JPH0797397A - 新規ペプチド及びそれを用いた血小板凝集抑制剤 - Google Patents

新規ペプチド及びそれを用いた血小板凝集抑制剤

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JPH0797397A
JPH0797397A JP6139107A JP13910794A JPH0797397A JP H0797397 A JPH0797397 A JP H0797397A JP 6139107 A JP6139107 A JP 6139107A JP 13910794 A JP13910794 A JP 13910794A JP H0797397 A JPH0797397 A JP H0797397A
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peptide
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JP6139107A
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Yoshimi Sato
吉美 佐藤
Yoshio Hayashi
良雄 林
Atsushi Katada
淳 片田
Kozo Takiguchi
好三 瀧口
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血小板凝集抑制力に優れ、かつ天然ペプチド
に可能な限り近い構造と、体内において吸収され易い構
造とを併せ持ち、生体内に投与した場合、適度な薬効時
間を示し、その後は速やかに代謝され消失する、安全性
に優れた特性を持つペプチド、及び当該ペプチドを有効
成分とする血小板凝集抑制剤の提供。 【構成】 N末端にグアニジノ基及びアミジノ基を付加
することによって、安定性を増した血小板凝集抑制機能
を有するRGDペプチド、及び当該ペプチドを有効成分
として含有する血小板凝集抑制剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血小板凝集抑制作用を
有する新規ペプチド、及び当該ペプチドを有効成分とす
る血小板凝集抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】血液中において、血小板は、損傷した血
管の表面に吸着して、出血を防止するという大きな役割
を演じている。しかしながら、病的な環境下において
は、血小板の凝集は血液凝固の引き金となり、これによ
り生じた血栓が原因で血管が閉塞することが知られてい
る。そして、この閉塞により、組織若しくは臓器への、
酸素や栄養分の十分な供給が妨げられ、これが心筋梗塞
や脳卒中に代表される循環器の虚血性疾患の重大な原因
となっている。今日において、かかる虚血性疾患は癌に
次ぐ死亡率を示し、大きな社会問題になっている。
【0003】外科手術時においても、血管や組織の損傷
により血栓が形成され脳梗塞等の原因となることがあ
る。また、人工心臓や透析のように、体外への血液の循
環を伴う医学的処置においては、血液が体外で循環する
際にも血栓が形成されることがあり、上記と同様の問題
が生じ得る。よって、これらの血栓の形成を防止するこ
とは、上記虚血性疾患の発生を防止するためには非常に
重要な事項である。
【0004】ところで、血小板は、血管損傷等により露
出される内皮下組織に存在するコラーゲン等の結合組織
蛋白質や血漿中に存在するトロンビン等の血小板膜受容
体への結合によって活性化される。また、血小板内に存
在するアデノシンジフォスフェイト (ADP)、アドレナリ
ン、セロトニン、トロンボキサン (TX)A2 等の放出によ
る自己分泌的な膜受容体への結合によっても活性化され
る。そして、フィブリノーゲン受容体を構成する2種の
糖蛋白質ユニットが細胞表面に提示され、会合し、受容
体複合体 (gpIIbIIIa) を形成することによって、
フィブリノーゲン架橋を介する凝集が惹起される。
【0005】かかるgpIIb及びgpIIIaを先天的に
欠如した血小板無力症 (thrombasthenia) においては、
血小板凝集能が認められない。よって、gpIIbIIIa
複合体のフィブリノーゲンとの結合が血小板凝集におい
て必須であることは明らかである (Ruoslahti et al.,
Science, 238, 491(1987))。上記のgpIIbIIIa複合
体の性質に着目して、血小板の凝集を抑制して血栓の生
成を妨げようとする試みがなされている。
【0006】例えば、コラー (Coller) らは、gpIIb
IIIa複合体に対するモノクローナル抗体のF(ab')2
ラグメントに強力な血小板凝集抑制作用があることを報
告しており (Blood, 68, 783, (1988)) 、かかる作用を
利用して、血小板凝集抑制剤の開発が可能であることを
明らかにしている。しかしながら、当該モノクローナル
抗体は、血小板凝集を抑制する治療薬としての潜在性は
認められるが、それ自体が高分子蛋白であるため、繰り
返し投与する場合は、当該モノクローナル抗体自体に作
用する抗体の産生が懸念される。
【0007】従って、gpIIbIIIa複合体に対するア
ンタゴニストとしての性質を有し、かつ免疫原性のない
低分子化合物である血小板凝集抑制剤の開発が期待され
ている。また、gpIIbIIIa複合体とフィブリノーゲ
ンの結合に関する研究も精力的に行われている。すなわ
ち、 Ruoslahtiらによる一連の研究により導かれた、細
胞接着分子に共通のアミノ酸配列である、アルギニン−
グリシン−アスパラギン酸(以下、RGDと略す)の発
見 (Ruoslahti et al., Nature, 309, 30-33(1984)) に
始まって、RGD配列を認識するレセプターの研究によ
り、今日ではgpIIbIIIa複合体は、RGD配列を認
識するインテグリンファミリーに属する受容体であり
(Philllips et al., Blood, 71, 831-843(1988)) 、当
該複合体とフィブリノーゲンとの結合においては、特に
フィブリノーゲン分子中に存在する二つのRGDF配列
を認識して結合することが明らかにされている (Andrie
ux etal., J. Biol. Chem., 264, 9258-9265(1989))。
【0008】さらに、フィブリノーゲンと同様にRGD
配列を有する、フォンビルプラント因子、フィブロネク
チン、ビトロネクチンやトロンボスポンジンもgpIIb
IIIa複合体と結合することが知られている (Pytela et
al., Science., 231, 1559(1998)あるいは、Cell, 42,
439, (1985))。かかる知見から、RGD配列を含む合
成ペプチドがgpIIbIIIa複合体とフィブリノーゲン
の結合を抑制して血小板の凝集を抑制することが予想さ
れ、現実に、400 μM の合成ペプチドGRGDSPが、
ADP で活性化された血小板の凝集を完全に抑制したこと
が報告されている(Plow et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i.USA., 82, 8057-8061(1985)) 。また、RGDSで
は、46−50μM の濃度で濃度依存的に80−90%の血小板
の凝集を抑制することが判明しており、さらにペプチド
RGDFは、RGDSの4−5倍強い血小板凝集抑制活
性を示すことが判明している (Plow et al., Blood, 7
0, 110-115(1987) あるいは、Harfinest et al., 71, 1
32-136(1988))。
【0009】RGDペプチドを有するテトラペプチド誘
導体に関しては、特開平1-190699号公報、特開平2-6289
2 号公報、EPO 422937 AI 号、及び米国特許4952562 号
に記載されている。ペプチドからなる誘導体に関しては
さらに、特開昭63-215696 号公報に記載されている。ま
た、RGDペプチドの環状構造の誘導体については、特
開平3-118331号公報、及び特開平2-62892 号公報あるい
はWO 91 /01331 号公報に記載されている。
【0010】近年、高活性で安定性の優れた薬剤を開発
するため、RGDペプチドを構成するアミノ酸を、天然
には存在しない構造へ誘導した残基などで構成されるペ
プチドの合成研究が、盛んに行われている(Hartman et
al.,J.Med.Chem.,35,4640-4642(1992) :Callahan et
al.,ibid,35,3970-3972(1992))。このような化合物は蛋
白分解酵素による影響を受けやすい経口投与型の血小板
凝集抑制剤としては有用であるが、同時に非天然型への
誘導に伴う毒性の発現や、体内において薬剤が消失され
ずに蓄積されてしまうなどの副作用が予想され、安全性
についての問題が強く懸念されている。実際に体外循環
時において血栓形成を抑えるために使用されている生体
由来の医薬品であるヘパリンにおいても、その作用が適
度な作用時間を超えてしまい、出血し易くなるといった
重篤な副作用が報告されている(秋沢忠男ら、日本臨
床、43巻、377-391 頁(1985)) 。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を受けて、さらに血小板凝集抑制能力に優れ、かつ天
然ペプチドに可能な限り近い構造と、体内において吸収
され易い構造を併せ持ち、生体内に投与した場合、適度
な薬効時間を示し、その後は速やかに代謝され消失する
という、安全性に優れた特性を持つペプチド、及び当該
ペプチドを有効成分とする血小板凝集抑制剤の提供を課
題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題解決
のため鋭意研究を重ねた結果、RGD配列を有するペプ
チドのN末端アミノ酸のアミノ基に塩基性であるグアニ
ジノ基若しくはアミジノ基を有する構造を導入すること
で、天然のペプチドに可能な限り近い構造を保ったまま
で、その血小板凝集抑制活性が著しく上昇することを見
出した。また、当該塩基性基を有するカルボン酸をN末
端アミノ基に導入することは、本ペプチドのアミノペプ
チダーゼに対する耐性を上げ、生体内の安定性の向上に
つながることも見出した。さらに、当該塩基性基とN末
端アミノ酸との間に、アルキル鎖や芳香環、又はそれに
相当する疎水的な基を導入し、当該ペプチドの疎水性を
上げることで腸管等における本化合物の体内吸収を促進
させることを見出し、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明は以下の事項をその要旨
とするものである。 (1) 式(I) に示されるアミノ酸配列を有するペプチド又
はその塩
【0014】
【化4】 A−(B)m −Arg−Gly−Asp−C−D (I) 〔式中、Aはグアニジノ基又はアミジノ基を有する脂肪
族カルボン酸、芳香族カルボン酸、若しくは脂肪族基及
び芳香族基の両者を含むカルボン酸由来のアシル基;B
はアミノ酸残基;Cは疎水性基を有するアミノ酸残基;
及びDは-OH又は-NH2を示す、また、mは0〜3の整数を
示し、Bにおけるアミノ酸残基の個数を示す〕。
【0015】(2) Aの塩基性基が、式(II)に示す構造で
あることを特徴とする、前記(1) に記載されたペプチド
又はその塩。
【0016】
【化5】
【0017】〔式中、Yは-(CH2)pCO-若しくは-(CH2)qC
6H4CO-(式中、p 及びqは、それぞれ0〜8の整数であ
ることを示す)〕。 (3) Bのアミノ酸が、Trp−Z(式中、Zはセリン残
基、グリシン残基、バリン残基、又はβ−アラニン残基
であることを示す。)で示される、前記(1) 又は(2) に
記載されたペプチド若しくはその塩。
【0018】(4) 疎水性基を有するアミノ酸残基Cが、
Trp若しくはPheであることを特徴とする、前記
(1) 〜(3) のいずれかに記載されたペプチド又はその
塩。 (5) 式(III) に示されるアミノ酸配列を有するペプチド
又はその塩。
【0019】
【化6】
【0020】〔式中、Yは-(CH2)pCO-若しくは-(CH2)qC
6H4CO-(式中、p 及びqは、それぞれ0〜8の整数であ
ることを示す)、及びDは-OH又は-NH2を示す〕。 (6) 前記(1) 〜(5) のいずれかの請求項に記載された、
ペプチド若しくはその塩を有効成分としてなる血小板凝
集抑制剤。 以下、本発明について詳細に説明する。
【0021】Aは、グアニジノ基又はアミジノ基を有す
る脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸若しくは脂肪族
基及び芳香族基の両者を含むカルボン酸由来のアシル基
であり、このグアニジノ基又はアミジノ基の存在は本発
明化合物の血小板凝集抑制活性を大きく向上させてい
る。これは、当該塩基性基の存在によって分子自体が活
性発現に必須な立体構造を形成しやすくなる、あるいは
当該部分が受容体分子中の新たな酸性ポケットと相互作
用をすることにより、受容体との結合能力を高めるため
と推測される。
【0022】また、Aで示されるアシル基を構成するグ
アニジノ基又はアミジノ基を有する脂肪族カルボン酸、
芳香族カルボン酸若しくは脂肪族基及び芳香族基の両者
を含むカルボン酸は次のとおりである。脂肪族カルボン
酸としては、アルキル基、サイクロアルキル基を有する
カルボン酸を挙げることができる。従って、Aはグアニ
ジノアルキルカルボン酸、アミジノアルキルカルボン酸
を、グアニジノサイクロアルキルカルボン酸又はアミジ
ノサイクロアルキルカルボン酸で、具体的には、6-グア
ニジノカプロン酸、6-アミジノカプロン酸、5-グアニジ
ノ吉草酸、5-アミジノ吉草酸、7-グアニジノヘプタン
酸、7-アミジノヘプタン酸;グアニジノサイクロヘキシ
ルカルボン酸、アミジノサイクロヘキシルカルボン酸、
グアニジノメチルサイクロヘキシルカルボン酸、アミジ
ノメチルサイクロヘキシルカルボン酸、グアニジノサイ
クロヘキシル酢酸、アミジノサイクロヘキシル酢酸等を
挙げることができる。
【0023】芳香族カルボン酸としては、安息香酸等の
芳香環を有するカルボン酸、チアゾリンカルボン酸等の
ヘテロ環を有するカルボン酸等を挙げることができる。
すなわち、これらの環にグアニジノ基又はアミジノ基が
結合したものであればAとして許容される。また、脂肪
族と芳香族の両者を含むカルボン酸としては、フェニル
酢酸、フェニルプロピオン酸、ケイヒ酸、アルキル安息
香酸、アルキルフェニル酢酸等を挙げることができる。
従って、Aはこれらの構造にグアニジノ基又はアミジノ
基が結合したものであれば許容される。具体的には、グ
アニジノフェニル酢酸、アミジノフェニル酢酸、グアニ
ジノフェニルプロピオン酸、アミジノフェニルプロピオ
ン酸、グアニジノケイヒ酸、アミジノケイヒ酸、グアニ
ジノメチル安息香酸、アミジノメチル安息香酸、グアニ
ジノメチルフェニル酢酸、又はアミジノメチルフェニル
酢酸等を挙げることができる。
【0024】なおAは、生体内への吸収を考慮して、含
有する炭素数を変化させることで、その疎水性を調節す
ることができる。なお、Aが式 (II) で示される前記
(3) の化合物では、その塩基性官能基以外のカルボン酸
部分Yの疎水性は、p 又はqが0〜8の整数のものが好
ましく、特にアルキルカルボニル基の場合は5であるの
が好ましく、アルキルベンゾイル基の場合はアルキル部
が可能な限り低級のものがより好ましい。
【0025】Bは、活性の増強や安定性の向上等の効果
を発現する前記Aと、活性発現に必須な受容体認識部位
であるアルギニン残基の間に位置するスペーサーとして
の役割を果たすアミノ酸残基であるが、その残基数mは
Aが有効に作用する距離として、0〜3の整数が好まし
い。さらに好ましくは、mが2の整数のものであり、2
種のアミノ酸残基がTrp−Zからなる構造がより好ま
しい。ここでZは、隣接するアルギニンに対し、強い立
体障害を与えるおそれのないアミノ酸残基が好ましく、
具体的には、セリン残基、グリシン残基、バリン残基、
又はβ−アラニン残基等を挙げることができる。これら
のアミノ酸残基の中でも、得られる本発明ペプチドの血
小板凝集抑制活性を考慮すれば、特にセリン残基が好ま
しい。
【0026】Cは、受容体IIbIIIa 内の疎水性ポケット
と相互作用すると考えられる疎水的なドメインである。
すなわち、当該Cは疎水性基を有するアミノ酸残基であ
る必要がある。具体的には、例えばトリプトファン残
基、フェニルアラニン残基、又はチロシン残基を挙げる
ことができる。これらの中でもトリプトファン残基が特
に好ましい。Dは、-OH又は-NH2のいずれかであるが、-
OHの場合は-NH2の場合に比べ血小板凝集抑制活性が高い
傾向がある。本発明の具体的なペプチドとしては、例え
ば次のものが挙げられる。
【0027】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp
-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-T
rp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH,H2NC(=NH)NH(CH2)7CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)8CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)C6H4CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH, H2NC(=NH)NH(CH2) 3C6H4CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-T
rp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp
-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO-Trp-Ser-Arg-Gly-A
sp-Trp-OH,
【0028】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp
-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-T
rp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH,H2NC(=NH)NH(CH2)4CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)6CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,H2
NC(=NH)NH(CH2)7CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)8CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=
NH)NH(CH2)C6H4CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2
NC(=NH)NH(CH2) 3C6H4CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH, H2NC(=NH)NHC6H4CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)C6H4CO-Trp-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
【0029】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp
-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-T
rp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH,H2NC(=NH)NH(CH2)4CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)6CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,H2
NC(=NH)NH(CH2)7CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)8CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=
NH)NH(CH2)C6H4CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2
NC(=NH)NH(CH2) 3C6H4CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH, H2NC(=NH)NHC6H4CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)C6H4CO-Trp-Val-Arg-Gly-Asp-Trp-OH
【0030】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp
-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-T
rp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH,H2NC(=NH)NH(CH2)4CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)6CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,H2
NC(=NH)NH(CH2)7CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)8CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=
NH)NH(CH2)C6H4CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2
NC(=NH)NH(CH2) 3C6H4CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH, H2NC(=NH)NHC6H4CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)C6H4CO-Phe-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH
【0031】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp
-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-T
rp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH,H2NC(=NH)NH(CH2)4CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)6CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,H2
NC(=NH)NH(CH2)8CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)C6H4CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2N
C(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H
2NC(=NH)NH(CH2)3C6H4CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH, H2NC(=NH)NHC6H4CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)C6H4CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH
【0032】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp
-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-T
rp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH,H2NC(=NH)NH(CH2)4CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)6CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,H2
NC(=NH)NH(CH2)7CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)8CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=
NH)NH(CH2)C6H4CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2
NC(=NH)NH(CH2) 3C6H4CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH, H2NC(=NH)NHC6H4CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)C6H4CO-Pro-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH
【0033】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Pro- βAla-Arg-Gly-
Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Pro-βAla-Arg-Gly-
Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3CO-Pro-βAla-Arg-Gly-
Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)4CO-Pro-βAla-Arg-Gly-
Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH 2)5CO-Pro-βAla-Arg-Gly-
Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)6CO-Pro-βAla-Arg-Gly-
Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)7CO-Pro-βAla-Arg-Gly-
Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)8CO-Pro-βAla-Arg-Gly-
Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)C6H4CO-Pro-βAla-Arg-G
ly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Pro-βAla-A
rg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3C6H4CO-Pro-βA
la-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Pro
-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO
-Pro-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NHC6H4CO-P
ro-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H 2NC(=NH)C6H4CO-Pro-
βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH
【0034】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H
2NC(=NH)NH(CH2)3CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=N
H)NH(CH2)4CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(C
H2)5CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)6CO
-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)7CO-Ser-A
rg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)8CO-Ser-Arg-Gly
-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)C6H4CO-Ser-Arg-Gly-As
p-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Ser-Arg-Gly-Asp-
Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3C6H4CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Tr
p-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-
OH, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NHC6H4CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)C6H4CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH
【0035】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp
-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H
2NC(=NH)NH(CH2)3CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=N
H)NH(CH2)4CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(C
H2)5CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)6CO
-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)7CO-Gly-A
rg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)8CO-Gly-Arg-Gly
-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)C6H4CO-Gly-Arg-Gly-As
p-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Gly-Arg-Gly-Asp-
Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3C6H4CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Tr
p-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-
OH, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-O
H, H2NC(=NH)NHC6H4CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)C6H4CO-Gly-Arg-Gly-Asp-Trp-OH
【0036】H2NC(=NH)NH(CH2)CO- βAla-Arg-Gly-Asp-
Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-
OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)4CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC
(=NH)NH(CH2)5CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=N
H)NH(CH2)6CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH
(CH2)7CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(C
H2)8CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)C
6H4CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2C
6H4CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3C
6H4CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)4C
6H4CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)5C
6H4CO-βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NHC6H4CO-
βAla-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,H2NC(=NH)C6H4CO-βAla-Ar
g-Gly-Asp-Trp-OH
【0037】H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)2CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)
NH(CH2)3CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)4CO
-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Arg-Gly-A
sp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)6CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NH(CH2)7CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)
NH(CH2)8CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)C6H
4CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)2C6H4CO-Ar
g-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)3C6H4CO-Arg-Gly-
Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)4C6H4CO-Arg-Gly-Asp-Tr
p-OH, H2NC(=NH)NH(CH2)5C6H4CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH,
H2NC(=NH)NHC6H4CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH, H2NC(=NH)C6H
4CO-Arg-Gly-Asp-Trp-OH
【0038】本発明のペプチドは、市販のアミノ酸を利
用して、簡単な操作で容易に合成することができる。す
なわち本発明ペプチドは、ペプチド化学において通常用
いられる方法、例えば、「ザ ペプチド (The Peptide
s) 」第1巻〔Schroder and Luhke著, Academic Press,
New York, U.S.A.(1966年) 〕、「ペプチド合成の基礎
と実験」〔泉屋信夫ら著,丸善 (株)(1985年) 〕等に記
載されている方法によって製造することが可能であり、
液相法及び固相法のいずれによっても製造できる。さら
に、カラム、バッチ法のいずれの方法も用いることがで
きる。
【0039】ペプチド結合を形成するための縮合方法と
して、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、カルボ
ジイミド法、カルボジイミド−アディティブ法、活性エ
ステル法、カルボニルイミダゾール法、酸化還元法、酵
素法、ウッドワード試薬Kを用いる方法等を例示するこ
とができる。なお、固相法での縮合反応は上記した方法
のうち、酸無水物法、カルボジイミド法、及び活性エス
テル法が主な方法として挙げられる。
【0040】さらに、固相法でペプチド鎖を延長すると
きは、そのペプチド鎖のC末端アミノ酸を用いる有機溶
媒に対して不溶な樹脂等の支持体を結合する。ここで
は、アミノ酸を樹脂に結合させる目的で官能基を導入し
た樹脂や、樹脂と官能基の間にスペーサーを挿入したも
の、更に条件によって種々の箇所で切断できるハンドル
(handle) と称する鎖を導入した樹脂を目的に応じて用
いることもできる。このような樹脂としては、例えば、
クロロメチル樹脂などのハロメチル樹脂、オキシメチル
樹脂、4-( オキシメチル)-フェニルアセトアミドメチル
樹脂、4-( オキシメチル)-フェノキシメチル樹脂、C末
端アミド化用樹脂などを挙げることができる。
【0041】なお、これらの縮合反応を行なう前に、通
常公知の手段によって当該縮合反応に関与しないカルボ
キシル基やアミノ基やアルギニン残基中のグアニジノ
基、セリン残基中の水酸基等の保護手段を施すことがで
きる。また逆に当該縮合反応に直接関与するカルボキシ
ル基やアミノ基を活性化することもできる。カルボキシ
ル基の保護基としては、例えば、各種のメチルエステ
ル、エチルエステル、ベンジルエステル、p-ニトロベン
ジルエステル、t-ブチルエステル、シクロヘキシルエス
テル等の通常公知の保護基を挙げることができる。
【0042】アミノ基の保護基としては、例えば、ベン
ジルオキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、イ
ソボルニルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメトキ
シカルボニル基等を挙げることができる。アルギニン残
基中のグアニジノ基の保護基としては、例えば、ニトロ
基、トシル基、メシチレンスルフォニル基、4-メトキシ
-2,3,6-トリメチルベンゼンスルフォニル基、2,2,5,7,8
-ペンタメチルクロマン-6-スルフォニル基等を挙げるこ
とができる。
【0043】セリン残基等の水酸基を含むアミノ酸残基
中の水酸基の保護基としては、例えばt-ブチル基、ベン
ジル基、トリメチルシリル基、テトラハイドロピラニル
基等を挙げることができる。カルボキシル基の活性化さ
れたものとしては、例えば、当該カルボキシル基に対応
する酸無水物;アジド;ペンタフルオロフェノール、2,
4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、p-ニ
トロフェノール、N-ヒドロキシコハク酸イミド、N-ヒド
ロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシミド、N-ヒド
ロキシフタルイミド、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
等との活性エステル等が挙げられる。
【0044】アミノ基の活性化されたものとしては、当
該アミノ基に対応するリン酸アミド等を挙げることがで
きる。ペプチド合成の際の縮合反応は、通常溶媒中で行
なわれる。当該溶媒としては、例えば、クロロホルム、
ジクロロメタン、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジオキサン、テ
トラヒドロフラン、N-メチルピロリドン、水、メタノー
ル等、又はこれらの混合物を挙げることができる。ま
た、当該縮合反応の反応温度は、通常の場合と同様に、
−30℃〜50℃の範囲で行なうことができる。
【0045】グアニジノ基又はアミジノ基を有するカル
ボン酸のペプチドへの導入にあたっては、そのまま、あ
るいは適当な保護基によりこれらの塩基性基を保護した
状態で、上記のペプチド結合を形成するための縮合法を
用いることにより導入することができる。当該グアニジ
ノ基又はアミジノ基の保護基としては、上記のアミノ基
及びアルギニンのグアニジノ基の保護基等を挙げること
ができる。また、グアニジノ基の導入は、予めアミノ基
として導入した後にグアニジノ試薬を用いて当該アミノ
基をグアニジノ基に変換することも可能である。グアニ
ジノ化試薬としては、3,5-ジメチルピラゾール-1-カル
ボキサミジンニトレート、若しくはS-メチルイソチオ尿
素等を挙げることができる。また、ハロゲンとして導入
後に、グアニジンにより当該ハロゲンをグアニジノ化す
ることもできる。
【0046】また、アミジノ基の場合も、あらかじめニ
トリルとして導入した後に、Pinner法等で当該ニトリル
基をアミジノ基に変換することも可能である。さらに、
本発明のペプチドの製造工程における保護基の脱離反応
の種類は、ペプチド結合に影響を与えずに保護基を離脱
させることができる限りにおいて、用いる保護基の種類
に応じて選択することができる。例えば、塩化水素、臭
化水素、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフル
オロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、又はこれら
の混合物による酸処理、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、ヒドラジン、ジエチルアミン、ピペリジン等によ
るアルカリ処理;液体アンモニア中におけるナトリウム
処理やパラジウム炭素による還元;及びトリメチルシリ
ルトリフラート、トリメチルシリルブロマイド等のシリ
ル化処理等を用いた保護基の種類に応じて選択すること
ができる。なお、上記の酸又はシリル化剤処理による脱
保護基反応においては、アニソール、フェノール、クレ
ゾール、チオアニソール、エタンジチオールの如きカチ
オン補足剤を添加することが好ましい。これにより脱保
護基反応が効率的に行われる。
【0047】なお、固相法で合成した本発明ペプチドの
固相からの切断方法も通常公知の方法により行われる。
例えば、上記の酸又はシリル化剤による処理等が当該脱
離法として挙げられる。このようにして製造された本発
明ペプチドに対しては、上記の一連の反応の終了後に通
常公知の分離、精製手段を駆使することができる。例え
ば、抽出、分配、再沈澱、再結晶、カラムクロマトグラ
フィー等によってより純粋なかたちで本発明ペプチドを
取得することができる。
【0048】また、本発明ペプチドは、製造工程におけ
る反応条件によって塩の形で得ることができる。ここ
で、当該塩としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの
無機酸塩類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール
酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、トリフル
オロ酢酸等の有機酸類;ナトリウム、カリウム等のアル
カリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩類;
アンモニウム、エタノールアミン、トリエチルアミン、
ジシクロヘキシルアミン等の有機アミン類等を挙げるこ
とができる。
【0049】上記で得た本発明ペプチドを血小板凝集抑
制剤として用いる場合には、その有効成分として、本発
明ペプチド又はその薬学的に許容できる塩を固体若しく
は液体の医薬用担体又は希釈剤と共に、すなわち賦形剤
や安定剤等と共に含む製剤とするのが好ましい。当該医
薬製剤において、前記有効成分の担体成分に対する割合
は、1〜90重量%の間で変動させることができる。当該
製剤の剤形及び投与形態としては、顆粒剤、細粒剤、散
剤、錠剤、カプセル剤、丸剤若しくは液剤等の剤形にし
て用いることができる。またさらに、原末のまま経口投
与することも可能であり、さらに、注射剤として、静脈
内投与、筋肉内投与、又は皮下投与することもできる。
なお、注射剤として用いる場合には、本発明ペプチドを
注射用の粉末として、用時調製することもできる。
【0050】経口、経腸もしくは非経口投与に適した有
機又は無機の、さらに固体又は液体の医薬用に用いられ
る担体か希釈剤を、本発明血小板凝集抑制剤を調製する
ために用いることができる。水、ゼラチン、乳糖、デン
プン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、動植物油
脂、ベンジルアルコール、ガム、ポリアルキレングリコ
ール、石油樹脂、やし油、ラノリンその他医薬に用いら
れる他の担体は全て、本発明の血小板凝集抑制剤の担体
若しくは希釈剤として用いることができる。また、安定
剤や湿潤剤や乳化剤を加えたり、浸透圧調整剤又はpH調
整剤として塩を補助薬として、適宜用いることができ
る。
【0051】さらに、本発明血小板凝集抑制剤は、種々
の疾患の治療において、前記有効成分の他に、必要に応
じて他の医薬として有効な成分、例えば他の種類の血小
板凝集抑制成分、あるいは血液凝固抑制成分を含有させ
ることもできる。顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、または
カプセル剤の形態をとる場合には、前記有効成分を5〜
80重量%含有させるのが好ましい。液剤の場合には、前
記有効成分を1〜30重量%の割合で含有させるのが好ま
しい。さらに、非経口投与剤のうち、注射剤として用い
る場合には、前記有効成分を1〜10重量%の割合で含有
させるのが好ましい。
【0052】臨床投与量は、経口投与の場合、成人に対
し上記有効成分として、1日当たり500〜1000mgを内服
するのが好ましい。しかしながら、患者の年令、症状等
によって適宜投与量を増減させることもできる。前記の
本発明の血小板凝集抑制剤は、1日1回投与も可能であ
るが、適当な間隔を2〜3回に分けて投与することもで
きる。さらに、注射剤として用いる場合には、上記有効
成分として、成人に対し1回当たり量1〜数100mg 投与
するのが好ましい。また、その投与は1回であるいは、
点滴等の手段によって継続的に行うことも可能である。
【0053】なお、体外循環用血液凝固抑制剤として本
発明の化合物を用いる場合には、上記の注射剤あるいは
点滴剤の形態で用いることができる。投与場所及び投与
量は、体外循環システムの違い、及びシステムの持続時
間等により異なるが、例えば体外循環システムへの入口
の部分から1時間当たり1〜100 mg/kg を持続的に注入
することができる。投与量は、単独投与においても、ま
た他の薬剤との併用においても、分解酵素が多量に存在
する体内に比べ、体外循環システム中では少量で有効で
ある。
【0054】体外循環用血液凝固抑制剤として従来から
用いられているヘパリンと本発明のペプチドとを併用す
ることにより、血液凝固に関係する血小板凝集・凝固系
という二つの重要な経路を抑制し、より完全に血液凝固
を抑制しうることができると考えられる。また、両者の
相乗的効果も期待できるので、前述したような副作用が
問題になっているヘパリンの使用量を減らすことができ
る。更に、クエン酸や蛋白質分解酵素阻害剤(例えばフ
サン)、あるいは組織プラスミノーゲン活性化剤のよう
な血栓溶解剤と本発明のペプチドとの併用も有効である
と考えられる。
【0055】
【実施例】以下、実施例により本発明について具体的に
説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0056】〔実施例1〕 式(IV)で示されるペプチド
の合成
【0057】
【化7】 H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH (IV) p-alkoxybenzyl alcohol型樹脂(式(V) 樹脂 (水酸基の
含有量:0.92meq/g:ABI 社製)
【0058】
【化8】 HOCH2-Ph(1,4)-OCH2-Ph(1,4)-Polymer (V) の0.272g(0.25mmol)を反応容器に移し、0.1 当量のジメ
チルアミノピリジン(DMAP)の存在下に、Fmoc-Trp-OH(43
0mg)を縮合剤であるジイソプロピルカルボジイミド(0.1
7ml)を用いて、樹脂に導入後、表1に示す振盪、瀘過ス
テップを繰り返し、
【0059】
【化9】 H2NCH2(CH2)4CO-Trp-Ser(But)-Arg(Pmc)-Gly-Asp(OBut)-Trp-O-Resin (VI) を得た。次に、これをDMF 溶媒中、ジイソプロピルエチ
ルアミン(DIEA;8.0eq)の存在下に、3,5-Dimethylpyrazo
le-l-carboxamidine nitrate(8.2eq) を加え、48時間、
室温にてグアニジノ化反応を行い、
【0060】
【化10】 H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Trp-Ser(But)-Arg(Pmc)-Gly-Asp(OBu t)-Trp-O-Resin (VII) を得た。
【0061】得られた保護ペプチド樹脂を0℃のトリフ
ルオロ酢酸中でm-クレゾール、及びエタンジチオール、
チオアニソール存在下、1時間処理した。当該反応液か
ら樹脂をろ去した後に、ろ液をエバポレーターで室温下
で留去し、氷冷下で残渣にジエチルエーテルを加え、樹
脂から切り出されたペプチドを粉末として得た。そし
て、当該粉末をジエチルエーテルで3回洗浄後乾燥し、
1N 酢酸中に溶解した後、セファデックスG-10 (ファル
マシア社製) を支持体としたゲルクロマトグラフィーに
添加し、1N 酢酸で溶出することにより脱塩し、ペプチ
ド分画を凍結乾燥して粗ペプチドを得た。得られた粗ペ
プチドを高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 〔カラ
ム:ODS 5C18 (μbondasphere, 20×150mm)、移動相:
(A)0.1%TFA, (B)100%CH3CN/0.1%TFA 、gradientは、
(A):(B)=90:10 から(A):(B)=70:30 、流速17ml/min 〕
(ウォーターズ社製) で精製し、更にセファデックスG-
25 (ファルマシア社製) を支持体としたゲル瀘過クロマ
トグラフィーにより酢酸塩とし、これを凍結乾燥するこ
とにより、
【0062】
【化11】 H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH (IV) で示される本発明ペプチドを20mg得た。アミノ酸分析 (6N HCl+phenol, 24hr, 110℃) Asp 1.01(1) Ser 1.00(1) Gly 1.29(1) Trp − (2) Arg 1.14(1)HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(4.6×200mm)カラムを用い、流速 1.0
ml/min で、0.1%TFA中アセトニトリル10〜40%(60分)
のgradient溶出での分析HPLCで、保持時間40.0分の単一
ピークを示した。FAB−MS : M+H 計算値961.5 、実測値961
【0063】
【表1】
【0064】〔実施例2〕 式(VIII)で示されるペプチ
ドの合成
【0065】
【化12】 H2NC(=NH)NH(CH2)4CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH (VIII) 実施例1と同様の方法によって、式(VIII)のペプチドを
合成した。アミノ酸分析 (6N HCl+phenol, 24hr, 110℃) Asp 0.84(1) Ser 1.00(1) Gly 1.24(1) Trp − (2) Arg 1.16(1)HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(4.6×200mm)カラムを用い、流速 1.0
ml/min で、0.1%TFA中アセトニトリル10〜40%(60分)
のgragient溶出での分析HPLCで、保持時間37.0分の単一
ピークを示した。FAB−MS : M+H 計算値947.4 、実測値947
【0066】〔実施例3〕 式(IX)で示されるペプチド
の合成
【0067】
【化13】 H2NC(=NH)NH(CH2)6CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH (IX) 実施例1と同様の方法によって、式(IX)のペプチドを合
成した。アミノ酸分析 (6N HCl+phenol, 24hr, 110℃) Asp 0.94(1) Ser 1.00(1) Gly 1.07(1) Trp − (2) Arg 1.00(1)HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(4.6×200mm)カラムを用い、流速 1.0
ml/min で、0.1%TFA中アセトニトリル10〜40%(60分)
のgradient溶出での分析HPLCで、保持時間42.0分の単一
ピークを示した。FAB−MS : M+H 計算値975.5 、実測値975
【0068】〔実施例4〕 式(X) で示されるペプチド
の合成
【0069】
【化14】 H2NC(=NH)NHCH2C6H4CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH (X) 実施例1と同様の方法によって、式(X)のペプチドを合
成した。アミノ酸分析 (6N HCl+phenol, 24hr, 110℃) Asp 0.99(1) Ser 1.00(1) Gly 1.23(1) Trp − (2) Arg 1.16(1)HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(4.6×200mm)カラムを用い、流速 1.0
ml/min で、0.1%TFA中アセトニトリル10〜40%(60分)
のgradient溶出での分析HPLCで、保持時間36.0分の単一
ピークを示した。FAB−MS : M+H 計算値981.4 、実測値981
【0070】〔実施例5〕 式(XI)で示されるペプチド
の合成
【0071】
【化15】 H2NC(=NH)NH(CH2)7CO-Pro-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH (XI) 実施例1と同様の方法によって、式(XI)のペプチドを合
成した。アミノ酸分析 (6N HCl+phenol, 24hr, 110℃) Asp 0.99(1) Ser 1.00(1) Gly 1.15(1) Trp − (1) Arg 1.23(1) Pro 1.18(1)HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(4.6×200mm)カラムを用い、流速 1.0
ml/min で、0.1%TFA中アセトニトリル10〜40%(60分)
のgradient溶出での分析HPLCで、保持時間36.0分の単一
ピークを示した。FAB−MS : M+H 計算値900.5 、実測値900
【0072】〔実施例6〕 式(XII) で示されるペプチ
ドの合成
【0073】
【化16】 H2NC(=NH)NH(CH2)5CO-Arg-Gly-Asp-Phe-OH (XII) 実施例1と同様の方法によって、式(XII) のペプチドを
合成した。アミノ酸分析 (6N HCl+phenol, 24hr, 110℃) Asp 1.00(1) Gly 0.99(1) Phe 1.02(1) Arg 1.08(1)HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(4.6×200mm)カラムを用い、流速 1.0
ml/min で、0.1%TFA中アセトニトリル10〜40%(60分)
のgradient溶出での分析HPLCで、保持時間20.0分の単一
ピークを示した。FAB−MS : M+H 計算値649.3 、実測値649
【0074】〔実施例7〕 式(XIII)で示されるペプチ
ドの合成
【0075】
【化17】 H2NC(=NH)C6H4CO-Trp-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH (XIII) 実施例1と同様の方法によって、式(XIII)のペプチドを
合成した。アミノ酸分析 ( 6N HCl+phenol, 24hr, 110 ℃) Asp 1.00(1) Ser 1.02(1) Gly 0.99(1) Trp ─ (2) Arg 1.09(1)HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(4.6×200mm)カラムを用い、流速 1.0
ml/min で、0.1%TFA中アセトニトリル10〜40%(60分)
のgradient溶出での分析HPLCで、保持時間28.4分の単一
ピークを示した。 FAB−MS ─ M+H 計算値952.4 、実測値952
【0076】〔実施例8〕 式(XIV) で示されるペプチ
ドの合成
【0077】
【化18】 H2NC(=NH)NH(CH2)CO-Ser-Arg-Gly-Asp-Trp-OH (XIV) 実施例1と同様の方法によって、式(XIV) のペプチドを
合成した。アミノ酸分析 ( 6N HCl+phenol, 24hr, 110 ℃) Asp 0.98(1) Ser 1.01(1) Gly 1.10(1) Trp ─ (1) Arg 1.08(1)HPLC分析 Cosmosil 5C18-AR(4.6×200mm)カラムを用い、流速 1.0
ml/min で、0.1%TFA中アセトニトリル10〜40%(60分)
のgradient溶出での分析HPLCで、保持時間16.4分の単一
ピークを示した。 FAB−MS ─ M+H 計算値719.0 、実測値719 〔試験例1〕合成ペプチドの活性測定(PRPを用いたin-
vitroヒト血小板凝集) 少なくとも2週間以上いかなる薬も服用していない健康
な男性を被験者とした。採血は、19号の注射針と1/10
容量の3.8%クエン酸ナトリウム溶液を予め入れておいた
プラスチックシリンジを用い、空腹時に下はく部の静脈
から採血を行った。採血後速やかに、シリンジを軽く攪
拌して両液を混合した。この血液を室温で15分間遠心分
離し (1100rpm, 250g)、ブレーキをかけずに回転を止め
た後、上清を駒込ピペットで取り、多血小板血漿 (PRP)
とし室温で保存した。遠心後の残りの血液をさらに室温
で15分間遠心分離し (3500rpm, 1500g) 、ブレーキをか
けずに停止させた後の上清を取り、寡血小板血漿 (PPP)
とした。PPP 調製後血小板数を計測し、血小板数が2×
108/ml以上のものについてのみ以下に述べる実験を行
った。
【0078】血小板の凝集は、8チャンネルの血小板凝
集測定機 (Hematracer, Nikoh Bioscience, Tokyo, Jap
an) を用いてPRP の光の透過度の変化から測定した。ま
ず、200μlのPPP,PRP をガラスキュベットにいれ、37℃
でインキュベート後、透過度を測定しPPPの透過度を100
%、PRP の透過度を0%とした。次に、生理食塩水また
はサンプルを含む生理食塩水をPRPに10μl加え37℃
で1分間インキュベートした後、さらに 100μg /mlの
コラーゲン溶液を10μl加え (終濃度 5μg /ml) 凝集
を誘発し、以後7分間透過度を測定した。実験は、最初
にコラーゲンとADP を用いて凝集が起こることを確認
し、コラーゲンの最大凝集率が70%以上のものについて
のみ、実験に用いた。
【0079】サンプルは 2.2×10-2M になるように生理
食塩水に溶解し、これを基に2倍の希釈系列を調製し実
験に用いた。生理食塩水に不溶のサンプルについては10
%のDMSO (Dimethyl sulfoxide) を含む生理食塩水に溶
解した。結果は次のように計算する。
【0080】
【数1】
【0081】サンプルの濃度に対し凝集抑制率をプロッ
トした図を作図し、この図から凝集を50%抑制する濃度
(IC50) を計算した。表2に各サンプルのIC50を示
す。
【0082】
【表2】
【0083】比較例1として表2に挙げたフィブリノー
ゲン分子中のアミノ酸配列であるRGDS-OH (ペプチド研
究所(箕面市)により購入した)に比べて、本発明ペプ
チドの血小板凝集抑制能力が著しく向上していることが
判明した。
【0084】〔試験例2〕合成ペプチドの血漿中での安
定性の評価(全血及び血漿中での安定性評価) 少なくとも2週間以上いかなる薬も服用していない健康
な男性を被験者とし、採血を行った。予め1/10容量の
3.8%クエン酸ナトリウム溶液を入れておいたプラスチ
ックシリンジを用い、空腹時に下はく部の静脈から血液
を採取した。採血後速やかにシリンジを撹拌して両液を
混合した。全血中の安定性は、この血液をそのまま用い
て実験を行った。一方、血漿中での安定性は、この血液
を10分間遠心分離し(800g)、ブレーキをかけずに回転を
止めた後の上清を血漿画分とし、実験を行った。
【0085】試験管に全血又は血漿を225μl 入れ、37
℃に加温した。合成ペプチドは生理食塩水(pH7.4) に溶
解し1mMの溶液とした。この合成ペプチドの溶液を全血
または血漿に25μl 添加し( 最終濃度100μM)、一定時
間インキュベートした。インキュベート後、溶液を氷冷
し分解反応を停止した。血漿はこのまま−20℃で凍結保
存した。一方、全血は2000g で4℃で5分間遠心分離
し、上清のみを凍結保存した。
【0086】サンプルは、逆相HPLCで分析を行った。各
合成ペプチドのピーク面積を計算し、ピーク面積の変化
を指標に血液又は血漿中での安定性を評価した。図1
は、前記実施例1及び実施例4の化合物について、さら
に比較例1の化合物を比較して、血漿中の安定性につい
て調べた結果である。比較例1の化合物の場合は、血漿
中で非常に速い分解を受け、その半減期は3.1分であっ
た。これに対し、実施例1の化合物及び実施例4の化合
物では共に血漿中での安定性が、比較例1の化合物と比
べ格段に高まり120分後でも、70%以上が分解を受けず
に残っていた。
【0087】また、全血中の安定性についても、血漿中
での安定性と同等の結果が得られた。一般式中のAであ
らわされるグアニジノ基又はアミジノ基を有する脂肪族
カルボン酸、芳香族カルボン酸、若しくは脂肪族及び芳
香族の両者を含むカルボン酸の存在は、本発明のペプチ
ドの血小板凝集抑制機能を強化するのみならず、血液中
での安定性も飛躍的に向上させた。このことは、経口、
点滴、静脈内投与等の方法で当該化合物を投与したとき
に、より効果的に体内で血小板凝集を抑制することを示
しており、血小板凝集抑制剤の有効成分としての本発明
の有用性を裏付けるものである。
【0088】〔試験例3〕 合成ペプチドの経口投与に
よる血小板凝集抑制活性(マウス血栓性致死モデルを用
いた血小板凝集抑制効果) 16時間絶食処理を施した、ICR系マウス(雄, 6週
令)を使用した。マウスは5匹を一群とし、実施例1に
示す本発明のペプチド投与群、比較例1のペプチド投与
群、又は血小板凝集抑制剤として経口的に用いられてい
るアスピリンの投与群2群、及びコントロール群の計5
群に分けた。各薬剤は5%のアラビアガム溶液に懸濁し
て用い、またコントロールとしては5%のアラビアガム
溶液を用いた。
【0089】各薬剤あるいはコントロールをそれぞれの
群のマウスに経口投与した。1時間後に血小板凝集惹起
剤(コラーゲン・エピネフリン混合液;投与量は400μg
/Kgコラーゲン,50μg/Kgエピネフリン) を尾静脈より
投与した。血小板凝集惹起剤投与15分後に生存している
マウスの数より血栓性致死回避率(生存マウス数/1群
のマウス数×100)を求めた。
【0090】その結果を表3に示す。
【0091】
【表3】
【0092】血小板凝集抑制作用が良く知られている比
較例1のペプチドを実施例1の化合物の倍量を経口投与
したときも実施例1の化合物とほぼ同量アスピリンを投
与したときにも、本アッセイ系では血栓性致死の回避は
起こらなかったが、実施例1の化合物を経口投与した場
合は有意に血栓性致死の回避を誘導することが示唆され
た。
【0093】これは、比較例1はアミノ酸4個によりな
るペプチドであるため、経口投与で消化管内のプロテア
ーゼで速やかにアミノ酸に加水分解され、血小板凝集抑
制作用を失ったためと思われる。しかし、実施例1の化
合物はグアニジノ基を有する脂肪酸を導入したことで、
消化管内で分解の抑制がかかり、さらにカルボン酸部分
の疎水性度の上昇に伴う腸管吸収性の向上によって、経
口投与において効果的に作用できたものと考えられる。
【0094】このように実施例1のごときグアニジノ基
のような塩基性官能基を導入した血小板凝集抑制物質は
投薬経路が経口であっても効果的な物質であり、経口型
血小板凝集抑制剤として有用である。
【0095】〔試験例4〕 急性毒性試験 本発明のペプチドの急性毒性試験に関しては、マウスに
対して、100mg/kgの静脈投与では、何等毒性は観察さ
れなかった。 〔製剤例1〕実施例1で得られた本発明ペプチド100mg
を生理的食塩水100mlに溶解し、得られた溶液を無菌的
に2.5ml容のアンプルに充填、封入し、注射液製剤とし
た。 〔製剤例2〕実施例で得られた本発明ペプチド500mg、
結晶セルロース50mg、乳糖450mgからなる混合物に、エ
タノールと水の混液1mlを加え練合した。この練合物を
常法に従って造粒して、顆粒剤とした。 〔製剤例3〕実施例1で得られた本発明ペプチド100mg
を生理的食塩水100mlに溶解し、得られた溶液を無菌的
に2.5 ml容のアンプルに充填、封入し、体外循環用注射
液製剤とした。
【0096】
【発明の効果】本発明により、血小板凝集抑制力に優
れ、かつ天然ペプチドに可能な限り近い構造と体内にお
いて吸収され易い構造を併せ持ち、生体内に投与した場
合、適度な薬効時間を示し、その後は速やかに代謝され
消失するという、安全性に優れた特性を持つペプチド、
及び当該ペプチドを有効成分とする優れた血小板凝集抑
制能を有する血小板凝集抑制剤が提供される。なお、本
発明血小板凝集抑制剤は、通常の生体内に投与する形態
のみならず、体外循環用の血小板凝集抑制剤としても有
用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明ペプチドの血漿中における安定性試験
の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 良雄 神奈川県川崎市中原区井田1618 新日本製 鐵株式会社先端技術研究所ライフサイエン ス研究センター内 (72)発明者 片田 淳 神奈川県川崎市中原区井田1618 新日本製 鐵株式会社先端技術研究所ライフサイエン ス研究センター内 (72)発明者 瀧口 好三 神奈川県川崎市中原区井田1618 新日本製 鐵株式会社先端技術研究所ライフサイエン ス研究センター内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I)に示されるアミノ酸配列を有する
    ペプチド又はその塩 【化1】 A−(B)m −Arg−Gly−Asp−C−D (I) 〔式中、Aはグアニジノ基又はアミジノ基を有する脂肪
    族カルボン酸、芳香族カルボン酸、若しくは脂肪族基及
    び芳香族基の両者を含むカルボン酸由来のアシル基;B
    はアミノ酸残基;Cは疎水性基を有するアミノ酸残基;
    及びDは-OH又は-NH2を示す、また、m は0〜3の整数
    を示し、Bにおけるアミノ酸残基の個数を示す〕。
  2. 【請求項2】 Aが、式(II)に示す構造であることを特
    徴とする、請求項1に記載されたペプチド又はその塩。 【化2】 〔式中、Yは-(CH2)pCO- 若しくは-(CH2)qC6H4CO-(式
    中、p 及びqは、それぞれ0〜8の整数を示す)〕。
  3. 【請求項3】 Bのアミノ酸が、Trp−Z(式中、Z
    はセリン残基、グリシン残基、バリン残基、又はβ−ア
    ラニン残基であることを示す。)で示される、請求項1
    又は請求項2に記載されたペプチド若しくはその塩。
  4. 【請求項4】 疎水性基を有するアミノ酸残基Cが、T
    rp若しくはPheである、請求項1乃至請求項3のい
    ずれかに記載されたペプチド又はその塩。
  5. 【請求項5】 式(III) に示されるアミノ酸配列を有す
    るペプチド又はその塩。 【化3】 〔式中、Yは-(CH2)pCO-若しくは-(CH2)qC6H4CO-(式
    中、p 及びqは、それぞれ0〜8の整数を示す)、及び
    Dは-OH又は-NH2を示す〕。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれかの請求
    項に記載された、ペプチド若しくはその塩を有効成分と
    してなる血小板凝集抑制剤。
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