JPH0798028B2 - 電磁調理用の電磁グリドル板並びに電磁調理器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電磁調理用の電磁グリ
ドル板並びに電磁調理器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】例えば
焼き肉などの料理に使用する電磁調理用の電磁グリドル
板は、従来単なる鉄製の板材で、電磁加熱性や保温性な
どの点から厚さ１６mm〜２０mm程度の非常に厚い鉄板で
あった。

【０００３】そのため、重量があり取り扱いにくいだけ
でなく、電磁作用によって良好に加熱する磁性材である
が、銅などの熱伝導良好材に比して鉄は熱伝導性が悪
く、上面を均一に熱することができない欠点を有し、ま
た保温性に劣るため上述のように厚く製作せざるを得な
い。

【０００４】一方、従来の電磁調理器において、電磁グ
リドル板を取り外すと調理鍋などを加熱する通常の電磁
調理器として使用できるものはない。

【０００５】本発明は、このような問題点に着目し、電
磁作用による良好な加熱作用を維持すると共に、調理面
である上面を均一に熱することができ、この上面が冷め
にくく、傷みにくい極めて秀れた電磁調理用の電磁グリ
ドル板を提供すること並びにに、電磁グリドル板を取り
外すと調理鍋などを加熱する通常の電磁調理器として使
用できる電磁調理器を提供することを目的としたもので
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。

【０００７】少なくとも最下層１を磁性材で構成し、最
上層２を金属保護材で構成し、中間層３を熱伝導良好材
で構成したものであって、前記各素材１,２,３を爆発圧
着法により圧着した複層クラッド板Ａに構成したことを
特徴とする電磁調理用の電磁グリドル板に係るものであ
る。

【０００８】電磁加熱部４の上面部に請求項１記載の電
磁グリドル板 (複層クラッド板Ａ）をその最下層１を下
面部にして着脱自在に配設したことを特徴とする電磁調
理器に係るものである。

【０００９】

【作用】少なくとも最下層１は磁性材で構成されている
ため、電磁加熱部４による電磁作用により発熱する。

【００１０】この発熱は、中間層３により伝導されるた
め、複層クラッド板Ａ上面６全面を均一に熱することと
なる。

【００１１】また、少なくとも最上層２は金属保護材で
構成されているため、調理面となる複層クラッド板Ａ上
面６の保護作用を発揮する。

【００１２】一方、このような理想的な複層構造を単な
る圧延、溶接、あるいは接着剤などによって重合成形し
たのでは、電磁グリドル板として使用すると、熱などの
影響で容易に剥離してしまい実用化不能である。

【００１３】本発明は、この点を爆発圧着法により各素
材１,２,３を重合圧着して、前述のような理想的な作用
を奏する複層クラッド板Ａに構成し、実用化を実現して
いる。この爆発圧着法の概要は、以下の通りである。

【００１４】被合わせ材の上に合わせ材を間隙をもたせ
て重ね、この合わせ材の上部全面に爆薬をセットする。

【００１５】この爆薬を一端から起爆させると、爆発の
高エネルギーにより、合わせ材は被合わせ材上面に高速
駆動され、衝突面からメタルジェットを発生させながら
圧着が進行する。

【００１６】この爆発圧着は瞬時に完了する。従って、
爆発熱が金属材料に伝わる余裕がないため、純然たる冷
間圧着といえる。又、爆発圧着はその圧着界面がさざ波
状を呈することが特徴である。

【００１７】

【実施例】本実施例は、中間層３を一層とした三層構造
としている。

【００１８】最上層２ (第１層）は厚さ１ｍｍ程度の磁
性ステンレス鋼 (金属保護材)を採用し、中間層３ (第
２層）は厚さ６ｍｍ程度の銅 (熱伝導良好材）を採用
し、最下層１ (第３層）は厚さ２ｍｍ程度の鉄 (磁性
材）を採用している。

【００１９】この各層１,２,３を順次前述の爆発圧着法
により圧着形成し、厚さ１０ｍｍ弱の電磁グリドル板
(複層クラッド板Ａ）としている。

【００２０】従って、従来の電磁グリドル板のほぼ半分
以下の厚みとなり、加熱しても剥離しない軽量な電磁グ
リドル板となる。

【００２１】また、本実施例では、特に最上層２に磁性
ステンレス鋼を採用しているため、上面６が傷つきにく
く、さびにくい電磁グリドル板となり、上面保護作用が
極めて向上する。また、最上層２も磁性材としているた
め、最上層２自体も発熱し、調理面となる複層クラッド
板Ａ上面６の保温性が向上する。

【００２２】本発明は本実施例に限られるものではな
く、三層に限らず多層構造としても良いし、各層の材料
の選定も適宜変更し得るもので、例えば中間層３として
採用する熱伝導良好材としてアルミや磁性材であるチタ
ンなどを選定しても良いし、また最下層１にも磁性ステ
ンレス鋼を採用しても良い。

【００２３】また、本発明における磁性材の一例とし
て、鉄、磁性ステンレス鋼を選定例として挙げている
が、この磁性材は電磁調理器の電磁加熱部４の電磁作用
により発熱する材料を指すものである。この発熱作用
は、電磁調理器の発熱原理であって、電源部より供給さ
れる電力によりコイル部 (電磁加熱部４）で高周波磁束
を生じ、このコイル部の上部にセラミックプレート７を
配し、このセラミックプレート７上に電磁グリドル板を
載せ、この電磁グリドル板に前記高周波磁束によって渦
電流を発生させる。この渦電流は電磁グリドル板の固有
抵抗によってジュール熱を発生させてこの電磁グリドル
板のみを加熱させるものである。

【００２４】また、図１．図２は請求項２記載の発明に
係る実施例を図示している。

【００２５】図１に示す本実施例は、前述の電磁グリド
ル板 (複層クラッド板Ａ）を、前述の電磁調理器の電磁
加熱部４(コイル部）上の載置面部(セラミックプレート
７)上に取り外し自在にセットできるように構成してい
る。

【００２６】この電磁調理器は食卓テーブル５に組み込
んでおり、電磁グリドル板 (複層クラッド板Ａ）を取り
付けると、焼き肉などの鉄板料理ができ、電磁グリドル
板 (複層クラッド板Ａ）を取り外すと、電磁加熱部４上
に配したセラミックプレート７が表れ、この電磁加熱部
４上に鍋 (磁性材で構成した鍋）などを載せると、鍋の
みが加熱される通常の電磁調理器として使用できるもの
である。また、このように通常の電磁調理器として使用
する場合に電磁グリドル板 (複層クラッド板Ａ）の代わ
りに電磁加熱部４上部を残し、セラミックプレート７
(複層クラッド板Ａのセット面）を隠蔽し、テーブル面
積を広げるテーブル補助隠蔽パネルを載置できるように
構成しても良い。

【００２７】また、図２は載置タイプの電磁レンジ８の
電磁加熱部４上に同様に電磁グリドル板(複層クラッド
板Ａ)を取り外し自在にセットしたものである。図中符
号９はスイッチ部、１0は脚部、１1は縁枠である。

【００２８】

【発明の効果】本発明は上述のように構成したから、以
下のような効果を発揮する。

【００２９】１．少なくとも最下層を磁性材で構成した
から、電磁加熱部による電磁作用により発熱し、従来ど
おり本来の発熱機能を発揮する。

【００３０】２．中間層を熱伝導良好材で構成したか
ら、少なくとも最下層で発生した熱が調理面である複層
クラッド板上面に良好に伝導されるため、複層クラッド
板上面全体が迅速にして均一に熱せられることとなる。

【００３１】３．最上層を金属保護材で構成したから、
腐食し易い中間層を保護し、調理面となる複層クラッド
板上面をさびにくく傷つきにくいものとし、上面を保護
すると共に、実施例のように構成すれば調理面であるこ
の上面の保温性が向上し、その結果従来例に比して薄い
電磁グリドル板に構成できる。

【００３２】４．また、各層の重合成形手段を単なる圧
延手段、溶接手段あるいは接着手段ではなく、爆発圧着
法により圧着する構成としたから、前記１〜３記載の秀
れた効果を発揮する電磁グリドル板の実用化に成功し
た。

【００３３】即ち、発熱しても各層が剥離しにくく、従
来例に比して薄く成形でき、軽量な秀れた電磁グリドル
板が提供できることとなる。

【００３４】５．請求項２記載の発明においては、電磁
グリドル板を取り外すと調理鍋などを加熱する通常の電
磁調理器として使用でき、極めて実用性に秀れ、商品価
値の高い電磁調理器となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例のテーブル組み込みタイプの分解斜視
図である。

【図２】本実施例の電磁レンジタイプの正面図である。

【図３】本実施例の電磁グリドル板(複層クラッド板)要
部の断面図である。

【符号の説明】

１ 最下層 ２ 最上層 ３ 中間層 ４ 電磁加熱部 Ａ 複層クラッド板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも最下層を磁性材で構成し、最
   上層を金属保護材で構成し、中間層を熱伝導良好材で構
   成したものであって、前記各素材を爆発圧着法により圧
   着した複層クラッド板に構成したことを特徴とする電磁
   調理用の電磁グリドル板。
2. 【請求項２】 電磁加熱部の上面部に請求項１記載の電
   磁グリドル板をその最下層を下面部にして着脱自在に配
   設したことを特徴とする電磁調理器。