JPH08101320A - 微小構造体およびその作製方法 - Google Patents

微小構造体およびその作製方法

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JPH08101320A
JPH08101320A JP25944794A JP25944794A JPH08101320A JP H08101320 A JPH08101320 A JP H08101320A JP 25944794 A JP25944794 A JP 25944794A JP 25944794 A JP25944794 A JP 25944794A JP H08101320 A JPH08101320 A JP H08101320A
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JP
Japan
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substrate
linbo
groove
microstructure
epitaxial growth
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JP25944794A
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English (en)
Inventor
Atsuo Yamada
淳夫 山田
Hitoshi Tamada
仁志 玉田
Maki Saito
真樹 斎藤
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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  • Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)
  • Optical Integrated Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ほぼ平坦な表面を有し、材料選択の幅が広
く、かつ界面のプロファイルが階段状の微小構造体を簡
便な方法により単純なプロセスでしかも材料を有効利用
しつつ作製する。 【構成】 基板1の一主面に微小な溝1aを互いに近接
して複数形成し、その主面の上に埋め込み用の膜2を液
相エピタキシャル成長法などにより形成し、これらの溝
1aを埋める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、微小構造体およびそ
の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、LSIに代表される微小構造体の
作製には、フォトリソグラフィー技術と拡散技術(イオ
ン打ち込みを含む)とを組み合わせた方法が広く用いら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の微小構造体の作製方法には、次のような多くの問
題がある。
【0004】1.薄膜成長、レジスト塗布、露光、エッ
チング、レジスト除去、拡散といった多段階プロセスを
用いており、煩雑である。 2.特に、拡散プロセスには長時間必要である。 3.拡散に関しては、基板材料をベースにした不純物拡
散に限られ、材料選択の幅が狭い。 4.拡散法により作製されたものは界面のプロファイル
が連続的になるため、デバイス設計、特に光学的デバイ
スの設計が煩雑となる。 5.選択拡散の際に全面に膜成長された拡散物質のほと
んどは後にエッチングにより除去されてしまうので、材
料の有効利用という点からは、極めて非効率的である。
【0005】また、様々な微細機能素子の作製には、イ
ンゴットから切り出した単結晶ウエハーの表面を研磨し
たものが使用されているが、研磨によって得られる表面
の平坦性には限界があり、素子が微細になるにつれ、こ
の問題は重要となる。高度な技術を要する精密研磨以外
の簡便な表面平坦化技術が今後必ず必要である。
【0006】従って、この発明の目的は、ほぼ平坦な表
面を有し、簡便な方法により単純なプロセスでしかも材
料を有効利用しつつ作製することができ、材料選択の幅
が広く、かつ界面のプロファイルが階段状の微小構造体
を提供することにある。
【0007】この発明の他の目的は、ほぼ平坦な表面を
有し、材料選択の幅が広く、かつ界面のプロファイルが
階段状の微小構造体を簡便な方法により単純なプロセス
でしかも材料を有効利用しつつ作製することができる微
小構造体の作製方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の問題
を解決すべく鋭意検討を行った結果、基板に形成された
細線状の溝や穴のサイズが小さく、さらにそれらが狭い
間隔で存在するときに成長結晶の表面平坦化や溝埋め効
果が顕著に大きくなること、さらには、このような状況
で結晶成長時間を短くすると溝や穴の部分のみが選択的
に埋められていくことを究明し、この発明を案出するに
至った。
【0009】すなわち、上記目的を達成するため、この
発明による微小構造体は、一主面に微小な凹凸が存在す
る基板(1)の凹部(1a)がエピタキシャル成長法に
より形成された基板(1)と同一または異なる物質
(2)により埋め込まれており、かつ物質(2)の表面
はほぼ平坦であることを特徴とするものである。
【0010】この発明による微小構造体において、典型
的には、凹凸は一主面に複数の微小な溝および/または
穴が互いに隣接して設けられていることによるものであ
る。ここで、この溝および/または穴の幅または直径は
典型的には100μm以下であり、より典型的には10
μm以下である。また、この溝および/または穴の間隔
は典型的には500μm以下であり、より典型的には1
00μm以下である。さらに、この溝および/または穴
の深さは典型的には1000μm以下であり、より典型
的には200μm以下である。
【0011】この発明による微小構造体の典型的な一実
施形態においては、基板はLiNbO3 のエピタキシャ
ル成長が可能な基板であり、埋め込みに用いられる物質
はLiNbO3 である。
【0012】この発明による微小構造体においては、埋
め込みに用いられる物質のエピタキシャル成長法は好適
には液相エピタキシャル成長法であるが、平坦な膜表面
が得られる気相エピタキシャル成長法、例えば有機金属
化学気相成長(MOCVD)法などの化学気相成長(C
VD)法であってもよい。
【0013】この発明による微小構造体の作製方法は、
一主面に微小な凹凸が存在する基板(1)上に基板
(1)と同一または異なる物質(2)を、基板(1)の
凹部(1a)が物質(2)により埋め込まれ、かつ物質
(2)の表面がほぼ平坦となるようにエピタキシャル成
長法により形成するようにしたものである。
【0014】この発明による微小構造体の作製方法にお
いては、基板はLiNbO3 のエピタキシャル成長が可
能な基板であり、埋め込みに用いられる物質はLiNb
3である。
【0015】この発明による微小構造体の作製方法にお
いては、エピタキシャル成長法は好適には液相エピタキ
シャル成長法であるが、平坦な膜表面が得られる気相エ
ピタキシャル成長、例えばMOCVD法などのCVD法
であってもよい。このエピタキシャル成長法による基板
の凹部の埋め込みに要する時間は典型的には30分以下
であり、好適には10分以下である。液相エピタキシャ
ル成長法として短時間液相エピタキシャル成長法を用い
た場合には、基板の凹部の埋め込みに要する時間は数十
秒以内と極めて短くすることができる。
【0016】この発明による微小構造体およびその作製
方法は、様々な応用が可能である。例えば、屈折率の異
なる物質を基板の表面に選択的に埋め込んだマイクロレ
ンズアレイやマイクロ回折格子、希土類元素などの活性
イオンを選択的にドープしたマイクロレーザアレイ、3
次元光導波路、マイクロ光導波デバイス、量子化機能素
子などの電子デバイス、周期的分極反転構造を有する第
2次高調波発生(SHG)素子、ウエハーの研磨表面の
nmオーダーでの平坦化または最終仕上げなどが挙げら
れ、μm〜nmオーダー以下の微小構造の機能素子作製
の基本技術として極めて有望である。
【0017】
【作用】上述のように構成されたこの発明による微小構
造体によれば、基本的には基板の加工と溝または穴の埋
め込みとの二つの工程から成る単純なプロセスで簡便に
作製することができる。また、埋め込みに用いられる物
質を液相エピタキシャル成長法などのエピタキシャル成
長法により形成することにより、ほぼ平坦な表面を得る
ことができる。さらに、溝または穴を選択的に埋め込む
ことができることにより、材料の無駄がなく、材料を有
効利用することができる。また、埋め込みに用いられる
物質は基板と同一であっても異なってもよいので、微小
構造体の作製に必要な材料の選択の幅が広い。しかも、
溝または穴とそれに埋め込まれる物質との界面のプロフ
ァイルは階段状とすることができる。
【0018】上述のように構成されたこの発明による微
小構造体の作製方法によれば、上述と同様に、基本的に
は基板の加工と溝または穴の埋め込みとの二つの工程か
ら成る単純なプロセスによる簡便な方法で微小構造体を
作製することができ、埋め込みに用いられる物質を液相
エピタキシャル成長法などのエピタキシャル成長法によ
り形成することによりほぼ平坦な表面を得ることがで
き、溝または穴を選択的に埋め込むことができるので材
料を有効利用することができ、埋め込みに用いられる物
質は基板と同一であっても異なってもよいので微小構造
体の作製に必要な材料の選択の幅が広く、さらに溝また
は穴とそれに埋め込まれる物質との界面のプロファイル
を階段状とすることができる。
【0019】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。なお、実施例の全図において、同一
または対応する部分には同一の符号を付す。
【0020】まず、一主面に溝が形成された基板上に膜
をエピタキシャル成長させた場合における溝埋め効果お
よび表面平坦化効果の溝幅依存性の測定結果について説
明する。ここで、この測定に用いた試料は、5mol%
MgOドープLiNbO3 から成る基板上に液相エピタ
キシャル成長(LPE)法によりLiNbO3 薄膜をエ
ピタキシャル成長させたものである。また、溝の加工
は、フォトリソグラフィー技術とArイオンミリングに
よるエッチング技術とを組み合わせた方法により行っ
た。
【0021】いま、図1に示すように、Wsub
sub 、Wfilmおよびdfilmにより各部の寸法を示すも
のとする。ここで、溝埋め特性を記述するパラメータと
して、α=dfilm/dsub 、β=Wfilm/Wsub および
γ=β/αを定義する。γは溝埋めのされやすさを示
し、これが大きいほど溝埋めがされやすいことを意味す
る。
【0022】図2はdsub =1.35μmであるときの
γの溝幅(Wsub )依存性の測定結果を示す。図2よ
り、γは溝幅が約5μm以下になると急激に増大し、溝
埋めおよび表面の平坦化がされやすいことがわかる。
【0023】図3および図4に、溝幅がそれぞれ11μ
mおよび3.5μmの溝1aが形成された5mol%M
gOドープLiNbO3 から成る基板1上にLPE法に
よりLiNbO3 薄膜2をエピタキシャル成長させた試
料の断面図を示す。図3および図4から明らかなよう
に、溝1aの幅が狭い方が溝埋め効果および表面平坦化
効果が大きく、溝1aの幅が3.5μmの図4の場合は
表面の平坦性は極めて良好であることがわかる。
【0024】図5はこの発明の第1実施例を示す。図5
に示すように、この第1実施例においては、5mol%
MgOドープLiNbO3 から成る基板1の一主面に溝
1aを二つ互いに近接して形成し、その上にLPE法に
よりLiNbO3 薄膜2をエピタキシャル成長させる。
【0025】この第1実施例によれば、基板1の主面に
溝1aが二つ互いに近接して存在している場合には、そ
れぞれの溝1aによる溝埋め効果および表面平坦化効果
が足し合わされる結果、表面平坦化はさらに進行する。
【0026】図6はこの発明の第2実施例を示す。図6
に示すように、この第2実施例においては、5mol%
MgOドープLiNbO3 から成る基板1の一主面に溝
1aを多数(この例では五つ)互いに近接して形成し、
その上にLPE法によりLiNbO3 薄膜2をエピタキ
シャル成長させる。
【0027】この第2実施例によれば、基板1の主面に
溝1aが多数互いに近接して存在している場合には、そ
れぞれの溝1aによる溝埋め効果および表面平坦化効果
が足し合わされる結果、表面平坦化はより一層進行し、
表面はほとんど完全に平坦化する。
【0028】図7はこの発明の第3実施例を示す。図7
に示すように、この第3実施例においては、5mol%
MgOドープLiNbO3 から成る基板1の一主面に溝
1aを多数(この例では五つ)互いに近接して形成し、
その上にLPE法によりLiNbO3 薄膜2をエピタキ
シャル成長させる。ただし、この場合、LPE法による
LiNbO3 薄膜2のエピタキシャル成長の時間は第2
実施例よりも短くする。
【0029】この第3実施例によれば、LPE法による
LiNbO3 薄膜2のエピタキシャル成長の時間が短い
ことにより、溝1aの部分にLiNbO3 薄膜2を選択
的に成長させることができ、しかも表面をほぼ平坦にす
ることができる。
【0030】なお、溝1aを形成するための加工は、フ
ォトリソグラフィー技術とArイオンミリングによるエ
ッチング技術とを組み合わせた方法以外の方法、例え
ば、走査トンネル顕微鏡(STM)による精密加工や電
子ビーム描画などの方法を用いることも可能である。
【0031】以上の第1実施例、第2実施例および第3
実施例によれば、基本的には基板1の加工と溝1aの埋
め込みとの二つの工程から成る単純なプロセスで簡便な
方法により微小構造体を作製することができ、しかもそ
の表面を平坦にすることができる。また、LPE法によ
りLiNbO3 薄膜2の成長を行っているので、溝埋め
に要する時間は数秒から数十秒と極めて短く、量産に適
している。また、基板1と溝1aに埋め込まれるLiN
bO3 薄膜2との界面のプロファイルは階段状になるた
め、設計を簡略化することができる。さらに、溝1aの
部分にのみLiNbO3 薄膜2の選択成長を行うことが
できることから、原料の有効利用が可能である。
【0032】なお、溝1aを形成するための加工にST
M加工などの微細加工技術を適用することにより、微小
構造体を作製する際に、光の回折限界による束縛から解
放される。
【0033】次に、この発明の第4実施例について説明
する。この第4実施例においては、5mol%MgOド
ープLiNbO3 から成る基板の研磨表面の上にLPE
法により厚さ5μmのLiNbO3 薄膜をエピタキシャ
ル成長させる。
【0034】図8は5mol%MgOドープLiNbO
3 から成る基板の研磨表面の原子間力顕微鏡像(AFM
像)を示し、図9はこの基板上にLPE法によりエピタ
キシャル成長させた厚さ5μmのLiNbO3 薄膜の表
面のAFM像を示す。図8および図9から明らかなよう
に、5mol%MgOドープLiNbO3 から成る基板
の研磨表面には数nm程度の高さの凹凸が存在するが、
この基板上にエピタキシャル成長された厚さ5μmのL
iNbO3 薄膜の表面はnmオーダーで平坦であり、エ
ピタキシャル成長前の基板表面に見られた凹凸が完全に
解消されていることがわかる。
【0035】このように、この第4実施例によれば、5
mol%MgOドープLiNbO3から成る基板の研磨
表面の上にLPE法によりLiNbO3 薄膜をエピタキ
シャル成長させているので、その研磨表面の凹部をこの
LiNbO3 薄膜により埋め込むことができ、これによ
って研磨表面をnmオーダーで平坦化することができ
る。
【0036】図10はこの発明を光導波路装置に適用し
た第5実施例を示す。図10に示すように、この第5実
施例による光導波路装置においては、基板1の一主面の
光導波路形成部に断面形状が矩形の溝1aが形成され、
この主面上に平坦な表面を有するエピタキシャル成長層
から成るLiNbO3 薄膜2が形成されている。このL
iNbO3 薄膜2は、有効な不純物を含まないもので
も、有効な不純物を含むものでもよい。この有効な不純
物としては、例えばMg、Zn、Sc、Fe、Na、T
i、Er、Ndなどが挙げられる。また、この有効な不
純物の含有量は例えば20mol%程度以下であり、典
型的には0.1〜数mol%である。
【0037】ここで、基板1としては、LiNbO3
膜2のエピタキシャル成長が可能なものが用いられ、具
体的には、LiNbO3 、MgOドープLiNbO3
LiTaO3 、Al2 3 (サファイヤ)などから成る
ものが用いられる。
【0038】この第5実施例による光導波路装置におい
ては、溝1aの部分以外の部分のLiNbO3 薄膜2の
厚さd1 は光導波カットオフ厚さ以下に設定され、また
溝1aの部分のLiNbO3 薄膜2の厚さd2 は光導波
カットオフ厚さよりも大きく設定されており、これによ
って溝1aの部分のLiNbO3 薄膜2だけに光導波機
能を持たせている。従って、この溝1aの部分のLiN
bO3 薄膜2が光導波路3となっている。
【0039】上記の光導波カットオフ厚さは、光導波路
中を導波されるモードがTEモードである場合とTMモ
ードである場合とで異なる。一般に、TEモードの光導
波カットオフ厚さdC.O.TEは次式を解くことによって求
められる。
【0040】 k0 C.O.TE(nf 2 −ns 2 1/2 = tan-1(aE 1/2 ) (1a) aE =(ns 2 −nc 2 )/(nf 2 −ns 2 ) (1b)
【0041】また、一般に、TMモードの光導波カット
オフ厚さdC.O.TMは次式を解くことによって求められ
る。
【0042】 k0 C.O.TM(nf 2 −ns 2 1/2 = tan-1(aM 1/2 ) (2a) aM =(nf /nc 4 {(ns 2 −nc 2 )/(nf 2 −ns 2 )}(2b) ここで、ns 、nf およびnc はそれぞれ基板1、Li
NbO3 薄膜2およびクラッド層(この例では空気層)
の屈折率であり、k0 =2π/λ(ただし、λは真空中
の光の波長)である。
【0043】例えば、5mol%MgOドープLiNb
3 から成る基板1上にLi/Nb比が1のLiNbO
3 薄膜2をエピタキシャル成長させて光導波路3を形成
し、この光導波路3中を波長633nmでTEモードを
導波させる場合の光導波カットオフ厚さdC.O.TEは、n
s =2.276、nf =2.287、nc =1(クラッ
ド層が空気層である場合)とすると、0.7μm程度で
ある。従って、この場合、d1 は0.7μm以下に設定
する必要があり、好ましくはd1 は0に近い値に設定さ
れる。また、d2 は0.7μmよりも大きな値に設定す
る必要がある。なお、この系以外の系についても、同様
な計算が可能であり、d1 、d2 の範囲は限定される。
【0044】一方、光導波路3の幅を決定する溝1aの
幅Wに関しては、基本的に制限はなく、必要に応じて選
ぶことが可能である。同様に、d2 の上限についても、
基本的には制限はない。
【0045】しかしながら、光導波路3中に存在するモ
ードの数を制限しようとする場合には、W、d2 の値は
以下のように限定される。
【0046】すなわち、光導波路3中に複数のモードが
存在していると、モード間干渉などにより光導波路装置
の性能が劣化するため、TEモード、TMモードともに
単一モードであることが望ましい。従って、この単一モ
ードを得るために、W、d2の値は限定される。
【0047】d1 が極めて0に近い場合、TEモード、
TMモードともに単一モードにするためのd2 の範囲は
次式で与えられる。 tan-1(a1/2 )<k0 2 (nf 2 −ns 2 1/2 <π+ tan-1(a1/2 ) (3) ここで、TEモードに対してa=aE 、TMモードに対
してa=aM である。
【0048】さらに、 (3)式を満足するそれぞれのd2
に対し、Wは次式を満足する範囲内の値でなくてはなら
ない。 0<W/d2 ≦π/(b1/2 1 ) (4a) V1 =k0 2 (nf 2 −ns 2 1/2 (4b) b=(N2 −ns 2 )/(nf 2 −ns 2 ) (4c) ここで、Nはaを無限大としたときの等価屈折率であ
る。
【0049】例えば、5mol%MgOドープLiNb
3 から成る基板1上にLi/Nb比が1のLiNbO
3 薄膜2をエピタキシャル成長させてアスペクト比W/
2が2の光導波路3を形成し、この光導波路3中を波
長633nmでTEモードを導波させるとし、またd1
が極めて0に近いとし、かつns =2.276、nf
2.287、nc =1とすると、W、d2 の範囲はそれ
ぞれ、1.4μm<W<2.4μm、0.7μm<d2
<1.4μmとなる。なお、この系以外の系について
も、あるいはアスペクト比W/d2 が2以外の値である
場合についても、一般には、上述の (3)、(4a)、(4b)、
(4c)式によってW、d2 の範囲は限定される。
【0050】次に、この第5実施例による光導波路装置
の製造方法について説明する。図11Aに示すように、
まず、例えばLiNbO3 あるいは有効な不純物を含む
LiNbO3 のエピタキシャル成長が可能な基板1を用
意する。
【0051】次に、図11Bに示すように、この基板1
の一主面の光導波路形成部に所定の溝加工を施して溝1
aを形成する。具体的には、この溝1aは、例えば光導
波路形成部に対応する部分が開口したレジストパターン
(図示せず)を基板1上にリソグラフィーにより形成
し、このレジストパターンをマスクとして基板1を例え
ばArイオンミリング法や反応性イオンエッチング(R
IE)法により所定深さだけエッチングすることにより
形成することができる。
【0052】次に、図11Cに示すように、LPE法に
より、LiNbO3 あるいは有効な不純物を含むLiN
bO3 を基板1の主面上にエピタキシャル成長させてL
iNbO3 薄膜2を形成する。このLPE法によるエピ
タキシャル成長においては、LiNbO3 薄膜2の厚さ
は、溝1aの部分以外の部分の厚さd1 が光導波カット
オフ厚さ(dC.O.TEまたはdC.O.TM)以下になり、溝1
aの部分の厚さd2 が光導波カットオフ厚さ(dC.O.TE
またはdC.O.TM)よりも大きくなるように、成長条件が
設定される。また、このLPE法によるエピタキシャル
成長の際のフラックスとしては、例えば、Li2 O−B
2 3 あるいはLi2 O−V2 5 を基本としたものが
好適に用いられる。より詳細には、このLPE法による
エピタキシャル成長の際のフラックスとしては、Li2
O−B2 3 あるいはLi2 O−V2 5 のほか、これ
に加えて例えばWO3 、MoO3 、Na2 O、K2 O、
PbOなどのうちの一種または複数種を含んだ複合フラ
ックスを用いることもできる。以上により、目的とする
光導波路装置が完成される。
【0053】図12および図13は、LPE法による成
長後にそれぞれ1℃/分および50℃/分の冷却速度で
室温まで冷却したLiNbO3 薄膜2の表面のAFM像
である。図12および図13から明らかなように、冷却
速度の速い図13の場合にはLiNbO3 薄膜2の表面
全体にホール(孔)が形成されているのに対して、冷却
速度の遅い、すなわち徐冷処理を行った図12の場合は
LiNbO3 薄膜2の表面はnmオーダーで平坦であ
り、表面モフォロジーは良好である。従って、このこと
から、LPE法によるLiNbO3 薄膜2の成長後は、
このLiNbO3薄膜2によって溝1aが埋められるか
埋められないかにかかわらず、50℃/分未満の冷却速
度で徐冷を行うのが好ましいことがわかる。
【0054】以上のように、この第5実施例によれば、
溝1aが形成された基板1の一主面上にLPE法により
LiNbO3 薄膜2を形成することによりこの溝1aの
部分に3次元の光導波路3を形成しているので、光導波
路3の屈折率分布を階段状にすることができる。このた
め、光導波路の設計を大幅に簡略化することができ、様
々な用途に対して最適な形状を容易に決定することがで
きる。
【0055】また、溝1aの幅と深さとはそれぞれある
程度任意に変えることができることから、光導波路3の
幅と厚さとを独立に制御することができ、従って光導波
路の設計の自由度を大きくすることができるという利点
がある。
【0056】さらに、LPE法により形成されるLiN
bO3 薄膜2の表面は最終的に平坦化するので、光導波
路3の部分にのみ電極を設けたり、さらに多層膜を積層
したりするなどの、光導波路3の形成後のプロセスを良
好に実行することができ、これによってさらに高機能の
光導波路装置の実現が可能となる。
【0057】また、LPE法による成長後にLiNbO
3 薄膜2を徐冷することにより、このLiNbO3 薄膜
2の表面にホールが形成されるのを防止することがで
き、これによって光導波路3における光の散乱因子を除
去し、伝播損の低減を図ることが可能であり、さらには
これらのホールに起因する断線を防止することができる
など、光導波路3の形成後のプロセスの信頼性を高める
ことができる。
【0058】以上、この発明の実施例について具体的に
説明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるも
のではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形
が可能である。
【0059】例えば、上述の第1実施例、第2実施例お
よび第3実施例においては、5mol%MgOドープL
iNbO3 から成る基板1とLiNbO3 薄膜2とによ
る微小構造体にこの発明を適用した場合について説明し
たが、この発明は、基本的には基板と埋め込み用の物質
との任意の組み合わせによる微小構造体に適用すること
が可能である。
【0060】また、上述の第5実施例においては、Li
NbO3 薄膜2を用いて光導波路3を形成しているが、
LiNbO3 薄膜2以外の誘電体結晶薄膜を用いて光導
波路3を形成してもよい。
【0061】なお、基板と埋め込み用の物質との組み合
わせとしては、場合によっては、単結晶基板と非晶質薄
膜との組み合わせや非晶質基板と非晶質薄膜との組み合
わせなどを用いてもよい。さらに、埋め込み用の膜の成
長には、スパッタリング法、レーザアブレーション法、
ゾルゲル法などの他の方法を用いてもよい。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による微
小構造体によれば、ほぼ平坦な表面を有し、簡便な方法
により単純なプロセスでしかも材料を有効利用しつつ作
製することができ、材料選択の幅が広く、かつ界面のプ
ロファイルが階段状の微小構造体を実現することができ
る。この発明による微小構造体の作製方法によれば、ほ
ぼ平坦な表面を有し、材料選択の幅が広く、かつ界面の
プロファイルが階段状の微小構造体を簡便な方法により
単純なプロセスでしかも材料を有効利用しつつ作製する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一主面に溝が形成された基板上にLPE法によ
りLiNbO3 薄膜をエピタキシャル成長させた場合に
溝がどの程度埋められるかについての測定結果を説明す
るための略線図である。
【図2】溝埋め特性を記述するパラメータγの溝幅依存
性の測定結果の一例を示すグラフである。
【図3】一主面に溝が形成された基板上にLPE法によ
りLiNbO3 薄膜をエピタキシャル成長させた場合に
溝が埋められる様子が溝幅によってどのように変化する
かを説明するための断面図である。
【図4】一主面に溝が形成された基板上にLPE法によ
りLiNbO3 薄膜をエピタキシャル成長させた場合に
溝が埋められる様子が溝幅によってどのように変化する
かを説明するための断面図である。
【図5】この発明の第1実施例を説明するための断面図
である。
【図6】この発明の第2実施例を説明するための断面図
である。
【図7】この発明の第3実施例を説明するための断面図
である。
【図8】5mol%MgOドープLiNbO3 から成る
基板の研磨表面の原子間力顕微鏡像を示す略線図であ
る。
【図9】5mol%MgOドープLiNbO3 から成る
基板上にLPE法によりエピタキシャル成長されたLi
NbO3 薄膜の表面の原子間力顕微鏡像を示す略線図で
ある。
【図10】この発明の第5実施例による光導波路装置を
示す断面図である。
【図11】この発明の第5実施例による光導波路装置の
製造方法を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第5実施例による光導波路装置の
製造方法においてLPE法による成長後に1℃/分の冷
却速度で室温まで冷却した後のLiNbO3 薄膜の表面
の原子間力顕微鏡像を示す略線図である。
【図13】この発明の第5実施例による光導波路装置の
製造方法においてLPE法による成長後に50℃/分の
冷却速度で室温まで冷却した後のLiNbO3 薄膜の表
面の原子間力顕微鏡像を示す略線図である。
【符号の説明】
1 基板 1a 溝 2 LiNbO3 薄膜 3 光導波路

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一主面に微小な凹凸が存在する基板の凹
    部がエピタキシャル成長法により形成された上記基板と
    同一または異なる物質により埋め込まれており、かつ上
    記物質の表面はほぼ平坦であることを特徴とする微小構
    造体。
  2. 【請求項2】 上記凹凸は上記一主面に複数の微小な溝
    および/または穴が互いに隣接して設けられていること
    によるものであることを特徴とする請求項1記載の微小
    構造体。
  3. 【請求項3】 上記溝および/または穴の幅または直径
    は100μm以下であることを特徴とする請求項2記載
    の微小構造体。
  4. 【請求項4】 上記溝および/または穴の幅または直径
    は10μm以下であることを特徴とする請求項2記載の
    微小構造体。
  5. 【請求項5】 上記溝および/または穴の間隔は500
    μm以下であることを特徴とする請求項2記載の微小構
    造体。
  6. 【請求項6】 上記溝および/または穴の間隔は100
    μm以下であることを特徴とする請求項2記載の微小構
    造体。
  7. 【請求項7】 上記溝および/または穴の深さは100
    0μm以下であることを特徴とする請求項2記載の微小
    構造体。
  8. 【請求項8】 上記溝および/または穴の深さは200
    μm以下であることを特徴とする請求項2記載の微小構
    造体。
  9. 【請求項9】 上記基板はLiNbO3 のエピタキシャ
    ル成長が可能な基板であり、上記物質はLiNbO3
    あることを特徴とする請求項1記載の微小構造体。
  10. 【請求項10】 上記エピタキシャル成長法は液相エピ
    タキシャル成長法であることを特徴とする請求項1記載
    の微小構造体。
  11. 【請求項11】 一主面に微小な凹凸が存在する基板上
    に上記基板と同一または異なる物質を、上記基板の凹部
    が上記物質により埋め込まれ、かつ上記物質の表面がほ
    ぼ平坦となるようにエピタキシャル成長法により形成す
    るようにしたことを特徴とする微小構造体の作製方法。
  12. 【請求項12】 上記基板はLiNbO3 のエピタキシ
    ャル成長が可能な基板であり、上記物質はLiNbO3
    であることを特徴とする請求項11記載の微小構造体の
    作製方法。
  13. 【請求項13】 上記エピタキシャル成長法は液相エピ
    タキシャル成長法であることを特徴とする請求項11記
    載の微小構造体の作製方法。
  14. 【請求項14】 上記液相エピタキシャル成長法は短時
    間液相エピタキシャル成長法であることを特徴とする請
    求項13記載の微小構造体の作製方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000305117A (ja) * 1999-02-19 2000-11-02 Fuji Xerox Co Ltd 光デバイス、光デバイスの駆動方法、及び光デバイスの製造方法
JP2001044463A (ja) * 1999-07-27 2001-02-16 Canon Inc 太陽電池およびその製造方法

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