も含む意味である。多角
形の角数は限定されないが、表面を多角形で敷き詰めら
れる点で、三角形、四角形、六角形が好ましい。図1
(c)(d)は三角形凹部2とその配設例を示し、図2
(a)(b)は正方形又は長方形凹部2とその配設例を
示し、図2(c)(d)は菱形凹部2とその配設例を示
す。また、図3(a)は正六角形凹部2とその六方稠密
の配設例を示し、図3(b)は長六角形凹部2とその六
方稠密の配設例を示し、図3(c)は六角形凹部2の斜
視図である。これらの例においても、各図の矢印は物体
に対する流体の相対移動方向を例示し、多数の略円形凹
部2と陸部3とが流体の相対移動方向に交互に現われ
る。前記円形凹部の六方稠密配設よりも、このような六
角形凹部2の六方稠密配設の方が、さらに流体接触面積
を小さくできる。
【0011】なお、図3(a)のように正六角形凹部2
を六方稠密に配設すると、周期特性が最も良くなる。こ
こで、周期特性とは、どの相対移動方向においても、凹
部及び陸部が、凹部→陸部→凹部→陸部→……と周期的
に現れ、その周期と凹部及び陸部の幅が、どの相対移動
方向においても均一に近い性質をいう。また、例えば図
3(a)において、縦方向の矢印が最も高速の相対移動
方向であるとき、六角形凹部2はその方向に並ぶように
配設することが好ましい。後述する流体接触面積を最も
小さくできるからである。また、図3(b)に例示した
長六角形凹部2は、物体と流体との相対移動方向が一方
向に定まらない場合と定まる場合との中間的な条件にあ
る物体の表面に配設するのに、最も好ましい形状であ
る。その長六角形の度合(偏平度)は適宜設定できる。
【0012】(2)溝状凹部 物体が直線上又は緩かな曲線上を移動したり、流体が一
方向に流れたりするときのように、物体と流体との相対
移動方向が略一方向に定まる場合には、凹部と陸部とが
少なくともその相対移動方向に交互に現われればよく、
従って多数の溝状凹部を配設することが好ましい。後述
する流体接触面積を最も小さくできるからである。溝状
凹部の具体例を次に挙げる。
【0013】図4(a)(b)(c)は縞模様に配設さ
れた直線的な溝状凹部2を、図4(d)は同心環状に配
設された溝状凹部2を、図4(e)は縞模様に配設され
た波状の溝状凹部2を、図4(f)は縞模様に配設され
たジグザグ状の溝状凹部2を、図4(g)(h)は縞模
様に配設された連鎖円弧状の溝状凹部2をそれぞれ例示
し、線上の部分が陸部3である。これらの例において
も、各図の矢印は物体に対する流体の相対移動方向を例
示し、多数の略円形凹部2と陸部3とが流体の相対移動
方向に交互に現われる。なお、図4(a)のように溝状
凹部2を流体の相対移動方向に対して略直角に延ばせ
ば、後述する流体接触面積を最も小さくでき、図4
(b)〜(h)のように溝状凹部2を流体の相対移動方
向に対して斜めにしたり環状にしたり波にしたりすれ
ば、物体と流体との相対移動方向が多少乱れたときにも
対応でき、好ましい。
【0014】次に、前記凹部の断面形状としては、次の
を例示でき、これらは上に例示した凹部の平面
形状と適宜組合わせることができる。また、これらの例
においても、各図の矢印は物体に対する流体の相対移動
方向を例示している。 図5(a)(b)(c)に示すように、凹部2の内
縁部から最深部に向かって次第に深くなる凹部2。 図5(d)(e)(f)(g)に示すように、凹部
2の内縁部が物体1の表面に対して略直角をなして深く
なる凹部2。 図6(a)(b)(c)(d)(e)に示すよう
に、凹部2の内縁部が物体1の表面に対してアンダーカ
ットをなして深くなる凹部2。 図7(a)(b)(c)(d)(e)(f)に示す
ように、前記を汲み合わせた非対称の凹部2。
【0015】次に、前記凹部の幅(前記相対移動方向の
長さをいう。以下同じ。)と陸部の幅(前記相対移動方
向の長さをいう。以下同じ。)は特定の数値に限定され
ず、適宜設定することができる。但し、凹部の幅は、後
述する臨界特性に合わせて、可能な限り大きくし、少な
くとも陸部3の幅より大きくすることが好ましい。一
方、陸部の幅は、その強度及び耐久性を保てる範囲で、
可能な限り小さくすることが好ましい。つまり、これら
は、後述する流体接触面積を最大限に減らすためであ
る。物体と空気との相対移動速度に応じた凹部の幅と陸
部の幅の設定例を、次に示す。但し、(特にマッハ1を
越える速度域では)これらの数値に限定されるものでは
ない。
【0016】(1)相対移動速度が毎時100km未満
の場合 凹部の幅は0.1〜50.0mm位の範囲から適宜設定
できるが、好ましくは0.5〜30.0mmの範囲、さ
らに好ましくは1.0〜10.0mmの範囲、より好ま
しくは1.5〜5.0mmの範囲から設定する。凹部の
最深部の深さは0.1〜30.0mm位の範囲から適宜
設定できるが、好ましくは0.2〜10.0mmの範
囲、さらに好ましくは0.4〜5.0mmの範囲、より
好ましくは0.5〜3.0mmの範囲から設定する。陸
部の幅は0.0〜3.0mm位の範囲から適宜設定でき
るが、好ましくは0.0〜1.5mmの範囲、さらに好
ましくは0.0〜1.0mmの範囲、より好ましくは
0.0〜0.5mmの範囲から設定する。
【0017】なお、陸部の幅が0.0mmとは、隣合う
凹部同志が縁を共有するように配設された場合をいう。
但し、その場合でも、現実に形成される凹部の縁にはア
ールが不可避的に付くから、そのアール分の幅・面積の
陸部はあることになる。
【0018】(2)相対移動速度が毎時100〜500
kmの場合 凹部の幅は0.1〜300.0mm位の範囲から適宜設
定できるが、好ましくは1.0〜100.0mmの範
囲、さらに好ましくは1.5〜50.0mmの範囲、よ
り好ましくは2.0〜30.0mmの範囲から設定す
る。凹部の最深部の深さは0.1〜100.0mm位の
範囲から適宜設定できるが、好ましくは0.5〜50.
0mmの範囲、さらに好ましくは1.0〜30.0mm
の範囲、より好ましくは1.0〜10.0mmの範囲か
ら設定する。陸部の幅は0.0〜30.0mm位の範囲
から適宜設定できるが、好ましくは0.0〜10.0m
mの範囲、さらに好ましくは0.0〜1.0mmの範
囲、より好ましくは0.0〜0.5mmの範囲から設定
する。
【0019】(3)相対移動速度が毎時500kmを越
える場合 凹部の幅は0.1〜1500.0mm位の範囲から適宜
設定できるが、好ましくは1.5〜1000.0mmの
範囲、さらに好ましくは2.0〜500.0mmの範
囲、より好ましくは2.5〜100.0mmの範囲から
設定する。凹部の最深部の深さは0.1〜500.0m
m位の範囲から適宜設定できるが、好ましくは1.0〜
300.0mmの範囲、さらに好ましくは1.5〜10
0.0mmの範囲、より好ましくは1.5〜50.0m
mの範囲から設定する。陸部の幅は0.0〜100.0
mm位の範囲から適宜設定できるが、好ましくは0.0
〜10.0mmの範囲、さらに好ましくは0.0〜5.
0mmの範囲、より好ましくは0.0〜1.0mmの範
囲、最善としては0.0〜0.5mmの範囲から設定す
る。
【0020】次に、図8(a)(b)(c)に示すよう
に、前記凹部2の内縁部に凹部2の最深部より浅い少な
くとも一段の凹部内段部4を隆起形成することもでき
る。この凹部内段部4の内縁線は、凹部2の内縁線と略
平行にすればよいが、多角形凹部2に対しては略円形に
することが好ましい。凹部2の縁から凹部内段部4の内
縁までの面積は、凹部2の面積の8〜50%位にするの
が適当であるが、好ましくは15〜40%位である。
【0021】図9は凹部内段部4の内縁形状及び面積が
異なる例を示している。(a)の凹部内段部4の内縁
は、六角形凹部2の内接円であり、凹部内段部4の面積
は六角形凹部2の面積の約9.3%である。(b)の凹
部内段部4の内縁は(a)の内接円より小さい円形であ
り、凹部内段部4の面積は六角形凹部2の面積の約25
%である。(c)の凹部内段部4の内縁は六角形であ
り、凹部内段部4の面積は六角形凹部2の面積の約40
%である。
【0022】図10は凹部内段部4の断面形状が異なる
例を示している。(a)の凹部内段部4はその下部スロ
ープがなだらかである。(b)の凹部内段部4はその下
部スロープが垂立に近い。(c)の凹部内段部4は、そ
の下部スロープがアンダーカットになっている。これら
のうち(c)が最も凹部内容積を減らさない点で好まし
いが、加工性の点では(a)(b)が好ましい。
【0023】図11は二段の凹部内段部4,5を形成し
た例を示している。すなわち、凹部内段部4の内側に、
凹部内段部4よりは深く凹部2の最深部よりは浅い凹部
内段部5を隆起形成したものである。
【0024】図12は凹部内段部を少なくとも一段の隆
起した凸条(平面略円環状又は凹部の内縁部に略並行な
環状)とした例を示している。(a)の凹部内段部4は
一段の凸条、(b)の凹部内段部4,5は二段の凸条で
ある。また、(c)は面状の凹部内段部4と凸条の凹部
内段部5との組み合わせ、(d)は面状の凹部内段部4
と凸条の凹部内段部5,6との組み合わせを示してい
る。これらの隆起した凸条の先端部の幅は特定の数値に
限定されないが、例えば0.0〜5.0mmの範囲、好
ましくは0.0〜1.0mmの範囲、より好ましくは
0.0〜0.5mmの範囲から設定する。また、その凸
状の位置は、図9にある凹部内段部4の縁部位が好まし
い。
【0025】なお、図8〜図12に示した凹部内段部
は、いずれも凹部の内縁部に隆起形成したものである
が、図13(a)(b)(c)に示すように、凹部の2
の最深部にさらに深い凹部7を設け、該凹部7以外の凹
部底面を凹部内段部4としてもよい。
【0026】ところで、図1〜図13では、物体を厚み
のあるものとして表現し、凹部をその物体をえぐったも
のとして表現しているが、本発明はその表現に限定され
るものではない。例えば、薄板よりなる物体でもよい
し、その薄板を湾曲させてなる凹部でもよい。
【0027】
【作用】
(1)流体抵抗低減作用について 本発明は、「物体と流体との摩擦は、物体の流体接触面
積に略比例する」とい公理に基づいて発明されたもので
あり、物体の流体接触面積を小さくするすることを根底
においている。すなわち、これが本発明者による新しい
流体力学理論である。本発明の如く、物体と流体とが相
対移動するような物体において、同理論に基づき、物体
の表面に多数の凹部と陸部とを相対移動方向に交互に現
われるように配設すると、次のような作用が生まれる。
【0028】 図14(a)(b)に示すように、物
体1と流体10とが低速で(又は後述する臨界速度に対
して凹部の幅が大きい状態で)相対移動するときには、
流体10は陸部3と接触するとともに、凹部2にも入り
込んで接触する。従って、流体接触面積は陸部3及び凹
部2の合計面積となる。前記の通り物体1と流体10と
の摩擦は流体接触面積に略比例する(公理)から、この
ときの摩擦(静摩擦)抵抗は、表面が平滑な従来よりも
大きくなる。
【0029】 しかし、図14(c)(d)に示すよ
うに、物体1と流体10とが高速で(又は後述する臨界
速度に対して凹部の幅が小さい状態で)相対移動すると
きには、流体10は陸部3のみと接触し、凹部2には接
触しなくなる。つまり、流体10はその勢いによって凹
部2には入り込まず、凹部2の上方をまたいで通るので
ある。従って、流体接触面積は陸部3のみの面積とな
り、このときの摩擦(動摩擦)抵抗は、表面が平滑な従
来よりもはるかに小さくなる。また、このときの凹部2
の中は、流体が入り込まないために、真空又は流体圧が
低い状態であると説明できる。
【0030】上記との臨界速度は、凹部2の幅や深
さによって異なり、凹部2が大きいほど、臨界速度は高
くなる。これにより前記のように、凹部の幅は、物体と
流体との相対移動速度が高ければ高いほどに大きく、遅
ければ遅いほどに小さく設定する。また、流体の圧縮が
大きければ大きいほどに、凹部を狭くかつ深く、条件に
応じて適宜設定するのである。
【0031】上記の通り、物体と流体とが高速で相対移
動するときに、物体と流体との摩擦抵抗が小さくなるこ
とにより、燃費、加速性、最高速度等が向上し、摩擦熱
(空力加熱)が減少する。また、粘性を持つ流体であっ
ても物体の表面を素直に流れ出すようになるため、層流
剥離、境界層、マグナス効果、衝撃波、ソニックブー
ム、サウンドバリア、空力騒音等といった流体との接触
が関係する様々な現象及びエネルギーを小さくすること
ができる。また、その流体は理論上の完全流体(ダラン
ベールの背理)に近い作用となる。よって、物体と流体
との圧力抵抗及び造波抵抗も小さくなり、前記摩擦抵抗
の減少と共に、総合的な流体抵抗が低減される。
【0032】(2)凹部内段部の作用について たとえ本発明であっても、物体と流体との相対移動速度
が、流体が凹部の中に入り込む臨界速度にまで低下した
ときには、物体と流体との摩擦抵抗が大きくなり、上記
作用が低下してくる。
【0033】しかし、前記の通り、凹部の内縁部に凹部
の最深部より浅い少なくとも一段の凹部内段部を形成し
た場合には、上記作用を広い臨界速度域で持続できる。
なぜなら、物体と流体との相対移動速度が低下したとき
に、流体は凹部に入り込もうとするが、まず凹部内段部
に当たってしまうため、それより深くには入り込まない
からである。いわば、凹部内段部が第二の陸部として作
用し、凹部の実効幅が凹部内段部の内縁幅と等価にな
る。従って、流体接触面積は、陸部の合計面積と凹部内
段部の合計面積との和にしかならず、流体との摩擦はさ
ほど大きくならない。よって、上記作用は多少弱くはな
るものの、さらに相対移動速度が低下した状態まで長く
持続する。要するに、凹部の幅で決まる第一の臨界速度
と、凹部内段部の内縁幅で決まる第二の臨界速度(第一
の臨界速度より低い)、という少なくとも二段の臨界速
度を持つことになるのである。
【0034】また、凹部内段部を隆起形成した場合に
は、物体表面の細い陸部を補強してその陸部の傷付きを
防止する作用も発揮し、耐久性及び安全性を向上させる
ことができる。
【0035】ところで、多角形凹部の場合、対辺間距離
と対角間距離とは僅に相違する。この僅な不均一性は、
周期特性を多少低下させる。しかし、凹部内段部の内縁
を略円形(特に直径一定の真円形が好ましい)にすれ
ば、上記の僅な不均一性を改善し、周期特性をさらに良
好にできる。また、このときの凹部内段部より内側の凹
部面は円形に伴って完全な球面とすることもできる。
【0036】
【実施例】図15及び図16は、本発明をスペースシャ
トル(オービター)表面の流体抵抗低減構造に具体化し
た第一実施例を示している。スペースシャトル11と空
気との相対移動方向は、地上からの打上げ時には胴体の
長手方向であるが、機首を30〜40度上げた姿勢での
大気圏再突入時には胴体の底面から上面への方向とな
る。このように、相対移動方向が一方向に定まらないの
で、スペースシャトル11の表面には多数の六角形凹部
2と陸部3とが、いかなる相対移動方向にも交互に現わ
れるように配設されている。六角形凹部2は六方稠密に
配設され、線上の部分が陸部3である。
【0037】また、スペースシャトル11の機首部や主
翼や垂直尾翼の縁部等のように、空気の圧縮が高く、特
に高温となりやすい部位には寸法(周期特性の周期)の
小さい六角形凹部2を設け、それ以外の部位には寸法の
大きい六角形凹部2を設ける等、部位によって凹部2及
び陸部3の寸法を変えることができる。なお、図15及
び図16に表われた各六角形凹部2は、作図の便宜上、
実際の大きさよりかなり大きく示されている。また、主
翼の縁部等、六角形凹部が描かれていない部位は、図示
を省略したものである。
【0038】本実施例によれば、前述した流体抵抗低減
作用により、打上げ時の燃費、加速性、最高速度、安定
性等が向上するとともに、大気圏再突入時の摩擦熱(空
力加熱)が軽減され、耐熱材や断熱構造の開発が容易に
なり、耐久性も向上する。
【0039】次に、図17及び図18は、本発明をスペ
ースシャトル打上げ用ロケット(外部燃料タンク及び固
体ロケットブースター)の表面の流体抵抗低減構造に具
体化した第二実施例を示している。打上げ用ロケット2
1と空気との相対移動方向は胴体の長手方向のみであ
り、一方向に定まるので、打上げ用ロケット21の表面
には多数の環状の溝状凹部2と陸部3(線上の部分)と
が、同相対移動方向に交互に現われるように配設されて
いる。なお、図17及び図18に表われた溝状凹部2の
幅は、作図の便宜上、実際の大きさよりかなり大きく示
されている。
【0040】本実施例によれば、前述した流体抵抗低減
作用により、打上げ時の燃費、加速性、最高速度、安定
性等が、従来のレベルを越えて飛躍的に向上する。
【0041】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱
しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。 (1)物体の材質(例えばガラス、セラミックス、金
属、カーボン、樹脂、木材等)、大きさ、表面形状(例
えば平面、曲面、凹凸面等)、構造等に関係なく具体化
できる。 (2)産業上の利用分野の項に例示したように、物体と
流体とが相対移動するようなあらゆる物体において具体
化できる。
【0042】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明に係る物体表
面の流体抵抗低減構造によれば、新しい流体力学理論に
基づいて、物体の表面の流体抵抗をその表面が平滑な場
合よりも減少させることができ、例えばあらゆる輸送用
物体において燃費、加速性、最高速度等を向上でき、特
に省エネルギー化及び環境問題への改善努力に全地球的
に取り組むことができ、また、超高速で飛行する物体に
おいては摩擦熱や様々な有害抗力を減少させて耐熱材や
断熱構造の耐久性、コスト等を改善できる等の、従来の
レベルからは飛躍した画期的な効果が得られ、時代の要
求に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】物体表面の粒状凹部と陸部の例を示す平面図で
ある。
【図2】物体表面の粒状凹部と陸部の他の例を示す平面
図である。
【図3】物体表面の粒状凹部と陸部の例を示し、(a)
(b)は平面図、(c)は斜視図である。
【図4】物体表面の溝状凹部と陸部の例を示す平面図で
ある。
【図5】物体表面の溝状凹部と陸部の例を示す断面図で
ある。
【図6】物体表面の溝状凹部と陸部の例を示す断面図で
ある。
【図7】物体表面の溝状凹部と陸部の例を示す断面図で
ある。
【図8】凹部内段部を隆起形成した凹部を示し、(a)
は平面図、(b)は断面図、(c)は斜視図である。
【図9】同じく凹部内段部の内縁形状及び面積が異なる
三例を示す平面図である。
【図10】同じく凹部内段部の断面形状が異なる三例を
示す断面図である。
【図11】二段の凹部内段部を形成した例を示し、
(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図12】凸条の凹部内段部を形成した四例を示す断面
図である。
【図13】凹部の最深部にさらに深い凹部を凹設した三
例を示す断面図である。
【図14】流体と相対移動する物体の表面部を示し、
(a)(b)は低速時の断面図、(c)(d)は高速時
の断面図である。
【図15】第一実施例のスペースシャトルの側面図であ
る。
【図16】同スペースシャトルの平面図である。
【図17】第二実施例のスペースシャトル打上げ用ロケ
ットの側面図である。
【図18】同スペースシャトル打上げ用ロケットの正面
図である。
【符号の説明】
1 物体 2 凹部 3 陸部 4,5,6 凹部内段部 11 スペースシャトル 21 打上げ用ロケット

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体と流体とが相対移動するような物体
    において、物体の表面に多数の凹部と陸部とを前記相対
    移動方向に交互に現われるように配設したことを特徴と
    する物体表面の流体抵抗低減構造。
  2. 【請求項2】 前記凹部が粒状凹部である請求項1記載
    の物体表面の流体抵抗低減構造。
  3. 【請求項3】 前記凹部が略六角形凹部である請求項2
    記載の物体表面の流体抵抗低減構造。
  4. 【請求項4】 前記凹部が略長六角形凹部である請求項
    3記載の物体表面の流体抵抗低減構造。
  5. 【請求項5】 前記凹部が六方稠密に配設された請求項
    2,3又は4記載の物体表面の流体抵抗低減構造。
  6. 【請求項6】 前記凹部が溝状凹部である請求項1記載
    の物体表面の流体抵抗低減構造。
  7. 【請求項7】 前記凹部は前記凹部の内縁部から最深部
    に向かって次第に深くなる請求項1,2,3,4,5又
    は6記載の物体表面の流体抵抗低減構造。
  8. 【請求項8】 前記凹部の内縁部に前記凹部の最深部よ
    り浅い少なくとも一段の凹部内段部を形成した請求項
    1,2,3,4,5,6又は7記載の物体表面の流体抵
    抗低減構造。
  9. 【請求項9】 前記凹部内段部の内縁線が前記凹部の内
    縁線と略平行である請求項8記載の物体表面の流体抵抗
    低減構造。
  10. 【請求項10】 前記凹部内段部の内縁線が略円形であ
    る請求項8記載の物体表面の流体抵抗低減構造。
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