JPH08113843A - 織機用ヘルドバーおよびヘルド - Google Patents

織機用ヘルドバーおよびヘルド

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JPH08113843A
JPH08113843A JP25084394A JP25084394A JPH08113843A JP H08113843 A JPH08113843 A JP H08113843A JP 25084394 A JP25084394 A JP 25084394A JP 25084394 A JP25084394 A JP 25084394A JP H08113843 A JPH08113843 A JP H08113843A
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heald
bar
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wear
warp
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JP25084394A
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English (en)
Inventor
Yutaka Kuroyama
豊 黒山
Kenji Ito
憲治 伊藤
Toshihiro Takei
敏弘 武居
Kunio Tomita
邦夫 冨田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KIJI READ KK
NOF Corp
Original Assignee
KIJI READ KK
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘルドの横揺れを防止して、織機の高速運転
を可能にし、ヘルドバ−とヘルドとの接触部の磨耗を防
止して、耐久性を図ることができるとともに、接触部で
の騒音を低減して作業環境の改善を図ることができる織
機用ヘルドバ−およびヘルドを提供する。 【構成】 ヘルドバ−1はステンレス鋼により、断面ほ
ぼ長方形をなす棒状に形成される。磨耗防止体2はジル
コニア焼結体により、U溝状に形成され、所定の長さを
有している。ヘルド4はステンレス鋼により細長薄板状
に形成され、両端部にヘルドバ−1が挿通される支持孔
5が透設されている。磨耗防止体2はヘルドバ−1の両
端縁に接着剤層3を介して接着固定される。ヘルド4は
その支持孔5がヘルドバ−1に嵌挿されて支持される。
経糸が挿通される経糸挿通孔6は、ヘルド4中央の斜状
部4aに設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、織機において経糸の
搬送を補助し、経糸を上下に分けて、杼口を作る運動で
ある開口運動を行い、織布模様パターンを決めるヘルド
を支持する織機用ヘルドバーおよびヘルドに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】織機において織物を織りあげるときの織
機の運動は次の順序で行われる。第1に、ヘルドの上下
移動によって経糸が開口する。開口方式は、クランク、
タペット、ドビー、ジャガードなどがある。製織機物の
種類によって静止角、開口量が異なる。
【0003】第2に、緯糸を緯入れによって、開口した
経糸の間に入れる。この緯入れ方式は、ウオータジェッ
トルームでは水、エアジェットルームでは空気、レビア
ルームではレビア、ハンドフライシャトル織機では杼、
グリッパー織機ではグリッパーシャトルが使用される。
【0004】第3にリードによる緯打ちが行われ織物が
出来上がる。第4に織りあげられた織物は、クロスロー
ラに巻き取られ、ヤーンビームから経糸が送り出され
る。織布を織りあげる際には経糸の搬送を補助するヘル
ドが上下して経糸を開口させる。そして、緯糸と経糸が
交差するタイミングの組合せによって織布模様が決定さ
れる。
【0005】フラットヘルド、強化型デュブレックスヘ
ルドの場合には、端末部の挿通孔をヘルドバ−が貫通
し、ライダレスヘルドの場合には端末部で吊り下げられ
る様式でヘルドが支持され、ヘルドフレーム内に嵌め込
まれる。例えば、図10に示すように、中央に経糸挿通
孔21を有するヘルド22は、両端に挿通孔23を有し
ている。そして、この挿通孔23にヘルドバ−24が挿
通され、複数のヘルド22が一定間隔をおいて支持され
る。これらヘルドバ−24およびヘルド22には耐腐食
性、耐摩耗性、耐破損性の観点から、主にステンレス鋼
が用いられている。
【0006】特公昭59−38334号公報には、軽量
なフレームスチィーブをもち、各フレームスチィーブル
ーブにはその一面に形成され、絖を支持するため緯方向
に開放された端ループによって少なくとも1個のヘルド
ロッドを有する綜絖枠に関する記載が開示されている。
この綜絖枠は、高速の往復運動を行なうためにできるだ
け軽量で、しかも高い曲げ強度を持った物である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、織機
の高速化が進み、1500rpm程度のスピードでリー
ドが動くものもある。各ヘルドは上下動して織布模様パ
ターンを決める。また、コンピューターの導入により複
雑な織布模様パターンを生み出すために、1台の織機に
多数のヘルドフレームが使用されつつある。
【0008】この高速化によって、ヘルドおよびヘルド
バーに対する負荷が多大なものとなり、従来考えられな
かった振動が発生し、織機の動作をスムーズに行うこと
ができず、能率の低下が甚だしくなる。このため、高速
での機織り能力を備えた織機でも、場合によっては機織
り速度を落として操業しなければならなくなることもあ
る。
【0009】このように、織機の高速化によって発生す
る織機の振動により、ヘルドの横揺れが発生するように
なった。このような横揺れ現象が生じると、ヘルドの並
列度が安定せず、隣接するヘルド間の分離が十分ではな
くなる。しかも、経糸に対するヘルドの角度を表すメー
ル部角度がより鋭角になり、経糸毛羽立ちや経糸切れが
生じ、機織りには大変不都合となる。従って、上記のよ
うな操業を余儀なくされる場合もある。この織機の振動
は、織機の最適速度において発生するため、それを防止
するか、振動が発生する速度を機織りの速度からずらす
ことが要求される。
【0010】加えて、ヘルドバーとヘルドとの接触部に
磨耗による損傷が生じるようになった。すなわち、リー
ドの高速化に伴い、金属からなるヘルドの上下動が生
じ、ヘルドフレームに固定された金属からなるヘルドバ
−との多数回接触が生じ、ヘルドバ−の接触部に損傷が
生ずる。ヘルドバ−にこのような損傷が生ずるとヘルド
の並列度が安定せず、ヘルドの分離が十分ではなくなる
ため、織布を織り上げる場合の欠点となる。さらに、ヘ
ルドバ−の接触部に損傷が生ずるとヘルド自身を交換せ
ねばならず、製造コストが上昇する。
【0011】その上、金属同士の接触により騒音が大き
くなり、作業環境の問題が発生し、作業者にも過大な負
担を及ぼす。しかも、近年、より複雑な織布模様パター
ンを生み出す動きにあり、それに対応するために多数の
ヘルドフレームが1台の織機に使用されている。そこ
で、できるだけヘルドフレームの製造コストを下げる方
向が指向されている。特公昭59−38334号公報に
記載の綜絖枠では、フレームスチィーブとヘルドロッド
が一体化されているため、従来の設備をそのまま使用す
ることはできず、新たな投資が必要となる。
【0012】この発明は、このような従来技術の問題に
着目してなされたものである。その目的とするところ
は、ヘルドの横揺れを防止し、織機の高速運転を可能に
する織機用ヘルドバ−およびヘルドを提供することにあ
る。また、他の目的とするところは、ヘルドバ−とヘル
ドとの接触部の磨耗を防止して、耐久性を図ることがで
きるとともに、接触部での騒音を低減して作業環境の改
善を図ることができる織機用ヘルドバ−およびヘルドを
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1に記載の織機用ヘルドバーの発明では、経
糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバーに接触して取付
支持され、ヘルドバーのヘルドとの少なくとも接触部に
は、セラミックス、セラミックス複合体またはサーメッ
トで形成された摩耗防止体を取り付けたものである。
【0014】また、請求項2に記載の織機用ヘルドの発
明では、経糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバーに接
触して取付支持され、ヘルドのヘルドバーとの少なくと
も接触部には、セラミック、セラミックス複合体または
サーメットで形成された摩耗防止体を取り付けたもので
ある。
【0015】以下に、この発明について詳細に説明す
る。この発明において、ヘルドバ−とヘルドとの接触部
に取付けられる摩耗防止体として要求される材料特性
は、軽量で、硬度が高く、かつ耐摩耗性が高いことであ
る。これらの特性を備えた材料は、以下に述べるセラミ
ックス、セラミック複合体またはサ−メットである。な
お、この発明では、ヘルドバ−またはヘルドの全体ある
いは接触部のみがセラミックス、セラミック複合体また
はサ−メットであってもよい。
【0016】セラミックスとしては、酸化物セラミック
ス及び非酸化物セラミックスが使用される。酸化物セラ
ミックスとしては、アルミナ、ジルコニアが好ましい。
また、非酸化物セラミックスとしては、IVa,Va,VI
a金属の炭化物、窒化物、硼化物が好ましい。例えば、
炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭化タ
ンタル(TaC)、硼素化チタン(TiB2 )、炭化硼
素(B4 C)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化バナ
ジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化珪素(S
iC)、炭化クロム(Cr3 2 )、硼素化ジルコニウ
ム(ZrB2 )、硼素化モリブデン(MoB2 )、窒化
アルミニウム(AlN)、窒化ジルコニウム(Zr
N)、窒化ニオブ(NbN)、窒化珪素(Si3 4
等が好ましい。
【0017】これら酸化物セラミックス、非酸化物セラ
ミックスは、それぞれ単体またはそれらを混合したセラ
ミックス複合体、あるいは酸化物セラミックスと非酸化
物セラミックスとの混合物として使用される。
【0018】サ−メットとしては、炭化チタン−ニッケ
ル−炭化モリブデンを主成分とするものや炭化チタン−
窒化チタン−ニッケル−炭化モリブデンを主成分とする
ものが好ましい。
【0019】以上、この発明において使用される好適な
材料について述べたが、これらの材料はいずれも焼結し
て用いられる。そのとき、焼結体の材料物性に最も影響
を及ぼすのは焼結密度である。この焼結密度は、織機の
動作中にヘルドバ−とヘルドとの接触による衝撃に耐え
るだけの強度に相当する密度である。望ましくは、酸化
物セラミックス、非酸化物セラミックスまたはそれらの
複合体の真密度の93%以上に相当するものがよい。
【0020】この発明では、ヘルドバ−、ヘルドおよび
ヘルドフレ−ムの基本形状等は、従来のものがそのまま
使用される。軽量化に対応するためには、それに応じた
材料が使用される。
【0021】ヘルドバ−またはヘルドに取付けられる磨
耗防止体は、通常接着剤によりヘルドバ−またはヘルド
に取付けられるが、磨耗防止体をヘルドバ−またはヘル
ドに嵌合させてもよい。磨耗防止体をヘルドバ−または
ヘルドに取付けたとき、磨耗防止体の側縁が面一になる
ことが必要で、段差ができるとヘルドの動きにばらつき
がでて、その並列度が安定せず、隣接するヘルドの分離
が悪くなる。
【0022】なお、ヘルドバ−はヘルドに比べて形状が
比較的簡単であるが、ヘルドは形状が複雑であり、全体
をセラミックス、セラミックス複合体またはサ−メット
で構成するには相当の技術、費用を要する。
【0023】また、使用する接着剤うち好ましいは、低
比重で、適当な粘度であり、ヘルドバ−またはヘルドと
磨耗防止体との空隙を埋めることができ、磨耗防止体を
ヘルドバ−またはヘルドに強固に接合し、接着剤自身に
適当な弾力性があるものである。その例として、湿気反
応型エポキシ樹脂等が好ましく、低粘度のα−シアノア
クリレ−ト型接着剤や接着後吸水性により接着強度の低
下する澱粉系の接着剤等は好ましくない。
【0024】
【作用】この発明では、織機におけるヘルドバ−とヘル
ドの少なくとも接触部に、軽量かつ高硬度で、耐摩耗性
のあるセラミックス、セラミック複合体又はサ−メット
よりなる磨耗防止体が配置される。このため、織機の固
有振動を織機の使用範囲外にずらすことができ、ヘルド
の横揺れを防止することができる。しかも、ヘルドバ−
とヘルドの接触部における損傷が防止され、初期の状態
が維持される。従って、ヘルドの並列度がより安定し、
ヘルドの分離が良好になる。さらに、メ−ル部角度の柔
軟性、すなわちメ−ル部角度を所定の大きさに維持する
ことができる。その結果、経糸羽毛立ちや経糸切れの発
生が防止される。
【0025】また、リ−ドの高速往復運動に伴って、ヘ
ルドとヘルドバ−との高速多数回接触によりヘルドバ−
に損傷が現れるのを防止できる。これによってもヘルド
の運動が使用開始時と同様にスム−ズであり、機織りを
円滑に行うことができる。加えて、ヘルドバーの使用期
間を長く維持でき、経済的な負担を軽くすることができ
る。その上、金属同志の接触による騒音を減少させるこ
とができ、作業環境の改善と、作業者の肉体的負担を軽
減することができる。
【0026】
【実施例】以下に、この発明を具体化した実施例および
比較例について説明する。 (実施例1)この実施例では、ウォータージェットルー
ムを使用した。リードスペース200cm、織機回転数1
000rpmであり、経糸はポリエステル製で、45デ
ニール20フィラメント空気交絡糸で、無撚、無糊とし
た。緯糸はポリエステル製で、70デニール30フィラ
メントとし、生機密度は、経糸×緯糸が103×77本
/inである。
【0027】図1に示すように、ヘルドバ−1はステン
レス鋼(SUS304)により、断面ほぼ長方形をなす
棒状に形成されている。このヘルドバー1の大きさは、
例えば幅12×長さ2000×厚さ0.7mmである。磨
耗防止体2はジルコニア焼結体により、U溝状に形成さ
れ、所定の長さを有している。この磨耗防止体2は、例
えば両側部の高さ1.9×底部の幅2.0×両側部の厚
さ0.5×底部の厚さ0.5×長さ50mm、硬度Hv1
200Kg/mm2 である。この磨耗防止体2は長さ20
00mmとなるように40個連ねられている。
【0028】磨耗防止体2のジルコニアは、イットリア
が添加された部分安定化ジルコニア(東ソ−製、グレ−
ド3Y、平均粒度0.3μm)である。このジルコニア
は射出成形法によって所定形状に成形され、バリ取りさ
れた後に1485℃、2時間の条件で焼成される。焼成
されたジルコニア焼結体は、5.98g/cm2 の密度で
あった。焼成後、焼結体の歪みを取り除くために、14
50℃、2時間の条件でアニ−ル処理を行った。
【0029】図1,2に示すように、複数の磨耗防止体
2は、その外底面が図示しない定盤面上に連続して載置
されるとともに、その内側面にエポキシ樹脂系の接着剤
が塗布される。そして、接着剤の塗布面にヘルドバー1
が嵌合される。従って、この磨耗防止体2は接着剤層3
を介してヘルドバ−1の両端縁にそれぞれ密着するよう
に接合され、各磨耗防止体2の外底面は面一になる。
【0030】図3(a)、(b)に示すように、ヘルド
4はステンレス鋼(SUS304)により細長薄板状に
形成され、両端部にヘルドバ−1が挿通される支持孔5
が透設されている。斜状部4aはヘルド4の中央に所定
の角度をもって形成されている。経糸が挿通される経糸
挿通孔6は、この斜状部4aに設けられ、メール部角度
を所定値に設定できるようにしている。
【0031】図4に示すように、水平に延びる上下一対
のヘルドバ−1が、ヘルド4の支持孔5に挿入されるこ
とにより、多数のヘルド4がヘルドバ−1に所定間隔を
おいて支持される。図5に示すように、ヘルドバ−1に
多数のヘルド4が組付けられた組付体7が前後に一対配
設される。これら組付体7は互いに上下位置をずらして
配置される。そして、各組付体7におけるヘルド4の経
糸挿通孔6にはそれぞれ経糸8が前後に挿通される。こ
のとき、経糸挿通孔6はヘルド4の斜状部4aに設けら
れ、メール部角度が所定の大きさに維持されるので、経
糸8は前方へ円滑に移動する。
【0032】中央が前方に突出した変形リード9は組付
体7の前方位置に回動可能に配置され、多数の経糸8が
通される。そして、変形リード9の前方において上下の
経糸8間に緯糸10が通された後、変形リード9が前方
へ回動して織物Wが織り上げられる。
【0033】すなわち、図6に示すように、内部から緯
糸10を吹き出すためのウォータノズル11が変形リー
ド9の側方に設けられ、緯糸10を上下の経糸8間に吹
き出す。複数のウォータサブノズル12はリード9の前
側下部に配置され、ウォータノズル11から吹き出され
た緯糸10が水平方向に流れるように水を斜め上方に吹
き出す。緯糸カッター13は、ウォータノズル12の吹
き出し口近傍に配置され、ウォータノズル12から吹き
出された緯糸10を切断する。
【0034】そして、図5に示すように、前後の組付体
7が上下逆方向に所定量だけ移動することにより、経糸
8は組付体7の前方で斜めに延び、経糸8間に側面三角
形の空間が形成される。この状態で、図6に示すよう
に、ウォータノズル11から水が吹き出されることによ
り、緯糸10がその空間に向かって飛び出す。さらに、
図7に示すように、緯糸10の先端が移動するのに伴っ
て、ウォータノズル11側のウォータサブノズル12か
ら順に水が緯糸10の進行方向に吹き出される。従っ
て、緯糸10は水平方向に真っ直ぐ移動する。そして、
緯糸10が組付体7の端部にまで至ると、緯糸カッター
13によりウォータノズル11近傍位置の緯糸10が切
断される。
【0035】この実施例では、ヘルドバ−1に接着固定
された磨耗防止体2により、織機の固有振動が織機の使
用範囲外に移行され、ヘルド4の横揺れが防止される。
このため、織機の高速運転が可能になるとともに、経糸
8の毛羽立ちや経糸切れを防止することができる。さら
に、ヘルドバ−1とヘルド4との接触部の磨耗が防止さ
れ、ヘルドバ−1とヘルド4の耐久性が向上し、長期に
わたる使用が確保される。しかも、ヘルドバ−1とヘル
ド4との接触による騒音が低減されることから、作業環
境の改善を図ることができる。加えて、ヘルドバー1と
ヘルド4の長期使用が可能となって、製造コストの低減
を図ることができる。
【0036】ちなみに、この実施例のようにして、製織
を行った結果、軽糸毛羽は100万ピックあたり0.3
回であった。また、ヘルド4の摩耗発生による横揺れは
1200疋を製織するまで現れなかった。また、騒音は
85dBまで低下した。
【0037】さらに、ヘルドバ−1は軽量化が達成され
る。例えば、ヘルドバー1として、SUS304からな
り、幅8.1×長さ2000×厚さ0.8mmのものを用
い、磨耗防止体2としてジルコニア焼結体よりなり、両
側部の高さ1.9×底部の幅2.0×両側部の厚さ0.
5×底部の厚さ0.5×長さ2000mm、硬度Hv12
00Kg/mm2 のものを用いた。これを、SUS304
からなる図10に示す従来のヘルドバー(幅9.5×長
さ2000×厚さ1.5mm)を使用した場合と比べる
と、総重量を16%程度軽減することができる。従っ
て、織機の高速化への動きや省資源に対応することがで
きる。その上、磨耗防止体2以外は、従来の織機部品を
使用することができるので、新規投資を極力抑制するこ
とができる。 (実施例2〜4)実施例2〜4では、ヘルドバ−1に取
付けられる磨耗防止体2の材質を表1のように変更し
た。その他は実施例1と同様にして製織を行った。その
結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】表1に示したように、実施例2〜4では、
毛羽発生回数は100万ピックあたり0.7〜0.8回
であった。また、ヘルド4の摩耗発生による横揺れは1
080〜1350疋を製織するまで現れなかった。さら
に、騒音は90〜97dBであった。 (実施例5)次に、この発明を具体化した実施例5につ
いて説明する。
【0040】図9に示すように、磨耗防止体14はU字
状をなし、その外面中央に両端まで延びる凹状の係止溝
15が設けられている。この磨耗防止体14は、実施例
1で用いたジルコニア焼結体により形成されている。図
8に示すように、この磨耗防止体14は、ヘルドバー1
の支持孔5の両端にエポキシ樹脂接着剤により、その係
止溝15がヘルドバー1の支持孔5に係合固着される。
【0041】そして、実施例1と同様にして製織を行っ
た。その結果、軽糸毛羽は100万ピックあたり0.4
回であった。また、ヘルド4の摩耗発生による横揺れは
1170疋を製織するまで現れなかった。また、騒音は
80dBまで低下した。 (比較例1)図10に示すように、SUS304からな
るフラットヘルドの孔に同じくSUS304からなるヘ
ルドバ−(幅9.5×長さ2000×厚さ1.5mm)が
挿入されて組付体が構成される。そして、この組付体を
用いて、実施例1と同様の布を織った。
【0042】その結果、経糸毛羽は100万ピックあた
り3.5回であった。また、ヘルドの摩耗発生による横
揺れは115疋を製織するまで現れなかった。また、騒
音は115dBであった。
【0043】なお、この発明では、構成を例えば次のよ
うに変更してもよい。 (a)実施例のウォータージェットルームに代えてエア
ジェットルームなどを採用すること。 (b)ヘルドバ−1またはヘルド4自体の材質をセラミ
ックス、セラミックス複合体またはサーメットで形成す
ること。 (c)ヘルドバ−1に取付けられる磨耗防止体2の外周
面に、ヘルド4の支持孔5が係合される係合溝を設ける
こと。 (d)ヘルドバ−1に取付けられる磨耗防止体2をヘル
ド4が取付けられる部分にのみ設けること。
【0044】なお、前記実施態様より把握される請求項
以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記
載する。 (1)経糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバーに接触
して取付支持され、ヘルドバーのヘルドとの少なくとも
接触部がセラミックス、セラミックス複合体またはサー
メットである織機用ヘルドバー。このように構成すれ
ば、ヘルドバーとヘルドとの接触部におけるヘルドバー
の耐磨耗性を効果的に向上させることができる。 (2)経糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバーに接触
して取付支持され、ヘルドのヘルドバーとの少なくとも
接触部がセラミックス、セラミックス複合体またはサー
メットである織機用ヘルド。この構成により、ヘルドバ
ーとヘルドとの接触部におけるヘルドの耐磨耗性の向上
を図ることができる。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、ヘルドの横揺れを防止して、織機の高速運転を可能
にすることができる。また、ヘルドバ−とヘルドとの接
触部の磨耗を防止して、耐久性を図ることができるとと
もに、接触部での騒音を低減して作業環境の改善を図る
ことができる。しかも、経糸の毛羽立ちや経糸切れを防
止できるとともに、ヘルドバーとヘルドの長期使用が可
能となって、製造コストの低減を図ることができる。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】 実施例のヘルドバ−に磨耗防止体を取付けた
状態の斜視図。
【0048】
【図2】 図1の部分拡大断面図。
【0049】
【図3】 (a)はヘルドを示す斜視図、(b)は
(a)の側面図。
【0050】
【図4】 ヘルドをヘルドバ−に取付けた状態を示す斜
視図。
【0051】
【図5】 織機の構成を示す要部斜視図。
【0052】
【図6】 経糸間に緯糸を通す状態を示す斜視図。
【0053】
【図7】 図6からさらに経糸間に緯糸を通す状態を示
す斜視図。
【0054】
【図8】 ヘルドに磨耗防止体を取付けた状態を示す斜
視図。
【0055】
【図9】 磨耗防止体を示す斜視図。
【0056】
【図10】 従来のヘルドをヘルドバ−に取付けた状態
を示す斜視図。
【0057】
【符号の説明】
1…ヘルドバ−、2…磨耗防止体、4…ヘルド、8…経
糸、14…磨耗防止体。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年11月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、織機において経糸の
搬送を補助し、経糸を上下に分けて、杼口を作る運動で
ある開口運動を行い、織布模様パターンを決めるヘルド
を支持する織機用ヘルドバーおよびヘルドに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】織機において織物を織りあげるときの織
機の運動は次の順序で行われる。第1に、ヘルドの上下
移動によって経糸が開口する。開口方式は、クランク、
タペット、ドビー、ジャガードなどがある。製織機物の
種類によって静止角、開口量が異なる。
【0003】第2に、緯糸を緯入れによって、開口した
経糸の間に入れる。この緯入れ方式は、ウオータジェッ
トルームでは水、エアジェットルームでは空気、レビア
ルームではレビア、ハンドフライシャトル織機では杼、
グリッパー織機ではグリッパーシャトルが使用される。
【0004】第3にリードによる緯打ちが行われ織物が
出来上がる。第4に織りあげられた織物は、クロスロー
ラに巻き取られ、ヤーンビームから経糸が送り出され
る。織布を織りあげる際には経糸の搬送を補助するヘル
ドが上下して経糸を開口させる。そして、緯糸と経糸が
交差するタイミングの組合せによって織布模様が決定さ
れる。
【0005】フラットヘルド、強化型デュブレックスヘ
ルドの場合には、端末部の挿通孔をヘルドバ−が貫通
し、ライダレスヘルドの場合には端末部で吊り下げられ
る様式でヘルドが支持され、ヘルドフレーム内に嵌め込
まれる。例えば、図10に示すように、中央に経糸挿通
孔21を有するヘルド22は、両端に挿通孔23を有し
ている。そして、この挿通孔23にヘルドバ−24が挿
通され、複数のヘルド22が一定間隔をおいて支持され
る。これらヘルドバ−24およびヘルド22には耐腐食
性、耐摩耗性、耐破損性の観点から、主にステンレス鋼
が用いられている。
【0006】特公昭59−38334号公報には、軽量
なフレームスチィーブをもち、各フレームスチィーブル
ーブにはその一面に形成され、絖を支持するため緯方向
に開放された端ループによって少なくとも1個のヘルド
ロッドを有する綜絖枠に関する記載が開示されている。
この綜絖枠は、高速の往復運動を行なうためにできるだ
け軽量で、しかも高い曲げ強度を持った物である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、織機
の高速化が進み、1500rpm程度のスピードでリー
ドが動くものもある。各ヘルドは上下動して織布模様パ
ターンを決める。また、コンピューターの導入により複
雑な織布模様パターンを生み出すために、1台の織機に
多数のヘルドフレームが使用されつつある。
【0008】この高速化によって、ヘルドおよびヘルド
バーに対する負荷が多大なものとなり、従来考えられな
かった振動が発生し、織機の動作をスムーズに行うこと
ができず、能率の低下が甚だしくなる。このため、高速
での機織り能力を備えた織機でも、場合によっては機織
り速度を落として操業しなければならなくなることもあ
る。
【0009】このように、織機の高速化によって発生す
る織機の振動により、ヘルドの横揺れが発生するように
なった。このような横揺れ現象が生じると、ヘルドの並
列度が安定せず、隣接するヘルド間の分離が十分ではな
くなる。しかも、経糸に対するヘルドの角度を表すメー
ル部角度がより鋭角になり、経糸毛羽立ちや経糸切れが
生じ、機織りには大変不都合となる。従って、上記のよ
うな操業を余儀なくされる場合もある。この織機の振動
は、織機の最適速度において発生するため、それを防止
するか、振動が発生する速度を機織りの速度からずらす
ことが要求される。
【0010】加えて、ヘルドバーとヘルドとの接触部に
磨耗による損傷が生じるようになった。すなわち、リー
ドの高速化に伴い、金属からなるヘルドの上下動が生
じ、ヘルドフレームに固定された金属からなるヘルドバ
−との多数回接触が生じ、ヘルドバ−の接触部に損傷が
生ずる。ヘルドバ−にこのような損傷が生ずるとヘルド
の並列度が安定せず、ヘルドの分離が十分ではなくなる
ため、織布を織り上げる場合の欠点となる。さらに、ヘ
ルドバ−の接触部に損傷が生ずるとヘルド自身を交換せ
ねばならず、製造コストが上昇する。
【0011】その上、金属同士の接触により騒音が大き
くなり、作業環境の問題が発生し、作業者にも過大な負
担を及ぼす。しかも、近年、より複雑な織布模様パター
ンを生み出す動きにあり、それに対応するために多数の
ヘルドフレームが1台の織機に使用されている。そこ
で、できるだけヘルドフレームの製造コストを下げる方
向が指向されている。特公昭59−38334号公報に
記載の綜絖枠では、フレームスチィーブとヘルドロッド
が一体化されているため、従来の設備をそのまま使用す
ることはできず、新たな投資が必要となる。
【0012】この発明は、このような従来技術の問題に
着目してなされたものである。その目的とするところ
は、ヘルドの横揺れを防止し、織機の高速運転を可能に
する織機用ヘルドバ−およびヘルドを提供することにあ
る。また、他の目的とするところは、ヘルドバ−とヘル
ドとの接触部の磨耗を防止して、耐久性を図ることがで
きるとともに、接触部での騒音を低減して作業環境の改
善を図ることができる織機用ヘルドバ−およびヘルドを
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1に記載の織機用ヘルドバーの発明では、経
糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバーに接触して取付
支持され、ヘルドバーのヘルドとの少なくとも接触部に
は、セラミックス、セラミックス複合体またはサーメッ
トで形成された摩耗防止体を取り付けたものである。
【0014】また、請求項2に記載の織機用ヘルドの発
明では、経糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバーに接
触して取付支持され、ヘルドのヘルドバーとの少なくと
も接触部には、セラミック、セラミックス複合体または
サーメットで形成された摩耗防止体を取り付けたもので
ある。
【0015】以下に、この発明について詳細に説明す
る。この発明において、ヘルドバ−とヘルドとの接触部
に取付けられる摩耗防止体として要求される材料特性
は、軽量で、硬度が高く、かつ耐摩耗性が高いことであ
る。これらの特性を備えた材料は、以下に述べるセラミ
ックス、セラミック複合体またはサ−メットである。な
お、この発明では、ヘルドバ−またはヘルドの全体ある
いは接触部のみがセラミックス、セラミック複合体また
はサ−メットであってもよい。
【0016】セラミックスとしては、酸化物セラミック
ス及び非酸化物セラミックスが使用される。酸化物セラ
ミックスとしては、アルミナ、ジルコニアが好ましい。
また、非酸化物セラミックスとしては、IVa,Va,VI
a金属の炭化物、窒化物、硼化物が好ましい。例えば、
炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭化タ
ンタル(TaC)、硼素化チタン(TiB2 )、炭化硼
素(B4 C)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化バナ
ジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化珪素(S
iC)、炭化クロム(Cr3 2 )、硼素化ジルコニウ
ム(ZrB2 )、硼素化モリブデン(MoB2 )、窒化
アルミニウム(AlN)、窒化ジルコニウム(Zr
N)、窒化ニオブ(NbN)、窒化珪素(Si3 4
等が好ましい。
【0017】これら酸化物セラミックス、非酸化物セラ
ミックスは、それぞれ単体またはそれらを混合したセラ
ミックス複合体、あるいは酸化物セラミックスと非酸化
物セラミックスとの混合物として使用される。
【0018】サ−メットとしては、炭化チタン−ニッケ
ル−炭化モリブデンを主成分とするものや炭化チタン−
窒化チタン−ニッケル−炭化モリブデンを主成分とする
ものが好ましい。
【0019】以上、この発明において使用される好適な
材料について述べたが、これらの材料はいずれも焼結し
て用いられる。そのとき、焼結体の材料物性に最も影響
を及ぼすのは焼結密度である。この焼結密度は、織機の
動作中にヘルドバ−とヘルドとの接触による衝撃に耐え
るだけの強度に相当する密度である。望ましくは、酸化
物セラミックス、非酸化物セラミックスまたはそれらの
複合体の真密度の93%以上に相当するものがよい。
【0020】この発明では、ヘルドバ−、ヘルドおよび
ヘルドフレ−ムの基本形状等は、従来のものがそのまま
使用される。軽量化に対応するためには、それに応じた
材料が使用される。
【0021】ヘルドバ−またはヘルドに取付けられる磨
耗防止体は、通常接着剤によりヘルドバ−またはヘルド
に取付けられるが、磨耗防止体をヘルドバ−またはヘル
ドに嵌合させてもよい。磨耗防止体をヘルドバ−または
ヘルドに取付けたとき、磨耗防止体の側縁が面一になる
ことが必要で、段差ができるとヘルドの動きにばらつき
がでて、その並列度が安定せず、隣接するヘルドの分離
が悪くなる。
【0022】なお、ヘルドバ−はヘルドに比べて形状が
比較的簡単であるが、ヘルドは形状が複雑であり、全体
をセラミックス、セラミックス複合体またはサ−メット
で構成するには相当の技術、費用を要する。
【0023】また、使用する接着剤うち好ましいは、低
比重で、適当な粘度であり、ヘルドバ−またはヘルドと
磨耗防止体との空隙を埋めることができ、磨耗防止体を
ヘルドバ−またはヘルドに強固に接合し、接着剤自身に
適当な弾力性があるものである。その例として、湿気反
応型エポキシ樹脂等が好ましく、低粘度のα−シアノア
クリレ−ト型接着剤や接着後吸水性により接着強度の低
下する澱粉系の接着剤等は好ましくない。
【0024】
【作用】この発明では、織機におけるヘルドバ−とヘル
ドの少なくとも接触部に、軽量かつ高硬度で、耐摩耗性
のあるセラミックス、セラミック複合体又はサ−メット
よりなる磨耗防止体が配置される。このため、織機の固
有振動を織機の使用範囲外にずらすことができ、ヘルド
の横揺れを防止することができる。しかも、ヘルドバ−
とヘルドの接触部における損傷が防止され、初期の状態
が維持される。従って、ヘルドの並列度がより安定し、
ヘルドの分離が良好になる。さらに、メ−ル部角度の柔
軟性、すなわちメ−ル部角度を所定の大きさに維持する
ことができる。その結果、経糸羽毛立ちや経糸切れの発
生が防止される。
【0025】また、リ−ドの高速往復運動に伴って、ヘ
ルドとヘルドバ−との高速多数回接触によりヘルドバ−
に損傷が現れるのを防止できる。これによってもヘルド
の運動が使用開始時と同様にスム−ズであり、機織りを
円滑に行うことができる。加えて、ヘルドバーの使用期
間を長く維持でき、経済的な負担を軽くすることができ
る。その上、金属同志の接触による騒音を減少させるこ
とができ、作業環境の改善と、作業者の肉体的負担を軽
減することができる。
【0026】
【実施例】以下に、この発明を具体化した実施例および
比較例について説明する。 (実施例1)この実施例では、ウォータージェットルー
ムを使用した。リードスペース200cm、織機回転数1
000rpmであり、経糸はポリエステル製で、45デ
ニール20フィラメント空気交絡糸で、無撚、無糊とし
た。緯糸はポリエステル製で、70デニール30フィラ
メントとし、生機密度は、経糸×緯糸が103×77本
/inである。
【0027】図1に示すように、ヘルドバ−1はステン
レス鋼(SUS304)により、断面ほぼ長方形をなす
棒状に形成されている。このヘルドバー1の大きさは、
例えば幅12×長さ2000×厚さ0.7mmである。磨
耗防止体2はジルコニア焼結体により、U溝状に形成さ
れ、所定の長さを有している。この磨耗防止体2は、例
えば両側部の高さ1.9×底部の幅2.0×両側部の厚
さ0.5×底部の厚さ0.5×長さ50mm、硬度Hv1
200Kg/mm2 である。この磨耗防止体2は長さ20
00mmとなるように40個連ねられている。
【0028】磨耗防止体2のジルコニアは、イットリア
が添加された部分安定化ジルコニア(東ソ−製、グレ−
ド3Y、平均粒度0.3μm)である。このジルコニア
は射出成形法によって所定形状に成形され、バリ取りさ
れた後に1485℃、2時間の条件で焼成される。焼成
されたジルコニア焼結体は、5.98g/cm2 の密度で
あった。焼成後、焼結体の歪みを取り除くために、14
50℃、2時間の条件でアニ−ル処理を行った。
【0029】図1,2に示すように、複数の磨耗防止体
2は、その外底面が図示しない定盤面上に連続して載置
されるとともに、その内側面にエポキシ樹脂系の接着剤
が塗布される。そして、接着剤の塗布面にヘルドバー1
が嵌合される。従って、この磨耗防止体2は接着剤層3
を介してヘルドバ−1の両端縁にそれぞれ密着するよう
に接合され、各磨耗防止体2の外底面は面一になる。
【0030】図3(a)、(b)に示すように、ヘルド
4はステンレス鋼(SUS304)により細長薄板状に
形成され、両端部にヘルドバ−1が挿通される支持孔5
が透設されている。斜状部4aはヘルド4の中央に所定
の角度をもって形成されている。経糸が挿通される経糸
挿通孔6は、この斜状部4aに設けられ、メール部角度
を所定値に設定できるようにしている。
【0031】図4に示すように、水平に延びる上下一対
のヘルドバ−1が、ヘルド4の支持孔5に挿入されるこ
とにより、多数のヘルド4がヘルドバ−1に所定間隔を
おいて支持される。図5に示すように、ヘルドバ−1に
多数のヘルド4が組付けられた組付体7が前後に一対配
設される。これら組付体7は互いに上下位置をずらして
配置される。そして、各組付体7におけるヘルド4の経
糸挿通孔6にはそれぞれ経糸8が前後に挿通される。こ
のとき、経糸挿通孔6はヘルド4の斜状部4aに設けら
れ、メール部角度が所定の大きさに維持されるので、経
糸8は前方へ円滑に移動する。
【0032】中央が前方に突出した変形リード9は組付
体7の前方位置に回動可能に配置され、多数の経糸8が
通される。そして、変形リード9の前方において上下の
経糸8間に緯糸10が通された後、変形リード9が前方
へ回動して織物Wが織り上げられる。
【0033】すなわち、図6に示すように、内部から緯
糸10を吹き出すためのウォータノズル11が変形リー
ド9の側方に設けられ、緯糸10を上下の経糸8間に吹
き出す。複数のウォータサブノズル12はリード9の前
側下部に配置され、ウォータノズル11から吹き出され
た緯糸10が水平方向に流れるように水を斜め上方に吹
き出す。緯糸カッター13は、ウォータノズル12の吹
き出し口近傍に配置され、ウォータノズル12から吹き
出された緯糸10を切断する。
【0034】そして、図5に示すように、前後の組付体
7が上下逆方向に所定量だけ移動することにより、経糸
8は組付体7の前方で斜めに延び、経糸8間に側面三角
形の空間が形成される。この状態で、図6に示すよう
に、ウォータノズル11から水が吹き出されることによ
り、緯糸10がその空間に向かって飛び出す。さらに、
図7に示すように、緯糸10の先端が移動するのに伴っ
て、ウォータノズル11側のウォータサブノズル12か
ら順に水が緯糸10の進行方向に吹き出される。従っ
て、緯糸10は水平方向に真っ直ぐ移動する。そして、
緯糸10が組付体7の端部にまで至ると、緯糸カッター
13によりウォータノズル11近傍位置の緯糸10が切
断される。
【0035】この実施例では、ヘルドバ−1に接着固定
された磨耗防止体2により、織機の固有振動が織機の使
用範囲外に移行され、ヘルド4の横揺れが防止される。
このため、織機の高速運転が可能になるとともに、経糸
8の毛羽立ちや経糸切れを防止することができる。さら
に、ヘルドバ−1とヘルド4との接触部の磨耗が防止さ
れ、ヘルドバ−1とヘルド4の耐久性が向上し、長期に
わたる使用が確保される。しかも、ヘルドバ−1とヘル
ド4との接触による騒音が低減されることから、作業環
境の改善を図ることができる。加えて、ヘルドバー1と
ヘルド4の長期使用が可能となって、製造コストの低減
を図ることができる。
【0036】ちなみに、この実施例のようにして、製織
を行った結果、軽糸毛羽は100万ピックあたり0.3
回であった。また、ヘルド4の摩耗発生による横揺れは
1200疋を製織するまで現れなかった。また、騒音は
85dBまで低下した。
【0037】さらに、ヘルドバ−1は軽量化が達成され
る。例えば、ヘルドバー1として、SUS304からな
り、幅8.1×長さ2000×厚さ0.8mmのものを用
い、磨耗防止体2としてジルコニア焼結体よりなり、両
側部の高さ1.9×底部の幅2.0×両側部の厚さ0.
5×底部の厚さ0.5×長さ2000mm、硬度Hv12
00Kg/mm2 のものを用いた。これを、SUS304
からなる図10に示す従来のヘルドバー(幅9.5×長
さ2000×厚さ1.5mm)を使用した場合と比べる
と、総重量を16%程度軽減することができる。従っ
て、織機の高速化への動きや省資源に対応することがで
きる。その上、磨耗防止体2以外は、従来の織機部品を
使用することができるので、新規投資を極力抑制するこ
とができる。 (実施例2〜4)実施例2〜4では、ヘルドバ−1に取
付けられる磨耗防止体2の材質を表1のように変更し
た。その他は実施例1と同様にして製織を行った。その
結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】表1に示したように、実施例2〜4では、
毛羽発生回数は100万ピックあたり0.7〜0.8回
であった。また、ヘルド4の摩耗発生による横揺れは1
080〜1350疋を製織するまで現れなかった。さら
に、騒音は90〜97dBであった。 (実施例5)次に、この発明を具体化した実施例5につ
いて説明する。
【0040】図9に示すように、磨耗防止体14はU字
状をなし、その外面中央に両端まで延びる凹状の係止溝
15が設けられている。この磨耗防止体14は、実施例
1で用いたジルコニア焼結体により形成されている。図
8に示すように、この磨耗防止体14は、ヘルドバー1
の支持孔5の両端にエポキシ樹脂接着剤により、その係
止溝15がヘルドバー1の支持孔5に係合固着される。
【0041】そして、実施例1と同様にして製織を行っ
た。その結果、軽糸毛羽は100万ピックあたり0.4
回であった。また、ヘルド4の摩耗発生による横揺れは
1170疋を製織するまで現れなかった。また、騒音は
80dBまで低下した。 (比較例1)図10に示すように、SUS304からな
るフラットヘルドの孔に同じくSUS304からなるヘ
ルドバ−(幅9.5×長さ2000×厚さ1.5mm)が
挿入されて組付体が構成される。そして、この組付体を
用いて、実施例1と同様の布を織った。
【0042】その結果、経糸毛羽は100万ピックあた
り3.5回であった。また、ヘルドの摩耗発生による横
揺れは115疋を製織するまで現れなかった。また、騒
音は115dBであった。
【0043】なお、この発明では、構成を例えば次のよ
うに変更してもよい。 (a)実施例のウォータージェットルームに代えてエア
ジェットルームなどを採用すること。 (b)ヘルドバ−1またはヘルド4自体の材質をセラミ
ックス、セラミックス複合体またはサーメットで形成す
ること。 (c)ヘルドバ−1に取付けられる磨耗防止体2の外周
面に、ヘルド4の支持孔5が係合される係合溝を設ける
こと。 (d)ヘルドバ−1に取付けられる磨耗防止体2をヘル
ド4が取付けられる部分にのみ設けること。
【0044】なお、前記実施態様より把握される請求項
以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記
載する。 (1)経糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバーに接触
して取付支持され、ヘルドバーのヘルドとの少なくとも
接触部がセラミックス、セラミックス複合体またはサー
メットである織機用ヘルドバー。このように構成すれ
ば、ヘルドバーとヘルドとの接触部におけるヘルドバー
の耐磨耗性を効果的に向上させることができる。 (2)経糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバーに接触
して取付支持され、ヘルドのヘルドバーとの少なくとも
接触部がセラミックス、セラミックス複合体またはサー
メットである織機用ヘルド。この構成により、ヘルドバ
ーとヘルドとの接触部におけるヘルドの耐磨耗性の向上
を図ることができる。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、ヘルドの横揺れを防止して、織機の高速運転を可能
にすることができる。また、ヘルドバ−とヘルドとの接
触部の磨耗を防止して、耐久性を図ることができるとと
もに、接触部での騒音を低減して作業環境の改善を図る
ことができる。しかも、経糸の毛羽立ちや経糸切れを防
止できるとともに、ヘルドバーとヘルドの長期使用が可
能となって、製造コストの低減を図ることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のヘルドバ−に磨耗防止体を取付けた
状態の斜視図。
【図2】 図1の部分拡大断面図。
【図3】 (a)はヘルドを示す斜視図、(b)は
(a)の側面図。
【図4】 ヘルドをヘルドバ−に取付けた状態を示す斜
視図。
【図5】 織機の構成を示す要部斜視図。
【図6】 経糸間に緯糸を通す状態を示す斜視図。
【図7】 図6からさらに経糸間に緯糸を通す状態を示
す斜視図。
【図8】 ヘルドに磨耗防止体を取付けた状態を示す斜
視図。
【図9】 磨耗防止体を示す斜視図。
【図10】 従来のヘルドをヘルドバ−に取付けた状態
を示す斜視図。
【符号の説明】 1…ヘルドバ−、2…磨耗防止体、4…ヘルド、8…経
糸、14…磨耗防止体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨田 邦夫 石川県石川郡野々市町粟田2丁目194

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバ
    ーに接触して取付支持され、ヘルドバーのヘルドとの少
    なくとも接触部には、セラミックス、セラミックス複合
    体またはサーメットで形成された摩耗防止体を取り付け
    た織機用ヘルドバー。
  2. 【請求項2】 経糸が挿通支持されるヘルドがヘルドバ
    ーに接触して取付支持され、ヘルドのヘルドバーとの少
    なくとも接触部には、セラミック、セラミックス複合体
    またはサーメットで形成された摩耗防止体を取り付けた
    織機用ヘルド。
JP25084394A 1994-10-17 1994-10-17 織機用ヘルドバーおよびヘルド Pending JPH08113843A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101107400B1 (ko) * 2009-07-24 2012-01-19 이재은 플라스틱 종광 사출 반제품에 대한 개별 종광들의 자동 취출 및 카트리지화 정렬조립장치

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101107400B1 (ko) * 2009-07-24 2012-01-19 이재은 플라스틱 종광 사출 반제품에 대한 개별 종광들의 자동 취출 및 카트리지화 정렬조립장치

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