JPH08141754A - チタンクラッド鋼板の製造方法およびチタンクラッド鋼板 - Google Patents

チタンクラッド鋼板の製造方法およびチタンクラッド鋼板

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JPH08141754A
JPH08141754A JP6283629A JP28362994A JPH08141754A JP H08141754 A JPH08141754 A JP H08141754A JP 6283629 A JP6283629 A JP 6283629A JP 28362994 A JP28362994 A JP 28362994A JP H08141754 A JPH08141754 A JP H08141754A
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Masanori Taiyama
正則 泰山
Kazuhiro Ogawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高い接合強度を有するチタンクラッド鋼板とそ
の低コスト製造方法を提供する。 【構成】(1) 熱間圧延によるチタンクラッド鋼板の製造
方法において、圧延用組立スラブを第1熱間圧延工程で
950〜1100℃で圧下率15%以上の圧延を1パス
以上施し、次いで第2熱間圧延工程で900℃〜600
℃で圧下率5%以上の圧延を1パス以上施すチタンクラ
ッド鋼板の製造方法。上記では、第1熱間圧延工程後9
00℃以下まで放冷し、次いで第2熱間圧延工程を施し
てもよい。 (2)上記の方法により製造されたチタンクラッド鋼板。 【効果】従来の鋼用の熱延設備を用いてチタンクラッド
鋼板の大量生産を達成することができる。圧下率が大き
く、歩留まりと接合強度が改善されるため、本発明チタ
ンクラッド鋼板は低コストで、高い接合強度を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタンクラッド鋼板お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】クラッド材は、それぞれの異種金属を層
状に接合したもので、それぞれの金属が有している優れ
た特性を併せ持つ材料として注目されている。特に、チ
タンクラッド鋼は、鋼の優れた強度、熱伝導性および溶
接性とチタンの高耐食性とを併せ持つ材料として、化学
プラント用および海洋防食用等の高い強度と耐食性が要
求される部材への適用が進められている。
【0003】現在、チタンクラッド鋼板は大別して爆着
法と圧延法により製造されている。
【0004】爆着法は爆発のエネルギーを利用してチタ
ンと鋼の接合を行うもので、接合材のサイズ、形状に制
限が大きいことに加え、接合施工を実施する場所につい
ても大きな制約を受けるため、大量生産には不向きであ
り、爆着法で安価なチタンクラッド鋼板を製造すること
は困難である。
【0005】圧延法では、従来の圧延設備を利用するこ
とができる上に、板厚の制限が小さく、生産性も比較的
高いことから、圧延法は爆着法と比べ有利な製造方法で
あるということができる。しかし、熱間圧延による接合
法であるためにチタンと鋼の接合界面に脆弱なTi−F
e系金属間化合物やTiC炭化物が形成される可能性が
高く、この金属間化合物や炭化物の形成により、クラッ
ド鋼板の界面強度や耐食性が著しく低下することが懸念
される。
【0006】これまで、このような接合界面でのTi−
Fe系金属間化合物やTiC炭化物の形成に対しては、
圧延接合温度および中間材によるFe−Tiの相互拡散
の防止という観点から、種々の取り組みがなされてい
る。
【0007】例えば、チタンと鋼との間に中間材とし
て、炭素量が0.03%以下の薄鋼板を介在させる方法
(特開昭62−158584号公報、特開昭63−56
370号公報参照)や、0.01%以下の鋼とニッケル
の薄板(特開昭62−197285号公報参照)、0.
01%以下の炭素鋼の薄板(特開平5−8059号公報
参照)、あるいは銅とニッケルの薄板(特開昭60−1
70586号公報参照)等の2層を介在させる方法が開
示されている。
【0008】また、中間材を使わないで、特定の圧延条
件、即ち熱延加熱温度を800〜885℃、圧延終了温
度を700℃以上とする方法(特開昭56−16300
5号公報参照)や、850〜900℃に加熱し、圧下比
2以上で圧延し、次いで650〜950℃で熱処理を行
った後、圧下比1.1〜5で熱間圧延を行う方法(特開
昭60−213378号公報参照)、あるいは750℃
以上の圧延パス間隔を30s以内とする方法(特開平4
−123883号公報参照)などが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
方法を適用し、既存の鋼用の熱延設備によりチタンクラ
ッド鋼板、特にその薄板を製造する場合には、それぞれ
次の問題がある。
【0010】例えば、鋼の既存熱延設備では、鋼材スラ
ブを1000℃以上の高温に加熱し、連続圧延ミルを用
いて総圧下率80%以上の高い圧下率により、多量の薄
鋼板を低コストで製造することができる。しかし、この
設備と方法をチタンクラッド鋼板の製造に適用した場
合、前記の中間材を用いる方法では、圧延による圧下率
が大きいために、圧延中に中間材と母材(鋼)、合わせ
材(チタン)との変形抵抗の違いから、中間材が切断さ
れ、鋼とチタンが直接接触して界面にTi−Fe系の金
属間化合物が形成されることとなり、安定した高い接合
強度を得ることが難しい。
【0011】前記特開昭56−163005号公報に示
される中間材を使わない方法には、その熱延加熱温度条
件が低いことから、1000℃以上の加熱を必要とする
既存の鋼用熱延設備を適用することができない。前記特
開昭60−213378号公報に示されるような熱処理
を中間に用いる方法では、クラッド鋼板のコストが高く
なる。
【0012】前記特開平4−123883号公報のよう
に、単に750℃以上の圧延のパス間隔だけを定める方
法では、圧下比が小さい場合には新生面による接合面積
が小さいため、高い接合強度が得られない。また、高い
温度(900℃以上)で圧延を終了した場合には、圧延
時に接合界面に金属間化合物が形成されていない界面で
も圧延終了時の温度が高いため、冷却中に界面に金属間
化合物が生じる。このため、高い接合強度が得られなく
なる。
【0013】母材炭素鋼の炭素濃度が、例えば0.03
mass%のように高いと、接合界面にTiC炭化物が形成
され、高い接合強度を得ることができない。
【0014】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、本発明の目的は安定した高い接合強
度を有するチタンクラッド鋼板と、これを既存の鋼用の
熱延設備を用いて安価に製造する方法を提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1) および(2) のチタンクラッド鋼板の製造方法と(3)
のチタンクラッド鋼板にある。
【0016】(1)母材として鋼材、合わせ材としてチタ
ンまたはチタン合金を用い、母材と合わせ材の接合面を
真空排気した後溶接して組み立てた圧延用組立スラブ
を、熱間圧延により接合するチタンクラッド鋼板の製造
方法において、圧延用組立スラブを第1熱間圧延工程で
950〜1100℃の温度範囲で圧下率15%以上の圧
延を1パス以上施し、次いで第2熱間圧延工程で900
℃〜600℃の温度範囲で圧下率5%以上の圧延を1パ
ス以上施すことを特徴とするチタンクラッド鋼板の製造
方法(第1の方法)。
【0017】(2)上記(1) の第1熱間圧延工程後、90
0℃以下まで放冷し、次いで上記(1)の第2熱間圧延工
程を施すことを特徴とするチタンクラッド鋼板の製造方
法(第2の方法)。
【0018】(3)上記(1) または上記(2) の方法により
製造されたいずれかのチタンクラッド鋼板。
【0019】上記の各方法またはクラッド鋼板におい
て、母材は炭素量0.01mass%以下の低炭素鋼とし、
さらにこの場合には、第1熱間圧延工程の圧下率の範囲
は15%以上40%以下、次の第2熱間圧延工程の圧下
率の範囲は5%以上40%以下とするのが望ましい。
【0020】同じく、母材鋼の炭素量が上記0.01ma
ss%を超え0.05%以下の場合には、第1熱間圧延工
程の圧下率は20%以上、次の第2熱間圧延工程の圧下
率は10%以上とするのが望ましい。
【0021】母材鋼の炭素量が0.01mass%を超え
0.05%以下の場合の圧下率の上限は、圧延ミルのパ
ワーおよび圧延用組立スラブの組立強度(圧延中にこの
スラブの先端部の溶接部が剥離しないこと)によって決
まるため、特に限定されず、連続的な圧下が可能な範囲
であればよい。
【0022】望ましい圧延パス数の上限は、目標板厚に
よっても変わるが6〜20パス程度である。
【0023】「圧下率」は、下記式で定義される数値で
ある。
【0024】圧下率(%)=〔(圧延前の板厚−圧延後
の板厚)/圧延前の板厚〕×100 本発明者らは前記の問題を解決すべく、チタンクラッド
鋼板の接合界面強度低下の原因となる界面の金属間化合
物および炭化物の形成、成長について種々検討し、母材
炭素鋼の炭素量、圧下率および圧延温度を制御すること
により、形成された金属間化合物および炭化物を破壊
し、その厚さを接合強度に影響を与えない程度に小さく
するとともに、圧延での塑性変形により新たに形成され
たチタンと鋼との新生面により、チタンと鋼との接合を
なし、この新生接合面での金属間化合物および炭化物の
成長を抑制することができれば、高い接合強度を有する
チタンクラッド鋼板が得られるという知見を得て、これ
に基づきさらにチタンクラッド鋼板の圧延条件(圧下
率、圧延温度)および母材炭素鋼の炭素量について検討
を行った。この予備試験結果を図1および図2により説
明する。
【0025】図1は、接合強度に及ぼす圧延温度と圧下
率との影響を示す図である。
【0026】母材(鋼)は厚さ80mm、炭素量約0.0
3%のものを用い、合わせ材はチタン(厚さ20mm)と
して、中間材を使用せずに圧延用組立スラブ(以下、圧
延用スラブという)を作製し、圧延条件では、圧延温度
を700〜1100℃、1パス当たりの圧下率を5〜3
0%とした。連続圧下可否は、圧延中の剥離、母材
(鋼)と合わせ材(チタン)のずれから判定し、さらに
圧延後のクラッド鋼板をシャー切断し、接合部の開口の
有無により評価した。また、圧延後のクラッド鋼板の中
央部からせん断試験片を採取し、接合強度を評価した。
【0027】図1に示すように、圧延用スラブが剥離し
たり、ずれたりせずに正常に圧下できるための圧延条件
や、高い接合強度を持ったクラッド鋼板を得るための圧
延条件は、その圧延温度と圧下率により規定される。
【0028】次に、接合強度に係わる母材鋼の炭素量、
圧延温度および圧下率の影響に関する新知見を、図2に
より説明する。
【0029】図2は、母材鋼の炭素量が0.01mass%
以下の場合の接合強度に及ぼす圧延温度および圧下率の
影響を示す図である。基本的な圧延用スラブの組立条件
は図1の場合と同様である。
【0030】図2に示すように、母材炭素鋼の炭素濃度
を0.01mass%以下に限定し、かつ適正な範囲の圧下
率を選択することにより、接合界面に形成されるTiC
炭化物の成長を抑制することができ、圧延工程において
作り出す新生面の割合、即ち圧下率を小さくしても、十
分に圧延が可能となり、高い接合強度を有するチタンク
ラッド鋼板を得ることができる。
【0031】接合部でのFe原子、Ti原子の拡散によ
り、Ti−Fe系の金属間化合物が生じ、クラッド界面
の接合強度の低下を招くが、α−Ti中のFeの拡散速
度に対して、β−Ti中の拡散速度は10倍近く遅く、
α−Ti/Fe界面では、β−Ti/Fe界面に対して
金属間化合物の成長が抑えられ、高い接合強度が得られ
る。これを実現するには、チタンがα−Tiの結晶構造
となる温度範囲で最終圧延を行う必要がある。このた
め、第1熱間圧延工程の後、900℃以下(チタンのα
−β変態温度以下)に放冷し、次いで600℃以上で第
2熱間圧延を施すのが望ましい。
【0032】
【作用】まず、本発明方法の対象となる圧延用スラブの
組立方法の例を、図3に基づいて説明する。
【0033】図3は圧延用スラブの組立後の断面を示す
図であり、(a) は非対称型スラブ、(b) は対称型スラブ
の場合である。
【0034】図3(a) に示すように、非対称型スラブで
は、母材(鋼)1上の四つの周部にスペーサー(鋼)5
および6、中心部に合わせ材2を配置し、合わせ材2の
表面に剥離剤4を塗布し、スペーサー5、6と剥離剤4
との全表面をダミー材(鋼)3で覆い、その後、真空中
(10-2Torr以下)で溶接により組立てる。
【0035】図3(b) に示すように、対称型スラブの場
合では、剥離剤4の線で母材(鋼)1と合わせ材2とが
対称(図では上下)となり、スペーサー5、6の厚さ内
に2枚の合わせ材2、2と剥離剤4が入るように配置す
る。その後、同様に真空中溶接により組立てる。図示す
るように、この場合はダミー材は用いない。
【0036】さらに、いずれの場合も、母材(鋼)と合
わせ材との接合面には、いかなる中間材も介在させな
い。ただし、接合面は通常の方法で予め清浄化処理を施
しておく。
【0037】合わせ材2としてはTiまたはTi合金
(例えば、Ti−8%Mn、Ti−3%Crなど)を、
剥離剤4としてはAl2 3 を、ダミー材3とスペーサ
ー5、6としては母材と同じ鋼材を、それぞれ使用すれ
ばよい。
【0038】I.第1の方法 本発明の第1の方法は、上記のように組み立てた圧延用
スラブを用いて、第1熱間圧延工程で950〜1100
℃の温度範囲で圧下率15%以上の圧延を1パス以上施
し、次いで第2熱間圧延工程で900℃〜600℃の温
度範囲で圧下率5%以上の圧延を1パス以上施す連続圧
延方法である。
【0039】ただし、この第1の方法の第1熱間圧延工
程で望ましい圧下率の範囲は、母材鋼の炭素量が0.0
1mass%以下の場合には15%以上40%以下、次の第
2熱間圧延工程では5%以上40%以下である。
【0040】同じく、母材鋼の炭素量が上記0.01ma
ss%を超え0.05%以下の場合には、圧下率の範囲
は、第1熱間圧延工程では20%以上、次の第2熱間圧
延工程では10%以上である。
【0041】望ましい圧延パス数の上限は、いずれも6
〜20パス程度である。
【0042】上記の限定理由および望ましい範囲の選択
理由を次に述べる。
【0043】I-A.第1の方法の第1熱間圧延工程 第1熱間圧延工程において、圧延温度の下限を950℃
としたのは、最低温度が950℃であれば通常の鋼用の
熱延ライン設備をチタンクラッド鋼板圧延用に改造せず
に、そのまま使用することができるからである。一方、
上限を1100℃としたのは、Ti−Feの二元系状態
図によると、Ti−30mass%Fe程度の組成のTi合
金では1085℃以上で溶融し始めることが示されてい
ることから、第1パス後の接合界面温度が1085℃よ
りも極端に高くならないようにするためである。
【0044】第1熱間圧延工程の圧下率の範囲は、母材
鋼の炭素量が0.01mass%を超え0.05mass%以下
の場合には20%以上、圧延パス数は1パス以上とす
る。母材鋼の炭素量が上記範囲で、圧下率が20%未満
の場合には、形成される新生面での接合面積と比べ、金
属間化合物や炭化物を介した接合界面の面積が大きくな
り、合わせ材と鋼との接合強度が低くなる。このため、
圧延中に合わせ材と鋼がずれを生じ、クラッド鋼板の板
厚比のバラツキが大きくなり、健全なクラッド鋼板が得
られない。
【0045】母材鋼の炭素量が0.01mass%を超え
0.05%以下の場合の圧下率の上限は、圧延ミルのパ
ワーおよび圧延用組立スラブの組立強度(圧延中にこの
スラブの先端部の溶接部が剥離しないこと)によって決
まるため、特に限定されず、連続的な圧下が可能な範囲
であればよい。
【0046】上記条件では、圧延パス数は少なくとも1
パスで十分接合するが、望ましい上限は20パス程度で
ある。
【0047】第1熱間圧延工程では、母材鋼の炭素量が
0.01mass%以下の場合には、接合界面でのTiC炭
化物の形成を抑制することができるため、圧下率の下限
は、15%に低下させることが可能となる。圧延パス数
は前記と同様の理由で1パス以上とする。
【0048】母材鋼の炭素量が0.01mass%以下の場
合の圧下率の上限は、圧延ミルのパワーと圧延用スラブ
の圧延形状(圧延中にこのスラブの溶接部が剥離せずに
正常に圧延されること)によって決まり、この観点から
40%とするのが望ましい。
【0049】I-B.第1の方法の第2熱間圧延工程 本発明の第1の方法では、上記の条件で第1熱間圧延工
程を行い、引き続く第2熱間圧延工程で900℃〜60
0℃の温度範囲で圧下率5%以上の圧延を1パス以上施
す。
【0050】ただし、このときの望ましい圧下率は、母
材鋼の炭素量が0.01mass%以下の場合には、5%以
上40%以下である。同じく、母材鋼の炭素量が0.0
1mass%を超え0.05mass%以下の場合には、10%
以上である。
【0051】スラブの圧延温度の下限を600℃とした
のは、既存の鋼用圧延ミルがミルパワーや熱延条件を考
慮して、圧延最低温度を600℃としているためであ
る。一方、圧延温度を900℃以下とすれば、TiC、
Ti−Fe、Ti−Fe2 等の接合強度に悪影響を及ぼ
す炭化物や金属間化合物の成長が遅くなり、接合強度の
低下が軽減される。
【0052】圧下率は、母材鋼の炭素量が0.01mass
%以下の場合には、炭素量が低いためTiC炭化物の形
成を抑制することができ、5%でも十分な接合強度を確
保することができる。母材鋼の炭素量が0.01mass%
を超える場合には、TiC炭化物が形成されるので、こ
の炭化物を破壊するために、圧下率を10%以上にしな
いと十分な接合強度が確保できなくなる。ただし、母材
鋼の炭素量が0.05mass%を超えると、更にTiC炭
化物の形成が促進され、接合強度が低下する。
【0053】圧下率の上限については、前述と同様の理
由によって決まるため、母材鋼の炭素量が0.01mass
%以下の場合には40%とするのが望ましい。一方、母
材鋼の炭素量が0.01mass%を超え0.05mass%以
下の場合には、前述と同様に、圧下率の上限は特に限定
されず、連続的な圧下が可能な範囲であればよい。
【0054】次に、合わせ材をTi、母材を炭素量が
0.01mass%を超え0.05mass%以下の鋼とし、圧
下率を第1熱間圧延で20%以上、第2熱間圧延で10
%以上とした場合を例にとって、本発明方法の作用効果
を詳述する。
【0055】本発明方法のように、第1熱間圧延で95
0℃以上、圧下率20%以上で圧延した場合、第1パス
目の圧下により、高い温度でTiと母材鋼が接触、接合
することとなり、当然圧延温度が高いために、その界面
の一部には脆弱な金属間化合物および炭化物が形成さ
れ、Ti/金属間化合物および炭化物/鋼の界面と、T
i/鋼の界面とを有するスラブとなる。しかし、圧下率
が20%以上と大きい場合には、新生面の割合が大きく
なるため、母材鋼とTiのずれを生じることなく、次の
第2熱間圧延工程における圧延が可能となる。一方、第
1熱間圧延で圧下率が20%未満の場合には、Tiと母
材鋼の圧接が不十分なため、新生面による接合面積が相
対的に小さく、圧延中にTiと鋼のずれを生じてTiと
鋼の板厚比のバラツキが大きくなり、健全なチタンクラ
ッド鋼板が得られない。
【0056】さらに、このスラブに圧下率20%以上の
第2パス以降の圧下を行った場合(第1熱間圧延工程に
おいて連続圧下をする場合)でも、Tiや母材鋼と比
べ、極端に変形能の小さい金属間化合物および炭化物
は、Tiや母材鋼の変形に追随することができずに割
れ、結果として界面の金属間化合物および炭化物の厚さ
が小さくなるとともに、圧延変形によりTiと母材鋼の
新生面が形成され、これらの面同志が接合されるため
に、圧延中に母材鋼とTiのずれを生じることなく連続
圧下が可能となる。
【0057】このように、950℃以上で圧下率20%
以上の圧延を行う第1熱間圧延工程では、新生面での接
合と金属間化合物および炭化物の形成、成長が繰り返さ
れることとなり、これらの工程で得られたチタンクラッ
ド鋼板のスラブには、当然、接合界面に金属間化合物お
よび炭化物を有することとなるが、圧下率が20%以上
と大きく、母材鋼とTiが強固に圧着されているため
に、圧延中に母材鋼とTiのずれを生じることなく、圧
下を行うことができる。
【0058】さらに、スラブを600〜900℃の温度
で、圧下率10%以上の少なくとも1パスの第2熱間圧
延を行えば、新たに上記のように新生面でのTiと母材
鋼の接合が起こることに加えて、圧延温度が低いため
に、界面の金属間化合物および炭化物の形成、成長が小
さく、高い接合強度を有するチタンクラッド鋼板を得る
ことができる。
【0059】通常の熱間圧延によるチタンクラッド鋼板
の製造は、第2熱間圧延工程のみで十分に可能である
が、既存の鋼用の熱延設備を用いて安価なチタンクラッ
ド鋼板を製造するためには、鋼の熱延ラインの加熱温度
と同等の1000℃前後まで、圧延用スラブを加熱する
ことが必要となる。そこで、高い温度での連続的な圧下
を可能にし、多量のクラッド鋼板を製造するためには、
大きな圧下率(20%以上)で圧延する本発明方法の中
にあるような第1熱間圧延工程が必要となる。
【0060】II. 第2の方法 本発明の第2の方法は、第1の方法の第1熱間圧延工程
の後、スラブをいったん900℃以下まで放冷し、その
後第1の方法の第2熱間圧延工程を施すものである。
【0061】Tiは昇温すると約900℃でαからβに
変態し、原子の充填率の高い六方晶系から、充填率の低
い立方晶系の結晶構造となる。このため、α−Ti中の
Fe原子の拡散速度は、β−Ti中の拡散速度に比べて
約10倍程度遅くなり、FeとTiとの界面における金
属間化合物の形成が抑制される。すなわち、第1熱間圧
延工程後、スラブを放冷して900℃以下にし、確実に
900〜600℃のα−Tiの温度領域内で第2熱間圧
延を行うことにより、さらに接合強度の高いチタンクラ
ッド鋼板を得ることができる。望ましい放冷温度の下限
は700℃である。
【0062】
【実施例】母材鋼として、C:0.03mass%、板厚8
0mmの炭素鋼と、C:0.01mass%以下、板厚80
mmの極低炭素鋼、合わせ材として板厚20mmの純チ
タン(JIS H4600、1種)を用いて、図3に示す非対称
型、対称型の圧延用スラブを真空中(10-2Torr以下)
溶接で組み立てた。剥離剤としてAl2 3 を塗布し、
ダミー材およびスペーサーとしては、それぞれ母材と同
じ鋼材を使用した。
【0063】次いで、表1および表2に示す圧延条件に
従い、圧延用モデルミルを用いて非対称型圧延用スラブ
から板厚6.5mm(ダミー材厚を含む。クラッド鋼板
厚は5mm。ただし、 steel:Ti=4:1)の、対称型
スラブから板厚10mmの、それぞれチタンクラッド鋼
板を製造し、連続圧下性をシャー切断による切断部のク
ラッド界面の剥離(開口)の有無(有り:×、なし:
○)により評価した。これらの結果を表1および表2に
併せて示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】表1および表2に示すように、第1熱間圧
延工程の圧下率が20%未満の場合には、圧延中にチタ
ンと母材鋼とのずれが生じ、クラッド鋼板の板厚比のバ
ラツキが大きくなり、健全なチタンクラッド鋼板が得ら
れない。
【0067】第2熱間圧延工程の圧下率が10%未満の
場合や、この工程で定めた適正温度範囲で圧延を行わな
かった場合には、シャー切断により切断部の剥離を生
じ、高い接合強度を有するチタンクラッド鋼板は得られ
なかった。
【0068】母材として炭素量0.01mass%以下の極
低炭素鋼を用いた場合には、圧下率を低くしてもシャー
切断での剥離は認められず、高い接合強度を有するチタ
ンクラッド鋼板を得ることができた。
【0069】第1熱間圧延工程の圧延温度の最低値が9
50℃を、または第2熱間圧延工程の圧延温度の最低値
が600℃を、それぞれ下まわると、圧下の困難や界面
の剥離が生じた。
【0070】
【発明の効果】本発明方法により、従来の鋼用の熱延設
備を用いてチタンクラッド鋼板の大量生産を達成するこ
とが可能である。本発明方法では、圧下率が大きく、歩
留まりと接合強度が大幅に改善される。したがって、得
られるチタンクラッド鋼板は低コストであるとともに高
い接合強度を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】接合強度に及ぼす圧延温度と圧下率との影響を
示す図である。
【図2】母材鋼の炭素量が0.01mass%以下の場合の
接合強度に及ぼす圧延温度と圧下率との影響を示す図で
ある。
【図3】圧延用スラブの組立後の断面を示す図であり、
(a) は非対称型スラブ、(b) は対称型スラブの場合であ
る。
【符号の説明】
1:母材(鋼)、2:合わせ材(TiまたはTi合
金)、3:ダミー材、4:剥離剤、 5,6:スペー
サー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 15/01 C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母材として鋼材、合わせ材としてチタンま
    たはチタン合金を用い、母材と合わせ材の接合面を真空
    排気した後溶接して組み立てた圧延用組立スラブを、熱
    間圧延により接合するチタンクラッド鋼板の製造方法に
    おいて、圧延用組立スラブを第1熱間圧延工程で950
    〜1100℃の温度範囲で圧下率15%以上の圧延を1
    パス以上施し、次いで第2熱間圧延工程で900℃〜6
    00℃の温度範囲で圧下率5%以上の圧延を1パス以上
    施すことを特徴とするチタンクラッド鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】母材として鋼材、合わせ材としてチタンま
    たはチタン合金を用い、母材と合わせ材の接合面を真空
    排気した後溶接して組み立てた圧延用組立スラブを、熱
    間圧延により接合するチタンクラッド鋼板の製造方法に
    おいて、圧延用組立スラブを第1熱間圧延工程で950
    〜1100℃の温度範囲で圧下率15%以上の圧延を1
    パス以上施し、その後900℃以下まで放冷し、次いで
    第2熱間圧延工程で900℃〜600℃の温度範囲で圧
    下率5%以上の圧延を1パス以上施すことを特徴とする
    チタンクラッド鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の方法によ
    り製造されたいずれかのチタンクラッド鋼板。
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