JPH08109388A - ギヤ油組成物 - Google Patents

ギヤ油組成物

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JPH08109388A
JPH08109388A JP27055794A JP27055794A JPH08109388A JP H08109388 A JPH08109388 A JP H08109388A JP 27055794 A JP27055794 A JP 27055794A JP 27055794 A JP27055794 A JP 27055794A JP H08109388 A JPH08109388 A JP H08109388A
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健司 林
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俊夫 功刀
Yukio Okano
幸夫 岡野
Hideaki Inaba
秀明 稲葉
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた極圧性、耐摩耗性、酸化安定性および
シンクロ特性を有し、しかも耐ピッチング性を大幅に改
善させるとともに、硫黄−リン系極圧剤を含む場合には
金属腐食,スラッジの生成を効果的に防止することので
きるギヤ油組成物を提供する。 【構成】 100℃で2〜50cStの粘度を有する鉱
油および合成油から選ばれる1種以上を基油とし、これ
に、(A)アルキルジチオリン酸亜鉛0.5〜3.0重
量%、(B)塩基価200mgKOH/g以上を有する
アルカリ土類金属型清浄分散剤1.2〜4.0重量%、
(C)平均分子量が2000〜5000のポリブテニル
基を有するビスタイプのアルケニルこはく酸イミド、そ
の誘導体4〜15重量%を含むか、または上記(A)〜
(C)成分とともに、(D)硫黄−リン系極圧剤2〜1
0重量%を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ギヤ油組成物に関し、
詳しくは、優れた耐摩耗性、酸化安定性およびシンクロ
特性を有し、さらに耐ピッチング性を大幅に改善させる
とともに、硫黄−リン系極圧剤を含む場合には、これら
の優れた特性を維持しつつ優れた極圧性をも有する自動
車用マニュアルトランスミッションならびにトランスア
クスル用ギヤ油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より使用されてきているギヤ油は、各種装置における金
属と金属との間に油膜を形成し、摩耗、焼き付き、ピッ
チング、スコーリングなどの歯面損傷を抑制することを
目的としている。このギヤ油は、通常、基油として鉱油
あるいは合成油を用い、これに目的に応じた各種の添加
剤を配合したものである。
【0003】ところで、近年、自動車用ギヤにおいて
は、エンジンの高トルク化に伴いギヤへの負荷も大きく
なっており、種々のトラブルを引き起こすことがある。
なかでも、摩耗、スコーリングに比べて、金属における
疲労、すなわちピッチングの発生によるギヤのトラブル
が多い。このため、自動車用ギヤ油においては、より高
度な疲労防止性(耐ピッチング性)を有するものが要求
されてきている。
【0004】この要求に応えるべく、通常は、極圧剤、
摩耗防止剤などの添加剤を配合する一方、基油として、
高い粘度指数を有し、酸化安定性のより優れたパラフィ
ン系鉱油を用いている。しかし、この基油および添加剤
を用いたギヤ油は、高い接触応力および高い滑り速度を
伴う条件下において、耐ピッチング性が不充分であると
いう問題がある。
【0005】また、ハイポイドギヤを装着したトランス
アクスルに使用されるギヤ油は、高い極圧性を必要とす
るために、特に、硫黄−リン系極圧剤が配合されてい
る。しかし、この硫黄−リン系極圧剤は、金属腐食、ス
ラッジ生成などの問題を生じ、トランスミッションのシ
ンクロメッシュ機構におけるシンクロナイザーリングと
ギヤコーン部で、摩擦係数の低下、あるいは異常摩耗を
生じ、同期が不良となり、シフト力の増加、延いては変
速が不可能となるなどのトラブルを発生することがあ
る。
【0006】なお、最近、(1)特定の動粘度を有する
基油に、(a)ジチオリン酸亜鉛、(b)塩基価200
mgKOH/g未満のアルカリ土類金属系清浄分散剤、
および(c)コハク酸イミドを、特定量配合したギヤ油
組成物(特開平2−155988号公報参照)、(2)
特定の動粘度を有する基油に、(a)ジチオリン酸亜鉛
等の硫黄含有化合物、(b)塩基価200mgKOH/
g以上のアルカリ土類金属系清浄分散剤、および(c)
多価アルコールの部分エステルを、特定量配合した動力
制御用潤滑油組成物(特開平2−155987号公報参
照)が提案されている。しかし、これら先提案のギヤ油
は、従来より市場で問題となっているピッチングを防止
するのに充分ではなかった。
【0007】本発明は、以上のような実情を考慮し、従
来のギヤ油が有している優れた極圧性、酸化安定性、シ
ンクロ特性をそのまま保持しつつ、耐ピッチング性をも
優れたものとして疲労寿命の延長を図るとともに、硫黄
−リン系極圧剤を含む場合にあっては金属腐食,スラッ
ジの生成を効果的に防止し得、しかも上記した先提案の
ものとは異なる組成を有するギヤ油組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために検討を重ねた結果、次のような知見
を得た。 (i)上記先提案(2)の動力制御用潤滑油組成物中の
(b)成分である塩基価が200mgKOH/g以上の
アルカリ土類金属系清浄分散剤が、耐ピッチング性を優
れたものとすること。 (ii)ただし、アルカリ土類金属系清浄分散剤の塩基
価が200mgKOH/g以上の場合、(c)成分の選
択が困難になること、すなわち、モノタイプのコハク酸
イミドでは、耐ピッチング性を優れたものとするができ
ないこと(因みに、(c)成分としてコハク酸イミドを
使用している上記先提案(1)のギヤ油組成物では、
(b)成分のアルカリ土類金属型清浄分散剤として塩基
価が200mgKOH/g未満のものを使用しており、
塩基価が200mgKOH/g以上のアルカリ土類金属
系清浄分散剤を使用する上記先提案(2)の動力制御用
潤滑油組成物では、(c)成分として多価アルコールの
部分エステルを使用している)。 (iii)そこで、さらに検討を重ねた結果、(c)成
分として特定の分子量のポリブテニル基を有するビスタ
イプのアルケニルこはく酸イミド、その誘導体を使用す
れば、上記した本発明の目的を悉く達成し得ること。 (iv)さらに、硫黄−リン系極圧剤を含む場合におい
ては、(a)〜(c)成分との相乗作用により、金属腐
食、スラッジの生成を引き起こすことなく、優れた耐ピ
ッチング性能を維持し、高い極圧性を得ることができる
こと。
【0009】本発明のギヤ油組成物は、以上の知見に基
づくもので、 〔1〕100℃で2〜50cStの粘度を有する鉱油お
よび合成油から選ばれる1種以上を基油とし、これに、
(A)アルキルジチオリン酸亜鉛0.5〜3.0重量
%、(B)塩基価200mgKOH/g以上を有するア
ルカリ土類金属型清浄分散剤1.2〜4.0重量%、
(C)平均分子量が2000〜5000のポリブテニル
基を有するビスタイプのアルケニルこはく酸イミド、そ
の誘導体4〜15重量%、を含有してなること、または 〔2〕上記基油に、上記(A)〜(C)成分とともに、
(D)硫黄−リン系極圧剤2〜10重量%を含有してな
ること、を特徴とする。
【0010】以上の成分からなる本発明のギヤ油組成物
は、マニュアルトランスミッション油として具備すべき
特性、すなわち、 1)シンクロナイザーリングとギヤコーン部分で適切な
摩擦係数を有する、 2)この摩擦係数を長期にわたって維持する、 3)極圧性、耐摩耗性に優れる、 4)酸化安定性に優れる、 5)耐ピッチング性に優れる、 を有している。
【0011】本発明のギヤ油に使用される基油は、10
0℃における粘度が2〜50cStの鉱物性潤滑油ある
いはその精製品、および100℃における粘度が2〜5
0cStの合成潤滑油のなかから選ばれる1種以上であ
る。
【0012】上記の基油に配合される(A)成分のジア
ルキルジチオリン酸亜鉛は、化1の一般式(1)で表さ
れる。
【0013】
【化1】
【0014】一般式(1)中、R1、R2、R3および
R4は、それぞれ同一または相異なる炭素数10以上の
アルキル基が好ましい。炭素数10未満のアルキル基の
ものは、耐摩耗性、耐酸化性が小さく、炭素数が多すぎ
るアルキル基のものでも、同様に、耐摩耗性、耐酸化性
が小さくなるため、アルキル基の炭素数の上限は20程
度とすることが適している。アルキル基の好ましい炭素
数は10〜18、より好ましくは11〜14であり、例
えば、デシル基、ドデシル基、テトラシル基、ヘキサデ
シル基などが挙げられる。
【0015】上記のジアルキルジチオリン酸亜鉛は、単
独でまたは2種以上を混合して使用でき、その配合割合
は、0.5〜3.0重量%、好ましくは1.0〜2.0
重量%である。ジアルキルジチオリン酸亜鉛が少なすぎ
ると、耐ピッチング性、シンクロ特性および極圧性が低
下し、多すぎてもこの効果は飽和し、経済的に不利であ
る。
【0016】(B)成分の塩基価が200mgKOH/
g以上のアルカリ土類金属型清浄分散剤は、従来よりエ
ンジン油に使用されている公知のものを使用することが
できる。塩基価が200mgKOH/g未満のものであ
ると、耐ピッチング性を優れたものとすることができ
ず、また硫黄−リン系極圧剤を配合する場合において
は、金属腐食,スラッジの生成を抑制し、耐ピッチング
性を向上させることができない。
【0017】なお、塩基価の上限は、特に限定しない
が、あまり高すぎると分散性に悪影響を及ぼすため、6
00mgKOH/g程度を上限とするのが好ましい。好
ましい塩基価は、250〜450mgKOH/g、より
好ましくは300〜450mgKOH/gである。
【0018】このようなアルカリ土類金属型清浄分散剤
の具体例としては、スルフォネート、フェネート、サリ
チレート、ホスフォネートなどと、Ca、Mg、Baな
どとの金属塩形になっているものが挙げられる。また、
Ca、Mg、Baなどの水酸化物や炭酸塩を過剰に含有
させた超塩基性清浄分散剤も使用できる。好ましくはス
ルフォネートとCa、Mg、Baなどとの金属塩であ
り、より好ましくはMgスルフォネートであり、特に好
ましくはCaスルフォネートとMgスルフォネートを重
量比で1:0.8〜1:10、好ましくは1:1〜1:
8、より好ましくは1:2〜1:6の割合で併用したも
のである。
【0019】上記のアルカリ土類金属型清浄分散剤は、
単独でまたは2種以上を混合して使用でき、その配合割
合は、1.2〜4.0重量%、好ましくは1.5〜2.
5重量%である。アルカリ土類金属型清浄分散剤が少な
すぎると、耐ピッチング性および清浄性が低下し、多す
ぎてもこの効果は飽和し、経済的に不利である。
【0020】(C)成分のアルケニルこはく酸イミドま
たはその誘導体は、平均分子量が2000〜5000、
好ましくは2000〜3000、さらに好ましくは23
00〜2500のポリブテニル基を有するビスタイプの
ものであり、化2の一般式(2)で表される。なお、
(C)成分の平均分子量は、2000未満であると充分
な耐ピッチング性が得られず、5000を超えると油へ
の溶解性が悪くなる。
【0021】
【化2】
【0022】化2の一般式(2)中、R5はアルケニル
基であるポリブテニル基で、上記した平均分子量のもの
を表し、R6は炭素数2〜5の2価の飽和脂肪族炭化水
素を表し、xは0〜10の整数を表す。
【0023】一般式(2)で表されるビスタイプのアル
ケニルこはく酸イミドまたはその誘導体は、一般には、
ポリブテンと無水マレイン酸との反応で得られるポリブ
テニルコハク酸無水物と、ポリアミンとの反応によって
合成される。このポリアミンの例としては、単一ジアミ
ン、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、
ブチレンジアミン、ペンチレンジアミンなど;ポリアル
キレンポリアミン、例えば、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、
ペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレン)トリ
アミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミ
ン、ペンタペンチレンヘキサミンなど、が挙げられる。
【0024】また、ビスタイプのアルケニルこはく酸イ
ミドのホウ素化合物誘導体、有機ホスフォネート誘導体
等、あるいはビスタイプのアルケニルこはく酸イミドを
アルデヒド、ケトン、カルボン酸、スルホン酸、アルキ
レンオキシド、硫黄等と反応させたビスタイプのアルケ
ニルこはく酸イミドの誘導体も使用できる。
【0025】上記のビスタイプのアルケニルこはく酸イ
ミド、その誘導体は、それぞれ単独で、あるいは2種類
以上を混合して使用することができ、その配合割合は、
4〜15重量%、好ましくは5〜10重量%である。ビ
スタイプのアルケニルこはく酸イミド、その誘導体が少
なすぎると、耐ピッチング性が低下し、多すぎても、こ
の効果は飽和し、経済的に不利となる。
【0026】以上の(A)〜(C)成分とともに、配合
される任意成分である(D)成分の硫黄−リン系極圧剤
は、1つの化合物中に硫黄とリンとを含むものであって
もよいし、いずれか一方を含むいわゆる硫黄系極圧剤と
リン系極圧剤とを混合したものであってもよい。
【0027】上記の硫黄系極圧剤としては、化3の一般
式(3)で表される炭化水素硫化物、硫化テルペン、油
脂と硫黄との反応生成物である硫化油脂などが使用され
る。
【0028】
【化3】一般式(3) R7−S−(R9−S−R8
【0029】化3の一般式(3)中、R7、R8は一価
の炭化水素基で、それぞれ同一でも異なっていてもよ
く、R9は二価の炭化水素基、yは1以上の整数で、好
ましくは1〜8で、繰り返し単位中においてそれぞれの
yが同一または異なる数であることもあり、nは0また
は1以上の整数である。
【0030】上記R7、R8の一価の炭化水素基として
は、炭素数2〜20の直鎖または分枝の飽和または不飽
和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル
基)、炭素数6〜26の芳香族炭化水素基が挙げられ、
具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ノニル
基、ドデシル基、プロペニル基、ブテニル基、ベンジル
基、フェニル基、トリル基、ヘキシルフェニル基などが
挙げられる。
【0031】上記R9の二価の炭化水素基としても、炭
素数2〜20の直鎖または分枝の飽和または不飽和脂肪
族炭化水素基、炭素数6〜26の芳香族炭化水素基が挙
げられ、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチ
レン基、フェニレン基などが挙げられる。
【0032】化(3)の一般式(3)で表される炭化水
素硫化物の代表的なものは、硫黄オレフィンおよび一般
式R7−S−R8(yは2以上の整数)で示されるポ
リサルファイド化合物である。具体的には、ジイソブチ
ルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジタ
ーシャリーノニルポリサルファイド、ジターシャリーブ
チルポリサルファイド、ジターシャリーベンジルポリサ
ルファイド、あるいはポリイソブチレンやテルペン類な
どのオレフィン類を硫黄などの硫化剤で硫化した硫化オ
レフィン類などが挙げられる。
【0033】油脂と硫黄との反応生成物である硫化油脂
は、油脂としてラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ
油、なたね油などの動植物油脂を使用したものであり、
この反応生成物は、化学構造が単一ではなく、種々の混
合物であり、化学構造そのものは明確ではない。
【0034】また、リン系極圧剤または、硫黄−リン系
極圧剤(1つの化合物中に硫黄とリンとを含むもの)と
しては、化4の硫黄−リン系極圧剤(4)で表されるリ
ン酸エステル、亜リン酸エステル、チオリン酸エステ
ル、ジチオリン酸エステルなどが挙げられる。
【0035】
【化4】一般式(4) (R10)−aXPX
【0036】化4の一般式(4)中、R10は一価の炭
化水素基、Xは酸素原子または硫黄原子、aは1,2ま
たは3、bは0または1である。
【0037】上記R10としては、炭素数5〜20の直
鎖または分枝の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基(例
えば、アルキル基、アルケニル基)、炭素数6〜26の
芳香族炭化水素基、シクロアルキル基が挙げられる。
【0038】化(4)の一般式(4)で表されるエステ
ル硫化物の具体例としては、リン酸モノオクチル、リン
酸ジオクチル、リン酸トリオクチル、亜リン酸ジオクチ
ル、亜リン酸トリオクチル、チオリン酸ジオクチル、チ
オリン酸トリオクチル、リン酸ジデシル、亜リン酸ジデ
シル、リン酸ジドデシル、リン酸トリドデシル、亜リン
酸ジドデシル、亜リン酸トリドデシル、チオリン酸トリ
ドデシル、リン酸トリヘキサデシル、亜リン酸トリヘキ
サデシル、チオリン酸トリヘキサデシル、リン酸トリオ
クタデセニル、亜リン酸トリオクタデセニル、チオリン
酸トリオクタデセニル、リン酸トリ(オクチルフェニ
ル)、リン酸トリ(オクチルシクロヘキシル)、ジチオ
リン酸トリデシルなどが挙げられる。
【0039】また、リン系極圧剤は、化4の一般式
(4)で表される酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エ
ステル、酸性チオリン酸エステル、酸性ジチオリン酸エ
ステル、のアルキルアミン塩なども使用することができ
る。
【0040】これらのアルキルアミン塩の具体例として
は、酸性エステルとして、ブチルアシッドホスフェー
ト、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、オクチ
ルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェー
ト、オレイルアシッドホスフェート、トリールアシッド
ホスフェートなどが挙げられる。これらを中和するため
のアルキルアミンとしては、一般式NR11R12R1
3(式中、R11、R12およびR13は一価の炭化水
素基または水素原子であり、そのうち少なくとも1つは
炭化水素基である)で表され、具体的には、ジブチルア
ミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、ラウリルア
ミン、ジラウリルアミン、ココナッツアミン、牛脂アミ
ンなどが挙げられる。
【0041】以上(D)成分である硫黄−リン系極圧剤
の配合割合は、2〜10重量%、好ましくは3〜7重量
%である。硫黄−リン系極圧剤が少なすぎると、ハイポ
イドギヤを装着したトランスアクスルに使用する場合、
極圧性が低く、ギヤの損傷、焼き付きなどを引き起こ
し、多すぎると、シンクロ特性および酸化安定性に悪影
響を及ぼす。
【0042】上記した(A)〜(C)成分、または
(A)〜(D)成分の他に、本発明のギヤ油組成物にお
いては、目的に応じて、通常使用されている(A)〜
(D)成分以外の公知の添加剤、例えば、無灰型分散
剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、腐食防止剤、粘度指数向
上剤、流動点降下剤、消泡剤などを配合することもでき
る。
【0043】このうち無灰型分散剤としては、アルケニ
ルこはく酸エステル、長鎖脂肪酸とポリアミンとのアミ
ド(アミノアミド型)などが、摩擦調整剤としては、脂
肪酸、有機モリブデン化合物などが、酸化防止剤として
は、アミン系、フェノール系のものなどが、腐食防止剤
としては、ベンゾトリアゾール、アルケニルこはく酸エ
ステルなどが、粘度指数向上剤としては、ポリメタクリ
レート、オレフィンコポリマーなどが、流動点降下剤と
しては、ポリメタクリレートなどが、消泡剤としては、
シリコン化合物、エステル系のものなど、がそれぞれ使
用できる。
【0044】以上詳述した本発明のギヤ油組成物は、
(A)〜(C)成分の相互作用により耐ピッチング性、
シンクロ特性、極圧性、酸化安定性に優れたものとな
り、またこれら(A)〜(C)成分と(D)成分とを配
合すると、(D)成分による金属腐食に起因するトラン
スミッションのトラブル、スラッジの生成を抑制し、優
れた極圧性を得ることができる。
【0045】
【実施例】
実施例1〜6、比較例1〜12 パラフィン系基油(80ニュートラル)に、表1〜6に
示す各成分を同表に示す割合で配合して、本発明のギヤ
油組成物を調製し、これらのギヤ油組成物につき、次の
性能試験を行った。この結果を、表1〜6に合わせて示
す。
【0046】〔耐ピッチング性試験〕耐ピッチング性の
評価として、四円筒試験を行った。四円筒試験の試験条
件および疲労寿命の判定法は、次の通りとした。
【0047】(試験条件) 回転数:1000rpm 滑り率:30% 接触圧力:65kg/mm 油温:80℃
【0048】(疲労寿命の判定法)運転開始から10万
サイクル毎に試験機を停止し、肉眼で観察できる損傷
(ピッチング)が発生するまでのサイクル数を疲労寿命
とした。すなわち、サイクル数が多いほど疲労寿命が長
く、かつ耐ピッチング性も優れることになる。本試験で
は、疲労寿命70万サイクル以上を合格とした。
【0049】〔シンクロ特性試験〕先ず、シンクロナイ
ザーリングとギヤコーンを台上に設置し、ギヤコーンの
回転数をモーターにより1200rpmに維持する。次
いで、シンクロナイザーリングを40kgfの荷重にて
押し付ける。その後、シンクロナイザーリングの荷重を
取り除き、ギヤコーンからシンクロナイザーリングを切
り離す。このシンクロナイザーリングの押し付けと切り
離しとからなるパターンを、10000サイクル繰り返
す。
【0050】上記の繰り返しにおいて、シンクロナイザ
ーリングを押し付けた時に発生するトルクを測定し、摩
擦係数を求めた。この摩擦係数を、100サイクルと1
0000サイクルとで比較し、摩擦係数の高低で評価し
た。すなわち、摩擦係数が高く、かつ10000サイク
ル後でもこの高い摩擦係数を維持できるものをシンクロ
特性が優れるものとした。本試験では、10000サイ
クル後の摩擦係数が0.100以上を有するものを合格
とした。
【0051】〔極圧性試験〕次の試験条件にてギヤ試験
を行った。なお、IAEギヤ試験は、IP(イギリス石
油協会規格)法のIP166/68に従って行い、焼き
付き限界荷重を測定した。
【0052】(試験条件) 小歯車回転数:6000rpm 給油温度:110℃ 給油方法:強制給油 給油量:0.56リットル/分 運転方法:5分毎のステップ荷重増加法(すなわち、1
0ポンドの荷重で運転を開始し、5分毎に5ポンドづつ
荷重を増加させた。)
【0053】〔酸化安定性試験〕内燃機関用潤滑油安定
度試験法(JIS K 2541)に準拠し、150
℃、96hrの条件で行った。評価は、粘度増加、全酸
価増加およびスラッジの有無で行った。
【0054】なお、表1〜6中の*1〜*11は、次の
意味を有する。 *1:第2級アルキル基を有するアルキルジチオリン酸
亜鉛 *2:塩基価398mgKOH/gのMgスルフォネー
ト *3:塩基価300mgKOH/gのCaスルフォネー
ト *4:塩基価29mgKOH/gのCaスルフォネート *5:ポリブテニル基の平均分子量が2400のビスタ
イプアルケニルこはく酸イミド *6:ポリブテニル基の平均分子量が1900のビスタ
イプアルケニルこはく酸イミド *7:ポリブテニル基の平均分子量が700のモノタイ
プアルケニルこはく酸イミド *8:硫化油脂、硫化オレフィン、リン酸エステルアミ
ン塩からなる極圧剤(S=22.9重量%、P=1.4
重量%) *9:その他の添加剤 *10:硫黄系極圧剤を含まない市販のトランスミッシ
ョンギヤ油(GL−3 75W85) *11:硫黄−リン系極圧剤を含む市販のトランスミッ
ションギヤ油(GL−3 90)
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】なお、以上の結果から、硫黄−リン系極圧
剤を配合した実施例6(表2)において、シンクロ特性
を損なうことなく、しかもスラッジの生成を抑えて、優
れた極圧性を示すことが分かる。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のギヤ油組
成物は、優れた極圧性、酸化安定性、シンクロ特性を有
するとともに、耐ピッチング性にも優れ、長い疲労寿命
を有するものである。したがって、本発明のギヤ油組成
物は、最近の高トルク化に伴い大きな負荷がかかり、優
れた耐ピッチング性、シンクロ特性、極圧性、酸化安定
性の要求される自動車用マニュアルトランスミッション
ギヤ用として好適であり、また硫黄−リン系極圧剤を配
合した組成のものについては、これらの特性の他にさら
に高い極圧性が要求されるハイポイドギヤを装着したト
ランスアクスル用のギヤ油として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 159:24 149:10 135:04 135:06) C10N 10:04 20:02 20:04 30:04 30:06 30:10 40:04 (72)発明者 岡野 幸夫 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 稲葉 秀明 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 100℃で2〜50cStの粘度を有す
    る鉱油および合成油から選ばれる1種以上を基油とし、
    これに、(A)アルキルジチオリン酸亜鉛0.5〜3.
    0重量%、(B)塩基価200mgKOH/g以上を有
    するアルカリ土類金属型清浄分散剤1.2〜4.0重量
    %、(C)平均分子量が2000〜5000のポリブテ
    ニル基を有するビスタイプのアルケニルこはく酸イミ
    ド、その誘導体4〜15重量%、を含有してなることを
    特徴とするギヤ油組成物。
  2. 【請求項2】 100℃で2〜50cStの粘度を有す
    る鉱油および合成油から選ばれる1種以上を基油とし、
    これに、(A)アルキルジチオリン酸亜鉛0.5〜3.
    0重量%、(B)塩基価200mgKOH/g以上を有
    するアルカリ土類金属型清浄分散剤1.2〜4.0重量
    %、(C)平均分子量が2000〜5000のポリブテ
    ニル基を有するビスタイプのアルケニルこはく酸イミ
    ド、その誘導体4〜15重量%、(D)硫黄−リン系極
    圧剤2〜10重量%、を含有してなることを特徴とする
    ギヤ油組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100241282B1 (ko) * 1997-08-30 2000-02-01 김동수 기어 윤활유 조성물
CN107474914A (zh) * 2017-07-19 2017-12-15 沈阳迈腾石化有限公司 一种全合成极压开式齿轮油及其合成方法

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