JPH0796726A - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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Publication number
JPH0796726A
JPH0796726A JP24096593A JP24096593A JPH0796726A JP H0796726 A JPH0796726 A JP H0796726A JP 24096593 A JP24096593 A JP 24096593A JP 24096593 A JP24096593 A JP 24096593A JP H0796726 A JPH0796726 A JP H0796726A
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JP
Japan
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control
damping force
sprung
value
shock absorber
Prior art date
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Application number
JP24096593A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Fuchida
剛 渕田
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Unisia Jecs Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高周波路面入力時における車両の乗り心地を
悪化させることなく、大きな低周波路面入力時における
十分な制振性が得られて車両の操縦安定性を確保するこ
とができる車両懸架装置の提供。 【構成】 ばね上挙動検出手段cで検出されたばね上挙
動信号値が所定の大入力しきい値未満である時は、ばね
上挙動信号値及び低めの制御ゲインに基づいてショック
アブソーバbを最適の減衰力特性に制御すべく減衰力特
性制御手段aに切り換え信号を出力する基本制御部dを
有する制御手段eと、制御手段eに設けられ、ばね上挙
動信号値が所定の大入力しきい値以上になると、その後
ばね上挙動信号の方向が逆転した時点からさらにその方
向が逆転するまでの半周期の間は、所定の大入力しきい
値以上となった半周期前のばね上挙動信号のピーク値に
比例して基本制御部dにおける制御ゲインを高めに変更
する補正制御部fとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ショックアブソーバの
減衰力特性を最適制御する車両の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ショックアブソーバの減衰力特性
制御を行う車両懸架装置としては、例えば、実開昭63
−93203号公報に記載されたものが知られている。
この従来の車両懸架装置は、ばね上上下速度及びばね上
・ばね下間の相対速度を検出し、両者が同符号の時に
は、減衰力特性をハードとし、両者が異符号の時には減
衰力特性をソフトにするといったスカイフック理論に基
づく減衰力特性制御を、4輪独立に行うものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来装置にあっては、以下に述べるような問題点があっ
た。
【0004】上述のようなスカイフック理論に基づく減
衰力特性制御に必要なばね上上下速度等のばね上挙動信
号の検出に関し、ゲイン,位相ともに制御に必要な周波
数帯全域において現実の挙動と同一の状態で検出する手
段はないため、現在のところは、フィルタ処理をしたり
積分器等を用いることにより、近似的に求めた信号に基
づいて制御が行なわれている。ところが、この方法では
ゲイン,位相等がある特定の狭い範囲(主に低周波側)
でしか一致せず、特に高周波側では現実の挙動とのずれ
(遅れ)が生じることから、高周波路面入力時において
は現実の車両挙動に適応した減衰力特性制御を行なうこ
とができなくなり、このため、低周波路面入力時におけ
る制振性を高めるべく全体の制御ゲインを高めに設定し
ておくと、高周波路面入力時における車両の乗り心地を
悪化させることになる。
【0005】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、高周波路面入力時における車両の乗り
心地を悪化させることなく、大きな低周波路面入力時に
おける十分な制振性が得られて車両の操縦安定性を確保
することができる車両懸架装置を提供することを目的と
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明請求項1記載の車両懸架装置は、図1のク
レーム対応図に示すように、車体側と各車輪側の間に介
在され、減衰力特性変更手段aにより減衰力特性を変更
可能なショックアブソーバbと、ばね上の挙動を検出す
るばね上挙動検出手段cと、該ばね上挙動検出手段cで
検出されたばね上挙動信号値が所定の大入力しきい値未
満である時は、ばね上挙動検出手段cからのばね上挙動
信号値及び低めの制御ゲインに基づいてショックアブソ
ーバを最適の減衰力特性に制御すべく減衰力特性制御手
段に切り換え信号を出力する基本制御部dを有する制御
手段eと、該制御手段eに設けられ、ばね上挙動検出手
段cで検出された信号値が所定の大入力しきい値以上に
なると、その後ばね上挙動信号の方向が逆転した時点か
らさらにその方向が逆転するまでの半周期の間は、基本
制御部dにおける制御ゲインを高めに変更する補正制御
部fとを備えている手段とした。
【0007】また、請求項2記載の車両懸架装置では、
上記構成に加え、補正制御部において高めに変更される
制御ゲインの値を所定の大入力しきい値以上となった半
周期前のばね上挙動信号のピーク値に比例して変化させ
るようにした。
【0008】
【作用】本発明請求項1記載の車両懸架装置では、上述
のように構成されるので、大きな低周波成分のない高周
波路面入力の時は、ばね上挙動の検出値が所定の大入力
しきい値未満で変位するため、基本制御部では、ばね上
挙動検出手段からのばね上挙動信号値及び低めの制御ゲ
インに基づいてショックアブソーバを最適の減衰力特性
に制御すべく減衰力特性制御手段に切り換え信号が出力
される。以上のように、高周波路面入力に対しては低め
の制御ゲインにより、ばね上への振動伝達を抑制して車
両の乗り心地を重視した減衰力特性制御が行なわれる。
また、大きな低周波成分が含まれた路面入力の時は、ば
ね上挙動の検出値が所定の大入力しきい値以上になるた
め、補正制御部では、その後ばね上挙動信号の方向が逆
転した時点からさらにその方向が逆転するまでの半周期
の間は、基本制御部における制御ゲインを高めに変更す
る処理が行なわれる。
【0009】以上のように、大きな低周波成分が含まれ
た路面入力に対しては高めの制御ゲインに切り換えるこ
とにより、車両の制振性を高めて操縦安定性を重視した
減衰力特性制御が行なわれる。そして、制御ゲインの切
り換えを、ばね上挙動信号の方向が逆転した時点から半
周期の間に行なうことで、制御ゲインの切り換えによる
減衰力特性の急激な変動を防止することができる。
【0010】また、本発明請求項2記載の車両懸架装置
では、補正制御部において高めに変更される制御ゲイン
の値が所定の大入力しきい値以上となった半周期前のば
ね上挙動信号のピーク値に比例して変化するもので、こ
れにより、大振幅入力時におけるばね上挙動信号の大き
さに適応した最適な補正制御が行なわれる。
【0011】
【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。ま
ず、構成について説明する。
【0012】図2は、本発明第1実施例の車両懸架装置
を示す構成説明図であり、車体と4つの車輪との間に介
在されて、4つのショックアブソーバSA1 ,SA2
SA3 ,SA4 (尚、ショックアブソーバを説明するに
あたり、これら4つをまとめて指す場合、及びこれらの
共通の構成を説明する時にはただ単にSAと表示す
る。)が設けられている。そして、各ショックアブソー
バSAの近傍位置の車体には、上下方向の加速度を検出
する上下加速度センサ(以後、上下Gセンサという)1
が設けられている。また、運転席の近傍位置には、各上
下Gセンサ1からの信号を入力して、各ショックアブソ
ーバSAのパルスモータ3に駆動制御信号を出力するコ
ントロールユニット4が設けられている。
【0013】図3は、上記構成を示すシステムブロック
図であって、コントロールユニット4は、インタフェー
ス回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前記イ
ンタフェース回路4aには、上述の各上下Gセンサ1か
らの信号が入力される。尚、前記インタフェース回路4
a内には、各上下Gセンサ1から送られる信号の中から
高周波域(30Hz以上)のノイズを除去するためのローパ
スフィルタ回路と、該ローパスフィルタ回路を通過した
加速度を示す信号を積分してばね上上下速度Vn に変換
するためのローパスフィルタ回路とで構成されるフィル
タ回路4dが、各上下Gセンサ1毎に設けられている。
【0014】次に、図4は、ショックアブソーバSAの
構成を示す断面図であって、このショックアブソーバS
Aは、シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部
室Bとに画成したピストン31と、シリンダ30の外周
にリザーバ室32を形成した外筒33と、下部室Bとリ
ザーバ室32とを画成したベース34と、ピストン31
に連結されたピストンロッド7の摺動をガイドするガイ
ド部材35と、外筒33と車体との間に介在されたサス
ペンションスプリング36と、バンパラバー37とを備
えている。
【0015】次に、図5は前記ピストン31の部分を示
す拡大断面図であって、この図に示すように、ピストン
31には、貫通孔31a,31bが形成されていると共
に、各貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する圧側減
衰バルブ20及び伸側減衰バルブ12が設けられてい
る。また、ピストンロッド7の先端に螺合されたバウン
ドストッパ41には、ピストン31を貫通したスタッド
38が螺合して固定されていて、このスタッド38に
は、貫通孔31a,31bをバイパスして上部室Aと下
部室Bとを連通する流路(後述の伸側第2流路E,伸側
第3流路F,バイパス流路G,圧側第2流路J)を形成
するための連通孔39が形成されていて、この連通孔3
9内には前記流路の流路断面積を変更するための調整子
40が回動自在に設けられている。また、スタッド38
の外周部には、流体の流通の方向に応じて前記連通孔3
9で形成される流路側の流通を許容・遮断する伸側チェ
ックバルブ17と圧側チェックバルブ22とが設けられ
ている。尚、この調整子40は、前記パルスモータ3に
よりコントロールロッド70を介して回転されるように
なっている(図4参照)。また、スタッド38には、上
から順に第1ポート21,第2ポート13,第3ポート
18,第4ポート14,第5ポート16が形成されてい
る。
【0016】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れると共に、内外を連通する第1横孔24及び第2横孔
25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形成され
ている。
【0017】従って、前記上部室Aと下部室Bとの間に
は、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔31
bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部室B
に至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝23,
第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外周側
を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポー
ト13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側チェ
ックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路
Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19を経
由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路があ
る。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、貫通
孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側第1
流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート21
を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに
至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25,第
3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス流路G
との3つの流路がある。
【0018】即ち、ショックアブソーバSAは、調整子
40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれとも
図6に示すような特性で減衰力特性を多段階に変更可能
に構成されている。つまり、図7に示すように、伸側・
圧側いずれもソフトとした状態(以後、ソフト領域SS
という)から調整子40を反時計方向に回動させると、
伸側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で圧側が低減衰
力特性に固定の領域(以後、伸側ハード領域HSとい
う)となり、逆に、調整子40を時計方向に回動させる
と、圧側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で伸側が低
減衰力特性に固定の領域(以後、圧側ハード領域SHと
いう)となる構造となっている。
【0019】ちなみに、図7において、調整子40を
,,のポジションに配置した時の、図5における
K−K断面,L−L断面及びM−M断面,N−N断面
を、それぞれ、図8,図9,図10に示し、また、各ポ
ジションの減衰力特性を図11,12,13に示してい
る。
【0020】次に、パルスモータ3の駆動を制御するコ
ントロールユニット4の全体の作動について、図14の
フローチャート及び図15のタイムチャートに基づき説
明する。尚、この制御は、各ショックアブソーバSA毎
に別個に行う。
【0021】まず、図14のフローチャートにおいて、
ステップ101は、大入力制御実行フラグ(FLAG
2)がON状態か否かを判定するステップであり、YE
Sでステップ108に進み、NOでステップ102に進
む。
【0022】ステップ102は、コントロールユニット
4の基本制御部において通常制御が行なわれるステップ
である。即ち、この通常制御においては、乗り心地を重
視した低めの制御ゲインK1 により、次式(1) に基づい
て減衰力ポジションPの比例制御が行なわれる。
【0023】P=Vn ×K1 ・・・・・・・・(1) ステップ103は、大入力制御検出フラグ(FLAG
1)がON状態か否かを判定するステップであり、YE
Sでステップ106に進み、NOでステップ104に進
む。
【0024】ステップ104は、ばね上上下速度Vn が
大入力しきい値VTH〜V-TH の範囲を越えたか否かを判
定するステップであり、YESでステップ105に進
み、NOでステップ102に戻る。
【0025】ステップ105は、大入力制御検出フラグ
(FLAG1)をONにするステップである。
【0026】ステップ106は、ばね上上下速度Vn
が、0点をクロスしたか否かを判定するステップであ
り、YESでステップ107に進み、NOでステップ1
02に戻る。
【0027】ステップ107は、大入力時補正制御実行
フラグ(FLAG2)をONにするステップである。
【0028】ステップ108は、コントロールユニット
4の補正制御部において補正制御が行なわれるステップ
である。即ち、この補正制御においては、操縦安定性を
重視した高めの制御ゲインK2 により、次式(2) に基づ
いて減衰力ポジションPの比例制御が行なわれる。
【0029】P=Vn ×K2 ・・・・・・・・(2) ステップ109は、ばね上上下速度Vn が、0点をクロ
スしたか否かを判定するステップであり、YESでステ
ップ110に進み、NOでステップ101に戻る。
【0030】ステップ110は、大入力制御検出フラグ
(FLAG1)及び大入力時補正制御実行フラグ(FL
AG2)をOFF状態にするステップであり、このステ
ップで一回の制御フローを終了する。
【0031】次に、コントロールユニット4の全体の制
御作動を図15のタイムチャートに基づいて説明する。
尚、この図においては、上から順に、ばね上上下速度V
n ,大入力制御検出フラグ(FLAG1)のON・OF
F状態,大入力時補正制御実行フラグ(FLAG2)の
ON・OFF状態、目標減衰力ポジションPをそれぞれ
示している。
【0032】まず、大きな低周波成分のない高周波路面
入力の時は、ばね上上下速度Vn が所定の大入力しきい
値VTH〜V-TH の範囲内で変位するため、コントロール
ユニット4の基本制御部では、ばね上上下速度Vn 及び
低めの制御ゲインK1 に基づいた減衰力特性の比例制御
が行なわれる。
【0033】以上のように、高周波路面入力に対しては
低めの制御ゲインK1 による低めの減衰力特性によっ
て、ばね上への振動伝達を抑制することができるため、
車両の乗り心地を確保することができる。
【0034】次に、大きな低周波成分が含まれた路面入
力の時は、ばね上上下速度Vn が所定の大入力しきい値
TH〜V-TH の範囲を越えるため、コントロールユニッ
ト4の補正制御部では、その後ばね上上下速度Vn の方
向が逆転した時点からさらにその方向が逆転するまでの
半周期の間(パルスモータ3の目標減衰力ポジションの
斜線で示す範囲の間)は、ばね上上下速度Vn 及び高め
の制御ゲインK2 に基づいた減衰力特性の比例制御が行
なわれる。
【0035】以上のように、大きな低周波成分が含まれ
た路面入力に対しては高めの制御ゲインK2 による高め
の減衰力特性に切り換えることにより、車両の制振性を
高めて操縦安定性を確保することができる。
【0036】そして、この制御ゲインの切り換えを、ば
ね上上下速度Vn の方向が逆転した時点からさらにその
方向が逆転するまでの半周期の間に行なうことで、制御
ゲインの切り換えによる減衰力特性の急激な変動を防止
することができる。
【0037】次に、減衰力特性の通常制御の内容を、図
16のフローチャート及び図17のタイムチャートに基
づいて説明する。
【0038】まず、図16において、ステップ201
は、各上下Gセンサ1,1,1,1から得られる上下加
速度を各フィルタ回路4dで処理して各車輪位置のばね
上上下速度Vn を求める処理を行うステップである。
尚、この各ばね上上下速度Vn は、上方向の時には正の
値で、また、下方向の時には負の値で与えられる。
【0039】ステップ202は、ばね上上下速度Vn が
正の値であるか否かを判定するステップであり、YES
(上方向)でステップ203に進み、NOでステップ2
04に進む。
【0040】ステップ203は、ショックアブソーバS
Aを伸側ハード領域HSに制御するステップであり、こ
のステップで一回の制御フローを終了する。
【0041】ステップ204は、ばね上上下速度Vn が
0であるか否かを判定するステップであり、YESでス
テップ205に進み、NOでステップ206に進む。
【0042】ステップ205は、ショックアブソーバS
Aをソフト領域SSに制御するステップであり、このス
テップで一回の制御フローを終了する。
【0043】ステップ206は、便宜上表示しているス
テップであり、ステップ202及びステップ204でN
Oと判定された場合には、ばね上上下速度Vn は負の値
であり、この場合はステップ207に進む。
【0044】ステップ207は、ショックアブソーバS
Aを圧側ハード領域SHに制御するステップであり、こ
のステップで一回の制御フローを終了する。
【0045】次に、図17のタイムチャートについて説
明する。尚、このタイムチャートはばね上上下速度Vn
が大入力しきい値VTH〜V-TH の範囲未満で変化し、通
常制御が行なわれる場合を示している。
【0046】ばね上上下速度Vn がこの図に示すように
変化した場合、ばね上上下速度Vnが0である時には、
ショックアブソーバSAをソフト領域SSに制御する。
【0047】また、ばね上上下速度Vn が正の値になる
と、伸側ハード領域HSに制御して、圧側を低減衰力特
性に固定する。
【0048】また、ばね上上下速度Vn が負の値になる
と、圧側ハード領域SHに制御して、伸側を低減衰力特
性に固定する。
【0049】また、図17のタイムチャートにおいて、
領域aは、ばね上上下速度Vn が負の値(下向き)から
正の値(上向き)に逆転した状態であるが、この時はま
だ相対速度は負の値(ショックアブソーバSAの行程は
圧行程側)となっている領域であるため、この時は、ば
ね上上下速度Vn の方向に基づいてショックアブソーバ
SAは伸側ハード領域HSに制御されており、従って、
この領域ではその時のショックアブソーバSAの行程で
ある圧行程側がソフト特性となる。
【0050】また、領域bは、ばね上上下速度Vn が正
の値(上向き)のままで、相対速度は負の値から正の値
(ショックアブソーバSAの行程は伸行程側)に切り換
わった領域であるため、この時は、ばね上上下速度Vn
の方向に基づいてショックアブソーバSAは伸側ハード
領域HSに制御されており、かつ、ショックアブソーバ
の行程も伸行程であり、従って、この領域ではその時の
ショックアブソーバSAの行程である伸行程側が、ばね
上上下速度Vn の値に比例したハード特性となる。
【0051】また、領域cは、ばね上上下速度Vn が正
の値(上向き)から負の値(下向き)に逆転した状態で
あるが、この時はまだ相対速度は正の値(ショックアブ
ソーバSAの行程は伸行程側)となっている領域である
ため、この時は、ばね上上下速度Vn の方向に基づいて
ショックアブソーバSAは圧側ハード領域SHに制御さ
れており、従って、この領域ではその時のショックアブ
ソーバSAの行程である伸行程側がソフト特性となる。
【0052】また、領域dは、ばね上上下速度Vn が負
の値(下向き)のままで、相対速度は正の値から負の値
(ショックアブソーバSAの行程は圧行程側)になる領
域であるため、この時は、ばね上上下速度Vn の方向に
基づいてショックアブソーバSAは圧側ハード領域SH
に制御されており、かつ、ショックアブソーバの行程も
圧行程であり、従って、この領域ではその時のショック
アブソーバSAの行程である圧行程側が、ばね上上下速
度Vn の値に比例したハード特性となる。
【0053】以上のように、この実施例では、ばね上上
下速度Vn とばね上・ばね下間の相対速度とが同符号の
時(領域b,領域d)は、その時のショックアブソーバ
SAの行程側をハード特性に制御し、異符号の時(領域
a,領域c)は、その時のショックアブソーバSAの行
程側をソフト特性に制御するという、スカイフック理論
に基づいた減衰力特性制御と同一の制御が、ばね上・ば
ね下間相対速度を検出することなしに行なわれることに
なる。そして、さらに、この実施例では、領域aから領
域b,及び領域cから領域dへ移行する時には、パルス
モータ3を駆動させることなしに減衰力特性の切り換え
が行なわれることになる。
【0054】以上説明したように、この第1実施例の車
両懸架装置では、以下に列挙する効果が得られる。 大入力時にだけ補正制御を行なうようにしたこと
で、小入力時には通常制御部による低めの減衰力特性に
よって車両の乗り心地を確保することができると共に、
大きな路面入力に対しては補正制御部による高めの減衰
力特性により十分な制振性が得られて操縦安定性を向上
させることができる。
【0055】 従来のスカイフック理論に基づいた減
衰力特性制御に比べ、減衰力特性の切り換え頻度が少な
くなるため、制御応答性を高めることができると共に、
パルスモータ3の耐久性を向上させることができる。
【0056】次に、本発明第2実施例の車両懸架装置
を、図18のフローチャート、及び、図19のタイムチ
ャートに基づいて説明する。尚、この実施例は、コント
ロールユニット4における制御内容が前記第1実施例と
相違するもので、その他の構成は前記第1実施例と同様
であるためその説明を省略し、相違点についてのみ説明
する。
【0057】まず、図18のフローチャートにおいて、
ステップ301は、大入力制御実行フラグ(FLAG
2)がON状態か否かを判定するステップであり、YE
Sでステップ308に進み、NOでステップ302に進
む。
【0058】ステップ302は、コントロールユニット
4の基本制御部において通常制御が行なわれるステップ
である。即ち、この通常制御においては、乗り心地を重
視した低めの制御ゲインK3 ,K4 により、次式(3),
(4) に基づいて減衰力ポジションPT ,PC の比例制御
が行なわれる。
【0059】 PT =PT max (V−VNC/VT max −VNC)K3 ・・・・・・・・(3) PC =PC max (V−VNC/VC max −VNC)K4 ・・・・・・・・(4) 尚、PT は伸側の目標減衰力ポジション、PC は圧側の
目標減衰力ポジション、PT max は伸側の最大減衰力ポ
ジション、PC max は圧側の最大減衰力ポジション、V
はばね上上下速度Vn に所定の制御定数を乗じて求めら
れた信号、VNCは制御信号Vの不感帯しきい値である。
また、VT max ,VC max は最大減衰力ポジションPT
max ,PC max に対応する制御信号しきい値の最大値で
ある。即ち、この制御信号しきい値VT max ,VC max
は、制御信号Vの値がこの値を越えると制御信号Vの値
に随時更新され、この更新された値は制御信号Vが0点
をクロスする時点まで最大値に維持されるような処理が
行なわれる。
【0060】ステップ303は、大入力制御検出フラグ
(FLAG1)がON状態か否かを判定するステップで
あり、YESでステップ306に進み、NOでステップ
304に進む。
【0061】ステップ304は、ばね上上下速度Vn が
大入力しきい値VTH〜V-TH の範囲を越えたか否かを判
定するステップであり、YESでステップ305に進
み、NOでステップ302に戻る。
【0062】ステップ305は、大入力制御検出フラグ
(FLAG1)をONにするステップである。
【0063】ステップ306は、ばね上上下速度Vn に
所定の制御定数を乗じて求められた制御信号Vが、0点
をクロスしたか否かを判定するステップであり、YES
でステップ307に進み、NOでステップ302に戻
る。
【0064】ステップ307は、大入力時補正制御実行
フラグ(FLAG2)をONにするステップである。
【0065】ステップ308は、コントロールユニット
4の補正制御部において補正制御が行なわれるステップ
である。即ち、この補正制御においては、操縦安定性を
重視した高めの制御ゲインK5 ,K6 により、次式(5),
(6) に基づいて減衰力ポジションPT ,PC の比例制御
が行なわれる。
【0066】 PT =PTXmax (V−VNC/VT max −VNC)K5 ・・・・・・・・(5) PC =PCXmax (V−VNC/VC max −VNC)K6 ・・・・・・・・(6) 尚、PTXmax ,PCXmax は、次式(7),(8) に基づいて求
められる仮想の最大減衰力ポジションである。
【0067】 PTXmax =PT max (Vp /VTH)ε ・・・・・・・・(7) PCXmax =PC max (Vp /V-TH )ε ・・・・・・・・(8) 尚、Vp は大入力しきい値VTH〜V-TH の範囲を越えた
ばね上上下速度Vn のピーク値である。
【0068】ステップ309は、制御信号Vが、0点を
クロスしたか否かを判定するステップであり、YESで
ステップ310に進み、NOでステップ301に戻る。
【0069】ステップ310は、大入力制御検出フラグ
(FLAG1)及び大入力時補正制御実行フラグ(FL
AG2)をOFF状態にするステップであり、このステ
ップで一回の制御フローを終了する。
【0070】次に、コントロールユニット4の全体の制
御作動を図19のタイムチャートに基づいて説明する。
尚、この図においては、上から順に、ばね上上下速度V
n ,制御信号V,大入力制御検出フラグ(FLAG1)
のON・OFF状態,大入力時補正制御実行フラグ(F
LAG2)のON・OFF状態,目標減衰力ポジション
Pをそれぞれ示している。
【0071】まず、大きな低周波成分のない高周波路面
入力の時は、ばね上上下速度Vn が所定の大入力しきい
値VTH〜V-TH の範囲内で変位するため、コントロール
ユニット4の基本制御部では、ばね上上下速度Vn から
求めた制御信号V及び低めの制御ゲインK3 に基づいた
減衰力特性の比例制御が行なわれる。
【0072】以上のように、高周波路面入力に対しては
低めの制御ゲインK3 ,K4 による低めの減衰力特性に
よって、ばね上への振動伝達を抑制することができるた
め、車両の乗り心地を確保することができる。
【0073】次に、大きな低周波成分が含まれた路面入
力の時は、ばね上上下速度Vn が所定の大入力しきい値
TH〜V-TH の範囲を越えるため、コントロールユニッ
ト4の補正制御部では、その後制御信号Vの方向が逆転
した時点からさらにその方向が逆転するまでの半周期の
間は、その半周期前のばね上上下速度Vn のピーク値V
p 及び高めの制御ゲインK5 ,K6 に基づいた減衰力特
性の比例制御が行なわれる。即ち、鎖線で示すように、
仮想の最大減衰力ポジションPCXmax (PTXmax )の値
の設定を変化させることにより、最大減衰力ポジション
C max (PTmax )までの立ち上がり速度、及び、最
大減衰力ポジションPC max (PT max)のホールド時
間を可変制御し、これにより、斜線で示す制御力向上部
分の面積を可変制御することができる。
【0074】以上のように、大きな低周波成分が含まれ
た路面入力に対しては、大入力しきい値VTH〜V-TH
範囲を越えたばね上上下速度Vn の半周期前のピーク値
Vpに比例すると共に、高めの制御ゲインK5 ,K6
基づいた高めの減衰力特性に切り換えることにより、車
両の制振性を高めて操縦安定性を確保することができ
る。
【0075】従って、この第2実施例では、大振幅入力
時におけるばね上上下速度Vn の大きさ(ピーク値Vp
)に適応した最適な補正制御を行なうことができるよ
うになる。
【0076】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。
【0077】例えば、実施例では、伸側が減衰力特性可
変で圧側が低減衰力特性に固定の伸側ハード領域と、圧
側が減衰力特性可変で伸側が低減衰力特性に固定の圧側
ハード領域と、伸側・圧側共に低減衰力特性のソフト領
域との3つの領域を有するショックアブソーバを用いた
が、伸側及び圧側の減衰力特性が同時に変化する構造の
ショックアブソーバを用いることができる。
【0078】また、実施例では、ばね上挙動としてばね
上上下速度を用いる場合を示したが、ショックアブソー
バのストローク速度や、ばね上・ばね下間相対速度等の
その他のばね上挙動に基づいた制御を行なうことができ
る。
【0079】また、第2実施例では、仮想の最大減衰力
ポジションPTXmax ,PCXmax を演算で求める場合を示
したが、図20に示すように、マップに基づいて求める
ようにしてもよい。
【0080】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明請求項1
記載の車両懸架装置は、ばね上挙動検出手段で検出され
たばね上挙動信号値が所定の大入力しきい値未満である
時は、ばね上挙動検出手段からのばね上挙動信号値及び
低めの制御ゲインに基づいてショックアブソーバを最適
の減衰力特性に制御すべく減衰力特性制御手段に切り換
え信号を出力する基本制御部と、ばね上挙動検出手段で
検出された信号値が所定の大入力しきい値以上になる
と、その後ばね上挙動信号の方向が逆転した時点からさ
らにその方向が逆転するまでの半周期の間は、基本制御
部における制御ゲインを高めに変更する補正制御部とを
備えている手段としたことで、高周波路面入力時におけ
る車両の乗り心地を悪化させることなく、大きな低周波
路面入力時における十分な制振性が得られて車両の操縦
安定性を確保することができるようになるという効果が
得られる。
【0081】本発明請求項2記載の車両懸架装置では、
補正制御部において高めに変更される制御ゲインの値を
所定の大入力しきい値以上となった半周期前のばね上挙
動信号のピーク値に比例して変化させるようにしたこと
で、ばね上挙動の大振幅入力の大きさに適応した最適の
補正制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例の車両懸架装置を示すクレー
ム概念図である。
【図2】本発明第1実施例の車両懸架装置を示す構成説
明図である。
【図3】第1実施例の車両懸架装置を示すシステムブロ
ック図である。
【図4】第1実施例装置に適用したショックアブソーバ
を示す断面図である。
【図5】前記ショックアブソーバの要部を示す拡大断面
図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰力特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面及びM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】第1実施例装置におけるコントロールユニッ
トの全体の制御作動を示すフローチャートである。
【図15】第1実施例装置におけるコントロールユニッ
トの全体の制御作動を示すタイムチャートである。
【図16】第1実施例装置における通常制御時の作動を
示すフローチャートである。
【図17】第1実施例装置における通常制御時の作動を
示すタイムチャートである。
【図18】第2実施例装置におけるコントロールユニッ
トの全体の制御作動を示すフローチャートである。
【図19】第2実施例装置におけるコントロールユニッ
トの全体の制御作動を示すタイムチャートである。
【図20】ばね上上下速度のピーク値に対する仮想の最
大減衰力ポジションの可変特性を示すマップである。
【符号の説明】
a 減衰力特性変更手段 b ショックアブソーバ c ばね上挙動検出手段 d 基本制御部 e 制御手段 f 補正制御部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 車両懸架装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ショックアブソーバの
減衰力特性を最適制御する車両の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ショックアブソーバの減衰力特性
制御を行う車両懸架装置としては、例えば、実開昭63
−93203号公報に記載されたものが知られている。
この従来の車両懸架装置は、ばね上上下速度及びばね上
・ばね下間の相対速度を検出し、両者が同符号の時に
は、減衰力特性をハードとし、両者が異符号の時には減
衰力特性をソフトにするといったスカイフック理論に基
づく減衰力特性制御を、4輪独立に行うものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来装置にあっては、以下に述べるような問題点があっ
た。
【0004】上述のようなスカイフック理論に基づく減
衰力特性制御に必要なばね上上下速度等のばね上挙動信
号の検出に関し、ゲイン,位相ともに制御に必要な周波
数帯全域において現実の挙動と同一の状態で検出する手
段はないため、現在のところは、フィルタ処理をしたり
積分器等を用いることにより、近似的に求めた信号に基
づいて制御が行なわれている。ところが、この方法では
ゲイン,位相等がある特定の狭い範囲(主に低周波側)
でしか一致せず、特に高周波側では現実の挙動とのずれ
(遅れ)が生じることから、高周波路面入力時において
は現実の車両挙動に適応した減衰力特性制御を行なうこ
とができなくなり、このため、低周波路面入力時におけ
る制振性を高めるべく全体の制御ゲインを高めに設定し
ておくと、高周波路面入力時における車両の乗り心地を
悪化させることになる。
【0005】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、高周波路面入力時における車両の乗り
心地を悪化させることなく、大きな低周波路面入力時に
おける十分な制振性が得られて車両の操縦安定性を確保
することができる車両懸架装置を提供することを目的と
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の車両懸架装置は、図1のクレーム対応図
に示すように、車体側と各車輪側の間に介在され、減衰
力特性変更手段aにより減衰力特性を変更可能なショッ
クアブソーバbと、ばね上の挙動を検出するばね上挙動
検出手段cと、該ばね上挙動検出手段cで検出されたば
ね上挙動信号値が所定の大入力しきい値未満である時
は、ばね上挙動検出手段cからのばね上挙動信号値及び
低めの制御ゲインに基づいてショックアブソーバbを最
適の減衰力特性に制御すべく減衰力特性制御手段aに切
り換え信号を出力する基本制御部dを有する制御手段e
と、該制御手段eに設けられ、ばね上挙動検出手段cで
検出されたばね上挙動信号値が所定の大入力しきい値以
上になると、その後ばね上挙動信号の方向が逆転した時
点からさらにその方向が逆転するまでの半周期の間は、
基本制御部dにおける制御ゲインを高めに変更する補正
制御部fと、を備え、前記補正制御部fにおいて高めに
変更される制御ゲインの値を所定の大入力しきい値以上
となった半周期前のばね上挙動信号のピーク値に比例し
て変化させるようにした。
【0007】
【作用】本発明の車両懸架装置では、上述のように構成
されるので、大きな低周波成分のない高周波路面入力の
時は、ばね上挙動の検出値が所定の大入力しきい値未満
で変位するため、基本制御部では、ばね上挙動検出手段
からのばね上挙動信号値及び低めの制御ゲインに基づい
てショックアブソーバを最適の減衰力特性に制御すべく
減衰力特性制御手段に切り換え信号が出力される。以上
のように、高周波路面入力に対しては低めの制御ゲイン
により、ばね上への振動伝達を抑制して車両の乗り心地
を重視した減衰力特性制御が行なわれる。また、大きな
低周波成分が含まれた路面入力の時は、ばね上挙動の検
出値が所定の大入力しきい値以上になるため、補正制御
部では、その後ばね上挙動信号の方向が逆転した時点か
らさらにその方向が逆転するまでの半周期の間は、基本
制御部における制御ゲインを高めに変更する処理が行な
われる。
【0008】以上のように、大きな低周波成分が含まれ
た路面入力に対しては高めの制御ゲインに切り換えるこ
とにより、車両の制振性を高めて操縦安定性を重視した
減衰力特性制御が行なわれる。そして、制御ゲインの切
り換えを、ばね上挙動信号の方向が逆転した時点から半
周期の間に行なうことで、制御ゲインの切り換えによる
減衰力特性の急激な変動を防止することができる。
【0009】また、補正制御部において高めに変更され
る制御ゲインの値は所定の大入力しきい値以上となった
半周期前のばね上挙動信号のピーク値に比例して変化す
るもので、これにより、大振幅入力時におけるばね上挙
動信号の大きさに適応した最適な補正制御が行なわれ
る。
【0010】
【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。ま
ず、構成について説明する。
【0011】図2は、本発明実施例の車両懸架装置を示
す構成説明図であり、車体と4つの車輪との間に介在さ
れて、4つのショックアブソーバSA1 ,SA2 ,SA
3 ,SA4 (尚、ショックアブソーバを説明するにあた
り、これら4つをまとめて指す場合、及びこれらの共通
の構成を説明する時にはただ単にSAと表示する。)が
設けられている。そして、各ショックアブソーバSAの
近傍位置の車体には、上下方向の加速度を検出する上下
加速度センサ(以後、上下Gセンサという)1が設けら
れている。また、運転席の近傍位置には、各上下Gセン
サ1からの信号を入力して、各ショックアブソーバSA
のパルスモータ3に駆動制御信号を出力するコントロー
ルユニット4が設けられている。
【0012】図3は、上記構成を示すシステムブロック
図であって、コントロールユニット4は、インタフェー
ス回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前記イ
ンタフェース回路4aには、上述の各上下Gセンサ1か
らの信号が入力される。尚、前記インタフェース回路4
a内には、各上下Gセンサ1から送られる信号の中から
高周波域(30Hz以上)のノイズを除去するためのローパ
スフィルタ回路と、該ローパスフィルタ回路を通過した
加速度を示す信号を積分してばね上上下速度Vn に変換
するためのローパスフィルタ回路とで構成されるフィル
タ回路4dが、各上下Gセンサ1毎に設けられている。
【0013】次に、図4は、ショックアブソーバSAの
構成を示す断面図であって、このショックアブソーバS
Aは、シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部
室Bとに画成したピストン31と、シリンダ30の外周
にリザーバ室32を形成した外筒33と、下部室Bとリ
ザーバ室32とを画成したベース34と、ピストン31
に連結されたピストンロッド7の摺動をガイドするガイ
ド部材35と、外筒33と車体との間に介在されたサス
ペンションスプリング36と、バンパラバー37とを備
えている。
【0014】次に、図5は前記ピストン31の部分を示
す拡大断面図であって、この図に示すように、ピストン
31には、貫通孔31a,31bが形成されていると共
に、各貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する圧側減
衰バルブ20及び伸側減衰バルブ12が設けられてい
る。また、ピストンロッド7の先端に螺合されたバウン
ドストッパ41には、ピストン31を貫通したスタッド
38が螺合して固定されていて、このスタッド38に
は、貫通孔31a,31bをバイパスして上部室Aと下
部室Bとを連通する流路(後述の伸側第2流路E,伸側
第3流路F,バイパス流路G,圧側第2流路J)を形成
するための連通孔39が形成されていて、この連通孔3
9内には前記流路の流路断面積を変更するための調整子
40が回動自在に設けられている。また、スタッド38
の外周部には、流体の流通の方向に応じて前記連通孔3
9で形成される流路側の流通を許容・遮断する伸側チェ
ックバルブ17と圧側チェックバルブ22とが設けられ
ている。尚、この調整子40は、前記パルスモータ3に
よりコントロールロッド70を介して回転されるように
なっている(図4参照)。また、スタッド38には、上
から順に第1ポート21,第2ポート13,第3ポート
18,第4ポート14,第5ポート16が形成されてい
る。
【0015】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れると共に、内外を連通する第1横孔24及び第2横孔
25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形成され
ている。
【0016】従って、前記上部室Aと下部室Bとの間に
は、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔31
bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部室B
に至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝23,
第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外周側
を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポー
ト13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側チェ
ックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路
Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19を経
由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路があ
る。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、貫通
孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側第1
流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート21
を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに
至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25,第
3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス流路G
との3つの流路がある。
【0017】即ち、ショックアブソーバSAは、調整子
40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれとも
図6に示すような特性で減衰力特性を多段階に変更可能
に構成されている。つまり、図7に示すように、伸側・
圧側いずれもソフトとした状態(以後、ソフト領域SS
という)から調整子40を反時計方向に回動させると、
伸側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で圧側が低減衰
力特性に固定の領域(以後、伸側ハード領域HSとい
う)となり、逆に、調整子40を時計方向に回動させる
と、圧側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で伸側が低
減衰力特性に固定の領域(以後、圧側ハード領域SHと
いう)となる構造となっている。
【0018】ちなみに、図7において、調整子40を
,,のポジションに配置した時の、図5における
K−K断面,L−L断面及びM−M断面,N−N断面
を、それぞれ、図8,図9,図10に示し、また、各ポ
ジションの減衰力特性を図11,12,13に示してい
る。
【0019】次に、パルスモータ3の駆動を制御するコ
ントロールユニット4の全体の作動について、図14の
フローチャート及び図15のタイムチャートに基づき説
明する。尚、この制御は、各ショックアブソーバSA毎
に別個に行う。
【0020】まず、図14のフローチャートにおいて、
ステップ301は、大入力制御実行フラグ(FLAG
2)がON状態か否かを判定するステップであり、YE
Sでステップ308に進み、NOでステップ302に進
む。
【0021】ステップ302は、コントロールユニット
4の基本制御部において通常制御が行なわれるステップ
である。即ち、この通常制御においては、乗り心地を重
視した低めの制御ゲインK1 ,K2 により、次式(1),
(2) に基づいて減衰力ポジションPT ,PC の比例制御
が行なわれる。
【0022】 PT =PT max (V−VNC/VT max −VNC)K1 ・・・・・・・・(1) PC =PC max (V−VNC/VC max −VNC)K2 ・・・・・・・・(2) 尚、PT は伸側の目標減衰力ポジション、PC は圧側の
目標減衰力ポジション、PT max は伸側の最大減衰力ポ
ジション、PC max は圧側の最大減衰力ポジション、V
はばね上上下速度Vn に所定の制御定数を乗じて求めら
れた信号、VNCは制御信号Vの不感帯しきい値である。
また、VT max ,VC max は最大減衰力ポジションPT
max ,PC max に対応する制御信号しきい値の最大値で
ある。即ち、この制御信号しきい値VT max ,VC max
は、制御信号Vの値がこの値を越えると制御信号Vの値
に随時更新され、この更新された値は制御信号Vが0点
をクロスする時点まで最大値に維持されるような処理が
行なわれる。
【0023】ステップ303は、大入力制御検出フラグ
(FLAG1)がON状態か否かを判定するステップで
あり、YESでステップ306に進み、NOでステップ
304に進む。
【0024】ステップ304は、ばね上上下速度Vn が
大入力しきい値VTH〜V-TH の範囲を越えたか否かを判
定するステップであり、YESでステップ305に進
み、NOでステップ302に戻る。
【0025】ステップ305は、大入力制御検出フラグ
(FLAG1)をONにするステップである。
【0026】ステップ306は、ばね上上下速度Vn に
所定の制御定数を乗じて求められた制御信号Vが、0点
をクロスしたか否かを判定するステップであり、YES
でステップ307に進み、NOでステップ302に戻
る。
【0027】ステップ307は、大入力時補正制御実行
フラグ(FLAG2)をONにするステップである。
【0028】ステップ308は、コントロールユニット
4の補正制御部において補正制御が行なわれるステップ
である。即ち、この補正制御においては、操縦安定性を
重視した高めの制御ゲインK3 ,K4 により、次式(3),
(4) に基づいて減衰力ポジションPT ,PC の比例制御
が行なわれる。
【0029】 PT =PTXmax (V−VNC/VT max −VNC)K3 ・・・・・・・・(3) PC =PCXmax (V−VNC/VC max −VNC)K4 ・・・・・・・・(4) 尚、PTXmax ,PCXmax は、次式(5),(6) に基づいて求
められる仮想の最大減衰力ポジションである。
【0030】 PTXmax =PT max (Vp /VTH)ε ・・・・・・・・(5) PCXmax =PC max (Vp /V-TH )ε ・・・・・・・・(6) 尚、Vp は大入力しきい値VTH〜V-TH の範囲を越えた
ばね上上下速度Vn のピーク値である。
【0031】ステップ309は、制御信号Vが、0点を
クロスしたか否かを判定するステップであり、YESで
ステップ310に進み、NOでステップ301に戻る。
【0032】ステップ310は、大入力制御検出フラグ
(FLAG1)及び大入力時補正制御実行フラグ(FL
AG2)をOFF状態にするステップであり、このステ
ップで一回の制御フローを終了する。
【0033】次に、コントロールユニット4の全体の制
御作動を図15のタイムチャートに基づいて説明する。
尚、この図においては、上から順に、ばね上上下速度V
n ,制御信号V,大入力制御検出フラグ(FLAG1)
のON・OFF状態,大入力時補正制御実行フラグ(F
LAG2)のON・OFF状態,目標減衰力ポジション
Pをそれぞれ示している。
【0034】まず、大きな低周波成分のない高周波路面
入力の時は、ばね上上下速度Vn が所定の大入力しきい
値VTH〜V-TH の範囲内で変位するため、コントロール
ユニット4の基本制御部では、ばね上上下速度Vn から
求めた制御信号V及び低めの制御ゲインK1 ,K2 に基
づいた減衰力特性の比例制御が行なわれる。
【0035】以上のように、高周波路面入力に対しては
低めの制御ゲインK1 ,K2 による低めの減衰力特性に
よって、ばね上への振動伝達を抑制することができるた
め、車両の乗り心地を確保することができる。
【0036】次に、大きな低周波成分が含まれた路面入
力の時は、ばね上上下速度Vn が所定の大入力しきい値
TH〜V-TH の範囲を越えるため、コントロールユニッ
ト4の補正制御部では、その後制御信号Vの方向が逆転
した時点からさらにその方向が逆転するまでの半周期の
間は、その半周期前のばね上上下速度Vn のピーク値V
p 及び高めの制御ゲインK3 ,K4 に基づいた減衰力特
性の比例制御が行なわれる。即ち、鎖線で示すように、
仮想の最大減衰力ポジションPCXmax (PTXmax )の値
の設定を変化させることにより、最大減衰力ポジション
C max (PTmax )までの立ち上がり速度、及び、最
大減衰力ポジションPC max (PT max)のホールド時
間を可変制御し、これにより、斜線で示す制御力向上部
分の面積を可変制御することができる。
【0037】以上のように、大きな低周波成分が含まれ
た路面入力に対しては、大入力しきい値VTH〜V-TH
範囲を越えたばね上上下速度Vn の半周期前のピーク値
Vpに比例すると共に、高めの制御ゲインK3 ,K4
基づいた高めの減衰力特性に切り換えることにより、車
両の制振性を高めて操縦安定性を確保することができ
る。
【0038】従って、この実施例では、大振幅入力時に
おけるばね上上下速度Vn の大きさ(ピーク値Vp )に
適応した最適な補正制御を行なうことができるようにな
る。また、制御ゲインの切り換えを、ばね上上下速度V
n の方向が逆転した時点からさらにその方向が逆転する
までの半周期の間に行なうことで、制御ゲインの切り換
えによる減衰力特性の急激な変動を防止することができ
る。
【0039】次に、減衰力特性の通常制御の内容を、図
16のフローチャート及び図17のタイムチャートに基
づいて説明する。
【0040】まず、図16において、ステップ201
は、各上下Gセンサ1,1,1,1から得られる上下加
速度を各フィルタ回路4dで処理して各車輪位置のばね
上上下速度Vn を求める処理を行うステップである。
尚、この各ばね上上下速度Vn は、上方向の時には正の
値で、また、下方向の時には負の値で与えられる。
【0041】ステップ202は、ばね上上下速度Vn が
正の値であるか否かを判定するステップであり、YES
(上方向)でステップ203に進み、NOでステップ2
04に進む。
【0042】ステップ203は、ショックアブソーバS
Aを伸側ハード領域HSに制御するステップであり、こ
のステップで一回の制御フローを終了する。
【0043】ステップ204は、ばね上上下速度Vn が
0であるか否かを判定するステップであり、YESでス
テップ205に進み、NOでステップ206に進む。
【0044】ステップ205は、ショックアブソーバS
Aをソフト領域SSに制御するステップであり、このス
テップで一回の制御フローを終了する。
【0045】ステップ206は、便宜上表示しているス
テップであり、ステップ202及びステップ204でN
Oと判定された場合には、ばね上上下速度Vn は負の値
であり、この場合はステップ207に進む。
【0046】ステップ207は、ショックアブソーバS
Aを圧側ハード領域SHに制御するステップであり、こ
のステップで一回の制御フローを終了する。
【0047】次に、図17のタイムチャートについて説
明する。尚、このタイムチャートはばね上上下速度Vn
が大入力しきい値VTH〜V-TH の範囲未満で変化し、通
常制御が行なわれる場合を示している。
【0048】ばね上上下速度Vn がこの図に示すように
変化した場合、ばね上上下速度Vnが0である時には、
ショックアブソーバSAをソフト領域SSに制御する。
【0049】また、ばね上上下速度Vn が正の値になる
と、伸側ハード領域HSに制御して、圧側を低減衰力特
性に固定する。
【0050】また、ばね上上下速度Vn が負の値になる
と、圧側ハード領域SHに制御して、伸側を低減衰力特
性に固定する。
【0051】また、図17のタイムチャートにおいて、
領域aは、ばね上上下速度Vn が負の値(下向き)から
正の値(上向き)に逆転した状態であるが、この時はま
だ相対速度は負の値(ショックアブソーバSAの行程は
圧行程側)となっている領域であるため、この時は、ば
ね上上下速度Vn の方向に基づいてショックアブソーバ
SAは伸側ハード領域HSに制御されており、従って、
この領域ではその時のショックアブソーバSAの行程で
ある圧行程側がソフト特性となる。
【0052】また、領域bは、ばね上上下速度Vn が正
の値(上向き)のままで、相対速度は負の値から正の値
(ショックアブソーバSAの行程は伸行程側)に切り換
わった領域であるため、この時は、ばね上上下速度Vn
の方向に基づいてショックアブソーバSAは伸側ハード
領域HSに制御されており、かつ、ショックアブソーバ
の行程も伸行程であり、従って、この領域ではその時の
ショックアブソーバSAの行程である伸行程側が、ばね
上上下速度Vn の値に比例したハード特性となる。
【0053】また、領域cは、ばね上上下速度Vn が正
の値(上向き)から負の値(下向き)に逆転した状態で
あるが、この時はまだ相対速度は正の値(ショックアブ
ソーバSAの行程は伸行程側)となっている領域である
ため、この時は、ばね上上下速度Vn の方向に基づいて
ショックアブソーバSAは圧側ハード領域SHに制御さ
れており、従って、この領域ではその時のショックアブ
ソーバSAの行程である伸行程側がソフト特性となる。
【0054】また、領域dは、ばね上上下速度Vn が負
の値(下向き)のままで、相対速度は正の値から負の値
(ショックアブソーバSAの行程は圧行程側)になる領
域であるため、この時は、ばね上上下速度Vn の方向に
基づいてショックアブソーバSAは圧側ハード領域SH
に制御されており、かつ、ショックアブソーバの行程も
圧行程であり、従って、この領域ではその時のショック
アブソーバSAの行程である圧行程側が、ばね上上下速
度Vn の値に比例したハード特性となる。
【0055】以上のように、この実施例では、ばね上上
下速度Vn とばね上・ばね下間の相対速度とが同符号の
時(領域b,領域d)は、その時のショックアブソーバ
SAの行程側をハード特性に制御し、異符号の時(領域
a,領域c)は、その時のショックアブソーバSAの行
程側をソフト特性に制御するという、スカイフック理論
に基づいた減衰力特性制御と同一の制御が、ばね上・ば
ね下間相対速度を検出することなしに行なわれることに
なる。そして、さらに、この実施例では、領域aから領
域b,及び領域cから領域dへ移行する時には、パルス
モータ3を駆動させることなしに減衰力特性の切り換え
が行なわれることになる。
【0056】以上説明したように、この実施例の車両懸
架装置では、以下に列挙する効果が得られる。 大入力時にだけ補正制御を行なうようにしたこと
で、小入力時には通常制御部による低めの減衰力特性に
よって車両の乗り心地を確保することができると共に、
大きな路面入力に対しては補正制御部による高めの減衰
力特性により十分な制振性が得られて操縦安定性を向上
させることができる。
【0057】 大振幅入力時におけるばね上上下速度
Vn の大きさ(ピーク値Vp )に適応した最適な補正制
御を行なうことができるようになる。
【0058】 また、制御ゲインの切り換えを、ばね
上上下速度Vn の方向が逆転した時点からさらにその方
向が逆転するまでの半周期の間に行なうことで、制御ゲ
インの切り換えによる減衰力特性の急激な変動を防止す
ることができる。
【0059】 従来のスカイフック理論に基づいた減
衰力特性制御に比べ、減衰力特性の切り換え頻度が少な
くなるため、制御応答性を高めることができると共に、
パルスモータ3の耐久性を向上させることができる。
【0060】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。
【0061】例えば、実施例では、伸側が減衰力特性可
変で圧側が低減衰力特性に固定の伸側ハード領域と、圧
側が減衰力特性可変で伸側が低減衰力特性に固定の圧側
ハード領域と、伸側・圧側共に低減衰力特性のソフト領
域との3つの領域を有するショックアブソーバを用いた
が、伸側及び圧側の減衰力特性が同時に変化する構造の
ショックアブソーバを用いることができる。
【0062】また、実施例では、ばね上挙動としてばね
上上下速度を用いる場合を示したが、ショックアブソー
バのストローク速度や、ばね上・ばね下間相対速度等の
その他のばね上挙動に基づいた制御を行なうことができ
る。
【0063】また、実施例では、仮想の最大減衰力ポジ
ションPTXmax ,PCXmax を演算で求める場合を示した
が、図18に示すように、マップに基づいて求めるよう
にしてもよい。
【0064】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明の車両懸
架装置は、ばね上挙動検出手段で検出されたばね上挙動
信号値が所定の大入力しきい値未満である時は、ばね上
挙動検出手段からのばね上挙動信号値及び低めの制御ゲ
インに基づいてショックアブソーバを最適の減衰力特性
に制御すべく減衰力特性制御手段に切り換え信号を出力
する基本制御部と、ばね上挙動検出手段で検出されたば
ね上挙動信号値が所定の大入力しきい値以上になると、
その後ばね上挙動信号の方向が逆転した時点からさらに
その方向が逆転するまでの半周期の間は、基本制御部に
おける制御ゲインを高めに変更する補正制御部とを備え
ている手段としたことで、高周波路面入力時における車
両の乗り心地を悪化させることなく、大きな低周波路面
入力時における十分な制振性が得られて車両の操縦安定
性を確保することができるようになるという効果が得ら
れる。
【0065】また、前記補正制御部において高めに変更
される制御ゲインの値を所定の大入力しきい値以上とな
った半周期前のばね上挙動信号のピーク値に比例して変
化させるようにしたことで、ばね上挙動の大振幅入力の
大きさに適応した最適の補正制御が可能になるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の車両懸架装置を示すクレーム概
念図である。
【図2】本発明実施例の車両懸架装置を示す構成説明図
である。
【図3】実施例の車両懸架装置を示すシステムブロック
図である。
【図4】実施例装置に適用したショックアブソーバを示
す断面図である。
【図5】前記ショックアブソーバの要部を示す拡大断面
図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰力特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面及びM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】実施例装置におけるコントロールユニットの
全体の制御作動を示すフローチャートである。
【図15】実施例装置におけるコントロールユニットの
全体の制御作動を示すタイムチャートである。
【図16】実施例装置における通常制御時の作動を示す
フローチャートである。
【図17】実施例装置における通常制御時の作動を示す
タイムチャートである。
【図18】ばね上上下速度のピーク値に対する仮想の最
大減衰力ポジションの可変特性を示すマップである。
【符号の説明】 a 減衰力特性変更手段 b ショックアブソーバ c ばね上挙動検出手段 d 基本制御部 e 制御手段 f 補正制御部
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正内容】
【図15】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正内容】
【図18】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】削除
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図20
【補正方法】削除

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側と各車輪側の間に介在され、減衰
    力特性変更手段により減衰力特性を変更可能なショック
    アブソーバと、 ばね上の挙動を検出するばね上挙動検出手段と、 該ばね上挙動検出手段で検出されたばね上挙動信号値が
    所定の大入力しきい値未満である時は、ばね上挙動検出
    手段からのばね上挙動信号値及び低めの制御ゲインに基
    づいてショックアブソーバを最適の減衰力特性に制御す
    べく減衰力特性制御手段に切り換え信号を出力する基本
    制御部を有する制御手段と、 該制御手段に設けられ、ばね上挙動検出手段で検出され
    た信号値が所定の大入力しきい値以上になると、その後
    ばね上挙動信号の方向が逆転した時点からさらにその方
    向が逆転するまでの半周期の間は、基本制御部における
    制御ゲインを高めに変更する補正制御部と、を備えてい
    ることを特徴とする車両懸架装置。
  2. 【請求項2】 補正制御部において高めに変更される制
    御ゲインの値を所定の大入力しきい値以上となった半周
    期前のばね上挙動信号のピーク値に比例して変化させる
    ようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両懸架装
    置。
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