JPH08127406A - コイル状物の保管搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 収納保管スペースの全体を有効に活用してコ
イル状物を簡単なハンドリングで搬入，保管，搬出作業
できる保管搬送装置を提供すること。 【構成】 コイルを積層して保管する収納ユニットに、
コイルを搭載するレストアームとこれを連動させるシフ
タを備え、空きの状態ではコイルの降下域を避けた姿勢
にレストアームを立ち上げておき、コイルの降下時のシ
フタの下向きへの回動に連動してレストアームが降下し
ていくコイルの上に被さるように回動させて水平姿勢に
設定可能とし、上に積層するコイルの受けをこのレスト
アームによって構成する。また、コイルを搬出するとき
には、コイルの負荷がレストアームからなくなり、レス
トアームは退避姿勢に戻って下層のコイルの搬出のため
の通路を開く。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、たとえば線材やストリ
ップ等をコイル状に巻いた物を簡単なハンドリングで保
管及び搬送できしかも保管スペースの大幅な有効活用が
可能なコイル状物の保管搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】線材や鋼板ストリップ等は、工場出荷す
るためにコイル状に巻いたものをその最終製品とする場
合が多い。そして、このコイルは、出荷に備えて保管場
所に収納され、客先からの要求に応じてそれぞれ搬出さ
れて出荷される。

【０００３】このようなコイルの収納保管には、その他
の製品の収納と同様にたとえばスタッカークレーン及び
ラックを備えた立体自動倉庫が利用される。この立体自
動倉庫では、床に直に平置きしたり専用の棚に載せて保
管するという旧来からの方式に比べると、保管スペース
やハンドリング等の点で有利である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、スタッカク
レーン及びラックの設備は、高層のラックを少なくとも
２棟配置し、この棟の間をスタッカクレーンの走行空間
とするというものである。このため、スタッカクレーン
が走行するラックとラックとの間は、収納空間としては
活用できない。すなわち、保管位置への製品等の出し入
れのためのスタッカクレーンの占有空間となるだけで、
保管効率の面からみると問題がある。

【０００５】また、スタッカクレーンとラックの組合せ
では、一つのラックに対する収納物の取り扱いを終了し
てスタッカクレーンを走行させて他のラックとの間での
収納物のやり取りをする操作となる。このため、作業時
間の中でスタッカクレーンの走行時間が占める割合が大
きくなり、作業効率の向上にも限界がある。

【０００６】このように、スタッカクレーンとラックに
よる自動倉庫では、敷地面積の有効利用や作業性の面で
改善すべき点がある。

【０００７】本発明において解決すべき課題は、収納保
管スペースの全体を有効に活用してコイル状物を簡単な
ハンドリングで搬入，保管，搬出作業できる保管搬送装
置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、保管ヤードに
配列した複数の収納ユニットと、これらの収納ユニット
の配列領域の上方で移動し各収納ユニットに位置合わせ
可能としたトロリとを備え、前記収納ユニットは、上下
に間隔を置いて複数組み配列され上下方向に揺動自在な
コイル搭載用のレストアームと、前記レストアームの下
方に位置して同様に上下方向に揺動自在なシフタと、前
記レストアームを前記コイルの下降域と干渉しないよう
に立ち上げ姿勢に回動させる付勢手段と、前記レストア
ーム及びシフタの基端どうしを連接する連接材とを備
え、前記シフタは前記コイルが下降するときにその周面
に当接して下向きに回動し、前記レストアームは前記シ
フタの回動に連動してほぼ水平姿勢まで回動可能として
なることを特徴とする。

【０００９】また、トロリは、ほぼ鉛直軸周りで回転可
能な旋回テーブルと、この旋回テーブルに連接されコイ
ルの中空芯に係合離脱可能な吊り具とを備え、吊り具
を、収納ユニットに保管するコイルの積層個数に等しい
かそれよりも多く旋回テーブルの芯周りに配列し、旋回
テーブルの回動によって吊り具のそれぞれを収納ユニッ
トに位置合わせ可能な構成とすることもできる。

【００１０】

【作用】コイルを収納ユニットに収めるときにトロリか
らコイルを下降させるとき、空の状態ではレストアーム
はコイルの下降に干渉しない位置に待機しているので、
コイルはレストアーム部分を通過してシフタに突き当た
るようになる。このため、シフタは下に回動して連接材
を介してレストアームを回転させ、レストアームは下降
していくコイルの上側から被さるように動いて水平姿勢
に保持される。

【００１１】このようなレストアームとシフタとの連動
関係により、これらを順に上下に配列した収納ユニット
とすれば、コイルを下降させて最下段にコイルをセット
すればこれに連動してレストアームを下から２段目のコ
イルの搭載面として準備することができる。したがっ
て、コイルを下降搬入する動作に合わせてレストアーム
をコイルの搭載部として設定できる。

【００１２】また、コイルを搬出するときも、上段側か
ら順にコイルを引き上げる操作によって、レストアーム
を退避姿勢に設定でき、収納ユニット側を操作すること
なくコイルの動きに合わせて搬出が可能となる。

【００１３】更に、トロリに旋回テーブルを設けてこれ
に積層個数のコイルに等しいかそれ以上の吊り具を回転
芯周りに設けておけば、旋回テーブルを回転させること
で各吊り具を収納ユニットに位置合わせすることができ
る。このため、一つの収納ユニットに対してコイルを搬
入・搬出するときには、旋回テーブルの回転動作だけで
それぞれのコイルに対応でき、トロリを移動させたりす
る等の操作は不要となる。

【００１４】

【実施例】図１は本発明の保管搬送装置の概要を示す正
面図、図２は全体の概要を示す平面図、図３は図１のＡ
−Ａ線矢視位置での拡大図である。

【００１５】図において、上下に４段積みしたコイルＣ
の積層ユニットを幅方向に合計８列とした保管ヤードを
備え、この保管ヤードの幅方向の両端に敷設したレール
１ａ上を走行する門型の走行クレーン１を設け、この走
行クレーン１には保管ヤードの幅方向に移動可能なトロ
リ２を積載する。

【００１６】トロリ２はモータ２ａによって駆動され、
その下側には旋回テーブル２ｂを鉛直軸周りに回転可能
に設ける。この旋回テーブル２ｂはほぼ正方形の平面形
状を持ち、適切なベアリング構造によってその中心周り
に旋回モータ２ｃにより旋回可能に連接したものであ
る。

【００１７】図４はトロリ２及び走行クレーン１を示す
平面図、図５はその正面拡大図である。

【００１８】旋回テーブル２ｂには、合計４個の吊り具
３を昇降可能に設ける。これらの吊り具３は、図６の部
分拡大正面図に示すように、下に凹となる吊りビーム３
ａにプーリ３ｂを設け、このプーリ３ｂを介して吊りビ
ーム３ａをワイヤ３ｃによって旋回テーブル２ｂから吊
り下げたものである。そして、ワイヤ３ｃは旋回テーブ
ル２ｂに組み込んだホイスト３ｄに連接され、このホイ
スト３ｄによって吊りビーム３ａを昇降駆動する。

【００１９】吊りビーム３ａの両端部から下に延びる２
本のアーム３ｅの下端部には、図６に示すようにフック
３ｆを設ける。このフック３ｆは、吊りビーム３ａ側に
設けたシリンダ３ｇに連接され、図中の実線の姿勢から
アーム３ｅの中に収まる位置までの間で回動可能とした
ものである。

【００２０】また、各吊り具３は、旋回テーブル２ｂに
対して吊りビーム３ａをその幅方向周りに回転できるよ
うに連接する。すなわち、図４に示すように、全ての吊
り具３の吊りビーム３ａはその幅方向をトロリ２の走行
方向に一致した姿勢となっているが、この姿勢から時計
方向又は反時計方向に９０°ずつ回転してその姿勢を変
更可能な機構を備えるものとする。なお、このような吊
り具３の旋回は、従来の吊り具においても広く利用され
ているように電動モータや空気圧シリンダを利用するこ
とによって可能である。

【００２１】保管ヤードの床には、上下に４段のコイル
Ｃを積層して保管するための、収納ユニット４を配列す
る。この収納ユニット４は、保管ヤードの幅方向に合計
６列配置され、長手方向に一定のピッチで多数設置した
ものであり、その正面図及び左側面図をそれぞれ図７及
び図８に示す。

【００２２】収納ユニット４は、幅方向に間隔を開けて
配置した２本のポスト４ａをそれぞれの上端を連結し合
って鉛直姿勢に立ち上げ、これらのポスト４ａによって
上下に４段のコイルＣを積層保管可能としたものであ
る。

【００２３】このコイルＣの積層のため、ポスト４ａの
それぞれには上下に３段のレストアーム５を上下に揺動
可能に連接する。このレストアーム５はその基端を枢軸
５ｂによってポスト４ａに連接され、水平姿勢としたと
きには長手方向に隣接している収納ユニット４のポスト
４ａに設けたストッパ４ｂに保持され、図示の姿勢に維
持される。なお、レストアーム５の上面側にはコイルＣ
の周面を受けるための一対のパッド５ａを設ける。

【００２４】レストアーム５の基端部にはクランク５ｃ
を一体に設け、このクランク５ｃの先端にはポスト４ａ
との間に架け渡した引張りのスプリング６を連接し、レ
ストアーム５を図７において枢軸５ｂ周りで反時計方向
に付勢する。また、レストアーム５の下方には、シフタ
７を上下に揺動可能に枢軸７ａによってポスト４ａに連
接し、コネクティングロッド８を介してこのシフタ７の
基端とクランク５ｃとの間を連接する。このコネクティ
ングロッド８はその中間部に伸縮継手８ａを設けたもの
であり、その軸線長さを或る範囲で変えることができ
る。

【００２５】ここで、コイルＣを収納していない空の状
態では、レストアーム５はスプリング６による付勢力に
よって、図７において一点鎖線で示すように真っ直ぐに
立ち上がった姿勢をとり、コイルＣを長手方向に隣接し
合うポスト４ａどうしの間の収納ユニット４の中に落と
し込める状態となる。また、レストアーム５の動きに連
動してシフタ７も図中の一点鎖線の姿勢となり、その先
端が少し上向きの姿勢であって収納ユニット４の中に突
き出た状態となる。

【００２６】以上の構成において、各収納ユニット４に
対するコイルＣの搬入及び搬出は走行クレーン１の移
動，トロリ２の走行及び吊り具３の昇降動作によって行
われる。

【００２７】ここで、図７において、収納ユニット４の
中が空であってここにコイルＣを搬入するときの各部材
の動作は次のとおりである。

【００２８】収納ユニット５が空のときは、先に説明し
たように、レストアーム５及びシフタ７は図７において
一点鎖線の姿勢にある。このため、吊り具３に保持した
コイルＣを下降させていくと、最上段のシフタ７にコイ
ルＣの下端側の周面が突き当たり、コイルＣの下降によ
ってシフタ７は枢軸７ａ周りに時計方向に回動する。そ
して、シフタ７の回動と一体となってレストアーム５も
時計方向に回動していき、その先端がストッパ４ｂに当
たって水平姿勢に保持される。

【００２９】コイルＣが更に下降していき、下から２段
目のレストアーム５のレベルを通過する期間でも、コイ
ルＣはシフタ７を下に押す。このとき、シフタ７を連接
しているコネクティングロッド８には伸縮継手８ａを備
えているので、固定点となっているクランク５ｃとの連
接部に対してシフタ７の連接点の位置を上に移動させる
ことができる。したがって、シフタ７は更に時計方向に
回動してコイルＣの通過に抵抗を与えずにその移動を許
す。

【００３０】コイルＣがシフタ７を通り抜けると、スプ
リング６の復元力によって、レストアーム５及びシフタ
７は図中の一点鎖線の姿勢に戻る。

【００３１】下から２段目のレストアーム５及びシフタ
７も同様に動作し、最下段までコイルＣが下降してしま
うと、図中の実線で示すように、シフタ７が下に押され
た姿勢であってレストアーム５はストッパ４ｂに保持さ
れた水平の姿勢に、コイルＣ自身の荷重を利用して設定
される。

【００３２】このように、最下段にコイルＣが投下され
ると、その上にレストアーム５が水平に設定され、次に
投下するコイルＣの搬入に備えることができ、下段から
順に合計４個のコイルＣを収納ユニット４に収納するこ
とが可能となる。

【００３３】また、４段積みしたコイルＣを搬出すると
きには、吊り具３を最上段のコイルＣのレベルに合わせ
て下降させ、フック３ｆをコイルＣの中空芯Ｃ−１に合
わせる。そして、シリンダ３ｇによってフック３ｆを図
６に示す姿勢に設定し、このフック３ｆを中空芯Ｃ−１
の中に差し込んでコイルＣに掛かるようにする。

【００３４】この後、吊り具３を上昇させることによっ
て、最上段のコイルＣがトロリ２側に回収される。この
とき、コイルＣの上昇によるレストアーム５への負荷の
減少により、スプリング６の付勢力によってレストアー
ム５は水平姿勢から図７の一点鎖線で示す起立姿勢へと
移行する。したがって、搭載していたコイルＣによる重
量負荷がなければ、レストアーム５はポスト４ａに沿う
姿勢に退避し、下段のコイルＣの搬出のための通路を開
くようになる。

【００３５】以上のように、コイルＣを搭載していない
レストアーム５は常にその下方の収納空間を開く状態に
設定され、コイルＣを搬入していくときはその負荷によ
ってレストアーム５がコイルＣの降下に連動して搭載姿
勢に設定することができる。したがって、収納ユニット
４の中で鉛直方向でのコイルＣを多段積みでき、パレッ
トやラック等を一切必要としない収納保管が可能とな
る。

【００３６】ここで、一つの収納ユニット４には４個の
コイルＣが保管され、搬入・搬出に際しては走行クレー
ン１及びトロリ２の移動を制御して吊り具３の位置を決
める。この場合、収納ユニット４の位置は一定であるか
ら、トロリ２の旋回テーブル２ｂの一つの吊り具３を対
象となる収納ユニット４に位置合わせさえしておけば、
旋回テーブル２ｂを９０°ずつ回転させることで、トロ
リ２を移動させることなくハンドリングできる。

【００３７】すなわち、たとえば、図４において右側下
の吊り具３が収納ユニット４に対応しているものとした
とき、この右側下の吊り具３によって最上段のコイルＣ
を回収した後、旋回テーブル２ｂを時計方向に９０°回
転させれば、図において右側上に位置している吊り具３
を収納ユニット４の位置に合わせることができる。そし
て、この吊り具３自身の姿勢を図３に示すように旋回し
て変更すれば、収納ユニット４の中の下から３段目のコ
イルＣを架けて回収することができる。

【００３８】以降，２下から２段目及び最下段のコイル
Ｃもそれぞれ旋回テーブル２ｂを９０°ずつ回転させて
空いている吊り具３を利用して回収することができる。
また、コイルＣを搬入する場合も同様の要領で行うこと
ができ、旋回テーブル２ｂの旋回動作だけで４個のコイ
ルＣのハンドリングが可能となり、トロリ２及び走行ク
レーン１を移動させることなく短時間で４個のコイルＣ
の搬入・搬出が行える。

【００３９】更に、コイルＣを全て真上からの操作によ
ってハンドリングできるので、図２に示すように、保管
ヤードの全体をコイルＣの収納スペースとすることがで
きる。したがって、スタッカクレーンを利用した倉庫に
比べると、床面積を最大限に利用したコイルＣの収納保
管が可能となり、省スペースの課題も解消される。

【００４０】

【発明の効果】本発明では、保管ヤードに収納ユニット
の列だけを配置した設備とすることができるので、従来
のスタッカクレーン等に比べると床面積を有効に利用し
た収納保管が可能となり、保管ヤード用の建屋が小型化
され、設備費の削減が可能となる。

【００４１】また、収納ユニットには何ら駆動部を必要
とせずにコイルの上昇及び下降の動作に合わせてレスト
アームによる搭載面の構築及び退避姿勢への設定が可能
なため、収納ユニットの構成も簡単になり、保守点検も
しやすくなる。

【００４２】更に、トロリに旋回テーブルを設けて複数
の吊り具を各収納ユニット毎に対応させる操作によっ
て、トロリを移動させたりすることなくコイルの搬入・
搬出動作ができるので、操作時間が短くなり効率的な処
理が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の保管搬送装置の全体概略を示す正面
図である。

【図２】 図１の保管搬送装置の全体の平面図である。

【図３】 図１のＡ−Ａ線矢視位置であって収納ユニッ
トと吊り具との位置関係を示す図である。

【図４】 走行クレーン及びトロリを示す平面図であ
る。

【図５】 走行クレーンの要部を示す正面図である。

【図６】 吊り具の要部を示す部分正面図である。

【図７】 収納ユニットの詳細を示す図である。

【図８】 図７の左側面図である。

【符号の説明】

１ 走行クレーン ２ トロリ ２ａ モータ ２ｂ 旋回テーブル ２ｃ 旋回モータ ３ 吊り具 ３ａ 吊りビーム ３ｃ ワイヤ ３ｄ ホイスト ３ｅ アーム ３ｆ フック ４ 収納ユニット ４ａ ポスト ４ｂ ストッパ ５ レストアーム ５ｃ クランク ６ スプリング ７ シフタ ８ コネクティングロッド ８ａ 伸縮継手 Ｃ コイル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 保管ヤードに配列した複数の収納ユニッ
   トと、これらの収納ユニットの配列領域の上方で移動し
   各収納ユニットに位置合わせ可能としたトロリとを備
   え、前記収納ユニットは、上下に間隔を置いて複数組み
   配列され上下方向に揺動自在なコイル搭載用のレストア
   ームと、前記レストアームの下方に位置して同様に上下
   方向に揺動自在なシフタと、前記レストアームを前記コ
   イルの下降域と干渉しないように立ち上げ姿勢に回動さ
   せる付勢手段と、前記レストアーム及びシフタの基端ど
   うしを連接する連接材とを備え、前記シフタは前記コイ
   ルが下降するときにその周面に当接して下向きに回動
   し、前記レストアームは前記シフタの回動に連動してほ
   ぼ水平姿勢まで回動可能としてなるコイル状物の保管搬
   送装置。
2. 【請求項２】 前記トロリは、ほぼ鉛直軸周りで回転可
   能な旋回テーブルと、該旋回テーブルに連接され前記コ
   イルの中空芯に係合離脱可能な吊り具とを備え、前記吊
   り具を、前記収納ユニットに保管するコイルの積層個数
   に等しいかそれよりも多く前記旋回テーブルの芯周りに
   配列し、前記旋回テーブルの回動によって前記吊り具の
   それぞれを前記収納ユニットに位置合わせ可能としてな
   る請求項１記載のコイル状物の保管搬送装置。