JPH08120371A - 疲労亀裂伝播特性に優れたNearβ型高強度Ti合金材料 - Google Patents
疲労亀裂伝播特性に優れたNearβ型高強度Ti合金材料Info
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- JPH08120371A JPH08120371A JP18437095A JP18437095A JPH08120371A JP H08120371 A JPH08120371 A JP H08120371A JP 18437095 A JP18437095 A JP 18437095A JP 18437095 A JP18437095 A JP 18437095A JP H08120371 A JPH08120371 A JP H08120371A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 これまで開発されたTi合金よりも疲労亀裂
伝播特性を更に改善し、しかもエンジンの材料として要
求される各種機械的特性をも備え、特にファン・ディス
クの素材として最適なNearβ型Ti合金材料を提供
する。 【解決手段】 Al:4.5〜5.5%,Sn:1.5
〜2.5%,Zr:3.5〜4.5%,Cr:2.5〜
3.5%,Mo:2.5〜3.5%を夫々含有し、残部
がTiおよび不可避不純物からなる。
伝播特性を更に改善し、しかもエンジンの材料として要
求される各種機械的特性をも備え、特にファン・ディス
クの素材として最適なNearβ型Ti合金材料を提供
する。 【解決手段】 Al:4.5〜5.5%,Sn:1.5
〜2.5%,Zr:3.5〜4.5%,Cr:2.5〜
3.5%,Mo:2.5〜3.5%を夫々含有し、残部
がTiおよび不可避不純物からなる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航空機用ジェット
エンジンや航空機々体部品に適用して航空機の軽量化を
達成することのできるNearβ型高強度Ti合金材料
に関するものであり、特に該合金の疲労亀裂伝播特性を
向上させることによって、航空機用ジェットエンジンの
ファン・ディスクへの適用を可能にしたNearβ型高
強度Ti合金材料に関するものである。
エンジンや航空機々体部品に適用して航空機の軽量化を
達成することのできるNearβ型高強度Ti合金材料
に関するものであり、特に該合金の疲労亀裂伝播特性を
向上させることによって、航空機用ジェットエンジンの
ファン・ディスクへの適用を可能にしたNearβ型高
強度Ti合金材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Ti合金は、比強度、破壊靭性および耐
熱性等に優れた特性を有していることから、航空機用材
料として重要な位置を占めており、その使用量も益々増
加する傾向にある。特に航空機の軽量化への要求から、
板材等の非回転構造物に限らず、ジェットエンジンのフ
ァン・ディスクやコンプレッサー・ディスク等の回転構
造物にも実施されている。
熱性等に優れた特性を有していることから、航空機用材
料として重要な位置を占めており、その使用量も益々増
加する傾向にある。特に航空機の軽量化への要求から、
板材等の非回転構造物に限らず、ジェットエンジンのフ
ァン・ディスクやコンプレッサー・ディスク等の回転構
造物にも実施されている。
【0003】上記ファン・ディスクとして適用される高
強度Ti合金としては、Nearβ型Ti合金が知られ
ており(例えば、「ジェットエンジンとチタン合金」、
チタニウム協会創立30周年記念国際シンポジウム、19
82年、第181 〜189 頁)、このNearβ型高強度Ti
合金は、主として高強度と高疲労特性が要求されるファ
ン・ディスクの素材に適したTi合金であると言われて
いる。
強度Ti合金としては、Nearβ型Ti合金が知られ
ており(例えば、「ジェットエンジンとチタン合金」、
チタニウム協会創立30周年記念国際シンポジウム、19
82年、第181 〜189 頁)、このNearβ型高強度Ti
合金は、主として高強度と高疲労特性が要求されるファ
ン・ディスクの素材に適したTi合金であると言われて
いる。
【0004】航空機用ジェットエンジンに適用されてい
るNearβ型Ti合金としては、具体的には、Ti−
6Al−2Sn−4Zr−6Mo(以下「Ti−6−2
−4−6」と略称する)やTi−5Al−2Sn−2Z
r−4Cr−4Mo(通称「Ti−17」、以下「Ti
−5−2−2−4−4」と略称する)等が知られてい
る。上記Nearβ型Ti合金のうち、前者は1966年に
(例えば、「チタン合金に於ける最近の進歩」、チタニ
ウム協会創立30周年記念国際シンポジウム、1982年、
第161 〜170 頁)、後者は1970年代前半に(例えば、
「Beta Titaniumu Alloys in the 80's 」,A publicat
ion of The Metallurgical Society of AIME(1983),第
239 〜255 頁)開発されたものであり、夫々プラット・
アンド・ホイットニー社(P&WA社)およびジェネラ
ル・エレクトリック社(GE社)のエンジンとして実用
化されている。
るNearβ型Ti合金としては、具体的には、Ti−
6Al−2Sn−4Zr−6Mo(以下「Ti−6−2
−4−6」と略称する)やTi−5Al−2Sn−2Z
r−4Cr−4Mo(通称「Ti−17」、以下「Ti
−5−2−2−4−4」と略称する)等が知られてい
る。上記Nearβ型Ti合金のうち、前者は1966年に
(例えば、「チタン合金に於ける最近の進歩」、チタニ
ウム協会創立30周年記念国際シンポジウム、1982年、
第161 〜170 頁)、後者は1970年代前半に(例えば、
「Beta Titaniumu Alloys in the 80's 」,A publicat
ion of The Metallurgical Society of AIME(1983),第
239 〜255 頁)開発されたものであり、夫々プラット・
アンド・ホイットニー社(P&WA社)およびジェネラ
ル・エレクトリック社(GE社)のエンジンとして実用
化されている。
【0005】ところで航空機用ジェットエンジンの設計
上必要とされる機械的性質は、引張強度、疲労強度(高
サイクル疲労強度、低サイクル疲労強度等)、クリープ
強度、破壊靭性値および疲労亀裂伝播特性等様々である
が、前記ファン・ディスクは高速回転と停止が繰り返し
行われるので、疲労強度と疲労亀裂伝播特性が特に重要
である。
上必要とされる機械的性質は、引張強度、疲労強度(高
サイクル疲労強度、低サイクル疲労強度等)、クリープ
強度、破壊靭性値および疲労亀裂伝播特性等様々である
が、前記ファン・ディスクは高速回転と停止が繰り返し
行われるので、疲労強度と疲労亀裂伝播特性が特に重要
である。
【0006】一方、Ti合金のミクロ組織は、等軸α組
織や針状α組織等が知られているが、ジェットエンジン
のファン・ディスクや低温のコンプレッサー・ディスク
に適用されるTi合金には、全てミクロ組織が等軸α組
織のものが用いられている。延性や低サイクル疲労強度
は、等軸α組織の方が針状α組織よりも優れているのに
対し、クリープ強度や破壊靭性値は針状α組織の方が等
軸α組織よりも優れていることが知られている。そし
て、ジェットエンジンは離陸の際にディスクに塑性歪を
起こす可能性があり、ファン・ディスク等にはクリープ
強度や破壊靭性値よりもむしろ低サイクル疲労強度が重
要であることから(例えば、前記「チタン合金に於ける
最近の進歩」)、ファン・ディスク等には等軸α組織の
Ti合金が用いられているのである。
織や針状α組織等が知られているが、ジェットエンジン
のファン・ディスクや低温のコンプレッサー・ディスク
に適用されるTi合金には、全てミクロ組織が等軸α組
織のものが用いられている。延性や低サイクル疲労強度
は、等軸α組織の方が針状α組織よりも優れているのに
対し、クリープ強度や破壊靭性値は針状α組織の方が等
軸α組織よりも優れていることが知られている。そし
て、ジェットエンジンは離陸の際にディスクに塑性歪を
起こす可能性があり、ファン・ディスク等にはクリープ
強度や破壊靭性値よりもむしろ低サイクル疲労強度が重
要であることから(例えば、前記「チタン合金に於ける
最近の進歩」)、ファン・ディスク等には等軸α組織の
Ti合金が用いられているのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記ファン・ディスク
に必要な上記機械的性質のうち、とりわけ疲労亀裂伝播
特性は近年頓に重要視される様になってきっている。即
ち、航空機の運行中にエンジンに亀裂部分が発生して
も、その進行速度が非常に遅ければ(即ち、疲労亀裂伝
播速度が小さければ)、エンジンの稼働中に破壊が完全
に終了するに至らずに済み、点検中に前記亀裂を発見し
てその部分の取り替えや修理を行なうことによって、大
きな事故を未然に防げるのである。
に必要な上記機械的性質のうち、とりわけ疲労亀裂伝播
特性は近年頓に重要視される様になってきっている。即
ち、航空機の運行中にエンジンに亀裂部分が発生して
も、その進行速度が非常に遅ければ(即ち、疲労亀裂伝
播速度が小さければ)、エンジンの稼働中に破壊が完全
に終了するに至らずに済み、点検中に前記亀裂を発見し
てその部分の取り替えや修理を行なうことによって、大
きな事故を未然に防げるのである。
【0008】これまでファン・ディスクの素材として開
発・実用化されてきた前記Ti合金は、その実用化に際
して広範な機械的性質が検討されたのは当然予想される
が、疲労亀裂伝播特性については十分に検討されたかど
うかは甚だ疑問である。即ち、疲労亀裂伝播特性が合金
材料において非常に重要な機械的性質であると認識され
る様になったのは、疲労伝播速度を破壊力学的パラメー
ターである応力拡大係数ΔKで記述できる可能性が示さ
れた1963年(例えば、「P.C.Paris & F.Erdogan 」,Tr
ans.ASME,Vol.85-D(1963), P528)以後であり、この研
究報告が、多くの研究者によって確認され且つ広く支持
される様になるまでに相当の歳月を費やしたのは明らか
であり、その時期は前記各Ti合金が開発・実用化され
るよりも後であることは十分予想される。ちなみに、疲
労亀裂伝播特性の指標となる疲労亀裂伝播速度の測定法
がASTMに規格化されたのは、1978年に至ってからの
ことである(例えば、「Standard Test Method for Mea
suremout of Fatigue Crack Growth Rates」,Designati
on; E647-93,P679〜706 )。このことは、これまで開発
・実用化された上記各Ti合金は、疲労亀裂伝播特性に
ついては余り考慮されていなかったことを示唆するもの
である。
発・実用化されてきた前記Ti合金は、その実用化に際
して広範な機械的性質が検討されたのは当然予想される
が、疲労亀裂伝播特性については十分に検討されたかど
うかは甚だ疑問である。即ち、疲労亀裂伝播特性が合金
材料において非常に重要な機械的性質であると認識され
る様になったのは、疲労伝播速度を破壊力学的パラメー
ターである応力拡大係数ΔKで記述できる可能性が示さ
れた1963年(例えば、「P.C.Paris & F.Erdogan 」,Tr
ans.ASME,Vol.85-D(1963), P528)以後であり、この研
究報告が、多くの研究者によって確認され且つ広く支持
される様になるまでに相当の歳月を費やしたのは明らか
であり、その時期は前記各Ti合金が開発・実用化され
るよりも後であることは十分予想される。ちなみに、疲
労亀裂伝播特性の指標となる疲労亀裂伝播速度の測定法
がASTMに規格化されたのは、1978年に至ってからの
ことである(例えば、「Standard Test Method for Mea
suremout of Fatigue Crack Growth Rates」,Designati
on; E647-93,P679〜706 )。このことは、これまで開発
・実用化された上記各Ti合金は、疲労亀裂伝播特性に
ついては余り考慮されていなかったことを示唆するもの
である。
【0009】本発明はこうした技術的背景の下になされ
たものであって、その目的は、これまで開発されたTi
合金よりも疲労亀裂伝播特性を更に改善し、しかもエン
ジンの材料として要求される基本的な各種機械的特性を
も備え、特にファン・ディスクの素材として最適なNe
arβ型高強度Ti合金材料を提供することにある。
たものであって、その目的は、これまで開発されたTi
合金よりも疲労亀裂伝播特性を更に改善し、しかもエン
ジンの材料として要求される基本的な各種機械的特性を
も備え、特にファン・ディスクの素材として最適なNe
arβ型高強度Ti合金材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すること
のできた本発明のNearβ型高強度Ti合金材料は、
Al:4.5〜5.5%,Sn:1.5〜2.5%,Z
r:3.5〜4.5%,Cr:2.5〜3.5%,M
o:2.5〜3.5%を夫々含有し、残部がTiおよび
不可避不純物からなる点に要旨を有するものである。
のできた本発明のNearβ型高強度Ti合金材料は、
Al:4.5〜5.5%,Sn:1.5〜2.5%,Z
r:3.5〜4.5%,Cr:2.5〜3.5%,M
o:2.5〜3.5%を夫々含有し、残部がTiおよび
不可避不純物からなる点に要旨を有するものである。
【0011】本発明のTi合金材料は、ファン・ディス
クの素材としての適用を考慮してなされたものであるの
で、そのミクロ組織は前記した理由から等軸α組織であ
る。また本発明のTi合金材料の疲労亀裂伝播特性をよ
り向上させるという観点からして、Cr含有量(添加
量)は、2.6〜3.4%であることが好ましい。
クの素材としての適用を考慮してなされたものであるの
で、そのミクロ組織は前記した理由から等軸α組織であ
る。また本発明のTi合金材料の疲労亀裂伝播特性をよ
り向上させるという観点からして、Cr含有量(添加
量)は、2.6〜3.4%であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明が完成された経緯に沿っ
て、本発明の作用について説明する。本発明者らは、T
i合金の基本的な合金成分系として「Ti−Al−Sn
−Zr−Cr−Mo」系を選び、疲労亀裂伝播特性の観
点から各合金元素(Al,Sn,Zr,CrおよびM
o)の最適な範囲について種々検討を重ねた。
て、本発明の作用について説明する。本発明者らは、T
i合金の基本的な合金成分系として「Ti−Al−Sn
−Zr−Cr−Mo」系を選び、疲労亀裂伝播特性の観
点から各合金元素(Al,Sn,Zr,CrおよびM
o)の最適な範囲について種々検討を重ねた。
【0013】まず本発明者らは、Mo当量=Mo(%)
+1.6Cr(%)とし、Crが0〜4%で且つMo当
量が6〜10%の範囲内のTi−6Al−2Sn−4Z
r−xCr−yMo系合金(但し、0≦x≦4,2≦y
≦6)について、主に疲労亀裂伝播特性の観点から最適
なCr,Moの範囲について検討した。具体的には、前
記のTi−6−2−4−6の他,Ti−6Al−2Sn
−4Zr−2Cr−3Mo,Ti−6Al−2Sn−4
Zr−2Cr−6Mo,Ti−6Al−2Sn−4Zr
−3Cr−3Mo,Ti−6Al−2Sn−4Zr−4
Cr−2Mo,Ti−6Al−2Sn−4Zr−4Cr
−4Moの各種合金系について比較検討した。
+1.6Cr(%)とし、Crが0〜4%で且つMo当
量が6〜10%の範囲内のTi−6Al−2Sn−4Z
r−xCr−yMo系合金(但し、0≦x≦4,2≦y
≦6)について、主に疲労亀裂伝播特性の観点から最適
なCr,Moの範囲について検討した。具体的には、前
記のTi−6−2−4−6の他,Ti−6Al−2Sn
−4Zr−2Cr−3Mo,Ti−6Al−2Sn−4
Zr−2Cr−6Mo,Ti−6Al−2Sn−4Zr
−3Cr−3Mo,Ti−6Al−2Sn−4Zr−4
Cr−2Mo,Ti−6Al−2Sn−4Zr−4Cr
−4Moの各種合金系について比較検討した。
【0014】疲労亀裂伝播特性を検討するに当たって
は、疲労強度(高サイクル疲労強度、低サイクル疲労強
度)、クリープ強度および破壊靭性値等の機械的特性に
与える影響についても加味して総合的に判断した。尚用
いたTi合金のミクロ組織はいずれも等軸α組織とし、
強度レベルとしては0.2%耐力が約115kgf/mm2 と
なる様に、β変態点温度以下での2回の溶体化処理およ
び時効処理を施した。またTi合金中の酸素含有量は、
ほぼ0.1重量%の一定とし、N,C等の不純物元素は
低いレベルに一定に保った。
は、疲労強度(高サイクル疲労強度、低サイクル疲労強
度)、クリープ強度および破壊靭性値等の機械的特性に
与える影響についても加味して総合的に判断した。尚用
いたTi合金のミクロ組織はいずれも等軸α組織とし、
強度レベルとしては0.2%耐力が約115kgf/mm2 と
なる様に、β変態点温度以下での2回の溶体化処理およ
び時効処理を施した。またTi合金中の酸素含有量は、
ほぼ0.1重量%の一定とし、N,C等の不純物元素は
低いレベルに一定に保った。
【0015】上記と同様にして、Al,SnおよびZr
についても検討した。このとき、Alの効果について
は、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6Moと
Ti−4.5Al−2Sn−4Zr−2Cr−6Moに
ついて比較検討し、SnおよびZrの効果については、
Ti−6−2−4−6を基本系として、Ti−6Al−
1Sn−4Zr−6MoとTi−6Al−2Sn−2Z
r−6Moについて比較検討した。尚Ti−6−2−4
−6以外の比較材として、既述のTi−5−2−2−4
−4についても適宜使用した。
についても検討した。このとき、Alの効果について
は、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6Moと
Ti−4.5Al−2Sn−4Zr−2Cr−6Moに
ついて比較検討し、SnおよびZrの効果については、
Ti−6−2−4−6を基本系として、Ti−6Al−
1Sn−4Zr−6MoとTi−6Al−2Sn−2Z
r−6Moについて比較検討した。尚Ti−6−2−4
−6以外の比較材として、既述のTi−5−2−2−4
−4についても適宜使用した。
【0016】上記の各合金元素の最適範囲の検討の結
果、前記の如く、各合金元素をAl:4.5〜5.5
%,Sn:1.5〜2.5%,Zr:3.5〜4.5
%,Cr:2.5〜3.5%,Mo:2.5〜3.5%
とすれば、希望するTi合金が実現できることを見出
し、本発明を完成した。次に、各合金元素の範囲限定理
由について、更に詳細に説明する。
果、前記の如く、各合金元素をAl:4.5〜5.5
%,Sn:1.5〜2.5%,Zr:3.5〜4.5
%,Cr:2.5〜3.5%,Mo:2.5〜3.5%
とすれば、希望するTi合金が実現できることを見出
し、本発明を完成した。次に、各合金元素の範囲限定理
由について、更に詳細に説明する。
【0017】Al:4.5〜5.5% Alはα相に固溶してα相を強化し、材料の強度を上げ
るのに有効な合金元素である。ところでAlは、Snと
Zrとの関係で、下記(1)式を満足する必要があるこ
とが知られており(前記「Beta Titanium Alloys in th
e 80's」)、この式を満足しないときは、α2 相(Ti
3 Al)という規則相を生じ、脆化の原因になると言わ
れている。 Al当量(%)=Al(%)+1/3Sn(%)+1/6Zr(%) +10×O2 (%)<9 …(1)
るのに有効な合金元素である。ところでAlは、Snと
Zrとの関係で、下記(1)式を満足する必要があるこ
とが知られており(前記「Beta Titanium Alloys in th
e 80's」)、この式を満足しないときは、α2 相(Ti
3 Al)という規則相を生じ、脆化の原因になると言わ
れている。 Al当量(%)=Al(%)+1/3Sn(%)+1/6Zr(%) +10×O2 (%)<9 …(1)
【0018】上記(1)式におけるパラメーターのう
ち、SnおよびZrについては、後述する様に平均的に
2%(1.5〜2.5%)および4%(3.5〜4.5
%)と夫々規定した。従って、上記(1)式からAl
(%)は、<6.67(%)となる。
ち、SnおよびZrについては、後述する様に平均的に
2%(1.5〜2.5%)および4%(3.5〜4.5
%)と夫々規定した。従って、上記(1)式からAl
(%)は、<6.67(%)となる。
【0019】上記の範囲内においてAlの含有量を下げ
ると、破壊靭性値および疲労亀裂伝播特性が良好になる
ことが、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6M
oとTi−4.5Al−2Sn−4Zr−2Cr−6M
oの比較によって明らかであった。しかしながら、Al
の含有量を下げると強度およびクリープ強度が下がるこ
とが、前記Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
MoとTi−4.5Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
Moの比較、およびTi−6Al−2Sn−4Zr−3
Cr−3MoとTi−5Al−2Sn−4Zr−3Cr
−3Moの比較によって明らかであった。またAlの含
有量を上げると、高サイクル疲労にとって不利であるこ
とが、前記Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
MoとTi−4.5Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
Moの比較によって明らかであった。以上の結果から、
特に疲労亀裂伝播特性を良好にしつつ他の機械的特性も
劣化させないAl含有量の範囲としては、4.5〜5.
5%が最適であると判断できた。
ると、破壊靭性値および疲労亀裂伝播特性が良好になる
ことが、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6M
oとTi−4.5Al−2Sn−4Zr−2Cr−6M
oの比較によって明らかであった。しかしながら、Al
の含有量を下げると強度およびクリープ強度が下がるこ
とが、前記Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
MoとTi−4.5Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
Moの比較、およびTi−6Al−2Sn−4Zr−3
Cr−3MoとTi−5Al−2Sn−4Zr−3Cr
−3Moの比較によって明らかであった。またAlの含
有量を上げると、高サイクル疲労にとって不利であるこ
とが、前記Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
MoとTi−4.5Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
Moの比較によって明らかであった。以上の結果から、
特に疲労亀裂伝播特性を良好にしつつ他の機械的特性も
劣化させないAl含有量の範囲としては、4.5〜5.
5%が最適であると判断できた。
【0020】Sn:1.5〜2.5%およびZr:3.
5〜4.5% SnおよびZrは、α相とβ相にほぼ均等に固溶し、合
金の強度を上げるのに有効な合金元素である。SnやZ
rの含有量を下げると、クリープ強度が大きく低下し且
つ強度も低下することが、Ti−6−2−4−6、Ti
−6Al−1Sn−4Zr−6MoおよびTi−6Al
−2Sn−2Zr−6Moの比較によって明らかであっ
た。またSnやZrの含有量を下げても、破壊靭性や疲
労亀裂伝播特性にはそれほど有利には作用しないこと
が、上記と同様の比較によって明らかであった。
5〜4.5% SnおよびZrは、α相とβ相にほぼ均等に固溶し、合
金の強度を上げるのに有効な合金元素である。SnやZ
rの含有量を下げると、クリープ強度が大きく低下し且
つ強度も低下することが、Ti−6−2−4−6、Ti
−6Al−1Sn−4Zr−6MoおよびTi−6Al
−2Sn−2Zr−6Moの比較によって明らかであっ
た。またSnやZrの含有量を下げても、破壊靭性や疲
労亀裂伝播特性にはそれほど有利には作用しないこと
が、上記と同様の比較によって明らかであった。
【0021】以上の実験事実、従来のTi合金Ti−6
−2−4−6におけるSnやZrの含有量、および前記
(1)式を考慮し、SnおよびZrの含有量は平均的に
は夫々2%および4%必要であると判断できた。こうし
たことから、Sn:1.5〜2.5%,Zr:3.5〜
4.5%と規定した。この様に、SnおよびZrの含有
量を、疲労亀裂伝播特性を考慮して決定したことは、本
発明の注目されるべき点である。
−2−4−6におけるSnやZrの含有量、および前記
(1)式を考慮し、SnおよびZrの含有量は平均的に
は夫々2%および4%必要であると判断できた。こうし
たことから、Sn:1.5〜2.5%,Zr:3.5〜
4.5%と規定した。この様に、SnおよびZrの含有
量を、疲労亀裂伝播特性を考慮して決定したことは、本
発明の注目されるべき点である。
【0022】Cr:2.5〜3.5%およびMo:2.
5〜3.5% CrおよびMoは、β相に固溶し、β相を強化するのに
有効な合金元素である。本発明者らは、疲労亀裂伝播特
性および破壊靭性の観点から、Ti−6Al−2Sn−
4Zr−xCr−yMo系におけるCrおよびMoの最
適含有量について検討した。
5〜3.5% CrおよびMoは、β相に固溶し、β相を強化するのに
有効な合金元素である。本発明者らは、疲労亀裂伝播特
性および破壊靭性の観点から、Ti−6Al−2Sn−
4Zr−xCr−yMo系におけるCrおよびMoの最
適含有量について検討した。
【0023】その結果、下記に示す様な知見が得られ
た。まず同じMo当量であっても、Moの単独添加より
もCrとMoとの複合添加の方が、疲労亀裂伝播特性お
よび破壊靭性には有利であることが、Ti−6−2−4
−6とTi−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−3Mo
の比較によって明らかであった。また同じMo添加量で
あっても、Crを添加した方が疲労亀裂伝播特性が良好
である(即ち、疲労亀裂伝播速度が小さい)ことが、T
i−6−2−4−6とTi−6Al−2Sn−4Zr−
2Cr−6Moの比較によって明らかであった。更に、
Cr添加量が同じであっても、Mo添加量が少ない方が
疲労亀裂伝播特性および破壊靭性には有利であること
が、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6Moと
Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−3Moの比較
によって明らかであった。一方Cr添加量が4%にもな
ると、疲労亀裂伝播特性が急激に悪化し、且つ破壊靭性
も大きく低下することが、Ti−6Al−2Sn−4Z
r−4Cr−4MoとTi−6Al−2Sn−4Zr−
4Cr−2Moによって明らかであった。
た。まず同じMo当量であっても、Moの単独添加より
もCrとMoとの複合添加の方が、疲労亀裂伝播特性お
よび破壊靭性には有利であることが、Ti−6−2−4
−6とTi−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−3Mo
の比較によって明らかであった。また同じMo添加量で
あっても、Crを添加した方が疲労亀裂伝播特性が良好
である(即ち、疲労亀裂伝播速度が小さい)ことが、T
i−6−2−4−6とTi−6Al−2Sn−4Zr−
2Cr−6Moの比較によって明らかであった。更に、
Cr添加量が同じであっても、Mo添加量が少ない方が
疲労亀裂伝播特性および破壊靭性には有利であること
が、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6Moと
Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−3Moの比較
によって明らかであった。一方Cr添加量が4%にもな
ると、疲労亀裂伝播特性が急激に悪化し、且つ破壊靭性
も大きく低下することが、Ti−6Al−2Sn−4Z
r−4Cr−4MoとTi−6Al−2Sn−4Zr−
4Cr−2Moによって明らかであった。
【0024】以上のことから、少なくともTi−6Al
−2Sn−4Zr−xCr−yMo系については、Cr
添加量は4%未満(即ち、上記X<4)とする必要があ
り、Cr添加量が4%以上になるとCr化合物の析出す
る可能性があることが推定された。
−2Sn−4Zr−xCr−yMo系については、Cr
添加量は4%未満(即ち、上記X<4)とする必要があ
り、Cr添加量が4%以上になるとCr化合物の析出す
る可能性があることが推定された。
【0025】そこで本発明者らは、Moの添加量を3%
の一定とし、Cr添加量を3%から2%と変えて検討し
たところ、Crの添加量が3%であるときの方が疲労亀
裂伝播特性に良好な結果をもたらすことが、Ti−6A
l−2Sn−4Zr−3Cr−3MoとTi−6Al−
2Sn−4Zr−2Cr−3Moの比較によって明らか
になった。以上のことから、Cr添加量は3%が最適で
あると判断できた。本発明ではその許容量も考慮してC
r添加量を2.5〜3.5%とした。尚Cr添加量は、
上記の趣旨から明らかな様にできるだけ3%に近い方が
疲労亀裂伝播特性には好ましく、こうした観点からし
て、Cr添加量の好ましい範囲は2.6〜3.4%であ
り、より好ましくは2.7〜3.3%である。
の一定とし、Cr添加量を3%から2%と変えて検討し
たところ、Crの添加量が3%であるときの方が疲労亀
裂伝播特性に良好な結果をもたらすことが、Ti−6A
l−2Sn−4Zr−3Cr−3MoとTi−6Al−
2Sn−4Zr−2Cr−3Moの比較によって明らか
になった。以上のことから、Cr添加量は3%が最適で
あると判断できた。本発明ではその許容量も考慮してC
r添加量を2.5〜3.5%とした。尚Cr添加量は、
上記の趣旨から明らかな様にできるだけ3%に近い方が
疲労亀裂伝播特性には好ましく、こうした観点からし
て、Cr添加量の好ましい範囲は2.6〜3.4%であ
り、より好ましくは2.7〜3.3%である。
【0026】一方、Cr添加量を一定として、Moの添
加量を下げると疲労亀裂伝播特性や破壊靭性に有利であ
ることが、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
MoとTi−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−3Mo
の比較によって明らかになった。即ち、合金系にも依存
することは当然予想されるが、Moの添加量としては6
%よりも3%の方が疲労亀裂伝播特性や破壊靭性にとっ
て有利であることがわかった。このMo添加量の範囲内
で既述の機械的性質が単調に変化するものと考えると、
Mo添加量は実験範囲内では3%以下であることが好ま
しい。ここで、Mo添加量を2%とし、最適Cr添加量
の3%を採用すると、Mo当量は6.8%となってNe
arβ型Ti合金としてはβ安定化能が若干低くなる。
従って、Mo添加量は3%が妥当なところであると判断
できた。またこのときのMo当量は、7.8%である。
尚本発明では、許容量も考慮してMo添加量の範囲を
2.5〜3.5%と規定した。
加量を下げると疲労亀裂伝播特性や破壊靭性に有利であ
ることが、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−6
MoとTi−6Al−2Sn−4Zr−2Cr−3Mo
の比較によって明らかになった。即ち、合金系にも依存
することは当然予想されるが、Moの添加量としては6
%よりも3%の方が疲労亀裂伝播特性や破壊靭性にとっ
て有利であることがわかった。このMo添加量の範囲内
で既述の機械的性質が単調に変化するものと考えると、
Mo添加量は実験範囲内では3%以下であることが好ま
しい。ここで、Mo添加量を2%とし、最適Cr添加量
の3%を採用すると、Mo当量は6.8%となってNe
arβ型Ti合金としてはβ安定化能が若干低くなる。
従って、Mo添加量は3%が妥当なところであると判断
できた。またこのときのMo当量は、7.8%である。
尚本発明では、許容量も考慮してMo添加量の範囲を
2.5〜3.5%と規定した。
【0027】以上の合金元素の最適添加量の検討の結
果、少なくとも疲労亀裂伝播特性に有利な合金成分系
は、Ti−5Al−2Sn−4Zr−3Cr−3Mo
(以下、Ti−5−2−4−3−3と略称する)である
ことを明らかにした。
果、少なくとも疲労亀裂伝播特性に有利な合金成分系
は、Ti−5Al−2Sn−4Zr−3Cr−3Mo
(以下、Ti−5−2−4−3−3と略称する)である
ことを明らかにした。
【0028】本発明のTi合金は、そのミクロ組織が等
軸α組織であるものを想定してなされたものであるが、
ミクロ組織を等軸α組織にするには、後記実施例に示す
様に仕上げ熱間加工(例えば、「鍛伸」)をβ変態点以
下の温度で十分行い、その後の熱処理もβ変態点以下の
温度で行う様にすれば良い。これに対し、ミクロ組織を
針状α組織にするには、β変態点を超える温度から仕上
げ熱間加工を開始し、β変態点以上の温度若しくはβ変
態点を少し下回った温度で熱間加工を終了し、熱処理は
β変態点以下で行うか、或はβ変態点以下で仕上げ熱間
加工し、熱処理時の溶体化処理をβ変態点以下で行うの
が一般的である。以下実施例によって、従来のTi合金
との比較を通じて、本発明合金の有用性を具体的に示
す。
軸α組織であるものを想定してなされたものであるが、
ミクロ組織を等軸α組織にするには、後記実施例に示す
様に仕上げ熱間加工(例えば、「鍛伸」)をβ変態点以
下の温度で十分行い、その後の熱処理もβ変態点以下の
温度で行う様にすれば良い。これに対し、ミクロ組織を
針状α組織にするには、β変態点を超える温度から仕上
げ熱間加工を開始し、β変態点以上の温度若しくはβ変
態点を少し下回った温度で熱間加工を終了し、熱処理は
β変態点以下で行うか、或はβ変態点以下で仕上げ熱間
加工し、熱処理時の溶体化処理をβ変態点以下で行うの
が一般的である。以下実施例によって、従来のTi合金
との比較を通じて、本発明合金の有用性を具体的に示
す。
【0029】
【実施例】従来のTi合金であるTi−6−2−4−6
およびTi−5−2−2−4−4と、本発明のTi合金
であるTi−5−2−4−3−3の3種類のTi合金に
ついて、真空アーク溶解法によって直径:260mm,
重量:100kgの鋳塊を製造した。得られた鋳塊の化
学成分を下記表1に示す。但し、表1中において水素
(O)含有量だけは、熱処理後の値である。
およびTi−5−2−2−4−4と、本発明のTi合金
であるTi−5−2−4−3−3の3種類のTi合金に
ついて、真空アーク溶解法によって直径:260mm,
重量:100kgの鋳塊を製造した。得られた鋳塊の化
学成分を下記表1に示す。但し、表1中において水素
(O)含有量だけは、熱処理後の値である。
【0030】
【表1】
【0031】得られた3種類の鋳塊について、β温度域
の1200℃でアップセットおよび鍛伸を施して210
×210(mm)の角材とし、次いで(α+β)温度域
の(Tβ−40℃)の温度(但し、Tβはβ変態点を示
す)で鍛伸して180×180(mm)の角材とした。
引き続き、β変態点以上の温度である(Tβ+50℃)
の温度で1時間保持、および水冷却の条件でβ処理を行
なった。更に、(α+β)温度域の(Tβ−40℃)の
温度で減面率70%の鍛伸を行ない、100×100
(mm)の角材とし、下記表2に示す条件で熱処理を施
した。尚表2には、各合金材のβ変態点も同時に示し
た。
の1200℃でアップセットおよび鍛伸を施して210
×210(mm)の角材とし、次いで(α+β)温度域
の(Tβ−40℃)の温度(但し、Tβはβ変態点を示
す)で鍛伸して180×180(mm)の角材とした。
引き続き、β変態点以上の温度である(Tβ+50℃)
の温度で1時間保持、および水冷却の条件でβ処理を行
なった。更に、(α+β)温度域の(Tβ−40℃)の
温度で減面率70%の鍛伸を行ない、100×100
(mm)の角材とし、下記表2に示す条件で熱処理を施
した。尚表2には、各合金材のβ変態点も同時に示し
た。
【0032】
【表2】
【0033】熱処理後の各Ti合金材のミクロ組成につ
いて調査したところ、いずれも微細等軸α組織であっ
た。これらのTi合金材の室温引張試験結果(0.2%
耐力、引張強さ、伸びおよび絞り)を表3に示す。その
結果、上記の熱処理は、0.2%耐力値として115k
gf/mm2 を狙って行なったものであるが、ほぼ狙い
通りの値が得られていた。
いて調査したところ、いずれも微細等軸α組織であっ
た。これらのTi合金材の室温引張試験結果(0.2%
耐力、引張強さ、伸びおよび絞り)を表3に示す。その
結果、上記の熱処理は、0.2%耐力値として115k
gf/mm2 を狙って行なったものであるが、ほぼ狙い
通りの値が得られていた。
【0034】
【表3】
【0035】上記各Ti合金の疲労亀裂伝播速度を、図
1に示す。この図から、次の様に考察できる。即ち、疲
労亀裂伝播速度は、Ti−6−2−4−6が最も早く、
次いでTi−5−2−2−4−4であり、本発明のTi
合金のTi−5−2−4−3−3は、疲労亀裂伝播速度
が最も遅い(即ち、疲労亀裂伝播特性が良好である)こ
とがわかる。次に、上記各Ti合金における他の機械的
性質についての調査結果を示す。
1に示す。この図から、次の様に考察できる。即ち、疲
労亀裂伝播速度は、Ti−6−2−4−6が最も早く、
次いでTi−5−2−2−4−4であり、本発明のTi
合金のTi−5−2−4−3−3は、疲労亀裂伝播速度
が最も遅い(即ち、疲労亀裂伝播特性が良好である)こ
とがわかる。次に、上記各Ti合金における他の機械的
性質についての調査結果を示す。
【0036】図2は、高サイクル疲労試験結果を示すグ
ラフである。この結果から明らかな様に、本発明の合金
Ti−5−2−4−3−3は、Ti−5−2−2−4−
4とほぼ同等の疲労強度を有しており、また長寿命側で
はTi−6−2−4−6に比べて高い疲労強度を示して
いることがわかる。
ラフである。この結果から明らかな様に、本発明の合金
Ti−5−2−4−3−3は、Ti−5−2−2−4−
4とほぼ同等の疲労強度を有しており、また長寿命側で
はTi−6−2−4−6に比べて高い疲労強度を示して
いることがわかる。
【0037】下記表4に、各Ti合金の破壊靭性値(K
IC)を示すが、本発明合金Ti−5−2−4−3−3
は、Ti−5−2−2−4−4とほぼ同様の値を示し、
Ti−6−2−4−6よりも優れていることがわかる。
IC)を示すが、本発明合金Ti−5−2−4−3−3
は、Ti−5−2−2−4−4とほぼ同様の値を示し、
Ti−6−2−4−6よりも優れていることがわかる。
【0038】
【表4】
【0039】図3および図4は、夫々室温および高温
(427℃)における低サイクル疲労特性を示すグラフ
である。これらの結果から、次の様に考察できる。即
ち、本発明合金のTi−5−2−4−3−3と、従来の
合金との大きな差は認められないが、本発明合金が若干
優れた寿命を示す傾向があることがわかる。
(427℃)における低サイクル疲労特性を示すグラフ
である。これらの結果から、次の様に考察できる。即
ち、本発明合金のTi−5−2−4−3−3と、従来の
合金との大きな差は認められないが、本発明合金が若干
優れた寿命を示す傾向があることがわかる。
【0040】図5にクリープ特性の結果を示す。尚図5
において、T(°K)・[20+logt(hr)]
は、ある応力下で一定クリープ量に達する時間(t)お
よび温度(T)を求めることによって決定されるラーソ
ン−ミラー常数である。この結果から明らかな様に、ク
リープ特性に関しては、従来のTi−6−2−4−6が
最も良好であるが、本発明のTi合金はTi−5−2−
2−4−4に比べて若干優れていることがわかる。
において、T(°K)・[20+logt(hr)]
は、ある応力下で一定クリープ量に達する時間(t)お
よび温度(T)を求めることによって決定されるラーソ
ン−ミラー常数である。この結果から明らかな様に、ク
リープ特性に関しては、従来のTi−6−2−4−6が
最も良好であるが、本発明のTi合金はTi−5−2−
2−4−4に比べて若干優れていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、本
発明のTi合金は従来のTi合金と比べて疲労亀裂伝播
特性を改善することができ、しかも他の機械的特性もそ
れほど低下させることもないので、より保守・安全に優
れたジェットエンジン用の素材として、特にファン・デ
ィスクの素材として有用である。
発明のTi合金は従来のTi合金と比べて疲労亀裂伝播
特性を改善することができ、しかも他の機械的特性もそ
れほど低下させることもないので、より保守・安全に優
れたジェットエンジン用の素材として、特にファン・デ
ィスクの素材として有用である。
【図1】各Ti合金の疲労亀裂伝播特性を示すグラフで
ある。
ある。
【図2】各Ti合金の高サイクル疲労特性を示すグラフ
である。
である。
【図3】各Ti合金の室温における低サイクル疲労特性
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図4】各Ti合金の高温における低サイクル疲労特性
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図5】各Ti合金のクリープ特性を示すグラフであ
る。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 Al:4.5〜5.5%(重量%の意
味、以下同じ),Sn:1.5〜2.5%,Zr:3.
5〜4.5%,Cr:2.5〜3.5%,Mo:2.5
〜3.5%を夫々含有し、残部がTiおよび不可避不純
物からなることを特徴とする疲労亀裂伝播特性に優れた
Nearβ型高強度Ti合金材料。 - 【請求項2】 組織が等軸α組織である請求項1に記載
のNearβ型高強度Ti合金材料。 - 【請求項3】 Cr含有量が2.6〜3.4%である請
求項1または2に記載のNearβ型高強度Ti合金材
料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18437095A JP3491397B2 (ja) | 1994-08-30 | 1995-07-20 | 疲労亀裂伝播特性に優れたNearβ型高強度Ti合金材料 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20564694 | 1994-08-30 | ||
JP6-205646 | 1994-08-30 | ||
JP18437095A JP3491397B2 (ja) | 1994-08-30 | 1995-07-20 | 疲労亀裂伝播特性に優れたNearβ型高強度Ti合金材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08120371A true JPH08120371A (ja) | 1996-05-14 |
JP3491397B2 JP3491397B2 (ja) | 2004-01-26 |
Family
ID=26502465
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18437095A Expired - Fee Related JP3491397B2 (ja) | 1994-08-30 | 1995-07-20 | 疲労亀裂伝播特性に優れたNearβ型高強度Ti合金材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3491397B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0788802A3 (en) * | 1996-02-08 | 2000-04-12 | Schneider (Usa) Inc. | Titanium alloy self-expanding stent |
US6228189B1 (en) | 1998-05-26 | 2001-05-08 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | α+β type titanium alloy, a titanium alloy strip, coil-rolling process of titanium alloy, and process for producing a cold-rolled titanium alloy strip |
JP2012200753A (ja) * | 2011-03-24 | 2012-10-22 | Osaka Univ | Ti合金の接合継手、Ti合金の加工方法及び構造体 |
RU2496901C2 (ru) * | 2009-05-29 | 2013-10-27 | Титаниум Металс Корпорейшн | Сплав, близкий к бета-титану, для применений, требующих высокой прочности, и способы его изготовления |
JP2016000848A (ja) * | 2014-06-11 | 2016-01-07 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
-
1995
- 1995-07-20 JP JP18437095A patent/JP3491397B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0788802A3 (en) * | 1996-02-08 | 2000-04-12 | Schneider (Usa) Inc. | Titanium alloy self-expanding stent |
US6228189B1 (en) | 1998-05-26 | 2001-05-08 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | α+β type titanium alloy, a titanium alloy strip, coil-rolling process of titanium alloy, and process for producing a cold-rolled titanium alloy strip |
USRE38316E1 (en) * | 1998-05-26 | 2003-11-18 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | α+β type titanium alloy, a titanium alloy strip, coil-rolling process of titanium alloy, and process for producing a cold-rolled titanium alloy strip |
RU2496901C2 (ru) * | 2009-05-29 | 2013-10-27 | Титаниум Металс Корпорейшн | Сплав, близкий к бета-титану, для применений, требующих высокой прочности, и способы его изготовления |
JP2012200753A (ja) * | 2011-03-24 | 2012-10-22 | Osaka Univ | Ti合金の接合継手、Ti合金の加工方法及び構造体 |
JP2016000848A (ja) * | 2014-06-11 | 2016-01-07 | 株式会社神戸製鋼所 | チタン合金鍛造材 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3491397B2 (ja) | 2004-01-26 |
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---|---|---|---|
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