JPH08116750A - 根菜収穫機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 収穫作業行程において余分なひげ根も取り除
けるようにして、作業効率をさらに向上させる。 【構成】 人参を茎葉部を挟持して圃場から引抜くとと
もに、茎葉部を挟持して後方上方に吊下げ搬送する挟持
ベルトＶを備え、挟持ベルトＶで吊下げ搬送される人参
末端から下方に延びたひげ根２３を切落とす切断機構Ｃ
を設ける。切断機構Ｃを、左右向き軸心Ｚ回りで駆動回
転する一対の回転刃２４，２４を挟持ベルトＶの下方に
配置構成するとともに、ひげ根２３の通過は許容し、か
つ、根菜末端部分の通過は阻止する左右方向の切断用間
隙Ｓを備えた左右一対の根菜ガイド２８，２８を切断機
構Ｃの上方に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として人参、大根な
どの根菜類を掘取って葉切りまで行うように構成した根
菜収穫機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上記根菜収穫機としては、実開平６‐１
６９６２２号公報において、圃場に植えられた人参、大
根などの根菜類の茎葉部を挟持して機体後方で斜め上方
に引き上げることで地中から根菜を掘取り、左右のベル
ト対で成るベルト搬送機構で吊下げ搬送し、左右のチェ
ーン搬送機構に根菜本体の頭部が接触する状態に位置決
め搬送してから茎葉部を切断するようにした根菜収穫機
が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の根菜収穫機で
は、根菜の引抜きを容易にするため、その引抜きに先立
って根菜両サイドの土中に切り目を付ける土切り刃（前
記公報の図１における符号２）を備えている。これによ
って引抜きの際の土の抵抗が軽減され、茎葉が切れるこ
となく良好に根菜を引抜けるとともに、側方に延びた根
を掘取りの際に土切り刃によってある程度取り除くこと
が可能である。例えば、人参のように、根菜本体下端は
下方で次第に細くなり、やがては全くの根（ひげ根と呼
ぶものとする）となるのであるが、そのひげ根が大きい
場合には茎葉を切断しての収穫後においてカットする後
処理が必要であり、そのひげ根切断作業が結構煩わしい
ものであった。本発明は、収穫作業行程において余分な
ひげ根も取り除けるようにして、作業効率をさらに向上
させる点にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的の達成のために
本発明は、根菜をその茎葉部を挟持して圃場から引抜く
とともに、引抜かれた根菜を、茎葉部を挟持しての吊下
げ姿勢で後方上方に搬送する収穫用搬送装置を備えた根
菜収穫機において、収穫用搬送装置によって吊下げ搬送
される根菜に作用して、根菜末端から下方に延びたひげ
根を切り落とす切断機構を設けてあることを特徴とす
る。根菜収穫機。又、切断機構を、左右向きの軸心回り
で駆動回転可能な回転刃を収穫用搬送装置の下方に備え
て構成するとともに、ひげ根の通過は許容し、かつ、根
菜末端部分の通過は阻止する所定の切断用間隙を備えた
左右一対の根菜ガイドを、切断機構の上方に配置してあ
ると好都合である。

【０００５】

【作用】請求項１の構成によれば、収穫用搬送装置で移
送されている間に切断機構がひげ根を切断するから、収
穫後のひげ根カット処理が不要になり、収穫作業効率が
向上する。その切断行程は吊下げ移送中に、すなわち、
搬送機能とひげ根切断機能とを重複させて行うものであ
るから、例えば、ひげ根切断機構を一連の収穫作業行程
の後に付加する手段に比べて、収穫作業行程の全体長さ
はそのままにしながら不要なひげ根を取除くことが可能
になる。

【０００６】請求項２の構成によれば、根菜を切断機構
に案内するガイドを設けてあるので、風で横揺れする等
搬送状態が乱れても確実に切断機能し得るようになると
ともに、根菜末端部は通過せず、ひげ根だけ通過する切
断用間隙を設けてあるから、根菜本体を切断してしまう
不都合なくひげ根を取り除くことができる。又、最も短
い根菜に合わせて切断機構を配置すれば、長さの長い根
菜は多少横向きの姿勢で、かつ、短い根菜は立った姿勢
でひげ根を切断でき、根菜の長さが異なっても切り残し
なく良好にひげ根切断が行えるものとなる。

【０００７】

【発明の効果】その結果、請求項１に記載の根菜収穫機
では、従来と同じ作業行程中にひげ根を取除くことがで
き、一連の収穫作業に要する時間を増やすことなく作業
効率及び労力軽減のいずれの改善も図ることができた。
請求項２に記載の根菜収穫機では、収穫時の天候等に影
響されることなく確実にひげ根のみ切断できるととも
に、その切断機能を根菜の長さ変動に拘らずに発揮させ
られる利点がある。

【０００８】

【実施例】次に、本発明の実施例を、根菜の一例である
人参の掘取り収穫機の場合について図面に基づいて説明
する。図３、図４に示すように、収穫部Ｂと回収部９と
を、第１支持フレーム２０を介して走行機体７に配備し
て人参収穫機を構成してある。この人参収穫機は、圃場
に植えた人参の茎葉部を挟持して機体後方で斜め上方に
引き抜くことで掘取り、かつ、吊り下げ搬送するため
に、左右一対の駆動回動自在な挟持搬送ベルトＶ等から
成る収穫用搬送装置（引き抜き装置に相当）１を、クロ
ーラ式走行装置２を備えた機体７の左側方に設けてあ
る。挟持搬送ベルトＶの始端部の前方には、地面と人参
の茎葉部との間に入り込んで、機体進行に伴って根菜の
茎葉部を引起し可能な後上り傾斜面３ａを備えた左右一
対の分草具３と、土中に突入した状態で機体進行に伴っ
て人参の両横側方の土を切る左右一対のソイラ４とが配
設されている。

【０００９】分草具３は、第２支持フレーム２１を介し
て第１支持フレーム２０の先端部に取付けてあり、その
分草具３の先端部から、雑草等の夾雑物を掬い取る掬い
棒２２を、後上り傾斜面３ａに沿って延出してある。収
穫部Ｂの前端部の左右には引起し装置１６が装備されて
いるとともに、未刈側の引起こし装置１６の係止爪１８
の根元部分には、葉茎部を切断可能なカッター刃１９を
取付けてあり、余分な葉茎や雑草等のもつれを引起こし
時に切断できるようにしてある。

【００１０】図５に示すように、収穫用搬送装置１にお
いては、フレーム１ｃにバネ１ｄで突出付勢した状態で
摺動自在に取付けたホルダー１ｅに対してガイドローラ
１ｂを支承してあり、このガイドローラ１ｂを対向させ
ることで、左右の挟持搬送ベルトＶを接近方向に押圧付
勢するように構成してある。その押圧付勢力は、人参を
地面から引抜くべく搬送始端側では強く、かつ、搬送終
端側では弱く茎葉部を挟持するように構成してある。

【００１１】図４に示すように、収穫用搬送装置１から
の人参の茎葉部を切断する葉切り装置８を収穫用搬送装
置１の後方に設けてあり、葉切り装置８は、位置揃え搬
送機構８ａと切断用搬送機構８ｂと振止め用搬送機構８
ｃと回転カッター８ｄ，８ｄとから構成されている。位
置揃え搬送機構８ａは、収穫用搬送装置１で吊り下げら
れた人参の上端に作用する駆動自在なものであり、切断
用搬送機構８ｂは、位置揃え搬送機構８ａからの茎葉部
をその挟持位置より上方の一定位置で挟持する状態で受
取る左右一対の駆動自在な挟持搬送ベルト等から構成さ
れる。振止め用搬送機構８ｃは、切断用搬送機構８ｂに
より吊り下げられた人参に作用する左右一対の駆動自在
な挟持搬送ベルト等から構成され、回転カッター８ｄ，
８ｄは、振れ止め用搬送機構８ｃで姿勢が一定にされた
人参に対して茎葉部を根元で切り口が揃った状態で切断
する回転自在なものに構成されている。

【００１２】図６に示すように、振止め用搬送機構８ｃ
の挟持搬送ベルトの表面側に厚いクッション体８ｃａを
付設し、根菜類の太さが大幅に変化しても対応できるよ
うにしてある。また、確実に切断できるよう、左右の回
転カッター８ｄ，８ｄを互いに上下反対向きに駆動回転
される状態でラップ配置してある。

【００１３】図４、図５に示すように、位置揃え搬送機
構８ａは、前後のスプロケット８ｓ，８ｕに亘って巻回
された左右の回動チェーン８ａａに付設されたホルダー
８ａｂ、このホルダー８ａｂに対して出退移動自在な支
持ブラケット８ａｅ、この支持ブラケット８ａｅを突出
付勢させる巻きバネ８ａｄ、及び支持ブラケット８ａｅ
に支軸Ｘで回動自在に支承されたローラ８ａｃから構成
されている。従って、ローラ８ａｃの支軸Ｘ回りでの回
動によって、茎葉部の長手方向へのすり上がり移動が許
容されており、収穫用搬送装置１による引き上げに伴っ
て人参本体の頂部がローラ８ａｃに接当するまで上昇す
るように構成してある。

【００１４】図７、図８に示すように、１個の支持ブラ
ケット８ａｅには４個の短小ローラ８ａｃが支承される
とともに、位置揃え搬送機構８ａの作動によってローラ
８ａｃ外周に対してスクレーパ作用する土落し部材５
を、回動チェーン８ａａの戻り経路部分の始端側位置に
配備してある。土落し部材５は硬質ゴムやウレタン等の
弾性材で構成され、葉切り装置８の支持フレーム１３に
固定された支持部材１４にボルト止めされており、人参
搬送方向視においてローラ８ａｃの下方から横外側方に
亘る範囲にスクレーパ作用が付与されるよう、土落し部
材５の上部をローラ８ａｃの外径に沿う円弧状に切欠い
た形状に形成してある。つまり、回動チェーン８ａａに
対する位置揃え搬送機構８で誘導案内される人参の茎葉
部に位置するローラ外周部分Ｒｓ、及び人参本体の頂部
に位置するローラ外周部分Ｒｈの双方に対して土落し部
材５にスクレーパ作用が付与される状態に、土落し部材
５の形状が設定されているのである。

【００１５】図３，図４に示すように、葉切り装置８か
らの根菜類を回収する回収部９を収穫用搬送装置１の後
方で葉切り搬送装置８の下方に設けてある。回収部９
は、所定値よりも小径の人参を下方のコンテナー９ａに
落下させ、所定値よりも大径の人参を後方のコンテナー
９ｂに供給する選別コンベア９ｃ、及び、葉切り装置８
から落下する人参を選別コンベア９ｃに導くシュート９
ｄを設けて構成されている。又、回収部９の左側方に
は、前後軸心Ｙ回りでの折り畳み揺動によって機体横端
に沿う起立姿勢で収納可能なコンテナ台１５が配備さ
れ、そのコンテナ台１５に空のコンテナー９ｂが搭載さ
れている。空コンテナー９ｂと後方のコンテナー９ｂは
同一のものであり、人参が満載されると、その満載コン
テナー９ｂを後述するコンテナー収容部１２に移送し、
コンテナ台１５の空コンテナー９ｂを供給するのであ
る。

【００１６】葉切り装置８からの切断茎葉部を機体外側
方に放出する駆動自在な搬送チェーン１０ａと挟持レー
ル１０ｂ等から成る茎葉部搬送装置１０を、葉切り装置
８から収穫用搬送装置１とは反対側の機体横他側方で機
体前部に亘って斜めに切断茎葉部を搬送する状態で配置
してあるとともに、回収部９の右側となる機体側方端に
搭乗運転部６と原動部１１を設け、回収部９と搭乗運転
部６の間で茎葉部搬送装置１０の後方にコンテナー収容
部１２を設けてある。

【００１７】収穫部Ｂや、回収部９における選別コンベ
ヤ９ｃは、昇降シリンダ１７によって第１支持フレーム
２０上の支点Ｐ周りにフレームと一体に揺動昇降可能に
構成してある。尚、選別コンベヤ９ｃ後端とコンテナ９
ｂとは若干相対前後移動するが、収穫部Ｂと選別コンベ
ヤ９ｃとの相対位置が変わらないため、全体として良好
に収穫作動が行われるようになる。

【００１８】図１、図２に示すように、収穫用搬送装置
１によって吊下げ搬送される人参に作用して、人参末端
から下方に延びたひげ根２３を切り落とす切断機構Ｃを
設けてある。切断機構Ｃは、左右向きの軸心Ｚ回りで駆
動回転可能な一対の回転刃２４，２４を第１支持フレー
ム２０に取付けられた支持ブラケット２５に支承して構
成され、収穫用搬送装置１の下方に配設されるととも
に、その入力スプロケット２７と機体前部の中継伝動軸
２６とをチェーン連動させることで、回転刃２４を矢印
イ方向（図１における時計回り方向）に駆動回転可能で
ある。そして、ひげ根２３の通過は許容し、かつ、人参
末端部分の通過は阻止する所定の切断用間隙Ｓを備えた
左右一対の根菜ガイド２８，２８を、切断機構Ｃの上方
及び前方に配置してある。すなわち、根菜ガイド２８
は、円弧状に湾曲した側面視形状で、かつ、左右方向で
傾いた傾斜ガイド面２８ａを備えており、左右の傾斜ガ
イド面２８ａ，２８ａの間に形成される切断用間隙Ｓを
数ミリメートルに設定してある。

【００１９】第３支持フレーム２５は、ボルト、もしく
はデテントとの組合わせ構造等による位置調節機構Ｄに
よって、中継伝動軸２６の軸心回り方向で上下移動が可
能となるように、左右の第１支持フレーム２０，２０の
内側に取付けてあり、切断機構Ｃの高さ位置を上下に調
節設定可能としてある。つまり、掘取り回収対象の人参
のうちの最も短いであろう長さでも回転刃２４が届くよ
うに切断機構Ｃの高さ位置を設定しておけば、それより
も長い人参がきても、切断機構Ｃの前方及び上方をカバ
ーする形状の左右の根菜ガイド２８，２８により、人参
は後上がり斜め姿勢で案内されながらひげ根２３が切断
されるのである。

【００２０】切断機構Ｃを設けるには、挟持搬送ベル
トＶの下方に配置する、位置揃え搬送機構８ａの下方
に配置する、の２通りが考えられる。の手段では、茎
葉部と根菜本体との２点支持によって根菜の姿勢がほぼ
固定された状態であり、切断機構Ｃ自体を高さ調節しな
いと根菜長さの変化に対応してひげ根を切断するのが困
難であるが、手段を採る本願のものでは、茎葉だけの
１点支持によって根菜の姿勢変更が自在な状態であり、
根菜がひとりでに姿勢変更してひげ根を切断でき、切断
機構Ｃの位置を動かす必要のない点で有利である。

【００２１】〔別実施例〕切断機構Ｃを、上下軸心で回
転する回転刃２４やバリカン構造の切断刃２４を備えて
構成しても良い。

【００２２】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】切断機構の構造を示す側面図

【図２】切断機構の構造を示す断面図

【図３】人参掘取り収穫機の平面図

【図４】人参掘取り収穫機の側面図

【図５】図２のＡ−Ａ矢視図

【図６】回転カッター部分の搬送状態を示す断面図

【図７】土落し部材の構造を示す位置揃え搬送機構の部
分図

【図８】土落し部材の形状を示す側面図

【符号の説明】

１ 収穫用搬送装置 ２３ ひげ根 ２４ 回転刃 ２８ 根菜ガイド Ｃ 切断機構 Ｓ 切断用間隙

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 根菜をその茎葉部を挟持して圃場から引
   抜くとともに、該引抜かれた根菜を、茎葉部を挟持して
   の吊下げ姿勢で後方上方に搬送する収穫用搬送装置
   （１）を備えた根菜収穫機であって、 前記収穫用搬送装置（１）によって吊下げ搬送される根
   菜に作用して、該根菜末端から下方に延びたひげ根（２
   ３）を切り落とす切断機構（Ｃ）を設けてある根菜収穫
   機。
2. 【請求項２】 前記切断機構（Ｃ）を、左右向きの軸心
   回りで駆動回転可能な回転刃（２４）を前記収穫用搬送
   装置（１）の下方に備えて構成するとともに、ひげ根
   （２３）の通過は許容し、かつ、根菜末端部分の通過は
   阻止する所定の切断用間隙（Ｓ）を備えた左右一対の根
   菜ガイド（２８），（２８）を、前記切断機構（Ｃ）の
   上方に配置してある請求項１に記載の根菜収穫機。