JPH0797045B2 - ホロ−カソ−ドランプ及び該ランプを光源とした原子吸光/螢光分光光度計 - Google Patents
ホロ−カソ−ドランプ及び該ランプを光源とした原子吸光/螢光分光光度計Info
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- JPH0797045B2 JPH0797045B2 JP61269039A JP26903986A JPH0797045B2 JP H0797045 B2 JPH0797045 B2 JP H0797045B2 JP 61269039 A JP61269039 A JP 61269039A JP 26903986 A JP26903986 A JP 26903986A JP H0797045 B2 JPH0797045 B2 JP H0797045B2
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Description
【発明の詳細な説明】 発明の目的 産業上の利用分野 本発明はホローカソード(HCL)及びこのランプを光源
として用いた原子吸光/螢光分光光度計に関し、特に原
子吸光分析ではバックグラウンド吸収また原子螢光分析
では散乱の補正用光源を測定用光源と同じランプで与え
る新しいタイプのホローカソードランプ及びそれを適用
した原子吸光/螢光分光光度計に関するものである。
として用いた原子吸光/螢光分光光度計に関し、特に原
子吸光分析ではバックグラウンド吸収また原子螢光分析
では散乱の補正用光源を測定用光源と同じランプで与え
る新しいタイプのホローカソードランプ及びそれを適用
した原子吸光/螢光分光光度計に関するものである。
従来の技術 原子吸光分析では、分析しようとする元素の輝線スペク
トルの波長の光を試料原子化部に入射させ、その透過光
強度を測定して試料による吸収量を測定する。その吸収
量と試料濃度が比例関係にあることから定量分析がなさ
れるが、試料原子化部には目的元素以外の様々な分子種
による吸収や散乱があって、定量分析の精度を低下させ
てしまう。このような吸収のことをバックグラウンド吸
収と呼んでいる。この問題に対しては従来、連続光源
(例えば重水素ランプ)を用いてバックグラウンド吸収
を測定し、先に得られた結果を補正する方法が一般的で
ある。また、光源部または原子化部に強力な磁場を印加
し、原子のゼーマン(Zeeman)分岐による近接線を利用
してバックグラウンド吸収補正をする二波長法もある。
しかしながら前者は補正用光源を別に必要となるし、補
正の精度はあまり高くない。後者は装置が大がかりにな
る上に、ゼーマン分岐の仕方が異なるためすべての原子
に対して必ずしも良い結果が得られない。これに対し
て、通常直流点灯されるホローカソードランプを大電流
パルスで駆動すると、スペクトル線幅が拡がることを利
用して、バックグラウンド補正を実行する手法が提案さ
れている。この手法はS−H方式と名づけられ賢明な方
法ではあるが、大電流パルス点灯させたときのスペクト
ル線の形状が完全に自己反転しないときには若干の誤差
を生じてしまう。
トルの波長の光を試料原子化部に入射させ、その透過光
強度を測定して試料による吸収量を測定する。その吸収
量と試料濃度が比例関係にあることから定量分析がなさ
れるが、試料原子化部には目的元素以外の様々な分子種
による吸収や散乱があって、定量分析の精度を低下させ
てしまう。このような吸収のことをバックグラウンド吸
収と呼んでいる。この問題に対しては従来、連続光源
(例えば重水素ランプ)を用いてバックグラウンド吸収
を測定し、先に得られた結果を補正する方法が一般的で
ある。また、光源部または原子化部に強力な磁場を印加
し、原子のゼーマン(Zeeman)分岐による近接線を利用
してバックグラウンド吸収補正をする二波長法もある。
しかしながら前者は補正用光源を別に必要となるし、補
正の精度はあまり高くない。後者は装置が大がかりにな
る上に、ゼーマン分岐の仕方が異なるためすべての原子
に対して必ずしも良い結果が得られない。これに対し
て、通常直流点灯されるホローカソードランプを大電流
パルスで駆動すると、スペクトル線幅が拡がることを利
用して、バックグラウンド補正を実行する手法が提案さ
れている。この手法はS−H方式と名づけられ賢明な方
法ではあるが、大電流パルス点灯させたときのスペクト
ル線の形状が完全に自己反転しないときには若干の誤差
を生じてしまう。
原子螢光分析は現在原子吸光分析法ほどには汎用分析法
として定着していないが、原理的には原子吸光分析以上
の感度とダイナミックレンジを有している。光源として
はレーザー,無電極放電ランプ等が用いられているが、
ホローカソードランプを大電流パルス点灯させることに
より、それが分析用光源として用いられることが確かめ
られている。その際に問題となるのは原子化部の原子種
自身による散乱である。原子螢光分析における散乱補正
の問題は原子吸光分析におけるバックグラウンド補正の
問題と信号処理面の面で類似しており有効な補正手段が
必要とされている。
として定着していないが、原理的には原子吸光分析以上
の感度とダイナミックレンジを有している。光源として
はレーザー,無電極放電ランプ等が用いられているが、
ホローカソードランプを大電流パルス点灯させることに
より、それが分析用光源として用いられることが確かめ
られている。その際に問題となるのは原子化部の原子種
自身による散乱である。原子螢光分析における散乱補正
の問題は原子吸光分析におけるバックグラウンド補正の
問題と信号処理面の面で類似しており有効な補正手段が
必要とされている。
発明が解決しようとする問題点 従って本発明の目的は、上述した各従来技術の問題点を
考慮し、特に別個の補正用光源を必要とせず装置も大が
かりにならないS−H方式に着目し、スペクトル線の形
状に完全な自己反転を生ぜしめることのできるホローカ
ソード及びこのランプを測定用と補正用の両光源として
用いた原子吸光/螢光分光光度計を提供することにあ
る。
考慮し、特に別個の補正用光源を必要とせず装置も大が
かりにならないS−H方式に着目し、スペクトル線の形
状に完全な自己反転を生ぜしめることのできるホローカ
ソード及びこのランプを測定用と補正用の両光源として
用いた原子吸光/螢光分光光度計を提供することにあ
る。
発明の構成 問題点を解決するための手段 従来技術の問題を解決し上記の目的を達成するため、本
発明のホローカーソードは、複数個の同一元素または同
一成分から成るホローカソードを同一のホローカソード
ランプ内にその光軸に沿って縦列状に配置し、前段のホ
ローカソードが中空で後段のホローカソードランプから
の光が前段ホローカソードの中空部を透過し、前段のホ
ローカソードで生じる原子蒸気を一定の空間に閉じ込め
る透明な遮蔽板を前段のホローカソードの前後に設け、
後段のホローカソードを一定間隔で大電流パルス点灯
し、かつ、前段のホローカソードを後段のホローカソー
ドの発光タイミングより原子蒸気が残存する所定時間早
い時点で大電流パルス点灯するタイミングコントロール
ユニットを設けたことを特徴とするものである。
発明のホローカーソードは、複数個の同一元素または同
一成分から成るホローカソードを同一のホローカソード
ランプ内にその光軸に沿って縦列状に配置し、前段のホ
ローカソードが中空で後段のホローカソードランプから
の光が前段ホローカソードの中空部を透過し、前段のホ
ローカソードで生じる原子蒸気を一定の空間に閉じ込め
る透明な遮蔽板を前段のホローカソードの前後に設け、
後段のホローカソードを一定間隔で大電流パルス点灯
し、かつ、前段のホローカソードを後段のホローカソー
ドの発光タイミングより原子蒸気が残存する所定時間早
い時点で大電流パルス点灯するタイミングコントロール
ユニットを設けたことを特徴とするものである。
また本発明による原子吸光/螢光分光光度計は上記のホ
ローカソードランプを光源として用い、上記複数のホロ
ーカソードをタイミングコントロールにより大電流パル
ス点灯させ、前段または後段ホローカソードの大電流パ
ルス点灯で生じた発光スペクトル線を測定光源とする一
方、この発光スペクトル線を前段ホローカソードの大電
流パルス点灯によって大量に生じた原子蒸気によって自
己反転させ、この自己反転した発光スペクトル線を原子
吸光分析のバックグラウンド補正光源又は原子螢光分析
の散乱補正用光源としたことを特徴とするものである。
ローカソードランプを光源として用い、上記複数のホロ
ーカソードをタイミングコントロールにより大電流パル
ス点灯させ、前段または後段ホローカソードの大電流パ
ルス点灯で生じた発光スペクトル線を測定光源とする一
方、この発光スペクトル線を前段ホローカソードの大電
流パルス点灯によって大量に生じた原子蒸気によって自
己反転させ、この自己反転した発光スペクトル線を原子
吸光分析のバックグラウンド補正光源又は原子螢光分析
の散乱補正用光源としたことを特徴とするものである。
上記発光スペクトル線の自己反転は、前段ホローカソー
ドの大電流パルス点灯で生じた原子蒸気が前段ホローカ
ソード内部に残っている間に後段ホローカソードを大電
流パルス点灯させるように、前段及び後段のホローカソ
ードを所定の間隔で時分割大電流パルス点灯して生ぜし
めるのが好ましい。
ドの大電流パルス点灯で生じた原子蒸気が前段ホローカ
ソード内部に残っている間に後段ホローカソードを大電
流パルス点灯させるように、前段及び後段のホローカソ
ードを所定の間隔で時分割大電流パルス点灯して生ぜし
めるのが好ましい。
さらに後段ホローカソードの大電流パルス点灯で生じる
発光スペクトル線が残存原子蒸気で吸収されることによ
って自己反転は生じるので、前段のホローカソードで生
じる原子蒸気が後段のホローカソード内に拡散するのを
防ぎ、その原子蒸気により後段からの発光スペクトル線
が自己反転を確実に行うように、前段のホローカソード
で生じる原子蒸気を一定の空間に閉じ込める透明な遮へ
い板を前段のホローカソードの前後に設けるのが好まし
い。
発光スペクトル線が残存原子蒸気で吸収されることによ
って自己反転は生じるので、前段のホローカソードで生
じる原子蒸気が後段のホローカソード内に拡散するのを
防ぎ、その原子蒸気により後段からの発光スペクトル線
が自己反転を確実に行うように、前段のホローカソード
で生じる原子蒸気を一定の空間に閉じ込める透明な遮へ
い板を前段のホローカソードの前後に設けるのが好まし
い。
作用 まず、本発明のホローカソードランプの基本概念につい
て説明する。原子吸光分析法の原理を示した第1図を参
照すれば、ホローカソードランプ(HCL)1が駆動回路
2からの直流で点灯して生じた単色光は、フレームまた
はフレームレス原子化部3を通り試料に対応した波長が
吸収された光となって、分光器4を経て検出器5に入
る。検出器5からの電気信号が信号処理部6で処理さ
れ、試料の吸光度が求められる。いま入射光強度をI0、
透過光強度をIとすると、吸光度Aは の関係から求められる。ここでaは吸光係数、bは光路
長、cは試料濃度である。これより定量分析がなされ
る。
て説明する。原子吸光分析法の原理を示した第1図を参
照すれば、ホローカソードランプ(HCL)1が駆動回路
2からの直流で点灯して生じた単色光は、フレームまた
はフレームレス原子化部3を通り試料に対応した波長が
吸収された光となって、分光器4を経て検出器5に入
る。検出器5からの電気信号が信号処理部6で処理さ
れ、試料の吸光度が求められる。いま入射光強度をI0、
透過光強度をIとすると、吸光度Aは の関係から求められる。ここでaは吸光係数、bは光路
長、cは試料濃度である。これより定量分析がなされ
る。
光源として特にその元素特有の輝線を有するHCLを用い
る理由を第2(A)図で説明すれば、原子の吸収線幅は
通常10-2Åのオーダで非常に狭い。したがって、通常の
分光器からの出力光を用いたのでは、吸収線幅に較べて
広すぎる。すなわち、I0の面積が大きくなってしまいI0
Iとなり、吸光度Aが小さくなってしまう。結果とし
て検量線の直線性が保たれなくなる。したがって第2
(A)図に示すような線幅の狭い光源I0が必要になる。
る理由を第2(A)図で説明すれば、原子の吸収線幅は
通常10-2Åのオーダで非常に狭い。したがって、通常の
分光器からの出力光を用いたのでは、吸収線幅に較べて
広すぎる。すなわち、I0の面積が大きくなってしまいI0
Iとなり、吸光度Aが小さくなってしまう。結果とし
て検量線の直線性が保たれなくなる。したがって第2
(A)図に示すような線幅の狭い光源I0が必要になる。
このようなHCLは通常、10〜20mA程度で直流点灯して用
いられる。一方、HCLを繰り返し周波数1KHz、パルス幅2
0μsec、ピーク電流200mA以内程度で大電流パルス駆動
させると発光輝度が直流点灯時と比較して数10〜数100
倍になること、またそのパルス電流にバースト状高周波
パルス(160MHz、200Vp−p程度)を同期重置させると
更に輝度が数倍〜数10倍増加することが確認されてい
る。このような大電流パルス動作ホローカソードランプ
に関する詳細は、近接イオン線の過渡発光特性、スペク
トル線幅の過渡変化をも含めて既に同一の筆者により報
告されている。(例えば分光研究32,318(1983)参照) 第2(B)図はHCLの共鳴線のスペクトル線幅が電流値
に対してどのように変化するかを模式的に示している。
(a)は通常の直流点灯、(b)は大電流パルス点灯さ
せた場合、(c)は更に電流値を増加させた場合であ
る。電流値を増加させると輝度も増加するかわりにスペ
クトル線幅も拡がっていく。(勿論スペクトル線幅も過
渡的に変化して発光開始後は狭く、徐々に拡がっていく
が、ここではその平均値とする。)(c)では自己反転
を生じている。スペクトル線幅が拡がる原因の主たるも
のは大電流パルスによって大量にホローカソード内にス
パッターされた基底状態の原子蒸気による自己吸収のた
めである。
いられる。一方、HCLを繰り返し周波数1KHz、パルス幅2
0μsec、ピーク電流200mA以内程度で大電流パルス駆動
させると発光輝度が直流点灯時と比較して数10〜数100
倍になること、またそのパルス電流にバースト状高周波
パルス(160MHz、200Vp−p程度)を同期重置させると
更に輝度が数倍〜数10倍増加することが確認されてい
る。このような大電流パルス動作ホローカソードランプ
に関する詳細は、近接イオン線の過渡発光特性、スペク
トル線幅の過渡変化をも含めて既に同一の筆者により報
告されている。(例えば分光研究32,318(1983)参照) 第2(B)図はHCLの共鳴線のスペクトル線幅が電流値
に対してどのように変化するかを模式的に示している。
(a)は通常の直流点灯、(b)は大電流パルス点灯さ
せた場合、(c)は更に電流値を増加させた場合であ
る。電流値を増加させると輝度も増加するかわりにスペ
クトル線幅も拡がっていく。(勿論スペクトル線幅も過
渡的に変化して発光開始後は狭く、徐々に拡がっていく
が、ここではその平均値とする。)(c)では自己反転
を生じている。スペクトル線幅が拡がる原因の主たるも
のは大電流パルスによって大量にホローカソード内にス
パッターされた基底状態の原子蒸気による自己吸収のた
めである。
前述した従来のS−H方式によるバックグラウンド吸収
補正法は、通常HCLを直流点灯させて第3(B)図
(a)の状態で試料による吸光度とバックグラウンドに
よる吸光度の和を求めておき、一定周期毎に大電流パル
ス点灯させて同図(b)または(c)の状態でバックグ
ラウンド吸収を求め、前者から後者の値を引いて真の吸
光度を求めている。しかしながらこの方式では(b)の
状態あるいは(c)の状態でも完全に自己反転していな
いため試料による吸収が生じることがあり、若干の誤差
を含むことになる。
補正法は、通常HCLを直流点灯させて第3(B)図
(a)の状態で試料による吸光度とバックグラウンドに
よる吸光度の和を求めておき、一定周期毎に大電流パル
ス点灯させて同図(b)または(c)の状態でバックグ
ラウンド吸収を求め、前者から後者の値を引いて真の吸
光度を求めている。しかしながらこの方式では(b)の
状態あるいは(c)の状態でも完全に自己反転していな
いため試料による吸収が生じることがあり、若干の誤差
を含むことになる。
ここで提案するHCLは、第2(C)図の(e)と(d)
で示されるようなスペクトル線形状を有する2種類の発
光が可能なランプである。(d)で試料による吸収+バ
ックグラウンド吸収を、(d)が完全に自己反転した形
状の(e)でバックグラウンド吸収のみを測定でき、補
正の精度が向上する。
で示されるようなスペクトル線形状を有する2種類の発
光が可能なランプである。(d)で試料による吸収+バ
ックグラウンド吸収を、(d)が完全に自己反転した形
状の(e)でバックグラウンド吸収のみを測定でき、補
正の精度が向上する。
実施例 以下本発明の実施例を第3〜5図を参照して説明する。
上述した第2(C)図の発光スペクトル線(e)と
(d)を発光可能とするため、本発明のホローカソード
ランプは第3図のように構成される。本発明のホローカ
ソードランプ1は図示の実施例において同一元素から成
る2つのホローカソード、つまり第1の後段ホローカソ
ードC1と第2の前段ホローカソードC2を備え、両ホロー
カソードC1とC2はランプ1の光軸に沿って一定距離を隔
て縦列状に配置されている。前段ホローカソードC2は中
空状で、後段ホローカソードC1から生じた光がその中空
部を通る透過型に構成し、光は矢印のごとく図中右方向
に取り出される。K1,K2はそれぞれのカソード、A1,A2は
それぞれのアノードで、第2のアノードの配置法、個
数、形状は図示例以外にもいろいろ変更し得る。また図
中点線で示したSは所望により前段ホローカソードC1の
前後に置かれる透明な遮へい板で、発光スペクトル線の
自己反転に寄与する原子蒸気を閉じ込めるのに有効であ
るため設ける方が好ましい。
(d)を発光可能とするため、本発明のホローカソード
ランプは第3図のように構成される。本発明のホローカ
ソードランプ1は図示の実施例において同一元素から成
る2つのホローカソード、つまり第1の後段ホローカソ
ードC1と第2の前段ホローカソードC2を備え、両ホロー
カソードC1とC2はランプ1の光軸に沿って一定距離を隔
て縦列状に配置されている。前段ホローカソードC2は中
空状で、後段ホローカソードC1から生じた光がその中空
部を通る透過型に構成し、光は矢印のごとく図中右方向
に取り出される。K1,K2はそれぞれのカソード、A1,A2は
それぞれのアノードで、第2のアノードの配置法、個
数、形状は図示例以外にもいろいろ変更し得る。また図
中点線で示したSは所望により前段ホローカソードC1の
前後に置かれる透明な遮へい板で、発光スペクトル線の
自己反転に寄与する原子蒸気を閉じ込めるのに有効であ
るため設ける方が好ましい。
次に第4図のタイミングチャートを参照して動作を説明
する。まず第4(a)図に示すように後段ホローカソー
ドC1は適当なタイミングコントロールユニットからのパ
ルス信号により、一定間隔で大電流パルス点灯される。
その発光スペクトル線のうち第4(d)図に示した1つ
置きの(1)と(3)がそのまま測定用の光源として使
われる。
する。まず第4(a)図に示すように後段ホローカソー
ドC1は適当なタイミングコントロールユニットからのパ
ルス信号により、一定間隔で大電流パルス点灯される。
その発光スペクトル線のうち第4(d)図に示した1つ
置きの(1)と(3)がそのまま測定用の光源として使
われる。
一方、HCLを大電流パルス点灯させると、発光終了後数1
00μsec程度はホローカソード内あるいはその前後に大
量の原子蒸気が滞在している。したがってこの期間中に
同一の原子の共鳴線を入射させるそれらの原子蒸気によ
って自己吸収が生じ、きれいな自己反転が得られる点に
着目し、第4(b)図に示すように前段ホローカソード
C2を後段ホローカソードC1の発光タイミングのうち残り
の1つ置きのタイミング(2)と(4)より所定時間
(数100μsec以下)早い時点で大電流パルス点灯する。
これによって第4(c)図に示すように、前段ホローカ
ソードC2内及びその前後には原子蒸気が残留している。
従って、後段ホローカソードC1はその原子蒸気が残って
いる間に大電流パルス点灯されることになり、その発光
スペクトル線は原子蒸気で吸収され、HCLからは第4
(d)図の(2)と(4)に示すように完全に自己反転
した発光スペクトル線が得られ、これがバックグラウン
ド補正用の光源として使われる。第4(d)図の
(1),(3)と(2),(4)が第3(c)図の
(d)と(e)にそれぞれ対応しているのは明らかであ
ろう。また前段のホローカソードをパルス点灯した際に
生じる、自己反転の生じていない発光スペクトル線
(5),(6)は、必要に応じて測定用光源にすること
も可能であるし、信号処理回路の構成によって、無視す
ることも可能である。
00μsec程度はホローカソード内あるいはその前後に大
量の原子蒸気が滞在している。したがってこの期間中に
同一の原子の共鳴線を入射させるそれらの原子蒸気によ
って自己吸収が生じ、きれいな自己反転が得られる点に
着目し、第4(b)図に示すように前段ホローカソード
C2を後段ホローカソードC1の発光タイミングのうち残り
の1つ置きのタイミング(2)と(4)より所定時間
(数100μsec以下)早い時点で大電流パルス点灯する。
これによって第4(c)図に示すように、前段ホローカ
ソードC2内及びその前後には原子蒸気が残留している。
従って、後段ホローカソードC1はその原子蒸気が残って
いる間に大電流パルス点灯されることになり、その発光
スペクトル線は原子蒸気で吸収され、HCLからは第4
(d)図の(2)と(4)に示すように完全に自己反転
した発光スペクトル線が得られ、これがバックグラウン
ド補正用の光源として使われる。第4(d)図の
(1),(3)と(2),(4)が第3(c)図の
(d)と(e)にそれぞれ対応しているのは明らかであ
ろう。また前段のホローカソードをパルス点灯した際に
生じる、自己反転の生じていない発光スペクトル線
(5),(6)は、必要に応じて測定用光源にすること
も可能であるし、信号処理回路の構成によって、無視す
ることも可能である。
次に、本発明のホローカソードランプを原子吸光光度計
に適用した場合の一例を第5図に示す。第1図と同じ
く、HCL1からの測定光と補正光が原子化部3に照射さ
れ、サンプルまたはバックグラウンドで吸収された光が
分光器4を経て検出器5に入る。タイミンクコントロー
ルユニット7がHCL1の発光タイミングと、2チャネルの
ボックスカー積分器8,9の切換タイミングを制御する。
つまり検出器5からの電気信号は、後段ホローカソード
C1の発光に同期して切換えられるボックスカー積分器8,
9へ交互に入力し、例えばボックスカー積分器8が試料
吸収とバックグラウンド吸収を含む信号を積分し、他方
ボックスカー積分器9が補正用のバックグラウンド吸収
だけを含んだ信号を積分する。信号処理部6で両ボック
スカー積分器8,9からの出力差を演算して、試料吸収だ
けに関するデータが得られる。図示例では2チャネル方
式としたが、3チャネルのボックスカー積分器構成とし
て、光のバックグラウンド吸収と別の発光間における検
出器および信号処理回路のバックグラウンドノイズの減
算も行なうことができる。
に適用した場合の一例を第5図に示す。第1図と同じ
く、HCL1からの測定光と補正光が原子化部3に照射さ
れ、サンプルまたはバックグラウンドで吸収された光が
分光器4を経て検出器5に入る。タイミンクコントロー
ルユニット7がHCL1の発光タイミングと、2チャネルの
ボックスカー積分器8,9の切換タイミングを制御する。
つまり検出器5からの電気信号は、後段ホローカソード
C1の発光に同期して切換えられるボックスカー積分器8,
9へ交互に入力し、例えばボックスカー積分器8が試料
吸収とバックグラウンド吸収を含む信号を積分し、他方
ボックスカー積分器9が補正用のバックグラウンド吸収
だけを含んだ信号を積分する。信号処理部6で両ボック
スカー積分器8,9からの出力差を演算して、試料吸収だ
けに関するデータが得られる。図示例では2チャネル方
式としたが、3チャネルのボックスカー積分器構成とし
て、光のバックグラウンド吸収と別の発光間における検
出器および信号処理回路のバックグラウンドノイズの減
算も行なうことができる。
原子螢光分光光度計の場合にも、光の検出方向が励起光
に対してある角度を有するだけでシステムの構成及び動
作は同様である。その他、一般の科学計測用の近接2波
長光源等にも本発明のホローカソードランプを適用でき
るのは勿論である。
に対してある角度を有するだけでシステムの構成及び動
作は同様である。その他、一般の科学計測用の近接2波
長光源等にも本発明のホローカソードランプを適用でき
るのは勿論である。
発明の効果 以上述べたように本発明によれば、全く新しいタイプの
ホローカソードランプによって完全に自己反転した発光
スペクトル線を得ることができ、別個の光源や大がかり
な装置を必要とせずバックグラウンドや散乱による影響
を高い精度で補正可能な原子吸光/螢光光度計用の光源
が得られる。
ホローカソードランプによって完全に自己反転した発光
スペクトル線を得ることができ、別個の光源や大がかり
な装置を必要とせずバックグラウンドや散乱による影響
を高い精度で補正可能な原子吸光/螢光光度計用の光源
が得られる。
第1図は原子吸光法を説明するためのブロック図、第2
(A)〜(B)図は原子吸光測定に用いる光源とホロー
カソードからの発光スペクトル線を示す図、第2(C)
図は本発明の原子吸光測定に用いる光源とホローカソー
ドからの発光スペクトル線を示す図、第3図は本発明に
よるホローカソードランプの構成を示す斜視図、第4図
はホローカソードランプの動作を説明するためのタイミ
ングチャート、第5図は本ホローカソードランプを適用
した原子吸光分光光度計の構成を示すブロック図であ
る。 1……ホローカソードランプ、3……原子化部、4……
分光器、5……検出器、6……信号処理部、7……タイ
ミングコントロールユニット、8,9……ボックスカー積
分器、C1……後段ホローカソード、C2……前段ホローカ
ソード、S……遮へい板。
(A)〜(B)図は原子吸光測定に用いる光源とホロー
カソードからの発光スペクトル線を示す図、第2(C)
図は本発明の原子吸光測定に用いる光源とホローカソー
ドからの発光スペクトル線を示す図、第3図は本発明に
よるホローカソードランプの構成を示す斜視図、第4図
はホローカソードランプの動作を説明するためのタイミ
ングチャート、第5図は本ホローカソードランプを適用
した原子吸光分光光度計の構成を示すブロック図であ
る。 1……ホローカソードランプ、3……原子化部、4……
分光器、5……検出器、6……信号処理部、7……タイ
ミングコントロールユニット、8,9……ボックスカー積
分器、C1……後段ホローカソード、C2……前段ホローカ
ソード、S……遮へい板。
Claims (2)
- 【請求項1】複数個の同一元素または同一成分から成る
ホローカソードを同一のホローカソードランプ内にその
光軸に沿って縦列状に配置し、前段のホローカソードが
中空が空で後段のホローカソードランプからの光が前段
ホローカソード中空部を透過し、前段のホローカソード
で生じる原子蒸気を一定の空間に閉じ込める透明な遮蔽
板を前段のホローカソードの前後に設け、後段のホロー
カソードを一定間隔で大電流パルス点灯し、かつ、前段
のホローカソードを後段のホローカソードの発光タイミ
ングより原子蒸気が残存する所定時間早い時点で大電流
パルス点灯するタイミングコントロールユニットを設け
たことを特徴とするホローカソードランプ。 - 【請求項2】複数個の同一元素または同一成分から成る
ホローカソードを同一のホローカソード内にその光軸に
沿って縦列状に配置し、前段のホローカソードが中空で
後段のホローカソードランプからの光が中空部を透過す
るように構成し、前段のホローカソードで生じる原子蒸
気を一定の空間に閉じ込める透明な遮蔽板を前段のホロ
ーカソードの前後に設け、後段のホローカソードを一定
間隔で大電流パルス点灯し、かつ、前段のホローカソー
ドを後段のホローカソードの発光タイミングより原子蒸
気が残存する所定時間早い時点で大電流パルス点灯する
タイミングコントロールユニットを設けたホローカソー
ドランプを光源として用い、上記複数のホローカソード
をタイミングコントロールユニットにより大電流パルス
点灯させ、前段または後段のホローカソードの大電流パ
ルス点灯で生じた発光スペクトル線を測定光源とする一
方、後段ホローカソードからの発光スペクトル線を前段
ホローカソードの大電流パルス点灯によって生じた原子
蒸気により自己反転させ、この自己反転した発光スペク
トル線を原子吸光分析のバックグラウンド補正光源又は
原子螢光分析の散乱補正用光源としたことを特徴とする
原子吸光/螢光分光光度計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61269039A JPH0797045B2 (ja) | 1986-11-12 | 1986-11-12 | ホロ−カソ−ドランプ及び該ランプを光源とした原子吸光/螢光分光光度計 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61269039A JPH0797045B2 (ja) | 1986-11-12 | 1986-11-12 | ホロ−カソ−ドランプ及び該ランプを光源とした原子吸光/螢光分光光度計 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63122922A JPS63122922A (ja) | 1988-05-26 |
JPH0797045B2 true JPH0797045B2 (ja) | 1995-10-18 |
Family
ID=17466822
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61269039A Expired - Lifetime JPH0797045B2 (ja) | 1986-11-12 | 1986-11-12 | ホロ−カソ−ドランプ及び該ランプを光源とした原子吸光/螢光分光光度計 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0797045B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002075284A (ja) * | 2000-09-01 | 2002-03-15 | Hamamatsu Photonics Kk | ホロカソードランプ、原子吸光分析装置及び原子蛍光分析装置 |
JP2002075285A (ja) * | 2000-09-01 | 2002-03-15 | Hamamatsu Photonics Kk | ホロカソードランプ、原子吸光分析装置及び原子蛍光分析装置 |
JP2002075283A (ja) * | 2000-09-01 | 2002-03-15 | Hamamatsu Photonics Kk | ホロカソードランプ、原子吸光分析装置及び原子蛍光分析装置 |
JP4986509B2 (ja) * | 2006-06-13 | 2012-07-25 | 株式会社オーク製作所 | 紫外連続スペクトルランプおよび点灯装置 |
CN108760650B (zh) * | 2018-05-25 | 2023-10-13 | 北京海光仪器有限公司 | 一种多灯位旋转灯塔对光系统 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5199093A (ja) * | 1976-01-26 | 1976-09-01 | Hamamatsu Tv Co Ltd | Supekutoruhodenkan |
-
1986
- 1986-11-12 JP JP61269039A patent/JPH0797045B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63122922A (ja) | 1988-05-26 |
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