JPH08112341A - 骨充填材およびその製造方法 - Google Patents

骨充填材およびその製造方法

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JPH08112341A
JPH08112341A JP6271835A JP27183594A JPH08112341A JP H08112341 A JPH08112341 A JP H08112341A JP 6271835 A JP6271835 A JP 6271835A JP 27183594 A JP27183594 A JP 27183594A JP H08112341 A JPH08112341 A JP H08112341A
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JP
Japan
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bone
osteoblasts
pores
calcium phosphate
packing material
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JP6271835A
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English (en)
Inventor
Hideaki Ito
秀明 伊藤
Yuichi Wakizaka
裕一 脇坂
Yoshinori Kuboki
芳徳 久保木
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Japan Steel Works Ltd
Original Assignee
Japan Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 骨育成が速い骨充填材を得る。 【構成】 リン酸カルシウムからなる多孔質体の気孔
壁面に、骨芽細胞が石灰化した骨様組織が形成された骨
充填材。リン酸カルシウムからなる多孔質体上で、骨髄
を培養して、骨芽細胞を増殖させ、該多孔質体の気孔内
に石灰化した骨様組織を形成する骨充填材の製造方法 【効果】 得られた骨充填材を体内に充填した後、骨
様組織が早期に骨化して、骨育成が安全かつ速やかに行
われ、治療期間を短縮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、医療分野、特に外
科、口腔外科で用いられる骨欠損部への充填材およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
疾病、事故、手術などによって生じた骨の欠損部や空隙
に対しては、自家骨を移植して充填する方法が行われて
きた。これは患者の他の部位から骨を採取し、欠損部、
空隙へ移植するものであり、移植部での骨の一体化が速
やかに進行する反面、骨を採取するために二次的な手術
が必要であり、患者の苦痛が大きいという問題がある。
この苦痛をなくすために、各種のハイドロキシアパタイ
ト製骨充填材が用いられている。特に、特開平3−15
8164号、同3−45267号には、骨芽細胞や骨髄
細胞を含む体液とともに充填することで、生体適合性に
すぐれ異物反応や炎症反応なしに骨形成を行う方法が提
案されている。しかし、これらの方法も含めて、従来の
ハイドロキシアパタイト製骨充填材は、体内に充填後、
完全に骨形成されるまでに時間がかかるという問題があ
る。この発明は、上記事情を背景としてなされたもので
あり、体内から取り出した骨髄細胞を十分に増殖させて
骨用組織とした骨充填材およびその製造方法を提供する
ものである。
【0003】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明の骨充填材は、リン酸カルシウムからなる
多孔質体の気孔壁面に、骨芽細胞が石灰化した骨様組織
が形成されていることを特徴とする。また、本願発明の
骨充填材の製造方法は、リン酸カルシウムからなる多孔
質体上で、骨髄を培養して、骨芽細胞を増殖させ、該多
孔質体の気孔内に石灰化した骨様組織を形成することを
特徴とする。
【0004】なお、上記したリン酸カルシウムとして
は、ハイドロキシアパタイト[Ca10(P O4)6(O
H)2]単相を用いるのが望ましく、乾式法、湿式法な
どの方法で合成することができる。ハイドロキシアパタ
イトは、天然の骨の無機質成分と同じ組成を有し、生体
内での骨形成が速い。しかし、CaとPの比がCa/P=
1.67からずれた非化学量論比組成のハイドロキシア
パタイトを熱処理した場合や1300℃以上の高温で熱
処理を行った場合には、分解によりリン酸三カルシウム
やリン酸四カルシウムが現れる。これらの分解生成物は
容易に溶解するため、pHが上昇し、骨芽細胞の増殖が
遅れる。したがって、ハイドロキシアパタイトは焼結後
においても分解生成物のない単相のものがよい。
【0005】また、本願発明の多孔質体は、成形体また
は顆粒体のいずれであってもよい。成形体としては、1
00〜300μm径の大きさを有する気孔が50〜80
%の気孔率で形成されているのが望ましい。また、顆粒
体としては、粒径が300〜1000μmであって、該
粒子内に100〜300μm径の大きさを有する気孔が
50〜80%の気孔率で形成されているのが望ましい。
上記した成形体または顆粒体の気孔は、上記範囲内で均
一の径を有し、さらに真球状の形状からなるのが望まし
く、また三次元的に連続しているのが一層望ましい。
【0006】本願発明で用いるリン酸カルシウムの製造
方法は特に限定されないが、例えば、湿式法により合成
したハイドロキシアパタイト粉末を、熱分解が可能な有
機物やカーボンなどからなる真球状の気孔形成材と所定
の割合で混合し、金型によるプレス成形および等方靜水
圧プレスによる緻密化を行った後、窒素などの不活性ガ
ス雰囲気下あるいは大気中で加熱して気孔形成材を燃焼
除去し、さらに大気中で焼結することにより作成でき
る。顆粒状粉末の場合は、等方靜水圧プレス後、あるい
は焼結後に粉砕し、フルイ分けすることで所定の粒径の
多孔質顆粒体を得ることができる。このときに用いるハ
イドロキシアパタイト粉末に数〜数十μmの大きさのも
のを使用すると、プレスにより球形の気孔形成材に密着
するときにその表面に凹凸が生じやすく、焼結処理後も
その凹凸形状が維持され、骨芽細胞の増殖能力が向上す
る。
【0007】
【作用】すなわち本願発明によれば、気孔の存在などに
より、骨髄細胞中の骨芽細胞は、リン酸カルシウム材に
よく付着するため、骨髄細胞が盛んに増殖し、その中で
も骨芽細胞はリン酸カルシウム成分によって分化が進行
して活発に増殖する。なお、リン酸カルシウム材を顆粒
体にすれば、骨髄細胞との接触はより効率的になり、骨
芽細胞の増殖もより活発になる。また増殖は体外で起こ
るので、培養環境のコントロールが容易であり、優先的
な骨芽細胞への分化を生じさせることができる。
【0008】そして増殖した骨芽細胞をさらに培養を続
けることにより、多孔質体の気孔内に石灰化した骨様組
織が形成される。これは血管を含まないため、体内の骨
とは異なるが、石灰化した組織となっているため、埋植
後の骨化を容易に行うことができる。したがって、この
骨充填材を使用すれば急速に骨が育成されるとともに周
囲の骨組織とも良好に結合し、短期間での治療が可能に
なる。また、培養に用いる骨髄は患者自身から採取する
ことにより、骨充填材を体内に充填する際に骨様組織が
免疫反応をおこすこともない。なお、培養時には共存物
質を添加することも可能であり、コラーゲン、BMP
(骨形成タンパク質)などを使用することができる。な
お、培養時には、骨様組織の増殖をコントロールして、
気孔の空隙および気孔間の空隙が確保されている状態で
培養を停止するのが望ましく、過度に培養を続けると、
空隙が塞がれてしまい連結性が損なわれる。良好な連結
性が維持されていると、体内に充填した際に空隙を通し
て血管や神経が円滑に成長するので、骨化はより良好に
進行する。
【0009】以下に詳細な作用とともに、望ましい構成
の限定理由を述べる。約10μmの骨芽細胞を安定に保
持し、効率的に増殖させるためには、前述したように気
孔径としては100〜300μmであるの望ましい。こ
れは気孔径が100μm未満の場合には骨芽細胞が気孔
内に円滑に侵入することができず、また、300μmを
越えると、細胞が気孔から容易に流出してしまうためで
ある。また多孔質体内部まで細胞が侵入し、十分な湿潤
性を維持するためには気孔が連続しているのが望まし
い。異方性のない三次元的な気孔の連続性を持たせるた
めには、真球状の気孔形状が最適である。さらには、多
孔質体全体に均一に細胞を侵入させるためには、気孔径
ができるかぎり均一であることが望ましい。
【0010】この気孔率が50%未満の場合には、形成
される気孔の連続性が低下し、独立した閉じた気孔が生
成されてしまうため、細胞の侵入が行えなくなってしま
う。また、均一径の球の最密充填の場合に、球の占める
体積は74%であり、リン酸カルシウムの微細な気孔を
考慮すれば、80%を越えると気孔形成材間にリン酸カ
ルシウム粉末が十分な量まで充填されない状態となり、
等方靜水圧プレスによっても緻密化が達成されないの
で、前述したように50〜80%の気孔率が望ましい。
また、気孔内部の表面は、滑らかな状態でなく、微小な
凹凸があるのが望ましく、これにより細胞の付着がスム
ーズに行われ、増殖を速める要因となる。
【0011】また、リン酸カルシウムとしてハイドロキ
シアパタイト単相を使用しても、その表面が溶出しやす
く、局部的なpH上昇を生じ骨芽細胞の侵入が遅くなる
傾向があるので、リン酸カルシウム材を生体内に充填す
る前に、中性のリン酸塩緩衝溶液に浸すなどして洗浄す
ることにより、溶出し易い成分を予め取り去ってしまう
ことが望ましく、これによって骨芽細胞の増殖を速める
ことができる。また、顆粒体として300〜1000μ
m径の顆粒状態で使用すると、骨芽細胞の侵入が、リン
酸カルシウム材全体に渡って速やかに完了し、骨芽細胞
とカルシウム材とが効率的に接触することになる。な
お、気孔径として100μm以上を確保するために、顆
粒径は300μm以上が必要であり、また、1000μ
mを越えるとバルクと同様の挙動が生じ、顆粒体として
の特性が失われるので、上記範囲が望ましい。
【0012】
【実施例】リン酸水素カルシウム二水和物[CaHPO4
・2H2O]をアルカリ水溶液中で加水分解してカルシ
ウムとリンの比(Ca/P)が、1.67のヒドロキシ
アパタイト粉末(リン酸カルシウム粉末)を得た。この
粉末は、平均粒径15μmのフレーク状結晶であり大気
中にて800℃で3時間仮焼を行った後、粒径100〜
200μmの球状アクリル系樹脂を、容積比率で約70
%添加し混合した。この混合粉を、CIP法により3,
000kg/cm2で加圧して、円柱形状に成形し、得
られた圧粉成形体を、窒素加圧下で加熱してアクリル系
樹脂を蒸発分離させ、さらに大気中で1200℃で1時
間の焼結を行なった。
【0013】この焼結体を粉砕して、300〜500μ
mの粒径のヒドロキシアパタイト顆粒体(以下「pp−
HAP」という)をフルイ分けにより回収した。この顆
粒体には、100〜200μm径の気孔が、気孔率約7
0%で形成されており、気孔の内表面には、1μm程度
の微小な凹凸が形成されていた。上記pp−HAPと、
これにコラーゲン溶液を含浸させたもの(265mgp
p−HAP+0.4%コラーゲン300μl)を実施例
として用意し、これをファルコン製のプラスチックディ
ッシュ(35mm径)に一層となるように敷き、α−M
EM+15%FCSを培地として、骨芽細胞の培養を行
なった。 培養用の細胞には、ラット大腿骨より採取し
た骨髄をフラスコ中で4日間培養し、コンフルエントに
達した付着性細胞を分離し、5×104個/ディッシュ
の細胞を用いた。
【0014】上記の細胞培養を37℃で1週間行ったも
のを比較材とし、5週間行ったものを発明材とした。比
較材は、気孔内で骨芽細胞が良好に増殖していたが石灰
化にまでは至っていなかった。これに対し発明材は骨芽
細胞の石灰化が進行して気孔の内壁に一様に骨様組織が
形成されていた。上記発明材および比較材をラットに移
植して骨化の進展状況を観察した。その結果、1週間の
培養を行ったものでは、4週目において新生骨が良好に
形成されていた。これに対し、体外で5週間の培養を行
ったものは、2週目において新生骨が良好に形成されて
おり、骨化が極めて早く進行していた。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように本願発明の骨充填材
によれば、リン酸カルシウムからなる多孔質体の気孔壁
面に、骨芽細胞が石灰化した骨様組織が形成されている
ので、体内に充填した後に安全かつ早期に骨が形成され
る効果がある。また、本願発明の骨充填材の製造方法に
よれば、リン酸カルシウムからなる多孔質体上で、骨髄
を培養して、骨芽細胞を増殖させ、該多孔質体の気孔内
に石灰化した骨様組織を形成するので、安全で骨形成の
早い骨充填材を得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸カルシウムからなる多孔質体の気
    孔壁面に、骨芽細胞が石灰化した骨様組織が形成されて
    いることを特徴とする骨充填材
  2. 【請求項2】 リン酸カルシウムからなる多孔質体上
    で、骨髄を培養して、骨芽細胞を増殖させ、該多孔質体
    の気孔内に石灰化した骨様組織を形成することを特徴と
    する骨充填材の製造方法
JP6271835A 1994-10-12 1994-10-12 骨充填材およびその製造方法 Pending JPH08112341A (ja)

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Cited By (4)

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