JPH08108775A - 車両用運動特性制御装置 - Google Patents

車両用運動特性制御装置

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JPH08108775A
JPH08108775A JP6244292A JP24429294A JPH08108775A JP H08108775 A JPH08108775 A JP H08108775A JP 6244292 A JP6244292 A JP 6244292A JP 24429294 A JP24429294 A JP 24429294A JP H08108775 A JPH08108775 A JP H08108775A
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JP
Japan
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control
vehicle
braking force
drive wheel
engine output
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JP6244292A
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English (en)
Inventor
Mamoru Sawada
護 沢田
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 デフの焼き付きを防止して、駆動輪に駆動力
や制動力を付与する駆動輪制御を適切に行うようにした
車両用運動特性制御装置を提供する。 【構成】 デフの焼き付きを起こす程度を示す指標とし
て一般的に使用されるPV値の要因の一つであるVに関
係する値としての駆動輪速度差εLを算出し、この駆動
輪速度差εLに基づいてECT制御・エンジン出力制御
・制動力制御を行うことで、焼き付きを防止して、駆動
輪に駆動力や制動力を付与する駆動輪制御を適切に行う
ようにしている。また、潤滑油温度・路面μ・駆動力・
ブレーキ負荷等に基づいて算出した補正係数χに基づい
て、エンジン出力制御における目標エンジン出力TE/
Gref やエンジン出力補正値TE/GHS(χ)の算
出、制動力制御における目標制動力PE/Gref や制動
力補正値PE/GHS(χ)の算出を行っているため、
車両状態に応じた適切な制御も可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジン出力がディフ
ァレンシャルを介して駆動輪に伝達される機構を備えた
車両において、ディファレンシャルの作動状態に応じて
駆動輪への駆動力あるいは制動力を制御することによっ
て、ディファレンシャルを焼き付き等から保護するよう
にした車両用運動特性制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、エンジン出力をディファレンシャルを介して駆動輪
に伝達する機構を備えた車両が知られている。エンジン
の回転がディファレンシャルを介して駆動2輪に伝達さ
れる場合に、ディファレンシャルの機能は旋回時の内外
輪速度差を補償(いわゆるタイトコーナリング現象防
止)するため、左右回転数差を許容する構造となってい
る。
【0003】この左右回転数差は主にピニオンとサイド
ギヤに生じるが、左右回転数差(V)が大きく、またピ
ニオンギヤの歯面に作用する面圧(P)が高いほど潤滑
油が歯面から排出され、焼き付きが発生する。そして、
この焼き付きを起こす程度を示す指標として、上記Pと
Vの積であるPV値が一般的に使用される。摩擦面の発
生熱量・温度上昇がこのPVに比例するのである。ま
た、高温時は潤滑油の性能が低下しているため、常温時
に比べて焼き付きやすい特性をもっている。
【0004】PV値の要因について補足すると、Pは、
ブレーキ制動力と駆動力(=路面反力)との和に比例
し、Vは、駆動輪速度差に比例する。一般に、左右の駆
動輪に対する路面の摩擦係数が違うような走行路(以下
スプリット路という)では、高μ路側より低μ路側の駆
動輪がスリップし易く、駆動輪速度差が発生する状況で
あり、上記Vが大きくなってディファレンシャル破損の
可能性が高くなる。
【0005】これに対し、例えば特開昭63−1061
67号に代表される従来のTRC制御においては、ディ
ファレンシャル保護を考慮していないため、ディファレ
ンシャル破損の可能性がある。制御以外でディファレン
シャル破損を防止するためには、ディファレンシャル用
の潤滑油を耐熱性の強い潤滑油に変更する必要がある
が、例えばフロントエンジン・フロントドライブ(F
F)車のように、ディファレンシャルがオートマチック
トランスミッション(AT)機構に内蔵されてAT用の
潤滑油を使用している場合には、別個ディファレンシャ
ル用の潤滑油を用いるためにオイルシール等で分離する
必要があり、コストアップになる。
【0006】そこで、本発明では、ディファレンシャル
の焼き付きを防止して、駆動輪に駆動力や制動力を付与
する駆動輪制御を適切に行うようにした車両用運動特性
制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び発明の効果】上
記目的を達成するために成された請求項1に記載の発明
は、駆動力がディファレンシャルを介して駆動輪に伝達
される車両において、上記ディファレンシャルを構成す
るすべり軸受けの作動限界を示す因子の状態を検出する
作動限界因子状態検出手段と、該作動限界因子状態検出
手段によって検出された作動限界因子の状態に応じて上
記駆動輪に付与する駆動力及び/又は制動力を制御する
駆動輪制御手段とを備えることを特徴とする車両用運動
特性制御装置である。
【0008】上記作動限界因子状態検出手段は、請求項
2に示すように、上記すべり軸受けの軸受け面圧Pとす
べり速度Vとの積で与えられるPV値を検出することが
考えられる。このPV値は、焼き付きを起こす程度を示
す指標として一般的に使用され、摩擦面の発生熱量・温
度上昇がこのPVに比例するため、このPV値を減少さ
せるように制御すればよい。また、PV値の要因につい
て補足すると、Pは、ブレーキ制動力と駆動力(=路面
反力)との和に比例し、Vは、駆動輪速度差に比例す
る。
【0009】したがって、上記PV値の内の軸受け面圧
Pに関する因子の状態としては、請求項3に示すよう
に、上記すべり軸受けの歯面圧力・上記駆動輪に付与さ
れる制動力・上記駆動輪に付与される駆動力の内の少な
くとも一つを検出するようにすることが考えられ、一
方、すべり速度Vに関する因子の状態としては、請求項
4に示すように、駆動輪速度差を検出することが考えら
れる。
【0010】また、上記作動限界因子状態検出手段は、
請求項5に示すように、上記ディファレンシャルの潤滑
油の温度を検出する潤滑油温度検出手段を備え、その検
出した潤滑油温度に基づいて上記作動限界因子の状態を
推定するようにしてもよいし、請求項6に示すように、
上記潤滑油温度検出手段がエンジン冷却水温度検出手段
を備え、そのエンジン冷却水温度検出手段によって検出
した冷却水の温度に基づいて上記潤滑油温度を推定する
ようにしてもよい。
【0011】上記駆動輪制御手段は、請求項7に示すよ
うに、エンジン出力制御手段・ギヤ位置制御手段・制動
力制御手段の内の少なくとも一つを備えるようにするこ
とが考えられる。また、請求項8に示すように、上記駆
動輪制御手段による上記駆動力制御における制御要因以
外の制御要因に基づいて駆動力を制御する第2の駆動力
制御手段を備え、上記駆動輪制御手段による第1の駆動
力制御と上記第2の駆動力制御手段による第2の駆動力
制御との間にあっては、上記第1の駆動力制御が優先さ
れるか、又は上記第1の駆動力制御の制御量によって上
記第2の駆動力制御の制御量が補正されるように構成す
ることが考えられる。
【0012】ディファレンシャルにおいて焼き付きが生
じてしまうと、車両走行自体が不可能な状態に陥ってし
まう可能性が高いので、このようにディファレンシャル
に対する保護に関する第1の制御を他の制御に優先する
ことは好ましい。また、同一の駆動力制御アクチュエー
タを使用して上記第1及び第2の駆動力制御を実行する
場合は、第2の駆動力制御の制御量にディファレンシャ
ル保護に関する第1の駆動力制御の制御量を補正したも
のを制御量とすることによっても同等の効果が得られ
る。例えば、第2の駆動力制御としてトラクション制御
を実行する場合に、ディファレンシャルの保護を考慮し
た制御が実行できることとなる。
【0013】また、請求項9に示すものは、駆動力がデ
ィファレンシャルを介して駆動輪に伝達される車両にお
いて、上記作動限界因子の状態としての駆動輪速度差を
検出する上記作動限界因子状態検出手段としての駆動輪
速度差検出手段と、変速装置におけるシフト位置の制御
を行うシフト位置制御手段と、上記駆動輪速度差に応じ
て上記シフト位置の補正する上記駆動輪制御手段として
のシフト位置補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】そして、上記シフト位置制御手段は、請求
項10に示すように、予め設定された自動変速線に基づ
いて変速比を自動的に切り替えていくことでシフト位置
の制御を行い、上記シフト位置補正手段は、上記自動変
速線を変更する変速線変更手段を備えており、上記駆動
輪速度差に応じて、上記変速線を、シフトアップし易い
ようにあるいはシフトダウンし難いように変更するよう
にするとよい。
【0015】このようにシフトアップすることによって
駆動輪駆動力を減少させ、それがPV値を減少させるこ
とにつながり、ディファレンシャル保護となる。請求項
11に示すものは、駆動力がディファレンシャルを介し
て駆動輪に伝達される車両において、上記作動限界因子
の状態としての駆動輪速度差を検出する上記作動限界因
子状態検出手段としての駆動輪速度差検出手段と、車両
の加速スリップを検出する加速スリップ検出手段と、上
記加速スリップに応じてエンジン出力を制御するエンジ
ン出力制御手段と、上記駆動輪速度差に応じて上記エン
ジン出力制御手段によるエンジン出力制御量を補正する
上記駆動輪制御手段としてのエンジン出力補正手段とを
備えたことを特徴とする。
【0016】上記請求項7又は11におけるエンジン出
力制御手段としては、例えば請求項12に示すように、
吸入空気量を制御するためのスロットル開度・燃料噴射
量・空燃比・点火時期の少なくとも一つを変更する変更
手段を備えており、上記加速スリップに応じて、上記ス
ロットル開度・燃料噴射量・空燃比・点火時期の少なく
とも一つを変更するようにすることが考えられる。もち
ろんこれら3つ共変更するようにしてもよい。
【0017】そして、請求項11におけるエンジン出力
補正手段は、請求項13に示すように、上記駆動輪速度
差が大きいか又は大きくなると予測される場合に上記エ
ンジン出力制御手段によるエンジン出力制御量を大きく
補正することが考えられる。そして、この補正内容とし
ては、請求項14に示すように、上記エンジン出力制御
手段によるエンジン出力制御量を、より出力減少側に大
きく補正することが考えられる。なお、エンジン出力制
御について補足しておくと、ディファレンシャル保護の
ためには駆動輪速度が最も大きいものに基づいてエンジ
ン出力制御する必要があるが、スプリット路では低μ路
側の路面の加速性しか得られない。そこで、一般的には
駆動輪速度の平均値でエンジン出力制御を行っている。
つまり従来のTRC制御ではディファレンシャル保護が
できないため、駆動輪速度差によってエンジン出力制御
量を補正することによってディファレンシャルを保護す
る必要がある。
【0018】また、請求項15に示すものは、駆動力が
ディファレンシャルを介して駆動輪に伝達される車両に
おいて、上記作動限界因子の状態としての駆動輪速度差
を検出する上記作動限界因子状態検出手段としての駆動
輪速度差検出手段と、車両の加速スリップを検出する加
速スリップ検出手段と、上記加速スリップに応じて上記
駆動輪に付与する制動力を制御する駆動輪制動力制御手
段と、上記駆動輪速度差に応じて上記駆動輪制動力制御
手段による制動力制御量を補正する上記駆動輪制御手段
としての制動力補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】上記制動力補正手段としては、請求項16
に示すように、上記駆動輪速度差が大きいか又は大きく
なると予測される場合に、上記駆動輪制動力制御手段に
よる制動力制御量を大きく補正することが考えられる。
この補正内容としては、請求項17に示すように、上記
駆動輪制動力制御手段による制動力制御量を、制動圧を
より増圧する側に大きく補正することが考えられる。
【0020】左右の駆動輪に対するブレーキ同時制御で
はディファレンシャル保護は不可能である。そして、従
来のブレーキ独立制御(各駆動輪独立に油圧を制御)で
は、「独立に」制御するのみで「左右輪の状態差」に依
存した制御は行っていない。しかしながら、ディファレ
ンシャル保護のためには、上記PV値のV因子となる駆
動輪速度差に応じた制御量を可変にして、早期にその速
度差を減少させることが必要である。そのため、駆動輪
速度差が大きい場合に駆動輪制動力制御手段による制動
力制御量を大きく補正することは好ましい。
【0021】一方、請求項18に示すものは、駆動力が
ディファレンシャルを介して駆動輪に伝達される車両に
おいて、上記作動限界因子の状態としての駆動輪速度差
を検出する上記作動限界因子状態検出手段としての駆動
輪速度差検出手段と、車両の加速スリップを検出する加
速スリップ検出手段と、上記加速スリップに応じてエン
ジン出力を制御するエンジン出力制御手段と、上記加速
スリップに応じて駆動輪に付与する制動力を制御する駆
動輪制動力制御手段と、上記駆動輪速度差に応じて、上
記エンジン出力制御手段によるエンジン出力制御量及び
上記駆動輪制動力制御手段による制動力制御量を補正す
る上記駆動輪制御手段としてのエンジン出力・制動力補
正手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】これは、上記請求項5と6の単純な組合せ
ではなく、駆動輪速度差(及びその予測)によってエン
ジン出力と制動力制御補正量を可変とすることが、制御
性能の確保とともにディファレンシャルの保護にとって
も好ましい。駆動力制御と車輪制動力制御においてディ
ファレンシャル保護のためにPV値を減らす方法として
は、以下の(1),(2)の方法があるが、それぞれ欠
点がある。 (1)Pを減らす方法 例えばエンジン出力を低減させる等して駆動力を減らす
ことが考えられるが、駆動力の過度の減少は加速性を悪
化させる。
【0023】また、例えばブレーキをかけない等して制
動力を減らすことが考えられるが、差動制限(LSD)
効果が得られないので、低μ路側のスリップがより大き
くなっていって、高μ路側の駆動力が小さくなり、加速
性が悪化する。 (2)Vを減らす方法 例えば駆動力を減らすことが考えられるが、スプリット
路では低μ路側でスリップしない程度の駆動力しか高μ
路側にかけれないため、加速性が悪化する。
【0024】また、スリップ輪の制動力を増やすことも
考えられるが、このLSD効果によりVは減少しても、
逆にPを増加させる要因となる。さらに、ブレーキによ
る駆動輪速度差を即座に減少させるためには、大きな増
圧勾配・油圧量が必要となり装置の大型化・コストアッ
プの要因となる。
【0025】そのため、具体的には以下の,ような
方針で制御することが考えられる。 左右駆動輪速度差が小さいとき、あるいはその速度差
の発生が小さいと予測されるときには、ブレーキ制御補
正量をメインとする制御を実行する。このようにすれ
ば、ディファレンシャルの保護はもちろん、加速性が悪
化することなく良好な制御性能が得られる。 左右駆動輪速度差が大きいとき、あるいはその速度差
の発生が大きいと予測されるときには、エンジン制御補
正量をメインとする制御を実行する。これはブレーキに
よってVを減らす能力を超えているような場合には、エ
ンジン出力制御によって制御することで、たとえ加速性
を悪化させてもディファレンシャルの保護は実現できる
のである。
【0026】このような方針に基づくものとして、請求
項19に示すように、上記エンジン出力・制動力補正手
段としては、上記駆動輪速度差又は駆動輪速度変化が第
1の所定値を越えたら上記制動力制御量を補正し、第2
の所定値を越えたら上記エンジン出力制御量を補正する
ことが考えられる。
【0027】また、請求項20に示すように、上記駆動
輪制動力制御手段による制動力制御性能が低下している
場合には、その低下度合に応じて上記エンジン出力制御
量に対する補正量を増加させるようにしてもよい。そし
て、この制動性能の低下度合は、請求項21に示すよう
に、ブレーキ油温度検出手段によって検出したブレーキ
油の温度に基づいて制御性能の低下度合を推定するよう
にすることが考えられる。
【0028】一方、請求項22に示すように、上記請求
項8〜20いずれかに記載の車両用運動特性制御装置に
おいて、上記請求項8においては第2の駆動力制御の制
御量の補正後、上記請求項9,10においてはシフト位
置の補正後、上記請求項11〜14においてはエンジン
出力制御量の補正後、上記請求項15〜17においては
制動力制御量の補正後、上記請求項18〜20において
はエンジン出力制御量及び制動力制御量の補正後に、そ
の補正量に応じた復帰速度で補正制御を終了させる補正
終了手段を備えることが考えられる。
【0029】そして、上記補正終了手段としては、請求
項23に示すように、上記補正量が大きいほど復帰速度
を小さくして、上記駆動輪速度差が再度大きくなるのを
防止することが考えられる。これは、補正後の復帰速度
が速いと再度駆動輪速度差が大きく発生して制御ハンチ
ングを起こしてしまう可能性が高いことを考慮したもの
であり、補正量が大きいほど復帰速度を遅くすることに
より制御ハンチングが防止でき、より確実なディファレ
ンシャル保護が可能となる。
【0030】また、請求項24に示すものは、請求項1
〜23いずれかに記載の車両用運動特性制御装置におい
て、車両の走行状態や走行環境を検出する車両状態検出
手段を備え、その車両状態検出結果に応じて、上記駆動
輪制御手段による制御を補正することを特徴とする。こ
の制御補正に関わる車両状態の例として、以下にいくつ
か示す。
【0031】まず、上記車両状態検出手段としては、請
求項25に示すように、上記ディファレンシャルの潤滑
油の温度を検出する潤滑油温度検出手段を備え、その検
出した潤滑油温度に応じて上記駆動輪制御手段による制
御を補正するようにすることが考えられる。例えば、潤
滑油が高温の場合や、その温度上昇係数が高いほど制御
補正量を大きくして、ディファレンシャルの保護によっ
て有利なようにする必要がある。そして、請求項26に
示すように、上記潤滑油温度検出手段は、エンジン冷却
水温度検出手段を備え、そのエンジン冷却水温度検出手
段によって検出した冷却水の温度に基づいて上記潤滑油
温度を推定するようにしてもよい。例えば、イグニショ
ンオン時のエンジン冷却水温度が低ければ、潤滑油温度
も低いことが推定される。また、イグニションオン後に
走行すれば潤滑油温度も上昇するので、走行距離に基づ
いて推定することも考えられる。あるいは、上記PV値
から推定することも可能である。
【0032】また、上記車両状態検出手段としては、請
求項27に示すように、上記エンジンから上記ディファ
レンシャルに伝達される駆動力を検出する手段を備え、
その検出した駆動力に応じて上記駆動輪制御手段による
制御を補正するようにしてもよい。
【0033】エンジンから伝達される駆動力についてい
えば、ギヤ位置が低速段側にある等の理由でP値が大き
い状況においては、ディファレンシャル保護に関する制
御補正量を大きくすることが好ましい。また、制御開始
時は駆動力制御状態ではないためPV値が大きくなる。
したがって、制御初回はよりPV値を低減するよう制御
量を大きく補正することが好ましい。
【0034】また、請求項28に示すように、上記駆動
輪に対する制動力制御状態に基づいて制動系における負
荷軽減要求度合を検出する手段を備え、その検出した負
荷軽減要求度合に応じて上記駆動輪制御手段による制御
を補正してもよい。この負荷軽減要求度合状態について
説明する。例えばブレーキ制御の制御時間や制御頻度、
あるいはブレーキ液温度等に基づいて制動系における負
荷軽減要求度合の大小を検出し、軽減要求度合が大きい
場合には制御補正量を増やし、例えば、エンジン出力を
減少させる等して、制動系による駆動輪速度差減少機能
の低下を補償することができる。
【0035】また、請求項29に示すように、路面μを
検出する手段を備え、その検出した路面μに応じて上記
駆動輪制御手段による制御を補正してもよい。この路面
μについて説明する。例えば低μ路面では、それがスプ
リット路でなくても路面外乱により一輪が先に大きくス
リップする状態、ひいては駆動輪速度差が大きくなる可
能性が高い。したがって、路面μが低い場合には、駆動
輪速度差を低減する制御を重視するといったことが考え
られる。
【0036】なお、駆動輪に対する制御にエンジン出力
制御が含まれている場合、このエンジンからの駆動力が
どの程度路面限界を越えているか、その超過量によって
制御を可変とすることも好ましい。また、確認のために
説明しておくが、いわゆるTRC制御があるからディフ
ァレンシャル保護が必要なわけではない。TRC装置を
備えない車両においても、例えば駆動輪速度差が約70
km/hで焼き付きを起こす例がある。ただし、TRC
装置付きの車両ではドライバーの心理として「思い切っ
てアクセルが踏める」という方向になりがちなので、デ
ィファレンシャル焼き付きの可能性が高くなる傾向にあ
る。
【0037】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。まず、図1は本発明が適用された車両の制御系全体
の構成を表わす概略構成図である。なお、本実施例はフ
ロントエンジン・フロントドライブ(FF)の四輪車に
本発明を適用し、油圧ポンプとしてマスタシリンダ(以
下M/Cと称す)からブレーキ油を吸引してM/Cにブ
レーキ油を戻す自吸式ポンプを使用した例である。
【0038】図1に示す如く、車両の各車輪(左前輪F
L,右前輪FR,左後輪RL,右後輪RR)には、各車
輪FL〜RRに制動力を与えるためのホイールシリンダ
(以下W/Cと称す)2FL,2FR,2RL,2RR、及び各
車輪FL〜RRの回転速度を検出する速度センサ4FL,
4FR,4RL,4RRが夫々設けられている。また、駆動輪
である左右前輪(以下,単に駆動輪という)FL,FR
は、変速機6、ディファレンシャル8を介して接続され
た内燃機関10からの駆動力を受けて回転するようにな
っており、この動力源となる内燃機関10には、その回
転速度,吸入空気量,冷却水温,スロットルバルブの開
度(スロットル開度)等の運転状態を検出するセンサ群
12が設けられている。そして、これらセンサ群12か
らの検出信号は、エンジン(E/G)制御装置20に入
力され、E/G制御装置20がその検出信号に基づき内
燃機関10の燃料噴射量や点火時期を制御するのに使用
される。
【0039】また、各車輪FL〜RRに設けられた速度
センサ4FL〜4RRからの検出信号は制動制御装置30に
入力される。制動制御装置30は、ブレーキペダル32
の踏込によりブレーキ油を吐出するM/C34から各車
輪FL〜RRのW/C2FL〜2RRに至る油圧経路に設け
られた油圧回路40内の各種電磁弁を制御することによ
り、車両制動時及び車両加速時に車輪に生じたスリップ
を抑制する、加速スリップ制御を実行するためのもので
あり、上記各速度センサ4FL〜4RRからの検出信号以外
に、ブレーキペダル32の操作時にオン(ON)状態と
なるブレーキスイッチ(以下ブレーキSWと称す)36
や、油圧回路40内に設けられ、駆動輪FL,FRのW
/C2FL,2FR内の油圧を検出する図示しない圧力セン
サ等からの検出信号を受けて動作する。
【0040】なお、E/G制御装置20及び制動制御装
置30は、夫々、CPU,ROM,RAM等を中心に構
成されたマイクロコンピュータからなっており、これら
各制御装置20,30は、センサによる検出データや制
御データ等を送・受信する通信装置を備えている。
【0041】次に、油圧回路40について説明する。図
2に示す如く、油圧回路40は、M/C34の2個の油
路から圧送されるブレーキ油を、左前輪FLと右後輪R
R、右前輪FRと左後輪RLに各々供給するための2系
統の油圧経路42,44を備えている。そして、これら
各油圧経路44,42の内、従動輪である左右後輪(以
下単に従動輪と称す)RL,RRのW/C2RL,2RRに
至る油圧経路44R,42Rには、その経路44R,4
2Rを連通する増圧位置とその経路を遮断する保持位置
とに切替可能な保持弁(増圧制御弁)46RL,46RR
と、各W/C2RL,2RR内のブレーキ油を排出するため
の減圧弁(減圧制御弁)48RL,48RRとが設けられて
いる。
【0042】なお、増圧制御弁46RL,46RRは、通
常、増圧位置となっており、制動制御装置30からの通
電により保持位置に切り替えられる。また、減圧制御弁
48RL,48RRは、通常、遮断状態になっており、制動
制御装置30からの通電により連通状態となってW/C
2RL,2RR内のブレーキ油を排出する。
【0043】一方、上記各油圧経路42,44の内、駆
動輪である左右前輪FL,FRのW/C2FL,2FRに至
る油圧経路42F,44Fには、従動輪側の油圧経路4
4R,42Rと同様、前述の制御弁としての増圧制御弁
46FL,46FR及び減圧制御弁48FL,48FRが設けら
れると共に、各増圧制御弁46FL,46FRよりM/C3
4側に、その経路42F,44Fを連通・遮断する前述
の切替弁としてのマスタシリンダカットバルブ(SM
弁)50FL,50FRが設けられている。
【0044】なお、これら各SM弁50FL,50FRの遮
断位置とは、増圧制御弁46FL,46FR側の油圧がM/
C34側の油圧に対して所定値だけ大きい上限値以上に
なったときに連通して、増圧制御弁46FL,46FR側の
油圧をその上限値以下に制限するリリーフ弁52FL,5
2FRに設定される位置である。
【0045】そして、これら各SM弁50FL,50FRに
は、M/C34側の油圧が増圧制御弁46FL,46FR側
の油圧より大きくなったときに連通して、M/C34か
ら出力されたブレーキ油を増圧制御弁46FL,46FR側
に供給するリリーフ弁54FL,54FRが、並列に接続さ
れている。なお、SM弁50FL,50FRは、通常、連通
状態となっており、制動制御装置30からの通電により
遮断状態に切り替えられる。
【0046】また、各油圧経路42,44には、減圧制
御弁48FL〜48RRから排出されたブレーキ油を一時的
に蓄えるリザーバ56,58が備えられ、さらにそのブ
レーキ油を、SM弁50FLと増圧制御弁46FLとの間の
油圧経路42Faと、SM弁50FRと増圧制御弁46FR
との間の油圧経路44Faとに夫々圧送するポンプ6
0,62が備えられている。なお、各ポンプ60,62
からのブレーキ油の吐出経路には、内部の油圧の脈動を
抑えるアキュムレータ64,66が設けられている。
【0047】さらに、各油圧経路42,44には、後述
のブレーキTRC制御実行時にM/C34を介してM/
C34の上部に設けられたリザーバ68からポンプ6
0,62に直接ブレーキ油を供給するための油供給経路
42P,44Pが設けられ、これら各油供給経路42
P,44Pには、その経路を連通・遮断するリザーバカ
ットバルブ(SR弁)70FL,70FRが設けられてい
る。
【0048】なお、SR弁70FL,70FRは、通常、遮
断状態となっており、制動制御装置30からの通電によ
り連通状態に切り替えられる。また、各ポンプ60,6
2は、後述する制動力制御実行時に、ポンプモータ80
を介して駆動される。次に、本実施例のE/G制御装置
20及び制動制御装置30において実行される演算処理
について図3等を参照して説明する。
【0049】図3に示すように、イグニションスイッチ
(図示せず)がオンされると、まずメモリクリアやフラ
グリセット等の初期化処理を行う(ステップ100)。
次に各速度センサ4FL,4FR,4RL,4RRからの検出信
号、すなわち転動輪速度VWF・駆動輪速度VWDを入力す
る(ステップ110)。なお、左右輪の区別を付ける場
合には、左駆動輪速度VWDL ,右駆動輪速度VWDR とい
うように表記する。
【0050】そして、加速スリップ制御目標速度VTSを
演算する(ステップ120)。この加速スリップ制御目
標速度VTSは、例えば転動輪速度VWFに所定のオフセッ
ト値を加算することによって得られる。このオフセット
値は固定の値でもよいし、また目標スリップ率から算出
してもよい。さらに目標スリップ率自体を用いてもよ
い。なお、加速スリップ制御目標速度VTSは左右駆動輪
の共通値として設定してもよいし、各輪独立に設定して
もよい。
【0051】続いて、ステップ130では加速スリップ
量εSを演算する。なお、この加速スリップ量εSも左
右駆動輪の共通値として設定してもよいし、各輪独立に
設定してもよい。また、ステップ140では駆動輪速度
差εLを演算する。以下この2つの演算値εS,εLに
ついて説明する。
【0052】まず、加速スリップ量εSは、下式のよう
に左右の駆動輪速度VWDR ,VWDLの内の小さい方の速
度と加速スリップ制御目標速度VTSとの差として演算さ
れる。 εS=min(VWDR ,VWDL )−VTS 一方、駆動輪速度差εLは、下式のように左右の駆動輪
速度VWDR ,VWDL の内の大きい方の速度と小さい方の
速度との差として演算される。
【0053】εL=max(VWDR ,VWDL )−min
(VWDR ,VWDL ) そして、それぞれεS→0及びεL→0が制御目標とな
る。なお、上記の演算式では、加速スリップ量εSを得
るために、左右駆動輪速度VWDR ,VWDL の内の小さい
方を用いて、加速スリップ制御目標速度VTSとの差を取
ったが、左右の駆動輪の平均速度[VDM=(VWDR +V
WDL )/2]を用いてもよい。その場合には、加速スリ
ップ量εS及び駆動輪速度差εLは、それぞれ以下の式
のように示される。
【0054】εS=VDM−VTS εL=max(VWDR ,VWDL )−VDM これらステップ130,140で演算された演算値ε
S,εLを利用して、ステップ150でのECT制御処
理、ステップ160では車両状態検出処理、ステップ1
70ではエンジン(E/G)制御処理、ステップ180
では制動力制御処理をそれぞれ行なう。次に、上記ステ
ップ150におけるECT制御処理の詳細について、図
4のフローチャートを参照して説明する。
【0055】まずステップ220〜260のシフト変更
制御について説明する。ステップ220において、上記
ステップステップ140で演算した駆動輪速度差εLに
基づいて自動変速線(以下単に変速線ともいう)を変更
する。これは、予め設定された自動変速線に基づいて変
速比を自動的に切り替えていく自動変速装置において、
その自動変速線を変更することができるようにされてい
る場合に、アップシフト用の変速線であればシフトアッ
プし易いように、あるいはダウンシフト用の変速線であ
ればシフトダウンし難いように変更するものである。こ
れによって、例えば2速発進等も実現される。
【0056】このように変速線を変更した結果、シフト
アップ要求となったときには(ステップ230:YE
S)、シフトアップ制御をし(ステップ240)、変速
線変更量に基づいて、2つの時間ディレイT1,T2を
設定する(ステップ250)。また、シフトアップ要求
でない場合には(ステップ230:NO)、通常のシフ
ト制御を行なう(ステップ260)。これらの時間ディ
レイT1,T2は変速線変更量が大きいほど長い時間と
なるように設定される。なお、T1とT2との大小関係
はT1<T2である。
【0057】シフトアップ後、時間ディレイT1が経過
するまでそのままの状態での制御が続けられ、時間ディ
レイT1が経過した場合には(ステップ270:YE
S)、駆動輪速度差εLが所定の終了判定値εLEより
小さくなったか否かを判断し(ステップ280)、εL
<εLEとなった場合には(ステップ280:YE
S)、変速線を復帰させる(ステップ290)。そし
て、時間ディレイT2経過後(ステップ210:YE
S)、復帰処理を終了して再度εLによるシフト変更制
御(ステップ220〜260)に移行する。
【0058】このように、駆動輪速度差εLに応じ、例
えばεLが大きいほどシフトアップし易いように変速線
を変更することで、自動的にシフトアップして車輪に付
与される駆動トルクが抑制されるので、駆動輪速度差が
収束する。また、時間ディレイT1,T2は変速線変更
量が大きいほど長い時間となるように設定されるため、
例えばステップ290での変速線復帰は、少なくとも時
間ディレイT1経過後でなければ実行されないため、変
速線変更量が大きいほど復帰処理も遅く開始されること
となる。これは、補正後の復帰速度が速いと再度駆動輪
速度差が大きく発生して制御ハンチングを起こしてしま
う可能性が高いことを考慮したものであり、補正量が大
きい(この場合は変速線の変更両が大きい)ほど復帰速
度を遅くすることにより制御ハンチングを防止しようと
するものである。
【0059】次に、上記ステップ160における車両状
態検出処理の詳細について、図5のフローチャート等を
参照して説明する。最初に処理の概略を説明すると、ス
テップ310〜340において補正係数χを決定するた
めの要因値χ1〜χ4を算出し、ステップ350におい
ては、要因値χ1〜χ4毎に設定した重み係数a1〜a
4を各要因値χ1〜χ4に乗算したものの総和を取るこ
とによって、補正係数χを算出している。
【0060】次に、要因値χ1〜χ4について図6も参
照して説明する。なお、各要因値χ1〜χ4について
は、それぞれが大きくなるほど、補正係数χ自体が大き
くなることを念頭において各要因値χ1〜χ4について
の説明を進める。ステップ310で算出されるχ1は、
ディファレンシャル8の潤滑油の温度に基づいて算出さ
れるものである。例えば図6(A)に示すようなマップ
に基づいてχ1を算出する。図6(A)に示したもの
は、潤滑油温度が大きくなるにつれてχ1の値も大きく
なり、ある所定の値を超えるとχ1=1で固定されるマ
ップである。なお、潤滑油温度は直接検出するのではな
く、センサ群12によって検出したエンジンの冷却水温
に基づいて推定したものでもよい。
【0061】次に、ステップ320で算出されるχ2は
路面μに基づいて算出されるものであり、例えば図6
(B)に示すようなマップに基づいてχ2を算出する。
図6(B)に示したものは、路面μが大きくなるにつれ
てχ2の値は小さく、ある所定の値を超えるとχ2=0
で固定されるマップである。
【0062】路面μについては、低μ路ほど駆動輪速度
差が生じ易いので、その場合に補正係数χが大きくなる
ように設定されている。次に、ステップ330で算出さ
れるχ3は内燃機関10から伝達される駆動力に基づい
て算出されるものであり、例えば図6(C)に示すよう
なマップに基づいてχ3を算出する。図6(C)に示し
たものは、駆動力が大きくなるにつれてχ3の値も大き
くなり、ある所定の値を超えるとχ3=0で固定される
マップである。内燃機関10からディファレンシャル8
に伝達される駆動力は上記PV値のPを増加させる要因
となるので、駆動力が大きくなるほどχ3も大きくして
補正係数χも大きくさせるのである。
【0063】次に、ステップ340で算出されるχ4は
車両のブレーキ負荷に基づいて算出されるものであり、
例えば図6(D)に示すようなマップに基づいてχ4を
算出する。図6(D)に示したものは、車両のブレーキ
負荷が大きくなるにつれてχ4の値も大きくなり、ある
所定の値を超えるとχ4=0で固定されるマップであ
る。
【0064】これはエンジン制御に対してのみ有効であ
り、ブレーキの負荷が大きい場合にはエンジン制御の補
正量を大きくしてエンジン出力を減少させ、ブレーキ保
護を図ろうとするためのものである。なお、ブレーキ負
荷についてはブレーキ制御の制御時間や制御頻度あるい
はブレーキ液温度等に基づいて算出される。
【0065】このようにして算出された要因値χ1〜χ
4を用いて、ステップ350においては補正係数χを算
出するのであるが、この場合の要因値χ1〜χ4毎に設
定される重み係数a1〜a4は、車両の特性や各種アク
チュエータ特性等によっても変更される。この例を以下
にいくつか挙げておく。
【0066】例えば、ディファレンシャル潤滑油の種類
やディファレンシャル8の冷却性能等によって潤滑油の
温度上昇特性も異なるので、それに応じた重み係数a1
を設定するとよい。また、内燃機関10の出力特性やス
プリット路における路面μ差による駆動輪速度差発生特
性の違いも考慮することが好ましい。さらには、各種ア
クチュエータのソレノイド径や冷却特性等も考慮すると
よい。
【0067】次に、上記ステップ170におけるE/G
制御処理の詳細について、図7のフローチャートを参照
して説明する。まずステップ410において現在E/G
制御中か否かを判断し、制御中でない場合には、ステッ
プ420で制御開始条件が成立したか否かを判断する。
この制御開始条件の成立判断について補足すると、所定
の制御偏差εが所定のエンジン制御開始判定値εSTE/
Gを超えたか否かで判断する。この制御偏差εは上記2
つの演算値εS,εLに基づいて設定される値である。
【0068】制御開始条件が成立した場合(ステップ4
20:YES)には、ステップ430でエンジン補正制
御フラグFHE/Gが1か否かを判断し、FHE/G=
1でない場合には、ステップ440にて駆動輪速度差ε
Lが所定のエンジン制御開始判定値εSTE/G以上であ
るか否かを判断する。そして、εL<εSTE/Gの場合
(ステップ440:NO)には、目標エンジン出力TE
/Gref を算出し(ステップ450)、その目標エンジ
ン出力TE/Gref に基づいてアクチュエータを駆動さ
せて実際のエンジン制御を行なう(ステップ460)。
なおステップ450における目標エンジン出力TE/G
ref は所定の演算式fE/G (ε)にしたがって算出され
るものである。エンジン制御の具体的内容としては、例
えばスロットル開度・燃料噴射量・空燃比・点火時期の
少なくとも一つを変更することが考えられる。もちろん
これら3つ共変更するようにしてもよい。
【0069】また、ステップ440にてεL≧εSTE/
Gの場合(ステップ440:YES)には、ステップ4
70にて、エンジン補正制御フラグFHE/Gを1にセ
ットし、また補正係数χに基づいて算出されるエンジン
出力補正値TE/GHS(χ)、その補正値から算出さ
れる復帰速度△E/G及び復帰終了値TE/GHEをそ
れぞれセットしてからステップ460へ移行する。
【0070】一方、ステップ410で肯定判断、すなわ
ちエンジン制御中である場合には、制御終了条件が成立
したか否かを判断し(ステップ480)、制御終了条件
が成立していればそのまま本ルーチンを終了するが、成
立していない場合にはステップ430へ移行する。上記
ステップ470でFHE/G=1にセットされた場合に
は、このステップ430で肯定判断となり、ステップ4
90へ移行する。
【0071】ステップ490では、エンジン復帰制御フ
ラグFRE/Gが1か否かを判断し、FRE/G=1で
ない場合には、ステップ500にて演算値εLが所定の
エンジン制御終了判定値εEE/G以下であるか否かを
判断する。そして、εL>εEE/Gの場合(ステップ
500:NO)には、そのまま本ルーチンを一旦終了す
るが、εL≦εEE/Gの場合(ステップ500:YE
S)には、ステップ510でFRE/G=1にセットし
てから本ルーチンを終了する。
【0072】FRE/G=1にセットされることによ
り、ステップ490にて肯定判断され、ステップ520
からのエンジン復帰制御が開始される。ステップ520
においては、に目標エンジン出力TE/Gref が復帰終
了値TE/GHE以上であるか否かを判断し、否定判断
すなわちTE/Gref <TE/GHEの場合には、ステ
ップ530に移行して、目標エンジン出力TE/Gref
として復帰終了値TE/GHEに復帰速度△E/Gを加
算したものをセットする。一方、ステップ520で肯定
判断すなわちTE/Gref ≧TE/GHEの場合には、
ステップ540に移行して、エンジン補正制御フラグF
HE/G及びエンジン復帰制御フラグFRE/Gを共に
0にセットする。
【0073】なお、上記ステップ420で制御開始条件
が成立していない場合には、ステップ540に移行して
2つのフラグFHE/G,FRE/Gを共に0にセット
して本ルーチンを終了する。次に、上記ステップ180
における制動力制御処理について、図8のフローチャー
トを参照して説明する。基本的な処理手順は上記図7の
エンジン制御の場合と同様であり、まずステップ610
において現在ブレーキ制御中か否かを判断し、制御中で
ない場合には、ステップ620で制御開始条件が成立し
たか否かを判断する。この制御開始条件の成立判断につ
いて補足すると、所定の制御偏差εが所定のブレーキ制
御開始判定値εSTBを超えたか否かで判断する。
【0074】制御開始条件が成立した場合(ステップ6
20:YES)には、ステップ630でブレーキ補正制
御フラグFHBが1か否かを判断し、FHB=1でない
場合には、ステップ640にて演算値εLが所定のブレ
ーキ制御開始判定値εSTB以上であるか否かを判断し、
εL<εSTBの場合(ステップ640:NO)には、目
標制動力PBref を算出し(ステップ650)、その目
標制動力PBref に基づいてアクチュエータを駆動させ
る(ステップ660)。
【0075】なおステップ650における目標制動力P
Bref は所定の演算式fB (ε)にしたがって算出され
るものである。この所定の演算式fB (ε)とは、制御
偏差εに応じて比例・積分・微分を行ういわゆるPID
制御によるものである。このPID制御は車両の制御方
式として広く採用されている周知のものであるので詳し
い説明は省略する。
【0076】また、ステップ640にてεL≧εSTBの
場合(ステップ640:YES)には、ステップ670
にて、ブレーキ補正制御フラグFHBを1にセットし、
また補正係数χに基づいて算出される制動力補正値PB
HS(χ)、その補正値から算出される復帰速度△B及
び復帰終了値PBHEをそれぞれセットしてからステッ
プ660へ移行する。
【0077】一方、ステップ610で肯定判断、すなわ
ちブレーキ制御中である場合には、制御終了条件が成立
したか否かを判断し(ステップ680)、成立していれ
ばそのまま本ルーチンを終了するが、成立していない場
合にはステップ630へ移行する。上記ステップ670
でFHB=1にセットされた場合には、このステップ6
30で肯定判断となり、ステップ690へ移行する。
【0078】ステップ690では、ブレーキ復帰制御フ
ラグFRBが1か否かを判断し、FRB=1でない場合
には、ステップ700にて演算値εLが所定のブレーキ
制御終了判定値εEB以下であるか否かを判断する。そ
して、εL>εEBの場合(ステップ700:NO)に
は、そのまま本ルーチンを一旦終了するが、εL≦εE
Bの場合(ステップ700:YES)には、ステップ7
10でFRB=1にセットしてから本ルーチンを終了す
る。
【0079】FRB=1にセットされることにより、ス
テップ690にて肯定判断され、ステップ720からの
ブレーキ復帰制御が開始される。ステップ720におい
ては、目標制動力PBref が復帰終了値TBHE以下で
あるか否かを判断し、否定判断すなわちPBref >PB
HEの場合には、ステップ730に移行し、目標制動力
PBref として復帰終了値PBHEから復帰速度△Bを
減算したものをセットする。一方、ステップ720で肯
定判断すなわちPBref ≦PBHEの場合には、ステッ
プ740に移行して、ブレーキ補正制御フラグFHB及
びブレーキ復帰制御フラグFRBを共に0にセットす
る。
【0080】なお、上記ステップ620で制御開始条件
が成立していない場合には、ステップ740に移行して
2つのフラグFHB,FRBを共に0にセットして本ル
ーチンを終了する。以上説明したように、本実施例によ
れば、焼き付きを起こす程度を示す指標として一般的に
使用されるPV値の要因の一つであるVに関係する値と
しての駆動輪速度差εLを算出し、この駆動輪速度差ε
Lに基づいて駆動力や制動力の制御を行うことで、ディ
ファレンシャル8の焼き付きを防止して、駆動輪に駆動
力や制動力を付与する駆動輪制御を適切に行うようにし
ている。
【0081】図3のステップ150におけるECT制御
においては、図4にその詳細を示したように、駆動輪速
度差εLに基づいて、アップシフト用の変速線であれば
シフトアップし易いように、あるいはダウンシフト用の
変速線であればシフトダウンし難いように変更してい
る。そして、このように駆動輪速度差εLが大きいほど
シフトアップし易いように変速線を変更することで、自
動的にシフトアップして車輪に付与される駆動トルクが
抑制されるので、駆動輪速度差εLが収束し、結果とし
てPV値を減少させるように作用する。
【0082】また、図3のステップ170,180に示
すようにエンジン制御や制動力制御を行なうのである
が、この制御においては、ステップ160で検出した車
両状態を考慮している。具体的には、図5に示した処理
で算出した補正係数χに基づいて、図7のステップ45
0での目標エンジン出力TE/Gref の算出やステップ
470でのエンジン出力補正値TE/GHS(χ)の算
出を行なう。また、図8のステップ650での目標制動
力PE/Gref の算出やステップ670での制動力補正
値PE/GHS(χ)の算出も同様である。
【0083】そして、この補正係数χは本実施例におい
ては4つの要因値χ1〜χ4に基づき、さらに要因値χ
1〜χ4毎に設定した重み係数a1〜a4を各要因値χ
1〜χ4に乗算したものの総和を取ることによって算出
している。例えば、要因値χ1はディファレンシャル8
の潤滑油温度に基づいているが、潤滑油が高温の場合
や、その温度上昇係数が高いほど制御補正量が大きくな
るようにすることで、ディファレンシャル8の保護にと
って有利なようにすることができる。
【0084】また、要因値χ2は路面μに基づいている
が、例えば低μ路面では、それがスプリット路でなくて
も路面外乱により一輪が先に大きくスリップする状態、
ひいては駆動輪速度差が大きくなる可能性が高い。した
がって、路面μが低い場合には、駆動輪速度差を低減す
る制御を重視するようにすることが好ましい。
【0085】また、要因値χ3は内燃機関10からディ
ファレンシャル8に伝達される駆動力に基づいている
が、例えばギヤ位置が低速段側にある等の理由で駆動力
が大きいと、P値が大きくなる。そのため駆動力が大き
いほど制御補正量が大きくなるようにすることが好まし
い。なお、制御開始時は駆動力制御状態ではないためP
V値が大きくなる。したがって、制御初回はよりPV値
を低減するよう制御量を大きく補正することが好まし
い。
【0086】また、要因値χ4は、制動系における負荷
軽減要求度合に基づいている。具体的には、ブレーキ制
御の制御時間や制御頻度、あるいはブレーキ液温度等に
基づいてブレーキ負荷を推定し、その負荷が大きい場合
には軽減要求度合も大きいとして制御補正量を増やすよ
うにしている。
【0087】また、本実施例では、エンジン制御と制動
力制御を行っているが、これはエンジン制御と制動力制
御とを単純に組合せたものではなく、駆動輪速度差εL
によってエンジン出力と制動力制御の補正量を可変とす
ることが、制御性能の確保とともにディファレンシャル
の保護にとっても好ましい。両制御においてディファレ
ンシャル保護のためにPV値を減らす方法としては、P
を減らす場合とVを減らす場合があるが、それぞれ欠点
がある。
【0088】Pを減らす場合では、例えばエンジン出力
を低減させる等して駆動力を減らしてPを減少させるこ
とが考えられるが、駆動力の過度の減少は加速性を悪化
させる。また、例えばブレーキをかけない等して制動力
を減らしてPを減少させることが考えられるが、差動制
限(LSD)効果が得られないので、低μ側のスリップ
がより大きくなっていって、高μ側の駆動力が小さくな
り、加速性が悪化する。
【0089】一方、Vを減らす場合では、例えば駆動力
を減らして駆動輪速度差を減らし、Vを減少させること
が考えられるが、スプリット路では低μ路側でスリップ
しない程度の駆動力しか高μ路側にかけれないため、加
速性が悪化する。また、スリップ輪の制動力を増やすこ
とも考えられるが、このLSD効果によりVは減少して
も、逆にPを増加させる要因となる。さらに、ブレーキ
による駆動輪速度差を即座に減少させるためには、大き
な増圧勾配・油圧量が必要となり装置の大型化・コスト
アップの要因となる。
【0090】そのため、具体的には、上記図7のステッ
プ440と図8のステップ640において駆動輪速度差
εLとエンジン制御開始判定値εSTE/G及びブレーキ
制御開始判定値εSTBとを比較して、制御開始の判断と
しているが、例えばこの2つの判定値εSTE/G,εST
Bの関係をεSTE/G<εSTBとして、駆動輪速度差ε
Lが小さいときには、制動力制御の補正をメインとする
制御を実行することが考えられる。このようにすれば、
ディファレンシャル8の保護はもちろん、加速性が悪化
することなく良好な制御性能が得られる。
【0091】また、駆動輪速度差εLが大きいときに
は、エンジン制御の補正をメインとする制御を実行する
ことができる。これはブレーキによってVを減らす能力
を超えているような場合には、エンジン出力制御によっ
て制御することで、たとえ加速性を悪化させてもディフ
ァレンシャル8の保護は実現できるのである。
【0092】なお、上記エンジン制御開始判定値εSTE
/Gが請求項19に示す第1の所定値に該当し、ブレー
キ制御開始判定値εSTBが第2の所定値に該当する。ま
た、ディファレンシャル8において焼き付きが生じてし
まうと、車両走行自体が不可能な状態に陥ってしまう可
能性が高いので、このようにディファレンシャル8に対
する保護に関する制御を他の制御に優先することは好ま
しい。上記実施例においては、同一のアクチュエータを
使用してトラクション制御をおこなっているので、その
トラクション制御の制御量にディファレンシャル8の保
護に関する制御に基づく補正を施したものを制御量とし
ている。これは、ステップ450での目標エンジン出力
TE/Gref の算出やステップ470でのエンジン出力
補正値TE/GHS(χ)の算出、あるいは図8のステ
ップ650での目標制動力PE/Gref の算出やステッ
プ670での制動力補正値PE/GHS(χ)の算出に
おいてなされている。
【0093】また、上記実施例においては、ECT制御
(図4)、エンジン出力制御(図5)、制動力制御(図
6)において、各制御量を補正して制御を実行した後、
その補正量に応じた復帰速度で補正制御を終了させるよ
うにしている。ECT制御においては、上述したよう
に、変速線変更量に基づいて2つの時間ディレイT1,
T2を設定し(図4のステップ250)、その時間ディ
レイT1を経過しないと変速線が復帰しないようにして
いる。
【0094】また、エンジン出力制御においては、ステ
ップ470に示すように、エンジン出力補正値TE/G
HS(χ)に基づいて復帰速度△E/Gを変更し、ステ
ップ530に示すように、目標エンジン出力TE/Gre
f として復帰終了値TE/GHEに復帰速度△E/Gを
加算したものをセットしている。
【0095】また、制動力制御においては、ステップ6
70に示すように、制動力補正値PE/GHS(χ)に
基づいて復帰速度△Bを変更し、ステップ730に示す
ように、目標制動力PBref として復帰終了値PBHE
に復帰速度△Bを減算したものをセットしている。
【0096】そして、上記補正量が大きいほど復帰速度
を小さくして、駆動輪速度差が再度大きくなるのを防止
するようにしている。これは、補正後の復帰速度が速い
と再度駆動輪速度差が大きく発生して制御ハンチングを
起こしてしまう可能性が高いことを考慮したものであ
り、補正量が大きいほど復帰速度を遅くすることにより
制御ハンチングが防止でき、より確実なディファレンシ
ャル保護が可能となる。
【0097】以上本発明はこのような実施例に何等限定
されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲に
おいて種々なる態様で実施し得る。例えば、上記実施例
はFF車を例にとったが、FR車でもよく、また4輪駆
動(4WD)車でもよい。4WD車の場合のスリップ検
出は、車輪速度の内の最小と加速度センサから推定した
車体速度との差等を用いることで実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の運動特性制御装置が適用された車両
の制御系全体の構成を表わす概略構成図である。
【図2】 実施例の制動制御装置の油圧系統を中心とし
た構成説明図である。
【図3】 実施例のE/G制御装置及び制動制御装置に
おいて実行される演算処理を示すフローチャートであ
る。
【図4】 実施例のECT制御処理を示すフローチャー
トである。
【図5】 実施例の車両状態検出処理を示すフローチャ
ートである。
【図6】 補正係数χを決定するための要因値χ1〜χ
4を算出する場合に用いられるマップの説明図である。
【図7】 実施例のエンジン制御処理を示すフローチャ
ートである。
【図8】 実施例の制動力制御処理を示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
4…速度センサ 6…変速機 8…ディファレンシャル 10…内燃機関 12…センサ群 20…E/G制御
装置 30…制動制御装置 32…ブレーキペ
ダル 40…油圧回路 46…増圧制御弁 48…減圧制御 50…SM弁 52,54…リリーフ弁 60…ポンプ 70…SR弁 80…ポンプモー
タ FL…左前輪 FR…右前輪 RL…左後輪 RR…右後輪

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動力がディファレンシャルを介して駆動
    輪に伝達される車両において、 上記ディファレンシャルを構成するすべり軸受けの作動
    限界を示す因子の状態を検出する作動限界因子状態検出
    手段と、 該作動限界因子状態検出手段によって検出された作動限
    界因子の状態に応じて上記駆動輪に付与する駆動力及び
    /又は制動力を制御する駆動輪制御手段と、 を備えることを特徴とする車両用運動特性制御装置。
  2. 【請求項2】上記作動限界因子状態検出手段は、上記す
    べり軸受けの軸受け面圧Pとすべり速度Vとの積で与え
    られるPV値を検出することを特徴とする請求項1記載
    の車両用運動特性制御装置。
  3. 【請求項3】上記作動限界因子状態検出手段は、上記P
    V値の内の軸受け面圧Pに関する因子の状態として、上
    記すべり軸受けの歯面圧力・上記駆動輪に付与される制
    動力・上記駆動輪に付与される駆動力の内の少なくとも
    一つを検出することを特徴とする請求項2記載の車両用
    運動特性制御装置。
  4. 【請求項4】上記作動限界因子状態検出手段は、上記P
    V値の内のすべり速度Vに関する因子の状態として駆動
    輪速度差を検出することを特徴とする請求項2記載の車
    両用運動特性制御装置。
  5. 【請求項5】上記作動限界因子状態検出手段は、上記デ
    ィファレンシャルの潤滑油の温度を検出する潤滑油温度
    検出手段を備え、その検出した潤滑油温度に基づいて上
    記作動限界因子の状態を推定することを特徴とする請求
    項1記載の車両用運動特性制御装置。
  6. 【請求項6】上記潤滑油温度検出手段は、エンジン冷却
    水温度検出手段を備え、そのエンジン冷却水温度検出手
    段によって検出した冷却水の温度に基づいて上記潤滑油
    温度を推定することを特徴とする請求項5記載の車両用
    運動特性制御装置。
  7. 【請求項7】上記駆動輪制御手段は、エンジン出力制御
    手段・ギヤ位置制御手段・制動力制御手段の内の少なく
    とも一つを備えたことを特徴とする請求項1記載の車両
    用運動特性制御装置。
  8. 【請求項8】上記駆動輪制御手段による上記駆動力制御
    における制御要因以外の制御要因に基づいて駆動力を制
    御する第2の駆動力制御手段を備え、 上記駆動輪制御手段による第1の駆動力制御と上記第2
    の駆動力制御手段による第2の駆動力制御との間にあっ
    ては、上記第1の駆動力制御が優先されるか、又は上記
    第1の駆動力制御の制御量によって上記第2の駆動力制
    御の制御量が補正されるように構成されたことを特徴と
    する請求項1記載の車両用運動特性制御装置。
  9. 【請求項9】駆動力がディファレンシャルを介して駆動
    輪に伝達される車両において、 上記作動限界因子の状態としての駆動輪速度差を検出す
    る上記作動限界因子状態検出手段としての駆動輪速度差
    検出手段と、 変速装置におけるシフト位置の制御を行うシフト位置制
    御手段と、 上記駆動輪速度差に応じて上記シフト位置の補正する上
    記駆動輪制御手段としてのシフト位置補正手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用運動特
    性制御装置。
  10. 【請求項10】上記シフト位置制御手段は、予め設定さ
    れた自動変速線に基づいて変速比を自動的に切り替えて
    いくことでシフト位置の制御を行い、 上記シフト位置補正手段は、上記自動変速線を変更する
    変速線変更手段を備えており、上記駆動輪速度差に応じ
    て、上記変速線を、シフトアップし易いようにあるいは
    シフトダウンし難いように変更することを特徴とする請
    求項9記載の車両用運動特性制御装置。
  11. 【請求項11】駆動力がディファレンシャルを介して駆
    動輪に伝達される車両において、 上記作動限界因子の状態としての駆動輪速度差を検出す
    る上記作動限界因子状態検出手段としての駆動輪速度差
    検出手段と、 車両の加速スリップを検出する加速スリップ検出手段
    と、 上記加速スリップに応じてエンジン出力を制御するエン
    ジン出力制御手段と、 上記駆動輪速度差に応じて上記エンジン出力制御手段に
    よるエンジン出力制御量を補正する上記駆動輪制御手段
    としてのエンジン出力補正手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用運動特
    性制御装置。
  12. 【請求項12】上記エンジン出力制御手段は、吸入空気
    量を制御するためのスロットル開度・燃料噴射量・空燃
    比・点火時期の少なくとも一つを変更する変更手段を備
    えており、上記加速スリップに応じて、上記スロットル
    開度・燃料噴射量・空燃比・点火時期の少なくとも一つ
    を変更することを特徴とする請求項7又は11記載の車
    両用運動特性制御装置。
  13. 【請求項13】上記エンジン出力補正手段は、上記駆動
    輪速度差が大きいか又は大きくなると予測される場合
    に、上記エンジン出力制御手段によるエンジン出力制御
    量を大きく補正することを特徴とする請求項11記載の
    車両用運動特性制御装置。
  14. 【請求項14】上記エンジン出力補正手段は、上記駆動
    輪速度差が大きいか又は大きくなると予測される場合
    に、上記エンジン出力制御手段によるエンジン出力制御
    量を、より出力減少側に大きく補正することを特徴とす
    る請求項13記載の車両用運動特性制御装置。
  15. 【請求項15】駆動力がディファレンシャルを介して駆
    動輪に伝達される車両において、 上記作動限界因子の状態としての駆動輪速度差を検出す
    る上記作動限界因子状態検出手段としての駆動輪速度差
    検出手段と、 車両の加速スリップを検出する加速スリップ検出手段
    と、 上記加速スリップに応じて上記駆動輪に付与する制動力
    を制御する駆動輪制動力制御手段と、 上記駆動輪速度差に応じて上記駆動輪制動力制御手段に
    よる制動力制御量を補正する上記駆動輪制御手段として
    の制動力補正手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用運動特
    性制御装置。
  16. 【請求項16】上記制動力補正手段は、上記駆動輪速度
    差が大きいか又は大きくなると予測される場合に、上記
    駆動輪制動力制御手段による制動力制御量を大きく補正
    することを特徴とする請求項15記載の車両用運動特性
    制御装置。
  17. 【請求項17】上記制動力補正手段は、上記駆動輪速度
    差が大きいか又は大きくなると予測される場合に、上記
    駆動輪制動力制御手段による制動力制御量を、制動圧を
    より増圧する側に大きく補正することを特徴とする請求
    項16記載の車両用運動特性制御装置。
  18. 【請求項18】駆動力がディファレンシャルを介して駆
    動輪に伝達される車両において、 上記作動限界因子の状態としての駆動輪速度差を検出す
    る上記作動限界因子状態検出手段としての駆動輪速度差
    検出手段と、 車両の加速スリップを検出する加速スリップ検出手段
    と、 上記加速スリップに応じてエンジン出力を制御するエン
    ジン出力制御手段と、 上記加速スリップに応じて駆動輪に付与する制動力を制
    御する駆動輪制動力制御手段と、 上記駆動輪速度差に応じて、上記エンジン出力制御手段
    によるエンジン出力制御量及び上記駆動輪制動力制御手
    段による制動力制御量を補正する上記駆動輪制御手段と
    してのエンジン出力・制動力補正手段と、 を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用運動特
    性制御装置。
  19. 【請求項19】上記エンジン出力・制動力補正手段は、
    上記駆動輪速度差又は駆動輪速度変化が第1の所定値を
    越えたら上記制動力制御量を補正し、第2の所定値を越
    えたら上記エンジン出力制御量を補正することを特徴と
    する請求項18記載の車両用運動特性制御装置。
  20. 【請求項20】上記エンジン出力・制動力補正手段は、
    上記駆動輪制動力制御手段による制動力制御性能が低下
    している場合には、その低下度合に応じて上記エンジン
    出力制御量に対する補正量を増加させることを特徴とす
    る請求項18記載の車両用運動特性制御装置。
  21. 【請求項21】上記エンジン出力・制動力補正手段は、
    ブレーキ油温度検出手段を備え、そのブレーキ油温度検
    出手段によって検出したブレーキ油の温度に基づいて上
    記制動力制御性能の低下度合を推定することを特徴とす
    る請求項20記載の車両用運動特性制御装置。
  22. 【請求項22】上記請求項8においては第2の駆動力制
    御の制御量の補正後、上記請求項9,10においてはシ
    フト位置の補正後、上記請求項11〜14においてはエ
    ンジン出力制御量の補正後、上記請求項15〜17にお
    いては制動力制御量の補正後、上記請求項18〜20に
    おいてはエンジン出力制御量及び制動力制御量の補正後
    に、その補正量に応じた復帰速度で補正制御を終了させ
    る補正終了手段を備えたことを特徴とする請求項8〜2
    0いずれかに記載の車両用運動特性制御装置。
  23. 【請求項23】上記補正終了手段は、上記補正量が大き
    いほど復帰速度を小さくして、上記駆動輪速度差が再度
    大きくなるのを防止することを特徴とする請求項22記
    載の車両用運動特性制御装置。
  24. 【請求項24】車両の走行状態や走行環境を検出する車
    両状態検出手段を備え、その車両状態検出結果に応じ
    て、上記駆動輪制御手段による制御を補正することを特
    徴とする請求項1〜23いずれかに記載の車両用運動特
    性制御装置。
  25. 【請求項25】上記車両状態検出手段は、上記ディファ
    レンシャルの潤滑油の温度を検出する潤滑油温度検出手
    段を備え、その検出した潤滑油温度に応じて上記駆動輪
    制御手段による制御を補正することを特徴とする請求項
    24記載の車両用運動特性制御装置。
  26. 【請求項26】上記潤滑油温度検出手段は、エンジン冷
    却水温度検出手段を備え、そのエンジン冷却水温度検出
    手段によって検出した冷却水の温度に基づいて上記潤滑
    油温度を推定することを特徴とする請求項25記載の車
    両用運動特性制御装置。
  27. 【請求項27】上記車両状態検出手段は、上記エンジン
    から上記ディファレンシャルに伝達される駆動力を検出
    する手段を備え、その検出した駆動力に応じて上記駆動
    輪制御手段による制御を補正することを特徴とする請求
    項24記載の車両用運動特性制御装置。
  28. 【請求項28】上記車両状態検出手段は、上記駆動輪に
    対する制動力制御状態に基づいて制動系における負荷軽
    減要求度合を検出する手段を備え、その検出した負荷軽
    減要求度合に応じて上記駆動輪制御手段による制御を補
    正することを特徴とする請求項24記載の車両用運動特
    性制御装置。
  29. 【請求項29】上記車両状態検出手段は、路面μを検出
    する手段を備え、その検出した路面μに応じて上記駆動
    輪制御手段による制御を補正することを特徴とする請求
    項24記載の車両用運動特性制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100462264C (zh) * 2007-01-08 2009-02-18 东风汽车股份有限公司 汽车节油提示方法
WO2009031587A1 (ja) * 2007-09-05 2009-03-12 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 車両の制駆動力制御装置

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JP2009061855A (ja) * 2007-09-05 2009-03-26 Toyota Motor Corp 車両の制駆動力制御装置
US9789875B2 (en) 2007-09-05 2017-10-17 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Brake/drive force controlling apparatus for vehicle

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