JPH081009B2 - 合成樹脂製特殊モノフィラメントの製造方法 - Google Patents

合成樹脂製特殊モノフィラメントの製造方法

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JPH081009B2
JPH081009B2 JP62252010A JP25201087A JPH081009B2 JP H081009 B2 JPH081009 B2 JP H081009B2 JP 62252010 A JP62252010 A JP 62252010A JP 25201087 A JP25201087 A JP 25201087A JP H081009 B2 JPH081009 B2 JP H081009B2
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JP62252010A
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栄治 中島
功明 板倉
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Ube-Nitto Kasei Co Ltd
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Ube-Nitto Kasei Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は合成樹脂製特殊モノフィラメントの製造方法
に関する。本発明により得られる合成樹脂製特殊モノフ
ィラメントは撚り合せ加工によりロープや漁網を製造す
るために用いられる。
[従来技術とその問題点] 合成樹脂製繊維を撚り合せてロープや漁網に用いる場
合、比較的太デニールの特殊モノフィラメントを撚り合
せたものは、細い単糸をマルチフィラメントとして多数
合撚したものに比べて、以下に示すような特徴がある。
すなわち、太デニールの特殊モノフィラメントを撚り
合せると、その際に繊維に加わる外力によって、表皮に
覆われた内部構造が微細繊維化(フィブリ化)して、ラ
ンダムな太さの細い繊維の集合体のような構造となり、
あたかも細いマルチフィラメントを撚った場合と同じよ
うに、撚り加工後のヤーンやストランドは、表面の凹凸
が少い滑かな状態となる。
また、撚り加工された特殊モノフィラメントの表面は
平滑な表皮で覆われているため耐摩耗性が良好であっ
て、マルチフィラメントを合撚したもののように、摩擦
によって表面の細かいフィラメントが切断して毛羽立ち
が生ずることもない。
さらに、比較的太い特殊モノフィラメントを用いるこ
とは、原糸の製造時および撚り加工の工程が簡素化、合
理化できる利点もある。
上述した如き特質を有する太デニールの特殊モノフィ
ラメントは、ポリオレフィン系の樹脂を原料として、例
えば、ポリプロピレンを90〜60重量%、高密度ポリエチ
レンを10〜40重量%として、これらを溶融混練して、ノ
ズルより押出された線状物を7〜10倍程度に延伸するこ
とで製造されている。
このように、2種の異なるオリオレフィンを用いる
と、原料成分である結晶性高分子が延伸方向に分子配向
して繊維構造を構成する際に、異種高分子の界面が分離
してフィブリル化し易い構造となり、これによって上述
した如き内部構造の特殊モノフィラメントが得られる。
しかしながら上述の2種の異なるポリオレフィンを用
いて得られた特殊モノフィラメントの強度は5〜7g/デ
ニール程度であり、このような強度の特殊モノフィラメ
ントを用いて得られたロープや漁網はその強度が十分で
なく、ロープや漁網のユーザは更に高強度のロープや漁
網の出現を望んでいた。
特殊モノフィラメントの強度の向上は延伸倍率を上げ
ることにより理論的には達成できるが、上述のポリプロ
ピレンと高密度ポリエチレンの2成分系原料樹脂の場
合、10倍を超える延伸倍率で延伸を行なうことは難しか
った。その理由としては、溶融樹脂を押出して線条と際
に、線条内に真空泡が発生し、これが欠陥部分となって
延伸で繊維の切断が発生するからである。真空泡は、直
径数mmの太い線条を外部から冷却すると、温度降下と結
晶化の両方の過程で発生する容積収縮によって生ずる。
一方、この種の特殊モノフィラメントはロープや漁網
等に用いられることから耐摩耗性も要求されているが、
耐摩耗性は、延伸倍率を例えばポリプロピレンと高密度
ポリエチレンの2成分系原料樹脂の場合の最大許容延伸
倍率てある10倍に上げて強度を増加させると、逆に低下
する傾向がある。その理由は、延伸度合いを大きくする
と分子配向の度合いが増加し、上述したフィブリル化が
促進され、内部に発生した微細繊維間の結合力が低下し
て、摩擦によるフィブリル化した細繊維の切断と毛羽立
ちを促すことになるからである。
即ち、強度と耐摩耗性とは互い背反する関係にあっ
て、従来の製造方法ではこれらを同時に向上させること
が困難であり、ある程度の耐摩耗性を確保するために
は、延伸倍率を下げざるを得ず、そうすると強度が低下
してしまうというジレンマに遭遇してしまう。
[発明の目的] 従って本発明の目的は、従来の合成樹脂製特殊モノフ
ィラメントの製造方法欠点を解消し、強度及び耐摩耗性
を同時に満足し、更に柔軟性にも優れた合成樹脂製特殊
モノフィラメントの製造方法を提供することにある。
[発明の構成] 上記目的を達成し、強度及び耐摩耗性を同時に満足
し、更に柔軟性にも優れた合成樹脂製モノフィラメント
を製造するための本発明の方法は、ポリプロピレンと、
高密度ポリエチレンと、プロピレン−エチレンランダム
コポリマーからなる第3成分とを、ポリプロピレンが全
量の50〜70重量%、高密度ポリエチレンが全量の15〜25
重量%、そして高密度ポリエチレンと第3成分との合計
が全量の50〜30重量%であって、かつ第3成分が高密度
ポリエチレンに対して等量を超える量となるように混合
しついで、溶融混練して線条に押出した後、延伸し、さ
らにギヤローラ間を挿通することを特徴とする。
[実施例] 本発明者らは、ポリプロピレン(宇部興産(株)製10
3D、MI−3)と、高密度ポリエチレン(市販中低圧ポリ
エチレン、MI−1)と、エチレン含有率3重量%のプロ
ピレン−エチレンランダムコリマー(宇部興産(株)製
ポリプロRF355B)からなる第3成分との3成分からなる
原料樹脂混合物を表−1及び表−2に示すようにそれぞ
れの成分の比率を変えて調製し、約3000デニールの各種
の特殊モノフィラメントを試作した。
製造条件としては、溶融混練した原料樹脂混合物を線
条に押出した後、約13倍の全延伸倍率で延伸し、しかる
後、対になっているギヤローラ間を挿通して柔軟性を付
与し、更に表面に凹凸のある対ローラ間を挿通して、エ
ンボス成形を行ない、約3000デニールの特殊モノフィラ
メントとなるように成形した。延伸工程は2段とし1段
目は10.58倍の延伸倍率で2段目で全延伸倍率が13倍の
延伸倍率となるように各ロール速度を設定し、かつ、そ
れぞれの延伸工程に加熱炉を配置し、加熱炉内の温度
は、モノフィラメントの通過する位置で実測し、それぞ
れ100〜160℃になるように設定した。
ここで、全延伸倍率が15倍を超えると特殊モノフィラ
メントにクラックが発生し強度が低下することが判明し
ているので、本例においては延伸倍率として13倍を採用
した。またギアローラの速度は78m/min、圧力は0kg/c
m2、1.0kg/cm2、1.4kg/cm2及び1.8kg/cm2、エンボス成
形の成形速度は87m/min、成形圧力は0.5kg/cm2で行なっ
た。得られた各種の特殊モノフィラメントの物性値を表
−1及び表−2に示した。
第1表より明らかなように、ポリプロピレンの量が55
重量%、高密度オリエチレンの量が10重量%、高密度ポ
リエチレンと第3成分の合計量が45重量%である比較例
1の場合には、高密度ポリエチレンの量が少ないので、
直線強度が7.18g/deと強度が低く、またポリプロピレン
の量が65重量%、高密度ポリエチレンの量が10重量%、
高密度ポリエチレンと第3成分との合計量が35重量%で
ある比較例2の場合にも、高密度ポリエチレンの量が少
ないので、直線強度が6.99g/deと強度が低いのに対し、
ポリプロピレンの量が50〜70重量%、高密度ポリエチレ
ンの量が15〜25重量%、高密度ポリエチレンと第3成分
との合計量が50〜30重量%である実施例1〜8の場合に
は強度、伸度、剛軟度、耐摩耗性ともにすぐれた結果が
得られている。従って本発明においては、ポリプロピレ
ンが50〜70重量%、高密度ポリエチレンの量が15〜25重
量%、高密度ポリエチレンと第3成分との合計量が50〜
30重量%であることを第1の数値要件とする。
第2表には、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン及
び高密度ポリエチレンと第3成分の合計量の重量範囲が
上記の範囲内にあるが、上述の実施例1〜8と異なり、
高密度ポリエチレン(HDPE)と第3成分であるプロピレ
ン−エチレンランダムコポリマー(Copoly)の量比がHD
PE≧Copolyである比較例3〜4の場合の物性値が示され
ており、第2表より明らかなように、これらの比較例の
場合には、ギヤローラ挿通時の圧力を0kg/cm2から1.0kg
/cm2、1.4kg/cm2、1.8kg/cm2に順次上げると、剛軟度も
順次低下し柔軟性が付与されるが、直線強度が著しく低
下し、ギヤ成形圧力を0kg/cm2から1.4kg/cm2、そして1.
8kg/cm2に変化させた場合の直線強度保持率は比較例3
の場合、それぞれ91%、86%であり、比較例4の場合、
それぞれ91%、89%である。これに対して第1表より明
らかなように、HDPEとCopplyの量比がHDPE<Copolyであ
る実施例3の場合は、ギヤローラ挿通時の圧力を0kg/cm
2から1.0kg/cm2、1.4kg/cm2、1.8kg/cm2へ順次上昇させ
ると、剛軟度も順次低下し柔軟性が付与されるが、前記
比較例3〜4の場合と異なり、直線強度の低下は著しく
なく、ギヤ成形圧力を0kg/cm2から1.4kg/cm2、そして1.
8kg/cm2に変化させた場合の直線強度の保持率はそれぞ
れ94%、92%であって、比較例3〜4の場合よりも高
く、強度と柔軟性の両者を満足する特殊モノフィラメン
トが得られていることが明らかである。従って本発明に
おいては、第3成分が高密度ポリエチレンに対して等量
を超える量含有されていることを第2の数値要件とす
る。
上述の2つの数値要件、すなわちポリプロピレン量50
〜70重量%、高密度ポリエチレン15〜25重量%及び高密
度ポリエチレンと第3成分の合計量50〜30重量%を規定
する第1の数値要件及び第3成分が高密度ポリエチエン
に対して等量を超える量であることを規定する第2の数
値要件を満足する本発明の特殊モノフィラメントの範囲
を第1図の成分図で示すと、三角形ABCの斜線部分であ
り(但し直線BC上は含まず)、この範囲においてのみ、
強度、柔軟性、耐摩耗性の全てにすぐれた合成樹脂製特
殊モノフィラメントが得られる。
なお上述の実施例においては、全延伸倍率として13倍
を採用したが、これに限定されるものではなく、11〜15
倍の範囲で適宜選択することができる。15倍を超えると
特殊モノフィラメントにクラックが発生し、強度が低下
することは上述の通りであり、15倍以下に抑えるべきで
ある。
表−1及び表−2中の物性値は以下のようにして測定
した。
イ.直線強度…つかみ長300mm、引張強度300mm/minにし
て破断強力を読み、それをデニールで割って求めた。
ロ.直線伸度…破断した時の伸びを読んだ。
ハ.剛軟度…引き抜き法により支持長さ10mm、モノフィ
ラメント長80mmで最大荷重を読んだ。
ニ.耐摩耗性…各特殊モノフィラメントを6本づつ48回
/900mmの撚り数で撚ったヤーンを用い、ヤーンの端を固
定し他端に10kgの荷重を加え水平状態にし、円筒形の鉄
片をヤーンの側面に当接して125mmのストロークで1分
間100回の割合で摺動し、その外観比較を行なった。表
中、Aは良好、Cは不良を示す。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明により得られた合成樹脂
製特殊モノフィラメントは、強度及び耐摩耗性を同時に
満足し、かつ柔軟性にも優れているので、撚り合せてロ
ープや漁網に使用した際に極めて良好な特性を示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の特殊モノフィラメントの3種の原料の
組成範囲を示す成分図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリプロピレンと、高密度ポリエチレン
    と、プロピレン−エチレンランダムコポリマーからなる
    第3成分とを、ポリプロピレンが全量の50〜70重量%、
    高密度ポリエチレンが全量の15〜25重量%、そして高密
    度ポリエチレンと第3成分との合計が全量の50〜30重量
    %であって、かつ第3成分が高密度ポリエチレンに対し
    て等量を超える量となるように混合し、次いで溶融混練
    して線条に押出した後、延伸し、さらにギヤローラ間を
    挿通することを特徴とする合成樹脂製特殊モノフィラメ
    ントの製造方法。
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