JPH08120354A - 電気製錬炉の操業方法 - Google Patents
電気製錬炉の操業方法Info
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- JPH08120354A JPH08120354A JP27827294A JP27827294A JPH08120354A JP H08120354 A JPH08120354 A JP H08120354A JP 27827294 A JP27827294 A JP 27827294A JP 27827294 A JP27827294 A JP 27827294A JP H08120354 A JPH08120354 A JP H08120354A
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- slag
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- furnace
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 電気製錬炉において、比電導度に基づきスラ
グ制御することにより、電力原単位を低減し、生産性を
向上させる。 【構成】 製鋼ダスト及び廃液スラッジを主成分とする
酸化物原料を電気製錬炉内で溶解,還元してNi,Cr
含有合金を回収する際、電気製錬炉内の溶融スラグを温
度1350〜1500℃及び比電導度0.8〜1.7Ω
-1/cmに維持する。原料配合比は、原料配合段階から
電気製錬炉内の溶融域までの搬送工程における成分変動
要因を予め定めておき、所定の比電導度が得られるよう
に成分変動要因に応じて決定される。また、溶融スラグ
の温度及び比電導度を測定し、請求項1記載の温度範囲
でスラグの比電導度が可能な限り低い値になるように、
測定値に応じて造滓剤を添加する。 【効果】 安定した炉況の下で、高効率で電気製錬炉が
操業できる。
グ制御することにより、電力原単位を低減し、生産性を
向上させる。 【構成】 製鋼ダスト及び廃液スラッジを主成分とする
酸化物原料を電気製錬炉内で溶解,還元してNi,Cr
含有合金を回収する際、電気製錬炉内の溶融スラグを温
度1350〜1500℃及び比電導度0.8〜1.7Ω
-1/cmに維持する。原料配合比は、原料配合段階から
電気製錬炉内の溶融域までの搬送工程における成分変動
要因を予め定めておき、所定の比電導度が得られるよう
に成分変動要因に応じて決定される。また、溶融スラグ
の温度及び比電導度を測定し、請求項1記載の温度範囲
でスラグの比電導度が可能な限り低い値になるように、
測定値に応じて造滓剤を添加する。 【効果】 安定した炉況の下で、高効率で電気製錬炉が
操業できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物を主とする原料
を電気製錬炉で溶解,還元して金属を回収する際、電力
原単位を低減させ高効率で操業する方法に関する。
を電気製錬炉で溶解,還元して金属を回収する際、電力
原単位を低減させ高効率で操業する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉,電気炉,転炉等を使用する製錬所
では、原料前処理工程,製錬炉内への原料供給時,製錬
炉の運転時等に金属成分を多量に含むダストが発生す
る。表面処理ラインを備えた工場では、廃酸・廃液処理
工程,用水再生設備等から多量のスラッジが発生する。
圧延ラインや加工ライン等では、酸化スケールが発生す
る。ダスト,スラッジ,スケール等の処理は、(1)埋
立てや海洋投棄,(2)非鉄金属メーカーへ原料として
売却,(3)工場内で原料としてリサイクル使用に大別
される。なかでも、環境問題,資源の有効利用,処理費
用等の観点から金属製錬用原料として有効利用すること
が望ましい。ダスト,スラッジ,スケール等は、発生過
程で何れも酸化物や水酸化物となっており、しかも微粉
状で、場合によっては多量の水分を含んでいる。そのた
め、取扱いや処分方法が困難であり、その対策として従
来から種々の方法が提案されている。
では、原料前処理工程,製錬炉内への原料供給時,製錬
炉の運転時等に金属成分を多量に含むダストが発生す
る。表面処理ラインを備えた工場では、廃酸・廃液処理
工程,用水再生設備等から多量のスラッジが発生する。
圧延ラインや加工ライン等では、酸化スケールが発生す
る。ダスト,スラッジ,スケール等の処理は、(1)埋
立てや海洋投棄,(2)非鉄金属メーカーへ原料として
売却,(3)工場内で原料としてリサイクル使用に大別
される。なかでも、環境問題,資源の有効利用,処理費
用等の観点から金属製錬用原料として有効利用すること
が望ましい。ダスト,スラッジ,スケール等は、発生過
程で何れも酸化物や水酸化物となっており、しかも微粉
状で、場合によっては多量の水分を含んでいる。そのた
め、取扱いや処分方法が困難であり、その対策として従
来から種々の方法が提案されている。
【0003】たとえば、特開平4−66625号公報,
特公平4−61043号公報,特公平4−77054号
公報等では、コークス,石灰等を混合して還元キルンで
処理することにより、粗酸化亜鉛及び還元ペレットを製
造している。得られた還元ペレットは、更に処理する必
要があることから、高炉,電気炉等を備えた工場に限り
有効な方法である。最近では、乾燥粉砕した製錬ダスト
等を中空電極を備えた電気炉に装入し、アーク熱によっ
て処理するDCアーク炉法が一部で使用されている。し
かし、DCアーク炉法では、粉体の供給や二次ダストに
起因する損失が問題となる。
特公平4−61043号公報,特公平4−77054号
公報等では、コークス,石灰等を混合して還元キルンで
処理することにより、粗酸化亜鉛及び還元ペレットを製
造している。得られた還元ペレットは、更に処理する必
要があることから、高炉,電気炉等を備えた工場に限り
有効な方法である。最近では、乾燥粉砕した製錬ダスト
等を中空電極を備えた電気炉に装入し、アーク熱によっ
て処理するDCアーク炉法が一部で使用されている。し
かし、DCアーク炉法では、粉体の供給や二次ダストに
起因する損失が問題となる。
【0004】ダスト,スラッジ,スケール等に含まれる
金属成分を溶融金属又は合金として回収する方法も採用
されている。たとえば、特開平1−247535号公
報,特開平5−9529号公報等は、羽口を備えたシャ
フト炉に製鉄ダスト,スラッジ類を装入し、羽口から熱
風を吹き込み溶解,還元して有価金属を得ている。特開
平4−2734号公報では、予熱部及び還元部を備えた
竪型の還元炉にペレットを装入し、次いで溶融炉で溶融
還元することにより溶融銑鉄を得ている。これらの方法
は、連続操業を前提にしており、トラブルによる操業停
止による生産性の低下や生産コストの上昇が問題とな
る。また、特開平3−197625号公報では、スラグ
抵抗の変化に応じスラグ組成や量を調整しているが、高
効率で操業する上で制御精度に改良の余地がある。本発
明者等も、ダスト,スラッジ,スケール等を石灰,還元
剤,バインダー等と混合・製団したものを、電気製錬炉
で溶解,還元し、溶融メタルを回収する方法を開発して
きた。電気製錬炉は、エネルギー源として電気を使用す
るものの、操業条件の変動に対する柔軟性が高い。
金属成分を溶融金属又は合金として回収する方法も採用
されている。たとえば、特開平1−247535号公
報,特開平5−9529号公報等は、羽口を備えたシャ
フト炉に製鉄ダスト,スラッジ類を装入し、羽口から熱
風を吹き込み溶解,還元して有価金属を得ている。特開
平4−2734号公報では、予熱部及び還元部を備えた
竪型の還元炉にペレットを装入し、次いで溶融炉で溶融
還元することにより溶融銑鉄を得ている。これらの方法
は、連続操業を前提にしており、トラブルによる操業停
止による生産性の低下や生産コストの上昇が問題とな
る。また、特開平3−197625号公報では、スラグ
抵抗の変化に応じスラグ組成や量を調整しているが、高
効率で操業する上で制御精度に改良の余地がある。本発
明者等も、ダスト,スラッジ,スケール等を石灰,還元
剤,バインダー等と混合・製団したものを、電気製錬炉
で溶解,還元し、溶融メタルを回収する方法を開発して
きた。電気製錬炉は、エネルギー源として電気を使用す
るものの、操業条件の変動に対する柔軟性が高い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ダスト,スラッジ,ス
ケール等は、発生過程に応じて種々雑多な成分を含んで
いる。多種のダスト,スラッジ,スケール等を原料とし
て有価物を回収する場合、原料の品質管理が必要とされ
るが、実操業では発生元の操業状況の変化等により発生
量,組成等が変動することから、回収された有価物の品
質を一定にすることが困難である。その結果、回収メタ
ルの品質変動,生産性の低下,エネルギー原単位の変動
等により、処理コストが上昇する傾向にある。原料の変
動による影響を抑えようとすると、原料置場の管理,組
成管理,水分管理等に関しきめ細かな管理が必要とな
り、管理費の上昇を招く。また、そのために多額の設備
投資費が必要になる。しかも、完璧な原料管理の下で原
料を配合し製団しても、製錬炉に至る搬送工程で粉化し
たり、製錬炉の内部でダスト化することがある。粉化や
ダスト化は、特定成分に濃度変化をきたし、反応領域で
の原料組成を配合段階と異ならせることにもなる。その
ため、操業状況が不安定化し、電力原単位を上昇させる
原因となる。
ケール等は、発生過程に応じて種々雑多な成分を含んで
いる。多種のダスト,スラッジ,スケール等を原料とし
て有価物を回収する場合、原料の品質管理が必要とされ
るが、実操業では発生元の操業状況の変化等により発生
量,組成等が変動することから、回収された有価物の品
質を一定にすることが困難である。その結果、回収メタ
ルの品質変動,生産性の低下,エネルギー原単位の変動
等により、処理コストが上昇する傾向にある。原料の変
動による影響を抑えようとすると、原料置場の管理,組
成管理,水分管理等に関しきめ細かな管理が必要とな
り、管理費の上昇を招く。また、そのために多額の設備
投資費が必要になる。しかも、完璧な原料管理の下で原
料を配合し製団しても、製錬炉に至る搬送工程で粉化し
たり、製錬炉の内部でダスト化することがある。粉化や
ダスト化は、特定成分に濃度変化をきたし、反応領域で
の原料組成を配合段階と異ならせることにもなる。その
ため、操業状況が不安定化し、電力原単位を上昇させる
原因となる。
【0006】これらの問題は、特に特殊鋼の生産工場,
小ロット多品種の鋼種の生産工場,多量のスクラップを
原料とする製鋼所等で、ダストやスラッジの配合割合が
高い場合に問題となる。また、多種類の表面処理ライン
を備えた工場,複数の取引き先の委託を受けて多種の廃
棄物を処理する工場等においても、種類や組成が多岐に
わたることから管理,処理等に問題が生じる。また、蒸
気圧の高いZn等の非鉄金属が副生する系では、蒸発し
た非鉄金属が比較的低温の炉壁等に析出・付着すること
から、炉内溶融域の減少によって生産性が大きく低下す
る場合がある。本発明は、このような問題を解消すべく
案出されたものであり、電気製錬炉を使用した製錬にお
いて生成するスラグの温度及び比電導度に基づき操業条
件を管理することにより、製錬に消費されるエネルギー
を節減し、高い回収率で有価金属を回収することを目的
とする。
小ロット多品種の鋼種の生産工場,多量のスクラップを
原料とする製鋼所等で、ダストやスラッジの配合割合が
高い場合に問題となる。また、多種類の表面処理ライン
を備えた工場,複数の取引き先の委託を受けて多種の廃
棄物を処理する工場等においても、種類や組成が多岐に
わたることから管理,処理等に問題が生じる。また、蒸
気圧の高いZn等の非鉄金属が副生する系では、蒸発し
た非鉄金属が比較的低温の炉壁等に析出・付着すること
から、炉内溶融域の減少によって生産性が大きく低下す
る場合がある。本発明は、このような問題を解消すべく
案出されたものであり、電気製錬炉を使用した製錬にお
いて生成するスラグの温度及び比電導度に基づき操業条
件を管理することにより、製錬に消費されるエネルギー
を節減し、高い回収率で有価金属を回収することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の操業方法は、そ
の目的を達成するため、製鋼ダスト及び廃液スラッジを
主成分とする酸化物原料を電気製錬炉内で溶解,還元し
てNi,Cr含有合金を回収する際、温度1350〜1
500℃の温度範囲におけるスラグの比電導度が0.8
〜1.7Ω-1/cmの範囲に維持されるようにCaO/
SiO2 比を決定し、該CaO/SiO2 比に基づき造
滓剤を含む原料の配合割合を決定することを特徴とす
る。このとき、原料配合段階から電気製錬炉内の溶融域
までの搬送工程における成分変動要因を予め定めてお
き、0.8〜1.7Ω-1/cmの範囲で可能な限り低い
比電導度が得られるように、前記成分変動要因に応じて
原料配合比を決定することが好ましい。操業中において
は、溶融スラグの温度及び比電導度を測定し、測定値に
応じて造滓剤を添加することによりスラグ温度1400
〜1500℃及び比電導度0.8〜1.7Ω-1/cmに
維持する。また、装入直前の原料をチェック分析し、分
析値に応じて原料配合を修正するとき、スラグ制御の精
度が一層向上する。
の目的を達成するため、製鋼ダスト及び廃液スラッジを
主成分とする酸化物原料を電気製錬炉内で溶解,還元し
てNi,Cr含有合金を回収する際、温度1350〜1
500℃の温度範囲におけるスラグの比電導度が0.8
〜1.7Ω-1/cmの範囲に維持されるようにCaO/
SiO2 比を決定し、該CaO/SiO2 比に基づき造
滓剤を含む原料の配合割合を決定することを特徴とす
る。このとき、原料配合段階から電気製錬炉内の溶融域
までの搬送工程における成分変動要因を予め定めてお
き、0.8〜1.7Ω-1/cmの範囲で可能な限り低い
比電導度が得られるように、前記成分変動要因に応じて
原料配合比を決定することが好ましい。操業中において
は、溶融スラグの温度及び比電導度を測定し、測定値に
応じて造滓剤を添加することによりスラグ温度1400
〜1500℃及び比電導度0.8〜1.7Ω-1/cmに
維持する。また、装入直前の原料をチェック分析し、分
析値に応じて原料配合を修正するとき、スラグ制御の精
度が一層向上する。
【0008】本発明は、電気製錬炉として高炉型電気
炉,低炉型電気炉等の電気炉、特にゼーダベルグ式自焼
成電極を備えた電気炉に適した操業方法であり、更に粉
状原料のインジェクション用羽口を炉体側面の溶融域レ
ベルに設けたシャフトタイプの電気炉を使用するとき有
効である。電気製錬炉の原料となる製鋼ダスト,廃酸ス
ラッジ等を主とする酸化物原料には、焼結炉,高炉,電
気炉,転炉等の製錬・精練炉で発生する酸化物を主とす
るダスト,工場内での用水再生設備や廃酸・廃液処理設
備で発生するスラッジ類,研磨粉,研削くず等の酸化鉄
等を含む酸化物等がある。特に、ステンレス鋼,特殊鋼
等の高Ni,Cr含有鋼を生産する工場で発生する副生
物が主である原料に適している。
炉,低炉型電気炉等の電気炉、特にゼーダベルグ式自焼
成電極を備えた電気炉に適した操業方法であり、更に粉
状原料のインジェクション用羽口を炉体側面の溶融域レ
ベルに設けたシャフトタイプの電気炉を使用するとき有
効である。電気製錬炉の原料となる製鋼ダスト,廃酸ス
ラッジ等を主とする酸化物原料には、焼結炉,高炉,電
気炉,転炉等の製錬・精練炉で発生する酸化物を主とす
るダスト,工場内での用水再生設備や廃酸・廃液処理設
備で発生するスラッジ類,研磨粉,研削くず等の酸化鉄
等を含む酸化物等がある。特に、ステンレス鋼,特殊鋼
等の高Ni,Cr含有鋼を生産する工場で発生する副生
物が主である原料に適している。
【0009】
【作用】ダスト,スラッジ等を電気製錬炉で処理する方
法を検討してきた結果、電気的性質に基づき操業中にス
ラグを最適化するとき、如何なる原料品質に対しても電
力効率が高位に安定した操業状態が得られる。電気製錬
炉における原料の電気的性質として電気電導度が重要で
あることは周知であるが、特に金属成分の含有量が比較
的少なくスラグ成分含有量の多い原料を処理する電気製
錬炉では、スラグの電気電導度が炉内の電気的性質に反
映され易い。この場合、スラグ層を流れる電流の抵抗加
熱によって電気エネルギーが熱に変換される割合が高く
なる。スラグの電気電導度と組成との間に相関関係があ
り、電気電導度の最適化は、間接的に抵抗加熱に適した
スラグ組成の制御になる。その結果、安定した高エネル
ギー効率,或いは安定した脱硫等の製錬反応が促進され
る。特に、出湯間隔が数時間であるような連続通電時間
が比較的長い電気製錬炉では、稼動中にスラグを調整す
ることも安定操業に非常に効果的である。スラグ組成を
迅速に調整するためには、通常の化学分析結果よりも比
電導度に基づきスラグ組成を推定し、この推定結果に基
づいて目標組成を得ることが好ましい。
法を検討してきた結果、電気的性質に基づき操業中にス
ラグを最適化するとき、如何なる原料品質に対しても電
力効率が高位に安定した操業状態が得られる。電気製錬
炉における原料の電気的性質として電気電導度が重要で
あることは周知であるが、特に金属成分の含有量が比較
的少なくスラグ成分含有量の多い原料を処理する電気製
錬炉では、スラグの電気電導度が炉内の電気的性質に反
映され易い。この場合、スラグ層を流れる電流の抵抗加
熱によって電気エネルギーが熱に変換される割合が高く
なる。スラグの電気電導度と組成との間に相関関係があ
り、電気電導度の最適化は、間接的に抵抗加熱に適した
スラグ組成の制御になる。その結果、安定した高エネル
ギー効率,或いは安定した脱硫等の製錬反応が促進され
る。特に、出湯間隔が数時間であるような連続通電時間
が比較的長い電気製錬炉では、稼動中にスラグを調整す
ることも安定操業に非常に効果的である。スラグ組成を
迅速に調整するためには、通常の化学分析結果よりも比
電導度に基づきスラグ組成を推定し、この推定結果に基
づいて目標組成を得ることが好ましい。
【0010】電気製錬炉に供給される原料は、操業状況
を安定化させる上で品質が常に一定していることが必要
である。しかし、工場の生産計画上,原料品質に他方の
変動があることは避けられない。そこで、実操業では、
多種類の原料について可能な限り詳細に管理し、たとえ
ばロットごとの分析結果等に基づき配合計画を組み、電
気炉に供給する原料品質を安定化させること等によって
対応している。しかしながら、この管理方法では限界が
あり、ときとして電気炉の没入変動,異常損耗,異常吹
上げ等の大きな炉況変化を引き起こす原料変動が避けら
れない。本発明者等は、このようなスラグ,スラッジ,
スケール等を装入原料とした電気製錬炉の炉況を長期的
観点から調査した結果、1350〜1500℃における
スラグの比電導度を0.8〜1.7Ω-1/cmの範囲
で、且つできるだけ低い値に維持するとき、長期間にわ
たって高電力効率を維持した操業が可能になることを見
い出した。また、同一或いは近似ロットの原料を電気炉
操業の数チャージにわたって使用する場合、チャージ間
におけるスラグ組成の変動幅をできるだけ低く抑えると
き、図1に示すように電力効率を高めた状態で炉況も極
めて安定化される。
を安定化させる上で品質が常に一定していることが必要
である。しかし、工場の生産計画上,原料品質に他方の
変動があることは避けられない。そこで、実操業では、
多種類の原料について可能な限り詳細に管理し、たとえ
ばロットごとの分析結果等に基づき配合計画を組み、電
気炉に供給する原料品質を安定化させること等によって
対応している。しかしながら、この管理方法では限界が
あり、ときとして電気炉の没入変動,異常損耗,異常吹
上げ等の大きな炉況変化を引き起こす原料変動が避けら
れない。本発明者等は、このようなスラグ,スラッジ,
スケール等を装入原料とした電気製錬炉の炉況を長期的
観点から調査した結果、1350〜1500℃における
スラグの比電導度を0.8〜1.7Ω-1/cmの範囲
で、且つできるだけ低い値に維持するとき、長期間にわ
たって高電力効率を維持した操業が可能になることを見
い出した。また、同一或いは近似ロットの原料を電気炉
操業の数チャージにわたって使用する場合、チャージ間
におけるスラグ組成の変動幅をできるだけ低く抑えると
き、図1に示すように電力効率を高めた状態で炉況も極
めて安定化される。
【0011】比電導度は、スラグ中を流れる電流によっ
て有効な抵抗加熱を得るため、0.8〜1.7Ω-1/c
mの範囲にあることが重要である。比電導度が1.7Ω
-1/cmより大きくなると、スラグ層を電流が流れ易く
なり、有効な抵抗加熱が得られにくくなると共に、消費
電力を許容範囲に抑えるために炉内に電極を浅く没入さ
せる必要があり、結果的に電力効率の低下や電極消耗量
の増加を招く。逆に、0.8Ω-1/cmに達しない比電
導度では、電流が過度に流れ難くなり、一定の電力負荷
を得るために電極没入深さを大きくする必要がある。そ
の結果、電極先端がメタル層に接近し、電極とメタル間
でのアーク発生や異常吹上げ等によって著しい電力損失
や溶解歩留りの低下を引き起こす。このようなことか
ら、0.8〜1.7Ω-1/cmの範囲で比電導度をでき
るだけ低い値に維持するとき、電力原単位を下げること
が可能になる。
て有効な抵抗加熱を得るため、0.8〜1.7Ω-1/c
mの範囲にあることが重要である。比電導度が1.7Ω
-1/cmより大きくなると、スラグ層を電流が流れ易く
なり、有効な抵抗加熱が得られにくくなると共に、消費
電力を許容範囲に抑えるために炉内に電極を浅く没入さ
せる必要があり、結果的に電力効率の低下や電極消耗量
の増加を招く。逆に、0.8Ω-1/cmに達しない比電
導度では、電流が過度に流れ難くなり、一定の電力負荷
を得るために電極没入深さを大きくする必要がある。そ
の結果、電極先端がメタル層に接近し、電極とメタル間
でのアーク発生や異常吹上げ等によって著しい電力損失
や溶解歩留りの低下を引き起こす。このようなことか
ら、0.8〜1.7Ω-1/cmの範囲で比電導度をでき
るだけ低い値に維持するとき、電力原単位を下げること
が可能になる。
【0012】溶融スラグの温度は、スラグの融点,コー
クス供給量,炉内への電力供給効率,還元反応の程度等
によって定まるが、高電力効率での製錬には1350〜
1500℃の範囲にあることが重要である。スラグ温度
が1350℃より低いと、還元や脱硫反応が進行せず、
Zn等の蒸気圧が高い金属元素が炉内壁部に付着し、炉
内の実効容積を下げる結果となる。逆に1500℃を超
えるスラグ温度は、過熱傾向にあり、耐火物の溶損が著
しく進行する。また、温度の上昇に伴って比電導度が上
昇し、抵抗加熱効率が低下する。以上のことから、13
50〜1500℃の温度範囲でスラグの比電導度を0.
8〜1.7Ω-1/cmの範囲に維持することが必要であ
る。この範囲で比電導度を可能な限り低くすることによ
り、抵抗加熱効率が向上し、通常の操業に比較してスラ
グ溶融域が適度に加熱傾向となる。その結果、付着物の
溶解及び除去が図られ炉内の実効容積が大きくなり、処
理能力が向上する。たとえば、通常の操業条件の下では
溶解されないZn含有炉壁付着物が溶解する。また、一
定電力下での溶解時間も短縮される。
クス供給量,炉内への電力供給効率,還元反応の程度等
によって定まるが、高電力効率での製錬には1350〜
1500℃の範囲にあることが重要である。スラグ温度
が1350℃より低いと、還元や脱硫反応が進行せず、
Zn等の蒸気圧が高い金属元素が炉内壁部に付着し、炉
内の実効容積を下げる結果となる。逆に1500℃を超
えるスラグ温度は、過熱傾向にあり、耐火物の溶損が著
しく進行する。また、温度の上昇に伴って比電導度が上
昇し、抵抗加熱効率が低下する。以上のことから、13
50〜1500℃の温度範囲でスラグの比電導度を0.
8〜1.7Ω-1/cmの範囲に維持することが必要であ
る。この範囲で比電導度を可能な限り低くすることによ
り、抵抗加熱効率が向上し、通常の操業に比較してスラ
グ溶融域が適度に加熱傾向となる。その結果、付着物の
溶解及び除去が図られ炉内の実効容積が大きくなり、処
理能力が向上する。たとえば、通常の操業条件の下では
溶解されないZn含有炉壁付着物が溶解する。また、一
定電力下での溶解時間も短縮される。
【0013】スラグの比電導度に寄与するスラグ成分と
しては、スラグの塩基度に関与するCaO,CaF2 ,
SiO2 ,MgO,Al2 O3 等がある。これらは、そ
れぞれ特有の発生起源や発生特性をもち、同一ロット間
でも異なる。これらの点を考慮し適切な配合計画をたて
ることにより、目標とする比電導度をもつスラグに制御
できる。組成にもよるが、CaO,CaF2 ,MgOの
増加は比電導度を大きくし、SiO2 ,Al2 O3 の増
加は比電導度を小さくする傾向にある。たとえば、Ca
O/SiO2 と比電導度は、若干のバラツキがあるもの
の、図2に示す相関関係がある。この相関関係を利用
し、CaO/SiO2 を増減させるようにCaO又はS
iO2 を添加することにより比電導度を制御することが
できる。
しては、スラグの塩基度に関与するCaO,CaF2 ,
SiO2 ,MgO,Al2 O3 等がある。これらは、そ
れぞれ特有の発生起源や発生特性をもち、同一ロット間
でも異なる。これらの点を考慮し適切な配合計画をたて
ることにより、目標とする比電導度をもつスラグに制御
できる。組成にもよるが、CaO,CaF2 ,MgOの
増加は比電導度を大きくし、SiO2 ,Al2 O3 の増
加は比電導度を小さくする傾向にある。たとえば、Ca
O/SiO2 と比電導度は、若干のバラツキがあるもの
の、図2に示す相関関係がある。この相関関係を利用
し、CaO/SiO2 を増減させるようにCaO又はS
iO2 を添加することにより比電導度を制御することが
できる。
【0014】原料の配合段階から電気製錬炉内の溶融域
に至る搬送工程においては、種々の要因によって配合成
分に変動が生じる。そこで、これら成分変動要因を予め
求めておき、配合段階で、それらの要因を考慮し、目標
組成(換言すれば、目標とするスラグの比電導度)にな
るように原料の配合比を決定する。たとえば、粉状原料
の使用割合,粒度分布,水分含有量,製団後の冷間強
度,炉内に装入したときの熱間強度等が変動するが、粉
化(ダスト化)損失によって減少する成分や割合は、そ
れらの要因との関連で経験的に把握される。そこで、こ
れら変動要因を取り込んだ最終的なスラグ組成の予測が
可能になる。場合によっては、搬送工程間、たとえば混
練機から製団機直前までの間や製団機以降の工程でサン
プリング及び分析を行い、分析値に基づいて原料配合や
装入条件を調整するとき、目標組成に対して高い一致性
をもつスラグが得られる。何れの場合も、炉内への装入
直前で、装入原料をサンプリング及び分析することは、
スラグ組成を高精度で調整することに有効である。
に至る搬送工程においては、種々の要因によって配合成
分に変動が生じる。そこで、これら成分変動要因を予め
求めておき、配合段階で、それらの要因を考慮し、目標
組成(換言すれば、目標とするスラグの比電導度)にな
るように原料の配合比を決定する。たとえば、粉状原料
の使用割合,粒度分布,水分含有量,製団後の冷間強
度,炉内に装入したときの熱間強度等が変動するが、粉
化(ダスト化)損失によって減少する成分や割合は、そ
れらの要因との関連で経験的に把握される。そこで、こ
れら変動要因を取り込んだ最終的なスラグ組成の予測が
可能になる。場合によっては、搬送工程間、たとえば混
練機から製団機直前までの間や製団機以降の工程でサン
プリング及び分析を行い、分析値に基づいて原料配合や
装入条件を調整するとき、目標組成に対して高い一致性
をもつスラグが得られる。何れの場合も、炉内への装入
直前で、装入原料をサンプリング及び分析することは、
スラグ組成を高精度で調整することに有効である。
【0015】原料前処理段階での配合計画に加え、チャ
ージ間の変動を抑える操業中のスラグ制御は、スラグの
比電導度を目標値に維持する上で非常に効果的である。
精密なスラグ制御を行うためには、操業中の電気製錬炉
において炉内にあるスラグの比電導度を測定しながら、
測定値が目標値に一致するようにスラグ成分となる造滓
剤を炉外から必要に応じて供給する。これにより、炉内
の加熱特性の不安定化に起因した原料中への電極没入長
さの変動,電極の消耗量の増加,エネルギー効率の悪
化,溶銑温度の変動に起因した製錬反応の不安定化が抑
制され、比電導度の変動幅をたとえば±0.3Ω-1/c
mの範囲に収められ、安定条件下での操業が可能にな
る。以上に説明した原料装入に関する制御を、図3にフ
ローで示す。これにより、チャージ間の操業状態が安定
化し、電力効率や生産性が向上する。ゼーダーベルグ式
自焼成電極を備えた電気製錬炉では、炉体側面にインジ
ェクション用羽口を設け、造滓剤又は造滓剤を含む粉粒
状物質を羽口から炉内の溶融域に吹き込むことにより、
スラグの比電導度を調整することができる。中空電極を
備えた電気製錬炉では、中空電極から粉粒状物質を溶融
域に供給することも可能である。
ージ間の変動を抑える操業中のスラグ制御は、スラグの
比電導度を目標値に維持する上で非常に効果的である。
精密なスラグ制御を行うためには、操業中の電気製錬炉
において炉内にあるスラグの比電導度を測定しながら、
測定値が目標値に一致するようにスラグ成分となる造滓
剤を炉外から必要に応じて供給する。これにより、炉内
の加熱特性の不安定化に起因した原料中への電極没入長
さの変動,電極の消耗量の増加,エネルギー効率の悪
化,溶銑温度の変動に起因した製錬反応の不安定化が抑
制され、比電導度の変動幅をたとえば±0.3Ω-1/c
mの範囲に収められ、安定条件下での操業が可能にな
る。以上に説明した原料装入に関する制御を、図3にフ
ローで示す。これにより、チャージ間の操業状態が安定
化し、電力効率や生産性が向上する。ゼーダーベルグ式
自焼成電極を備えた電気製錬炉では、炉体側面にインジ
ェクション用羽口を設け、造滓剤又は造滓剤を含む粉粒
状物質を羽口から炉内の溶融域に吹き込むことにより、
スラグの比電導度を調整することができる。中空電極を
備えた電気製錬炉では、中空電極から粉粒状物質を溶融
域に供給することも可能である。
【0016】スラグの比電導度は、測定に必要な最少量
のスラグをスラグサンプラーで採取し、炉外で測定され
る。比電導度測定用電極には、たとえば交流ブリッジ方
式等の一般に使用されている回路が採用される。或い
は、原料層の上方から又は炉体側壁の羽口から電気電導
度測定用プローブを挿入し、炉内にあるスラグの比電導
度を直接測定することもできる。また、スラグライン部
に位置するライニングの高さ方向に複数個の電極対を埋
め込み、これら電極対に流れる電流を測定することによ
り比電導度を検出することも可能である。たとえば、プ
ローブ方式では、高さ方向にプローブを操作させること
によりスラグの比電導度測定と同時に正確なスラグ位置
が検出される。埋込み式の電極対でも、高さ方向に関す
る比電導度の変化から正確なスラグ位置及びスラグの比
電導度が測定される。スラグ制御の精度向上には、比電
導度の測定と同時にスラグの温度を測定する必要があ
る。この点、熱電対を取り付けた電極を使用することが
好ましい。或いは、温度の測定に専用の手段を採用する
こともできる。このための手段には、耐火物に埋め込ん
だ熱電対,放射温度計等の非接触測温計等がある。何れ
の方式による場合でも、スラグの比電導度が温度に応じ
て変化することから、高精度のスラグ制御を行うために
比電導度及び温度を同時に測定することが望ましい。
のスラグをスラグサンプラーで採取し、炉外で測定され
る。比電導度測定用電極には、たとえば交流ブリッジ方
式等の一般に使用されている回路が採用される。或い
は、原料層の上方から又は炉体側壁の羽口から電気電導
度測定用プローブを挿入し、炉内にあるスラグの比電導
度を直接測定することもできる。また、スラグライン部
に位置するライニングの高さ方向に複数個の電極対を埋
め込み、これら電極対に流れる電流を測定することによ
り比電導度を検出することも可能である。たとえば、プ
ローブ方式では、高さ方向にプローブを操作させること
によりスラグの比電導度測定と同時に正確なスラグ位置
が検出される。埋込み式の電極対でも、高さ方向に関す
る比電導度の変化から正確なスラグ位置及びスラグの比
電導度が測定される。スラグ制御の精度向上には、比電
導度の測定と同時にスラグの温度を測定する必要があ
る。この点、熱電対を取り付けた電極を使用することが
好ましい。或いは、温度の測定に専用の手段を採用する
こともできる。このための手段には、耐火物に埋め込ん
だ熱電対,放射温度計等の非接触測温計等がある。何れ
の方式による場合でも、スラグの比電導度が温度に応じ
て変化することから、高精度のスラグ制御を行うために
比電導度及び温度を同時に測定することが望ましい。
【0017】原料は、通常の操業における供給方法と同
様に、装入原料レベルの低下、すなわち荷下りに応じて
追加装入される。原料としては粉状,粒状,塊状等の種
々の形態で使用されるが、これらを還元剤,バインダー
等と配合してブリケット,ペレット等に製団し、必要に
応じ乾燥,焼結等の熱処理を施し、或いは数日間にわた
り養生した後、ある程度の強度を付与した状態で装入す
ることが望ましい。電極に対する通電開始からの時間の
経過と共に装入原料の加熱,溶解,製錬反応が進行し、
炉内にスラグ/メタル層が次第に形成されていく。この
とき、プローブ式の場合には、溶解,還元の進行に伴う
スラグ/メタルレベルの上昇に応じてプローブを移動さ
せ、最適位置で比電導度を測定する。埋込み式の電極対
を使用する場合には、高さ方向に関する比電導度の変化
から正確なスラグ位置が判定できるので、比電導度の測
定に支障を来さない。
様に、装入原料レベルの低下、すなわち荷下りに応じて
追加装入される。原料としては粉状,粒状,塊状等の種
々の形態で使用されるが、これらを還元剤,バインダー
等と配合してブリケット,ペレット等に製団し、必要に
応じ乾燥,焼結等の熱処理を施し、或いは数日間にわた
り養生した後、ある程度の強度を付与した状態で装入す
ることが望ましい。電極に対する通電開始からの時間の
経過と共に装入原料の加熱,溶解,製錬反応が進行し、
炉内にスラグ/メタル層が次第に形成されていく。この
とき、プローブ式の場合には、溶解,還元の進行に伴う
スラグ/メタルレベルの上昇に応じてプローブを移動さ
せ、最適位置で比電導度を測定する。埋込み式の電極対
を使用する場合には、高さ方向に関する比電導度の変化
から正確なスラグ位置が判定できるので、比電導度の測
定に支障を来さない。
【0018】測定した比電導度に対するて必要なスラグ
組成の調整には、速効性を考慮するとき、主として粉末
状の造滓剤を溶融域に直接吹き込むインジェクション方
式が採用される。インジェクション方式は、溶融域を撹
拌する作用も呈し、炉内の通電特性を均一化する。特に
複数電極式の場合、電極没入深さを均一化させ、電力原
単位の低減や電極偏消耗の防止が期待できる。しかし、
これに拘束されることなく、上方から専用の投入孔や中
空電極を経て溶融域に塊状造滓剤を投入する方法も採用
可能である。場合によっては、速効性に劣るものの、原
料の荷下りに対して追装原料と同時に装入する方法も効
果的である。
組成の調整には、速効性を考慮するとき、主として粉末
状の造滓剤を溶融域に直接吹き込むインジェクション方
式が採用される。インジェクション方式は、溶融域を撹
拌する作用も呈し、炉内の通電特性を均一化する。特に
複数電極式の場合、電極没入深さを均一化させ、電力原
単位の低減や電極偏消耗の防止が期待できる。しかし、
これに拘束されることなく、上方から専用の投入孔や中
空電極を経て溶融域に塊状造滓剤を投入する方法も採用
可能である。場合によっては、速効性に劣るものの、原
料の荷下りに対して追装原料と同時に装入する方法も効
果的である。
【0019】
実施例1:各種ステンレス鋼を生産する製鋼工場で発生
した電気炉ダスト及び湿式回収した転炉ダスト,スケー
ル等をフィルタープレスで脱水し、内燃式キルンで乾燥
処理した。また、ステンレス鋼帯の焼鈍酸洗時に生じた
スケール及び廃酸処理工程で沈澱凝集によって回収した
水酸化物類(スラッジ)を同様に脱水・乾燥処理した。
これらの酸化物原料及び水酸化物原料を、1350〜1
500℃の温度範囲でスラグの比電導度が0.8〜1.
7Ω-1/cmの範囲になるようにCaO,SiO2 等の
スラグ成分を配合し、コークス(還元剤)及びバインダ
ーと共に混合した。混練後、所定の粒径に製団した。使
用した酸化物原料及び水酸化物原料の組成を表1に示
す。原料の配合計画では、表1の代表値を使用し、スラ
グのCaO/SiO2 比が2.1になるように各種原料
を配合した。すなわち、表2に示すように、初期には原
料Aを14.7重量%,原料Cを34.8重量%,原料
Dを47.1重量%,その他の原料Eを3.4重量%の
割合で混合した。この配合割合では、各成分の代表値か
らCaO量及びSiO2 量が計算により求められ、両者
の比CaO/SiO2 が2.1になる。
した電気炉ダスト及び湿式回収した転炉ダスト,スケー
ル等をフィルタープレスで脱水し、内燃式キルンで乾燥
処理した。また、ステンレス鋼帯の焼鈍酸洗時に生じた
スケール及び廃酸処理工程で沈澱凝集によって回収した
水酸化物類(スラッジ)を同様に脱水・乾燥処理した。
これらの酸化物原料及び水酸化物原料を、1350〜1
500℃の温度範囲でスラグの比電導度が0.8〜1.
7Ω-1/cmの範囲になるようにCaO,SiO2 等の
スラグ成分を配合し、コークス(還元剤)及びバインダ
ーと共に混合した。混練後、所定の粒径に製団した。使
用した酸化物原料及び水酸化物原料の組成を表1に示
す。原料の配合計画では、表1の代表値を使用し、スラ
グのCaO/SiO2 比が2.1になるように各種原料
を配合した。すなわち、表2に示すように、初期には原
料Aを14.7重量%,原料Cを34.8重量%,原料
Dを47.1重量%,その他の原料Eを3.4重量%の
割合で混合した。この配合割合では、各成分の代表値か
らCaO量及びSiO2 量が計算により求められ、両者
の比CaO/SiO2 が2.1になる。
【0020】製団・養生された後のブリケットを、電気
炉への装入直前にサンプリングし、成分分析した。分析
結果である実際のCaO/SiO2 比は2.4で、目標
値より0.3高い値であった。CaO/SiO2 =2.
4は、図2に示されているように最適な比電導度範囲の
上限に近い値に相当する組成である。そこで、配合工程
においてCaO/SiO2 比を下げるように、SiO2
分の多い原料Eの配合割合を5.13重量%に増加させ
ると共に、原料Cの配合割合を33重量%に減少させ、
1チャージ目に投入するブリケットを調整した。このよ
うにして調整されたブリケットを電気製錬炉に供給し、
1チャージ目(チャージNo.101)の溶解を行った。
溶解には178分を要し、得られたメタル及びスラグの
合計量は、装入した原料の送料を基準として0.67で
あった。また、最終的に生成したスラグは、出銑の際に
交流ブリッジ回路を使用して白金電極で測定したとこ
ろ、比電導度が0.83Ω-1/cmであった。操業中に
おけるスラグの比電導度は、0.83〜1.07Ω-1/
cmの幅で変動した。
炉への装入直前にサンプリングし、成分分析した。分析
結果である実際のCaO/SiO2 比は2.4で、目標
値より0.3高い値であった。CaO/SiO2 =2.
4は、図2に示されているように最適な比電導度範囲の
上限に近い値に相当する組成である。そこで、配合工程
においてCaO/SiO2 比を下げるように、SiO2
分の多い原料Eの配合割合を5.13重量%に増加させ
ると共に、原料Cの配合割合を33重量%に減少させ、
1チャージ目に投入するブリケットを調整した。このよ
うにして調整されたブリケットを電気製錬炉に供給し、
1チャージ目(チャージNo.101)の溶解を行った。
溶解には178分を要し、得られたメタル及びスラグの
合計量は、装入した原料の送料を基準として0.67で
あった。また、最終的に生成したスラグは、出銑の際に
交流ブリッジ回路を使用して白金電極で測定したとこ
ろ、比電導度が0.83Ω-1/cmであった。操業中に
おけるスラグの比電導度は、0.83〜1.07Ω-1/
cmの幅で変動した。
【0021】1チャージ目の製錬中に、2チャージ目
(チャージNo.102)の原料として装入予定のブリケ
ットをサンプリングし、成分分析したところ、CaO/
SiO2 比が最適範囲の下限に近い1.7であった。そ
こで、配合工程で比電導度を上げる方向へ補正するた
め、原料Dの配合割合を53重量%に増量した。このよ
うに調整されたブリケットを装入して溶解した操業で
は、155分の溶解時間を要した。得られたメタル及び
スラグの合計量は、装入原料比で0.68であった。ま
た、最終的に生成したスラグの比電導度は0.80Ω-1
/cmであり、操業中の変動幅は0.80〜1.06Ω
-1/cmであった。以上のように、実際のブリケットの
分析値を原料配合工程にフィードバックし、最適なスラ
グ組成、すなわち比電導度に調整する操業法で3チャー
ジ分(チャージNo.103〜105)の原料を溶解し
た。このときの原料配合割合は、表2に示すように調整
した。また、出銑の際にスラグの比電導度を測定したと
ころ、スラグの比電導度は、チャージ間で図4に示すよ
うに変動した。
(チャージNo.102)の原料として装入予定のブリケ
ットをサンプリングし、成分分析したところ、CaO/
SiO2 比が最適範囲の下限に近い1.7であった。そ
こで、配合工程で比電導度を上げる方向へ補正するた
め、原料Dの配合割合を53重量%に増量した。このよ
うに調整されたブリケットを装入して溶解した操業で
は、155分の溶解時間を要した。得られたメタル及び
スラグの合計量は、装入原料比で0.68であった。ま
た、最終的に生成したスラグの比電導度は0.80Ω-1
/cmであり、操業中の変動幅は0.80〜1.06Ω
-1/cmであった。以上のように、実際のブリケットの
分析値を原料配合工程にフィードバックし、最適なスラ
グ組成、すなわち比電導度に調整する操業法で3チャー
ジ分(チャージNo.103〜105)の原料を溶解し
た。このときの原料配合割合は、表2に示すように調整
した。また、出銑の際にスラグの比電導度を測定したと
ころ、スラグの比電導度は、チャージ間で図4に示すよ
うに変動した。
【0022】比較例1:実施例1と同様な操業状況にあ
るステンレス鋼工場で発生した原料を使用し、電気製錬
用のブリケットに製団した。この場合、原料の配合は、
特にスラグ成分を考慮することなく各成分の代表値を使
用して配合割合を決定した。そして、実施例1と同様に
養生した後で製錬炉に供給し、5チャージ分(チャージ
No.106〜110)の溶解・出銑を継続した。操業
中、炉内に挿入したプローブ型電極でスラグの比電導度
を測定し、その変動を図4に示した。装入原料をチャー
ジごとに装入原料の配合割合を調整せず、予め製団され
たブリケットを順次装入する比較例1では、後期におけ
る偏析の影響を受け、スラグ組成の変動が大きくなる。
すなわち、図4から明らかなように、比電導度が広い範
囲で変動しており、本発明で規定した下限0.8Ω-1/
cm及び上限1.7Ω-1/cmを外れるものもあった。
このとき、炉況がかなり不安定になっており、異常吹上
げ等のトラブルも多発した。その結果、5チャージ間の
電力原単位は、表3に示すように2500〜2700K
WH/トン−メタルと高い値を示した。また、電力効率
の悪化に起因して炉内に原料が残留する傾向が強くなっ
ていることが、(出銑メタル+スラグ)量/装入原料量
比の増加して表されている。溶解時間も、電力効率の悪
化に伴って長くなっており、生産性の低下を招く要因と
なった。
るステンレス鋼工場で発生した原料を使用し、電気製錬
用のブリケットに製団した。この場合、原料の配合は、
特にスラグ成分を考慮することなく各成分の代表値を使
用して配合割合を決定した。そして、実施例1と同様に
養生した後で製錬炉に供給し、5チャージ分(チャージ
No.106〜110)の溶解・出銑を継続した。操業
中、炉内に挿入したプローブ型電極でスラグの比電導度
を測定し、その変動を図4に示した。装入原料をチャー
ジごとに装入原料の配合割合を調整せず、予め製団され
たブリケットを順次装入する比較例1では、後期におけ
る偏析の影響を受け、スラグ組成の変動が大きくなる。
すなわち、図4から明らかなように、比電導度が広い範
囲で変動しており、本発明で規定した下限0.8Ω-1/
cm及び上限1.7Ω-1/cmを外れるものもあった。
このとき、炉況がかなり不安定になっており、異常吹上
げ等のトラブルも多発した。その結果、5チャージ間の
電力原単位は、表3に示すように2500〜2700K
WH/トン−メタルと高い値を示した。また、電力効率
の悪化に起因して炉内に原料が残留する傾向が強くなっ
ていることが、(出銑メタル+スラグ)量/装入原料量
比の増加して表されている。溶解時間も、電力効率の悪
化に伴って長くなっており、生産性の低下を招く要因と
なった。
【0023】これに対し、実施例1では、比電導度が比
較的安定しており、5チャージ間で0.80〜1.53
Ω-1/cmの範囲に収められていた。また、各チャージ
の電力源単位は、表3に示すように2450〜2550
KWH/トン−メタルであった。(出銑メタル+スラ
グ)/装入原料量比は、5チャージの間で次第に増加す
る傾向を示している。これは、炉内付着物が溶解され、
炉内の実効容積が次第に大きくなっていることに起因す
るものと推察される。溶解時間も比較例1に比べて短く
なっており、投入された電力が溶解エネルギーとして有
効に消費されていることが判る。
較的安定しており、5チャージ間で0.80〜1.53
Ω-1/cmの範囲に収められていた。また、各チャージ
の電力源単位は、表3に示すように2450〜2550
KWH/トン−メタルであった。(出銑メタル+スラ
グ)/装入原料量比は、5チャージの間で次第に増加す
る傾向を示している。これは、炉内付着物が溶解され、
炉内の実効容積が次第に大きくなっていることに起因す
るものと推察される。溶解時間も比較例1に比べて短く
なっており、投入された電力が溶解エネルギーとして有
効に消費されていることが判る。
【0024】実施例2:実施例1と同様に各種原料を配
合,製団し、数日間養生した後、電気製錬炉に供給し
た。各原料の配合割合は、実施例1と同様に目標の比電
導度が0.8〜1.7Ω-1/cmとなるように、ブリケ
ットの分析結果をフィードバックして調整した。電気製
錬炉の稼動中には、炉内にあるスラグにプローブ型電極
を挿入し、スラグの比電導度を測定した。そして、比電
導度が下限0.8Ω-1/cmを下回らず且つ下限0.8
Ω-1/cmに可能な限り近くなるように、測定値に応じ
て所定のスラグ成分を炉内の溶融域に吹き込んだ。チャ
ージNo.121では、初期の比電導度が0.9Ω-1/c
mであり、操業中に比電導度が次第に上昇する傾向を示
した。そのため、比電導度が0.2Ω-1/cm上昇する
ごとに、塩基度を0.02だけ下げるSiO2 を吹き込
むことにより比電導度を低減した。このとき、SiO2
の吹込み量としては、吹込み時の推定スラグボリューム
量から算出した値を使用した。
合,製団し、数日間養生した後、電気製錬炉に供給し
た。各原料の配合割合は、実施例1と同様に目標の比電
導度が0.8〜1.7Ω-1/cmとなるように、ブリケ
ットの分析結果をフィードバックして調整した。電気製
錬炉の稼動中には、炉内にあるスラグにプローブ型電極
を挿入し、スラグの比電導度を測定した。そして、比電
導度が下限0.8Ω-1/cmを下回らず且つ下限0.8
Ω-1/cmに可能な限り近くなるように、測定値に応じ
て所定のスラグ成分を炉内の溶融域に吹き込んだ。チャ
ージNo.121では、初期の比電導度が0.9Ω-1/c
mであり、操業中に比電導度が次第に上昇する傾向を示
した。そのため、比電導度が0.2Ω-1/cm上昇する
ごとに、塩基度を0.02だけ下げるSiO2 を吹き込
むことにより比電導度を低減した。このとき、SiO2
の吹込み量としては、吹込み時の推定スラグボリューム
量から算出した値を使用した。
【0025】たとえば、溶解中期に約2500kgのス
ラグが生成され、このうち80%がCaO+SiO2 で
あると推定された。そこで、この時期に比電導度を変化
させる際に、比電導度の0.2Ω-1/cmの上昇に対し
て、塩基度が0.02だけ下がるように、図2から計算
上求められる約5kgのSiO2 を吹き込んだ。SiO
2 は、Arガスをキャリアガスとして炉壁羽口から炉内
の溶融帯に吹き込まれた。その結果、比電導度の変動幅
が0.9〜0.95Ω-1/cmの範囲に収められ、チャ
ージNo.121において安定させることができた。チャ
ージNo.124では、溶解初期から中期にかけて比電導
度が0.92Ω-1/cm→0.88Ω-1/cm→0.8
2Ω-1/cmと低下傾向を示した。そこで、初期の推定
スラグ生成量1000kg/に対して、比電導度を0.
04Ω-1/cm上げるように、図2から計算上求められ
るCaO/SiO2 比を0.05高めるのに必要な量約
5.6kgのSiO2 を吹き込んだ。
ラグが生成され、このうち80%がCaO+SiO2 で
あると推定された。そこで、この時期に比電導度を変化
させる際に、比電導度の0.2Ω-1/cmの上昇に対し
て、塩基度が0.02だけ下がるように、図2から計算
上求められる約5kgのSiO2 を吹き込んだ。SiO
2 は、Arガスをキャリアガスとして炉壁羽口から炉内
の溶融帯に吹き込まれた。その結果、比電導度の変動幅
が0.9〜0.95Ω-1/cmの範囲に収められ、チャ
ージNo.121において安定させることができた。チャ
ージNo.124では、溶解初期から中期にかけて比電導
度が0.92Ω-1/cm→0.88Ω-1/cm→0.8
2Ω-1/cmと低下傾向を示した。そこで、初期の推定
スラグ生成量1000kg/に対して、比電導度を0.
04Ω-1/cm上げるように、図2から計算上求められ
るCaO/SiO2 比を0.05高めるのに必要な量約
5.6kgのSiO2 を吹き込んだ。
【0026】製錬中期、比電導度が依然として低下傾向
を示した。そのため、この時期の推定スラグ生成量25
00kgに対して、比電導度を0.06Ω-1/cm上げ
るように、図2から計算上求められた塩基度を0.1高
めるのに必要な量約26kgのSiO2 を吹き込んだ。
その結果、チャージNo.124間で比電導度の変動幅が
0.85〜0.93Ω-1/cmの範囲に納められ、操業
状況が安定化した。このようにして操業を継続し、5チ
ャージ(チャージNo.121〜125)続けて出銑し
た。5チャージ間での比電導度は、図4に示すように、
実施例1に比較して0.82〜1.15Ω-1/cmとよ
り低いレベルで安定し、理想的なスラグの比電導度制御
が可能になった。また、各チャージの電力原単位は23
40〜2510KWH/トン−メタルであり、後述する
比較例2に比べて約200KWH/トン−メタルの電力
が低減された。
を示した。そのため、この時期の推定スラグ生成量25
00kgに対して、比電導度を0.06Ω-1/cm上げ
るように、図2から計算上求められた塩基度を0.1高
めるのに必要な量約26kgのSiO2 を吹き込んだ。
その結果、チャージNo.124間で比電導度の変動幅が
0.85〜0.93Ω-1/cmの範囲に納められ、操業
状況が安定化した。このようにして操業を継続し、5チ
ャージ(チャージNo.121〜125)続けて出銑し
た。5チャージ間での比電導度は、図4に示すように、
実施例1に比較して0.82〜1.15Ω-1/cmとよ
り低いレベルで安定し、理想的なスラグの比電導度制御
が可能になった。また、各チャージの電力原単位は23
40〜2510KWH/トン−メタルであり、後述する
比較例2に比べて約200KWH/トン−メタルの電力
が低減された。
【0027】比較例2:実施例2と同一ロットの原料を
使用し、コークス及びバインダーと混合し、混練,製団
した。この例では、配合の際に特に比電導度の調整を考
慮しなかった。得られたブリケットを実施例2と同様に
養生した後、電気製錬炉に供給し、5チャージ(チャー
ジNo.126〜130)続けて出銑した。なお、Ca
O,SiO2 等のスラグ成分を意識的に過剰量で供給
し、低比電導度から高比電導度の範囲で操業した。この
場合、炉況がかなり悪化したが、5チャージ間での比電
導度は、図4に示すように0.64〜1.82Ω-1/c
mの範囲に収められた。しかし、電力原単位は2530
〜2700KWH/トン−メタルと高くなっており、溶
解時間も193分/チャージと長くなった。すなわち、
投入された電力が原料の溶解に消費される効率は低いも
のであった。実施例2の操業では、比較例2との対比か
ら明らかなように、原料の配合割合を最適に調整するこ
とにより、スラグの比電導度を安定化し、高効率で且つ
安定した炉況の下で電気製錬炉を操業できた。また、操
業中にスラグの比電導度を制御することにより、電力原
単位が急激に上昇する比電導度0.8Ω-1/cm(図1
参照)を下回ることがなく、抵抗加熱に対してより好適
なスラグ組成が維持され、操業効率が著しく向上した。
使用し、コークス及びバインダーと混合し、混練,製団
した。この例では、配合の際に特に比電導度の調整を考
慮しなかった。得られたブリケットを実施例2と同様に
養生した後、電気製錬炉に供給し、5チャージ(チャー
ジNo.126〜130)続けて出銑した。なお、Ca
O,SiO2 等のスラグ成分を意識的に過剰量で供給
し、低比電導度から高比電導度の範囲で操業した。この
場合、炉況がかなり悪化したが、5チャージ間での比電
導度は、図4に示すように0.64〜1.82Ω-1/c
mの範囲に収められた。しかし、電力原単位は2530
〜2700KWH/トン−メタルと高くなっており、溶
解時間も193分/チャージと長くなった。すなわち、
投入された電力が原料の溶解に消費される効率は低いも
のであった。実施例2の操業では、比較例2との対比か
ら明らかなように、原料の配合割合を最適に調整するこ
とにより、スラグの比電導度を安定化し、高効率で且つ
安定した炉況の下で電気製錬炉を操業できた。また、操
業中にスラグの比電導度を制御することにより、電力原
単位が急激に上昇する比電導度0.8Ω-1/cm(図1
参照)を下回ることがなく、抵抗加熱に対してより好適
なスラグ組成が維持され、操業効率が著しく向上した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、電気製錬炉内にあるスラグの比電導度を制御するこ
とにより、抵抗加熱による溶解効率を向上させている。
その結果、電力原単位が低減され、更には電気エネルギ
ーの有効消費によって炉内付着物の溶解除去が促進さ
れ、製錬に有効な炉内の実効容積が増大する。したがっ
て、生産性が向上し、生産コストが低減される。また、
本発明に従った操業方法によって、スクラップ等を原料
とする電気アーク炉,シャフトタイプの製錬炉において
も電力原単位の低減や操業の安定化が図られる。
は、電気製錬炉内にあるスラグの比電導度を制御するこ
とにより、抵抗加熱による溶解効率を向上させている。
その結果、電力原単位が低減され、更には電気エネルギ
ーの有効消費によって炉内付着物の溶解除去が促進さ
れ、製錬に有効な炉内の実効容積が増大する。したがっ
て、生産性が向上し、生産コストが低減される。また、
本発明に従った操業方法によって、スクラップ等を原料
とする電気アーク炉,シャフトタイプの製錬炉において
も電力原単位の低減や操業の安定化が図られる。
【図1】 スラグの比電導度と電力原単位との関係
【図2】 塩基度CaO/SiO2 比と比電導度との関
係
係
【図3】 本発明に従った制御フロー
【図4】 チャージ間における比電導度の変動状況
【図5】 チャージ間における電力原単位の変動状況
Claims (3)
- 【請求項1】 製鋼ダスト及び廃液スラッジを主成分と
する酸化物原料を電気製錬炉内で溶解,還元してNi,
Cr含有合金を回収する際、温度1350〜1500℃
の温度範囲におけるスラグの比電導度が0.8〜1.7
Ω-1/cmの範囲に維持されるようにCaO/SiO2
比を決定し、該CaO/SiO2 比に基づき造滓剤を含
む原料の配合割合を決定する電気製錬炉の操業方法。 - 【請求項2】 原料配合段階から電気製錬炉内の溶融域
までの搬送工程における成分変動要因を予め定めてお
き、請求項1記載の比電導度が得られるように、前記成
分変動要因に応じて原料配合比を決定する電気製錬炉の
操業方法。 - 【請求項3】 溶融スラグの温度及び比電導度を測定
し、請求項1記載の温度範囲及び比電導度の範囲でスラ
グに比電導度が可能な限り低い値になるように、測定値
に応じて造滓剤を添加する電気製錬炉の操業方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27827294A JPH08120354A (ja) | 1994-10-18 | 1994-10-18 | 電気製錬炉の操業方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27827294A JPH08120354A (ja) | 1994-10-18 | 1994-10-18 | 電気製錬炉の操業方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08120354A true JPH08120354A (ja) | 1996-05-14 |
Family
ID=17595042
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27827294A Withdrawn JPH08120354A (ja) | 1994-10-18 | 1994-10-18 | 電気製錬炉の操業方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08120354A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008031549A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-02-14 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | 鉄鋼副生物の焙焼還元方法 |
JP2008031548A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-02-14 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | 鉄鋼副生物の還元リサイクル用原料及びその焙焼還元方法 |
CN103014356A (zh) * | 2012-12-27 | 2013-04-03 | 四川西南不锈钢有限责任公司 | 不锈钢除尘灰中回收铬、镍的方法 |
-
1994
- 1994-10-18 JP JP27827294A patent/JPH08120354A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008031549A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-02-14 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | 鉄鋼副生物の焙焼還元方法 |
JP2008031548A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-02-14 | Nippon Yakin Kogyo Co Ltd | 鉄鋼副生物の還元リサイクル用原料及びその焙焼還元方法 |
CN103014356A (zh) * | 2012-12-27 | 2013-04-03 | 四川西南不锈钢有限责任公司 | 不锈钢除尘灰中回收铬、镍的方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020115 |