JP3808939B2 - ギヤ油組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ギヤ油組成物に関し、詳しくは、優れた極圧性、酸化安定性、耐ピッチング性およびシンクロ耐久性を有すると共に、シンクロナイザーリング(以下、SNRと記す)とギヤコーン(以下、GCと記す)間での摩耗特性を大幅に改善してシフト操作性をも良好とした自動車のマニュアルトランスミッションやトランスアクスルに適したギヤ油組成物に関する。
【0002】
【技術背景】
従来より使用されてきているギヤ油は、各種装置における金属と金属との間に油膜を形成し、摩耗、焼き付き、ピッチング、スコーリングなどの歯面損傷を抑制することを目的としている。
このギヤ油は、通常、基油として鉱油あるいは合成油を用い、これに目的に応じた各種の添加剤を配合したものである。
【0003】
ところで、自動車用のギヤ油においては、乗り心地、快適性の観点からシフト操作性をより一層向上させるギヤ油の開発が望まれている。
【0004】
このシフト操作性の改良点の1つは、SNRとGCとの引っ掛かりの解消である。この引っ掛かりは、シフトチェンジする際にシフトレバーが離れ難くなる現象であり、SNRとGCが離れる際にスティックトルクが発生し、シフトが重く感じられる現象である。
【0005】
もう1つの改良点は、SNRとGCとの同期不良の解消である。この同期不良が生ずれば、シフトチェンジの際にシフトレバーが入り難くなり、上記の引っ掛かりの場合と同様にシフトが重く感じられて、円滑なシフト操作ができなくなる可能性がある。
【0006】
上記の引っ掛かりを改良するために、これまで、種々のギヤ油が提案されている。
例えば、アルカノールアミン化合物に着目したギヤ油(特開平2−4897号公報)、硫化エステルまたは硫化エステルとアルカノールアミン化合物に着目したギヤ油(特開平2−182787号公報参照)がある。
また、操作フィーリングを良好にするギヤ油として、硫黄含有化合物と塩基価200mgKOH/g以上のアルカリ土類金属系清浄分散剤と多価アルコールの部分エステルとを添加したものも知られている(特開平2−155987号公報参照)。
【0007】
さらに、本発明者らにより、優れた耐摩耗性、酸化安定性およびシンクロ特性を有し、さらにピッチング性を大幅に改善したギヤ油として、(A)アルキルジチオリン酸亜鉛、(B)塩基価200mgKOH/g以上のアルカリ土類金属型清浄分散剤、(C)平均分子量2000〜5000のポリブテニル基を有するビスタイプのアルケニルこはく酸イミドあるいはその誘導体を添加するか、これらと共に(D)硫黄−リン系極圧剤を添加したものも提案されている(特開平8−109388号公報)。
【0008】
しかし、上記した既提案のギヤ油はいずれも、市場で要求されている引っ掛かりの防止および同期不良の解消には、充分とは言えないことがある。
しかも、自動車用ギヤ油においては、エンジンの高トルク化に伴ってギヤへの負荷が大きくなり、満足な性能とは言えないこともあるばかりか、特に、長期間に渡って使用する場合には、初期の性能を維持することが困難になることも考えられる。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、以上のような実情を考慮し、従来のギヤ油が有している優れた極圧性、酸化安定性、耐ピッチング性およびシンクロ耐久性をそのまま保持しつつ、SNRとGCとの間の摩擦特性を大幅に改善してシフト操作時の引っ掛かり防止性や同期不良解消性にも優れたギヤ油組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【発明の概要】
上記の目的を達成するために、本発明のギヤ油は、100℃で2〜50mm/sの粘度を有する鉱油および合成油から選ばれる1種以上を基油とし、これに、
(A)アルキルジチオリン酸亜鉛0.5〜3質量%、
(B)塩基価200mgKOH/g以上を有するアルカリ土類金属型清浄分散剤1.2〜4質量%、
(C)平均分子量が2000〜5000のポリブテニル基を有するビスタイプのアルケニルこはく酸イミド、その誘導体4〜15質量%、
(D)リン酸エステルのアミン塩0.1〜3質量%
を含有してなることを特徴とする。
このとき、(A)成分のアルキルジチオリン酸亜鉛が、アルキル基の炭素数が8以上のプライマリージチオリン酸亜鉛である場合には、特に、同期時間の短縮化が良好に図れ、同期不良の解消性能が大幅に向上する。
【0011】
以上の成分からなる本発明のギヤ油組成物は、マニュアルトランスミッション油やトランスアクスル油として具備すべき特性、すなわち、
1)SNR(シンクロナイザーリング)とGC(ギヤコーン)部分が離れる際の引っ掛かりを効果的に防止する、
2)SNRとGC部分が同期する時間を短縮する(言い換えれば、同期不良を効果的に解消する)、
3)SNRとGC部分で適切な摩擦係数を有する、
4)この摩擦係数を長期にわたって維持する(言い換えれば、シンクロ耐久性に優れる)、
5)耐ピッチング性に優れる、
6)極圧性、耐摩耗性に優れる、
7)酸化安定性に優れる、
を有している。
【0012】
本発明のギヤ油に使用される基油は、100℃における粘度が2〜50mm/sの鉱物性潤滑油あるいはその精製品、および100℃における粘度が2〜50mm/sの合成潤滑油のなかから選ばれる1種以上である。
【0013】
上記の基油に配合される(A)成分のジアルキルジチオリン酸亜鉛は、化1の一般式(1)で表される。
【0014】
【化1】
Figure 0003808939
【0015】
一般式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ同一または相異なる炭素数8以上のアルキル基が好ましい。
炭素数8未満のアルキル基のものは、耐摩耗性、耐酸化性が小さく、炭素数が多すぎるアルキル基のものも、同様に、耐摩耗性、耐酸化性が小さくなるため、アルキル基の炭素数の上限は20程度とすることが適している。
アルキル基の好ましい炭素数は8〜18、より好ましくは11〜14であり、例えば、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基などが挙げられる。
【0016】
特に、アルキル基がプライマリーの場合、同期時間の短縮効果を大幅に向上させることができる。この場合の炭素数も、好ましくは8〜18、より好ましくは11〜14である。
【0017】
上記のジアルキルジチオリン酸亜鉛は、単独でまたは2種以上を混合して使用でき、その配合割合は、0.5〜3質量%、好ましくは1〜2質量%である。
ジアルキルジチオリン酸亜鉛が少なすぎると、耐ピッチング性、シンクロ耐久性が低下するばかりか、同期時間の短縮効果を得ることができず、多すぎてもこれらの効果は飽和し、経済的に不利である。
【0018】
(B)成分の塩基価が200mgKOH/g以上のアルカリ土類金属型清浄分散剤は、従来よりエンジン油に使用されている公知のものを使用することができる。
塩基価が200mgKOH/g未満のものであると、耐ピッチング性を優れたものとすることができず、また硫黄−リン系極圧剤を配合する場合においては、金属腐食,スラッジの生成を抑制し、耐ピッチング性を向上させることができない。
【0019】
なお、塩基価の上限は、特に限定しないが、あまり高すぎると分散性に悪影響を及ぼすため、600mgKOH/g程度を上限とするのが好ましい。
好ましい塩基価は、250〜450mgKOH/g、より好ましくは300〜450mgKOH/gである。
【0020】
このようなアルカリ土類金属型清浄分散剤の具体例としては、スルフォネート、フェネート、サリチレート、ホスフォネートなどと、Ca、Mg、Baなどとの金属塩形になっているものが挙げられる。
また、Ca、Mg、Baなどの水酸化物や炭酸塩を過剰に含有させた超塩基性清浄分散剤も使用できる。
好ましくはスルフォネートとCa、Mg、Baなどとの金属塩であり、より好ましくはMgスルフォネートであり、特に好ましくはCaスルフォネートとMgスルフォネートを重量比で1:0.8〜1:10、好ましくは1:1〜1:8、より好ましくは1:2〜1:6の割合で併用したものである。
【0021】
上記のアルカリ土類金属型清浄分散剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用でき、その配合割合は、1.2〜4質量%、好ましくは1.5〜2.5質量%である。
アルカリ土類金属型清浄分散剤が少なすぎると、耐ピッチング性および清浄性が低下し、多すぎてもこの効果は飽和し、経済的に不利である。
【0022】
(C)成分のアルケニルこはく酸イミドまたはその誘導体は、平均分子量が2000〜5000、好ましくは2000〜3000、さらに好ましくは2300〜2500のポリブテニル基を有するビスタイプのものであり、化2の一般式(2)で表される。なお、(C)成分の平均分子量は、2000未満であると充分な耐ピッチング性が得られず、5000を超えると油への溶解性が悪くなる。
【0023】
【化2】
Figure 0003808939
【0024】
化2の一般式(2)中、R5はアルケニル基であるポリブテニル基で、上記した平均分子量のものを表し、R6は炭素数2〜5の2価の飽和脂肪族炭化水素基を表し、xは0〜10の整数を表す。
【0025】
一般式(2)で表されるビスタイプのアルケニルこはく酸イミドまたはその誘導体は、一般には、ポリブテンと無水マレイン酸との反応で得られるポリブテニルコハク酸無水物と、ポリアミンとの反応によって合成される。
このポリアミンの例としては、単一ジアミン、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミンなど;ポリアルキレンポリアミン、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレン)トリアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、ペンタペンチレンヘキサミンなど、が挙げられる。
【0026】
また、ビスタイプのアルケニルこはく酸イミドのホウ素化合物誘導体、有機ホスフォネート誘導体など、あるいはビスタイプのアルケニルこはく酸イミドをアルデヒド、ケトン、カルボン酸、スルホン酸、アルキレンオキシド、硫黄などと反応させたビスタイプのアルケニルこはく酸イミドの誘導体も使用できる。
【0027】
上記のビスタイプのアルケニルこはく酸イミド、その誘導体は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を混合して使用することができ、その配合割合は、4〜15質量%、好ましくは5〜10質量%である。
ビスタイプのアルケニルこはく酸イミド、その誘導体が少なすぎると、耐ピッチング性が低下し、多すぎても、この効果は飽和し、経済的に不利となる。
【0028】
(D)成分のリン酸エステルのアミン塩は、化3の一般式(3)で表される。
【0029】
【化3】
一般式(3)
(R10)−aXPX
【0030】
化3の一般式(3)中、R10は1価の炭化水素基、Xは酸素原子または硫黄原子、aは1,2または3、bは0または1である。
【0031】
上記R10の1価の炭化水素基としては、炭素数5〜20の直鎖または分枝の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基)、炭素数6〜26の芳香族炭化水素基またはシクロアルキル基が挙げられる。
【0032】
上記のリン酸エステルアミン塩の具体例としては、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、酸性チオリン酸エステル、酸性ジチオリン酸エステル、をアルキルアミンで中和した化合物が挙げられる。
【0033】
酸性リン酸エステルとしては、ブチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、トリールアシッドホスフェートなどが挙げられる。
酸性亜リン酸エステルとしては、ジオクチルアッシドホスファイト、トリオクチルアッシドホスファイト、トリドデシルアッシドホスファイト、ジドデシルアッシドホスファイト、トリオクタデセニルアッシドホスファイト、トリ(オクチルフェニル)アッシドホスファイトなどが挙げられる。
酸性チオリン酸エステルとしては、ジオクチルチオアッシドホスフェート、トリオクチルチオアッシドホスフェート、トリドデシルチオアッシドホスフェート、トリヘキサデシルチオアッシドホスフェート、トリオクタデセニルチオアッシドホスフェート、トリ(オクチルフェニル)チオアッシドホスフェートなどが挙げられる。
酸性ジチオリン酸エステルとしては、トリデシルジチオアッシドホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオアッシドホスフェートなどが挙げられる。
【0034】
上記のリン酸エステルを中和するためのアルキルアミンは、一般式NR11R12R13(式中、R11、R12およびR13は、1価の炭化水素基または水素原子であり、少なくとも1つは炭化水素基である)で表され、具体的には、ジブチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、オレイルアミン、ココナッツアミン、牛脂アミンなどが挙げられる。
【0035】
化(3)の一般式(3)で表されるリン酸エステルアミン塩は、リン系極圧剤としても使用することができるものであるが、このリン系極圧剤を硫黄系極圧剤と併用すると、引っ掛かり防止性、耐ピッチング性、シンクロ耐久性、酸化安定性を悪化させる。
【0036】
リン酸エステルアミン塩が少なすぎると、適性な引っ掛かり防止性を得ることができず、多すぎると耐熱性が低下するため、本発明では、0.1〜3質量%、好ましくは0.3〜1質量%とする。
なお、リン酸エステルアミン塩に代えて、上記の酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、酸性チオリン酸エステル、酸性ジチオリン酸エステルをそのままのかたちで使用しても、またアルキルアミン塩をそのままのかたちで使用しても、同期不良を解消することはできない。
【0037】
上記した(A)〜(D)成分の他に、本発明のギヤ油組成物においては、目的に応じて、通常使用されている公知の添加剤、例えば、無灰型分散剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、腐食防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤などを配合することもできる。
【0038】
このうち無灰型分散剤としては、アルケニルこはく酸エステル、長鎖脂肪酸とポリアミンとのアミド(アミノアミド型)などが、摩擦調整剤としては、脂肪酸、有機モリブデン化合物などが、酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系のものなどが、腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール、アルケニルこはく酸エステルなどが、粘度指数向上剤としては、ポリメタクリレート、オレフィンコポリマーなどが、流動点降下剤としては、ポリメタクリレートなどが、消泡剤としては、シリコン化合物、エステル系のものなど、がそれぞれ使用できる。
【0039】
以上詳述した本発明のギヤ油組成物は、(A)〜(D)成分の相互作用により耐ピッチング性、シンクロ耐久性、極圧性、酸化安定性に優れたものとなるばかりか、SNRとGCとの引っ掛かりを効果的に防止でき、しかも(A)成分としてのアルキルジチオリン酸亜鉛を、アルキル基の炭素数が8以上のプライマリージチオリン酸亜鉛に限定することにより、SNRとGCとの同期時間を大幅に短縮できるものとなる。
【0040】
【実施例】
実施例1〜6、比較例1〜11
パラフィン系基油(80ニュートラル)に、表1〜6に示す各成分を同表に示す割合で配合して、本発明のギヤ油組成物を調製し、これらのギヤ油組成物につき、次の性能試験を行った。この結果を、表1〜6に合わせて示す。
【0041】
〔SNRとGCとの引っ掛かりおよび同期試験〕
先ず、SNRとGCを台上に設置し、GCの回転数をモーターにより600rpmに維持する。
次いで、24.5N・cm・sで慣性力を発生させたSNRを1200Nの荷重にて押し付ける。
この押し付け開始からGC回転数が0rpmになるまでの時間を同期時間とした。
【0042】
続いて、SNRの荷重を取り除き、GCからSNRを切り離す。
この切り離し時に発生するトルク(スティックトルク)を測定して、引っ掛かり防止性を評価した。すなわち、スティックトルクが小さい程、引っ掛かり防止性は優れることになる。
【0043】
それぞれの合格基準は、同期については、同期時間2.4s以下を合格とし、引っ掛かり防止については、スティックトルク2.0N・m以下を合格とした。
【0044】
〔耐ピッチング性試験〕
耐ピッチング性の評価として、四円筒試験を行った。四円筒試験の試験条件および疲労寿命の判定法は、次の通りとした。
(試験条件)
回転数:1000rpm
滑り率:30%
接触圧力:65kg/mm
油温:80℃
【0045】
(疲労寿命の判定法)
運転開始から10万サイクル毎に試験機を停止し、肉眼で観察できる損傷(ピッチング)が発生するまでのサイクル数を疲労寿命とした。すなわち、サイクル数が多いほど疲労寿命が長く、かつ耐ピッチング性も優れることになる。
本試験では、疲労寿命70万サイクル以上を合格とした。
【0046】
〔シンクロ耐久性試験〕
先ず、SNRとGCを台上に設置し、ギヤコーンの回転数をモーターにより1200rpmに維持する。
次いで、SNRを40kgfの荷重にて押し付ける。
その後、SNRの荷重を取り除き、GCからSNRを切り離す。
このSNRの押し付けと切り離しとからなるパターンを、10000サイクル繰り返す。
【0047】
上記の繰り返しにおいて、SNRを押し付けた時に発生するトルクを測定し、摩擦係数を求めた。
この摩擦係数を、100サイクルと10000サイクルとで比較し、摩擦係数の高低で評価した。すなわち、摩擦係数が高く、かつ10000サイクル後でもこの高い摩擦係数を維持できるものをシンクロ耐久性が優れるものとした。
本試験では、10000サイクル後の摩擦係数が0.100以上を有するものを合格とした。
【0048】
〔極圧性試験〕
次の試験条件にてギヤ試験を行った。なお、IAEギヤ試験は、IP(イギリス石油協会規格)法のIP166/68に従って行い、焼き付き限界荷重を測定した。
【0049】
(試験条件)
小歯車回転数:6000rpm
給油温度:110℃
給油方法:強制給油
給油量:0.56リットル/分
運転方法:5分毎のステップ荷重増加法(すなわち、10ポンドの荷重で運転を開始し、5分毎に5ポンドづつ荷重を増加させた。)
【0050】
〔酸化安定性試験〕
内燃機関用潤滑油安定度試験法(JIS K 2541)に準拠し、150℃、96hrの条件で行った。
評価は、粘度増加、全酸価増加およびスラッジの有無で行った。
【0051】
なお、表1〜6中の*1〜*11は、次の意味を有する。
*1:炭素数3.6の第2級アルキル基を有するアルキルジチオリン酸亜鉛(C3とC6との混合物)
*2:炭素数12の第1級アルキル基を有するアルキルジチオリン酸亜鉛
*3:塩基価398mgKOH/gのMgスルフォネート
*4:塩基価300mgKOH/gのCaスルフォネート
*5:塩基価29mgKOH/gのCaスルフォネート
*6:2−エチルヘキシルリン酸エステルのオレイルアミン塩
*7:ポリブテニル基の平均分子量が2400のビスタイプアルケニルこはく酸イミド
*8:ポリブテニル基の平均分子量が1900のビスタイプアルケニルこはく酸イミド
*9:ポリブテニル基の平均分子量が700のモノタイプアルケニルこはく酸イミド
*10:その他の添加剤
*11:市販のトランスミッションギヤ油(GL−3 75W85)
【0052】
【表1】
Figure 0003808939
【0053】
【表2】
Figure 0003808939
【0054】
【表3】
Figure 0003808939
【0055】
【表4】
Figure 0003808939
【0056】
【表5】
Figure 0003808939
【0057】
【表6】
Figure 0003808939
【0058】
【表7】
Figure 0003808939
【0059】
なお、以上の結果から、(A)成分のアルキルジチオリン酸亜鉛をアルキル基の炭素数が8以上のプライマリージチオリン酸亜鉛にしたもの(実施例5、6、7)は、引っ掛かり防止性の向上に加えて、同期時間をも短縮できることが判る。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のギヤ油組成物は、優れた極圧性、酸化安定性、耐ピッチング性、シンクロ耐久性を有すると共に、SNRとGCとの引っ掛かり防止性および同期不良解消性にも優れるものである。
したがって、本発明のギヤ油組成物は、最近の高トルク化に伴い大きな負荷がかかり、優れた耐ピッチング性、シンクロ耐久性、極圧性、酸化安定性の要求に対応することができると共に、自動変速機のスムーズなシフト操作性をも確保することができ、自動車のマニュアルトランスミッションおよびトランスアクスル自動車のマニュアルトランスミッションギヤ用として好適である。

Claims (2)

  1. 100℃で2〜50mm/sの粘度を有する鉱油および合成油から選ばれる1種以上を基油とし、これに、
    (A)アルキルジチオリン酸亜鉛0.5〜3質量%、
    (B)塩基価200mgKOH/g以上を有するアルカリ土類金属型清浄分散剤1.2〜4質量%、
    (C)平均分子量が2000〜5000のポリブテニル基を有するビスタイプのアルケニルこはく酸イミド、その誘導体4〜15質量%、
    (D)リン酸エステルのアミン塩0.1〜3質量%
    を含有してなることを特徴とするギヤ油組成物。
  2. (A)成分のアルキルジチオリン酸亜鉛が、アルキル基の炭素数が8以上のプライマリージチオリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1記載のギヤ油組成物。
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