JPH07964A - 電解生成水とその製造方法 - Google Patents

電解生成水とその製造方法

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JPH07964A
JPH07964A JP4187593A JP4187593A JPH07964A JP H07964 A JPH07964 A JP H07964A JP 4187593 A JP4187593 A JP 4187593A JP 4187593 A JP4187593 A JP 4187593A JP H07964 A JPH07964 A JP H07964A
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JP
Japan
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radicals
water
mol
electrolyzed water
anode chamber
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JP4187593A
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Yukiaki Matsuo
尾 至 明 松
Kokichi Hanaoka
岡 孝 吉 花
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電解生成水に特定の成分を含ませることによ
り、殺菌効果を付与する。 【構成】 NaClまたはKClを0.5〜1mol/
Kgを溶解した希薄電解質溶液を電気伝導度が150〜
2000μS/cm3 となるように電解してOHラジカ
ルまたはClラジカルを含み、ギッブス自由エネルギが
22.1Kcal/mol以上の電解生成水を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解生成水とその製造方
法に関し、例えばOHラジカルもしくはClラジカルを
含む電解生成水とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の自然環境の汚染に伴って、安全で
おいしい飲料水を確保しようと、電解生成水の需要は、
高まっている。一般に電解生成水は、隔膜により仕切ら
れた陽極室側と陰極室側に電解液を満たし、電解液に直
流電圧を印加することにより製造している。この電解液
は飲用水に電解質を溶解して、電解して電解生成水を得
るのに適当な電気伝導度となるように調整される。電解
質としては食塩や塩化カリウムを用いることが多い。電
解液に直流電圧が印加されると陰極近傍では水素イオン
が還元されて水素ガスが発生し、電解液中の水素イオン
が消費される。水素イオン以外の陽イオンは水酸イオン
対を形成し、陰極室の溶液は次第に塩基性となる。一
方、陽極近傍では電解液中の水酸イオンが酸化されて酸
素ガスが発生し、電解液中の水酸イオンが消費される。
水酸イオン以外の陰イオンは水素イオンと酸を形成し、
陽極室の溶液は酸性となる。このようにして、水が電気
分解される。こうして得られたアルカリイオン水は、旨
味があり、カルシウムイオンが豊富に含まれる。また、
活性が高いことから、体内に取り込まれれば、種々の老
廃物を溶解して体外へ排出することができる。こうした
点から美味で健康に良い飲料水として期待される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし細菌や不純物を
除去しきれないことから、衛生上好ましくないという問
題を持つ。このことから、飲料水はもとより医療、食品
加工、農業などに好適とは言えない。上述した電解にお
いては、電極近傍において電子の授受が行われて電極反
応が進行する結果、電解生成液が得られるわけである
が、中間生成物としては、各種イオンやラジカルが発生
する。ラジカルは反応性が高いことから、細菌などに対
して殺菌効果を示すことが予想される。しかし、中間生
成物については、電解質の種類や濃度、印加電圧の強度
の影響を受けることから、制御が困難とされている。
【0004】本発明はこの問題を解決するためになされ
たものであり、殺菌効果を有するラジカルの生成を制御
することにより、安全性の高い電解生成水を製造するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の電解生成水は、
OHラジカルもしくはCl ラジカルの少なくとも1つを
含み、ギッブス自由エネルギは22.1Kcal/mo
l以上であることを特徴とする。また電解生成水の製造
方法は、0.5〜1mol/Kgの濃度範囲のNaCl
またはKCl を飲用水に溶解し希薄電解質溶液を製造す
る工程と、半透性の隔膜を介して設けられた陰極室側電
解槽と陽極室側電解槽に前記希薄電解質溶液を満たす工
程と、前記陰極室と陽極室との間に直流電圧を印加しO
HラジカルもしくはCl ラジカルの少なくとも1つを生
成する工程とを具備してなることを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明の電解生成水は、半透性の隔膜を介して
設けられた陰極室側電解槽と陽極室側電解槽に希薄電解
質溶液を満たし、陰極室と陽極室の間に直流電圧を印加
することによって得られる。希薄電解質溶液には、Na
Cl またはKCl が電解質として溶解されているので、
直流電圧の印加によってOHラジカルもしくはCl ラジ
カルが生成され、電解生成水中に含まれる。この電解生
成水中に含まれるOHラジカルもしくはCl ラジカルは
活性化されており、さらに電解生成水のギッブス自由エ
ネルギーを22.1Kcal/mol以上にすると、細
胞膜の一部破壊や蛋白質の部分分解を行うので殺菌効果
を示す。
【0007】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例により説明す
る。本発明の電解生成水の製造法ならびにOHラジカル
およびCl ラジカルの生成を例示する実施例と電解生成
水の殺菌効果を例証する実施例とを示す。
【0008】実施例1 半透性膜により陰極室と陽極室に仕切られ、それぞれ白
金電極を備えた2つの電解槽に飲用水として水道法によ
り規定された水道水を入れる。水道水に0.5mol/
Kg(水道水)のNaCl を溶解させ、希薄電解質溶液
を作製する。希薄電解質溶液の電気伝導度が150μS
/cm3 になるように直流電圧を印加する。
【0009】電解開始30分後に陽極室側の電解生成水
を分取し、pH測定、酸化還元電位を測定した後、電子
スピン共鳴装置によりOHラジカルおよびCl ラジカル
の検出を行う。pHは2.7で、ギッブス自由エネルギ
は29.26Kcal/molであった。電子スピン共
鳴装置により得られた電子スピン共鳴スペクトルは、図
1中(1)のスペクトルとして示す。図1の(1)より
スペクトルが観察され、OHラジカルの基本波形が検出
されていることが分かる。
【0010】このときの反応の機構について説明する。
まず、陽極室側電解槽における電極反応による主な電解
生成物の反応式は次式のようになると考えられる。 2H3+ +2Cl - =2HCl +O2 OH- =・OH+e- Cl - =・Cl +e- また、陰極室側電解槽における電極反応による主な電解
生成物の反応式は次式のようになると考えられる。 Na+ +OH- =NaOH 2H+ +2e- =H2
【0011】実施例2 半透性膜により陰極室と陽極室に仕切られ、それぞれ白
金電極を備えた2つの電解槽に飲用水として水道法によ
り規定された水道水を入れる。水道水に0.8mol/
Kg(水道水)のKCl を溶解させ、希薄電解質溶液を
作製する。希薄電解質溶液の電気伝導度が1000μS
/cm3 になるように直流電圧を印加する。
【0012】電解開始30分後に陽極室側の電解生成水
を分取し、pH測定、酸化還元電位を測定した後、電子
スピン共鳴装置によりOHラジカルおよびCl ラジカル
の検出を行う。pHは2.7で、ギッブス自由エネルギ
は25.79Kcal/molであった。電子スピン共
鳴装置により得られた電子スピン共鳴スペクトルは、図
1の(2)のスペクトルに示す。図1の(2)よりスペ
クトルが観察され、OHラジカルの基本波形が検出され
ていることが分かる。
【0013】このときの反応の機構について説明する。
まず、陽極室側電解槽における電極反応による主な電
解生成物の反応式は次式のようになると考えられる。 2H3+ +2Cl - =2HCl +O2 OH- =・OH+e- Cl - =・Cl +e- また、陰極室側電解槽における電極反応による主な電解
生成物の反応式は次式のようになると考えられる。 K+ +OH- =KOH 2H+ +2e- =H2
【0014】実施例3 半透性膜により陰極室と陽極室に仕切られ、それぞれ白
金電極を備えた2つの電解槽に飲用水として水道法によ
り規定された水道水を入れる。水道水に1.0mol/
Kg(水道水)のNaCl を溶解させ、希薄電解質溶液
を作製する。希薄電解質溶液の電気伝導度が1500μ
S/cm3 になるように直流電圧を印加する。
【0015】電解開始30分後に陽極室側の電解生成水
を分取し、pH測定、酸化還元電位を測定した後、電子
スピン共鳴装置によりOHラジカルおよびCl ラジカル
の検出を行う。pHは2.7で、ギッブス自由エネルギ
は24.17Kcal/molであった。電子スピン共
鳴装置により得られた電子スピン共鳴スペクトルは、図
1中(3)のスペクトルとして示す。図1の(3)より
スペクトルが観察され、OHラジカルの基本波形が検出
されていることが分かる。
【0016】このときの反応の機構について説明する。
まず、陽極室側電解槽における電極反応による主な電解
生成物の反応式は次式のようになると考えられる。 2H3+ +2Cl - =2HCl +O2 OH- =・OH+e- Cl - =・Cl +e- また、陰極室側電解槽における電極反応による主な電解
生成物の反応式は次式のようになると考えられる。 Na+ +OH- =NaOH 2H+ +2e- =H2
【0017】実施例4 実施例1から実施例3で得られた電解生成水による殺菌
効果を例証する。表1および表2は、大腸菌を各電解生
成水に添加した後の菌数の経時変化を示す。表1、2中
aは電解生成液の原液を用いた結果で、原液中にはOH
ラジカルとCl ラジカルが混在している。bは得られた
電解生成液の原液を塩素中和して用いた結果でCl ラジ
カルを除去しOHラジカルのみを含有させた場合であ
る。初めに添加した大腸菌の菌数すなわち理論添加菌数
は作用時間0分として示してある。
【0018】表1、2よりaのOHラジカルとCl ラジ
カルが混在している場合、大腸菌を添加して1分経過す
ると、菌数は0となっていることが分かる。一方、OH
ラジカルのみが存在するbの場合、aと比較して菌数の
減少する速度は衰えるものの、30分経過すると、菌数
は初めに添加した数の1桁から2桁に減少している。こ
のように、OHラジカルもしくはCl ラジカルが電解生
成液中に存在させることにより、殺菌効果を示すことが
確認された。OHラジカルもしくはCl ラジカルの電子
構造は、基底状態から遷移状態に移行した活性化された
エネルギー準位にある。したがって、細胞膜の破壊や蛋
白質の一部分解を行うことにより、人を始め動植物に病
態を発現させる細菌類を死滅あるいは不活性化させるこ
とができる。また、OHラジカルもしくはCl ラジカル
は、多核白血球の食胞作用機構に見られる強力な酸化作
用を持つ。電解生成水は、本来人間が持っホメオスタシ
スのメカニズムに類似した機能作用を保持させているの
で、生体にとって異物であるような薬物とは異なるため
に有効に作用できる。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】実施例5 次に、本発明の効果を別の観点から例証するために、電
解生成水の酸化還元電位と大腸菌に対する殺菌効果との
関係を説明する。図2は電解生成水の酸化還元電位と添
加した大腸菌の菌数の経時的変化を示した図である。図
2より酸化還元電位が700mVに達すると、菌数は減
少し始め、960mVになれば0となることが分かる。
したがって、大腸菌の生活圏特性として臨界電位は96
0mVであることが示される。このように酸化還元電位
に依存して、殺菌効果は変化することから、酸化還元電
位を適当な値にすることにより、以下に説明するように
治療として応用できる。
【0022】これを明確にするために、まず酸化還元電
位をエネルギの単位に変換して表現する。上記の960
mVは、ギッブス自由エネルギで表すと、22.1Kc
al/molとなる。例えば、生体において細胞膜の構
成成分や代謝に重要な役割を持つリン脂質の極性基同志
を結合している水素結合は2〜8Kcal/mol、リ
ン脂質の極性基と膜タンパク質を結合している静電結合
は21.6Kcal/molである。したがって、ギッ
ブス自由エネルギを前記した22.1Kcal/mol
に選択した場合、原子間或いは分子間を結合している一
つである共有結合(80〜100Kcal/mol)を
解離するには不十分であるが、水素結合や静電結合は励
起される。水素結合や静電結合が励起されることによっ
て、細胞膜は活性化され、一部が破壊される。このた
め、22.1Kcal/mol以上のギッブス自由エネ
ルギに設定すれば、得られる電解生成水は人体や動植物
にとって有害な細菌などを死滅または不活性化させるこ
とができる。したがって、ギッブス自由エネルギを適切
な値とすることにより、治療効果を持った電解生成水を
得ることが可能となる。
【0023】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明によ
り得られる電解生成水は、成分として含まれるOHラジ
カルもしくはCl ラジカルが細菌などの細胞膜や蛋白質
を破壊する。その結果、人間や動植物に病態を発現させ
る細菌類を死滅あるいは不活性化させることができる。
したがって、安全で旨味のある飲料水を提供できる。ま
た、電解生成水は、人間が本来持っているホメオスタシ
スに類似した機能作用を保持しているので抗生物質など
の薬物と異なり、抗体やアレルギなどの副作用を引き起
こすことがない。したがって、最近社会問題化しつつあ
る院内感染症などを誘因する要因とならず、安全で有効
な治療を行うことができる。また、食品加工における殺
菌消毒としても、薬品を利用する場合と比較して、安全
性を高めることができる。防腐剤や合成保存料のよう
に、発ガン作用をもたらす可能性も少ない。また、過酸
化水素を含まないので飲用水としての可能性も高い。さ
らに、農業分野においても、電解生成水を殺菌剤として
用いれば農薬などの殺虫剤の散布が不要となり、最近注
目されている無農薬栽培に貢献できるところが大きい。
また、農薬の使用と異なり環境汚染を引き起こすことも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製された電解生成水の電子共鳴スペ
クトルを示す図である。
【図2】電解生成水の酸化還元電位と添加した大腸菌の
菌数の経時的変化を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】OHラジカルもしくはCl ラジカルの少な
    くとも1つを含み、ギッブス自由エネルギは22.1K
    cal/mol以上であることを特徴とする電解生成
    水。
  2. 【請求項2】0.5〜1mol/Kgの濃度範囲のNa
    Cl またはKCl を飲用水に溶解し希薄電解質溶液を製
    造する工程と、半透性の隔膜を介して設けられた陰極室
    側電解槽と陽極室側電解槽に前記希薄電解質溶液を満た
    す工程と、前記陰極室と陽極室との間に直流電圧を印加
    しOHラジカルもしくはCl ラジカルの少なくとも1つ
    を生成する工程とを具備してなることを特徴とする電解
    生成水の製造方法。
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