JPH0792470A - 液晶素子 - Google Patents
液晶素子Info
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- JPH0792470A JPH0792470A JP26295093A JP26295093A JPH0792470A JP H0792470 A JPH0792470 A JP H0792470A JP 26295093 A JP26295093 A JP 26295093A JP 26295093 A JP26295093 A JP 26295093A JP H0792470 A JPH0792470 A JP H0792470A
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- cone
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 液晶配向膜13a、13bが設けられた一対の基
板11a、11bが前記液晶配向膜の側で所定の間隙を置い
て互いに対向し、前記間隙内に液晶15が配されている液
晶素子において、前記液晶配向膜が与えるプレチルト角
θP をθP =δ+β(但し、δは前記液晶の層傾斜角
(単位は度)である。)としたとき、 0°<β なる条件を満たすことを特徴とする液晶表示素子。 【効果】 δ(更にはチルト角θ)を満足する液晶材料
とプレチルト角θP =δ+βを与える配向膜との組み合
わせにより、コーン面の上回りに回転するスイッチング
をし、バイアス電圧に対する安定性の高いメモリー性を
得ることができ、特にマルチプレックス駆動で高コント
ラストの表示が達成可能になる。
板11a、11bが前記液晶配向膜の側で所定の間隙を置い
て互いに対向し、前記間隙内に液晶15が配されている液
晶素子において、前記液晶配向膜が与えるプレチルト角
θP をθP =δ+β(但し、δは前記液晶の層傾斜角
(単位は度)である。)としたとき、 0°<β なる条件を満たすことを特徴とする液晶表示素子。 【効果】 δ(更にはチルト角θ)を満足する液晶材料
とプレチルト角θP =δ+βを与える配向膜との組み合
わせにより、コーン面の上回りに回転するスイッチング
をし、バイアス電圧に対する安定性の高いメモリー性を
得ることができ、特にマルチプレックス駆動で高コント
ラストの表示が達成可能になる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶配向膜が設けられ
た一対の基体が前記液晶配向膜の側で所定の間隙を置い
て互いに対向し、前記間隙内に液晶が配されている液晶
素子、特に強誘電性液晶素子に関するものである。
た一対の基体が前記液晶配向膜の側で所定の間隙を置い
て互いに対向し、前記間隙内に液晶が配されている液晶
素子、特に強誘電性液晶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶(FLC:ferroelectric
liquid crystal) を表示素子に応用しようとする研究開
発は、ここ11年来、活発に進められてきている。FLC
ディスプレイは、主として次の(1)〜(3)の特徴を
有する優れたものである。 (1)高速応答性(従来のネマチック液晶表示に比較し
て1000倍も高速応答)。 (2)視野角依存性が少ない。 (3)画像にメモリ性がある。
liquid crystal) を表示素子に応用しようとする研究開
発は、ここ11年来、活発に進められてきている。FLC
ディスプレイは、主として次の(1)〜(3)の特徴を
有する優れたものである。 (1)高速応答性(従来のネマチック液晶表示に比較し
て1000倍も高速応答)。 (2)視野角依存性が少ない。 (3)画像にメモリ性がある。
【0003】高速化、高コントラスト化を目的として種
々の強誘電性を示す液晶が合成され、更に、混合により
新たなFLC組成物が検討されてきた。しかしながら、
その材料設計指針として、FLCの電気光学的応答速度
が、 τ=η/Ps・E (但し、ηは液晶材料の粘性、Psは自発分極、Eは電
界)で示される条件式で規定されると考えられていたた
め、自発分極Psを大きくすることと、粘性を小さくする
ことだけが、τを小さくする(即ち高速化する)唯一の
手段と考えられていた。
々の強誘電性を示す液晶が合成され、更に、混合により
新たなFLC組成物が検討されてきた。しかしながら、
その材料設計指針として、FLCの電気光学的応答速度
が、 τ=η/Ps・E (但し、ηは液晶材料の粘性、Psは自発分極、Eは電
界)で示される条件式で規定されると考えられていたた
め、自発分極Psを大きくすることと、粘性を小さくする
ことだけが、τを小さくする(即ち高速化する)唯一の
手段と考えられていた。
【0004】ところが、応答速度に関しては、実際、上
記の式に従う場合も多いが、Psを大きくすると粘性も増
し、自発分極を大きくすることによる効果が得られない
ことが多い。しかも、自発分極を大きくすることによ
り、液晶表示素子内に生じる反電界や、分子配向の乱れ
などの問題が生じるため、期待通りに高速化できなかっ
たり、十分なコントラストが得られない等、近年におい
て、自発分極をいたずらに大きくすることに関しては疑
問視する向きが多い。
記の式に従う場合も多いが、Psを大きくすると粘性も増
し、自発分極を大きくすることによる効果が得られない
ことが多い。しかも、自発分極を大きくすることによ
り、液晶表示素子内に生じる反電界や、分子配向の乱れ
などの問題が生じるため、期待通りに高速化できなかっ
たり、十分なコントラストが得られない等、近年におい
て、自発分極をいたずらに大きくすることに関しては疑
問視する向きが多い。
【0005】一方、低粘度化に関しては、粘性の高いカ
イラル分子を単独で用いずに、より温度範囲の広い低粘
性の組成物を得る方法として、自発分極を発現可能なカ
イラル分子をドーパントとして用い、ベースとして自発
分極を持たない非カイラル液晶と混合した組成物系を用
いているのが一般的である。ここで、粘性の低減や温度
範囲の拡大の制御のために、ベース液晶で低粘度化を制
御しているのが一般的である(ドーパント法)。
イラル分子を単独で用いずに、より温度範囲の広い低粘
性の組成物を得る方法として、自発分極を発現可能なカ
イラル分子をドーパントとして用い、ベースとして自発
分極を持たない非カイラル液晶と混合した組成物系を用
いているのが一般的である。ここで、粘性の低減や温度
範囲の拡大の制御のために、ベース液晶で低粘度化を制
御しているのが一般的である(ドーパント法)。
【0006】しかし、FLCの電界応答のダイナミクス
を支配するのは、自発分極を発現するカイラル分子であ
り、そこにどのような分子を用いるかということが、F
LCディスプレイの特性を決定してしまう重要因子であ
ることに疑う余地はない。
を支配するのは、自発分極を発現するカイラル分子であ
り、そこにどのような分子を用いるかということが、F
LCディスプレイの特性を決定してしまう重要因子であ
ることに疑う余地はない。
【0007】また、従来は、応答速度に関しては上記の
式を材料選択の指針としてきたが、疑問視されてきたば
かりでなく、表示のコントラストに関してはそのガイド
ラインさえも存在しなかった。
式を材料選択の指針としてきたが、疑問視されてきたば
かりでなく、表示のコントラストに関してはそのガイド
ラインさえも存在しなかった。
【0008】
【発明に至る経過】本発明者は、強誘電性液晶(FL
C)を用いて、バイアス電圧に対する安定性の高いメモ
リー性を得ることができ、マルチプレックス駆動で高コ
ントラストの表示が達成可能になる液晶素子の実現につ
いて、鋭意検討を重ねた。こうした高速かつ高コントラ
ストを有する表示素子を実現するためには、スイッチン
グ過程での液晶のダイナミクスに着目した。
C)を用いて、バイアス電圧に対する安定性の高いメモ
リー性を得ることができ、マルチプレックス駆動で高コ
ントラストの表示が達成可能になる液晶素子の実現につ
いて、鋭意検討を重ねた。こうした高速かつ高コントラ
ストを有する表示素子を実現するためには、スイッチン
グ過程での液晶のダイナミクスに着目した。
【0009】FLCの動的な特性に着目し、パッシブマ
トリックスドライブで表示素子を実現するためには、マ
ルチプレックス信号が印加された場合のコントラストが
非常に重要であることは明らかである。即ち、FLCが
書込み(走査)信号によりスイッチングされ、メモリー
状態となり、次の書込み信号が来るまでの間、データ信
号のバイアス電圧が加わるために液晶分子のダイレクタ
が揺動を受け、その結果、コントラストが低下し、表示
素子の品位を低下させる。
トリックスドライブで表示素子を実現するためには、マ
ルチプレックス信号が印加された場合のコントラストが
非常に重要であることは明らかである。即ち、FLCが
書込み(走査)信号によりスイッチングされ、メモリー
状態となり、次の書込み信号が来るまでの間、データ信
号のバイアス電圧が加わるために液晶分子のダイレクタ
が揺動を受け、その結果、コントラストが低下し、表示
素子の品位を低下させる。
【0010】マルチプレックスドライブ下におけるコン
トラスト比は、従来、強誘電性液晶の誘電率異方性に関
係しているとされてきた(J.P. Le Pesant, J.M. Perbe
t, B. Mourey, M. Hareng, G. Decobert, J.C. Dubois:
Mol. Crys. Liq. Cryst., 129,p.61(1985))。
トラスト比は、従来、強誘電性液晶の誘電率異方性に関
係しているとされてきた(J.P. Le Pesant, J.M. Perbe
t, B. Mourey, M. Hareng, G. Decobert, J.C. Dubois:
Mol. Crys. Liq. Cryst., 129,p.61(1985))。
【0011】即ち、負の誘電率異方性(Δε<0)を有
する強誘電性液晶は、ΔεE2 に比例した誘電的なトル
クによって液晶分子のダイレクタの位置がメモリー状態
で安定化されるために、黒レベル及び白レベルが安定す
るとされてきた。しかしながら、この考え方で、負の誘
電率異方性を持たせるように設計し、合成あるいはブレ
ンドを数多くの研究者が検討してきたが、得られた組成
物は必ずしも高コントラストを得るには至らなかった。
即ち、黒レベルの安定性が課題であることは言うまでも
ない。
する強誘電性液晶は、ΔεE2 に比例した誘電的なトル
クによって液晶分子のダイレクタの位置がメモリー状態
で安定化されるために、黒レベル及び白レベルが安定す
るとされてきた。しかしながら、この考え方で、負の誘
電率異方性を持たせるように設計し、合成あるいはブレ
ンドを数多くの研究者が検討してきたが、得られた組成
物は必ずしも高コントラストを得るには至らなかった。
即ち、黒レベルの安定性が課題であることは言うまでも
ない。
【0012】そこで、本発明者は、これまでに駆使して
きた時間分解のフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)
を用い、コーン面上を回る液晶分子の回転方向を規定
し、その回転方向が高コントラストを得る重要な因子で
あることを明確にした。
きた時間分解のフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)
を用い、コーン面上を回る液晶分子の回転方向を規定
し、その回転方向が高コントラストを得る重要な因子で
あることを明確にした。
【0013】即ち、図2に示すような強誘電性液晶のコ
ーンモデルを考える。ここでは、液晶層の構造として傾
斜ブックシェルフ構造を考える。このモデルは層が傾斜
していることが重要であるが、「く」の字型のシェブロ
ン構造にも適用できることは容易に推測できる。なお、
図2中、A、Bは、透明基板上に透明電極及び液晶配向
膜を設けた積層体を示し、φは液晶ダイレクタの方位角
である。
ーンモデルを考える。ここでは、液晶層の構造として傾
斜ブックシェルフ構造を考える。このモデルは層が傾斜
していることが重要であるが、「く」の字型のシェブロ
ン構造にも適用できることは容易に推測できる。なお、
図2中、A、Bは、透明基板上に透明電極及び液晶配向
膜を設けた積層体を示し、φは液晶ダイレクタの方位角
である。
【0014】液晶分子はスイッチングの過程で仮想的な
コーン面上を回転することが知られている。そして、ス
イッチングの過程及びメモリーの発現の仕方について、
図3を参照して説明すると、電界印加に伴う液晶ダイレ
クタの応答は、図3の(B)に示すように上回りあるい
は下回りで位置1と位置2の間をスイッチングする(な
お、図中、液晶ダイレクタは黒丸で示し、スイッチング
後の原位置を白丸で示し、ダイレクタが図中に円形に示
すコーン面上を回るものとする:以下同様)。
コーン面上を回転することが知られている。そして、ス
イッチングの過程及びメモリーの発現の仕方について、
図3を参照して説明すると、電界印加に伴う液晶ダイレ
クタの応答は、図3の(B)に示すように上回りあるい
は下回りで位置1と位置2の間をスイッチングする(な
お、図中、液晶ダイレクタは黒丸で示し、スイッチング
後の原位置を白丸で示し、ダイレクタが図中に円形に示
すコーン面上を回るものとする:以下同様)。
【0015】この場合、完全なメモリー性が発現した場
合には、(A)の如く、位置1と位置2に安定化する。
このメモリー状態で電圧の揺動がない場合にはメモリー
はこの位置で安定であるが(A)、データパルス等のバ
イアス電圧の印加によりダイレクタが揺動を受けると、
上回りでは1←→1’又は2←→2’の間で揺動し、下
回りでは1←→1”又は2←→2”の間で揺動する
(A’)。この図では上回りと下回りは等価に見える
(層が傾斜していない場合は等価である)。即ち、ダイ
レクタの自発分極Psの向きが上向きと下向きとで電界方
向で逆であるから、上回りと下回りの確率が等しくなる
ためである。但し、液晶層が傾斜した傾斜ブックシェル
フやシェブロン構造では、上回りと下回りの区別ができ
るようになる(これは、FT−IRで測定可能)。
合には、(A)の如く、位置1と位置2に安定化する。
このメモリー状態で電圧の揺動がない場合にはメモリー
はこの位置で安定であるが(A)、データパルス等のバ
イアス電圧の印加によりダイレクタが揺動を受けると、
上回りでは1←→1’又は2←→2’の間で揺動し、下
回りでは1←→1”又は2←→2”の間で揺動する
(A’)。この図では上回りと下回りは等価に見える
(層が傾斜していない場合は等価である)。即ち、ダイ
レクタの自発分極Psの向きが上向きと下向きとで電界方
向で逆であるから、上回りと下回りの確率が等しくなる
ためである。但し、液晶層が傾斜した傾斜ブックシェル
フやシェブロン構造では、上回りと下回りの区別ができ
るようになる(これは、FT−IRで測定可能)。
【0016】一方、メモリーが不良の場合は、図3の
(C)のように、ダイレクタのゆらぎによりそれぞれ1
a、2aの位置にずれる(緩和する)。このメモリー性
が不良となった状態でも、同様に、データパルス等のバ
イアス電圧の印加により、ダイレクタが揺動を受け、こ
のとき、液晶分子の持つ自発分極の双極子モーメントと
の相互作用が大きくなるために、(A’)の揺動よりも
更に大きな揺動を示し(C’)、コントラストに大きな
影響を与える黒レベル及び白レベルが著しく変動する。
この場合も上回りと下回りは等価に見える(層が傾斜し
ていない場合は等価である。)が、層が傾斜した傾斜ブ
ックシェルフやシェブロン構造では上下の区別ができる
ようになる。
(C)のように、ダイレクタのゆらぎによりそれぞれ1
a、2aの位置にずれる(緩和する)。このメモリー性
が不良となった状態でも、同様に、データパルス等のバ
イアス電圧の印加により、ダイレクタが揺動を受け、こ
のとき、液晶分子の持つ自発分極の双極子モーメントと
の相互作用が大きくなるために、(A’)の揺動よりも
更に大きな揺動を示し(C’)、コントラストに大きな
影響を与える黒レベル及び白レベルが著しく変動する。
この場合も上回りと下回りは等価に見える(層が傾斜し
ていない場合は等価である。)が、層が傾斜した傾斜ブ
ックシェルフやシェブロン構造では上下の区別ができる
ようになる。
【0017】ここで、図2に示すような層傾斜を有する
液晶光学素子において、上回りと下回りの場合について
考察を進めた。
液晶光学素子において、上回りと下回りの場合について
考察を進めた。
【0018】層傾斜角δにおいて、液晶ダイレクタの方
位角φを変えたときの光透過率は、液晶の各波長での複
屈折率を求めることにより、容易に計算できる。計算は
Berreman の4×4−マトリックス法を用いた〔D.W.Be
rreman:“Optics in Straitified and Anisotropic M
edia:4×4−Matrix Formulation”,J. Optical So
c. of Am., 62, p.502-p.510,(1972)〕。ここでは、 53
0nmの光源を用いた場合のφの変化に伴う透過率変化に
ついて計算した。計算結果を図4に示す。ここで、φ>
0時は上回り、φ<0の時は下回りを意味する。
位角φを変えたときの光透過率は、液晶の各波長での複
屈折率を求めることにより、容易に計算できる。計算は
Berreman の4×4−マトリックス法を用いた〔D.W.Be
rreman:“Optics in Straitified and Anisotropic M
edia:4×4−Matrix Formulation”,J. Optical So
c. of Am., 62, p.502-p.510,(1972)〕。ここでは、 53
0nmの光源を用いた場合のφの変化に伴う透過率変化に
ついて計算した。計算結果を図4に示す。ここで、φ>
0時は上回り、φ<0の時は下回りを意味する。
【0019】その結果、下回りのφ=0度からの揺動で
は、透過率がφ=20度から高くなり、黒レベルを劣化さ
せる。しかし、上回りのφ=0度からの揺動では、透過
率がφ=50度まで低く、黒レベルを保持し、コントラス
トの低下をきたさない。すなわち、傾斜した層構造にお
いて、コーンの上回り(図2参照)では、バイアスパル
ス印加下でのコントラストの低下が著しく低いことが予
想される。
は、透過率がφ=20度から高くなり、黒レベルを劣化さ
せる。しかし、上回りのφ=0度からの揺動では、透過
率がφ=50度まで低く、黒レベルを保持し、コントラス
トの低下をきたさない。すなわち、傾斜した層構造にお
いて、コーンの上回り(図2参照)では、バイアスパル
ス印加下でのコントラストの低下が著しく低いことが予
想される。
【0020】層の傾斜角δが0度の時、自発分極Psと誘
電率異方性Δεの関係から、プレチルト角0度の時は次
の如き状態となることが知られている。Δε<0の場合
には、ダイレクタは電界に対して直交するようなトルク
が作用し、自発分極により発生した回転トルクと拮抗す
るために回転の初期において安定化され、応答にdelay
(遅延)を生じるため、一般にバイアス安定性は高いと
考えられている。Δε>0の場合には、ダイレクタは電
界に対して平行になるようなトルクが作用するために、
応答のdelay はなく、一般にバイアス安定性は低いと考
えられている。
電率異方性Δεの関係から、プレチルト角0度の時は次
の如き状態となることが知られている。Δε<0の場合
には、ダイレクタは電界に対して直交するようなトルク
が作用し、自発分極により発生した回転トルクと拮抗す
るために回転の初期において安定化され、応答にdelay
(遅延)を生じるため、一般にバイアス安定性は高いと
考えられている。Δε>0の場合には、ダイレクタは電
界に対して平行になるようなトルクが作用するために、
応答のdelay はなく、一般にバイアス安定性は低いと考
えられている。
【0021】しかしながら、この時、回転の方向を規定
する因子は存在しない。しかし、プレチルトが存在する
とき、メモリー状態における方位角φはφ≠0°とな
り、上回りか、下回りかが決定される。しかし、この両
回転が伴うと、プレチルトにより、φ=0°とφ=180
°とを結ぶ線から外れる側に回転することになるため、
そのままでは予想されるようなコントラストの向上には
寄与しない。
する因子は存在しない。しかし、プレチルトが存在する
とき、メモリー状態における方位角φはφ≠0°とな
り、上回りか、下回りかが決定される。しかし、この両
回転が伴うと、プレチルトにより、φ=0°とφ=180
°とを結ぶ線から外れる側に回転することになるため、
そのままでは予想されるようなコントラストの向上には
寄与しない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記した
検討に基づき、バイアス電圧に対する安定性の高いメモ
リー性を得ることができ、特に、マルチプレックス駆動
で高コントラストの表示が達成可能になる構造を見出
し、本発明に到達した。
検討に基づき、バイアス電圧に対する安定性の高いメモ
リー性を得ることができ、特に、マルチプレックス駆動
で高コントラストの表示が達成可能になる構造を見出
し、本発明に到達した。
【0023】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、液晶配
向膜が設けられた一対の基体が前記液晶配向膜の側で所
定の間隙を置いて互いに対向し、前記間隙内に液晶が配
されている液晶素子において、前記液晶配向膜が与える
プレチルト角θP をθP =δ+β(但し、δは前記液晶
の層傾斜角(単位は度)である。)としたとき、 0°<β なる条件を満たすことを特徴とする液晶素子に係るもの
である。
向膜が設けられた一対の基体が前記液晶配向膜の側で所
定の間隙を置いて互いに対向し、前記間隙内に液晶が配
されている液晶素子において、前記液晶配向膜が与える
プレチルト角θP をθP =δ+β(但し、δは前記液晶
の層傾斜角(単位は度)である。)としたとき、 0°<β なる条件を満たすことを特徴とする液晶素子に係るもの
である。
【0024】本発明者は、図4に示した結果から、方位
角φの選択によって、傾斜した層構造(層傾斜角δ>0
°)においてはコーンの上回りを実現すれば、コントラ
ストを向上させ得ることに注目し、この上回りの因子は
液晶材料の層傾斜角δとプレチルト角θP =δ+βとの
関係、さらに自発分極Psと誘電率異方性Δεの関係によ
って支配されると考えた。
角φの選択によって、傾斜した層構造(層傾斜角δ>0
°)においてはコーンの上回りを実現すれば、コントラ
ストを向上させ得ることに注目し、この上回りの因子は
液晶材料の層傾斜角δとプレチルト角θP =δ+βとの
関係、さらに自発分極Psと誘電率異方性Δεの関係によ
って支配されると考えた。
【0025】即ち、図1に例示する如く、プレチルト角
θP =β+δが層傾斜角δより大きい時、換言すればβ
>0°の時に、高コントラストを可能にする上回りのス
イッチングを確実に行えることを見出した。
θP =β+δが層傾斜角δより大きい時、換言すればβ
>0°の時に、高コントラストを可能にする上回りのス
イッチングを確実に行えることを見出した。
【0026】このとき、負の誘電率異方性(Δε<0)
はダイレクタの安定化に寄与する点で望ましいが、それ
は上述したように応答のdelay としてあらわれる。その
delay の効果は下回りでは相殺されていまい、意図して
いたような、黒レベルの安定性には寄与しない(これ
は、下回りの場合はダイレクタの射影成分が大きくなる
ためである)。これに対し、本発明に基づく上回りで
は、相乗効果により黒レベルが安定化する。逆に、誘電
率異方性が正の場合、回転が上回りでないと黒レベルが
著しく浮いてしまい、十分なコントラストが得られな
い。
はダイレクタの安定化に寄与する点で望ましいが、それ
は上述したように応答のdelay としてあらわれる。その
delay の効果は下回りでは相殺されていまい、意図して
いたような、黒レベルの安定性には寄与しない(これ
は、下回りの場合はダイレクタの射影成分が大きくなる
ためである)。これに対し、本発明に基づく上回りで
は、相乗効果により黒レベルが安定化する。逆に、誘電
率異方性が正の場合、回転が上回りでないと黒レベルが
著しく浮いてしまい、十分なコントラストが得られな
い。
【0027】このことから、誘電率異方性よりもコーン
上の上回りの回転が、コントラストの向上のためには重
要であることがわかる。この場合、上回りの回転による
スイッチングは、φ=0°とφ=180 °とを結ぶ線から
一部外れることになるが、これはコントラストに対して
与える影響の小さいものである。本発明は、こうした上
回りの回転を確実に達成するために、液晶材料のもつ固
有の層傾斜角δと、配向膜のプレチルト角θP =δ+β
(β>0°)とを組み合わせたことに特徴を有するもの
である。従来技術では、コーン角の回転方向を制御して
高コントラスト化を図る対策は何ら存在せず、想定もさ
れていなかったのである。
上の上回りの回転が、コントラストの向上のためには重
要であることがわかる。この場合、上回りの回転による
スイッチングは、φ=0°とφ=180 °とを結ぶ線から
一部外れることになるが、これはコントラストに対して
与える影響の小さいものである。本発明は、こうした上
回りの回転を確実に達成するために、液晶材料のもつ固
有の層傾斜角δと、配向膜のプレチルト角θP =δ+β
(β>0°)とを組み合わせたことに特徴を有するもの
である。従来技術では、コーン角の回転方向を制御して
高コントラスト化を図る対策は何ら存在せず、想定もさ
れていなかったのである。
【0028】なお、図1に示したように、配向膜による
プレチルト角θP は、「液晶方位角φ=0°と平行にダ
イレクタの点Aから引いた直線がφ=90°の直線と交わ
る交点Bと、コーン頂点Oとを結ぶ直線が基板面となす
角度」と定義することができる。また、層傾斜角δは、
「コーンの中心線(即ち、中心Lと頂点Oとを結ぶ線)
が基板面となす角度」と定義することができる。図1中
のA’、B’、O’、θ’はそれぞれA、B、O、θの
投影したものである。
プレチルト角θP は、「液晶方位角φ=0°と平行にダ
イレクタの点Aから引いた直線がφ=90°の直線と交わ
る交点Bと、コーン頂点Oとを結ぶ直線が基板面となす
角度」と定義することができる。また、層傾斜角δは、
「コーンの中心線(即ち、中心Lと頂点Oとを結ぶ線)
が基板面となす角度」と定義することができる。図1中
のA’、B’、O’、θ’はそれぞれA、B、O、θの
投影したものである。
【0029】本発明による上記条件は、更に、液晶分子
のコーン角の1/2をθ(チルト角:単位は度)とした
とき、 0°<β< 0.8θ とすることが、コントラストを確実に向上させることが
できるので望ましい。
のコーン角の1/2をθ(チルト角:単位は度)とした
とき、 0°<β< 0.8θ とすることが、コントラストを確実に向上させることが
できるので望ましい。
【0030】また、ダイレクタのゆらぎによる影響を完
全になくし、またδの測定精度から、0.04θ≦βとする
ことが望ましい。
全になくし、またδの測定精度から、0.04θ≦βとする
ことが望ましい。
【0031】また、本発明による液晶素子は、対向する
配向膜が反平行に組まれる方が、コントラストの点で望
ましい。但し、平行に組まれても、バイアスに対する安
定化は可能である。
配向膜が反平行に組まれる方が、コントラストの点で望
ましい。但し、平行に組まれても、バイアスに対する安
定化は可能である。
【0032】本発明において、上記条件を満たすプレチ
ルト角θP を与える配向膜としては、SiO斜方蒸着膜
やポリイミドのラビング処理膜が挙げられる。蒸着膜の
場合は、蒸着角度の制御、W.R.(蒸着の重み比:方
位角90°と 270°での蒸着量の比)の制御を行うことが
でき、また、ラビング処理膜の場合は、ラビングの強さ
等の制御を行うことができる。
ルト角θP を与える配向膜としては、SiO斜方蒸着膜
やポリイミドのラビング処理膜が挙げられる。蒸着膜の
場合は、蒸着角度の制御、W.R.(蒸着の重み比:方
位角90°と 270°での蒸着量の比)の制御を行うことが
でき、また、ラビング処理膜の場合は、ラビングの強さ
等の制御を行うことができる。
【0033】また、液晶のδ(層傾斜角)やθ(チルト
角)は、液晶の種類、特にカイラル分子と非カイラル分
子の種類、組成比によって制御することができる。
角)は、液晶の種類、特にカイラル分子と非カイラル分
子の種類、組成比によって制御することができる。
【0034】本発明に使用可能な液晶は、カイラルスメ
クチック強誘電性液晶分子を含有し、この強誘電性液晶
分子が、芳香族基間が直接結合されている芳香族化合物
(例えば、後述のビフェニル系)と、芳香族基間がエス
テル結合で連結されている芳香族化合物(例えば、後述
のエステル系)との少なくとも一方からなっていること
が望ましい。
クチック強誘電性液晶分子を含有し、この強誘電性液晶
分子が、芳香族基間が直接結合されている芳香族化合物
(例えば、後述のビフェニル系)と、芳香族基間がエス
テル結合で連結されている芳香族化合物(例えば、後述
のエステル系)との少なくとも一方からなっていること
が望ましい。
【0035】液晶分子設計パラメータαと、液晶分子の
見かけのコーン角θC との積:αθC が、 12.5≦αθC ≦16(好ましくは13≦αθC ≦15) (但し、α=(電界によるスイッチング前後での液晶分
子のアルキル鎖部の赤外ピーク強度比)/(電界による
スイッチング前後での液晶分子のコア部の赤外ピーク強
度比)、θC は、電界によるスイッチング時に液晶分子
が仮想的な円錐面上を回るとき、その円錐面を有するコ
ーンのなす見かけの頂角である。)である強誘電性液晶
組成物が、高速応答性と高コントラストとを同時に満た
すものとして望ましい。
見かけのコーン角θC との積:αθC が、 12.5≦αθC ≦16(好ましくは13≦αθC ≦15) (但し、α=(電界によるスイッチング前後での液晶分
子のアルキル鎖部の赤外ピーク強度比)/(電界による
スイッチング前後での液晶分子のコア部の赤外ピーク強
度比)、θC は、電界によるスイッチング時に液晶分子
が仮想的な円錐面上を回るとき、その円錐面を有するコ
ーンのなす見かけの頂角である。)である強誘電性液晶
組成物が、高速応答性と高コントラストとを同時に満た
すものとして望ましい。
【0036】ここで、パラメータαについて説明する
と、一般に、液晶分子は、コア部分とアルキル鎖の部分
から構成されている。電界応答に対する液晶分子のコア
部とアルキル鎖部は、液晶分子の種類により異なってい
ることが予想される。π電子系を持つコア部とアルキル
鎖部の挙動の違いを明かにする手法として、偏光赤外分
光法が極めて有効である。即ち、まず、赤外用の偏光子
を配向処理方向に対して45度傾けて配置する。偏光赤外
分光法においては、分子の長軸方向に平行な分子振動モ
ードは、偏光子に平行に近いほど強度が強く観測され、
逆に、分子の長軸方向に垂直な分子振動モードは、偏光
子に平行なほど強度が弱く観測される。
と、一般に、液晶分子は、コア部分とアルキル鎖の部分
から構成されている。電界応答に対する液晶分子のコア
部とアルキル鎖部は、液晶分子の種類により異なってい
ることが予想される。π電子系を持つコア部とアルキル
鎖部の挙動の違いを明かにする手法として、偏光赤外分
光法が極めて有効である。即ち、まず、赤外用の偏光子
を配向処理方向に対して45度傾けて配置する。偏光赤外
分光法においては、分子の長軸方向に平行な分子振動モ
ードは、偏光子に平行に近いほど強度が強く観測され、
逆に、分子の長軸方向に垂直な分子振動モードは、偏光
子に平行なほど強度が弱く観測される。
【0037】ここで、電界によるスイッチング前後の偏
光赤外スペクトルを測定することにより、液晶分子のコ
ア部とアルキル鎖部の動きをそれぞれ独立に評価するこ
とができる。ここで、コア部の分子振動(吸収強度)の
変化比率とアルキル鎖部の分子振動(吸収強度)の変化
比率の比をとることにより、系により規格化されたコア
部に対するアルキル鎖の動きを規定することが可能とな
る。
光赤外スペクトルを測定することにより、液晶分子のコ
ア部とアルキル鎖部の動きをそれぞれ独立に評価するこ
とができる。ここで、コア部の分子振動(吸収強度)の
変化比率とアルキル鎖部の分子振動(吸収強度)の変化
比率の比をとることにより、系により規格化されたコア
部に対するアルキル鎖の動きを規定することが可能とな
る。
【0038】即ち、α=(電界によるスイッチング前後
での液晶分子のアルキル鎖部の赤外ピーク強度比又は赤
外強度変化率)/(電界によるスイッチング前後での液
晶分子のコア部の赤外ピーク強度比又は赤外強度変化
率)、と定義する。
での液晶分子のアルキル鎖部の赤外ピーク強度比又は赤
外強度変化率)/(電界によるスイッチング前後での液
晶分子のコア部の赤外ピーク強度比又は赤外強度変化
率)、と定義する。
【0039】本発明に使用可能な液晶分子を説明する
と、まずカイラル分子種としては図5に例示したものが
挙げられる。これらのカイラル分子は、カイラルスメク
チックFLC分子として、コア部を構成するπ電子系の
芳香族原子団の一方側(図5では右方側)に2個の不斉
炭素原子を有し、かつ、カルボニル基の如き分子内自発
分極を生じる極性基を有している。また、上記芳香族原
子団の他方側には種々のアルコキシ基が結合されてい
る。
と、まずカイラル分子種としては図5に例示したものが
挙げられる。これらのカイラル分子は、カイラルスメク
チックFLC分子として、コア部を構成するπ電子系の
芳香族原子団の一方側(図5では右方側)に2個の不斉
炭素原子を有し、かつ、カルボニル基の如き分子内自発
分極を生じる極性基を有している。また、上記芳香族原
子団の他方側には種々のアルコキシ基が結合されてい
る。
【0040】このFLC分子は、芳香族基間が直接結合
されている芳香族化合物(C8LPS 、C10LPS、C10F、C12L
PS等のビフェニル系)、又は、芳香族基間がエステル結
合で連結されている芳香族化合物(FPB、FFBB、FNB 等の
エステル系)からなる。本発明では、それらの両芳香族
化合物の一種又は二種(即ち、少なくとも一方)を使用
又は併用することができる。その他、公知のカイラル分
子を種々使用してよい。
されている芳香族化合物(C8LPS 、C10LPS、C10F、C12L
PS等のビフェニル系)、又は、芳香族基間がエステル結
合で連結されている芳香族化合物(FPB、FFBB、FNB 等の
エステル系)からなる。本発明では、それらの両芳香族
化合物の一種又は二種(即ち、少なくとも一方)を使用
又は併用することができる。その他、公知のカイラル分
子を種々使用してよい。
【0041】使用可能なFLC分子において、特に、コ
ア核にフッ素原子を導入し、スメクチックA、スメクチ
ックC相以外の高次スメクチック相の出現を抑制し、か
つダイポール(ここではカルボニル基)の位置を考慮し
て自発分極を大きくすることができる。
ア核にフッ素原子を導入し、スメクチックA、スメクチ
ックC相以外の高次スメクチック相の出現を抑制し、か
つダイポール(ここではカルボニル基)の位置を考慮し
て自発分極を大きくすることができる。
【0042】他方、本発明のFLC組成物において、上
記のFLC分子と混合されるノンカイラルな液晶分子と
しては、図6に例示するフェニルピリミジン系化合物が
使用可能である。これ以外にも、フェニルピリジン系、
フェニルベンゾエート系等も使用可能である。
記のFLC分子と混合されるノンカイラルな液晶分子と
しては、図6に例示するフェニルピリミジン系化合物が
使用可能である。これ以外にも、フェニルピリジン系、
フェニルベンゾエート系等も使用可能である。
【0043】このノンカイラル分子は不斉炭素原子を有
してはいないが、カイラル分子と混合されることによ
り、目的とする高速応答性等に優れた強誘電性液晶組成
物を提供できるのである。そして、フェニル基及びピリ
ミジン基からなるコア部と、この両側に結合されたアル
キル鎖部とを有している。
してはいないが、カイラル分子と混合されることによ
り、目的とする高速応答性等に優れた強誘電性液晶組成
物を提供できるのである。そして、フェニル基及びピリ
ミジン基からなるコア部と、この両側に結合されたアル
キル鎖部とを有している。
【0044】本発明において、上記のカイラル分子とノ
ンカイラル分子との混合割合としては、カイラル分子の
割合を1〜50重量%の範囲とすることが好ましく、2〜
30重量%の範囲とすることがより好ましい。カイラル分
子の割合が1重量%未満であると、自発分極が小さくな
って応答速度が遅くなり、また逆に50重量%を超える
と、動作温度範囲が狭くなるおそれがある。
ンカイラル分子との混合割合としては、カイラル分子の
割合を1〜50重量%の範囲とすることが好ましく、2〜
30重量%の範囲とすることがより好ましい。カイラル分
子の割合が1重量%未満であると、自発分極が小さくな
って応答速度が遅くなり、また逆に50重量%を超える
と、動作温度範囲が狭くなるおそれがある。
【0045】カイラル分子は分子構造の特徴として、一
般的に、フェニル基等を有する剛直なコア部(リジッド
部)とフレキシブルなアルキル鎖で構成されるアルキル
鎖部(フレキシブル部)とからなる。そして、これらの
コア部とアルキル鎖部(特に、それらの長さ)がFLC
組成物の特性を左右することがある。ここで、コア部と
アルキル鎖部は、次のように定義される。
般的に、フェニル基等を有する剛直なコア部(リジッド
部)とフレキシブルなアルキル鎖で構成されるアルキル
鎖部(フレキシブル部)とからなる。そして、これらの
コア部とアルキル鎖部(特に、それらの長さ)がFLC
組成物の特性を左右することがある。ここで、コア部と
アルキル鎖部は、次のように定義される。
【0046】コア部(リジッド部):芳香族原子団を主
体とし、その一方側にあるフッ素化された不斉炭素か
ら、その他方側にある酸素原子又はこの酸素原子に結合
されたメチレンカーボンまでの部分(ビフェニル系の場
合)或いはエステル結合部の炭素原子までの部分(エス
テル系の場合)である。
体とし、その一方側にあるフッ素化された不斉炭素か
ら、その他方側にある酸素原子又はこの酸素原子に結合
されたメチレンカーボンまでの部分(ビフェニル系の場
合)或いはエステル結合部の炭素原子までの部分(エス
テル系の場合)である。
【0047】アルキル鎖部(フレキシブル部):脂肪族
基を主体とし、上記コア部に結合した原子団又は基(但
し、ビフェニル系ではアルキル基、エステル系では、エ
ステル結合部の炭素原子からアルキル基末端までの部
分)である。
基を主体とし、上記コア部に結合した原子団又は基(但
し、ビフェニル系ではアルキル基、エステル系では、エ
ステル結合部の炭素原子からアルキル基末端までの部
分)である。
【0048】電界に強い相互作用で応答するのは、カイ
ラル分子の持つ自発分極であり、カイラル分子の動きに
追従して、ホスト分子であるノンカイラルな分子が応答
していると考えられる。
ラル分子の持つ自発分極であり、カイラル分子の動きに
追従して、ホスト分子であるノンカイラルな分子が応答
していると考えられる。
【0049】そこで、カイラル分子がホスト分子を追従
させる力は分子間の相互作用であり、その相互作用の強
弱は最もシンプルには分子軌道における重なり積分の大
きさに比例すると考えられる。その重なり積分は分子同
士の立体的な重なりが大きい程大きくなる。従って、カ
イラル分子のホスト分子との重なりが大きいか小さいか
により、強誘電性液晶の電界応答性に大きな影響を及ぼ
すことは明らかである。
させる力は分子間の相互作用であり、その相互作用の強
弱は最もシンプルには分子軌道における重なり積分の大
きさに比例すると考えられる。その重なり積分は分子同
士の立体的な重なりが大きい程大きくなる。従って、カ
イラル分子のホスト分子との重なりが大きいか小さいか
により、強誘電性液晶の電界応答性に大きな影響を及ぼ
すことは明らかである。
【0050】そこで、カイラル分子の剛直な部分(リジ
ッド部)の長さはホスト分子の剛直な部分の動きを規定
するであろうし、カイラル分子のフレキシブルな部分
(フレキシブル部)はホスト分子のフレキシブルな部分
の動きを規定すると考えられる。
ッド部)の長さはホスト分子の剛直な部分の動きを規定
するであろうし、カイラル分子のフレキシブルな部分
(フレキシブル部)はホスト分子のフレキシブルな部分
の動きを規定すると考えられる。
【0051】そうした観点に立って検討したところ、上
述した液晶分子設計パラメータαと、カイラル液晶分子
を構成するリジッド部に対するフレキシブル部の長さの
比との積:k=α・(フレキシブル部の長さm/リジッ
ド部の長さl)が、 k≦0.5 (好ましくはk≦0.4) であるときに、FLC材料のコントラストと応答速度を
同時に向上させ、最適化できる。ここで、フレキシブル
部の長さは、リジッド部の両側のフレキシブル部のう
ち、長い方の値又は不斉炭素のない方の値を指す。
述した液晶分子設計パラメータαと、カイラル液晶分子
を構成するリジッド部に対するフレキシブル部の長さの
比との積:k=α・(フレキシブル部の長さm/リジッ
ド部の長さl)が、 k≦0.5 (好ましくはk≦0.4) であるときに、FLC材料のコントラストと応答速度を
同時に向上させ、最適化できる。ここで、フレキシブル
部の長さは、リジッド部の両側のフレキシブル部のう
ち、長い方の値又は不斉炭素のない方の値を指す。
【0052】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。
明する。
【0053】強誘電性液晶材料 図5に示したカイラル化合物を図6に示した2種類のフ
ェニルピリミジンの1:1(重量比)の混合物に5wt%
添加した組成物を用いた。
ェニルピリミジンの1:1(重量比)の混合物に5wt%
添加した組成物を用いた。
【0054】ここで用いたカイラル化合物は、カイラル
炭素にフッ素を導入し、自発分極の増大を図ったものが
あり、実際、その自発分極は大きい。コア部はビフェニ
ル系、アロマチックエステル系があり、負の誘電率異方
性の効果を見るために、ビフェニルコアにフッ素を置換
したものもある。
炭素にフッ素を導入し、自発分極の増大を図ったものが
あり、実際、その自発分極は大きい。コア部はビフェニ
ル系、アロマチックエステル系があり、負の誘電率異方
性の効果を見るために、ビフェニルコアにフッ素を置換
したものもある。
【0055】例えば、C10F系の強誘電性液晶組成物
では、その相系列は、 Cr 14,Sc* 53, SA 59,N* 66,Iso. であり、その他の系も、同様の相系列であった。
では、その相系列は、 Cr 14,Sc* 53, SA 59,N* 66,Iso. であり、その他の系も、同様の相系列であった。
【0056】FLCセルの作製法 水平配向のセルは、図7に例示するように、ガラス或い
はフッ化カルシウム(CaF2 )からなる基板11a、11
b上に、透明電極(ITO:Indium tin oxide)12a、
12bを 100Ω/□となるように形成し、さらにその上
に、SiO13a、13bを 500Åの厚さに斜方蒸着し、両
積層体A、Bを作製した。蒸着角度は基板の法線方向に
対して85度とし、膜厚 500Åになるように水晶膜厚モニ
タを用いてコントロールした。
はフッ化カルシウム(CaF2 )からなる基板11a、11
b上に、透明電極(ITO:Indium tin oxide)12a、
12bを 100Ω/□となるように形成し、さらにその上
に、SiO13a、13bを 500Åの厚さに斜方蒸着し、両
積層体A、Bを作製した。蒸着角度は基板の法線方向に
対して85度とし、膜厚 500Åになるように水晶膜厚モニ
タを用いてコントロールした。
【0057】このセルの配向膜13a、13b側を対向さ
せ、そのギャップを約 1.8μmとなるようにスペーサ14
(真し球:触媒化成社製)を用いて制御し、UV硬化樹
脂を用いてセルを組んだ。
せ、そのギャップを約 1.8μmとなるようにスペーサ14
(真し球:触媒化成社製)を用いて制御し、UV硬化樹
脂を用いてセルを組んだ。
【0058】これらのセルとして、その対向した配向処
理方向を反平行に組んだものを用いた。液晶15のセルへ
の注入はIso+10℃の温度で行った。
理方向を反平行に組んだものを用いた。液晶15のセルへ
の注入はIso+10℃の温度で行った。
【0059】時間分解赤外吸収スペクトルの測定法 赤外吸収スペクトルは日本電子製JIR−6500 F
T−IR分光器に時間分解用の付属装置を追加した(詳
細な方法はYasuda et.al:Liquid Crystal, Vol.14, No.
6, P1725−1734(1993)に記載)。赤外用の偏光子は配向
処理方向(SiOの流れの方向)にセットした。FLC
は、40℃で 600Hz、±15Vの矩形波を印加した。
T−IR分光器に時間分解用の付属装置を追加した(詳
細な方法はYasuda et.al:Liquid Crystal, Vol.14, No.
6, P1725−1734(1993)に記載)。赤外用の偏光子は配向
処理方向(SiOの流れの方向)にセットした。FLC
は、40℃で 600Hz、±15Vの矩形波を印加した。
【0060】電気光学効果測定 コントラスト等を測定する電気光学効果測定装置は、偏
光顕微鏡(ニコン Optiphoto-pol)に任意波形発生器、
パワーアンプ、デジタルオシロスコープ、光電子増倍管
を組み合わせ、光源にはハロゲンランプを用いた。ここ
での測定では、偏光子は検光子と直交させ、液晶の片方
のメモリー状態の光軸を偏光子と平行にした。このメモ
リー状態のとき、偏光子を透過した光は偏光面の回転を
受けないために検光子で透過せず、暗い状態(即ち、黒
レベル)が達成される。液晶の光軸がこのメモリー状態
から変位することにより、偏光子を透過した光は液晶の
複屈折により偏光面の回転を受け、検光子で光の漏れを
生ずる(即ち、白レベルが達成される)。
光顕微鏡(ニコン Optiphoto-pol)に任意波形発生器、
パワーアンプ、デジタルオシロスコープ、光電子増倍管
を組み合わせ、光源にはハロゲンランプを用いた。ここ
での測定では、偏光子は検光子と直交させ、液晶の片方
のメモリー状態の光軸を偏光子と平行にした。このメモ
リー状態のとき、偏光子を透過した光は偏光面の回転を
受けないために検光子で透過せず、暗い状態(即ち、黒
レベル)が達成される。液晶の光軸がこのメモリー状態
から変位することにより、偏光子を透過した光は液晶の
複屈折により偏光面の回転を受け、検光子で光の漏れを
生ずる(即ち、白レベルが達成される)。
【0061】メモリー状態でのバイアス電圧印加(デー
タパルスが非選択時間の間にやむを得ず加わる。)に対
する黒レベルの安定性の評価は、図8に示すようなバイ
ポーラパルスとそれに続くバイポーラのデータパルス列
を印加することによって行った。このときのコントラス
トの評価は、白レベルの時間平均を黒レベルの時間平均
で除した値を用い、特に黒レベルの安定性の評価には、
黒レベルの変動幅をバイアスのないメモリー状態の白レ
ベルで除した値を用いた。使用した液晶はC10F系で
あった。
タパルスが非選択時間の間にやむを得ず加わる。)に対
する黒レベルの安定性の評価は、図8に示すようなバイ
ポーラパルスとそれに続くバイポーラのデータパルス列
を印加することによって行った。このときのコントラス
トの評価は、白レベルの時間平均を黒レベルの時間平均
で除した値を用い、特に黒レベルの安定性の評価には、
黒レベルの変動幅をバイアスのないメモリー状態の白レ
ベルで除した値を用いた。使用した液晶はC10F系で
あった。
【0062】結果 1)これらFLCは、電界印加により、 150μs〜1m
sオーダの応答時間でスイッチングし、良い双安定性を
示した。
sオーダの応答時間でスイッチングし、良い双安定性を
示した。
【0063】特にC10F、C10LPS、FPBのメ
モリー性が良く、メモリー時と電界印加時のコーン角の
比:θM /θE は、θM /θE =1となる。C8LPS
ではθM /θE =0.95であり、FNB、FFBBではθ
M /θE <0.6 となり、メモリー性が比較的悪く、ツイ
スト状態であることがわかる。
モリー性が良く、メモリー時と電界印加時のコーン角の
比:θM /θE は、θM /θE =1となる。C8LPS
ではθM /θE =0.95であり、FNB、FFBBではθ
M /θE <0.6 となり、メモリー性が比較的悪く、ツイ
スト状態であることがわかる。
【0064】これらのセルと同等のセルを、厚みが 100
μmのガラスを用いて作製し、X線回折法を用い、各液
晶層構造の周期構造からの散乱を測定するため、計算管
を固定し、セルを配向処理方向に垂直でガラス面に平行
な液晶を貫く軸の回りに回転し、X線の散乱強度を35℃
で測定した(いわゆる、Locking curve)。この測定から
求めた層傾斜角を下記の表−1に示す。
μmのガラスを用いて作製し、X線回折法を用い、各液
晶層構造の周期構造からの散乱を測定するため、計算管
を固定し、セルを配向処理方向に垂直でガラス面に平行
な液晶を貫く軸の回りに回転し、X線の散乱強度を35℃
で測定した(いわゆる、Locking curve)。この測定から
求めた層傾斜角を下記の表−1に示す。
【0065】
【0066】いずれのセルも傾斜したブックシェルフ構
造をとっており、層傾斜角は32〜37度の間に位置してい
た。
造をとっており、層傾斜角は32〜37度の間に位置してい
た。
【0067】2)バイアス電圧印加のコントラストへの
影響 図8にC10F系のバイアス電圧に対する安定性を評価
した電気光学応答の結果を示した。データパルスの電圧
が 4.5Vまでは黒レベルの変動が少ない。これらをコン
トラストとして見たものを図9に示した。
影響 図8にC10F系のバイアス電圧に対する安定性を評価
した電気光学応答の結果を示した。データパルスの電圧
が 4.5Vまでは黒レベルの変動が少ない。これらをコン
トラストとして見たものを図9に示した。
【0068】さらに、図10に、各種液晶系についての黒
レベルの安定性を示した。ツイストしているFNB、F
FBBについては予想通り安定性が悪いが、特にここで
着目したいのが、メモリー性の高いC10F、C10L
PS、FPBについての比較である。安定性はC10F
の方がC10LPSよりも高く、これはコアに置換した
フッ素による、誘電率異方性の効果によるものと考えら
れる。しかし、FPB系では極端に黒レベルの安定性が
低下している。
レベルの安定性を示した。ツイストしているFNB、F
FBBについては予想通り安定性が悪いが、特にここで
着目したいのが、メモリー性の高いC10F、C10L
PS、FPBについての比較である。安定性はC10F
の方がC10LPSよりも高く、これはコアに置換した
フッ素による、誘電率異方性の効果によるものと考えら
れる。しかし、FPB系では極端に黒レベルの安定性が
低下している。
【0069】これらのFLCの時間分解FT−IRの結
果を図11に示す。フェニルピリミジンコアに平行な分子
振動モードの時間変化に着目すると、C10F系では減
少して極小を示し、増大する下に凸の曲線となる。一
方、FPB系ではそれとは逆に、上に凸の極大を有する
曲線となる。このことは、偏光赤外の吸収が振動モード
ベクトルの基板面への射影の内積に比例することから、
C10F系では上回り、FPB系では下回りであること
が判る。同様に、その他の液晶系を検討した結果、残り
はすべて上回りであった。
果を図11に示す。フェニルピリミジンコアに平行な分子
振動モードの時間変化に着目すると、C10F系では減
少して極小を示し、増大する下に凸の曲線となる。一
方、FPB系ではそれとは逆に、上に凸の極大を有する
曲線となる。このことは、偏光赤外の吸収が振動モード
ベクトルの基板面への射影の内積に比例することから、
C10F系では上回り、FPB系では下回りであること
が判る。同様に、その他の液晶系を検討した結果、残り
はすべて上回りであった。
【0070】即ち、黒レベルのバイアス印加に伴う安定
性は、コーンの上回りにより安定化されることがわかっ
た。
性は、コーンの上回りにより安定化されることがわかっ
た。
【0071】そこで、上回り、下回りを決定する因子を
検討した。ここでは、層傾斜角とプレチルトについて注
力した。液晶デバイスハンドブック、日本学術振興会第
142委員会編 日刊工業新聞社p.242〜247 に記述さ
れているSiOの回転斜方蒸着の方法に従い、プレチル
ト角をθP =0〜90度とした配向膜を用いた。プレチル
ト角の測定はメルク社製のZLI−2008を用い、磁
場容量法を用いた。
検討した。ここでは、層傾斜角とプレチルトについて注
力した。液晶デバイスハンドブック、日本学術振興会第
142委員会編 日刊工業新聞社p.242〜247 に記述さ
れているSiOの回転斜方蒸着の方法に従い、プレチル
ト角をθP =0〜90度とした配向膜を用いた。プレチル
ト角の測定はメルク社製のZLI−2008を用い、磁
場容量法を用いた。
【0072】ここでは、液晶材料としてC10F系を用
いて、プレチルト角を制御して検討した。これらの配向
膜の差による層傾斜角の差は34±1度であった。これら
のセルにC10F系の液晶を注入し、黒レベルの安定性
の効果を検討した。黒レベルの安定性は全て、データパ
ルスの電圧 4.5Vで行った。図12にその結果を示す。
いて、プレチルト角を制御して検討した。これらの配向
膜の差による層傾斜角の差は34±1度であった。これら
のセルにC10F系の液晶を注入し、黒レベルの安定性
の効果を検討した。黒レベルの安定性は全て、データパ
ルスの電圧 4.5Vで行った。図12にその結果を示す。
【0073】この結果から、プレチルト角θP が層傾斜
角〜(層傾斜角+15度)の間、即ちθP =34〜49度で非
常に良い黒レベルが得られていることが判る。ここで用
いたC10Fのコーン角は38.6度であり、それゆえチル
ト角θは約19.3度となる。従って、β/θ=15/19.3≒
0.78であり、βはコーン角2θの半分のチルト角の 0.8
倍以下が好ましいことが判る。即ち、好ましい条件は、 0°<β< 0.8θ である。
角〜(層傾斜角+15度)の間、即ちθP =34〜49度で非
常に良い黒レベルが得られていることが判る。ここで用
いたC10Fのコーン角は38.6度であり、それゆえチル
ト角θは約19.3度となる。従って、β/θ=15/19.3≒
0.78であり、βはコーン角2θの半分のチルト角の 0.8
倍以下が好ましいことが判る。即ち、好ましい条件は、 0°<β< 0.8θ である。
【0074】このθ、δを満足する液晶材料とプレチル
ト角θP =δ+βを与える配向膜との組み合わせによ
り、コーン面の上回りに回転するスイッチングをし、バ
イアス電圧に対する安定性の高いメモリー性を得ること
ができ、マルチプレックス駆動で高コントラストの表示
が達成可能になる。
ト角θP =δ+βを与える配向膜との組み合わせによ
り、コーン面の上回りに回転するスイッチングをし、バ
イアス電圧に対する安定性の高いメモリー性を得ること
ができ、マルチプレックス駆動で高コントラストの表示
が達成可能になる。
【0075】以上、本発明を例示したが、上述の実施例
は本発明の技術的思想に基づいて更に変形が可能であ
る。
は本発明の技術的思想に基づいて更に変形が可能であ
る。
【0076】例えば、上述した液晶素子の各構成部分、
特に液晶、配向膜の種類やその調製又は形成方法は種々
変更してよい。上述したカライル分子として、ビフェニ
ル系とエステル系とは別々に使用するのがよいが、これ
らを併用しても差支えない。また、上述した以外の液晶
として、3環系等も使用可能である。
特に液晶、配向膜の種類やその調製又は形成方法は種々
変更してよい。上述したカライル分子として、ビフェニ
ル系とエステル系とは別々に使用するのがよいが、これ
らを併用しても差支えない。また、上述した以外の液晶
として、3環系等も使用可能である。
【0077】なお、本発明による液晶素子は、高速応答
性、高コントラスト表示が可能な高速光学シャッターや
表示情報量の多いディスプレイ装置に好適である。更
に、例えば強誘電性液晶素子を利用した空間光変調器等
のようなオプトエレクトロニクスデバイスや画像処理用
デバイスにも有望である。
性、高コントラスト表示が可能な高速光学シャッターや
表示情報量の多いディスプレイ装置に好適である。更
に、例えば強誘電性液晶素子を利用した空間光変調器等
のようなオプトエレクトロニクスデバイスや画像処理用
デバイスにも有望である。
【0078】
【発明の作用効果】本発明は、上述した如く、液晶配向
膜が設けられた一対の基体が前記液晶配向膜の側で所定
の間隙を置いて互いに対向し、前記間隙内に液晶が配さ
れている液晶素子において、前記液晶配向膜が与えるプ
レチルト角θP をθP =δ+β(但し、δは前記液晶の
層傾斜角(単位は度)である。)としたとき、 0°<β なる条件を満たすことを特徴とする液晶素子としている
ので、δ(更にはチルト角θ)を満足する液晶材料とプ
レチルト角θP =δ+βを与える配向膜との組み合わせ
により、コーン面の上回りに回転するスイッチングを
し、バイアス電圧に対する安定性の高いメモリー性を得
ることができ、特にマルチプレックス駆動で高コントラ
ストの表示が達成可能になる。
膜が設けられた一対の基体が前記液晶配向膜の側で所定
の間隙を置いて互いに対向し、前記間隙内に液晶が配さ
れている液晶素子において、前記液晶配向膜が与えるプ
レチルト角θP をθP =δ+β(但し、δは前記液晶の
層傾斜角(単位は度)である。)としたとき、 0°<β なる条件を満たすことを特徴とする液晶素子としている
ので、δ(更にはチルト角θ)を満足する液晶材料とプ
レチルト角θP =δ+βを与える配向膜との組み合わせ
により、コーン面の上回りに回転するスイッチングを
し、バイアス電圧に対する安定性の高いメモリー性を得
ることができ、特にマルチプレックス駆動で高コントラ
ストの表示が達成可能になる。
【図1】本発明に基づく液晶素子の液晶のコーンモデル
とその層傾斜角及び配向膜のプレチルト角の関係を示す
概略斜視図である。
とその層傾斜角及び配向膜のプレチルト角の関係を示す
概略斜視図である。
【図2】液晶分子のダイレクタのスイッチング時の回転
を説明するための、図1と同様の概略斜視図である。
を説明するための、図1と同様の概略斜視図である。
【図3】液晶分子のダイレクタのスイッチング時の回転
を各状態で説明する概略図である。
を各状態で説明する概略図である。
【図4】液晶分子の方位角による透過率変化を示すグラ
フである。
フである。
【図5】本発明に使用可能なカイラル液晶分子の構造式
である。
である。
【図6】本発明に使用可能な非カイラル液晶分子の構造
式である。
式である。
【図7】本発明に基づく液晶表示素子の概略断面図であ
る。
る。
【図8】同液晶表示素子のバイアス電圧安定性を評価す
る電気光学応答特性を比較して示す波形及びスペクトル
図である。
る電気光学応答特性を比較して示す波形及びスペクトル
図である。
【図9】同液晶表示素子のデータパルスによるコントラ
スト比の変化を示すグラフである。
スト比の変化を示すグラフである。
【図10】同液晶表示素子の各種液晶について黒レベルの
安定性を比較するためのグラフである。
安定性を比較するためのグラフである。
【図11】同液晶表示素子の液晶の時間分解FT−IRス
ペクトル図である。
ペクトル図である。
【図12】同液晶表示素子のプレチルト角による黒レベル
の安定性を評価するためのグラフである。
の安定性を評価するためのグラフである。
1、1’、1”、1a、1a’、1a”、2、2’、
2”、2a、2a’、2a”・・・液晶ダイレクタの位
置 11a、11b・・・基板 12a、12b・・・ITO電極 13a、13b・・・液晶配向膜 15・・・液晶 A、B・・・積層体 δ・・・層傾斜角 θP ・・・プレチルト角 θ・・・コーン角の1/2(チルト角) φ・・・方位角
2”、2a、2a’、2a”・・・液晶ダイレクタの位
置 11a、11b・・・基板 12a、12b・・・ITO電極 13a、13b・・・液晶配向膜 15・・・液晶 A、B・・・積層体 δ・・・層傾斜角 θP ・・・プレチルト角 θ・・・コーン角の1/2(チルト角) φ・・・方位角
Claims (5)
- 【請求項1】 液晶配向膜が設けられた一対の基体が前
記液晶配向膜の側で所定の間隙を置いて互いに対向し、
前記間隙内に液晶が配されている液晶素子において、前
記液晶配向膜が与えるプレチルト角θP をθP =δ+β
(但し、δは前記液晶の層傾斜角(単位は度)であ
る。)としたとき、 0°<β なる条件を満たすことを特徴とする液晶素子。 - 【請求項2】 液晶分子のコーン角の1/2をθ(単位
は度)としたとき、 0°<β< 0.8θ なる条件を満たす、請求項1に記載した液晶素子。 - 【請求項3】 0.04θ≦βである、請求項1又は2に記
載した液晶素子。 - 【請求項4】 液晶分子が負の誘電率異方性(Δε<
0)を有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載
した液晶素子。 - 【請求項5】 液晶配向膜が反平行に組まれている、請
求項1〜4のいずれか1項に記載した液晶素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26295093A JPH0792470A (ja) | 1993-09-27 | 1993-09-27 | 液晶素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26295093A JPH0792470A (ja) | 1993-09-27 | 1993-09-27 | 液晶素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0792470A true JPH0792470A (ja) | 1995-04-07 |
Family
ID=17382809
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26295093A Pending JPH0792470A (ja) | 1993-09-27 | 1993-09-27 | 液晶素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0792470A (ja) |
-
1993
- 1993-09-27 JP JP26295093A patent/JPH0792470A/ja active Pending
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