JPH0795876B2 - インナーイヤー型ヘッドホン - Google Patents

インナーイヤー型ヘッドホン

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JPH0795876B2
JPH0795876B2 JP62259178A JP25917887A JPH0795876B2 JP H0795876 B2 JPH0795876 B2 JP H0795876B2 JP 62259178 A JP62259178 A JP 62259178A JP 25917887 A JP25917887 A JP 25917887A JP H0795876 B2 JPH0795876 B2 JP H0795876B2
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国昭 岡崎
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アイワ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、高域音響特性を改善した音漏れの少ないイ
ンナーイヤー型ヘッドホンに関する。
[従来の技術] 各種音響機器において使用されているインナーイヤー型
ヘッドホンは一般に第5図に示すような構成となされて
いる。
同図において、2は筒状のケースを示し、その上方開放
端はお椀状をなす径大開口部として構成され、ここにド
ライバーユニット3が収納される。
ドライバーユニット3は周知のように円形の凹部を有し
たヨーク4を有すると共に、その内部に円形状のマグネ
ット5を介してポールピース(ポールプレート)6が装
着される。そして、その対向面にボイスコイル8が装着
された振動板7が取り付けられる。
なお、11は音響低抗体であり、12は網状をなす保護板、
14はゴムリングである。
ケース2の上端部にこのようなドライバーユニット3を
装着することにより、磁気回路を構成するヨーク4とケ
ース2との間にハウジング13が形成されたことになる。
このように構成されたインナーイヤー型のヘッドホン1
の音響等価回路は第6図に示すようになる。この等価回
路において、 mo:振動板の等価質量 so:振動板の等価スティフネス ml:インナーイヤー型ヘッドホンと耳孔との漏れによる
等価質量 rl:インナーイヤー型ヘッドホンと耳孔との漏れによる
等価音響抵抗 sc:インナーイヤー型ヘッドホンと耳孔によって形成さ
れる容積の等価スティフネス s1:ハウジング容積の等価スティフネス r1:ハウジングと外気とを連結する音響抵抗 F:信号電流によるボイスコイルの駆動力 ところで、従来のインナーイヤー型ヘッドホンにおいて
は、耳孔に挿入した場合、インナーイヤーヘッドホンと
耳孔との間の漏れによって再生音が外部に漏れ、周囲の
人に迷惑をかける等問題があった。
また、この漏れは、特に低音が優先的であるために受聴
者は低音の不定を感じることが多く、しかも漏れによる
影響は個人差が多く、インナーイヤーヘッドホンの場
合、聞く人によって受聴音特性が大きくばらつく問題が
ある。
これは、第6図に示すように一般的インナーイヤー型ヘ
ッドホン1における音響等価回路において、ml及びrlで
表わされる漏れインピーダンスが耳孔容積scのインピー
ダンスより低く、特に低音域ではこれら並列回路のイン
ピーダンスがほとんどrlのみとなるためである。
従って、この等価回路において低音限界を下げるために
は、振動板の最低共振周波数fo を下げるか、空気漏れを少なくする方法をとってrlを大
きくする方法が有効である。
第7図において、実線曲線Laは一般的なインナーイヤー
型ヘッドホンのカップラー音圧周波数特性を示す。
漏れ抵抗rlを変化させると、点線曲線のようにその周波
数特性が変化する。
第7図の特性からわかるように、rlを大きくすることは
低音限界を下げるためには有効である。
そのため、従来においては第8図に示すように発泡プラ
スチック(ウレタンフォーム)よりなるイヤーパッド20
をインナーイヤー型ヘッドホン1、つまりハウジング13
の外周部に装着して、低音限界を下げるようにしてい
た。
すなわち、このイヤーパッド20を使用すると、耳孔から
の外部への空気漏れが少なくなり、音響抵抗rlがその分
大きくなるからである。
[発明が解決しようとする問題点] ところで、上述したようにイヤーパッド20の装着は、低
音を増強するためにかなり有効で、しかも簡単であるた
めに広く用いられている。
しかし、イヤーパッド20を使用すると、低音と高音のバ
ランスがとれないために、所謂音がこもり、高品位の音
が得にくいという欠点がある。
しかも、インナーイヤー型ヘッドホン1の外径は一定で
あるのに対し、耳孔の大きさは個人差があり、音漏れ防
止に対してはあまり有効な手段とは言い難い。
そこで、この発明は、音漏れが少なく、しかも再生周波
数帯域の広い、高忠実度のインナーイヤー型ヘッドホン
を提供するものである。
[問題点を解決するための技術的手段] 上述の問題点を解決するために、この発明においては、
振動板、ボイスコイルなどが収納されて構成されたドラ
イバーユニットと、このドライバーユニットを収納する
筒状ケースとを有し、この筒状ケースにドライバーユニ
ットを装着した状態でハウジング内に収納したとき、振
動板の前面と背面とが音響的に結合するようになされ、
使用者の耳孔に挿入されて使用されるインナーイヤー型
ヘッドホンにおいて、リング状の発泡プラスチックの表
面に気密性の高い薄膜でコーティングされたイヤーパッ
ドを備え、このイヤーパッドはハウジングの外周部に装
着され、使用時にはイヤーパッドによって耳孔に対して
密閉状態に保つようにしたことを特徴とするものであ
る。
[作 用] リング状の発泡プラスチック20aの表面に薄膜20bでコー
ティングされたイヤーパッド20がハウジング13の外周部
に装着される。
発泡プラスチック20aを使用しているため、その収縮性
がよく、どのような大きさの耳孔に対しても密着し、密
着性が改善される。
発泡プラスチック20aの表面は薄膜20bでコーティングさ
れているため、これによって音漏れが少なくなる。
一方、筒状ケース35にドライバーユニット3を装着した
状態で、これをハウジング13内に収納したとき、振動板
7の前面と背面とが音響的に結合するようになされてい
る。
すなわち、振動板7の前面は、保護板12の透孔12a、空
隙36、抵抗アダプタ41の透孔41aによってハウジング13
と空気的に連通している。
これに対して、振動板7の背面は、ヨーク4の透孔25、
ヨーク4とバイパスリング31との間隙27を通して、ハウ
ジング13と連通している。
これらの構成によって、振動板7の前面と背面とが音響
的に結合された状態となる。
振動板7の前後の音圧による速度は、音響抵抗体26とバ
イパス音響低抗体40の各音響抵抗r1,rpによって制御さ
れる。インナーイヤー型ヘッドホン1の周波数特性は、
この音響抵抗r1,rpによって制御することができるか
ら、これらを適宜選定すれば、高域増強型の周波数特性
を実現できる。
[実 施 例] 続いてこの発明に係るインナーイヤー型ヘッドホンの一
例を、第1図以下を参照して詳細に説明する。
音漏れを防ぐためには、インナーイヤー型ヘッドホン1
を耳孔に挿入した状態において、イヤーパッド20が耳孔
に対して、完全に密着した状態とならなければならず、
しかも、耳孔の形は個人差が大きく、いかなる人におい
ても適応しなければならない。
そのため、この発明が採用したイヤーパッド20は、第1
図及び第2図に示すように、リング状をなす発泡プラス
チックよりなる主体20aの表面に薄膜20bがコーティング
されて構成される。
主体20aとしては、例えばウレタンフォームなどを使用
することができる。
ウレタンフォームは、発泡倍率が高いため非常に柔らか
く、圧縮した場合ほとんど体積がなくなる程度のもので
ある。
主体20aの表面にコーティングされる薄膜20bとしては、
例えば非常に薄いゴムを使用することができる。
そのゴム皮膜は厚みが非常に薄いもので、実験によれば
数μm〜数10μm程度が気密性が高く、音波に対して高
い抵抗性を示すことが判明した。
イヤーパッド20の外径は第5図に示す従来のイヤーパッ
ドに比べ、かなり大きくしてあり、実施例では約20mmで
ある。
このような構成を採るイヤーパッド20は、ハウジング13
の外周部に接着または装脱自在に装着されて使用され
る。その場合、イヤーパッド20は収縮性が高く、しかも
弾力性があり、外径が大きいことから、個人差による耳
孔のばらつきに対しても良く追従し、耳孔に対しインナ
ーイヤー型ヘッドホン1を密閉状態に保つことができ
る。
これによって、外部への音漏れも大幅に改善される。
ここで、従来のインナーイヤー型ヘッドホンを耳孔に対
して密閉状態にすると、その音響等価回路は低音域では
第9図に示すようになる。
ここに、 ro;振動板7に直列に入る等価抵抗 である。
この従来のインナーイヤー型ヘッドホンのカップラー音
圧周波数特性は第4図に点線曲線Lbで示すような特性と
なる。
すなわち、高音限界はs1,sc及びmoよりなる直列共振周
波数fh、 によって決定され、直列共振周波数fhより低い周波数で
は音圧周波数特性は平坦な特性となり、直列共振周波数
fhより高い周波数では急激に減少する。
一般的に、直列共振周波数fhは1KHz〜2KHz程度となって
おり、一般のインナーイヤーヘッドホンを密閉状態にし
た場合、低音は平坦で、高音のないいわゆる中・低音だ
けのバランスの悪い音になってしまう。
また、soを大きくする、すなわち振動板7のスティフネ
スを高くすることによって共振周波数fhを大きくするこ
とも可能であるが、この場合振動板7の共振周波数foも
非常に高くなり、その結果、耳孔のわずかな漏れによっ
ても低音が著しく減少するため適切な方法ではない。
そこで、この発明においては、さらに密閉状態において
も、低音から高音に至るまで周波数帯域の広い、バラン
スのとれた再生音が得られるように改善したものであ
る。
その構成の一例を第1図及び第2図を参照して詳細に説
明する。
第1図において、振動板7、ボイスコイル8、ポールピ
ース6、マグネット5、ヨーク4等よりなるドライバー
ユニット3は、第2図に示すようにバイパスリング31と
共に筒状のユニットケース35内に組み込まれる。
ヨーク4には、第1図に示すように、その外方フランジ
16に複数の透孔25が形成され、この透孔25を塞ぐよう
に、リング状のユニット音響低抗体26が貼着される。
バイパスリング31は第2図に示すように、径大リング32
と径小リング33とで構成され、またこのバイパスリング
31にドライバーユニット3を収納したとき、第1図に示
すような空隙27が生ずるように、夫々の径が選定されて
いる。
径大リング32の外周には所定の距離を隔てて、複数枚の
板体34が取着される。この板体34によってユニットケー
ス35内にドライバーユニット3とバイパスリング31を装
着したとき、第1図に示すような所定幅の間隙36が形成
されるようになされている。
バイパスリング31の下面側には、径小リング33とほぼ同
一の内径を有した、環状で薄いバイパス音響抵抗体40
と、このバイパス音響抵抗体40とほぼ同一形状の抵抗ア
ダプタ41とが積層された状態でハウジング13内に収納、
固定される。
抵抗アダプタ41にはその周面の一部に複数の流通孔41a
が形成されている。
このような複数の部材、すなわちドライバーユニット3
を装着したバイパスリング31及び上述したバイパス音響
抵抗体40、さらには抵抗アダプタ41がユニットケース35
内に収納された状態で、第1図に示すように、ケース2
のハウジング13に嵌合固定される。
また、上述した構成のイヤーパッド20がユニットケース
35の側面に接着される。
このようなインナーイヤー型ヘッドホン1を構成した場
合、使用状態では、インナーイヤー型ヘッドホン1は耳
孔との結合が密閉状態となる。
また、振動板7の前面と背面の音圧はバイパスリング31
によって音響的に結合されて、ハウジング13内で混合さ
れることになる。
すなわち、振動板7の前面は、矢印aに示すように保護
板12の透孔12a、空隙36、抵抗アダプタ41の透孔41aを通
してハウジング13と空気的に連通される。
これに対して、振動板7の背面は、矢印bに示すよう
に、第1には、ヨーク4の透孔25、ヨーク4とバイパス
リング31との間隙27を通してハウジング13と連通され
る。第2には、マグネット5及びポールピース6の各中
心孔、さらにはヨーク4の中心孔に取り付けられた音響
抵抗体26を夫々通して、振動板7の背面がハウジング13
に連通される。
これらの構成によって、振動板7の前面と背面とが音響
的に結合された状態となる。
振動板7の前後の音圧による速度は、音響抵抗体26とバ
イパス音響低抗体40の各音響抵抗r1,rpによって制御さ
れる。
従って、第1図構成のインナーイヤー型ヘッドホン1は
第3図に示すような音響等価回路となる。
ここに、 mp:上述した音響通路(バイパス通路)の等価質量 rp:上述した音響通路(バイパス通路)の等価抵抗 である。
さて、この等価回路から明らかなように、振動板7の定
数ml,so及び音響抵抗r1、ハウジング13の容積によるス
ティフネスs1、耳孔の容積によるスティフネスsc及びボ
イスコイル8による駆動力Fよりなる直列共振回路は、
バイパスリング31とユニットケース35の隙間による振動
板7前後の結合によるバイパス回路定数rp、mpによって
分岐される。
従って、このインナーイヤー型ヘッドホン1のカップラ
ー音圧周波数特性に相当するsc両端の電圧周波数特性は
音響抵抗r1及びrpによって制御することができる。
振動板7の共振周波数foを中心とするなだらかな周波数
特性を得ることができ、高音域の最初のピークはsc、s1
及びmpで決まる。つまり、 となる。
mpを充分小さくすなわち、バイパスリング31とユニット
ケース35との隙間とを大きくすることと、バイパス音響
抵抗rp及びユニット音響抵抗r1を適度に制御することに
よって、高音限界が高く、低音限界の低いバランスのと
れた周波数帯域の広い音圧特定を得ることができる。し
かも、密閉状態となっているために、周囲に対する音漏
れもない。
従って、このインナーイヤー型ヘッドホン1のカプラー
音圧周波数特性は、第4図実線曲線Lcのような特性とな
る。
[発明の効果] 以上説明したように、この発明では、特殊構成のイヤー
パッド20を使用すると共に、振動板7の前面と背面とを
音響的に結合するようにしたものである。
この構成によって、音漏れを改善できるから、車内など
で音響機器を使用しても、周囲の人に迷惑を掛けるよう
な問題を確実に防止することができる。
さらに、ハウジング内の構成を巧みに変更することによ
って、高音限界が高く、低音限界の低いバランスのとれ
た周波数帯域の広い音圧特性を得ることができる特徴を
有する。
従って、この発明に係るインナーイヤー型ヘッドホンは
上述したような各種の音響機器に適用して極めて好適で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に係るインナーイヤー型ヘッドホンの
一例を示す要部の縦断面図、第2図はその分解斜視図、
第3図はその音響等価回路図、第4図はそのカプラー音
圧周波数特性曲線図、第5図は従来のインナーイヤー型
ヘッドホンの断面図、第6図はその音響等価回路図、第
7図はそのカプラー音圧周波数特性曲線図、第8図はイ
ヤーパッドを装着した状態のインナーイヤー型ヘッドホ
ンの側面図、第9図はそのときのカプラー音圧周波数特
性曲線図である。 1……インナーイヤー型ヘッドホン 2……ケース 3……ドライバーユニット 4……ヨーク 5……マグネット 6……ポールピース 7……振動板 8……ボイスコイル 13……ハウジング 14……ゴムリング 20……イヤーパッド 20a……主体 20b……薄膜 25……透孔 26……ユニット音響抵抗体 27……空隙 31……バイパスリング 35……ユニットケース 36……間隙 40……バイパス音響抵抗体 41……抵抗アダプタ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】振動板、ボイスコイルなどが収納されて構
    成されたドライバーユニットと、 このドライバーユニットを収納する筒状ケースとを有
    し、 この筒状ケースに上記ドライバーユニットを装着した状
    態でハウジング内に収納したとき、上記振動板の前面と
    背面とが音響的に結合するようになされ、使用者の耳孔
    に挿入されて使用されるインナーイヤー型ヘッドホンに
    おいて、 リング状の発泡プラスチックの表面に気密性の高い薄膜
    でコーティングされたイヤーパッドを備え、 上記イヤーパッドは上記ハウジングの外周部に装着さ
    れ、 使用時には上記イヤーパッドによって耳孔に対して密閉
    状態に保つようにしたインナーイヤー型ヘッドホン。
JP62259178A 1987-10-14 1987-10-14 インナーイヤー型ヘッドホン Expired - Fee Related JPH0795876B2 (ja)

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