JPH0813069A - 耐熱構造材用Ni基合金及びそれを用いたガスタービン - Google Patents

耐熱構造材用Ni基合金及びそれを用いたガスタービン

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JPH0813069A
JPH0813069A JP15329094A JP15329094A JPH0813069A JP H0813069 A JPH0813069 A JP H0813069A JP 15329094 A JP15329094 A JP 15329094A JP 15329094 A JP15329094 A JP 15329094A JP H0813069 A JPH0813069 A JP H0813069A
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JP
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based alloy
alloy
thin film
weight
unavoidable impurities
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JP15329094A
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English (en)
Inventor
Osamu Ito
修 伊藤
Tetsuo Fujiwara
徹男 藤原
Takeya Ohashi
健也 大橋
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高温強度ならびに耐酸化性,耐食性に優れるガ
スタービン動翼材料に好適なNi基単合金を提供する。 【構成】重量%でAl4.0〜6.0%,W2.0〜13.
0%,Ta2.0〜9.0%,Mo6.0 %以下及び残部
不可避の不純物とNiからなるNi基合金表面にNb,
Re,Cr及びNiからなる合金薄膜をコーティング形
成した高温強度ならびに耐酸化性,耐食性に優れるNi
基合金。 【効果】本発明の高温強度ならびに耐酸化性,耐食性に
優れるNi基合金をガスタービン動翼,ノズルに適用す
ることにより、長期間にわたり装置信頼性の高いガスタ
ービン装置が提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温強度ならびに耐酸
化性,耐食性に優れるNi基合金に係り、特に高温で使
用されるガスタービン動翼、ノズル材料に好適なNi基
合金に関する。
【0002】
【従来の技術】各種燃焼器は燃焼効率の向上のため燃焼
温度をより高くする試みがなされている。特に、高効率
コンバインドサイクル発電システムのキーコンポーネン
トである超高温ガスタービンの実現には、第一段動翼に
従来の多結晶の普通鋳造合金や応力負荷方向に結晶粒界
をもたない一方向柱状凝固合金を用いた場合には対応は
困難であり、結晶粒界を全くもたない単結晶合金の使用
が必須であると考えられている。特開平2−138431 号に
は、航空機用ジェットエンジン材料として高温強度に優
れるNi基単結晶合金が開示されている。この材料はジ
ェットエンジン材料として特に要求される高温強度に優
れた合金である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ジェットエンジン材料
は実際の使用時には短期間での点検,交換作業を行うた
め耐酸化性,耐食性はそれほど要求されない。これに対
し、発電用ガスタービン材料は、点検,交換作業のサイ
クルがジェットエンジンに比べて長く、また使用する燃
料も腐食を発生させる要因である硫黄分の比較的多い燃
料を用いる可能性が高い。このため、発電用ガスタービ
ン材料は高温強度,耐酸化性と燃焼ガス中の腐食成分に
耐えうる耐食性を高い次元でバランスさせた材料が必要
である。
【0004】現状、ガスタービンのブレードあるいはノ
ズルの部品は、表面にセラミックスを溶射することで、
厳しい腐食環境から保護されている。しかし、表面のセ
ラミックスコーティングは使用時に基板の金属との熱膨
張係数差による熱応力で剥離するという問題があり、剥
離した部分より腐食が進行する。
【0005】本発明の目的は、発電用ガスタービン動翼
材料で使用されることに適する高温強度ならびに耐酸化
性,耐食性に優れるNi基合金材料を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、重量%で、Nb5.0〜40.0%
を含み、かつRe,Cr及び残部不可避の不純物とNi
からなる合金薄膜を有するNi基合金が提供される。
【0007】また、重量%で、Cr10.0〜40.0
%,Nb5.0〜40.0%,Re10.0〜40.0 %及び
残部不可避の不純物とNiからなる合金薄膜を有するN
i基合金が提供される。
【0008】また、Nb,Re,Cr及びNiからなる
合金薄膜を、重量%で、Al4.0〜6.0%,W2.0
〜13.0%,Ta2.0〜9.0%,Mo6.0%以下及
び残部不可避の不純物とNiからなるNi基合金の表面
に有するNi基合金が提供される。
【0009】また、前記Ni基合金が、重量%で、Al
4.0〜6.0%,W2.0〜13.0%,Ta2.0〜9.
0%,Mo6.0 %以下、及び残部不可避の不純物とN
iからなるNi基合金であることが好ましい。
【0010】また、前記合金薄膜の膜厚が100μm以
下であることが好ましい。
【0011】また、本発明によれば、重量%で、Al
4.0〜6.0%,W2.0〜13.0%,Ta2.0〜9.
0%,Mo6.0 %以下及び残部不可避の不純物とNi
からなるNi基合金の表面に重量%で、Nb5.0〜4
0.0%,Re10.0〜40.0%,Cr10.0〜4
0.0%及び残部不可避の不純物とNiからなる合金薄
膜を有するNi基合金が提供される。
【0012】また、前記合金薄膜中のNb,Re,Cr
の含有量が、外部環境に接する表面よりNi基合金側へ
いくに従い単調に減少していることが好ましい。
【0013】また、Nb,Re,Cr及びNiからなる
合金薄膜を2層以上有し、かつ前記2層以上の合金薄膜
の各層が異なる合金組成を有する、重量%で、Al4.
0 〜6.0%,W2.0〜13.0%,Ta2.0〜9.0
%,Mo6.0%以下及び残部不可避の不純物とNiか
らなるNi基合金が提供される。
【0014】また、上記Ni基合金が、該合金を一方向
凝固させてできる実質的に結晶粒界を有しないNi基単
結晶鋳造物であることが最も好ましい。
【0015】また、本発明によれば、Ni基単結晶合金
の製造法において、該Ni基合金表面に、イオンビーム
デポジション法により重量%で、Nb5.0〜40.0%
を含み、かつRe,Cr及び残部不可避の不純物とNi
からなる合金薄膜を形成するNi基合金の製造法が提供
される。
【0016】また、本発明によれば、Ni基単結晶合金
の製造法において、該Ni基合金表面に、イオン注入法
により重量%で、Nb5.0〜40.0%を含み、かつR
e,Cr及び残部不可避の不純物とNiからなる合金薄
膜を形成するNi基合金の製造法が提供される。
【0017】また、本発明によれば、Ni基単結晶合金
の製造法において、該Ni基合金表面に、高周波スパッ
タ法により、重量%で、Nb5.0〜40.0%を含み、
かつRe,Cr及び残部不可避の不純物とNiからなる
合金薄膜を形成するNi基合金の製造法が提供される。
【0018】また、上記合金を用いて、高温ガスの衝突
する翼部、高温ガスをシールするプラットフォーム部と
シールフィン、前記両部を支持するシャンク部およびデ
ィスクに植設する役目をもつダブテール部とを有するガ
スタービンブレードを作製することが好ましい。
【0019】また、上記合金を用いて、ガスタービンノ
ズルを作製することが好ましい。
【0020】また、コンプレッサにより圧縮された空気
と燃料との混合ガスを燃焼させ、その高温ガスをガスタ
ービンノズルを通し、複数のディスクに各々植設された
ガスタービンブレードに衝突させて該ブレードを回転さ
せるガスタービンを作製することが好ましい。
【0021】
【作用】本発明による耐熱構造材用Ni基合金の高温強
度の向上は、原子サイズの相違による固溶硬化により転
位の運動を抑制することの期待されるW,Ta,Moを
Ni基合金の内部に分散させることにより達成されるも
のである。
【0022】一方、耐酸化性,耐食性を向上させること
は、Niの酸化,硫化を防ぐということに対応するとし
て、量子化学的に第三添加元素の効果を解析できる。N
i基単結晶合金表面に各種金属を添加したモデルによ
り、合金表面と酸素,硫黄分子との結合性を解析し、耐
酸化,耐食性に有効な添加元素を電子論から分子軌道法
を用いて検討した。検討結果を図1,図2に示す。図1
は縦軸が硫黄原子とNi基合金の結晶組成を構成するC
r,Ni,Re,Al,Ti,Nbの各元素との結合エ
ネルギーを示す。各元素はどのような結晶中に存在する
かで結合エネルギーの大きさが異なり、またNi原子と
隣合う原子の種類によっても結合エネルギーは異なる。
この図では例えば横軸左側のNi(111)はNi結晶
(γ結晶)の(111)面が表面にあった場合を想定
し、Cr,NiまたはRe,Niは(111)面上に硫
黄原子と等距離にCrとNiまたはReとNiがあった
場合、硫黄原子はどちらに結合し易いかを示す。すなわ
ち、硫黄原子がNi原子と結合しにくく、Cr原子と結
合しやすい場合は、Crが犠牲陽極的な働きをして基地
のNiが硫黄と結合して腐食するのを防ぐのである。ま
た、Cr,Re,Al,Ti,Nb原子はNi結晶(γ
結晶)、Ni3Al(γ′結晶)のどの原子サイトに置換
型固溶して入りやすいか計算により求められているた
め、Cr,ReはNi結晶、Al,Ti,NbはNi3
Al 結晶に入った場合のみを想定して計算している。
この計算結果から、Ni結晶ではCrよりはRe原子の
方が耐食性向上に効果があり、Ni3Al 結晶ではNb
原子がAl,Ti原子に比べ耐食性向上に効果があるこ
とがわかる。一般的に用いられているNi基超合金は、
高度の大きい金属間化合物であるNi3Al 結晶を80
体積%程度含有させることによって、Ni結晶の転位の
移動を防ぎ強度、耐クリープ性を向上させている。すな
わち、Ni基超合金全体としての耐食性を考えた場合、
Ni3Al 結晶の耐食性向上が最も重要である。以上よ
り、Ni基超合金の耐食性向上にはNbの添加が最も有
効であり、更にReを添加することが望ましいことがわ
かる。図2は縦軸が酸素原子とNi基合金の結晶組成を
構成するCr,Ni,Re,Al,Ti,Nbの各元素
との結合エネルギーを示す。Ni結晶ではCrの方がR
eより耐酸化性に優れ、Ni3Al 結晶ではTi原子が
Al,Nb原子に比べ耐酸化性向上に効果があることが
わかる。これらの結果から本発明では耐酸化性,耐食性
を同時に満足させる元素の組合せとして、Nb,Re,
Crと下地のNi合金とのなじみ性のために加えるNi
からなる合金薄膜をAl,W,Ta,Mo,Niからな
るNi基合金の上に形成することによって、合金表面で
耐酸化性,耐食性の向上を図った。Nb,Re,Cr元
素の内、耐食性ではNb,耐酸化性ではCrが最も効果
があるため、Nb,Crを主体として合金薄膜を形成す
ることが最も望ましい。具体的には重量%で、Nb5.
0〜40.0%を含み、かつRe,Cr及び残部不可避
の不純物とNiからなる合金薄膜を有することが望まし
い。Nbが5%以上含有していないと耐食性が低下す
る。
【0023】また、40%以上含有するとNbは耐酸化
性が悪いため(図2参照)好ましくない。
【0024】また、耐食性,耐酸化性,下地のNi基合
金との整合性をはかるため重量%で、Cr10.0〜4
0.0%,Nb5.0〜40.0%,Re10.0〜40.
0%及び残部不可避の不純物とNiからなる合金薄膜を
Ni基合金表面に設けることが特に好ましい。
【0025】Ni基合金表面の合金薄膜構成元素である
Nb,Re原子は耐食性に悪い影響を及ぼす燃焼ガス中
のイオウ分子を引き付ける効果があり、結果としてNi
の硫化を防ぐことができる。またCrは酸素との親和性
が高いため、やはり下地のNi基合金の酸化を防ぐこと
ができる。これらの効果を同時に達成するにはそれぞれ
の構成元素が同量程度含まれていることが望ましい。
【0026】また、上記合金薄膜を設ける下地のNi基
合金は、重量%で、Al4.0〜6.0%,W2.0〜13.
0%,Ta2.0〜9.0%,Mo6.0 %以下及び残部
不可避の不純物とNiからなることが好ましい。
【0027】下地のNi基合金は、母相であるγ相結晶
と、析出相であるγ′結晶(Ni3Al)の割合からNiとA
lの量が決定され、そして固溶硬化により転位の運動を
抑制することの期待されるW,Ta,Moは、合金に少
量分散添加される時に最も固溶硬化の効果のあることか
ら上記のように組成が決定される。
【0028】上記のような合金薄膜は、耐食,耐酸化性
向上を目的として耐熱合金表面に設けられるセラミック
被膜と比べて、熱膨張係数が下地の耐熱合金に近いた
め、使用時の熱膨張係数の差によって発生する熱応力に
よる膜の剥離がほとんどないという特徴もある。
【0029】合金薄膜は、Ni基合金の耐酸化性,耐食
性,高温強度,膜自体の強度をバランスよく引き出すた
めに100μm以下の膜厚とすることがのぞましい。膜
厚は5μm以上の膜厚がないと耐食性向上に効果がな
く、また1mm以上の膜厚では、膜の製造に時間がかか
り、コスト的に不利になるほか、膜の製造時の残留応力
が大きくなるため望ましくない。このため膜の厚さは5
00μm以下、好ましくは100μm以下がよい。これ
により、高温強度,耐酸化性および耐食性をすべて高い
次元でバランスさせた。
【0030】上記Ni基合金の製造法として、イオンビ
ームデポジション法を用いた場合、結晶欠陥の少ない緻
密な膜を形成することができる。これは、電気的に引き
出した金属イオンを同位体レベルで質量分離し、特定の
質量数の金属のみを基板表面に照射し、その照射エネル
ギーはスパッタ現象が生じないような低いエネルギーで
あるからである。従って燃焼ガスに対し耐性に優れる膜
を形成することができる。
【0031】また、高周波スパッタ法を用いて製造した
場合、高密度プラズマの発生により、膜を形成するの
で、成膜速度が大きく、100μm程度の高純度の合金
薄膜を容易にかつ低コストでコーティングすることがで
きる。従って経済的な側面からは有効な製造法である。
【0032】また、イオン注入法を用いて製造した場
合、所定のイオンを基材表面に打ち込むことにより膜を
形成する。従って、合金薄膜は基材内部に入り込む形で
形成されるので、基材と薄膜の界面は強固に結合し、使
用時の薄膜の剥離による耐食性の低下を防ぐことができ
る。
【0033】これらの製造法は、適用製品の要求特性に
合わせて適宜選択する。
【0034】上記Nb,Re,Crと下地のNi合金と
のなじみ性のために加えるNiからなる合金薄膜は、多
結晶Ni基合金または一方向凝固させた柱状晶Ni基合
金に適用しても耐食性,耐酸化性向上の効果が得られ
る。また、マスターインゴットを合金の融点以上に加熱
した鋳型の中に鋳込み、一定速度で引下げるとともに、
セレクターによって一つの結晶のみを成長させて得られ
たNi基単結晶鋳造物に適用すれば、高温強度,耐食
性,耐酸化性をすべて兼ね備え、発電用ガスタービン部
材に最も好適なNi基合金が得られる。
【0035】上記Ni基合金は、耐食性,耐酸化性,耐
クリープ性,強度に優れているため、1200℃以上の
高温で用いられる超高温ガスタービンのタービンブレー
ド,ノズルなどの部材に用いられた場合、信頼性が高
く、ライフサイクルの長いガスタービンが得られる。
【0036】
【実施例】
(実施例1)表1に示す組成の試料について高周波溶解
炉によりマスターインゴットを作製し、一方向凝固炉を
用いて単結晶化した。単結晶試料は鋳造後、HCl:H2O2
=9:1の腐食液でマクロエッチングをおこない、単結
晶化されていること目視確認後、さらに高純度アルゴン
雰囲気中で熱処理した。
【0037】
【表1】
【0038】表1中No.1,2の組成の試料については
薄膜形成のための供試材とし、コーティング膜形成を行
った。試料No.3については、比較のためにコーティン
グ膜の成分をあらかじめマスターインゴット中に含むも
のを作製した。試料No.4については耐酸化性および耐
食性がコーティング膜のない場合どう変化するかを、N
o.1,2と比較するためにあわせて作製した。コーティ
ング膜形成方法としては、試料No.1について高周波ス
パッタを採用した。また、試料No.2についてはイオン
ビームデポジション法を採用した。
【0039】高周波スパッタを用いる薄膜形成装置は、
スパッタ室,排気系,ガス導入系,高周波電源で構成さ
れ、電極は平行平板型で上部電極にターゲット,下部電
極に基板を設置するスパッタダウン方式である。さら
に、裏面に設けられた磁石によって高密度プラズマが発
生するために、成膜速度が大きく高純度の薄膜をコーテ
ィングすることができる。コーティング膜となるNb,
Re,Cr,Niからなるターゲット材については、高
周波溶解炉によりNb20.1%,Re26.2%、Cr
30.6 %及び残部不可避の不純物とNiからなる組成
になるようにあらかじめ作製しておいた。
【0040】イオンビームデポジション法は、金属イオ
ンの生成後にイオンビームとして電気的に引き出した金
属イオンを同位体レベルで質量分離し、特定の質量数の
金属のみを基板表面に照射し薄膜を形成する方法であ
る。エネルギーはスパッタ現象が生じないように低いエ
ネルギーで基板上に堆積するために反応が非平衡的に進
行する。従って、任意の組成のコーティング膜を高精度
で形成することができる。本実施例では、Nb25,R
eO2,Cr23,NiO の混合した酸化物粉末を放電
室内に挿入した後にCCl4 ガスを放電室内に導入して
マイクロ波を起こし、これら酸化物を還元してNb,R
e,Cr,Niイオンを発生させコーティングを行っ
た。薄膜形成法としては、他にNb,Re,Cr,Ni
イオンをイオン注入法によりNi基単結晶合金表面にド
ーピングすることも可能である。
【0041】No.1,2の試料についてはEPMAによ
るNb,Re,Cr,Niの表面より深さ方向の組成分
析を行った。図1にこのプロファイルを示す。横軸は表
面より深さ方向の距離を示す。
【0042】表面部分にNb,Re,Cr,Niからな
る層が約100μm程度形成され、表面から内部に進行
するごとにNb,Re,Crが減少している。Niは表
面から内部に進行するにつれて合金内部の組成に近づい
ていく。これよりNb,Re,Cr,Niからなるコー
ティング膜が形成されている様子がわかる。
【0043】次に、ここで作製した試料について耐食性
試験を行った。耐食性試験は溶融塩全浸漬法で行った。
試験には75wt%NaSO4+25%wtNaCl の
混合塩を用い、この塩を磁性るつぼ中に入れ、その中に
試験片を浸漬し電気炉で所定時間加熱した。試験条件
は、850℃×5h,940℃×5hとした。加熱後ワ
イヤーブラシで脱スケールを行い、脱スケール後の単位
面積あたりの重量減少で耐食性を評価した。図2に全て
の試料の耐食性試験の結果を示す。No.1,2の試料に
ついては耐食性の高いコーティング膜が表面を保護し、
ほとんど重量減少が起こらず、耐食性に優れていること
がわかる。
【0044】さらに、これらの試料について高温酸化試
験を行った。高温酸化試験の条件としては、大気中の電
気炉加熱で1100℃×16hを10回繰り返した。各
回ごとに脱スケールを行わずに、重量を測定しそのとき
の単位面積あたりの重量減少で耐酸化性を評価した。図
3に全ての試料の高温酸化試験の結果を示す。No.3,
4の試料については酸化が進行し顕著な重量減少がみら
れるのに対して、コーティングを施したNo.1,2の試
料についてはほとんど重量減少が起こらず、耐酸化性に
優れていることがわかる。
【0045】さらに、高温強度を調べるためにクリープ
ラプチャー試験を行った。試験は所定温度に昇温後約2
時間保持し、荷重を負荷して試験を行った。試験条件は
870℃−539.0MPa,940℃−343.0MPa,
1040℃−205.8MPa,1040℃−166.6
MPa,1040℃−137.2MPaとした。結果を
ラーソンミラー曲線に変換して、図4に示す。ラーソン
ミラー曲線は、試験温度と破断時間から求めたラーソン
ミラーパラメータを横軸に、負荷応力を縦軸にとったも
ので、曲線が右側に位置するほど高温強度が高いことを
示している。
【0046】これより、コーティング膜を施したNo.
1,2の試料については耐酸化性,耐食性に加えて、高
温強度にも優れてガスタービン動翼材料に好適であるこ
とがわかる。
【0047】(実施例2)図7は本発明のNi基合金を
用いたガスタービンブレード及びノズルを有するガスタ
ービン装置の回転部分の断面図である。1はタービンス
タブシャフト、3はタービンブレード、5はタービンス
タッキングボルト、8はタービンスペーサ、2はディス
タントピース、10はノズル、6はコンプレッサディス
ク、7はコンプレッサブレード、11はコンプレッサス
タッキングボルト、9はコンプレッサスタブシャフト、
4はタービンディスクである。本発明のガスタービンは
コンプレッサディスク6が17段あり、またタービンブ
レード3が3段のものである。タービンブレードは4段
の場合もあり、いずれにも本発明の合金が適用できる。
【0048】本実施例におけるガスタービンは、主な形
式がヘビーデューティ形,一軸形で、水平分割ケーシン
グ,スタッキング式ロータからなり、圧縮機は17段軸
流形,タービンは3段インパルス形,ブレードおよびノ
ズルの第1段および第2段は空気冷却式で、燃焼器はバ
ースフロー形,16缶,スロットクール方式である。デ
ィスタントピース2,タービンディスク4,スペーサ
8,スタッキングボルト5は重量%で、C0.06〜0.
15%,Si1%以下,Mn1.5 %以下,Cr9.5
〜12.5%,Ni1.5〜2.5%,Mo1.5〜3.0
%,V0.1〜0.3%,Nb0.03〜0.15%,N
0.04〜0.15%,残部Feからなる全焼戻しマルテ
ンサイト鋼が用いられる。
【0049】タービンブレード3は3段式で、初段に実
施例1中の表1,試料No.1の組成をもつNi基単結晶
合金の表面に実施例1に記載のようにNb,Re,C
r,Niの合金膜を形成したNi基合金を用い、タービ
ンブレード3の2段目にはRene80(Cr14%,Co
9.5%,Mo4%,W4%,Al3%,Ti5%,C
0.17%,B0.015%,Zr0.03%,残部Ni)
の多結晶体からなる中空翼を用いた。第3段目には、I
N738(C0.17%,Cr16%,Co8.5%,Mo
1.75%,W2.6%,Nb0.9%,Al3.4%,T
i3.4% ,B0.01%,Ta1.753%,残部N
i)の多結晶体からなる中空翼を用いた。製法は従来の
ロストワックス法による精密鋳造法によった。
【0050】タービンノズルの初段には、上記と同様に
実施例1中の表1,試料No.1の組成をもつNi基単結
晶合金の表面に実施例1に記載のようにNb,Re,C
r,Niの合金膜を形成したNi基合金を用い、第2段
および第3段には既知のCo基合金を用いた。第2段お
よび第3段は従来法により真空精密鋳造によって翼部1
ケからなるものを形成した。本実施例によって、燃焼温
度を従来のものに比べて高くできるため、熱効率が高
く、しかも耐食性,耐酸化性に優れるガスタービンが得
られる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば高温強度ならびに耐酸化
性,耐食性に優れるNi基合金をガスタービン動翼,ノ
ズルに適用できるため、熱効率が高く、かつ長期にわた
り信頼性の高いガスタービン装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分子軌道法により求めた各元素の耐食性に対す
る寄与を示す図。
【図2】分子軌道法により求めた各元素の耐酸化性に対
する寄与を示す図。
【図3】EPMAによる試料の組成分析結果。
【図4】耐食性試験の結果。
【図5】高温酸化試験の結果。
【図6】ラーソンミラー曲線に基づく高温強度試験の結
果。
【図7】本発明の実施例であるガスタービン装置の断面
を示す図。
【符号の説明】
1…タービンスタブシャフト、2…ディスタントピー
ス、3…タービンブレード、4…タービンディスク、5
…タービンスタッキングボルト、6…コンプレッサディ
スク、7…コンプレッサブレード、8…タービンスペー
サ、9…コンプレッサスタブシャフト、10…ノズル、
11…コンプレッサスタッキングボルト。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Nb5.0〜40.0%を含み、
    かつRe,Cr及び残部不可避の不純物とNiからなる
    合金薄膜を有することを特徴とするNi基合金。
  2. 【請求項2】重量%で、Cr10.0〜40.0%,Nb
    10.0〜40.0%,Re10.0〜40.0 %及び残
    部不可避の不純物とNiからなる合金薄膜を有すること
    を特徴とするNi基合金。
  3. 【請求項3】重量%で、Al4.0〜6.0%,W2.0
    〜13.0%,Ta2.0〜9.0%,Mo6.0 %以下
    及び残部不可避の不純物とNiからなるNi基合金の表
    面にNb,Re,Cr及びNiからなる合金薄膜を有す
    ることを特徴とするNi基合金。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載のNi基合金におい
    て、 前記Ni基合金が、重量%で、Al4.0〜6.0%,W
    2.0〜13.0%,Ta2.0〜9.0%,Mo6.0 %
    以下、及び残部不可避の不純物とNiからなることを特
    徴とするNi基合金。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のNi基合
    金において、 前記合金薄膜の膜厚が100μm以下であることを特徴
    とするNi基合金。
  6. 【請求項6】重量%でAl4.0〜6.0%,W2.0〜
    13.0%,Ta2.0〜9.0%,Mo6.0 %以下及
    び残部不可避の不純物とNiからなるNi基合金の表面
    に、重量%でNb5.0〜40.0%,Re10.0〜4
    0.0%,Cr10.0〜40.0%及び残部不可避の不純物
    とNiからなる合金薄膜を有することを特徴とするNi
    基合金。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のNi基合
    金において、 前記合金薄膜中のNb,Re,Crの含有量が、外部環
    境に接する表面よりNi基合金側へいくに従い単調に減
    少していることを特徴とするNi基合金。
  8. 【請求項8】重量%でAl4.0〜6.0%,W2.0〜
    13.0%,Ta2.0〜9.0%,Mo6.0 %以下及
    び残部不可避の不純物とNiからなるNi基合金におい
    て、Nb,Re,Cr及びNiからなる合金薄膜を2層
    以上有し、かつ前記2層以上の合金薄膜の各層が異なる
    合金組成を有することを特徴とするNi基合金。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載のNi基合
    金において、 前記Ni基合金が一方向凝固させてできる実質的に結晶
    粒界を有しないNi基単結晶鋳造物であることを特徴と
    するNi基合金。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載のNi基
    合金を用いた、高温ガスの衝突する翼部,高温ガスをシ
    ールするプラットフォーム部とシールフィン、前記両部
    を支持するシャンク部およびディスクに植設する役目を
    もつダブテール部とを有するガスタービンブレード。
  11. 【請求項11】請求項1〜9のいずれかに記載のNi基
    合金を用いた、ガスタービンノズル。
  12. 【請求項12】コンプレッサにより圧縮された空気と燃
    料との混合ガスを燃焼させ、その高温ガスをガスタービ
    ンノズルを通し、複数のディスクに各々植設された請求
    項10記載のガスタービンブレードに衝突させて該ブレ
    ードを回転させるガスタービン。
  13. 【請求項13】Ni基合金表面に、イオンビームデポジ
    ション法により重量%で、Nb5.0〜40.0 %を含
    み、かつRe,Cr及び残部不可避の不純物とNiから
    なる合金薄膜を形成することを特徴とするNi基合金の
    製造法。
  14. 【請求項14】Ni基合金表面に、イオン注入法により
    重量%で、Nb5.0〜40.0%を含み、かつRe,C
    r及び残部不可避の不純物とNiからなる合金薄膜を形
    成することを特徴とするNi基合金の製造法。
  15. 【請求項15】Ni基合金表面に、高周波スパッタ法に
    より、重量%で、Nb5.0〜40.0%を含み、かつR
    e,Cr及び残部不可避の不純物とNiからなる合金薄
    膜を形成することを特徴とするNi基合金の製造法。
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