JPH08134164A - 一成分系加熱速硬化型ポリウレタンエラストマー組成物、及びその成形加工方法 - Google Patents

一成分系加熱速硬化型ポリウレタンエラストマー組成物、及びその成形加工方法

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JPH08134164A
JPH08134164A JP6306908A JP30690894A JPH08134164A JP H08134164 A JPH08134164 A JP H08134164A JP 6306908 A JP6306908 A JP 6306908A JP 30690894 A JP30690894 A JP 30690894A JP H08134164 A JPH08134164 A JP H08134164A
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伸 小西
Sadako Hashimoto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一成分系であり、熱可塑性エラストマーと同
等の貯蔵安定性を有し、取り扱いが容易で作業環境を汚
染することもなく、高温に加熱することにより、容易に
反応、硬化し、得られるエラストマーは二成分型と同等
の物性等を有する一成分系加熱速硬化型ポリウレタンエ
ラストマー組成物を提供する。 【構成】 ウレトジオン基及び活性水素基を所定比率で
有する、ポリウレタンエラストマー用組成物100重量
部に、開環触媒である1,5−ジアザビシクロ(4,
3,0)ノネン−5を0.5重量部配合し、80℃で3
0分間、攪拌、混合し、一成分系加熱速硬化型ポリウレ
タンエラストマー組成物を得る。この組成物を圧縮成形
法により温度200℃、圧力12kg/cm2 で10分
間キュアすることにより、エラストマーシートを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一成分系加熱速硬化型
ポリウレタンエラストマー組成物(以下、一成分系PU
E組成物という。)及びその成形加工方法に関する。更
に詳しく言えば、ウレトジオン基と活性水素基とを所定
の比率で有するポリウレタン前駆体に、ウレトジオン基
の開環触媒として1,5−ジアザビシクロ(4,3,
0)ノネン−5及び/又はその塩(以下、DBN及び/
又はその塩という。)を配合した組成物とすることによ
り、通常の環境下及び高温(例えば50℃程度)での貯
蔵安定性に優れ、加熱(例えば180〜200℃程度の
温度)するだけで速やかに鎖延長、架橋して硬化する上
記組成物であって、引張特性及び歪特性等が良好なポリ
ウレタンエラストマーを得ることができる一成分系PU
E組成物及びその成形加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタンエラストマーは、ゴム弾
性、耐薬品性、耐摩耗性、強靱性、耐寒性、耐久性等の
諸特性に優れていることから、塗料、床材、防水材、接
着剤、壁材、シーリング材等として、近年特に利用され
ている。ポリウレタンエラストマーは熱可塑性エラスト
マーと熱硬化性エラストマーに大別される。
【0003】熱可塑性エラストマーは高分子量の線状ポ
リウレタンであり、射出成形、押出成形といった通常の
熱可塑性樹脂の加工技術によって加工することができ
る。一方、熱硬化性エラストマーとしては、(1) ポリイ
ソシアネート及び/又はイソシアネート末端プレポリマ
ーとポリオールとを使用直前に混合攪拌した後、型に注
入し硬化させる二成分型、と、(2) イソシアネート末端
プレポリマーを用い、大気中の湿気と反応、硬化させる
一成分湿気硬化型、とがある。
【0004】これらはそれぞれ一長一短がある。熱可塑
性エラストマーは高分子量の線状ポリウレタンであり、
半永久的な貯蔵安定性を有し、作業性に優れる。しか
し、架橋構造を持たないため軟化点が低く、耐熱性及び
圧縮永久歪特性が劣るという欠点がある。また、一般に
高分子量であって溶融粘度が高く流動性が低いため、複
雑な形状及び大型の製品などを成形することが難しいと
いう欠点をも有する。
【0005】これに対し、二成分型エラストマーは、混
合直後は流動性が高く、複雑な形状の製品或いは大型の
製品等を成形することが容易であり、また、通常、架橋
構造を有し、耐熱性や圧縮永久歪特性に優れているが、
二成分の配合液は系内のイソシアネート基と水酸基との
反応で増粘し、最後にはゲル化するため、その可使時間
に制限がある。更に、満足すべき程度に均一な反応生成
物を得るためには、理論量の二成分を用いる必要があ
り、これら成分を厳密に秤量し、次いで均一に混合しな
ければならない。
【0006】一方、一成分湿気硬化型エラストマーは、
通常、大気中の湿気と反応し硬化する工程を経るため、
最終エラストマー物性は二成分型エラストマーには及ば
ないが、耐熱性等に優れている。しかし、湿気との反応
であるため、反応が遅く完全硬化までの時間が長い。ま
た、上記2種類の熱硬化性エラストマーは、系内に僅か
ではあるがフリーのポリイソシアネートモノマーを含有
し、成形加工時の条件によっては作業環境に悪影響があ
るため、局所排気装置等の設置が必要な場合が多い。
【0007】これらポリウレタンエラストマーの改良に
ついては種々提案がなされている。例えば、二成分型エ
ラストマーでは、120℃以上に加熱するとブロック剤
が解離して飛散し、イソシアネート基を再生するような
ブロック剤を用いた、ブロックイソシアネートとポリオ
ールとを、見掛け上一成分化した方法が提案されてい
る。しかし、この方法では貯蔵安定性は良くなるもの
の、硬化時、ブロック剤によるエラストマーの発泡やブ
ロック剤の飛散による公害問題或いは残留ブロック剤に
よるエラストマー物性の低下等の問題が残されており、
塗料分野では一成分型塗料システムとして一部の用途に
使われているが、エラストマー分野ではあまり用いられ
ていない。
【0008】一方、一成分湿気硬化型エラストマーで
は、吸水性組成の導入や触媒添加等による外部条件にあ
まり影響されない処方や、ケチミン、アルジミン化合物
等の湿気でアミノ基を発生する硬化剤と、イソシアネー
ト末端プレポリマーシステムによる見掛け上の一成分型
組成物等が提案されている。しかし、長期貯蔵安定性に
優れ、作業性、エラストマー物性等が良好な完全一成分
型エラストマーは未だ開発されておらず、現在、その開
発が強く望まれている。また、地球規模での環境問題の
観点から、フリーのイソシアネートモノマーを含まない
ポリウレタンエラストマー用組成物の開発も強く望まれ
ている。
【0009】また、ウレトジオン基を有するポリイソシ
アネートを原料成分の一つとするポリウレタン樹脂は知
られているが、ウレトジオン基を開環させて、十分に反
応、硬化させ、優れた性能を有するエラストマーを得る
ためには、180℃以上の高温で長時間加熱する必要が
ある。そのため、トリエチルホスフィン等のトリアルキ
ルホスフィン系触媒、トリエチルアミン、トリエチレン
ジアミン(以下、TEDAという。)等のアミン類及び
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7
(以下、DBUという。)等のジアザ−ビシロク−アル
ケン類などのアミン系触媒が、ウレトジオン基の開環を
促進する触媒として添加されることが多い。
【0010】しかし、上記ホスフィン系、アミン系等の
触媒では、ウレトジオン基の開環を十分に促進すること
はできず、また、上記DBUを用いた場合、反応、硬化
温度を低下させることはできるが、反応が常温において
もある程度進行し、原料が経時的に増粘し、ついにはゲ
ル化してしまう場合もある。そのため、DBUを配合し
たエラストマー用原料は、その可使時間に制限があり、
貯蔵安定性等に問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、(1) 従来の
ポリウレタンエラストマーの特徴である大きな凝集エネ
ルギーによる、ゴム弾性、耐薬品性、耐磨耗性、強靱
性、耐寒性、耐久性を有すること、(2) 熱可塑性ポリウ
レタンエラストマーと同等の半永久的な貯蔵安定性を有
すること、(3) 硬化反応で形成される、架橋構造による
優れた耐熱性、圧縮永久歪特性等を有すること、(4) 射
出成形、押出成形といった従来の熱可塑性樹脂の加工技
術によって成形できること、(5) 環境問題に関連して、
配合、加熱等の操作時にフリーのポリイソシアネートモ
ノマーが発生、飛散しないこと、及び(6) 50℃程度の
温度範囲においても貯蔵安定性に優れ、且つ、180〜
200℃という高温に加熱するだけで短時間のうちに硬
化が終了すること、といった諸条件を満足する一成分系
PUE組成物及びその成形加工方法を提供することを課
題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1発明の、一成分系P
UE組成物は、ポリイソシアネート成分と活性水素基を
有する化合物とからなるポリウレタン前駆体に、DBN
及び/又はその塩を配合したポリウレタンエラストマー
用組成物であって、上記ポリイソシアネート成分は少な
くともウレトジオン基を有するポリイソシアネートを含
み、上記活性水素基を有する化合物は分子内に少なくと
も2個の活性水素基を有する、分子量18〜20000
のものであり、上記ポリウレタン前駆体は、上記ポリイ
ソシアネート成分のイソシアネート基に対する上記活性
水素基を有する化合物の活性水素基の当量比が1.0を
越える条件で反応させて得られ、且つ、上記ポリウレタ
ン前駆体中の活性水素基に対するウレトジオン基の当量
比が0.25〜1.0であることを特徴とする。
【0013】また、第4発明の、一成分系PUE組成物
の成形加工方法は、第1発明の一成分系PUE組成物
を、ウレトジオン基が開環する温度以下で注入、成形
後、ウレトジオン基が開環する温度以上に加熱して反
応、硬化させることを特徴とし、第5発明は、第1発明
の一成分系PUE組成物をウレトジオン基が開環する温
度以上に加熱した後、注入、成形し反応、硬化させるこ
とを特徴とする。
【0014】上記「ポリイソシアネート成分」は、少な
くともウレトジオン基を有するポリイソシアネートを含
む。通常、ウレトジオン基を有しておれば本発明の目的
は達成されるが、ウレトジオン基の他にイソシアヌレー
ト基等、イソシアネート基から誘導されるその他の基を
有するポリイソシアネートを含んでいてもよい。イソシ
アネート基から誘導される上記2種以外の基としては、
ウレタン基、ウレア基、カルボジイミド基、ウレトンイ
ミン基、オキサゾリドン基及びヒダントイン基等が挙げ
られる。
【0015】これらポリイソシアネートは1種又は2種
以上を使用することができる。例えば、ウレトジオン基
を有するポリイソシアネートとウレトジオン基及びイソ
シアヌレート基を有するポリイソシアネートとの混合物
であってもよい。また、所望によりポリイソシアネート
成分として、分子内に2個以上のイソシアネート基を有
するポリイソシアネートモノマーの1種又は2種以上を
併用することができる。尚、このポリイソシアネートモ
ノマーは後記の二量化反応において反応せずそのまま残
るものの他に、ポリイソシアネート成分の平均官能基数
を低下させ、活性水素基を有する化合物との反応による
ポリウレタン前駆体製造時のゲル化を更に抑えるため、
適宜追加添加されたものであってもよい。
【0016】上記ポリイソシアネート成分を構成するポ
リイソシアネートは、ポリイソシアネートモノマーの他
にそのポリメリック体をも含む。ポリイソシアネートモ
ノマーとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4
−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネ
ート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−
ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,
2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネー
ト、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−
ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイ
ソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−
フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジ
イソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネー
ト、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイ
ソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、テトラメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイ
ソシアネート、水添化キシレンジイソシアネート、水添
化ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキ
シレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートな
どのジイソシアネートが挙げられる。これらの中では、
特に脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネー
トが好適である。また、これらジイソシアネートの重合
体や2官能以上のポリオール等と上記のジイソシアネー
ト或いはそのポリメリック体との反応で得られるポリイ
ソシアネートを使用することもできる。
【0017】本発明において必須成分であるウレトジオ
ン基を有するポリイソシアネート化合物、及び併用して
もよいイソシアヌレート基等他の基をも有するポリイソ
シアネート化合物は、一般に、ポリイソシアネートモノ
マーの二量化反応(ウレトジオン化反応)、三量化反応
(イソシアヌレート化反応)等によって得られ、具体的
には例えば以下のようにして製造することができる。
【0018】ウレトジオン化触媒、例えばトリエチルホ
スフィン、ジブチルエチルホスフィン、トリ−n−プロ
ピルホスフィン、トリアミルホスフィン、トリベンジル
ホスフィン等のトリアルキルホスフィン類或いはピリジ
ン等の存在下、通常0〜90℃の反応温度で、溶剤不存
在下或いは不活性溶剤、例えばトルエン、キシレンその
他の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル系溶剤、プロピレングリコールメチルエー
テルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート
等のグリコールエーテルエステル系溶剤の存在下、及び
場合によっては、前記反応温度において液状のポリオー
ル又はジオクチルフタレート等の可塑剤存在下に製造す
ることができる。
【0019】この反応は20〜50モル%のイソシアネ
ート基が反応した時点で、反応液に、例えば、リン酸、
パラトルエンスルホン酸メチル、硫黄等の溶液を加えて
ウレトジオン化触媒を不活性化し停止させる。使用する
ポリイソシアネートの種類によっては、この反応過程で
結晶となり析出するものもある。特に、芳香族ポリイソ
シアネートは結晶化し易く、反応系から分離する。この
ような方法によって、ウレトジオン基を有するポリイソ
シアネート(即ち、二量体及びポリウレトジオン体)、
及びウレトジオン基とイソシアヌレート基両者、場合に
よっては更に他の基を有するポリイソシアネート、及び
原料であるポリイソシアネートモノマーを含む混合物が
生成する。
【0020】上記混合物は、そのままイソシアネート成
分として用いてもよいし、この混合物から未反応のモノ
マーを薄膜蒸留等により除去したものを用いてもよい。
上記の二量化反応においては、製造時の反応温度が高い
ほど、また、反応停止時にポリイソシアネートモノマー
の含量が低いほど、イソシアヌレート基の生成比率が高
くなる。また、トリエチルホスフィン等の触媒量が多い
ほど、ウレトジオン基の生成比率が高くなる。これらの
反応条件を制御することにより、特定比率のウレトジオ
ン基とイソシアヌレート基とを含有するポリイソシアネ
ート化合物を得ることができる。
【0021】本発明では、ポリイソシアネート成分中
に、ウレトジオン基の他に一定比率のイソシアヌレート
基等が含まれる場合は、従来のポリウレタンエラストマ
ーに比較して耐熱性や圧縮永久歪特性が更に向上し、低
硬度においてもブリード性の少ない良質のエラストマー
が得られる。
【0022】即ち、本発明の一成分系PUE組成物にお
いて、ポリイソシアネート成分中にウレトジオン基の他
に一定比率のイソシアヌレート基及び/又はその他の重
合体を含む場合は、このイソシアヌレート基等によりポ
リウレタン前駆体にゲル化には達しない程度の分岐点を
導入することができる。そのため、従来公知のウレトジ
オン基を有するポリイソシアネートから得られるエラス
トマーに比して、短時間且つ低反応率でより優れた物性
のものが得られる。
【0023】上記「活性水素基を有する化合物」は、分
子内に少なくとも2個の活性水素基を有する、分子量1
8〜20000のものである。活性水素基を有する化合
物としては、水の他に、ポリオール、アミノ基等を有す
るポリアミン、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリビニルア
ルコール等の中から選択した1種又は2種以上を使用す
ることができる。尚、ポリオール以外の化合物を用いる
場合、ウレタン結合を有しないエラストマーが生成し得
るが、本願では、そのような組成物も一成分系PUE組
成物に含める。
【0024】上記ポリオールとしては公知のポリオール
類を用いることができ、ポリイソシアネート成分のイソ
シアネート基が2官能以上であるため、ポリウレタン前
駆体製造時のゲル化防止のうえで、2官能等の低官能基
数のポリオール類が適している。ポリオールの例として
は、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリ
オール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル・エス
テルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げ
られる。
【0025】ポリエステルポリオールとしては、例え
ば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフ
タル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等のジカルボン酸、
それらの酸エステル及び酸無水物等と、グリコール類な
どの多価アルコール或いはアミン類等単独、又はこれら
の混合物との脱水縮合反応により得られるポリエステル
ポリオール、及びポリエステルアミドポリオールが挙げ
られる。
【0026】グリコール類としては、エチレングリコー
ル、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレ
ングリコール(以下、1,2−PGという。)、1,4
−ブチレングリコール(以下、1,4−BGとい
う。)、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサ
ングリコール(以下、1,6−HGという。)、3−メ
チル−1,5−ペンタングリコール、ネオペンチルグリ
コール、1,8−オクタングリコール、1,9−ノナン
ジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン−
1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ
ール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレ
ンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げ
られる。また、三価以上の多価アルコールとしては、ト
リメチロールプロパン(以下、TMPという。)、グリ
セリン、ヘキサントリオール及びN,N,N’,N’−
テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミ
ン等を使用できる。
【0027】また、アミン類としては、ヘキサメチレン
ジアミン、キシレンジアミン、イソホロンジアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン及びイソプロ
パノールトリアミン等のジアミン、トリアミン又はアミ
ノアルコール等が用いられる。ポリエステルポリオール
としては、更に、ε−カプロラクトン、アルキル置換ε
−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキル置換
δ−バレロラクトン等の環状エステル(即ち、ラクト
ン)モノマーの開環重合により得られるラクトン系ポリ
エステルポリオール等も使用できる。
【0028】ポリエーテルポリオールとしては、例え
ば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテル
ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール等
が挙げられる。また、ポリエーテル・エステルポリオー
ルとしては、前記のポリエーテルポリオールとジカルボ
ン酸又は酸無水物等とから製造されるポリエステルポリ
オールなどを使用できる。
【0029】ポリカーボネートポリオールは、例えば、
ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジ
オール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等とジエ
チルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との反応
により得られ、具体的な商品としては日本ポリウレタン
工業株式会社製の商品名「N−980」、「N−98
1」等が挙げられる。
【0030】また、前記ポリエステルポリオールの原料
として挙げた単分子グリコール等の多価アルコール類、
即ち、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコ
ール、1,2−PG、1,4−BG、1,5−ペンタン
グリコール、1,6−HG、3−メチル−1,5−ペン
タングリコール、ネオペンチルグリコール、1,8−オ
クタングリコール、1,9−ノナンジオール、ジエチレ
ングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シ
クロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオ
ール、TMP、グリセリン、ヘキサントリオール、N,
N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピ
ル)エチレンジアミン或いはビスフェノールAのエチレ
ンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等もポリ
エーテルポリオールとして本発明において用いることが
できる。
【0031】更に、アミノ基等含有ポリアミンとして
は、単分子ジアミン、トリアミン、芳香族ジアミン、及
びポリエーテルの末端がアミノ基となったポリエーテル
ポリアミン等が挙げられる。また、尿素樹脂、メラミン
樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、ポリビニルアルコール等も、少なくとも2個の活性
水素基を有するものであれば本発明の活性水素基を有す
る化合物の全部または一部として使用することができ
る。
【0032】以上例示した活性水素基を有する化合物の
分子量は18〜20000、特に、水(分子量18)と
分子量400〜10000のものが好ましい。分子量が
20000を越えると、エラストマー中のウレトジオン
基、イソシアヌレート基、ウレタン基等の含有量が相対
的に減少し、得られるエラストマーの強靱性や強い凝集
力が低下するため好ましくない。また、水を除いて、分
子量が400未満では、エラストマーが脆くなるため好
ましくない。この分子量は用途により適当に選択する必
要があり、エラストマーの耐熱性や凝集エネルギーを高
めるには低分子量のものを用いることが好ましい。尚、
活性水素基を有する化合物として水、ポリアミン等を使
用した場合は、尿素結合を持った化合物が生成する。
【0033】上記「ポリウレタン前駆体」は、上記のポ
リイソシアネート成分と活性水素基を有する化合物と
を、イソシアネート基に対するウレトジオン基の当量比
が1.0を越える活性水素基過剰条件で反応させて得ら
れ、且つ、活性水素基に対するウレトジオン基の当量比
が0.25〜1.0、好ましくは0.35〜0.75の
範囲の前駆体である。この反応系では活性水素基が過剰
であるため、得られるポリウレタン前駆体にイソシアネ
ート基は実質的に残存せず、活性水素基のみを有するも
のが得られる。
【0034】上記活性水素基に対するウレトジオン基の
当量比は重要であり、この比が0.25未満であると鎖
延長、架橋の量が減少し、ポリウレタンエラストマーの
物性が低下するため好ましくなく、1.0を越えるとポ
リウレタン前駆体製造時、ゲル化し易くなるため好まし
くない。活性水素基に対するウレトジオン基の当量比を
上記の範囲とするためには、イソシアヌレート基の含有
量等を考慮したポリイソシアネート成分の平均官能基数
と、トリオール導入等を考慮した活性水素基を有する化
合物の平均官能基数、及びそれら官能基の反応性比を勘
案した配合比とし、且つ、ウレトジオン基が開環する温
度以下に保持し反応させればよい。それによってゲル化
することなく前駆体を得ることができる。
【0035】尚、上記前駆体には、使用するポリイソシ
アネート成分によりウレトジオン基及び活性水素基以外
に、イソシアヌレート基、ウレタン基、ウレア基、カル
ボジイミド基、ウレトンイミン基、オキサゾリドン基、
ヒダントイン基等のイソシアネート基から誘導される基
が存在していてもよい。
【0036】次に、ポリウレタン前駆体の製造について
詳しく述べる。ポリウレタン前駆体は、溶融状態、バル
ク状態、または必要に応じて不活性溶剤、例えば、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エチレングリ
コールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコー
ルメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプ
ロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、
及びジメチルホルムアミド、ジメチルアセトン、N−メ
チルピロリドン、フルフラール等の極性溶剤の1種又は
2種以上を使用して、ウレトジオン基が開環しない温
度、好ましくは100℃以下(例えば25〜90℃)
で、上記の配合範囲で各成分を均一に混合し反応させて
製造することができる。
【0037】上記の溶剤を用いた系は、反応終了後、薄
膜蒸留により溶剤等を分離、回収し、ポリウレタン前駆
体を得ることができる。上記反応温度は、より好ましく
は60〜90℃であり、この場合は、ウレトジオン基の
開環を生じさせないとともに、十分な反応を短時間に行
わせることができる。また、上記反応のための装置とし
ては、上記の均一反応が達成できれば如何なる装置でも
使用でき、例えば、攪拌装置の付いた反応釜やニーダ
ー、一軸又は多軸押出反応機等の混合混練装置が挙げら
れる。また、反応速度を高めるため、ジブチル錫ジラウ
レート等の金属触媒やトリエチルアミン等の三級アミン
触媒を用いてもよい。
【0038】本発明の一成分系PUE組成物の必須成分
の一つである上記「DBN及び/又はその塩」は、上記
ポリウレタン前駆体を100重量部とした場合に、0.
1〜5.0重量部、特に0.3〜3.0重量部配合され
る。この配合量が0.1重量部未満では、ウレトジオン
基の開環が十分に促進されず、5.0重量部を越える場
合は、得られるエラストマーの物性に影響を与えるため
好ましくない。このDBN及び/又はその塩は、前駆体
の調製時に、一成分として添加してもよいし、調製後の
前駆体に追加添加してもよい。いずれの場合もウレトジ
オン基の開環温度以下で、混練ロール、ニーダー、バン
バリーミキサー等適宜混練機によって、十分に攪拌、混
合することにより配合できる。
【0039】DBNの塩としては、脂肪酸塩及びフェノ
ール類の塩等を使用できる。塩を形成する脂肪酸として
は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、らく酸、吉草酸、カプ
ロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプ
リン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミ
リスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデ
シル酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン
酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、プラシジ
ン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキド
ン酸、プロピオール酸、ステアロール酸等の不飽和脂肪
酸などの他、2−エチルヘキサン酸等のイソアルキル脂
肪酸、又は乳酸、グリコール酸、リシノール酸、オキシ
ステアリン酸等のオキシ脂肪酸等、特に制限されること
なく使用できる。
【0040】また、フェノール類としては、フェノー
ル、クレゾール類、キシレノール類、ナフトール類、ト
リメチルフェノール類、テトラメチルフェノール類、ペ
ンタメチルフェノール、エチルフェノール類、n−及び
iso−プロピルフェノール類、n−及びiso−ブチ
ルフェノール類、シクロヘキシルフェノール類、n−及
びiso−アミルフェノール類、iso−オクチルフェ
ノール類、iso−ノニルフェノール類、iso−ドデ
シルフェノール類、ジ−及びポリ置換フェノール類(例
えば、チモール、カルバクロール、ジ−iso−アルキ
ルフェノール)、メトキシフェノール類(例えば、オイ
ゲノール、グアヤコール)等の一価フェノール類、カテ
コール類、レゾルシン類、ハイドロキノン類、ビスフェ
ノール類等の二価フェノール類などの他、ピロガロー
ル、フロログルシン等の多価フェノール類が挙げられ
る。これらの中では、フェノール、para−低級アル
キルフェノール類(例えば、パラクレゾール、パラエチ
ルフェノール)等が好ましい。
【0041】上記の塩は、DBNと脂肪酸又はフェノー
ル類とを、単に混合することにより製造でき、特別の触
媒を要することもなく、室温で容易に反応が進む。両者
は当量で反応するが、DBNが過剰に存在する塩も、脂
肪酸又はフェノール類が過剰に存在する塩も使用でき
る。脂肪酸又はフェノール類が固体の場合は、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の不活性な揮発性
溶剤を用いて反応させることが好ましい。また、得られ
る塩は精製の必要はないが、高純度の塩が必要な場合
は、イソオクタンのような溶媒から再結晶させることに
より、純度を高めればよい。
【0042】本発明の一成分系PUE組成物は、常態で
液体、固体又は粉体等何れであってもよい。また、生成
後、60〜90℃の乾燥空気中で24〜48時間熟成し
た後、再度ペレタイザーによって粒状に仕上げるか、或
いは熟成生成物を液体窒素を用いて凍結後粉砕して仕上
げることができる。特に微粉砕の場合は、上記固体操作
の代わりに、原材料に水と相溶する溶剤、例えば、ジメ
チルホルムアミド、テトラヒドロフラン等を加えて、溶
液状態としたものを水中に投入して分散させ、樹脂分を
分離析出させて微粉とすることもできる。この溶液操作
の場合は、イソシアネート基が完全に消失していること
を確認しておく必要がある。
【0043】更に、得られるエラストマーの機能を向上
させるため、主成分のポリウレタン前駆体に、前記活性
水素基を有する化合物を追加添加し、前駆体の活性水素
基との合計活性水素基に対するウレトジオン基の当量比
が0.25〜1.00、好ましくは0.35〜0.75
の範囲となるようにに調整することもできる。また、貯
蔵時のゲル化を防止するエステル・ウレタン交換反応防
止剤等のゲル化防止剤、その他、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、粘度調整剤、
流れ性改良剤、可塑剤、揺変剤、及び充填剤等を配合し
て調製することもできる。
【0044】更に、一成分系PUE組成物に、塩化メチ
レン、フロン化合物、ペンタン等の物理発泡剤、アゾビ
スイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、N,
N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の有機発
泡剤及び重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、水素化
ホウ素ナトリウム等の無機発泡剤を単独使用或いは併用
し、又はフロス法によって発泡させ、発泡エラストマー
を得ることもできる。尚、発泡エラストマーを得るため
に、必要に応じて、整泡剤、シリコーン、有機界面活性
剤等を使用することもできる。
【0045】上記組成物からポリウレタンエラストマー
を得る方法は、製品の形状及び硬化条件によって選択す
ればよく、例えば、第4発明のように、一成分系PUE
組成物を、金型に、注型、押出成形、射出成形、ブロー
成形、真空成形、圧縮成形等によって注入した後、又は
金型に散布、塗布等によってコーティングした後、熱エ
ネルギーを与えて反応、硬化させて成形するか、第5発
明のように、熱エネルギーを与えた後、これを金型に注
型他上記の各成形法等によって注入し、反応、硬化させ
るか、何れの方法であってもよい。
【0046】上記成形のための加熱温度及び時間は、ウ
レトジオン基が開環する条件であることが必要であり、
160〜220℃で数分〜数十分が適当であるが、製品
の形状、デザイン等により異なる。この温度が160℃
未満では、十分に開環及び反応が進まない。また、22
0℃を越える場合は、得られるエラストマーの物性が低
下することがある。尚、得られるエラストマーは、必要
に応じて90〜120℃で数時間熟成することによっ
て、より強度の大きい製品とすることもでき、最終的に
鎖延長、架橋が完了して強度、歪特性等に優れたエラス
トマーを得ることができる。
【0047】尚、ポリウレタン前駆体の前記当量比が
0.5を越え1.0までの範囲ではウレトジオン基が過
剰となり、本発明の一成分系PUE組成物は、環境中の
水分との反応による鎖延長、架橋やウレタン基、ウレア
基等との反応によるアロファネート或いはビューレット
化反応、及びイソシアネート基単独での重合反応、例え
ばカルボジイミド化、イソシアヌレート化等により鎖延
長及び/又は架橋させることもできる。尚、得られるエ
ラストマーの物性等が良好であれば、全てのウレトジオ
ン基を開環させる必要はない。また、当量比が0.25
以上〜0.5未満では、活性水素基が過剰となり、前駆
体は熱可塑的に挙動する。
【0048】
【作用】本発明の一成分系PUE組成物には、常温では
フリーのポリイソシアネートモノマーを含めてイソシア
ネート基が実質的に存在せず、所定温度以上に加熱され
た時にウレトジオン基の開環によって複数の活性なイソ
シアネート基が再生される。そのため所定温度以下で
は、二成分型ポリウレタンエラストマー用組成物のよう
な可使時間の制限がなく、半永久的な貯蔵安定性を有し
ている。また、再生されたイソシアネート基は、開環し
たポリウレタン前駆体中の分子の末端に付いているた
め、フリーのポリイソシアネートモノマーの発生及び飛
散がなく、作業環境上取り扱いが安全である。
【0049】また、本発明の組成物は一成分系であり、
二成分型ポリウレタンエラストマー用組成物のように二
成分の厳密な秤量及び均一な混合を必要としないという
特徴がある。更に、ウレトジオン基の開環を促進する触
媒であるDBN及び/又はその塩が配合されているた
め、開環温度以上では、ウレトジオン基は速やかに開環
し、あたかも二成分型ポリウレタンエラストマー用組成
物の如く、再生されたイソシアネート基と末端活性水素
基との反応により、鎖延長及び/又は架橋が速やかに進
み、反応硬化して、均一な反応生成物を得ることができ
る。
【0050】
【実施例】以下、実施例等により本発明を更に詳しく説
明する。 以下の実施例等において、「部」は全て「重量部」を意
味する。 (1) 一成分系PUE組成物の調製及びエラストマーの製
造 実施例1〜3 フリーのポリイソシアネートは含まず、ウレトジオン基
及び活性水素基を所定の比率で有する一成分系PUE組
成物、PUE−1、PUE−2及びPUE−3の3種類
(その詳細を表1に示す。尚、表1中のHDIは1,6
−ヘキサメチレンジイソシアネートの略である。)各1
00部に、開環触媒であるDBNを0.5部と、酸化防
止剤(チバガイギー社製、商品名「イルガノックス10
10」)0.5部を添加し、温度80℃に設定されたフ
ラスコに投入し、30分間攪拌、混合して、一成分系P
UE組成物とした。
【0051】
【表1】
【0052】その後、ラボプレスを用いて圧縮成形法に
より上記各組成物を、温度200℃、圧力12kg/c
2 で10分間キュアし、厚さ約2mmのエラストマー
シートを作成した。また、圧縮永久歪測定用のサンプル
として、直径29mm、厚み12.5mmの成形品を注
型により作製し、同様に200℃で10分間キュアして
試験に供した。
【0053】実施例4〜5 一成分系PUE組成物としてPUE−1を使用し、DB
Nに代えてDBNの塩であるDBN・オクチル酸塩(実
施例4)及びDBN・フェノール塩(実施例5)を、そ
れぞれ1.0部添加した以外は、実施例1〜3と同様に
して厚さ約2mmのエラストマーシート及び圧縮永久歪
測定用サンプルを作製した。
【0054】比較例1〜3 DBNを配合せず、200℃で30分間キュアした以外
は(10分間のキュアではシートが作製できなかっ
た。)、各実施例と同様にして、厚さ約2mmのエラス
トマーシート及び圧縮永久歪測定用サンプルを作製し
た。 比較例4〜6 DBNに代え、開環触媒としてDBU、0.5部を配合
した以外は、各実施例と同様にしてエラストマーを作製
しようとしたが、攪拌直後に増粘が始まり、10分以内
にゲル化してしまって、十分に脱泡させることができ
ず、エラストマーを作製できなかった。
【0055】比較例7 一成分系PUE組成物としてPUE−1を使用し、DB
Nに代えてTEDAを1.0部添加し、200℃で30
分間キュアした以外は(比較例1〜3の場合と同様、1
0分間のキュアではシートが作製できなかった。)、各
実施例と同様にして厚さ約2mmのエラストマーシート
及び圧縮永久歪測定用サンプルを作製した。
【0056】(2) 一成分系PUE組成物の安定性 25℃及び50℃雰囲気中での組成物の安定性を、ゲル
化の様子を目視により観察することにより評価した。 〈判断基準〉 ×:1日以内にゲル化 ○:21日以上安定
【0057】(3) エラストマーの物性等 各実施例及び比較例の硬化に要する時間及び硬さ、引張
強度、破断伸び、引裂強度、25%圧縮永久歪(70
℃、22時間)を測定した。各物性はJIS K630
1に準じて測定した。実施例1〜5及び比較例1〜7の
一成分系PUE組成物の安定性を、それぞれ表2、表3
に示し、同実施例及び比較例1〜3及び比較例7の組成
物の硬化時間と、得られるエラストマーの物性を、それ
ぞれ表4、表5に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】表2の結果によれば、本発明の一成分系P
UE組成物は、25℃では勿論のこと、50℃というか
なり高温においてもゲル化の様子は認められず、極めて
貯蔵安定性に優れていることが分かる。一方、表3の結
果によれば、比較例1〜3及び比較例7は同様に貯蔵安
定性に優れているが、比較例4〜6では、前記のように
攪拌直後から増粘が始まり、10分以内にゲル化してし
まって極めて貯蔵安定性に劣るものである。
【0063】更に、表4の結果によれば、本発明の一成
分系PUE組成物は、硬化時間は、いずれも10分と短
く、得られるエラストマーは、各物性、特に圧縮永久歪
特性に優れたものであることが分かる。一方、表5の結
果によれば、DBNを配合していない比較例1〜3で
は、硬化時間は、いずれも30分と非常に長く、引張強
度、破断伸びの低下がみられ、特に圧縮永久歪特性が大
きく低下していることが分かる。更に、DBNに代えて
TEDAを使用した比較例7の場合も、比較例1〜3と
同様、硬化時間、物性ともに劣っていることが分かる。
【0064】
【発明の効果】第1発明の一成分系PUE組成物は、一
成分系であって、熱可塑性エラストマー用組成物同様、
使用時の作業性に優れ、且つ、室温から50℃程度まで
の温度範囲において、半永久的な貯蔵安定性を有する。
また、ウレトジオン基の開環する温度、例えば180℃
程度の高温に加熱するだけで、活性水素基と反応して硬
化し、優れた耐熱性と耐久性を有するエラストマーを得
ることができる。
【0065】更に、その骨格構造及び使用する活性水素
化合物を適当に選択することにより、ゴム弾性、耐薬品
性、耐摩耗性、強靱性、耐寒性、耐久性等を好ましい範
囲に制御することもできる。また、本発明の組成物は、
常温において環境上問題となるフリーのポリイソシアネ
ートモノマーを含まず、高温での硬化時においても一部
のブロックイソシアネートでみられるフリーのポリイソ
シアネートモノマーの発生がなく、良好な作業環境で安
全に取り扱うことができる。
【0066】第2発明では、第1発明の開環触媒を適量
とすることにより、より効率的な反応促進の効果が得ら
れ、第3発明のようにウレトジオン基の他にイソシアヌ
レート基を有するイソシアネート成分を使用すれば、よ
り物性等に優れたエラストマーを得ることができる。ま
た、第1〜3発明の組成物は、第4又は第5発明のよう
に、ウレトジオン基の開環温度以下で成形した後、加熱
して硬化させるか、開環温度以上に加熱した後、成形す
るか、いずにしても簡易な方法によって成形加工するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 貞子 神奈川県秦野市北矢名1303−1 (72)発明者 森川 幸弘 神奈川県横浜市港北区綱島東3−5−37

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイソシアネート成分と活性水素基を
    有する化合物とからなるポリウレタン前駆体に、1,5
    −ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5及び/又は
    その塩を配合したポリウレタンエラストマー組成物であ
    って、上記ポリイソシアネート成分は少なくともウレト
    ジオン基を有するポリイソシアネートを含み、上記活性
    水素基を有する化合物は分子内に少なくとも2個の活性
    水素基を有する、分子量18〜20000のものであ
    り、上記ポリウレタン前駆体は、上記ポリイソシアネー
    ト成分のイソシアネート基に対する上記活性水素基を有
    する化合物の活性水素基の当量比が1.0を越える条件
    で反応させて得られ、且つ、上記ポリウレタン前駆体中
    の活性水素基に対するウレトジオン基の当量比が0.2
    5〜1.0であることを特徴とする一成分系加熱速硬化
    型ポリウレタンエラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 上記1,5−ジアザビシクロ(4,3,
    0)ノネン−5及び/又はその塩の配合量は、上記ポリ
    ウレタン前駆体を100重量部とした場合に、0.1〜
    5.0重量部である請求項1記載の一成分系加熱速硬化
    型ポリウレタンエラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 上記ポリイソシアネート成分が、イソシ
    アネート基から誘導されるウレトジオン基及びイソシア
    ヌレート基を有するものである請求項1記載の一成分系
    加熱速硬化型ポリウレタンエラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の一成分系加
    熱速硬化型ポリウレタンエラストマー組成物を、ウレト
    ジオン基が開環する温度以下で注入、成形後、ウレトジ
    オン基が開環する温度以上に加熱して反応、硬化させる
    ことを特徴とする一成分系加熱速硬化型ポリウレタンエ
    ラストマー組成物の成形加工方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2又は3に記載の一成分系加
    熱速硬化型ポリウレタンエラストマー組成物をウレトジ
    オン基が開環する温度以上に加熱した後、注入、成形し
    反応、硬化させることを特徴とする一成分系加熱速硬化
    型ポリウレタンエラストマー組成物の成形加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09316423A (ja) * 1996-05-28 1997-12-09 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd ラミネート用接着剤組成物、およびそれを用いたラミネートフィルムの製造方法
WO2019039450A1 (ja) * 2017-08-25 2019-02-28 Dic株式会社 ウレトジオン含有樹脂の製造方法、ウレトジオン含有樹脂、イソシアネート含有樹脂の製造方法、および積層体

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WO2019039450A1 (ja) * 2017-08-25 2019-02-28 Dic株式会社 ウレトジオン含有樹脂の製造方法、ウレトジオン含有樹脂、イソシアネート含有樹脂の製造方法、および積層体

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