JPH08120268A - フェニルベンジルエーテル誘導体 - Google Patents

フェニルベンジルエーテル誘導体

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JPH08120268A
JPH08120268A JP25673094A JP25673094A JPH08120268A JP H08120268 A JPH08120268 A JP H08120268A JP 25673094 A JP25673094 A JP 25673094A JP 25673094 A JP25673094 A JP 25673094A JP H08120268 A JPH08120268 A JP H08120268A
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liquid crystal
mixture
general formula
atom
compounds
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JP25673094A
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Inventor
Sadao Takehara
貞夫 竹原
Haruyoshi Takatsu
晴義 高津
Shinji Ogawa
真治 小川
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化1】 (R1:C1〜12のアルキル基又はC2〜12のアル
ケニル基、X1〜X4:H又はD、但し少なくとも1個は
D、Y1〜Y4:それぞれ独立的にH又はF、Z1:H、
F、Cl、CN、R2、OR2、CF3、OCF3、OCF
2H又はOCH2CF3、R2:C1〜12のアルキル基又
はC3〜12のアルケニル基、Z2:F又はCl、m:
0又は1)で表わされる化合物の2種以上からなる混合
物。 【効果】 この混合物は、工業的にも極めて容易に製造
することができる。更にこの混合物は、組成物のネマチ
ック液晶上限温度を低下させずに、融点を効果的に低下
させる。しかも低温でも結晶を析出させにくいという優
れた特徴を有する。従って、低温での使用が期待される
液晶表示素子、特にアクティブマトリクス駆動用液晶表
示素子の構成要件として極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気光学的液晶表示材料
の特性を改善することができる、重水素原子を有する液
晶化合物からなる混合物に関し、更に詳しくは、低温領
域で長期間結晶を析出させない優れた効果を有するフェ
ニルベンジルエーテル誘導体の混合物に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、時計、電卓をはじめと
して、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子
手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いら
れるようになっている。液晶表示方式としては、その代
表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩
れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲス
ト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等があ
り、また駆動方式としても従来のスタティック駆動から
マルチプレックス駆動が一般的になり、最近ではこのよ
うな単純マトリックス駆動から、TFT (Thin Film Tr
ansistor) やMIM (Metal-Insulator-Metal) 等を用
いたアクティブマトリックス駆動が実用化されている。
【0003】これらの表示方式や駆動方式に応じて、液
晶組成物に種々の特性が要求されているが、(1)液晶
相の温度範囲が低温から高温まで広く、広い温度範囲で
駆動できること、(2)しきい値電圧(Vth)が低く、
低電圧駆動が可能なこと、(3)低粘性であり、高速応
答可能なことは、表示方式や駆動方式によらず、どの液
晶組成物にも共通して要求されている重要な特性であ
る。
【0004】現在までのところ、こうした要求特性を単
独で満たす液晶化合物は知られておらず、種々の液晶化
合物を混合することによって所望の特性を有する液晶組
成物を得ているのが現状である。
【0005】このうち、幅広い温度範囲で液晶相を示す
液晶組成物を得るために、液晶相の温度領域の異なる種
々の液晶化合物を混合する方法が用いられている。この
ような手法を用いる場合、例えば、液晶組成物のネマチ
ック相−等方性液体相転移温度(以下、TN-I点とい
う。)を上昇させる場合には、TN-I点の高い液晶化合
物の混合割合を高くすればよい。しかしながら、このよ
うな化合物はネマチック相の下限温度(以下、TC-N
という。)も高いので、必然的に得られる液晶組成物の
C-N点も上昇してしまい、低温で結晶が析出してしま
うものがおおく、実用的な液晶組成物として用いること
ができなくなる場合が多い。
【0006】このようなことから、ネマチック相の温度
範囲が低温領域から高温領域まで広い実用的な液晶組成
物を調製する場合には、一般的に融点の低い液晶化合物
と室温付近でネマチック相を示す液晶化合物とTN-I
の高い化合物を、経験的に10〜20種類混合すること
により、液晶相の温度範囲を調製している。
【0007】しかしながら、温度範囲を拡大すると同時
に、実際には使用目的に応じて、電気光学的特性や粘性
も最適化しなければならないため、液晶組成物の構成成
分となる液晶化合物としては、他の化合物との相溶性も
含めて数々の要求特性をある程度満たすものでなければ
使用できない。従って、数多い液晶化合物の中でも、実
用的な液晶組成物を調製する上で使用できる化合物の選
択範囲はかなり限定される。
【0008】例えば、現在、液晶表示装置の主流となり
つつあるTFTやMIM等のアクティブマトリクス駆動
方式用の液晶組成物にも、前述の(1)から(3)の特
性が要求されるが、これらに加えて第4番目の性質とし
て、(4)高い電圧保持率を有することが更に要求され
る。これは、液晶組成物の電圧保持率が低いと、駆動さ
せたはずの画素の輝度が変化するフリッカ現象が起きて
しまうからである。
【0009】一般的に、液晶組成物の電圧保持率を高く
するためには、デバイス中での熱や光等に対して化学的
に安定で、しかも比抵抗値が高くなければならない。こ
のような要求特性を満たす液晶化合物が種々検討された
結果、従来、TN、STNに用いられていた化合物の中
でも、エステル基、シアノ基、ピリミジン基あるいはジ
オキサン基等を有する液晶化合物は、電圧保持率を低下
させるので、アクティブマトリクス用には適さないこと
が明らかになった。
【0010】また、アクティブマトリクス駆動方式にお
いても、表示方式は従来のTN表示方式と同じであるた
め、液晶組成物の誘電率異方性(Δε)は全体として正
であることが必須である。しかしながら、従来使用され
ていたΔεが正の液晶化合物(以下、p形液晶化合物と
する。)の中でも比較的大きなΔεを有するものも、同
様に電圧保持率を低下させるので、下記のような化合物
はアクティブマトリクス駆動用には適さないことが明ら
かになった。
【0011】
【化2】
【0012】(式中、Rはアルキル基を表わす。) そのため、現在では液晶組成物のΔεを正の適当な値に
するために、官能基としてフルオロ基やクロロ基を有す
る化合物、例えば、下記のようなp形液晶化合物がアク
ティブマトリクス用の材料として用いられている。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】(式中、Rはアルキル基を表わし、R’は
アルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基を
表わす。) しかしながら、これらの化合物を用いてアクティブマト
リクス駆動に必要な電気光学的特性を達成することはで
きても、アクティブマトリクスに用いられる液晶化合物
は、比較的TN-I点が高いものが多いので、TC-N点が十
分に低い液晶組成物を調製することは非常に難しい。
【0016】この問題を解決するために、前記フルオロ
系化合物のうち、同一骨格を有し、且つ末端アルキル基
の炭素原子数が2〜7までの範囲で互いに異なる同族体
を数種添加することによって液晶組成物のTC-N点を低
下させる方法が用いられている。しかしながら、この方
法ではTC-N点はさほど低下せず、しかも末端アルキル
基の炭素原子数が大きくなすほど粘度が上昇する傾向が
あるので、結果的には前述の(3)の応答特性を悪化さ
せてしまう。
【0017】このように、前述の(1)から(4)の特
性をすべて満足するアクティブ用液晶組成物は現在のと
ころ得られておらず、アクティブマトリクス用の液晶組
成物としては、(2)〜(4)の特性を満たすことを優
先させており、(1)の温度範囲については、TC-N
が十分に低くないものでも使用せざるを得ない状況であ
り、当然、低温では結晶が析出しやすいものが多い。
【0018】また、STN液晶表示装置に用いられる液
晶組成物には、前述の(1)から(4)の特性に加え
て、更に5番目の特性として(5)液晶組成物の弾性定
数比(K33/K11)が大きく、高コントラストを達成す
ることが要求されている。更に、STN表示方式は、特
にラップトップコンピューター等の汎用機器に多く適用
されているため、(2)のしきい値電圧が低いことも重
要な要求特性である。
【0019】液晶組成物のしきい値電圧を低下させるた
めには、下記の式に従って、液晶組成物の誘電率異方性
Δεを大きくするか、弾性定数Kを小さくする必要があ
る。
【0020】
【数1】
【0021】(式中、kは比例定数を、Vthはしきい値
電圧を、Δεは誘電率異方性をそれぞれ表わす。) ここで、Δεの非常に大きな液晶化合物としては例え
ば、下式のような化合物があるが、Δεの大きすぎる化
合物を多量に使用すると、電流値の増大等の問題を引き
起こす場合が多く、実際に液晶表示装置として使用する
場合、信頼性の面で問題がある。
【0022】
【化5】
【0023】(式中、Rはアルキル基を表わす。) また、弾性定数の小さい液晶組成物は、p形液晶化合物
からなる母体液晶と、TN-I点が高く、且つ弾性定数が
比較的小さく、Δεが負の液晶化合物(以下、n形液晶
化合物とする。)の3環系液晶化合物若しくは3環系p
形液晶化合物を混合する方法によって調製される。
【0024】弾性定数比K33/K11の値が大きいp形液
晶化合物として、例えば、下式の化合物が用いられる。
【0025】
【化6】
【0026】(式中、R’はアルキル基、アルケニル基
又はアルコキシアルキル基を表わし、Xは水素原子又は
フッ素原子を表わす。) 従って、STNにおけるしきい値電圧特性とコントラス
ト特性を満たすために、このようなp形液晶化合物と前
述の3環系のp形あるいはn形液晶化合物を混合する
と、低温領域で結晶が析出しやすい傾向があるという問
題がある。そこで、アクティブマトリクスの場合と同様
に、同一骨格を有し、且つR’の炭素原子数が互いに異
なる同族体を何種類も添加したり、R’がアルケニル基
である場合、二重結合の位置が互いに異なる同族体を何
種類も添加して、得られる液晶組成物のTC-N点を低下
させている。
【0027】しかしながら、このような方法では、炭素
原子数の違いあるいは二重結合の位置の違いによって、
化合物の弾性定数比K33/K11の値も大きく異なるの
で、結局、得られる液晶組成物の弾性定数比K33/K11
が小さくなり、コントラストが低下してしまう場合が多
い。また、同族体を添加する方法ではTC-N点の低下に
も限界があることに加えて、粘性が増大し、応答速度が
遅くなるという問題もあり、これらの問題点を考慮した
上で液晶組成物の組成設計をすることは非常に難しい。
【0028】現状では、しきい値電圧が1.2V程度の
しきい値電圧の低いSTN用液晶組成物も調製されては
いるが、上述のように弾性定数比K33/K11の値が充分
大きくないので、低電圧駆動で、高いコントラストのS
TN液晶表示装置は現在のところ作製されていない。
【0029】ここまで説明してきたように、前述の
(1)の液晶相の温度範囲の広い液晶組成物としては、
液晶組成物のTN-I点が高いことはもちろん、TC-N点が
低いことも要求されるが、実際には、TC-N点よりも高
い温度であっても、長期間低温領域で保存すると結晶が
析出してしまう材料も少なくないので、信頼性の高い液
晶表示装置には、低温領域でも長期間液晶組成物中に結
晶が析出せず、表示画面全体に環境温度変化による表示
欠陥のないことが要求される。
【0030】液晶組成物のTC-N点は、個々の液晶単体
物質で構成される混合系組成物が過冷却現象を示す場合
が多いので、TC-N点は液晶組成物を液体窒素等で固化
あるいはガラス状態に充分低温(例えば−70℃)に冷
却して結晶かをはかり、しかるのちに温度を徐々に上昇
させながら固体からネマチック相への転移温度を測定
し、これをもってTC-N点としている。
【0031】しかしながら、成分数が10〜20種類の
実用的な液晶組成物の場合、共融混合物ではないため、
前述の測定に基づくネマチック相の下限温度より高い温
度で保存したとしても、結晶が析出してしまう場合が多
々あり、結局駆動可能な温度範囲は狭められてしまう。
【0032】例えば、TC-N点が−70℃であるにもか
かわらず、室温で結晶が析出するというものも珍しくな
い。また、前述のように車載用あるいは航空機用などに
は−40℃から110℃までの幅広い温度範囲で安定に
ネマチック相を示すことが要求されているが、−55℃
の低温で保存しても結晶が析出しない液晶組成物は現在
のところ得られていない。そのため、実際に車載用とし
て汎用されている液晶組成物でさえ、例えば、−25℃
で保存すると1週間程度で結晶が析出してしまうものも
ある。
【0033】このような例からも、液晶組成物のTC-N
点が非常に低くても、それより高い温度で結晶が析出し
ないとは限らないので、前述の(1)の特性を満たすも
のとしては、TC-N点が低いことではなく、低温領域で
も結晶が析出しないことが高い信頼性をえるために必要
とされる。
【0034】以上述べたように、液晶組成物はその表示
方式や駆動方式に適応するように種々の液晶化合物を混
合することによって調製されるが、現在使用されている
液晶化合物だけでは特性の改善には限界がある。特に、
汎用の液晶組成物は電気光学的特性を満足することに主
眼が置かれて組成設計されている場合が多い。しかしな
がら、そのような汎用の液晶組成物の中でも、特にTF
TやMIM等のアクティブマトリクス駆動方式用の液晶
組成物や、STN液晶表示装置用の液晶組成物において
は、(1)の液晶相の温度範囲が広いものであって、且
つ低温領域で結晶が析出しないことで、実用上高い信頼
性を得ている材料はほとんど存在しない。
【0035】前述の(2)〜(5)の特性をほぼ満足す
る汎用の液晶組成物は、その使用目的により温度は異な
るが、比較的低い温度で保存しても約1ヵ月間結晶が析
出しなければ、信頼性の高い実用液晶として認識されて
いる。
【0036】しかしながら、このような液晶組成物を用
いた場合、それを構成材料とする液晶表示装置は使用す
る環境温度が当然制限されている。このようなことから
も明らかなように、より低温でも結晶が析出しない、信
頼性の高い液晶組成物であって、各種の表示方式や駆動
方式に要求される電気光学的特性を充分に満足する液晶
組成物が望まれているにもかかわらず、このような液晶
組成物は現在のところ得られていないのである。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、液晶材料に添加することにより低温領域に
おける結晶析出の問題点を顕著に改善できるという効果
を示し、しかもしきい値電圧等の電気光学的特性等を悪
化させることのない液晶材料を提供することにある。
【0038】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討したが、現在汎用されている
液晶化合物だけでは、前述のように特性の改善には限界
があった。従って、本発明者らは、汎用の液晶組成物に
は全く用いられていない液晶材料を開発する必要がある
と考えた。
【0039】そこで、本発明者らは種々の文献に着目し
たが、その中で重水素原子(D)を有する液晶化合物に
ついては、以下に示すように既に数例の報告がある。 1) H.Gasparoux等,Ann.Rev.Phys.Chem., 27, 175(197
6) 2) G.W.Gray等, Mol.Cryst.Liq.Cryst., 41, 75(1977) 3) A.J.Leadbetter等, J.Phys.[Paris]coll C3, 40,
125(1979) 4) A.Kolbe等, Z.Naturforsch., 23a, 1237(1968) 5) J.D.Rowell等, J.Chem.Phys., 43, 3442(1965) 6) W.D.Philips等, J.Chem.Phys., 41, 2551(1964) 7) A.F.Martins等, Mol.Cryst.Liq.Cryst., 14, 75(197
7) 8) E.T.Samulski等, Phys.Rev.Lett., 29, 340(1972) 9) H.Zimmermann, Liquid Crystals, 4, 591(1989) しかしながら、これらの報告において、4−アルコキシ
安息香酸のカルボキシル基における水素原子(H)を重
水素原子(D)で置換した例 (文献(1))以外はすべ
て、末端基中の水素原子(H)を重水素原子(D)で置
換するか、あるいはベンゼン環に結合する水素原子
(H)を重水素原子(D)で置換した例であった。しか
もこれらの文献には、その化合物を液晶組成物に添加し
た例すらも記載されていない。
【0040】そこで、本発明者らは、これまでに報告さ
れていない、飽和炭化水素環に結合する水素原子(H)
を重水素原子(D)で置換することを試みたが、これに
よって得られる液晶材料は、前述の文献からは全く予想
もできないような、優れた特性を有していることが明ら
かになった。
【0041】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、一般式(I)
【0042】
【化7】
【0043】(式中、R1は炭素原子数1〜12のアル
キル基又は炭素原子数2〜12のアルケニル基を表わ
し、X1、X2、X3及びX4はそれぞれ独立的に水素原子
(H)又は重水素原子(D)を表わすが少なくとも1個
は重水素原子(D)を表わし、Y 1、Y2、Y3及びY4
それぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Z
1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、−
2、−OR2、−CF3、−OCF3、−OCF2H又は
−OCH2CF3を表わし、R2は炭素原子数1〜12の
アルキル基又は炭素原子数3〜12のアルケニル基を表
わし、Z2はフッ素原子又は塩素原子を表わし、mは0
又は1を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置であ
る。)で表わされる2種以上の化合物が、(1)互いに
1〜X4における重水素原子(D)の数及び/又は置換
位置が異なり、且つ(2)互いにR1、Y1、Y2、Y3
4、Z1、Z2、R2及びmが同一であることを特徴とす
る前記一般式(I)で表わされる化合物の2種以上から
なる混合物(以下、一般式(I)の混合物とする)を提
供する。
【0044】本発明に係わる一般式(I)の混合物のう
ち、R1が炭素原子数1〜7のアルキル基又は炭素原子
数2〜7のアルケニル基を表わし、Y1、Y2、Y3及び
4のうち1〜3個がフッ素原子を表わし、Z1が水素原
子、フッ素原子又は−OCF3を表わし、Z2はフッ素原
子を表わすことが好ましい。
【0045】上述のように、一般式(I)の混合物の特
徴は、一般式(I)において、X1、X2、X3及びX4
それぞれ独立的に、水素原子(H)又は重水素原子
(D)を表わし、且つそのうちの少なくとも1個は重水
素原子(D)である化合物の2種以上からなり、しかも
その2種以上の化合物において、(1)互いにX1〜X4
における重水素原子(D)の数及び/又は置換位置が異
なり、且つ(2)互いにR1、Y1、Y2、Y3、Y4
1、Z2、R2及びmが同一であることを特徴とする点
にある。即ち、一般式(I)において、R1、Y1
2、Y3、Y4、Z1、Z2、R2及びmを固定した場合
に、一般式(I)の化合物には立体異性体を含めると多
数の化合物が存在し得ることになる。
【0046】ところが、後述するようにその製造工程に
おいて、これらの多数の化合物を選択的に1種ずつ製造
することは、製造工程が煩雑になり産業上有利ではな
い。このため重水素原子(D)の数及び/又は置換位置
の違いによる多数の同族体のうちの数種の化合物からな
る混合物の状態で使用することは液晶材料として何等差
し支えがない。
【0047】逆に混合物として用いることにより、低温
領域における結晶析出が起こり難くなることや、他の液
晶化合物との相溶性が向上するといった優れた特性が得
られ、むしろ一般式(I)で表わされる1種の化合物単
独で用いる場合よりも好ましい。
【0048】また、このような本発明の混合物の中で
も、一般式(I)で表わされる2種以上の化合物からな
る混合物における重水素原子(D)の数の割合が、一般
式(I)におけるX1〜X4の総数に対して30〜95%
の範囲にある混合物が好ましく、40〜85%の範囲に
あることがより好ましい。
【0049】本発明に係わる一般式(I)の混合物は、
例えば以下の製造方法によって得ることができる。一般
式(II’)
【0050】
【化8】
【0051】(式中、R1、Y4、Z2及びmは一般式
(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされる化
合物に換えて、一般式(II)
【0052】
【化9】
【0053】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y4
2及びmは一般式(I)におけると同じ意味を表わ
す。)で表わされる2種以上の化合物が、(1)互いに
1〜X4における重水素原子(D)の数及び/又は置換
位置が異なり、且つ(2)互いにR1、Y4、Z2及びm
が同一であることを特徴とする、前記一般式(II)で
表わされる重水素置換された化合物の2種以上からなる
混合物(以下、一般式(II)の混合物とする。)を中
間体として、重水素置換されていない通常のフルオロベ
ンゼン誘導体の場合と全く同様にして製造することがで
きる。
【0054】即ち、一般式(II)の混合物及び一般式
(III)
【0055】
【化10】
【0056】(式中、Y1、Y2、Y3及びZ1は一般式
(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされるベ
ンジルアルコール誘導体を、塩基存在下にアルコラート
として反応させることにより製造することができる。
【0057】反応は非プロトン性極性溶媒中で行うこと
が好ましく、特にN,N−ジメチルホルムアミド(DM
F)が好ましい。塩基としてはナトリウム等のアルカリ
金属、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、ブ
チルリチウム等の有機金属化合物、リチウムジイソプロ
ピルアミド(LDA)等の金属アミド、t−ブトキシカ
リウム等のアルコラート等を用いることができる。
【0058】あるいは一般式(I)の混合物は、一般式
(IV’)
【0059】
【化11】
【0060】(式中、R1、Y4、Z2及びmは一般式
(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされる化
合物に換えて、一般式(IV)
【0061】
【化12】
【0062】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y4
2及びmは一般式(I)におけると同じ意味を表わ
す。)で表わされる2種以上の化合物が、(1)互いに
1〜X4における重水素原子(D)の数及び/又は置換
位置が異なり、且つ(2)R1、Y4、Z2及びmが同一
であることを特徴とする、前記一般式(IV)で表わさ
れるフェノール誘導体の2種以上からなる混合物(以
下、一般式(IV)の混合物とする。)を塩基存在下に
アルコラートとして、これを一般式(V)
【0063】
【化13】
【0064】(式中、Y1、Y2、Y3及びZ1は一般式
(I)におけると同じ意味を表わし、Wは塩素原子、臭
素原子、ヨウ素原子又はp−トルエンスルホニル基等の
脱離基を表わす。)で表わされるベンジルハライドと反
応させることによっても得ることができる。ここで一般
式(IV)の混合物は、例えば、一般式(II)の混合
物とt−ブトキシカリウムを反応させるか、あるいは、
一般式(II)の混合物を、塩基存在下にベンジルアル
コールと反応させ、次いで接触還元すること等により得
ることができる。
【0065】一般式(I)において、Y1、Y2、Y3
びZ1のうち3個以上がフッ素原子を表わす場合には、
一般式(IV)及び(V)の混合物より製造することが
好ましい。
【0066】また、一般式(I)において、Z1=CN
の場合には、一般式(III)又は一般式(V)におい
て、Z1が水素原子に相当する化合物を用いて混合物を
製造し、得られた混合物を臭素化して、シアン化銅(I)
によりシアノ化させることにより一般式(I)において
1がシアノ基である混合物を得ることができる。
【0067】あるいは上記Z1=CNの製造過程におい
て臭素化された混合物を、ルイス酸存在下で蓚酸クロリ
ドと反応させて酸クロリドの混合物とした後に、アンモ
ニアで酸アミドとし、次いで塩化チオニル等で脱水させ
ることにより得ることもできる。
【0068】斯くして得られる一般式(I)で表わされ
る混合物の例をその相転移温度とともに第1表に掲げ
る。
【0069】
【表1】
【0070】(表中、Cは結晶相を、Nはネマチック相
を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。また、D化率
はその混合物におけるX1〜X4の総数に対する重水素原
子(D)の数の割合を示したものである。) 本発明の一般式(I)の混合物は、対応する重水素置換
されていない化合物と比較すると明らかに融点が低い。
しかも低温で結晶が析出しにくいという特徴を有してい
る。
【0071】その例として、現在汎用されている母体液
晶(M)
【0072】
【化14】
【0073】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)85重量%
及び第1表中の(No.2)の混合物15重量%から成
る混合液晶(M−2)を調製した。この混合液晶を−2
0℃で保存したところ、1ヶ月間放置しても結晶の析出
は観察できなかった。
【0074】比較のために母体液晶(M)85重量%及
び(No.2)と類似構造を有するが、重水素置換され
ていない式(R−2)
【0075】
【化15】
【0076】の化合物15重量%からなる混合液晶(M
R−2)を調製した。同様にして、この混合液晶を−2
0℃で放置したところ、1週間後に微量の結晶の析出に
よる白濁が観察された。
【0077】次に、アクティブマトリックス用低粘性母
体液晶(N)
【0078】
【化16】
【0079】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)85重量%
及び第1表中の(No.2)の混合物15重量%からな
る液晶組成物(N−2)を調製した。この混合液晶を1
0℃で放置したところ、2週間放置しても結晶の析出は
観察できなかった。
【0080】比較のために母体液晶(N)の85重量%
及び(No.2)と類似構造を有するが、重水素置換さ
れていない式(R−2)の化合物15重量%からなる混
合液晶(NR−2)を調製した。
【0081】同様にして、この混合液晶を10℃で放置
したところ、3日目に微量の結晶の析出が観察された。
このことから、本発明に係わる一般式(I)で表わされ
る重水素置換された液晶性化合物からなる混合物は、低
温で結晶を析出させにくくすることができる実用的な液
晶材料として極めて有用であることが明らかである。
【0082】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に
説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0083】化合物の構造は、重水素化されていない既
知の化合物と、キャピラリーガスクロマトグラフ及び薄
層クロマトグラフを比較し同一の保持時間(あるいはR
f値)を示すこと、及び核磁気共鳴スペクトル(NM
R)、質量スペクトル(MS)、赤外吸収スペクトル
(IR)等により確認した。また、重水素化率は日本電
子(株)製NMR(JNM−GSX400(400MH
1H)により測定したが、一般式(I)の混合物のD
化率は、中間体として用いた混合物のD化率をそのまま
用いた。
【0084】なお、化合物名及び構造式の前に記したd
4−は、一般式におけるR1に直結したシクロヘキサン環
の対応する4個の水素原子(X1〜X4)において、最大
4個までが重水素置換された化合物からなる混合物であ
ることを表わすものとする。また、組成物における
「%」は「重量%」を表わす。 (参考例1) d4−トランス−4’−プロピル−トラ
ンス−4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ビシ
クロヘキサンの合成 (a) 4−[トランス−4−(3,4,5−トリフル
オロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサノン10
3.0gをジクロロメタン100mlに溶解した。これ
にナトリウムメトキシド9.0gを重水(D化率99.
8%)63gに溶解して加え、さらに臭化テトラブチル
アンモニウム1.5gを加えた。10時間加熱還流させ
た後放冷し、有機層を分離した。水層はジクロロメタン
で抽出し、有機層を合わせ、水で洗滌し、無水硫酸ナト
リウムで脱水乾燥した。
【0085】溶媒を溜去してシクロヘキサノン環の2位
及び6位が重水素置換されたd4−4−[トランス−4
−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘキシ
ル]シクロヘキサノン293.5gを得た。薄層クロマ
トグラフィー(TLC)およびキャピラリーガスクロマ
トグラフィーによる分析では不純物は全く生成していな
かった。NMRによりそのD化率を測定したところ約7
0%であった。 (b) 塩化メトキシメチルトリフェニルホスホニウム
15.2gをTHF15ml及びトルエン45mlに懸
濁し、氷冷した。これにt−ブトキシカリウム5.4g
を内温が5℃を超えないように2回にわけて加えウィッ
ティヒ反応剤を調製した。1時間攪拌した後、(a)で
得られたd4−4−[トランス−4−(3,4,5−ト
リフルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサノ
ンの12.5gをトルエン25mlに溶解して、内温1
0℃以下で滴下した。さらに1時間攪拌した後、水50
mlを加え、さらに少量の稀塩酸で中和した。有機層を
減圧下に濃縮し、ヘキサン25mlを加え、析出結晶を
濾別した。濾液を水/メタノール混合溶媒で洗滌し、溶
媒を溜去して、中間体であるエノールエーテル体16g
を得た。この全量をTHF40mlに溶解し、10%塩
酸20mlを加え、2時間加熱還流させた。放冷後、酢
酸エチルで抽出し、脱水後溶媒を溜去した。エタノール
50mlに溶解し、水酸化ナトリウム20%水溶液5m
lを滴下し、2時間攪拌した。水30mlを加え、トル
エンで抽出し、有機層を水で洗滌後、減圧下に溶媒を溜
去してd4−4−[トランス−4−(3,4,5−トリ
フルオロフェニル)シクロヘキシル]シクロヘキサンカ
ルバルデヒド12gを得た。 (c) ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム14.
2gをトルエン50ml及びTHF14ml中に懸濁さ
せ、5℃以下に氷冷した。t−ブトキシカリウム4.0
gを加え、1時間攪拌してウィッティヒ反応剤を調製し
た。これに上記(b)で得られたd4−4−[トランス
−4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘ
キシル]シクロヘキサンカルバルデヒド8.5gのトル
エン20ml溶液を内温10℃以下で滴下し、さらに1
時間同温度で攪拌した。水50mlを加え、稀塩酸で中
和した後、有機層を分離し、減圧下に濃縮した。残渣を
ヘキサン50mlに溶解し不溶物を濾別した。濾液を水
/メタノール混合溶媒で洗滌し、溶媒を溜去して得られ
た粗生成物12.5gをシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(ヘキサン)で精製し、d4−トランス−4’−
(1−プロペニル)−トランス−4−(3,4,5−ト
リフルオロフェニル)ビシクロヘキサンの白色結晶7.
2gを得た。 (d) (c)で得られたd4−トランス−4’−(1
−プロペニル)−トランス−4−(3,4,5−トリフ
ルオロフェニル)ビシクロヘキサン6.6gをトルエン
100mlに溶解し、パラジウム炭素1.2gを加え、
水素圧3気圧で5時間攪拌した。触媒を濾別し、水洗
し、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。減圧下に溶媒
を溜去し、得られた粗結晶6.6gをエタノールから再
結晶してd4−トランス−4’−プロピル−トランス−
4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ビシクロヘ
キサン5.5gを得た。 (参考例2)参考例1の(a)において、d4−4−
[トランス−4−(3,4,5−トリフルオロフェニ
ル)シクロヘキシル]シクロヘキサノンに換えて、d4
−4−(3,4,5−トリフルオロフェニル)シクロヘ
キサノン(平均D化率62%)を用い、(c)におい
て、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムに換えて、
ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウムを用いて同様に
反応を行い、(d)の工程は行わず、d4−1−(トラ
ンス−4−エテニルシクロヘキシル)−3,4,5−ト
リフルオロベンゼンの無色油状物を得た。 (実施例1) d4−1−(3,4−ジフルオロベンジ
ルオキシ)−5−(トランス−4−エテニルシクロヘキ
シル)−2,3−ジフルオロベンゼン(第1表中No.
1の混合物)の合成
【0086】
【化17】
【0087】3,4−ジフルオロベンジルアルコール
(この化合物は1−ブロモ−3,4−ジフルオロベンゼ
ンとマグネシウムから調製したグリニヤール反応剤にD
MFを反応させ、得られた3,4−ジフルオロベンズア
ルデヒドを水素化ホウ素ナトリウムで還元することによ
り得た。)5.5gのDMF15ml溶液を0℃に冷却
し、カリウム−t−ブトキシド4.8gを加え、同温度
でさらに30分攪拌した。これに参考例2で得られたd
4−1−(トランス−4−エテニルシクロヘキシル)−
3,4,5−トリフルオロベンゼン9.3gをDMF1
5ml及びテトラヒドロフラン(THF)5mlに溶解
して15℃で滴下し、さらに室温で1時間攪拌した。水
を加え、稀塩酸で中和し、ヘキサンで抽出した。有機層
を水洗後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。溶媒を
溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/トルエン=9/1)で精製し
て、d 4−1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)
−5−(トランス−4−エテニルシクロヘキシル)−
2,3−ジフルオロベンゼン6.6gを得た。さらにエ
タノールから再結晶して精製し、その相転移温度を測定
したところ、結晶相からの昇温時62℃で等方性液体相
に転移した。 (実施例2) d4−1−(3,4−ジフルオロベンジ
ルオキシ)−5−[トランス−4−(トランス−4−プ
ロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2,3−ジ
フルオロベンゼン(第1表中No.2の混合物)の合成 実施例1においてd4−1−(トランス−4−エテニル
シクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンゼン
に換えて、参考例1で得られたd4−トランス−4’−
プロピル−トランス−4−(3,4,5−トリフルオロ
フェニル)ビシクロヘキサンを用いた他は全く同様にし
て、d4−1−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)
−5−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシク
ロヘキシル)シクロヘキシル]−2,3−ジフルオロベ
ンゼンを得た。相転移温度は第1表にまとめて示した。 (実施例3) d4−1−ベンジルオキシ−5−[トラ
ンス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)
シクロヘキシル]−2,3−ジフルオロベンゼン(第1
表中No.3の混合物)の合成 実施例2において3,4−ジフルオロベンジルアルコー
ルに換えて、ベンジルアルコールを用いた他は全く同様
にして、d4−1−ベンジルオキシ−5−[トランス−
4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロ
ヘキシル]−2,3−ジフルオロベンゼンを得た。相転
移温度は第1表にまとめて示した。 (実施例4) d4−1−(4−トリフルオロメトキシ
ベンジルオキシ)−5−[トランス−4−(トランス−
4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−2,
3−ジフルオロベンゼン(第1表中No.4の混合物)
の合成 実施例2において3,4−ジフルオロベンジルアルコー
ルに換えて、4−トリフルオロメトキシベンジルアルコ
ールを用いた他は全く同様にして、d4−1−(4−ト
リフルオロメトキシベンジルオキシ)−5−[トランス
−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シク
ロヘキシル]−2,3−ジフルオロベンゼンを得た。相
転移温度は第1表にまとめて示した。 (実施例7)液晶組成物の調製(1)
【0088】
【化18】
【0089】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)からなる母体液晶(M)を調製したとこ
ろ、54.5℃以下でネマチック(N)相を示した。こ
の母体液晶(M)85重量%及び実施例2で得られた
(No.2)の混合物15重量%から成る液晶組成物
(M−2)を調製した。この組成物のN相の上限温度
(TN-I)は43.5℃であった。
【0090】次に、この組成物(M−2)を−20℃で
保存したところ、1カ月経過しても、結晶の析出や相分
離は観察できなかった。 (比較例1)母体液晶(M)85重量%及び(No.
2)の混合物に対応するが重水素置換されていない式
(R−2)
【0091】
【化19】
【0092】の化合物15重量%からなる混合液晶(M
R−2)を調製した。この組成物のT N-Iは43.6℃
であり、(M−2)とほとんど変化がなかった。また、
この組成物(MR−2)を実施例7と同様に、−20℃
で保存したところ、1週間で結晶の析出によるわずかな
白濁が認められた。 (実施例8)液晶組成物の調製(2)
【0093】
【化20】
【0094】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)からなり、アクティブマトリックス駆動用
として好適な母体液晶(N)を調製した。この母体液晶
(N)85重量%及び(No.2)の混合物15重量%
からなる液晶組成物(N−3)を調製した。この組成物
のTN-Iは116℃であった。これを10℃で保存した
ところ、2週間放置しても結晶の析出や白濁は観測でき
なかった。 (比較例2)母体液晶(N)85重量%及び重水素置換
されていない式(R−2)の化合物15重量%からなる
混合液晶(NR−2)を調製した。この組成物のTN-I
は116.5℃で(N−2)とほとんど変化がなかっ
た。
【0095】この組成物を実施例8と同様に、10℃で
保存したところ、3日目に微量の結晶の析出が認められ
た。以上のことから、本発明に係わる重水素置換された
一般式(I)の混合物は、TN-Iを大きく低下させるこ
となく、低温で液晶組成物中に結晶を析出させにくくす
ることができ、実用的な液晶材料として極めて有用であ
る。
【0096】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で表わされる重水
素置換された化合物からなる混合物は、実施例にも示し
たように市販の入手可能な化合物から工業的にも容易に
製造することができ、他の液晶化合物との相溶性にも優
れている。従って、現在汎用されている液晶材料に添加
した場合、TN-Iを大きく低下させることなく、融点を
低下させ、しかも電気光学的特性を低減させることな
く、低温領域においても結晶を析出させないという優れ
た効果が得られている。従って、低温領域で使用される
液晶表示装置、特にTN、STNアクティブマトリクス
表示装置の構成材料として極めて有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年10月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】 (式中、R1は炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭
素原子数2〜12のアルケニル基を表わし、X1、X2
3及びX4はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水
素原子(D)を表わすが少なくとも1個は重水素原子
(D)を表わし、Y 1、Y2、Y3及びY4はそれぞれ独立
的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Z1は水素原
子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、−R2、−O
2、−CF3、−OCF3、−OCF2H又は−OCH2
CF3を表わし、R2は炭素原子数1〜12のアルキル基
又は炭素原子数3〜12のアルケニル基を表わし、Z2
はフッ素原子又は塩素原子を表わし、mは0又は1を表
わし、シクロヘキサン環はトランス配置である。)で表
わされる2種以上の化合物が、(1)互いにX1〜X4
おける重水素原子(D)の数及び/又は置換位置が異な
り、且つ(2)互いにR1、Y1、Y2、Y3、Y4、Z1
2 びmが同一であることを特徴とする前記一般式
(I)で表わされる化合物の2種以上からなる混合物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】(式中、R1は炭素原子数1〜12のアル
キル基又は炭素原子数2〜12のアルケニル基を表わ
し、X1、X2、X3及びX4はそれぞれ独立的に水素原子
(H)又は重水素原子(D)を表わすが少なくとも1個
は重水素原子(D)を表わし、Y 1、Y2、Y3及びY4
それぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Z
1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、−
2、−OR2、−CF3、−OCF3、−OCF2H又は
−OCH2CF3を表わし、R2は炭素原子数1〜12の
アルキル基又は炭素原子数3〜12のアルケニル基を表
わし、Z2はフッ素原子又は塩素原子を表わし、mは0
又は1を表わし、シクロヘキサン環はトランス配置であ
る。)で表わされる2種以上の化合物が、(1)互いに
1〜X4における重水素原子(D)の数及び/又は置換
位置が異なり、且つ(2)互いにR1、Y1、Y2、Y3
4、Z1、Z2及びmが同一であることを特徴とする前
記一般式(I)で表わされる化合物の2種以上からなる
混合物(以下、一般式(I)の混合物とする)を提供す
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】上述のように、一般式(I)の混合物の特
徴は、一般式(I)において、X1、X2、X3及びX4
それぞれ独立的に、水素原子(H)又は重水素原子
(D)を表わし、且つそのうちの少なくとも1個は重水
素原子(D)である化合物の2種以上からなり、しかも
その2種以上の化合物において、(1)互いにX1〜X4
における重水素原子(D)の数及び/又は置換位置が異
なり、且つ(2)互いにR1、Y1、Y2、Y3、Y4
1、Z2及びmが同一であることを特徴とする点にあ
る。即ち、一般式(I)において、R1、Y1、Y2
3、Y4、Z1、Z2及びmを固定した場合に、一般式
(I)の化合物には立体異性体を含めると多数の化合物
が存在し得ることになる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07M 5:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭
    素原子数2〜12のアルケニル基を表わし、X1、X2
    3及びX4はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水
    素原子(D)を表わすが少なくとも1個は重水素原子
    (D)を表わし、Y 1、Y2、Y3及びY4はそれぞれ独立
    的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Z1は水素原
    子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、−R2、−O
    2、−CF3、−OCF3、−OCF2H又は−OCH2
    CF3を表わし、R2は炭素原子数1〜12のアルキル基
    又は炭素原子数3〜12のアルケニル基を表わし、Z2
    はフッ素原子又は塩素原子を表わし、mは0又は1を表
    わし、シクロヘキサン環はトランス配置である。)で表
    わされる2種以上の化合物が、(1)互いにX1〜X4
    おける重水素原子(D)の数及び/又は置換位置が異な
    り、且つ(2)互いにR1、Y1、Y2、Y3、Y4、Z1
    2、R2及びmが同一であることを特徴とする前記一般
    式(I)で表わされる化合物の2種以上からなる混合
    物。
  2. 【請求項2】 Z1が水素原子、フッ素原子又は−OC
    3を表わすことを特徴とする請求項1記載の一般式
    (I)で表わされる混合物。
  3. 【請求項3】 Y3が水素原子であることを特徴とする
    請求項2記載の一般式(I)で表わされる混合物。
  4. 【請求項4】 Y1、Y4及びZ2のうち、少なくとも2
    個がフッ素原子であることを特徴とする請求項3記載の
    一般式(I)で表わされる混合物。
  5. 【請求項5】 Y4及びZ2が共にフッ素原子であること
    を特徴とする請求項4記載の一般式(I)で表わされる
    混合物。
  6. 【請求項6】 Z1がフッ素原子であることを特徴とす
    る請求項5記載の一般式(I)で表わされる混合物。
  7. 【請求項7】 Y1及びY2が水素原子であり、Z1が水
    素原子又はトリフルオロメトキシ基であることを特徴と
    する請求項5記載の一般式(I)で表わされる混合物。
  8. 【請求項8】 mが1であることを特徴とする請求項6
    又は7記載の一般式(I)で表わされる混合物。
  9. 【請求項9】 一般式(I)で表わされる2種以上の化
    合物におけるX1、X2、X3及びX4の総数に対して、重
    水素原子(D)の数の割合が30〜95%の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1乃至8記載の混合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012161178A1 (ja) * 2011-05-26 2012-11-29 Dic株式会社 2-フルオロフェニルオキシメタン構造を持つ化合物
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