JPH08134600A - マルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents

マルテンサイト系ステンレス鋼

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JPH08134600A
JPH08134600A JP27892294A JP27892294A JPH08134600A JP H08134600 A JPH08134600 A JP H08134600A JP 27892294 A JP27892294 A JP 27892294A JP 27892294 A JP27892294 A JP 27892294A JP H08134600 A JPH08134600 A JP H08134600A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は特に低温靭性及び溶接性を大
巾に向上させた新規な高強度高靭性マルテンサイト系ス
テンレス鋼を提供することにある。 【構成】 本発明は重量%で、C:0.01〜0.12
%、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、P:
0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:14.5
〜17.4%、Ni:4.0〜6.0%、残部Fe及び
不可避的不純物からなり、焼入れ、焼戻しにより微細な
針状マルテンサイトの組織を基地とすることを特徴とし
ている

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高強度、高靭性、耐食性
等が要求される各種機械部品に用いられ高強度ステンレ
ス鋼に係り、特に低温靭性を向上させた高強度高靭性マ
ルテンサイト系ステンレス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、コンプレッサ部品、化学プラント
部品あるいは高力ボルト等の高強度、高靭性、耐食性等
が要求される各種機械部品には高強度ステンレス鋼が用
いられてきた。そして、この高強度ステンレス鋼として
は比較的安価な13Cr系マルテンサイトステンレス鋼
が多用されてきたが、これは比較的錆び易い上に、溶接
性が悪いため、現地での補修溶接がしにくい等の欠点が
あった。
【0003】そのため、最近ではこれに代わって、いわ
ゆる17−4PH(JIS・SUS630)やFV52
0B(0.06C−14Cr−6Ni−2Mo−2Cu
−0.3Ni系:Firth Vicker社規格)と
称されるマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼が用
いられてきている。
【0004】この17−4PHは低(0.06)C−1
7Cr−4Ni−3Cu−0.2(Nb+Ta)系の組
成を持つ高強度ステンレス鋼であり、低C系マルテンサ
イトの基地に微細なCu−rich相を時効処理によっ
て析出させることで、0.2%耐力:100kgf/m
2 以上の高強度を有すると共に、高靭性(+20℃の
条件下で2mmVノッチシャルピー衝撃試験特性におけ
る吸収エネルギーが約1kgf・m)、高耐食性及び優
れた加工性(鍛造、機械加工、溶接)を発揮するもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この17−
4PHは低温靭性が低いため、低温用材料として使用す
ることは困難であった。一方、FV520Bは17−4
PHに比べ、比較的優れた低温靭性を有しているが、充
分とはいえず、しかも高価なMo(2%)を含有してい
るため、それだけコスト高になるといった欠点があっ
た。また、いずれの材料も合金元素の種類が多いため、
調合等の製造時の手間がかかる上に、溶接性に関して
は、従来の13Cr系マルテンサイトステンレス鋼に比
較してやや向上しているものの、充分なものとはいえな
かった。
【0006】そこで、本発明は上記の問題点を有効に解
決するために案出されたものであり、その主な目的は十
分な強度、耐食性等を有することは勿論、特に低温靭性
及び溶接性を大幅に向上させると共にコストの低減が達
成できる新規な高強度高靭性マルテンサイト系ステンレ
ス鋼を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、重量%で、C:0.01〜0.12%、S
i:1.5%以下、Mn:1.5%以下、P:0.03
%以下、S:0.03%以下、Cr:14.5〜17.
4%、Ni:4.0〜6.0%、残部Fe及び不可避的
不純物からなり、焼入れ、焼戻しにより微細な針状マル
テンサイトの組織を基地とするものである。
【0008】すなわち、本発明者は近年17−4PHと
FV520Bの両方が出せるような0.2%耐力:10
0kgf/mm2 以上の高い強度レベルの使用頻度は少
なくなり、現状での使用頻度の高い0.2%耐力:60
〜100kgf/mm2 が出せれば充分であるとの知見
に基づき、両材料の組成を鋭意検討した結果、16Cr
−5Ni系をベースとして、強度の向上に寄与するCを
0.01〜0.05%程度に減少させると共に、析出硬
化元素のCu及び、炭化物生成元素のMoとNbを無添
加として、組成を単純化することによって低温靭性が大
幅に改善されると共に、溶接性等も改善できることを見
出だし、本発明に至ったものである。
【0009】本発明において、Cは周知の通り強度を得
るために必要であり、その添加量を0.01〜0.12
重量%としたのは、この値を越えると強度が必要十分以
上に向上して靭性に悪影響を与えると共に、溶接性が大
きく低下するためである。また、Siは脱酸及びフェラ
イト生成、基地強化のために必要であるが、1.5重量
%を越えると靭性を損なう結果を招くことから、1.5
重量%以下であり、望ましくは0.5重量%前後であ
る。また、MnもSiと同様な機能を発揮するが、1.
5重量%を越えるとアノード溶解を加速して耐食性を損
なうことからSiと同様1.5重量%以下、望ましくは
0.5重量%前後である。P及びSは溶解の際に付随的
に混入する元素であって、少ない方が良いから本発明に
おいては大気溶解時にその混入量を工業的に制御できる
およそ0.03重量%以下とすることが望ましい。Cr
を14.5〜17.4重量%、Niを4.0〜6.0重
量%として組み合わせたのは、焼入れの際、1040℃
のオーステナイト化温度に加熱したとき、ほとんどが準
安定オーステナイトであり、僅かにデルタフェライトが
混在する基地をなすためである。Crが14.5%重量
以下では耐食性が減少し、反対に17.4重量%を越え
ると1040℃に加熱したとき、基地の準安定オーステ
ナイトにおいて、第2層のデルタフェライトの比率が急
激に増加するからである。また、Niはさらに溶接性及
び靭性の改善に寄与するものであるが、4.0重量%以
下ではその効果が現れず、6.0重量%を越えるとMs
点が常温付近まで低下するという不具合が生ずるからで
ある。
【0010】溶製は通例の大気溶解で良く、特に真空溶
解或いは真空脱ガス等の特殊な溶解に頼る必要はない。
【0011】また、熱処理は17−4PHやFV520
Bよりも単純で、焼入れ焼戻しのみでよく、焼入れ条件
は、980℃×4時間、油冷、焼戻し条件は475℃×
2時間程度であり、空冷が適当である。
【0012】
【作用】本発明は上述したような組成の鋼材料を適当な
条件で焼入れ焼戻して微細な針状マルテンサイトの組織
を形成することにより、低温靭性及び溶接性が大巾に向
上する。また、本発明のマルテンサイト鋼を形成する材
料の組成は17−4PHおよびFV520Bより、単純
化されているためより安価に得ることができ、かつ調合
等の製造が容易になる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を比較鋼と共に詳述
する。
【0014】先ず、表1に示すような化学組成を有する
本発明鋼と、比較鋼として従来のFV520B及び17
−4PHを用いて、それぞれ複数の試験材を作製した
後、それぞれの試験材について表2に示すような熱処理
を施して0.2%耐力をおよそ100kgf/mm2
した後、これら各試験材について引張特性を測定した。
尚、本発明鋼に係る熱処理としては、先ず、大気中で溶
製した材料を980℃で4時間の油焼入れした後、さら
に475℃で2時間焼もどし、大気中において自然冷却
させたものである。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】この結果、表2からも明らかなように、本
発明鋼はFV520B及び17−4PHと略同様な引張
強さ、伸び及び絞り値を有しているのが判る。
【0018】次に、上記のような熱処理を施したそれぞ
れの試験鋼から2mmVノッチシャルピー衝撃試験片を
作製して−100℃〜+20℃の範囲で低温衝撃試験を
行い、その結果を吸収エネルギー(kgf・m)と試験
温度(℃)に関連させて図1に示した。
【0019】この結果、図1からも明らかなように、本
発明鋼の吸収エネルギーはいずれの温度域においても、
FV520B及び17−4PHよりも上回っており、非
常に優れた低温靭性を発揮していることが判る。特に、
−40℃から+20℃の領域ではFV520Bを大きく
引き離し、その効果が顕著に現れている。
【0020】次に、表2に示すような熱処理を施してビ
ッカース硬さHv331とした試験片の顕微鏡組織図を
図2(A)×100、(B)×400に、同じくHv3
60の比較鋼である17−4PHのそれを図2(C)×
100に示す。これら組織図からも判るように、図2
(C)に示す17−4PHの組織はラス状のマルテンサ
イト組織であるのに対し、本発明鋼は焼入れ焼もどしに
よって微細な針状マルテンサイトの組織となっており、
このような組織が低温靭性の改善や溶接性の向上に寄与
しているものと考えられる。
【0021】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、以下に示
すごとく優れた効果を発揮する。
【0022】必要十分な強度、耐食性等を有し、特に
低温靭性が大幅に向上する。
【0023】炭素や銅及び高価なモリブデン等の金属
元素を省いたため、調合が単純化されて、製造が容易と
なり低コストが達成される。
【0024】鍛造、機械加工等の加工性を犠牲にする
ことなく、溶接性が大きく向上する。
【0025】また本発明鋼の化学組成系は低温靭性を
向上させるため鋳物にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼と比較鋼の低温靭性特性を示すグラフ
図である。
【図2】(A)本発明鋼の組織を示す顕微鏡写真図であ
る。 (B)本発明鋼の組織を示す顕微鏡写真図である。 (C)従来鋼である17−4PHのの組織を示す顕微鏡
写真図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.01〜0.12%、
    Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、P:0.0
    3%以下、S:0.03%以下、Cr:14.5〜1
    7.4%、Ni:4.0〜6.0%、残部はFe及び不
    可避的不純物からなり、焼入れ、焼戻しにより微細な針
    状マルテンサイトの組織を基地とすることを特徴とする
    マルテンサイト系ステンレス鋼。
JP27892294A 1994-11-14 1994-11-14 機械部品用マルテンサイト系ステンレス鋼 Expired - Lifetime JP3164140B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023189563A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 愛知製鋼株式会社 高圧水素部品用マルテンサイト系ステンレス鋼、これを用いた高圧水素部品及びその製造方法

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WO2023189563A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 愛知製鋼株式会社 高圧水素部品用マルテンサイト系ステンレス鋼、これを用いた高圧水素部品及びその製造方法

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