JPH079234B2 - スクロール形流体機械 - Google Patents

スクロール形流体機械

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JPH079234B2
JPH079234B2 JP59064586A JP6458684A JPH079234B2 JP H079234 B2 JPH079234 B2 JP H079234B2 JP 59064586 A JP59064586 A JP 59064586A JP 6458684 A JP6458684 A JP 6458684A JP H079234 B2 JPH079234 B2 JP H079234B2
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hole
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orbiting scroll
frame
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利之 中村
正浩 杉原
努 稲葉
正彦 大井手
正 木村
教秀 小林
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Mitsubishi Electric Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C29/00Component parts, details or accessories of pumps or pumping installations, not provided for in groups F04C18/00 - F04C28/00
    • F04C29/02Lubrication; Lubricant separation
    • F04C29/023Lubricant distribution through a hollow driving shaft

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
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  • Compressor (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、スクロール形流体機械の給油装置に関する
ものである。
〔従来技術〕
第1図はスクロール圧縮機の基本的な構成要素を示すも
ので、図において(1)は固定スクロール、(2)は揺
動スクロール、(105)は吐出口、(P)は圧縮室、0
は固定スクロール上の定点、0′は揺動スクロール上の
定点である。固定スクロール(1)および揺動スクロー
ル(2)は同一形状の渦巻で構成されておりその形体
は、従来から知られている如く、インボリュートあるい
は、円弧等を組合せたものである。
次に動作について説明する。第1図において、固定スク
ロール(1)は空間に対して静止しており、揺動スクロ
ール(2)は、固定スクロール(1)と図の如く組合わ
されて、その姿勢を空間に対して変化させないで、回転
運動、即ち揺動を行ない、第1図0°、90°、180°、2
70°のように運動する。揺動スクロール(2)の揺動に
伴なって、固定スクロール(1)及び揺動スクロール
(2)の間に形成される三日月状の圧縮室(P)は順次
その容積を減じ、この圧縮室(P)に取り込まれた気体
は圧縮されて吐出口(105)から吐出される。この間第
1図0〜0′の距離は一定に保持されており、渦巻の間
隔をa、厚みをtで表わせ となっている。aは渦巻のピッチに相当している。
第2図は、従来のスクロール圧縮機の一実施例である図
において(1)は固定スクロール、(2)は揺動スクロ
ール、(4)は主軸、(P)は圧縮室、(6a)はフレー
ム、(8)は揺動スクロール(2)を揺動運動させるオ
ルダム継手、(10)はモータ・ロータ、(11)はモータ
・ステータ、(402)は第1バランサ、(403)は第2バ
ランサ、(9)は密閉容器、(904)は吸入配管、(90
5)は吐出配管、(100)はエアギャップ、(104)は吸
入口、(909)は油溜めである。
揺動スクロール(2)は固定スクロール(1)と嵌合さ
れ、揺動スクロール(2)は主軸(4)に連結してい
る。主軸(4)はフレーム(6a)に嵌合され、フレーム
(6a)と固定スクロール(1)は、ボルト等(図示せ
ず)で結合され、揺動スクロール(2)とフレーム(6
a)の間にオルダム継手(8)が位置している。また、
主軸(4)に、モータ・ロータ(10)が圧入等により連
結され、モータ・ロータ(10)には、第1バランサ(40
2)、第2バランサ(403)がネジ等(図示せず)で止め
られている。フレーム(6a)及び、モータ・ステータ
(11)は密閉容器(9)に圧入等されている。
次に動作について説明する。まず、モータ・ステータ
(11)に通電されるとモータ・ロータ(10)に回転トル
クが発生し、主軸(4)を回転させる。そして、揺動ス
クロール(2)は旋回を開始するが、オルダム継手
(8)により自転を妨げられるため、固定スクロール
(1)と揺動スクロール(2)は第1図で示した圧縮原
理により作動流体を圧縮する。ここで、揺動スクロール
(2)は偏心公転運動をするが、その静的及び動的釣り
合わせを第1、及び第2バランサ(402)、(403)によ
って行なう。
このようにして圧縮機が運転されると、作動流体のガス
は、第2図に実線矢印で示すように吸入管(904)より
吸入され、モータ・ロータ(10)とモータ・ステータ
(11)との間のエア・ギャップ(100)等の流通路を通
ってモータを冷却したあと、フレーム(6a)の吸入口
(104)を通った後、圧縮室(P)へ吸入され、そして
ここで圧縮され、吐出管(905)から排出される。
また、油は第2図に点線矢印で示すように油溜め(90
9)に先端がつかったクランク軸(4)中の油通路(3
a)より遠心力によって偏心穴(401)、上部主軸受(60
2)、下部主軸受(702)へは積極的な給油を行ない、偏
心穴(401)、上部主軸受(602)へ給油された油は、上
部スラスト軸受(601)を給油した後、重力によって油
溜め(909)へ戻る。また、下部主軸受(702)へ給油さ
れた油は、モータ側へ漏れて、同じく重力によって油溜
め(909)へ戻る。
このようなスクロール圧縮機においては、偏心穴(40
1)、上部主軸受(602)、下部主軸受(702)、上部ス
ラスト軸受(601)へは、積極的な給油が行なわれる
が、上部主軸受(602)と下部主軸受(702)との間に位
置し、主軸(4)と、モータ・ロータ(10)の重量、す
なわち、スラスト力を支承する下部スラスト軸受(70
1)へは、積極的な給油が行なわれていなかった。この
ため、この部分では、局部的に過熱され、下部スラスト
軸受(701)の異常摩耗や、焼付き損傷事故などが生じ
るという問題点があった。
この発明は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、揺動スクロールの軸受系統に潤滑油を積極給
油するだけでなく、クランク軸のスラスト力を支承する
下部スラスト軸受に積極給油して、その下部スラスト軸
受の異常摩耗や焼付き損傷等を防止できるスクロール形
流体機械を得ることを目的とする。
[発明の概要] この発明に係るスクロール形流体機械は、密閉シェル内
に収納された固定スクロール及び揺動スクロールと、こ
の揺動スクロールのスラスト力を支承する上部スラスト
軸受部と、一端に前記揺動スクロールの軸を回動可能に
支承する偏心穴を有して他端が前記密閉シェル内の油溜
内に浸漬され、モータで駆動されて前記揺動スクロール
に回転力を付与するクランク軸と、このクランク軸のス
ラスト力を支承する下部スラスト軸受部と、前記クラン
ク軸に設けられ、該クランク軸の回転によるポンプ作用
で前記油溜内の油を吸引して前記偏心穴に強制給油し前
記揺動スクロールの軸受系統を潤滑させるための油通路
と、前記クランク軸の偏心穴で、クランク軸の軸心より
離間位置に設けられ、前記偏心穴と前記下部スラスト軸
受部とを連通させ前記偏心穴へ供給された油の一部を直
接前記下部スラスト軸受部へ供給する油孔と、を備えた
ものである。
この発明に係るスクロール形流体機械は、クランク軸の
スラスト力を支承する下部スラスト軸受部に、クランク
軸の偏心穴で、クランク軸の軸心より離間位置に設けら
れ、偏心穴と下部スラスト軸受部とを連通させる油孔か
ら遠心ポンプ作用にて直接積極給油されるので、給油が
確実になされ、下部スラスト軸受部が給油不足によって
過熱されるようなこがなくなり、その過熱に起因した下
部スラスト軸受部の異常摩耗や焼付き損傷事故等を防止
できる。
〔発明の実施例〕
以下、この発明のスクロール圧縮機の実施例の構成を第
3図〜第37図によつて説明する。第3図はスクロール圧
縮機を全密閉形冷媒圧縮機に応用した場合の具体的な一
実施例である。
図中(1)は固定スクロール、(2)は揺動スクロー
ル、(104a)は固定スクロール(1)の周壁部(104c)
に形成された吸入口、(105)は固定スクロール(1)
の中央部に穿設された吐出孔である。又、固定スクロー
ル(1)は円板状の台板(101)とこの台板(101)に一
体に形成された渦巻状側板(102)と周壁部(104c)と
で構成され、揺動スクロール(2)も同様に円板状の台
板(201)に一体に形成された渦巻状側板(202)とで形
成され、両スクロール(1)(2)が互いにかみ合わさ
つて台板(101)(201)と渦巻状側板(102)(202)と
で囲まれた圧縮室(P)が形成されている。この圧縮室
(P)は複数個形成されそのうち最も圧力が高い中央部
の圧力室が吐出孔(105)に連通するように構成されて
いる。上記渦巻状側板(102),(202)の各端面にはそ
れぞれ渦巻長手方向に沿つて、しかも渦巻方向内端部を
残して溝(103),(203)が形成され、これら各溝(10
3)(203)にはチツプシール(3)が軸方向移動可能に
それぞれ嵌入されている。又、(4)はクランク軸であ
る主軸、(5)は渦巻状側板(102)(202)が摩耗して
もこれら両側板(102)(202)が常時接触するように揺
動スクロール(2)に押付け力を与える偏心ブツシユ、
(6)は外周部平面形状が固定スクロール(1)とほゞ
同じでしかも最大外径が固定スクロール(1)と同じで
ある上部フレーム、(7)は外周部平面形状が固定スク
ロール(1)とほゞ同じでしかも最大外径が上部フレー
ム(6)より大きな下部フレーム、(8)はオルダム継
手、(601)は圧縮室(P)の圧力及び揺動スクロール
の自重を受ける環状の上部スラスト軸受、(701)は主
軸(4)及び後述するモータのロータ(10)の自重と主
軸(4)にかゝるスラスト荷重を受ける環状の下部スラ
スト軸受、(602)は主軸(4)のラジアル荷重をその
上部で受ける上部主軸受で、この実施例では軸受メタル
を使用している。(702)は主軸(4)のラジアル荷重
をその中間部で受ける下部主軸受で、この実施例では軸
受メタルを使用している。揺動スクロール(2)の台板
(201)の背面中心部には、軸心が台板(201)の背面に
対して垂直で、主軸(4)の軸心に対して平行な軸(20
4)が一体に形成されており、又、主軸(4)の上端面
には主軸(4)の軸心(回転中心)に平行な軸芯を有す
る偏心穴(401)が形成されていて、この偏心穴(401)
に回転自在に偏心ブツシユ(5)が嵌入されている。こ
の偏心ブツシユ(5)はその外周に対して偏心し軸心が
主軸(4)の軸心と平行な偏心孔(502)を有してお
り、この偏心孔(502)には上記軸(204)が回転自在に
嵌入されている。主軸(4)は、上部フレーム(6)に
設けられた貫通孔(602a)に圧入により固定された上部
主軸受(602)、下部フレーム(7)の上面に形成され
た軸受取付丸穴(7a)に嵌入された下部スラスト軸受
(701)及び下部フレーム(7)の中央部から下方へ一
体をなして延在した筒状軸受支持部(7b)の中央貫通孔
(7c)に圧入により固定された下部主軸受(702)によ
つて軸支されており、上部フレーム(6)、下部フレー
ム(7)はいんろう嵌合部(67a)(76a)により上部主
軸受(602)、下部主軸受(702)が互いに同心になるよ
う組合わさつている。また上部主軸受(602)と上部ス
ラスト軸受(601)とは同心であり、上部主軸受(602)
のラジアル軸受面(602b)上部スラスト軸受(601)の
スラスト軸受面(601a)とが垂直であるので、主軸
(4)はその軸心が上部スラスト軸受(601)の軸心に
対して同心となり、またスラスト軸受面(601a)に対し
て垂直に維持される。又、揺動スクロール(2)はその
台板(201)の背面で上記上部スラスト軸受(601)によ
り支承されているので、揺動スクロール(2)の台板
(201)は主軸(4)に対して垂直な姿勢に維持され
る。上記上部スラスト軸受(601)は複数個のリベツト
(603)によつて、上部フレーム(6)にカシメられて
おり、図における上下方向及び左右方向並びに周方向の
何れの方向にも動かないように堅固に固定されている。
なお、この固定は、リベツト(603)の代りに複数の皿
ネジ等で行なつても良い。下部スラスト軸受(701)
は、軸受取付丸穴(7a)の底部に植設されたピン(70
3)によつて、主軸(4)の回転方向への回動が阻止さ
れている。なお、本実施例においては、各部軸受は(60
1)(602)(701)(702)はすべり軸受の形態をとつて
おり、従つてこれら各部軸受はメタル軸受を使用してい
るが、下部スラスト軸受(701)、下部主軸受(702)は
その軸受負荷が他の軸受(601)(602)に比べて相対的
に小さいので、下部フレーム(7)が例えば鋳鉄、アル
ミ鋳物などのメタル軸受機能を有した材料で作られてい
る場合には、これら下部の軸受(701)(702)を設けず
に下部フレーム(7)自体で上記軸受負荷を直接受ける
ようにしてもよい。
オルダム継手(8)は、揺動スクロール(2)の自転を
防止し、揺動スクロール(2)が主軸(4)の軸心の周
りに公転運動のみをするようにするための継手手段であ
り、揺動スクロール(2)の台板(201)と、上部フレ
ーム(6)との間に配設されている。
上記各部機構部品が上記のような相対関係に組立てられ
た後、上部フレーム(6)と、下部フレーム(7)と、
固定スクロール(1)とは、固定スクロール(1)の周
壁(104c)と上部フレーム(6)とを貫通し先端のねじ
部(106a)が下部フレーム(7)のみに螺合する複数個
のボルト(106)によつて共締めされる。主軸(4)を
回転させるモータの支持はモータのロータ(10)が主軸
(4)に焼嵌めなどによつて固定され、上記ロータ(1
0)と適当なエア・ギヤツプを確保調整しながら、モー
タのステータ(11)が下部フレーム(7)下側のフイン
ガー状延在部(7d)の下面に複数個のボルト(704)に
よつて固着される。又、ロータ(10)のコア部(10a)
の中央部上端には筒状軸受支持部(7b)の下端部を小間
隙を介して収容する凹穴(10b)が形成されている。上
記フインガー状延在部(7d)と筒状軸受支持部(7b)と
の間の空間部(7e)には、固定子巻線(11a)の上端部
とロータの上部エンドリング(10b)とが収容されてい
る。また、揺動スクロール(2)が主軸(4)の軸心に
対して偏心しているので回転系のバランスを取る必要が
あり、このバランスを取るため、第1バランサ(402)
が主軸(4)に一体に形成され、第2バランサ(403)
がロータ(10)の下部エンドリング(10c)に取り付け
られている。なお、第1バランサ(402)は主軸(4)
と別体であつてもよく、第2バランサ(403)は下部エ
ンドリング(10c)に一体に形成してもよい。主軸
(4)の下端部には、遠心ポンプ作用により給油を行な
うためのオイル・キヤツプ(12)が焼嵌め、圧入等によ
り嵌着されている。(7h)は下部フレーム(7)外周の
ガス通路(614b)のひとつをその上端を閉塞するように
設けられた隔壁である。上記各機構部品を上記のような
相対関係に組立てられた機構部分(13)、即ち、固定ス
クロール(1)、揺動スクロール(2)、上部フレーム
(6)、下部フレーム(7)、主軸(4)、ロータ(1
0)、ステータ(11)等々の組立品はシエル中間円筒部
(901)内に下部フレーム(7)外周部において焼嵌め
あるいはスポツト溶接などにより固定され、シエル上蓋
(902)、シエル底蓋(903)が前記シエル中間円筒部
(901)両端面において図のようにシエル中間円筒部(9
01)の外周部をおおうように嵌め合わされ、これら嵌め
合わせ部(902a),(903a)を溶接して密封することに
よりシエル即ち、密閉容器(9)が形成されている。上
記機構部分(13)をシエル中間円筒部(901)内に低す
る際、軸方向の位置決めを容易に行なうため、上記下部
フレーム(7)外周部全周に亘つて段部(7f)が形成さ
れていると共に、シエル中間円筒部(901)の内周部全
周に亘つて上記段部(7f)に全周に亘つて当接する段部
(901a)が形成されている。シエル中間円筒部(901)
の段部(901a)はプレス等による拡管あるいはエンドミ
ル等による切削加工で形成される。(904)は密閉容器
(9)外の吸入配管(図示せず)を介して蒸発器(図示
せず)内の低圧冷媒を密閉容器(9)内に吸入するため
の吸入管、(905)は最高圧の圧縮室(P)内の高圧冷
媒を密閉容器(9)外の吐出配管(図示せず)を介して
凝縮機(図示せず)へ吐出するための吐出管、(906)
はプロセス配管で、シエル内の真空引き、シエル内への
油の封入、シエル内へのガスの封入に利用されるもので
ある。(907)は密封端子、(908)は端子箱、(909)
は潤滑油溜め、(910)はフオーミング防止板、(911)
は4個の圧縮機取り付け足で、シエル底蓋(908)の外
側底面に周方向に等間隔に取り付けられている。吸入管
(904)はシエル中間円筒部(901)の周壁に溶接等によ
り接続され、密閉容器(9)内の低圧空間(912)に開
口している。吐出管(905)はシエル上蓋(902)の中心
部を貫通してこの中心部に気密に接続され、更に固定ス
クロール(1)の吐出孔(105)に連通するように延長
されている。吐出管(905)と固定スクロール(1)と
の接合部には密閉容器(9)内の低圧空間(912)と吐
出管(905)内あるいは吐出孔(105)とが連通しないよ
うに密封手段として0リング(107)が設けられてい
る。なお、この密封手段としては、0リングの代りに吐
出管(905)を固定スクロール(1)の連通孔(1a)に
圧入してもよい。0リング(107)を使用した場合、吐
出管(905)をシエル上蓋(902)に溶接した時の熱によ
る0リング(107)の劣化を防止するため、あらかじめ
吐出管(905)をシエル上蓋(902)に溶接した状態で吐
出管(905)を連通孔(1a)に嵌入しながら、シエル上
蓋(902)をシエル中間円筒部(901)に嵌め合わせて溶
接するか、シエル上蓋(902)の外側に突出した吐出管
保持パイプ(913)を有するシエル上蓋(902)をシエル
中間円筒部(901)に溶接した後で、吐出管(905)を保
持パイプ(913)を通して、連通孔(1a)に嵌入し、保
持パイプ(913)と吐出管(905)との合わせ目をロー付
けするのが好ましい。なお、0リング(107)を使用せ
ずに吐出管(905)を連通孔(1a)に圧入したり、或い
は吐出管(905)を銅管のような軟質材で形成し連通孔
(1a)に嵌入した後に、吐出管(905)内に硬質パイプ
を圧入して拡管することにより、連通孔(1a)に吐出管
(905)を気密に接続することも不可能ではない。
密封端子(907)は、シエル上蓋(902)に溶接され、こ
の密封端子(907)とモータ・ステータ(11)の固定子
巻線(11a)とは密閉容器(9)内の低圧空間(912)で
リード線(図示せず)によつて電気的に接続されてい
る。密閉容器(9)内の低圧空間(912)は固定スクロ
ール(1)、上部フレーム(6)、下部フレーム(7)
の組立体によつて、上部空間(912a)と下部空間(912
b)とに仕切られており、これら上部空間(912a)と下
部空間(912b)とは固定スクロール(1)、上部フレー
ム(6)、下部フレーム(7)の夫々の外周に、主軸
(4)の軸心と平行をなして一連に設けられた切欠通路
(14)によつて均圧されている。又、上記切欠通路(1
4)は、固定スクロール(1)、両フレーム(6)
(7)の夫々の外周にその周方向に等間隔に複数個設け
られている。更に、固定スクロール(1)の吸入口(10
4a)は上記固定スクロール(1)と両フレーム(6)
(7)の各々の複数個の切欠通路(14)を介して上記上
部空間(912a)及び下部空間(912b)に連通している。
上記切欠通路(14)における冷媒流通抵抗を極力小さく
するために、上記切欠通路(14)は極力多数設け、固定
スクロール(1)、両フレーム(6)(7)の各外周部
の形状が平歯車の歯部のような形状になるようにするの
が好ましい。
次に給油経路の構成を説明する。潤滑油溜め(909)は
密閉容器(9)内の下部空間(912b)の下部にあり、こ
の潤滑油溜め(909)内の油(909a)中に主軸(4)の
下端部及びオイル・キヤツプ(12)が浸漬されている。
(910)は潤滑油溜め(909)より上部に位置し、シエル
中間円筒部(901)内周側面にスポツト溶接などによつ
て、その外周面で固定された円板状のフオーミング防止
板であり、圧縮機の起動時低圧空間(912)の圧力が急
降下したり、主軸(4)の回転によつて潤滑油(909a)
が攪拌されて起こる周知のフオーミング現象の発生を防
止するものである。このフオーミング防止板(910)の
中央部には、上記主軸(4)が貫通するための孔(910
a)が設けてある。
(404)は主軸(4)にその軸心に沿つてこの軸心と偏
心した位置に主軸(4)の上下両端に亘つて貫通して穿
設された油通路で、下端は主軸(4)の下端面にオイル
・キヤツプ(12)内で開口し、他端は主軸(4)上端部
で偏心穴(401)底面に開口して、偏心穴(401)と潤滑
油溜め(909)とを連通している。また、上記油通路(4
04)の途中で、下部主軸受(702)の摺動面に給油する
ため、主軸(4)には油通路(404)と主軸(4)外と
を連通する半径方向の油孔(405)が設けられている。
更に、下部主軸受(702)の摺動面への給油を確実に行
なうため、上記油孔(405)と対向するように油孔(40
5)と同じ高さに位置して下部主軸受(702)の内周面に
その全周に亘つて周回油溝(702a)が設けられている。
更に、偏心穴(401)底面部から下部スラスト軸受(70
1)へ給油するための油孔(406)が油通路(404)と平
行をなして偏心穴(401)底部に穿設されている。ま
た、(407)は主軸(4)の下面中央部から外周面に跨
つて穿設されたガス抜き孔である。(604)は上部フレ
ーム(6)上下に貫通して穿設された排油孔で、上部フ
レーム(6)と揺動スクロール(2)の台板(201)と
によつて形成されたオルダム継手(8)を収納するオル
ダム室(605)と、上部フレーム(6)及び下部フレー
ム(7)とによつて形成された第1バランサ(402)を
収納するバランサ室(705)とを連通させている。
(706)は排油孔であつて、下部フレーム(7)の外周
に設けられた上下方向の溝(7g)とシエル中間円筒部
(901)の内周面とによつて形成され、バランサ室(70
5)と密閉容器(9)内の低圧空間(912)を連通してい
る。
このように構成されたスクロール圧縮機の動作を次に説
明する。密封端子(907)を通じてモータ・ステータ(1
1)に通電すると、モータ・ロータ(10)はトルクを発
生して、主軸(4)と共に回転する。主軸(4)が回転
を始めると、主軸(4)の偏心穴(401)に嵌入された
偏心ブツシユ(5)を介して揺動スクロール(2)の軸
(204)に主軸(4)の回転力が伝えられ、揺動スクロ
ール(2)はオルダム継手(8)にガイドされて、自転
することなく主軸(4)の軸心を中心とする公転運動を
行ない、第1図に示す上述したような圧縮作用が圧縮室
(P)で行なわれる。この際、渦巻状側板(102),(2
02)の先端面部においては、チツプシール(3)を、台
板(101),(201)にそれぞれ接触させることにより相
対的に高圧の圧縮室から低圧の圧縮室への圧縮冷媒の洩
れが渦巻状側板(102)(202)の先端面部で生じるのを
防止し渦巻状側板(102),(202)の側面同志は、揺動
スクロール(2)が偏心回転運動することによつて生じ
る遠心力などを利用して、偏心ブツシユ(5)を揺動ス
クロール(2)の軸(204)の周りに揺動させ、主軸
(4)の軸心に対する揺動スクロール(2)の偏心量を
可変にすることにより、接触させられ上記相対的に高圧
の圧縮室から低圧の圧縮室への圧縮冷媒の洩れが渦巻状
側板(102),(202)の側面間を通じて渦巻方向に生じ
るのが防止されている。次に冷媒ガスの流れについて説
明する。蒸発器(図示せず)からの吸入冷媒ガスは吸入
管(904)よりシエル内低圧空間(912)に流入して、モ
ータ・ロータ(10)、モータ・ステータ(11)等を冷却
すると共に切り欠き通路(14)を通過して吸入口(104
a)より吸入されて圧縮室(P)に取り込まれ、圧縮さ
れた後、高圧冷媒ガスとなつて吐出孔(105)を経て吐
出管(905)より密閉容器(9)外へ排出され、凝縮器
(図示せず)に至る。
次に給油系について説明する。潤滑油溜め(909)内の
油は、主軸(4)の回転によつて生じる遠心ポンプ作用
により、オイル・キヤツプ(12)、油通路(404)を経
由して偏心穴(401)に汲み上げられ、偏心ブツシユ
(5)に給油される。また、油孔(405)により下部主
軸受(702)に、油孔(406)により下部スラスト軸受
(701)にそれぞれ給油される。更に偏心ブツシユ
(5)及び主軸(4)に設けられた油溝、油穴など(図
示せず)を経て、偏心ブツシユ(5)を潤滑した油は、
上部主軸受(602)を潤滑し、その後上部スラスト軸受
(601)に到り、この上部スラスト軸受(601)を潤滑し
たあと、オルダム室(605)に排出される。ここで潤滑
油は更にオルダム継手(8)を潤滑した後、排油孔(60
4)を経て、排油口(706)より下方へ排出され、フオー
ミング防止板(910)を経て、再び下部の潤滑油溜り(9
09)に戻る。なお、ガス抜き孔(407)はオイル・キヤ
ツプ(12)内のガスを迅速に外に排出し、ポンプの応答
性を早め、ポンプ効率を増すために設けられたものであ
る。
更に、圧縮機の起動時、密閉容器(9)内空間(912)
の圧力が低下して、潤滑油溜り(909)の油が急激にフ
オーミングして冷媒ガスに混入することによつて吸入口
(104a)より圧縮室(P)へ油が多量に流入して、その
まま圧縮機外へガスとともに排出されると潤滑油溜り
(909)内の油が瞬時に枯渇するので、この枯渇を防止
するためにフオーミング防止板(910)が設けられてい
る。この防止機能を生起させるため、フオーミング防止
板(910)には、上記のように油ポンプ作用によつてポ
ンピングされた後に上記各軸受部及びオルダム継手
(8)を潤滑した油が潤滑油溜め(909)に戻るに必要
な程度の油戻し通路(910b)は確保されているが、この
油戻し通路(910b)は油が瞬時に多量に通過しないよう
にその有効面積は小さくしてある。
次に固定スクロール(1)の構造について第4図によつ
て詳細に説明する。第4図(a)は上面図、(b)は下
面図、(c)は(a)図のC−C線における断面を矢印
方向に見た断面図である。図中、固定スクロール(1)
の台板(101)の下面に渦巻状の溝部(108)が形成さ
れ、その結果、台板(101)の下側に垂直方向に延在す
る渦巻側板(102)が台板(101)と一体に形成される。
ここで渦巻側板(102)の渦巻中心(Os)は台板(101)
の中心(Os)と一致している。また渦巻側板(102)の
端面、即ち第3図から判るように揺動スクロール(2)
の台板(201)の上面に対向する端面には渦巻側板(10
2)の渦巻形状に沿つてチツプシール溝(103)が形成さ
れている。このチツプシール溝(103)は渦巻の始端
(中央部)及び終端までは延在してない。即ち上記渦巻
の始端及び終端の手前でチツプシール溝(103)は終端
(103a)となつている。
台板(101)の外周部には冷媒ガスの通路となる多数の
凹部(109)が上下方向即ち軸線方向の全長に亘つて互
いに等間隔に形成され、そのうちの1つ(109a)は渦巻
状の溝部(108)の最外周端部に連通し、またこの凹部
(109a)に対し180°反対の位置における凹部(109b)
もその位置で溝部(108)に連通しており、これら連通
している部分が2つの吸入口(104a)(104b)となつて
いる。上記各凹部(109)は何れも圧縮時に支障をきた
さない程度まで径方向深さ(d)が極力深く形成されて
おり、その結果、渦巻状の溝部(108)の外周に沿つて
設けられている。即ち溝部(108)の外周側周面(108
c)と各凹部(109)の径方向底面(109c)との間の各肉
厚(t)はそれぞれ同じである。また上記凹部(109)
の間の各凸部(110)の何れにも固定スクロール(1)
を下部フレーム(7)に固定させるために先端が下部フ
レーム(7)に螺合するボルト(図示せず)を貫通させ
るボルト孔(111)が設けられている。更に各凸部(11
0)の径方向高さ(d)は各々の径方向外面(110a)を
結ぶ仮想円が真円になるような高さになつている。また
台板(101)上面には中央吐出孔(105)の周りのボス部
(101a)の外周面から径方向外方に向つて延在する多数
本の放射状補強リブ(112)が等間隔に設けられ、更に
放射状補強リブ(112)の径方向外端部を渦巻状の溝部
(108)に沿つて周方向に一体をなして連続させる概略
渦巻形状の補強リブ(113)が形成されている。換言す
れば補強リブ(113)は凹部(109)の周方向配置構成に
合わせて概略渦巻形状に閉じている。また、補強リブ
(113)の外周面と上記各凹部(109)の各底面(109c)
との距離(l)はそれぞれ同じである。上記のような構
造の補強リブ(112),(113)を設けることにより台板
(101)は強度,剛性を保持しつつその相対的厚みを薄
くすることができる。(114)は固定スクロール(1)
の渦巻側面(102)の側面即ち周面などを加工する最に
固定スクロール(1)を固定するためにチヤツキングさ
れる3個の突起であり、補強リブ(112)のうちの3本
から補強リブ(112)の延在方向即ち径方向外方に延在
し、しかも周方向に同じ間隔で配設している。(115)
は吐出管(905)の外周部と吐出孔(105)の内周部との
シールをする0リング(107)を嵌合するために吐出孔
(105)の内周面に周方向に延在して設けられた周回溝
である。
第4図(d)は、固定スクロール(1)と揺動スクロー
ル(2)とを組合わせた状態を示しており、この第4図
(d)から明らかなように、2つの吸入口(104a)(10
4b)は、固定スクロール(1)の渦巻側板(102)と揺
動スクロール(2)の渦巻側板(202)とが接触する2
つの最外周端Aa,Abから渦巻側板(102)の外周端外に向
つて開口している。2つの吸入口(104a)(104b)はこ
のような位置に開口しているので、2つの対称な圧力室
(Pa)(Pb)は同時に閉じ込みを終了するため、圧縮時
における圧縮のアンバランスをなくすことができる。A
a,Ab,A2,A3は両渦巻側板(102)(202)の接触部であ
る。
次に揺動スクロール(2)の構造につき第5図によつて
詳細に説明する。第5図(a)は上面図、(b)は側面
図、(c)は下面図である。図中、揺動スクロール
(2)の台板(201)の上面には渦巻状の溝部(201a)
を形成することによつて渦巻側板(202)が一体をなし
て形成され、下面には揺動軸(204)が一体をなして形
成されている。ここで渦巻側板(202)の中心(OBi)と
台板(201)の中心(OBi)と揺動軸(204)の軸心
(OBi)とは一致している。台板(201)は円板状であ
り、渦巻側板(202)の最外周端部(205)の外周面は台
板(201)の外周面とほぼ接する位置となるように台板
(201)の径は決められている。ここで渦巻側板(202)
の重心が台板(201)および揺動軸(204)の中心とが一
致してない場合には静的なアンバランスが生じる。従つ
てこの静的アンバランスが生じないように揺動スクロー
ル(2)全体の重心が揺動スクロール(2)の揺動軸の
軸心OBiと一致させるため、台板(201)の外周部の一部
に切り欠き(206)を設け、更に渦巻側板(202)の圧縮
に寄与しない最外周部の一部(207)の径方向肉厚を他
の部分の径方向肉厚より薄くしている。なお、切り欠き
(206)だけで上記静的アンバランスが生じないように
できる場合は、渦巻側板(202)の一部(207)を薄くし
なくてもよい。
(208)は上記オルダム継手(8)のガイド溝である。
このガイド溝(208)は揺動軸(204)を挾んで対称な位
置に一対に設けられ、上記切り欠き(206)が設けられ
ている部位以外の部位において揺動スクロール(2)の
台板(201)の下側面の外周部に配設されている。
(209)は台板(201)上面外周部に設けられた段部であ
り、第5図(b)に明示してあるように渦巻側板(20
2)をミリングによつて加工する際、事前にリング状押
え板(210)によつて、台板(201)外周部を押えて平板
状の取付治具(211)に揺動スクロール(2)を取り付
け固定するためのものであり、このようにして外周部を
押えて加工することにより、揺動スクロールを取付け固
定するための他のチヤツキング手段に比べて台板(20
1)の変形を殆んど無くすことができ、渦巻部を精度よ
く加工することができる。この際、台板(201)を全周
にわたつて均一に押えるのが好ましいので、上記切り欠
き(206)を複数個に分割し、これら複数個の切り欠き
(206)(206)間に凸部(212)を残して、この部分で
も押えられるようにしてある。なお、第6図に示すよう
に、段部(209)の替わりに、台板(201)の周面に溝
(213)を設け、この溝(213)に第5図(b)における
リング状押え板(210)と同様にリング状に配設された
複数個の押え板を挿入するようにしてもよい。
また、(214)は揺動軸(204)に同軸に穿設された中空
部であり、その結果、揺動軸(204)は円筒状となつて
いる。なお上記中空部(214)を設けることにより揺動
スクロール(2)の重量を軽減し、バランシングする必
要のある部分の全体的軽量化を図るとともに遠心力の軽
減を図つている。
(203)はチツプシール溝であつて、渦巻状側板(202)
の端面に、側板(202)の渦巻形状に沿つて形成されて
いる。この溝(203)はその端部が第5図(a)に示す
ように、バランス取りのため、渦巻側板(202)の外周
面を削つて薄くした部分(207)よりも内周側の部位(2
15)より始めて終端は固定スクロール(1)側にもうけ
られた吐出孔(105)と干渉しない部位(216)に位置し
ている。固定スクロール(1)側のチツプシール溝(10
3)も揺動スクロール(2)側のチツプシール溝(203)
と形状は対応している。
第7図は渦巻状のチツプシール(3)を揺動スクロール
(2)へ組込む際の斜視図である。(301)はチツプシ
ール(3)を軸方向に付勢させるためのコイル状の複数
個のばねで、これらばねをチツプシール溝(203)内に
挿入した後にチツプシール(3)をチツプシール溝(20
3)内に挿入する。従つて、上記複数個のばね(301)は
チツプシール溝(203)の中にあつて、チツプシール溝
(203)の底面とチツプシール(3)の背面との間に挾
さまつている。固定スクロール(1)も同様の構成にな
つている。
第8図(a)は上部フレーム(6)の上面図であり、第
8図(b)は第8図(a)のb−b線における断面を矢
印方向に見た断面図である。図中、(600a)は底部、
(600b)は周壁部、(600c)は凹窩、(602)は上部主
軸受、(606)は第3図に示す上部スラスト軸受(601)
の取付座で、底部(600a)の上面に形成されている。
(607)はオルダム・ガイド溝、(608)はオルダムリン
グ摺動面、(604)は排油穴、(609)は逃し溝、(61
0)はリベツト穴、(611)は座ぐり部、(612)は固定
スクロール固定面、(613)はボルト穴、(614)は凹部
である。
上部フレーム(6)外周部には、第4図の固定スクロー
ル(1)の外周部の凹部(109)に対応した多数の凹部
(614)が形成され、これら凹部間の突部(614a)に穿
設されたボルト孔(613)は同じく固定スクロール
(1)のボルト孔(111)と位置的に対応して設けられ
ている。
このような上部フレーム(6)の構造を詳述すると、周
壁部(600b)の上端面に固定スクロール固定面(612)
が、また底部(600a)には、上記固定面(612)より低
い位置に上部スラスト軸受取付座(606)が、更に、上
記周壁部(600b)と上部スラスト軸受取付座(606)の
間には上記取付座(606)より低い位置にオルダムリン
グ摺動面(608)が、それぞれ同心円状に配設されてい
る。オルダムリング摺動面(608)の近傍がオルダム継
手(8)を収納するオルダム室(605)となる。
上記取付座(606)の内周面即ち貫通孔(602a)には上
部主軸受(602)が圧入されており、取付座(606)上端
の内周側角部が全周にわたつて面取り(615)してあ
り、従つて上部主軸受(602)は上端側が面取りされた
部分(615)にオーバーハングしている。ここで面取り
部(615)端面が取付座(606)の内周面(606a)であ
り、(606b)は取付座(606)の外周面である。
オルダム・ガイド溝(607)は上部主軸受(602)を挾ん
で対称な位置に一対、オルダム・リング摺動面(608)
上に設けられており、各々の径方向両端部には半円状の
逃し部(607a)(607b)が設けられている。特に逃し部
(607b)は円環状の取付座(606)の外周部を一部えぐ
つて形成されている。
オルダムガイド溝(607)を挾んで、その両側の部位に
おいて取付座(606)の外周面に接してオルダム・リン
グ摺動面(608)に一端が開口し他端がバランサ室(70
5)に開口した排油孔(604)を4個即ち複数個穿設し、
またこれら排油孔(604)は第8図(a)に明示してい
るように、上から見た形がC字状の一対の逃し溝(60
9)で連通してある。これら逃し溝(609)は上部フレー
ム(6)のオルダムリング摺動面(608)上に穿設され
ている。
第9図は上部スラスト軸受(601)の構造を示し、
(a)は上面図、(b)は(a)図のb−b線における
断面を矢印方向に見た断面図、(c)は(a)のc−c
線における断面を拡大して示す断面図である。
上部スラスト軸受(601)は鋼の裏金付きの例えばアル
ミ合金,鉛青銅合金などのすべり軸受であり、第9図
(a)に示すようにドーナツ状の形状をしており、揺動
スクロール(2)の下側面との摺動面即ち上側面(601
a)には内周側から外周側に向けて放射状に複数本の油
溝(601b)が等間隔に設けられている。油溝(601b)の
断面形状は第8図(c)に示すようにほぼ矩形であつ
て、角部は曲面となるように面取りされR状にダレ部
(601c)を設けて摺動面(601a)の全面に油がいきわた
りやすいようになつている。この油溝(601b)のピツチ
は揺動スクロール(2)の公転半径Rの2倍よりも小さ
い範囲で設けられている。(601d)はスラスト軸受(60
1)取付用のリベツト孔であつて、油溝(601b)の一部
と交差している。
スラスト軸受(601)の外径は揺動スクロール(2)に
発生する半径方向力と軸方向力の合力による転覆モーメ
ントを受けられるよう、前記合力のベクトルが少なくと
もスラスト軸受(601)の外周端より中心側を通過する
ように決定される。ここで(601e)はスラスト軸受(60
1)の内周面であり、(601f)はスラスト軸受(601)の
外周面である。
第10図〜第12図は一実施例におけるオルダム継手の詳細
な構成を説明する図である。第10図(a)はオルダム継
手の上面図であり、(b)図は第10図(a)のb−b線
断面を矢印方向に見た断面図である。図中、(801)は
第10図(b)に明示するように断面が方形状をなすオル
ダムリング、(802)は直方体状の2対のオルダム・キ
ー、(803)はオルダムリング(801)の上下両面に溝状
に形成された2対の逃し部である。上側の一対のオルダ
ム・キー(802)はオルダム・リング(801)の中心OR
挾んだオルダム・リング(801)面上の対称な位置にお
いて上側の逃し部(803)内に固着され、下側の一対の
オルダム・キー(802)はオルダムリング(801)の下側
の面で前記上側の一対のオルダムキー(802)の位置と
周方向に90°ずれた位置において下側の逃し部(803)
内に固着されている。各オルダム・キー(802)、各オ
ルダム・リング(801)はともに焼入れ鋼などで作られ
るためそれぞれの摺動面、fK,fRは精度出しのため研磨
される。そのため、研磨代を見込んだ上記逃し部(80
3)が、オルダム・リング(801)の上下面上にオルダム
キー(802)との接合部として設けられる。また、各オ
ルダムキー(802)はオルダムリング(801)に対して、
すべて中心RR側に突出するようにずらして固着されてい
る。(802b)はこのようにずらすことによつて各オルダ
ムキー(801)がオルダムリング(801)からはみ出した
部分である。
オルダム・キー(802)及びオルダム・リング(801)
は、それぞれ別体で作られ、溶接などにより互いに一体
に接合される。第11図はこのようなオルダム・キー(80
2)の斜視図であつて、オルダム・リング(801)の接合
面(801a)に当接する部分には突出部(802a)が設けら
れ、電気抵抗溶接などによつて接合する場合、溶接強度
を保持できるようにしてある。第12図は各オルダムキー
(802)をオルダムリング(802)に取り付ける状態を示
す斜視図であり、上記のように各々個別に作られたオル
ダムキー(802)とオルダムリング(801)とは、オルダ
ムリング(801)の上下2対の逃し部(803)に、上側と
下側とから各一対のオルダムキー(802)の突起部(802
a)が当接された状態で互いに溶接される。なお上側の
各オルダムキー(802)を結ぶ線と下側の各オルダムキ
ー(802)とを結ぶ線とが直交する関係に上下2対のオ
ルダムキー(802)は配設されている。
第18図は上部フレーム(6)にスラスト軸受(601)及
びオルダム継手(8)を組込んだ状態を上面より見た図
であり、第14図は揺動スクロール(2)にオルダム継手
(8)が組合さつた状態を下面より見た図である。
第13図において、偏平な環状のスラスト軸受(601)は
上部フレーム(6)の取付座(606)の上面にリベツト
(603)によつてカシメ止めされている。ここで、スラ
スト軸受(601)内周面(601e)は点線で示す取付座(6
06)内周面(606a)より中心Os側にオーバーハング(60
1g)しており、また外周面(601f)は点線で示す取付座
(606)外周面(606b)より外側にオーバーハング(601
h)している。
オルダム継手(8)は、その下側の一対のオルダムキー
(802)が上部フレーム(6)上面の断面方形状のガイ
ド溝(607)に摺動自在に嵌入されており、その結果、
ガイド溝(607)に案内されながら図において横方向に
往復運動する。また、オルダム・リング(801)の上側
の面に設けられたもう一対の上側のオルダムキー(80
2)は第5図(c)に示した揺動スクロール(2)のガ
イド溝(208)に摺動自在に嵌入される。この状態を第1
4図に示す。この第14図においてオルダム継手(8)に
対して揺動スクロール(2)はそのガイド溝(208)に
おいてオルダムキー(802)に案内されながら縦方向に
相対的に往復運動する。揺動スクロール(2)は駆動さ
れると上記2つの往復運動が合成される結果、自転運動
は阻止されて公転運動のみ行なう。
この際、オルダム継手(8)の上部フレーム(6)、揺
動スクロール(2)に対する相対的往復運動の範囲は揺
動スクロール(2)の公転直径2Rであることが理解され
る。
従つて、上部フレーム(6)のガイド溝(607)の長手
方向直線部の長さLは、オルダムキー(802)の長さを
lとするとL≧l+2Rにすれば良いわけであるが、ガイ
ド溝(607)の角部を直角にしてガイド溝(607)の平面
形状が完全に矩形になるように加工することは実質的に
難しい。従つて、第13図に示すように径方向両端の面に
平面形状が半円状の逃し部(607a)(607b)を設けてあ
る。また、ガイド溝(607)の溝幅とは逃し部(607b)
の直径は同じであるが逃し部(607a)の直径は大にし
て、オルダムキー(802)が往復運動する際にオルダム
溝(607)に喰い込む可能性を防止してある。更にオル
ダム・リング(801)の外径Do(第10図)は揺動スクロ
ールの外径Ds(第5図)と実質的に等しくしてある。ま
た、オルダムリング(801)の内径Di(第10図)は第13
図に示すようにオルダム・リング(801)が最大限片側
に寄つた際に、オルダムリング(801)の内周面(801
c)がスラスト軸受(601)外周面(601f)ともつとも接
近したところで両周面(801c)(601f)間に若干の隙間
g1をもたす程度(0.5〜1mm)に決められている。この
際、上記隙間g1と180°反対の位置において上部フレー
ム(6)のオルダム室(605)周壁面(605a)は同じく
オルダム・リング(801)外周面(801b)ともつとも接
近したところで両周面(605a)(801b)間に若干の隙間
g2をもたす程度(0.5〜1mm)に、オルダムリング(80
1)外径Doが決められる。このようにすることで、上部
フレーム(6)の外径を小さくでき、圧縮機の径方向の
小形化を図れる。また、各オルダムキー(802)を、平
面的に見てオルダム・リング(801)の内周面(801c)
から径方向内方に突出するようにずらしてはみ出し部
(802b)を設けたことにより、例えば第13図に示すよう
にオルダムリング(801)外周側においてガイド溝(60
7)の半円状逃し部(607a)の周壁にオルダムキー(80
2)未端角部が干渉するのを防止でき、またオルダムリ
ング(801)内周側においては、スラスト軸受(601)の
外周オーバーハング部(601h)の真下にオルダムキー
(802)の突出部(802b)がオーバーラツプするので、
オルダムキー(802)の負荷面を大きくとれる。また、
上記はみ出し部(802b)を設けることにより第14図に示
すように、オルダム・リング(801)が最大限片側に寄
つた時オルダムキー(802)と揺動スクロール(2)の
ガイド溝(208)との摺動負荷面を大きくとれるので摺
動面の信頼性を向上できる。
次にスラスト軸受(601)の潤滑について述べる。第13
図において、スラスト軸受(601)の油溝(601b)にそ
の径方向内側から供給された油は破線矢印のように各放
射状油溝(601b)に沿つて径方向外方に向つて流れる。
一方、揺動スクロール(2)の作動時には、揺動スクロ
ール(2)のスラスト面の或る点は矢印イのように1つ
の油溝(101b)を横切つて揺動スクロール(2)の公転
直径2R分だけ周回し、また他の或る点は矢印ロのよう
に、その隣りの油溝(601b)を横切つて同じく公転直径
2R分だけ周回する。ここで、各油溝(601b)間の周方向
のピツチは、揺動スクロール(2)の公転直径2Rより小
さくしてあり、その結果、上記2つの矢印イ,ロが互い
にオーバーラツプしていることから解るように、相隣る
2つの油溝(601b)に挾まれたスラスト軸受摺動面(60
1a)は常にその両側の油溝(601b)から給油されるので
良好な潤滑が保たれる。またスラスト軸受(601)にお
ける油溝(601b)、リベツト取付穴(601d)部、及び揺
動スクロール(2)のオルダム・ガイド溝(208)とス
ラスト軸受(601)とがオーバーラツプする部分(601
j)(第14図)は油膜反力が発生せず、軸受負荷能力が
ないところである。従つて第14図に示すようにリベツト
取付穴(601d)と油溝(601b)の一部とを交差させ、し
かもこの交差部分と揺動スクロール(2)のガイド溝
(208)の部分とをオーバーラツプさせることにより、
スラスト軸受(601)の負荷能力の低下を極力防ぐこと
ができる。即ち、油溝(601b)の部分では元来油膜反力
が生じない部分であるので、この油膜反力が生じない油
溝(601b)の部分に、油膜反力が生じないリベツト取付
穴(601d)部及び上記オーバーラツプ部(601j)を集中
することにより、上記スラスト軸受の負荷能力低下を極
力抑えることができる。
スラスト軸受(601)より径方向外方に排出された油
は、オルダム室(605)に流入しオルダム継手(8)を
潤滑した後、オルダム室(605)の底部に穿設された4
個の排油孔(604)よりバランサ室(705)内に排出され
る。ここで第13図より排油孔(604)及び排油孔(604)
を連通する兆し溝609)はオルダムリング(801)がどの
位置にあつてもオルダム・リング(801)外周面(801
b)より径方向内側寄りに位置するように配設されてい
るのがわかる。各逃し溝(609)及び各排油溝(604)を
このように配設するのは、スラスト軸受(601)部より
径方向外方に排出された油が、そのままオルダム継手
(8)の径方向外側に流出して、第3図に示すように、
圧縮部吸入口(104)へ流れていつて、そのまま圧縮機
外へ排出されてしまうのを防止するためである。もちろ
ん上部フレーム(6)、オルダム継手(8)、揺動スク
ロール(2)相互間に形成される各部隙間は油の流出を
最小限にするように小さくとられる。
すなわち、第15図に上記各部隙間を示してあり、揺動ス
クロール(2)の台板(201)とオルダム・リング(80
1)との間の隙間α、オルダムキー(802)と上部フレー
ム(6)のガイド溝(607)底面との間の隙間β、オル
ダムキー(802)と揺動スクロール(2)のガイド溝(2
08)底面との間の隙間γをそれぞれ微少(0.1mm程度)
になるように設定してある。
第16図は主軸(4)の構成を示し、(a)は側面から見
た第1バランサ(402)装着前の断面図、(b)はその
外観図、(c)は第1バランサ(402)を装着した場合
の側面から見た外観図である。また、第17図は偏心ブツ
シユ(5)未挿入状態の上面図、即ち第16図(c)にお
いてF方向に見た図である。
主軸(4)は例えば焼入れ鋼により作られ、第1バラン
サ(402)は鋳物によつて作られ主軸(4)に圧入、焼
嵌めなどにより堅固に装着されている。
図において、(408)は主軸(4)の最大径部外周に形
成された上部主軸摺動面、(409)は主軸(4)の中間
部外周に形成された下部主軸摺動面、(410)は主軸
(4)の最大径部下面に形成された下部スラスト軸摺動
面、(411)は主軸(4)の最大径部の下部に形成され
た第1バランサ圧入部、(412)は主軸(4)の下部に
形成されたモータ・ロータ圧入部、(413)は主軸
(4)の最下端部に形成されたオイル・キヤツプ圧入
部、(401)は主軸(4)の最大径部上端に穿設された
偏心穴、(404)は主軸(4)に穿設された油通路、(4
05)(406)(414)は油孔、(415)は主軸(4)の上
面に上端が開放した油溝、(407)は主軸(4)に穿設
されたガス抜き孔、(416)はセンタ穴、(417)は偏心
穴(401)の周壁に形成されたスナツプ・リング溝、(4
18)はピン穴、(419)は第1バランサ(402)にボス状
に形成された段部である。
上部主軸摺動面(408)の直径よりも小さい径で第1バ
ランサ圧入部(411)が形成され、直径の差分の段付部
(411a)で第1バランサ(402)圧入時の第1バランサ
(402)の軸方向位置を規制している。また下部主軸摺
動面(409)の直径は更に第1バランサ圧入部(411)の
径より小さく、この直径の差分の段付部、即ち第1バラ
ンサ圧入部(411)の下面に下部スラスト軸摺動面(41
0)を形成してある。また、モータ・ロータ圧入部(41
2)の直径は下部主軸摺動面(409)の直径より更に小さ
くして、この直径の差分の段部(412a)で、同じくモー
タ・ロータ(10)(第3図)の圧入時のモータロータの
軸方向位置を規制している。圧縮機容量シリーズ化の際
にモータ・ロータ圧入部(412)以下の長さを変化させ
ることによつて対応させる。
上記各摺動面(408)(409)(410)及び各圧入部(41
1)(412)(413)は夫々同一軸心状に形成され、この
軸心と偏心した位置に偏心穴(401)、油通路(404)
を、上記軸心に平行に形成してある。
上記偏心穴(401)は主軸(4)の最大径部の上端に穿
設され、その軸方向深さは上記上部主軸摺動面(408)
の軸方向長さとほぼ同じにしてある。油通路(404)は
その上端が上記偏心穴(401)底面に開口し、下端が主
軸(4)の最小径部の下端面に開口しており、しかも主
軸(4)の軸心から径方向外方に所定距離だけ離れた位
置において垂直に延在している。
また、夫々上記主軸(4)の軸心と同心をなして上記偏
心穴(401)の底面及び最小径部下端面にセンタ穴(41
6)が形成され、主軸(4)の加工時に焼入れ後の研磨
時に主軸(4)を回転自在に支持するのに使用され、工
作精度を向上させるようにしてある。また最小径部側の
センター穴(416)はガス抜き穴(407)の下端に同心を
なして連接して形成されている。
上記油孔(414)は、偏心穴(401)側壁面と上部主軸摺
動面(408)とを連通するために主軸(4)に径方向に
あけられ、この油孔(414)は主軸摺動面(408)軸線方
向に延在して形成された油溝(415)に径方向外端が開
口している。また、上記油孔(405)は上記油通路(40
4)と下部主軸摺動面(409)部とを連通させるためのも
のである。これら油孔(405)(414)、油溝(415)は
普通、遠心力とガス力の合力である負荷方向と反対の方
向の側に設けられるが、構成上無理がある場合は、対応
する軸受の内周面に周回方向に油溝を設けて、この油溝
と油孔(405),(414)とを連通させて上記軸受への給
油をするようにしてもよい。
上記ピン穴(418)は偏心穴(401)に嵌入した偏心ブツ
シユ(5)が過度に回転して圧縮不良を防止するために
後述のまわり止め用スプリングピン(420)(第19図)
を挿入するためのものであり、偏心穴(401)底面に穿
設されている。
上記スナツプリング溝(417)は同じく偏心ブツシユ
(5)が、遠心ポンプ作用により油通路(404)より上
昇してきた油の油圧で軸方向上方に押し上げられるのを
防止するための後述のスナツプリング(421)(第19
図)を嵌め込むためのものである。
第18図は主軸(4)の偏心穴(401)に挿入される偏心
ブツシユ(5)の構成を詳細に示す図で、(a)は上面
図、(b)は側面断面図、(c)は下面図である。
(501)は偏心ブツシユ外周面であり、OBoはその中心で
ある。(502)は偏心ブツシユ内周面であり、OBiはその
中心である。中心OBiは中心OBoに対してεだけ偏心して
いる。また、(503)は中心OBiと同心で、上記外周面
(501)より小さい径を有する内溝の段部で、上記外周
面(501)に連接して設けられている。(504)は中心O
Biと同心で上記内周面(502)より多い径を有する段部
で、上記内周面(502)に連接して設けられている。(5
05)は下端が偏心ブツシユ下端面に開口し、上端部は偏
心ブツシユ上端面に開口しないように閉じた状態に形成
され縦方向に延在する油溝で、上記内周面(502)に連
接している。(506)は上記油溝(505)と外周面部(50
1)とを連通するための油孔、(507)は上記外周面部
(501)に設けられた切り欠き部で、上記油孔(506)の
径方向外端がこの切り欠き部に開口している。(508)
は偏心ブツシユ(5)の肉厚部において偏心ブツシユ下
端面に穿設されたまわり止め用穴である。なお、偏心ブ
ツシユ(5)はアルミ合金、鉛青銅などの軸受材によつ
て作られる。
第19図は、このような偏心ブツシユ(5)を主軸(4)
へ装着する際の組立順序を説明するための斜視図であ
る。第19図において、先ず主軸(4)の偏心穴(401)
底部のピン穴(418)に、平面形状がC形のほゞ筒状を
なすスプリングピン(420)を嵌合した後、このスプリ
ングピン(420)に偏心ブツシユ(5)下部のまわり止
め用穴(508)が合うように、偏心ブツシユ(5)を偏
心穴(401)に嵌入する。まわり止め用穴(508)にスプ
リングピン(420)が嵌入し偏心ブツシユ(5)の下端
面が偏心穴(401)の底面に当接した状態でスナツプリ
ング(421)をスナツプリング溝(417)に嵌める。スナ
ツプリング(421)は細いピアノ線などの弾性線状をC
形に形成したものである。
第20図は偏心ブツシユ(5)を主軸(4)に組込んだ状
態を示す図であり、この第20図において、Osは主軸
(4)の軸心即ち回転中心で、固定スクロール(1)の
中心と一致している。この中心Osと上記偏心ブツシユ内
周面(502)の中心OBiとを結ぶ直線と上記中心OBiと上
記偏心ブツシユ外周面(501)の中心とを結ぶ直線とが
ほぼ直角をなす位置に上記中心OBoが位置するように、
スプリングピン(420)の位置は決定されている。まわ
り止め穴(508)の径はスプリングピン(420)の径より
大きくとられ、偏心ブツシユ(5)が周方向にある程度
動き得るようにしてある。また、偏心ブツシユ(5)の
油孔(506)と主軸(4)の油孔(414)とが、偏心ブツ
シユ(5)の回動によつても常に連通するように切り欠
き(507)は周方向に所定長さ形成されている。
揺動スクロール(2)の揺動軸(204)は、偏心ブツシ
ユ(5)内に揺動軸(204)外周面が内周面(502)と摺
動可能なように嵌入されるので、上記偏心ブツシユ内周
面(502)の中心OBiは揺動中心すなわち揺動スクロール
(2)の重心と一致している。従つて矢印W方向に主軸
(4)が回転すると、上記主軸(4)の回転中心Osと上
記偏心ブツシユ内周面(502)の中心OBiとを結ぶ直線上
に矢印G方向に遠心力が発生し、偏心ブツシユ(5)は
上記偏心ブツシユ外周面(501)の中心OBoを中心に矢印
M方向にモーメントが生ずる。従つて、もし固定スクロ
ール(1)と揺動スクロール(2)の渦巻側板(10
2),(202)の間に隙間がある場合、これら両側板(10
2)(202)が互いに接するまで揺動スクロール(2)が
移動するように、偏心ブツシユ(5)は上記偏心ブツシ
ユ外周面(501)の中心OBoを中心に矢印M方向に回転す
る。
第21図により上記中心位置の変化を説明する。すなわ
ち、偏心ブツシユ外周面(501)の中心OBoを中心にして
偏心ブツシユ(5)は矢印M方向に回転し、偏心ブツシ
ユ内周面(502)の中心OBiは渦巻側板(102),(202)
が互いに接する点OBi′まで移動する。すなわち揺動ス
クロール(2)の公転半径は まで変化する。また逆に工作精度により公転半径がRよ
り小さい場合は矢印Mと反対方向に偏心ブツシユは回転
する。これは液バツクや、両渦巻側板(102)(202)間
への異物かみ込みなどの場合にも生ずる。
このように偏心ブツシユ(5)は工作精度のハラツキを
吸収し、組立性を容易にして、しかも圧縮時に両渦巻側
板(102)(202)間を通じて渦巻方向へ圧縮冷媒ガスが
漏れるのを防止して圧縮効率を向上させ、また液バツク
や異物のかみ込みに対しても耐力があり信頼性の向上に
も役立つものである。
第22図は偏心ブツシユ(5)が回動しても給油が確保で
きる状態を示す説明図であり、その(a)は例えばまわ
り止め穴(508)とピン(420)が接するまで最大限右回
り(図における時計回り)に偏心ブツシユ(5)が回転
した状態を示し、この状態でも主軸(4)の油孔(41
4)と偏心ブツシユ(5)の油孔(506)とは連通してい
るように切り欠き(507)はその位置及び周方向長さが
設定されている。(b)は偏心ブツシユ(5)が上記と
は逆に左回りに最大限回転した状態で、この場合も同じ
く油孔(506)(414)は連通するように切り欠き(50
7)はその位置及び周方向長さが設定されている。
第23図は油通路(404)の位置を第3図〜第22図に示す
実施例よりも中心OBiを基準にして90°右側に回転させ
た位置とした実施例を示し、この場合においては、主軸
(4)が中心Osを中心にして実線矢印の方向に回転した
時、油は破線矢印に示す方向に流出するので、油通路
(404)から偏心ブツシユ(5)の油溝(505)までの油
経路の距離が短くなるので、上記主軸(4)自身による
遠心ポンプの応答性を早やめることができる。
また、上記第23図は更に、偏心ブツシユ(5)のまわり
止め及び浮上り防止のための他の実施例を示しており、
偏心ブツシユ(5)及び主軸(4)上端面に溝部(50
9),(422)を設け、主軸(4)の溝部(422)に止め
板(428)をねじ(424)によつて螺着し、止め板(42
3)の内側の小幅突出部(423a)によつて、偏心ブツシ
ユ(5)の回動量を先の実施例におけるピン(420)、
まわり止め穴(508)と同様に規制し、しかもスナツプ
リング溝(417)、スナツプリング(421)と同様に偏心
ブツシユ(5)の浮上り防止をおこなつている。第24図
はこの第23図の実施例の組立順序を説明するための斜視
図で、両溝部(422)(509)が合うように主軸(4)の
偏心穴(401)内に偏心ブツシユ(5)を挿入した後
に、止め板(423)を溝部(422)にその両側面が溝側面
に接触するように嵌入してねじ(424)により主軸
(4)上に螺着する。
第25図は主軸(4)まわりの給油系路説明する図で、第
3図に示すオイル・キヤツプ(12)及び主軸(4)によ
る遠心ポンプ作用により、点線で示すように油通路(40
4)内を油は上昇していき、偏心穴(401)内の空間(42
5)に流入する。ここで偏心ブツシユ(5)の油溝(50
5)の位置は、主軸(4)の中心から外周寄りに位置し
た油通路(404)から更に外周寄りに位置しているので
油は第2の遠心ポンプ作用を受け、油溝(505)内を上
昇する。そしてこの油溝(505)内の油は油孔(506),
(414)における第3の遠心ポンプ作用によつて油溝(4
15)内を上昇する。この際、油溝(415)は主軸受(60
2)下端部に開口してないので、バランサ室(705)には
流入しない。このようにして油は主軸(4)上端部のス
ラスト軸受(601)の内周側空間(426)内へ流入し、ス
ラスト軸受(601)の油溝(601b)を通つてオルダム室
(605)へ排出される。なお、第25図において、油の流
れは点線の矢印で示してある。下部スラスト軸受(70
1)、下部主軸受(702)へは第3図の油孔(406)(40
5)によつて給油される。
このような給油方式であれば、例えば圧縮機を回転数制
御して低速回転で運転するようにしてもオイル・キヤツ
プ(12)による遠心ポンプ作用が低速運転により不足し
た分を上記第2、第3段目の遠心ポンプ作用による空間
(426)の十分な負圧によつて補えるので安定した給油
を継続させることができる。
圧縮機の輸送移動時など振動により主軸(4)は軸方向
に移動することがある。この場合、主軸(4)上端面
(427)が揺動スクロール(2)のスラスト面(217)に
衝突してスラスト面(217)が傷つく恐れがある。その
ため第25図に示すように主軸上端面(427)と揺動スク
ロールのスラスト面(217)との間の隙間長l1よりも、
第1バランサ(402)の段部(419)の上端面と上部フレ
ーム(6)の下端面(616)との間の隙間長l2が小さく
なるように構成して、もし軸方向上方に主軸(4)が移
動しても、先に段部(419)の上端面と上部フレームの
下端面(416)とが当つて、主軸(4)の上端面(427)
と揺動スクロール(2)のスラスト面(217)とが当た
らないようにしてある。また、モータ・ロータ(10)と
下部フレーム(7)の筒状軸受支持部(7b)との間の隙
間長l3を上記隙間長l1より小さくしても良いが、上記空
間(426)はポンプ効率を高めるため空間(426)にたま
つたガスをすみやかに排出する方がよいため、あまり大
きくとれないので、上記隙間長l2で規制した方が良い。
また、ストスラト軸受(601)の内周面(601e)及び外
周面(601f)のオーバーハング部(601g)(601h)及び
偏心ブツシユ(5)のオーバーハング部である肉薄の段
部(503)は揺動スクロール(2)の転覆モーメントに
よる揺動スクロール(2)の姿勢のたおれや変形に追従
して僅かに撓むので、軸受(5)(601)の軸受面の片
当たりを防止する。
更に、上部フレーム(6)の内周上端エツジ部を切削し
て形成された切欠部(6a)からオーバーハングした主軸
受(4)のオーバーハング部(615)は半径方向ガス負
荷及び第1バランサ(402)及び第2バランサ(403)の
遠心力によるモーメントによる主軸(4)のたおれに追
従して僅かに撓むので、主軸受(4)の軸受面の片当た
り現象を防止する。また、下部フレーム(7)の筒状軸
受支持部(7b)の支持最下端(7b′)より下部主軸受
(702)の下端が下方に突出(702a)しているので、主
軸(4)が傾いた場合に上記突出部(702a)が追従して
僅かに撓み、軸受(702)の軸受面の片当り現象を防止
できる。
第26図は回転数制御等による高速回転時に遠心ポンプの
能力が増しすぎて油揚油量が適量以上に増大するのを抑
制するための構造を示してあり、その(a)は一実施例
で主軸(4)の上下方向に延在する油溝(415)の位置
と、スラスト軸受(601)の放射状の油溝(601b)の位
置とが径方向に一致したところでスラスト軸受(601)
からの径方向外方への排出油量は増えるが、他のとこ
ろ、即ち油溝(415)が油溝(601b)と油溝(601b)と
の間に位置しているところ(一点鎖線)では上記排出油
量が絞られる構成を示しており、回転数が増大するとチ
ヨツパー効果により抵抗が増大していき、相対的に排出
油量すなわち揚油量が押えられる。この場合、スラスト
軸受(601)の内周面と主軸(4)の外周面との間の隙
間は、スラスト軸受の油溝(601b)の周方向溝幅より小
さくした方がよい。
(b)(c)図は他の実施例を示してあり、主軸の油溝
(415)をスラスト軸受(601)内周(601e)の径を主軸
(4)外周の径より小さくし、しかもスラスト軸受(60
1)の下端面と主軸(4)上端面との間に隙間(601k)
を形成し、更には、スラスト軸受(601)の各放射状油
溝(601b)の径方向内端に主軸(4)の油溝(415)と
上下方向にオーバラツプする切り欠き(601m)を設けた
ものであり、この構造は上記第26図(a)のものより上
記チヨツパ効果は更に向上する。なお、第26図(b)は
上面図であり、(c)図は第26図のc−c線における断
面を矢印方向に見た断面図である。
第27図、第28図は夫々下部主軸受(702)への給油手段
の他の実施例を示す。図において破線矢印は油の流れを
示す。第27図(a)は給油系路を示す縦断側面図であ
り、(b)は下部スラスト軸受(701)の摺動面(701
a)を示す上面図である。油通路(404)内を上昇し空間
(425)に流入した油は、第1バランサを貫通した油孔
(406)より下部スラスト軸受(701)へ給油される。こ
こで、下部スラスト軸受(701)には(b)図に示すよ
うに、内周側には開口しているが、外周側には開口して
ない放射状の複数の油溝(701b)が設けられている。こ
こで(701c)は下部スラスト軸受固定用のピン孔であ
る。上記油溝(701b)をその上端で油孔(406)が主軸
(4)の回転に伴つて横切るように配置されている。そ
の結果、油孔(406)から油溝(701b)内に間欠的に流
入した油は下部フレーム(7)の筒状軸受支持部(7b)
の内周面と主軸(4)の外周面との間を伝わつて重力に
より下降し、下部主軸受(702)へ達する。ここで、給
油を確実に行なうため、主軸(4)の下部主軸摺動面
(409)の反負荷側には油溝(428)が縦方向に設けられ
ている。
更に他の実施例を示す第28図においては、油通路(40
4)とは別にこれと平行に油通路(404)と平行な油孔
(429)が主軸(4)に穿設されており、その上端は偏
心穴(401)の底面に下端は下部主軸受(702)の内周面
部に開口している。この場合は、油通路(464)内を上
昇した油は空間(425)に流入し、ここで重力あるいは
遠心力により再び一部が下方に向つて油孔(429)を通
つて流れ、下部主軸受(702)へ給油されることにな
る。
第27図、第28図に示した各実施例は第3図に示したもの
より空間(425)にたまつたガスをより効果的に上記し
た下部主軸受(702)への給油に伴つて該給油通路より
排出されるのでポンプ効率や応答性の良さの点で効果が
大きい。
次いで第29図及び第30図によつて、オイルキヤツプ(1
2)に関して述べる。第3図に示すオイルキヤツプ(1
2)は遠心ポンプによる給油を行なわせる上で重要なも
のであるが、オイルキヤツプ(12)内に入つた油は、オ
イルキヤツプ(12)の回転とともに回転力を与えられ遠
心力が発生する。ところが、油の温度が上昇したりして
粘度が低下してくると、オイルキヤツプ内面(12a)と
油との間のスリツプが増大してきてポンプ効率が低下し
てくる。こういつたスリツプの低下を防止するため、夫
々第29図及び第30図に示すような各手段が好ましい。
第29図はオイルキヤツプ(12)内面(12a)にフイン(1
2b)を周方向に等間隔に設けたもので、(a)はその断
面図、(b)図は(a)図のb−b線における断面を矢
印方向に見た断面図である。この実施例ではフイン(12
b)を複数個設けているが1個でも良い。ここでフイン
(12b)はオイル・キヤツプ(12)の油入口孔(12c)や
ガス抜き孔(407)、油通路(404)をふさがないように
その周方向の位置を考慮してある。
他の実施例を示す第30図は主軸(4)の下端面にその中
心部から外周面に亘つて延在する切り欠き通路(430)
を設け、この主軸(4)の下端面にオイルキヤツプ(1
2)が密着し且つ切り欠き通路(430)の下端開口部の一
部を覆うように構成したもので、(a)はその断面図、
(b)図は第30図(a)のb−b線における断面を矢印
方向に見た断面図である。図中、切り欠き通路(430)
は主軸(4)中心すなわちガス抜き穴(407)と油通路
(404)を結ぶように設けられており、このように構成
することにより第29図に示すフイン付きオイル・キヤツ
プより更にスリツプを防止する上で効果がある。
第31図はモータステータ(11)の固定子巻線(11a)へ
の給電用リード線及びモータ温度検出用サーモに接続さ
れる制御用リード線の配線構造の一例を示す図で、その
(a)図は縦段側面図、(b)図は(a)図b−b線に
おける断面を矢印方向に見た図である。
この第31図(a)(b)において、固定スクロール
(1)の凹部(109)の1つが、モータ・ステータ(1
1)の固定子巻線(11a)に給電するリード線(100a)と
モータ温度検出用サーモに接続される制御用リード線
(100b)とを可撓性絶縁チユーブ(100c)で被覆してな
るリード線束(100)の通路として利用される。リード
線束(100)は、第31図(b)に示されるように配置さ
れ、固定スクロール(1)の凸部(110)には、小凸起
部(110b)が周方向に延在して相対向するように一対設
けられ、リード線束(100)を保持するのに利用される
ようになつている。また押板(100d)を用いてリード線
束(100)の保持を更に確実にするようにしてある。更
に上部フレーム(6)、下部フレーム(7)の外周部の
平面形状は固定スクロール(1)との外周部の平面形状
とほぼ同形状の凹凸形状に形成されており、それらの一
つが第31図に示されている(6a)は上部フレーム(6)
の外周に形成された凹部、(7g)は下部フレーム(7)
の外周に形成された凹部であつて、各凹部(109)(6
a)(7g)は上下方向に重畳して、上下に延在する一連
の貫通凹溝(100e)を形成している。そしてこの一連の
貫通凹溝(100e)にリード線束(100)が上下に通さ
れ、固定スクロール(1)の一対の小凸起部(110b)を
利用して、押板(100d)がリード線束(100)を押込む
ようにして保持されている。押板(100d)は例えばばね
鋼のような弾性力のある薄板により形成されており、図
示のように弾性力に抗して湾曲した状態で凹部(109)
(6a)(7g)内に嵌合されているので、その弾性力によ
つて一連の貫通凹溝(100e)からの脱落を防止してい
る。
このような構成により、シエル中間円筒部(901)とシ
エル上蓋(902)との溶接時の熱により、溶接部(902
a)に接触している被覆リード線が過熱あるいは溶融し
て絶縁不良を生ずることを防止できる。また、(6b)は
固定スクロール(1)の小凸起部(110b)に重畳するよ
うに凹部(6a)の内壁面先端部に形成された小凸起部、
(7h)は同様に上部フレーム(6)の小凸起部(6b)に
重畳するように凹部(7g)の内壁面先端部に形成された
小凸起部、(6c)は上部フレーム(6)の最外周部とシ
エル中間円筒部(901)内周面との間に形成された空隙
であり、溶接部(902a)の溶接時の熱が上部フレーム
(6)に伝導しないように形成されたものである。(11
0c)は固定スクロール(1)の最外周部とシエル中間円
筒部(901)、シエル上蓋(902)との間に形成された空
隙であり、溶接部(902a)の溶接時の熱が固定スクロー
ル(1)に伝導しないように形成されたものである。な
お、リード線束(100)、押板(100d)等の所謂リード
線部は冷媒ガス吸入管(904)のシエル中間円筒部(90
1)内への開口部とは周方向に位置をずらして配置して
あるので、上記吸入管(904)は一点鎖線で図示してあ
る。更に、給電用リード線(100a)は第3図の密封端子
(907)に着脱自在にプラグイン接続され、制御用リー
ド線(100b)は上記密封端子(907)とは周方向にずれ
た位置でシエル上蓋(902)に設けられた他の密封端子
(図示せず)に着脱自在にプラグイン接続されている。
なお、押板(100d)は、固定スクロール(1)の上面に
当接する鍔部(100d−1)と、湾曲し易くなるように穿
設された3個の貫通孔(100d−2)とを有している。
第32図は他の具体的な実施例を示す図である。第32図に
おいて、(1)は固定スクロール、(101)は固定スク
ロール(1)の台板、(102)は固定スクロール台板(1
01)上に形成された渦巻状側板、(2)は揺動スクロー
ル、(201)は揺動スクロール(2)の台板、(202)は
揺動スクロール台板(201)上に形成された渦巻上側
板、(204)は揺動スクロールの台板(201)上に側板
(202)と反対側に設けられた軸であり、両スクロール
の側板(102)(202)間には圧縮室(P)が形成され
る。また(Pi)は吸入室、(05)は吐出孔である。上記
両渦巻状側板(102)(202)の先端には、渦巻に沿つて
それぞれ溝(103)(203)が形成され、さらに上記各溝
(103)(203)の内部にはチツプシール(3)が軸方向
即ち上下方向に移動可能に嵌入されている。また(4)
は主軸、(401)は主軸(4)の一端にその軸心と偏心
して設けられた偏心穴、(404)は主軸(4)の下端よ
り偏心穴(401)まで貫通した油孔、(12)は主軸
(4)の下端に一体形成あるいは圧入、焼ばめ等の方法
で固定されたオイルキヤツプ、(407)は主軸(4)下
端と側面を連通するオイルキヤツプ(12)のガス抜き孔
である。主軸(4)の偏心穴(401)には回動自在に偏
心ブツシユ(5)が嵌入されており、さらに偏心ブツシ
ユ(5)には偏心孔(502)が設けられており、上記揺
動スクロール軸(204)を摺動自在に支承している。(6
70)は上記固定スクロール(1)、揺動スクロール
(2)、主軸(4)等を直接あるいは間接的に支えるフ
レーム、(670a)はフレーム(670)の中央部から下方
へ一体に突出したボス部、(670b)はフレーム(670)
の外周部から下方へ一体に筒状に形成されたスカート
部、(607)はフレーム(670)の上面にその直径方向へ
左右一対に設けられたオルダム溝、(604)はフレーム
(670)の上面と下面を連通し周方向に所定間隔を隔て
て複数個設けられた返油孔、(8)は上記揺動スクロー
ル(2)の自転を防止するオルダム継手で、オルダムリ
ング部(801)とその上面および下面に互いに直交する
方向に延在する各々一対のオルダムキー(802)を有し
ている。(601)はフレーム(670)にネジあるいはピン
等で固定された第一スラスト軸受で、上記揺動スクロー
ル(2)の台板(201)を摺動可能に支承している。一
般に第一スラスト軸受(601)の摺動面には、潤滑油の
供給を促進するため多数放射状の油溝(601b)が周方向
に等間隔に設けられている。(701)はフレーム(670)
にネジあるいはピン等により固定され、主軸(4)を軸
方向に支承する第二スラスト軸受、(602)はフレーム
(670)に圧入等により固定され、主軸(4)を回転自
在に支承する第一主軸受、(702)はフレーム(670)の
ボス部(670a)に圧入等により固定され、同じく主軸
(4)を回転自在に支承する第二主軸受である。なお上
記の第二スラスト軸受(701)、第一主軸受(602)およ
び第二主軸受(702)へ給油を行なうための油孔(404)
が主軸(4)内に設けられている。(11)はモータステ
ータであり、フレーム(670)のスカート(670b)にボ
ルトあるいは圧入,焼ばめ等の方法で固定されている。
(10)はモータロータで、主軸(4)に圧入あるいは焼
ばめ等の方法で、モータステータ(11)と軸方向同位置
に固定されている。またフレーム(670)のスカート部
(670b)にはモータステータ(11)外周部を吸入ガスが
上方から下方へ通過できるように通路(670c)が設けら
れている。上記モータロータ(10)の上端には主軸
(4)の偏心孔(401)と反対の方向に第一バランサ(4
02)がネジあるいはかしめ等の方法により取付けられ、
また下端には第一バランサ(402)と反対方向に第二バ
ランサ(408)が同じくネジあるいはかしめ等の方法に
よつて取付けられている。(9013)は以上述べた部品を
収容する下シエルであり、この下シエルには、フレーム
(670)が圧入あるいは焼ばめ等の方法で固定されてい
る。(902)は上シエルであり、下シエル9013)と溶接
により固定され、下シエル(9013)と共に圧縮機の外か
くを形成し、内部気密を達成するものである。(909a)
は下シエルの底部に貯溜された潤滑油である。(904)
は下シエル(9013)の側面を貫通すると共にフレーム
(670)のスカート部(670b)の孔(670e)に嵌合して
シエル内に吸入ガスを導入する吸入管で、上記通路(67
0c)に連通している。(614)はフレーム(670)の外周
に周方向に等間隔に多数設けられた凹状部で、下シエル
(9013)の内周面とで、上下方向に延在し吸入室(P
i)、吸入管(904)に連通したガス通路(614b)を形成
している。(905)は固定スクロール(1)の吐出室(1
05)から圧縮機外部へ吐出ガスを導出する吐出管であ
る。
第33図は第32図の部分詳細図である。第33図において、
(208)は揺動スクロール台板(201)の裏面に直径方向
に延在して外周部近傍に左右一対設けられたオルダム
溝、(601b)は第一スラスト軸受(601)に周方向に等
間隔に設けられた複数の放射状の油溝である。その他の
符号は第32図で説明したものと同一であり、説明は省略
する。
第32図及び第33図のように構成されたスクロール圧縮機
の動作を説明する。まずモータステータ(11)に通電さ
れるとモータロータ(10)はトルクを発生し主軸(4)
に回転運動を与える。主軸(4)が回転すると、その一
端の偏心穴(401)に嵌入された偏心ブツシユ(5)も
回転し、偏心ブツシユ(5)に嵌入された揺動スクロー
ル軸(204)を介して揺動スクロール(2)を回転させ
ようとする。しかし、第33図に示す如く、オルダム継手
(8)の互いに直交する一対の爪(802)はそれぞれフ
レーム(670)のオルダム溝(607)と、揺動スクロール
(2)のオルダム溝(208)に摺動可能に嵌合されてい
ることにより、揺動スクロール(2)はフレーム(67
0)と所定の角度的姿勢を常に維持されている。従つて
揺動スクロール(2)は、主軸(4)の回転に伴ない自
転することなく公転運動を行ない、第1図に示したよう
な原理により圧縮作用を行なう。なお、この圧縮作用の
行程において各圧縮室間の軸方向、および半径方向シー
ルを確実に行なうことがスクロール圧縮機の性能を左右
するポイントである。この実施例においては、既に述べ
たように軸方向の押圧力を発生するシールは両渦巻
(1)(2)先端にチツプシール(3)を設けることに
よつて、また半径方向の押圧力を発生するシールは偏心
ブツシユ(5)を設けることによつて行なう構造として
いる。以上のような圧縮作用に伴ない吸入ガスは吸入管
(904)から、モータステータ(11)上部に吸入され、
固定子巻線(11a)のコイルエンドを冷却した後、通路
(670c)を通り、ガス通路(614b)を経て吸入室(Pi)
へ吸入された圧縮室(P)に取り込まれ、順次圧縮され
て吐出管(905)から吐出される。次に潤滑油経路につ
いて説明すると、まず主軸(4)およびオイルポンプ
(12)の回転により、オイルポンプ(12)内の潤滑油は
遠心力を生じ、そのため油孔(404)を上部方向へ押上
げられる。主軸(4)の上端に到達するまでに潤滑油の
一部は第二主軸受(702)、第二スラスト軸受(701)に
油孔(405)(406)を通じて供給される。第一主軸受
(602)および偏心ブツシユ(5)の内外周に供給、排
出された油は、第一スラスト軸受(601)の油溝(601
b)を経て、第一スラスト軸受(601)外周部からその径
方向外方へ排出される。オルダム継手(8)はそのリン
グ部内周面とフレーム(670)の上面と揺動スクロール
(2)の台板(201)とで囲まれる僅かの空間(S)を
形成するよう構成されているので、第一スラスト軸受
(601)の径方向外方へ排出され上記空間(S)に入つ
た油は吸入室(Pi)へ吸入されることなく、上記空間
(S)から返油孔(604)を通じて、モータステータ(1
1)上部へ落下返油され、さらに通路(670c)を経て油
溜(909)に返油される。また、揺動スクロール(2)
の公転運動に伴ない、スクロール圧縮機は不釣合力によ
る振動を引起こそうとするが、第一バランサ(402)お
よび第二バランサ(430)により静的および動的に釣合
をとることができ、異常な伸銅を起こすことなく運転を
行なうことができる。
以下、本発明の他の実施例を第34図および第35図によっ
て説明する。
第34図において、(6)は第一フレーム、(67a)は第
一フレーム(6)の下面側に設けられたインロウ部、
(609)は第一フレーム(6)の上面側にその中心とほ
ぼ同心状をなす弧状に設けられた一対の円弧状溝、(60
7)は同じく第一フレーム(6)の上面に直径方向へ延
在して左右一対に設けられたオルダム溝、(604)は上
端を上記円弧状溝(609)に開口し、第一フレーム
(6)を軸方向に貫通した返油孔で、円周方向に所定間
隔毎に複数個設けられている。また(614b)は第一フレ
ーム(6)の外周部に所定間隔毎に軸方向へ延在する凹
窩(600c)と下シエル(9013)内周面とで形成されたガ
ス通路で、圧縮機運転中吸入ガスの通路となるよう構成
されている。(602)は第一主軸受で、上記インロウ部
(67a)と同心に加工されている。(7)は第二フレー
ム、(7b)は第二フレーム(7)中央部より後述するモ
ータロータ(10)上面中央部に設けられた凹状のカウン
タボア(10b)内まで下方へ突出したボス部、(7d)は
第二フレーム(7)外周部より下方へフインガー状に突
出した複数個のモータ取付足、(7g)は少なくとも一つ
のモータ取付足(7d)の外周面に設けられた返油溝で、
第二フレーム(7)上部の凹部(705)と連通してい
る。また第二フレーム(7)の外径はシエル(9013)に
焼ばめ,圧入等で固定するため第一フレーム(7)外径
よりいくらか大きめに形成され、外周には第一フレーム
(6)と同様に、軸方向に延在する所定間隔毎に配設さ
た複数個のガス通路(614b)が設けられている。(7h)
はこれらのガス通路(614b)のひとつをその上端を閉塞
するように設けられた隔壁、(76a)は第2フレーム
(7)の上面側に設けられたインロウ部である。また
(702)はボス部(7b)の先端近くに圧入等により固定
された第二主軸受で、インロウ部(76a)と同心に加工
されている。上記の第一フレーム(6)と第二フレーム
(7)は、各々のインロウ部(67a)と(76a)が互いに
ほぼすき間なく嵌合するように構成されており、従つて
圧縮機を組立てた状態においては第一主軸受(602)と
第二主軸受(702)の同心は確保されており、双方の軸
受(602)(702)により主軸(4)は摺動可能に支承さ
れる。(402)は第2フレーム(7)の上面に形成され
た凹部からなるバランサ室(705)に収容されるように
主軸(4)に突出した第一バランサである。この実施例
においてはこの第一バランサ(402)は主軸(4)と一
体に形成されているが、主軸(4)とは別個に成形され
た第一バランサ(402)をボルトあるいは焼ばめ等の方
法により主軸(4)に取付けてもよい。また(11)はモ
ータステータであり、前述のモータ取付足(7d)下端に
ボルト(704)により締付け固定されている。(10)は
モータロータであり、上記モータステータ(11)に対し
て上部方向へ所定量だけオフセツトさた状態に、主軸
(4)に圧入あるいは焼ばめ等の方法で固定されてい
る。また、モータロータ(10)の上面中央部は上記フレ
ーム(7)のボス部(7b)をできるだけ延長できるよう
な凹状のカウンタボア(10b)が形成されており、さら
にモータロータ(10)の下端には第二バランサ(403)
が設けられている。(106)は固定スクロール(1)、
第1フレーム(6)及び第2フレーム(7)を共に締付
け固定するボルトである。(910)は貯油(909a)の上
部に設けられ下部シエル(9013)に外周部がスポツト溶
接された円板状のフオーミング抑え板、(910b)はその
フオーミング抑え板に穿孔された1個あるいは複数個の
小孔である。このようなスクロール圧縮機の主要部分の
組立について第35図によりさらに説明する。第35図は、
第34図における固定スクロール(1)、揺動スクロール
(2)、オルダム継手(8)、第1フレーム(6)、第
2フレーム(7)、主軸(4)、モータステータ(11)
等の主要部品組立状態を示す分解斜視図である。第35図
において、(111)は固定スクロール(1)の外周部に
4対設けられたピン孔で、固定スクロール(1)の渦巻
状側板(102)はこれら対をなすピン孔(111)を基準に
加工されている。つまり側板(102)の中心を中心とし
て上記対をなすピン孔(111)は互いに180°反対の位置
にある。また(613)は第一フレーム(6)の外周に4
対設けられたピン孔で、第一主軸受(602)の中心に対
し完全に対象な位置に穿孔されている。即ち第一主軸受
(602)の中心を中心として各対をなすピン孔(613)は
互いに180°反対の位置にある。また第一フレーム
(6)のピン孔(613)のピツチは、上記固定スクロー
ルのピン孔(111)のピツチと完全に一致している。ま
た(27)は組立用ピンである。このように構成されたス
クロール圧縮機の組立は次のようになされている。まず
第2フレーム(7)に主軸(4)を上方より挿入しその
後主軸(4)ガイドにして、第一フレーム(6)のイン
ロー部(67a)を第2フレーム(7)のインロー部(76
a)に嵌合させることにより、第一主軸受(602)と第2
主軸受((702)が同心となるように第1フレーム
(6)がセツトされる。オルダム継手(8)はその爪
(802)を第1フレーム(6)のオルダム溝(607)に遊
嵌するように、第一フレーム(6)上に取付け、その後
揺動スクロール(2)を、その軸(204)を主軸(4)
に取付けられた偏心プツシユ(5)内に嵌入し、かつオ
ルダム溝(208)がオルダム継手(8)の爪(802)に遊
嵌するように、第一スラスト軸受(601)上に装着され
る。次に2本のピン(27)を、固定スクロール(1)の
ピン孔(111)および第一フレーム(6)のピン孔(61
3)を貫通するようにセツトすることにより、固定スク
ロール(1)を第一フレーム(6)上端面に、その渦巻
状側板(102)の中心と第一主軸受(602)中心とが一致
するように配置される。しかる後、ボルト(106)によ
り、固定スクロール(1)、第1フレーム(6)および
第2フレーム(7)を共締めすれば、圧縮要素を形成す
る固定スクロール(1)、揺動スクロール(2)、オル
ダム継手(8)、第1フレーム(6)、第2フレーム
(7)、および主軸(4)の組立が完了する。なお上記
ピン(27)は必ずしも使う必要はない。その後、第2フ
レーム(7)のモータ取付足(7d)にモータステータ
(11)をボルト(204)により取付け、主軸(4)にモ
ータロータ(10)を焼ばめ等により取付けた後、第2フ
レーム(7)の外周部を下シエル(9013)に焼ばめ等に
より固定し、上シエル(902)で密封すれば全体の組立
が完了する。
上述の如く、フレームを第一フレーム(6)と第二フレ
ーム(7)とに分割し、その間に主軸(4)と一体化し
た第一バランサ(402)を配置すれば、アンバランス力
の発生源である揺動スクロール(2)に第一バランサ
(402)を接近させることができるため第一バランサ(4
02)を小形化することができ、ひいては第二バランサ
(403)も小形化することができる。また第2主軸受
((702)より下方において主軸(4)に半径方向の力
を与えるものは第2バランサ(403)のみであり、この
力は比較的小さい。従つて第二主軸受(702)に与える
荷重も小さいものとなり軸受信頼性を高めることができ
る。また第二フレーム(7)のボス部(7b)をモータロ
ータ(10)のカウンタボア(10b)内まで延長すること
により、上記の第二主軸受(702)に与える荷重はさら
に小さいものとなる。また従来例の如く、第一バランサ
(402)をモータロータ(10)の上端に装着する場合、
第一バランサ(402)に発生する大きい遠心力を保持す
ることがモータロータ(10)の強度上困難であつたが、
本実施例ではそのような問題も解消される。
次に本実施例における潤滑油経路について説明する。オ
イルポンプ(12)により遠心力を与えられた油は主軸
(4)内の油孔(404)を経て各軸受を潤滑した後、第
一スラスト軸受(601)の油溝(601b)を通つて第一ス
ラスト軸受の径方向外方に排出される。排出された油は
第一フレーム(6)上の円周溝(609)内に落下した
後、返油孔(604)を通つて第二フレーム(7)の上側
凹部(705)に落下し、第二フレーム(7)のモータ取
付足(7b)の外周側に設けられた返油溝(7g)を経た
後、モータステータ(11)の外周に沿つて貯油(909a)
上のフオーミングおさえ板(910)の上に落下する。な
お、返油孔(604)より落下する位置を第一バランサ(4
02)の最外周より内周側へ設ければ、第一バランサ(40
2)の回転運動により落下した油は遠心力を与えられ、
排出が容易となる。フオーミング抑え板(910)上に落
下した油は小孔(910b)を通つて貯油(909a)に返油さ
れる。なお、フオーミング抑え板(910)は、貯油(909
a)内に冷媒が寝込んだ状態での起動に際して、フオー
ミングにより油が持ち去られることを防止する効果を持
たす。
次に圧縮機内部のガス経路について説明する。吸入ガス
は下シエル(9013)の外周に設けられた吸入管(904)
から、圧縮機内部に導入され、第2フレーム(7)の外
壁に衝突した後、隔壁(7h)により直接上方へ吸入され
ずに、第2フレーム(7)下部に流入しモータステータ
(11)の上部を冷却した後、ガス通路(614b)を経て吸
入室(Pi)へ吸入される。吸入室(Pi)へ吸入されたガ
スは圧縮室(P)に取込まれ順次圧縮された後、吐出管
(905)より吐出される。このような吸入ガス経路にお
いては、吸入ガスは直接モータステータ(11)のコイル
部に衝突しないため、吸入ガス中に含まれる異物等によ
るコイル部の損傷がないこと、また第2フレーム(7)
下部で流速が急激に低下するため吸入ガス中の油を分離
しやすいこと、吸入ガスの圧力損失が小さいこと、また
返油溝(7g)の下端近傍へは吸入ガスが流入しにくいの
で、潤滑油を吸入ガスが持ち去る可能性が少ないといつ
た利点を有する。
また、本実施例ではモータロータ(10)をモータステー
タ(11)に対し、上方向へオフセツトしているが、この
ように配設することにより磁気センターのずれを生じ、
結果としてモータロータ(10)を下方向へもどそうとす
る力が作用する。この力は、圧縮機運転中にその振動あ
るいは外力により主軸(4)が上方向へ移動し揺動スク
ロール(2)の台板(201)と接触することを防止する
よう作用する。
また第1フレーム(6)のオルダム溝(607)は第36図
に示すようにその外端部に溝の側面方向にふくらみ(60
7a)が設けられており、嵌合されたオルダム継手(8)
の爪(802)が最外部まで摺動した際に爪(802)と溝
(607)とが干渉しないような構造となつている。この
ふくらみ(607a)の内面曲率半径(r)を溝(607)の
巾(W)の1/2に等しくとれば、溝(607)の加工に使用
したカツタをそのまま外端部で所定量だけ両側へずらし
て加工することにより容易に加工することができる。こ
のように溝(607)の外端部の両面にふくらみ(607a)
を設けることによりオルダム継手(8)の爪(802)と
の干渉を容易に防ぐことができるため、経済的で外径の
小さいフレーム(6)を提供することができる。なお、
(802′)はオルダム継手(8)の爪が最内部に移動し
た時の位置を示す。
また上シエル(902)には第37図(a)(b)に示すよ
うにモータステータ(11)へ外部から電源を供給するた
めの給電用密封端子(907)が設けられているが、上シ
エル(902)は給電用密封端子(907)が設けられる部分
のみ高さ方向へふくらみ(902b)が設けられ、不必要に
シエル高さが高くならないような構造となつている。さ
らに給電用密封端子(907)には三相のタブ(9071A)
(9071B)(9071C)が配列されているが3本のリード線
(9072)を同一方向から挿入しやすいように各タブ(90
71A)(9071B)(9071C)の方向を同一方向に統一して
ある。(9073)は上記各タブと上記リード線(9072)と
の接続部に被覆され各接続部が相間短絡しないように絶
縁する透明な絶縁被覆である。(909)はモータ温度検
出用サーモに接続された制御用密封端子で、上記給電用
密封端子(907)と同様に、上記ふくらみ(902b)の部
分に設けられ、各タブ(9091A)(909B)も同様に同一
方向に統一され、2本のリード線(9092)を同一方向か
ら挿入しやすいように工夫してある。
なお、上述の通り多数の実施例を示してあり、また各実
施例には多数の改良点が示してあるが、各実施例におけ
る各改良点はその対応実施例の範囲に限つて適用される
のではなく、各実施例の各改良点を適宜組み合わせるこ
とにより、あるいは置換することにより、種々の機能の
ものを実現できる。そしてこれらの適宜組合わせ、置換
は、具体的図示、具体的説明は冗長になるのを避けるた
め省略したが、当然この発明に包含されるものである。
[発明の効果] 以上のように、この発明によれば、密閉シェル内に収納
された固定スクロールおよび揺動スクロールと、この揺
動スクロールのスラスト力を支承する上部スラスト軸受
部と、一端に前記揺動スクロールの軸を回動可能に支承
する偏心穴を有して他端が前記密閉シェル内の油溜内に
浸漬され、モータで駆動されて前記揺動スクロールに回
転力を付与するクランク軸と、このクランク軸のスラス
ト力を支承する下部スラスト軸受部と、前記クランク軸
に設けられ、該クランク軸の回転によるポンプ作用で前
記油溜内の油を吸引して前記偏心穴に強制供給し前記揺
動スクロールの軸受系統を潤滑させるための油通路と、
前記クランク軸の偏心穴で、クランク軸の軸心より離間
位置に設けられ、前記偏心穴と前記下部スラスト軸受部
とを連通させ前記偏心穴へ供給された油の一部を貯留し
直接前記下部スラスト軸受部へ供給する油孔と、を備え
た構成にしたので、クランク軸のスラスト力を支承する
下部スラスト軸受部に、偏心穴と下部スラスト軸受部と
を連通させる油孔から遠心ポンプ作用にて直接積極給油
されるので、給油が確実になされ、下部スラスト軸受部
が給油不足によって過熱されるようなことがなくなり、
その過熱に起因した下部スラスト軸受部の異常磨耗や焼
付け損傷事故等を防止でき、信頼性の高いスクロール形
流体機械が得られ、また、機械の運転停止時には油孔内
に潤滑油が溜つた状態となるので、機械の再起動時には
スラスト軸受を即刻潤滑できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(d)は、スクロール圧縮機の作動原理
図、第2図は、従来のスクロール圧縮機の側面断面図、
第3図は、この発明の一実施例を示すスクロール圧縮機
の側面断面図、第4図(a)(b)は、同じく固定スク
ロールの上面図、及び下面図、第4図(c)は、第4図
(a)のc−c線における断面図、第4図(d)は同じ
く固定及び揺動スクロールの組合せ状態図、第5図
(a)〜(c)は、同じく揺動スクロールの上面図、側
面図、下面図、第6図は、この発明の他の実施例を示す
揺動スクロールの側面図、第7図は、この発明の一実施
例を示す揺動スクロールの分解斜視図、第8図(a)
は、同じく上部フレームの上面図、第8図(b)は、第
8図(a)のb−b線における断面図、第9図(a)
は、同じく上部スラスト軸受の上面図、第9図(b)
(c)はそれぞれ第9図(a)のb−b線及びc−c線
における断面図、第10図(a)は同じくオルダム継手の
上面図、第10図(b)は、第10図(a)のb−b線にお
ける断面図、第11図は、同じくオルダム継手のオルダム
・キーの斜視図、第12図は同じくオルダム継手の分解斜
視図、第13図は、同じく上部フレーム、上部スラスト軸
受及びオルダム継手の組立状態を示す上面図、第14図は
同じく揺動スクロール及びオルダム継手の組立状態を示
す下面図、第15図(a)(b)は同じく揺動スクロー
ル、オルダム継手及び上部フレームの組立状態における
各部材間の隙間についての説明図、第15図(c)は、第
15図(a)のc−c線における断面図、第16図(a)
(b)は、同じく主軸の側面断面図、及び外観図、第16
図(c)は、同じくバランサを装着した主軸の外観図、
第17図は、同じく偏心ブツシユの未挿入状態を示す主軸
の上面図、第18図(a)〜(c)は、同じく偏心ブツシ
ユの上面図、側面断面図及び下面図、第19図は、同じく
主軸及び偏心ブツシユの分解斜視図、第20図は、同じく
主軸及び偏心ブツシユの組立状態を示す平面図、第21図
は同じく偏心ブツシユの作用説明図、第22図(a)
(b)は、同じく偏心ブツシユの作用説明のための断面
図、第23図は、この発明の他の実施例である偏心ブツシ
ユ及び主軸の組立状態を示す上面図、第24図は、第23図
に示す偏心ブツシユ及び主軸の分解斜視図、第25図はこ
の発明の一実施例を示す主軸まわりの給油経路の拡大断
面図、第26図(a)は、同じく主軸及び上部スラスト軸
受の油溝の関係を示す拡大上面図、第26図(b)は、こ
の発明の他の実施例である主軸及び上部スラスト軸受の
油溝の関係を示す拡大上面図、第26図(c)は第26図
(b)のc−c線における断面図、第27図は、この発明
の他の実施例を示し、第27図(a)は下部主軸受への給
油手段の側面断面図、第27図(b)は、下部スラスト軸
受の摺動面の上面図、第28図はさらにこの発明の他の実
施例を示す下部主軸受への給油手段の側面断面図、第29
図(a)は、この発明の一実施例を示す主軸下端の遠心
ポンプ部の側面断面図、第29図(b)は、第29図(a)
のb−b線における断面図、第30図(a)は、この発明
の他の実施例である主軸下端の遠心ポンプ部の側面断面
図、第30図(b)は、第30図(a)のb−b線における
断面図、第31図(a)はこの発明の一実施例を示すモー
タへの給電用リード線部を示す拡大側面断面図、第31図
(b)は第31図(a)のb−b線における断面図、第31
図(c)は第31図(a)(b)における押板(100d)の
斜視図、第32図は、この発明の他の実施例であるストロ
ーク圧縮機全体の側面断面図、第33図は、同じくストロ
ーク圧縮機上部の分解斜視図、第34図は、さらにこの発
明の他の実施例を示すストローク圧縮機全体の側面断面
図、第35図は同じくストローク圧縮機上部の分解斜視
図、第36図は、この発明の一実施例を示すオルダム・キ
ー及びガイド溝との関係を示す拡大上面図、第37図
(a)は第32図に示す上シエル部の斜視図、第37図
(b)は同じく拡大上面図である。なお、図中、同一符
号は同一または相当部分を示す。 図中、(1)は固定スクロール、(2)は揺動スクロー
ル、(4)は主軸、(6)(7)は上部及び下部フレー
ム、(9)は密閉容器、(10)(11)はモータ、ロータ
及びステータ、(404)は給油通路、(406)は油孔、
(601)(701)は上部及び下部スラスト軸受、(909)
は油溜めである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲葉 努 和歌山県和歌山市手平6丁目5番66号 三 菱電機株式会社和歌山製作所内 (72)発明者 大井手 正彦 和歌山県和歌山市手平6丁目5番66号 三 菱電機株式会社和歌山製作所内 (72)発明者 木村 正 和歌山県和歌山市手平6丁目5番66号 三 菱電機株式会社和歌山製作所内 (72)発明者 小林 教秀 和歌山県和歌山市手平6丁目5番66号 三 菱電機株式会社和歌山製作所内 (56)参考文献 特開 昭58−117380(JP,A) 特公 昭58−28433(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密閉シェル内に収納された固定スクロール
    および揺動スクロールと、この揺動スクロールのスラス
    ト力を支承する上部スラスト軸受部と、一端に前記揺動
    スクロールの軸を回動可能に支承する偏心穴を有して他
    端が前記密閉シェル内の油溜内に浸漬され、モータで駆
    動されて前記揺動スクロールに回転力を付与するクラン
    ク軸と、このクランク軸のスラスト力を支承する下部ス
    ラスト軸受部と、前記クランク軸に設けられ、該クラン
    ク軸の回転によるポンプ作用で前記油溜内の油を吸引し
    て前記偏心穴に強制給油し前記揺動スクロールの軸受系
    統を潤滑させるための油通路と、前記クランク軸の偏心
    穴で、クランク軸の軸心より離間位置に設けられ、前記
    偏心穴と前記下部スラスト軸受部とを連通させ前記偏心
    穴へ供給された油の一部を貯留し直接前記下部スラスト
    軸受部へ供給する油孔と、を備えたスクロール形流体機
    械。
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