JPH08115625A

JPH08115625A - 避雷器

Info

Publication number: JPH08115625A
Application number: JP24822394A
Authority: JP
Inventors: Yukiya Sakuraba; 幸哉桜庭; Shunichi Narita; 俊一成田
Original assignee: Meidensha Corp; Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Current assignee: Meidensha Corp; Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Priority date: 1994-10-14
Filing date: 1994-10-14
Publication date: 1996-05-07

Abstract

(57)【要約】【目的】構造が簡単で、全長の長さが短く、放圧機能
を備えた避雷器の提供。【構成】ＺｎＯ素子２を収容する耐圧容器４を、レジ
ン含浸テープ６をＺｎＯ素子２に直接巻き付けて加熱硬
化して形成する。このレジン含浸テープを巻く際、上・
下部電極１ａ，１ｂの外周に設けた溝部１ｃにも巻き、
一体構成とする。そして、その外周にゴム外被７で覆
う。アークせん絡等で内部圧が高まったときは、耐圧容
器４、ゴム外被が局部的に裂け、そこから放圧される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は避雷器に関し、特に、避
雷器の内部圧力が上昇したときの爆発・飛散を防止する
放圧機能を備えた避雷器に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在の避雷器は、基本的には、特性要素
としての酸化亜鉛を主成分とする焼結体（以下、ＺｎＯ
素子と称す）と、このＺｎＯ素子を密閉収容する絶縁容
器と、放圧機構および電極から構成されている。そし
て、この避雷器は、送電、配電線路又は保護機器に設置
され、雷サージ等の異常電圧が発生した場合、ＺｎＯ素
子が低抵抗値を示し、異常電圧を大地に逃がし、線路等
から異常電圧が消滅すると、ＺｎＯ素子は高抵抗値に戻
り、通常の商用周波対地電圧を維持する。

【０００３】避雷器は、このような作用により、被保護
線路又は機器等を異常電圧から保護するものであるが、
直撃雷等の責務外の負荷が課せられると、避雷器が内部
せん絡又は貫通破壊をおこし、内部にアークが発生す
る。このアークエネルギーは内部ガスを膨張させると同
時に、ＺｎＯ素子等の内部要素からガスを発生させ、内
部圧力を上昇させる。また、絶縁容器内部を急激に加熱
する。この内部せん絡状態が持続すると、アークエネル
ギーによっては内圧が上昇し、爆発飛散を生ずる恐れが
ある。更に、後者の熱破壊時に、もしも内部が高圧状態
であれば、前者同様爆発飛散の現象が起きる。

【０００４】このため、一般に避雷器には、爆発・飛散
を防止するために、上昇した内部圧力を大気中に放出し
て下げるための放圧手段が採られている。

【０００５】この放圧手段については種々提案されてい
るが、次の手段が知られている。

【０００６】（１）ＺｎＯ素子を機械的強度に優れ、耐
熱性、耐圧性のある強化プラスチック（ＦＲＰ）等の材
料よりなる耐圧絶縁筒に収容し、その上下に薄い放圧板
を設けて、数気圧程度で破れて内圧を外部に放出する手
段。

【０００７】（２）また、特開昭６２−１３９３０１号
公報に開示されているように、ＺｎＯ素子を収容する耐
圧絶縁筒に放圧孔を設け、この耐圧絶縁筒とＺｎＯ素子
との間および耐圧絶縁筒の外周にゴムモールドを設け
て、避雷器の内部に高温・高圧のアークが発生したと
き、耐圧絶縁筒の放圧孔付近の被覆およびゴムモールド
の一部を軟化させ又は溶融破壊して高圧ガスによって飛
散させ、外部に通ずるアーク放圧路を強制的に形成する
手段。

【０００８】（３）更に、特開平２−２０３５０１号公
報に開示されているように、ＺｎＯ素子を収容する耐熱
絶縁筒を弾性絶縁材料により形成して、その筒面に軸方
向の複数のスリット状の放圧孔を設け、この耐熱絶縁筒
の外周を、熱収縮性チューブで覆い、内部に発生したガ
ス圧を放圧孔を介して熱収縮性チューブに直接作用させ
て、その局部的破壊によって放圧路を形成し、ガスを大
気中に放出させて内部圧を下げ、避雷器の爆発・飛散を
防止する手段が知られている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】前記（１）に記載の手
段は、ＺｎＯ素子を収容する絶縁円筒の上下に放圧板を
設置しなければならないので、避雷器の全長の長さ寸法
が長くなり、送電用避雷器のように、既設の碍子連のア
ークホーンとの絶縁協調を図る必要から、送電用避雷器
自身の外部ギャップ長に制約があり、全長が短い方が望
ましい場合には通じない。

【００１０】また、上記（２）および（３）に記載の手
段は、いずれもＺｎＯ素子を収容する耐圧又は耐熱絶縁
筒に放圧孔を設けて放圧させるので、放圧板は必要がな
く、避雷器の全長の長さは短くなるが、しかし、放圧孔
を設けるための機械加工が必要となり、また、放圧孔を
有するため、ゴム外被を通して吸湿するので、このゴム
材の材質として透湿係数のずぐれたものを使用する必要
があるが、シリコンゴムなど透湿係数の大きい材料の選
定には向かない。

【００１１】また、放圧孔のような空間があると、吸湿
した水分が空間内で結露し、避雷器の特性に影響をおよ
ぼす等の課題がある。

【００１２】以上の点に鑑み本発明は、放圧板又は放圧
孔を設けることなく、しかも、全長が短く、吸湿および
結露の生じない避雷器を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明において、上記の
課題を解決するための手段は、１個又は複数のＺｎＯ素
子と、該ＺｎＯ素子に通電する上・下部電極を耐圧容器
に収容し、この耐圧容器の外周にゴム外被を設けてなる
避雷器において、この耐圧容器を、レジン含浸テープ
を、少なくともＺｎＯ素子の外周面に直接巻き付け、こ
れを熱硬化させて形成する。

【００１４】また、耐圧容器は、少なくとも上・下部電
極とＺｎＯ素子又はＺｎＯ素子間の接合部の外周を防湿
テープで直接巻き、その上にレジン含浸テープを巻いて
熱硬化させて形成することを好適とする。

【００１５】また、上・下部電極に周方向の溝部を設
け、該溝部を含め両電極とＺｎＯ素子の外周面にレジン
含浸テープを巻き付け、これを加熱硬化させて耐圧容器
を形成する。

【００１６】更に、高定格電圧の避雷器のように直列素
子が多く、長さ寸法が長くなる場合は、複数のＺｎＯ素
子間に、外周に周方向の溝部を有する中間電極を設け、
この中間電極および溝部を含めてレジン含浸テープを巻
きこれを加熱硬化させて耐圧容器を形成し、中間部の膨
らみを防止する。

【００１７】また、前記レジン含浸テープは、縦糸を伸
び性のある化学繊維で、横糸をガラス繊維等の高強度の
繊維による交織布のテープを用いて、内圧上昇時に横糸
の方が先に切れて裂け目を生じ、そこから放圧して耐圧
容器が上下に分離するのを防止する。

【００１８】

【作用】今、避雷器の内部にアークが発生して内部圧力
が上昇すると、その圧力によって耐圧容器およびゴム外
被は部分的に裂け、その裂け目から放圧され、内部圧が
低下する。このとき、上・下部電極に、上下方向に抜け
出るような力が作用するが、電極に設けられている溝部
に耐圧容器が喰い込んでいるので、電極は耐圧容器から
抜け出して飛び出すことはない。

【００１９】また、耐圧容器は局部的に裂けるので、内
部要素が飛散することもない。

【００２０】また、高定格電圧の避雷器のようにＺｎＯ
素子の直列個数が多くなり、それを収容する耐圧容器の
長さも長くなり、中部圧が上昇したときに中央部が膨ら
み易くなるが、かかる場合は、中央部に１個又は複数個
の中間電極を設け、この電極の外周にも溝部を設けて、
この溝部に耐圧容器が嵌まり込んでいるので、膨らみは
押えられる。

【００２１】更に、レジン含浸テープは、縦糸と横糸と
に強度の差を設け、縦糸の強度を弱くしてあるので、内
圧で耐圧容器が裂ける場合、縦糸側が先に切れて放圧す
るので、耐圧容器は、上下に分離することがない。

【００２２】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて
説明する。

【００２３】図１は配電用避雷器に適用した本発明の実
施例の断面図で、図１において、１ａ，１ｂは上・下部
の一対の電極で、上部電極１ａは線路側、下部電極１ｂ
は接地側に接続される。この各電極１ａ，１ｂは円柱状
からなり、その外周の一部に周方向の溝部１ｃが形成さ
れている。この電極１ａ，１ｂは端子をも兼ねることが
できる。

【００２４】２は避雷器の特性要素としての酸化亜鉛を
主成分とする焼結体（ＺｎＯ素子）で、避雷器の定格電
圧に応じて１個又は複数個直列に重ねて使用される。３
は圧接ばねで、ＺｎＯ素子２の一端側と電極板８を介し
て上部電極１ａ間に弾装され、ＺｎＯ素子２全体、およ
び上・下部電極１ａ，１ｂを互いに押圧している。本実
施例では板ばねを使用したが必ずしも板ばねでなくとも
よい。

【００２５】４は耐圧容器で、該耐圧容器４は絶縁性の
防湿テープ５とＦＲＰレジン含浸テープ（プリプレグテ
ープ）６で形成され、防湿テープ５は、ＺｎＯ素子２全
体の側面と電極１ａ，１ｂの一部とを、圧接ばね３を介
在して一体とした状態で直接巻き付け、レジン含浸テー
プ６は、この防湿テープ５の上、ならびに電極１ａ，１
ｂの溝部１ｃ部分まで空間を設けずに直接巻き、加熱硬
化させて耐熱容器４を形成する。このようにして、上・
下部電極１ａ，１ｂと、ＺｎＯ素子２と耐圧容器とを一
体構造とし、その外周部を傘状の襞を有するゴム外被７
で覆って避雷器を構成する。なお、防湿テープ５は、必
ずしも全体に設ける必要はなく、電極とＺｎＯ素子間お
よびＺｎＯ素子間の接合部にだけ設けてもよい。

【００２６】避雷器の内部に高温・高圧のアークが発生
して内部圧が上昇したときは、防湿テープ５、レジン含
浸テープ６が加熱硬化して形成された耐圧容器４および
ゴム外被７が部分的に高圧ガスによって裂かれ、その裂
け目から内部圧は放圧される。このとき、上・下部の電
極１ａ，１ｂが耐圧容器４から引き抜けるのを防止する
必要がある。

【００２７】即ち、上・下部電極１ａ，１ｂと耐圧容器
４との結合は、耐圧容器４の側面が内圧によって裂ける
までの間、耐えなければならない。この引き抜け強度
は、上・下部電極の溝部と、レジン含浸テープ６の結合
によって持たせることができる。

【００２８】また、上・下部電極と耐圧容器が強固に結
合していると、内圧上昇時に耐圧容器が上下に分離（分
断）する恐れがあるので、これを防止する必要があり、
本発明では耐圧容器の強度を、軸方向に強く、径方向に
弱くなるように強度差を持たせ、上下に分離することが
なく、縦に裂け目ができて放圧するようにした。

【００２９】図２は、上記の耐圧容器と上・下部電極と
の強固な結合および耐圧容器に縦方向と横方向とに強度
差を持たせるためのレジン含浸テープの構成および巻き
方の説明図で、（Ａ），（Ｂ），（Ｃ）は夫々巻き順序
を示している。

【００３０】（Ａ）は巻き始めで、溝部１ｃの溝幅と同
じか、それより幅の狭いレジン含浸テープ６を使用し、
（Ｂ）に示すように、溝部分を含めて側面を、必要厚み
ｔまで均等な厚さに巻き、最後に（Ｃ）のように溝部の
凹んでいる部分を巻き足して埋める。

【００３１】このレジン含浸テープ６は、横糸にガラス
繊維のような高強度繊維を使用し、縦糸にテトロンやビ
ニロン等のある程度伸び性を有する絶縁性の化学繊維を
使用して交織布のテープを作り、これにＦＲＰのレジン
を含浸したものである。

【００３２】このように構成したテープを円周状にテー
ピングすることによって、円筒状に成形されたＦＲＰの
耐圧容器は、縦方向が強固で、横方向がそれより弱くな
る。更に、レジン含浸テープの縦糸は伸び性を有するた
め、溝部にもなじみが良く、優れた巻き性を示す。

【００３３】表１は縦糸にテトロン、横糸にガラス繊維
を使用した交織布の縦方向と横方向の強度（硬化後）を
５試料を作って比較した例である。

【００３４】

【表１】

【００３５】レジン含浸テープ６を隙間を設けずに直接
ＺｎＯ素子や上・下部電極に巻き付けて、加熱硬化して
耐圧容器を一体形成するので、加熱した場合レジンが一
時的に軟化して上部電極１ａと電極板７間又は電極板と
ＺｎＯ素子間，ＺｎＯ素子間の間隙に入り込む可能性が
あるが、防湿テープ５をそれらの間隙のある部分に巻装
することにより、間隙への入り込みは防止される。

【００３６】図３は本発明を高定格電圧の避雷器に適用
した実施例である。

【００３７】発変電用避雷器、または送電用避雷器のよ
うに定格電圧の高い避雷器にあっては、ＺｎＯ素子の直
列数が増し、耐圧容器の長さ（高さ）が長くなる。従っ
て、アークせん絡等の事故が発生して内圧が上昇した場
合、中央部が大きく膨らみ、裂け目が大きくなり、内部
要素が飛散する恐れがある。そこで、本実施例において
は、両端の電極の他に、中間部にも溝部９Ｃを有する中
間電極９を設け、この膨らみを防止したものである。

【００３８】この中間電極９は、ＺｎＯ素子の直列数に
よって１箇所又はそれ以上適宜強度を考慮して設ける。

【００３９】なお、製作方法は図１と基本的には同じで
あるが、中間電極９の溝部９Ｃ部分にも、図２の方法で
レジン含浸テープを巻き、耐圧容器の中間部の膨らみを
中間電極９で押える。

【００４０】

【発明の効果】本発明は以上のようにＺｎＯ素子および
端子等の容器収容部分に直接レジン含浸テープを巻き付
け、加熱硬化して耐圧容器を形成し、避雷器の内部圧が
上昇したときは、この耐圧容器の側面から放圧するよう
にしたので、従来、上下に設けていた放圧板は不用とな
り、全長を短くすることができる。

【００４１】また、放圧孔も不要となるので、耐圧容器
の機械加工は無くなり、また、放圧孔のような空間が生
じないので結露の問題も解決する。

【００４２】また、上・下部の電極に周方向の溝部を設
けて、この溝部にもレジン含浸テープを巻き付けて耐圧
容器を形成したので、耐圧容器は端子を兼用する電極と
強固に結合し、一体化が実現でき、また、中間電極を一
定間隔でＺｎＯ素子間に配設することにより、高定格電
圧、特別高圧等の全長の長い避雷器にも適用できる。

【００４３】更に、最初に防湿テープを巻き、その上に
レジン含浸テープを重ねて巻くことにより、ＺｎＯ素子
間又は該素子と電極板間等へのレジン含浸は防止され、
またＺｎＯ素子の耐湿性が大幅に向上する。その結果と
して、ゴム外被をシリコンゴム等の透湿係数の大きな材
質のものが使用できる。

【００４４】また、レジン含浸テープとして、縦糸に伸
び性のある化学繊維を用いることにより、テープをきつ
く密着して巻くことができ、また横糸に高い強度の繊維
を用いて強度に差をもたせることにより、耐圧容器を上
下に分断するのを防止して、縦方向に裂けて放圧するこ
とが可能となる。

【００４５】また、製作方法も、ＺｎＯ素子等のレジン
含浸テープを直接円筒状に巻くので、製造は簡単であ
り、また製造設備としては、一般のテーピングマシンが
使用でき、特別の設備を必要としない、等種々の優れた
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の配電用避雷器の断面図。

【図２】本発明のレジン含浸テープの巻き方の説明図。

【図３】本発明の実施例の高定格電圧用避雷器の断面
図。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ…電極１ｃ…溝部２…ＺｎＯ素子３…圧接ばね４…耐圧容器５…防湿テープ６…レジン含浸テープ７…ゴム外被８…電極板９…中間電極１０…取付ベース

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】１個又は複数個のＺｎＯ素子と、該Ｚｎ
Ｏ素子に通電する上・下部電極を耐圧容器に収容し、こ
の耐圧容器の外周にゴム外被を設けてなる避雷器におい
て、前記耐圧容器は、レジン含浸テープを、少なくとも
ＺｎＯ素子の外周面に直接巻き付け、これを熱硬化させ
て形成したことを特徴とする避雷器。
【請求項２】前記耐圧容器は、少なくとも上・下部電
極とＺｎＯ素子又はＺｎＯ素子間の接合部の外周を防湿
テープで直接巻き、その上にレジン含浸テープを巻いて
熱硬化させて形成したことを特徴とする請求項１記載の
避雷器。
【請求項３】前記上・下部電極に周方向の溝部を設
け、該溝部を含め両電極とＺｎＯ素子の外周面にレジン
含浸テープを巻き付け、これを加熱硬化させて耐圧容器
を形成したことを特徴とする請求項１又は２記載の避雷
器。
【請求項４】複数のＺｎＯ素子間に、外周に周方向の
溝部を有する中間電極を設け、この中間電極および溝部
を含めてレジン含浸テープを巻きこれを加熱硬化させて
耐圧容器を形成したことを特徴とする請求項１又は２又
は３記載の避雷器。
【請求項５】前記レジン含浸テープは、縦糸を伸び性
のある化学繊維で、横糸をガラス繊維等の高強度の繊維
による交織布のテープを用いたことを特徴とする請求項
１又は２又は３又は４記載の避雷器。