JPH0814090B2

JPH0814090B2 - 単純支持で構成されたジヨイントレス多径間床版橋

Info

Publication number: JPH0814090B2
Application number: JP63318530A
Authority: JP
Inventors: 政勝佐藤
Original assignee: 川崎製鉄株式会社
Priority date: 1988-12-19
Filing date: 1988-12-19
Publication date: 1996-02-14
Anticipated expiration: 2011-02-14
Also published as: JPH02164902A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は単純支持床版橋を連続的に結合して構成され
たジョイントレス多径間床版橋に関するもので、都市内
高架橋、高速道路高架橋、その他の道路橋に最適な床版
橋に関する。

〔従来の技術〕

道路の高架橋として単純支持形式の床版橋がある。こ
のような単純支持床版橋には、鋼材とコンクリートとを
一体に組合わせた合成床版が用いられ、最近、特に、桁
高が低くかつ十分な耐荷力と耐久性を持つ合成床版橋が
開発され、用いられている。

第３図はこのような単純支持床版橋の一例の構造を示
すもので１径間の橋として厚さが薄く軽量強靱で施工し
やすく、安価であるなど極めて優れた性能を有するもの
である。

一般に、都市内高架橋や高速道路の高架橋は多径間に
亙って架設される。第７図に、従来の単純支持床版橋を
それぞれの径間に架設した床版橋を示す。このような橋
梁は橋脚１の各径間に単純支持床版橋２が載設されてい
る。単純支持条件は、各々の径間において、単純支持床
版橋２の一端は移動沓３、他端は固定沓14である。温度
変化に対応するため、移動沓３と固定沓14の間には伸縮
継手15が設置される。このように、単純支持床版橋で
は、温度変化に対応するため各径間ごとに橋端に伸縮継
手15が必要である。このため、この伸縮継手部で構造上
の連続性が断たれる。これによって、次の問題が生ず
る。

車輌の走行性が悪くなる。

道路に段差が生じ、この段差による衝撃と振動によ
って騒音問題が生ずる。

漏水による桁端部の腐食問題がある。

取替え、補修工事等維持管理の問題が生じる。

特開昭61−57702には、これを解消するため、各径間
に主桁として単純鋼桁を架設し、その上にプレキャスト
合成床版を連続施工する方法が示されているが、橋を二
重に架設することになり、高価で手間がかかり、また構
造上伸縮性に問題がある。

以上のような問題を解消するために多径間連続桁橋が
用いられる。

第８図に、多径間連続桁橋20の支承形式を示す。多径
間連続桁橋20においては、１個の支承が固定沓14である
他は、すべて移動沓３であり、中間支承上ではそれぞれ
１個の沓で連続桁橋２を支持する。

多径間連続桁橋20は、伸縮継手は不要となるものの、
構造計算上不静定であり、また支点部（橋脚１上）にお
いて負の曲げモーメントを生じ、この負の曲げモーメン
トに対応するために床版上面側の引張応力に対する対策
を要する。また地震その他により橋脚１に地盤変動や不
等沈下等が生じたときには設計時に予想のつかない応力
が生ずるなどの問題がある。すなわち、多径間連続桁橋
20は、設計計算が煩雑であり、施工が複雑になる。特
に、合成桁、合成床版橋、PC床版橋等では、コンクリー
ト材のクリープ、乾燥収縮の問題があり、設計上その取
扱いが難しい。

一方、このような不静定の多径間連続桁橋における応
力問題を単純化した連続橋として第９図に示すようなゲ
ルバー橋がある。ゲルバー橋は２点支持されて張出した
単純支持桁21に他の桁22をピン結合して載設する連続橋
であるが、このゲルバー橋は３径間においてのみ連続で
あり４径間以上では伸縮継手を要すること、および地震
時等にピン継手が万一切断したときは落橋するおそれが
ある。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明は上記諸問題を解決した多径間床版橋を開発し
たもので、各々の径間では、単純支持床版橋を用いて設
計計算及び施工の単純明瞭化を図り、かつ多径間に亙っ
て、連続性を図ることにより、多径間連続区間から伸縮
継手を不要とし、前述の問題を解決した。

すなわち、各々の径間では、単純支持の力学的挙動を
示し、かつ、多径間に亙って、コンクリート床版と舗装
部を連続させた床版橋を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、単純支持で構成されたジョイントレス多径
間床版橋であって、多径間橋梁の各径間に単純支持床版
橋を架設し、隣接する単純支持床版橋同士とはかけ違い
構造とし、各橋脚上のかけ違い構造が位置する上下面に
ピン支承を設けて多径間連続橋とし、橋脚の１つを固定
支承とし、他の橋脚を可動支承としたことを特徴とす
る。

上記のピン支承に代わり、ゴムを介装した構造として
もよく、この場合桁高を低くすることができる。また、
可動支承としてゴムを介装した構造を用いれば従来の可
動支承に比し地震時の全体水平力を各橋脚に分散させる
ことができ好適である。

〔作用」本発明の多径間床版橋は、（１）基本構造的に見て単純支持の床版橋であるから負
のモーメントを生ずることがなく、また、力学的に静定
であって不確定な要素がなく、かつ複雑な構造計算を必
要とせず、設計の確実性、信頼性が極めて高い。

（２）従って、複雑な応力に対応する困難な構造や対策
を必要とせず、安価である。

（３）橋脚の沈下、変動が起こっても、これに追随する
ことができ、かつ、複雑な応力を生じない。

（４）地震時に万一ピン切断を生じても落橋のおそれが
ない。

（５）伸縮継手が不要となるので、床版の寿命が長く、
車輌の走行性がよく、乗り心地が極めて良好である。

（６）床版橋の連結部は単純支持床版橋相互をかけ違い
構造とし、このかけ違い部にピン支承を設けるとよい。
これをゴムを介装した構造に代えることにより、ピン、
ローラ支承のものより安価なゴム支承を用いることがで
き、ピン支承の場合に必要な支承部の高さの300〜600mm
を30〜60mm程度に低くすることができる。ピン支承では
支承部の高さが高く、合成床版橋やPC床版橋のように構
造全高が低い橋梁では、ピン支承の高さを確保すること
が難しい場合もあるが、ゴム支承ではこれが著しく改善
される。

（７）可動支承をローラ支承の代わりにゴムを介装した
構造とすれば、地震時にゴム支承は半固定の作用をな
し、全体水平力が各橋脚に分散される。ローラ支承を用
いた多径間床版橋では、地震によって生じる全体水平力
を固定沓の橋脚のみで負担するため、固定沓の橋脚が大
断面になると共に、固定沓の構造が大型となるが、ゴム
支承ではこれを避けることが可能となる。

〔実施例〕実施例１第１図は単純支持床版橋２（2a、2b）を結合した本発
明の実施例の多径床版橋の橋脚１上の構造例を示す断面
側面図である。

鉄筋コンクリート製または鋼製の橋脚１上に合成床版
橋またはPC床版橋からなる床版橋2aがローラ支持移動沓
３上に支持されている。床版橋2aとこれに隣接する床版
橋2bとはかけ違い構造となっており、このかけ違い部に
ピン支承４を設けて床版橋2aと2bが連結されている。

床版橋2aと2bの間の隙間はその上面を発泡スチロール
等の隙間材５で覆っている。床版橋2a、2bの上面には床
版コンクリート６、アスファルト舗装７が施されてい
る。

この床版橋2a、2bはピン支承４を介して結合されてい
るので、床版橋2a、2b間に伸縮継手を設ける必要がな
い。またこの橋は剛性の多径間連続桁橋のように橋脚部
において負の曲げモーメントを生ずることがない。

第４図は、本発明の単純支持で構成されたジョイント
レス多径間床版橋を示す。全体の固定支承14は１つの橋
脚1a上に固定されている。

本発明の多径間床版橋は各々の径間に於て、一端は移
動沓３、他端は固定沓（ピン支承４は回転自由で、水平
方向の移動を拘束した固定沓と同様のものである。）の
条件を満たす。すなわち、単純支持床版橋でありなが
ら、連続橋であり、伸縮継手を不要とし、床版について
は多径間連続桁橋と同じような構造形式となっている。

実施例２第２図にゴム支承を用いた実施例の支持部構造を示し
た。

第１図のピン支承とローラ支承を用いたジョイントレ
ス多径間床版橋の構造モデルでは、地震によって生じる
水平反力を第４図に示す橋脚1a上の固定支承14のみで負
担する。即ち、両端の橋台間の上部上死荷重に水平震度
Khを乗じた（W₁＋W₂＋W₃＋…）×Kh＝Ht が橋軸方向の地震荷重として、固定支承橋脚1aおよびそ
の中央に設置した固定支承14に作用するので、固定支承
14の構造が大型になると共に固定支承橋脚1aの横断面も
大形のものが要求される。

第５図に示すように、ゴム支承８を用いると、各単純
支持床版橋２と各橋脚１との間に弾性ばね16を介装して
いるのと同様の作動をなす。すなわち、各橋脚１に作用
する地震時水平荷重Hiを両端の橋台および各橋脚にそれ
ぞれ分散させることができる。

地震時水平荷重とゴム支承の剪断抵抗力の関係は次の
通りである。

第６図に弾性ゴム支承体30が剪断力を受けた様子を示
した。

各径間に働く死荷重反力Wiに水平震度Khを乗じたWi×
Kh＝Hiがそれぞれの支承上に働くものとし、これらの水
平力Hiに対してはゴム支承体30の剪断抵抗力Ｆが反力と
して作用するものとすると、但し、A :ゴム支承体の支圧面積（cm²） Δ：水平変位（cm） G :剪断弾性係数（kg/cm²） ΣTe:支承体の弾性ゴムの総厚さ（cm）が成り立
ち、上式からすなわち、地震時に各径間に生ずる水平荷重Hiに対し
て、弾性ゴムの総厚さ、支圧面積、剪断弾性係数の組み
合わせで水平変位Δを満たすゴム支承体を装着しておけ
ばよい。

〔発明の効果〕

本発明の単純支持で構成されたジョイントレス多径間
床版橋は以上の構成を有するので、（１）各々の径間では単純支持条件を満たす構造形態を
採用することにより、設計計算が容易で、現場施工が簡
単になり、また地盤変動等があっても設計時予想しない
応力を生ずることが少なく信頼性が極めて高い。

（２）多径間床版橋において、伸縮継手を省くことによ
り、車輌の走行性が向上する。

伸縮継手とタイヤの衝撃を防止することができる。

伸縮継手からの漏水を防ぎ、鋼板の腐食を改善す
る。

（３）橋脚上における支承は、ローラ支承１個となり、
橋脚中央に設置するため、地震時に落橋しにくい構造と
なり耐震性が向上する。

（４）さらに、ジョイントレス多径間床版橋においてピ
ン支承、ローラ支承に代えてゴム支承を用いることによ
り、より経済性を向上させることができ、ピン支承高を
著しく低くし、橋脚支承上の床版全高を低く押えること
ができる。

（５）ゴム支承の移動沓は地震時に半固定となり、全体
水平力がそれぞれの橋脚に分散されるため、固定支承の
構造がコンパクトになる。また、橋軸方向における橋脚
の幅を小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例の橋脚上部の構造図、第
２図は別の実施例の橋脚上部の構造図、第３図は合成床
版の一例の切欠斜視図、第４図は本発明の橋の全体構成
を示す側面図、第５図はゴム支承を用いた実施例の作用
を説明する側面図、第６図はゴム支承の挙動を説明する
応力図、第７図は従来の単純桁高側面図、第８図は連続
桁橋の側面図、第９図はゲルバー橋の側面図である。１…橋脚、２…床版橋３…移動支承（移動沓）、４…ピン支承５…隙間材、６…床版コンクリート７…アスファルト舗装、８、９…ゴム支承

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】多径間橋梁の各径間に単純支持床版橋を架
設し、隣接する該単純支持床版橋同士とはかけ違い構造
とし、各橋脚上のかけ違い構造が位置する上下面にピン
支承を設けて多径間連続橋とし、橋脚の１つを固定支承
とし、他の橋脚を可動支承としたことを特徴とする単純
支持で構成されたジョイントレス多径間床版橋。
【請求項２】ピン支承に代わり、ゴムを介装した結合構
造とした請求項１記載の単純支持で構成されたジョイン
トレス多径間床版橋。
【請求項３】可動支承がゴムを介装した構造である請求
項１または２記載の単純支持で構成されたジョイントレ
ス多径間床版橋。