JPH0790533A - スリーブとその製造方法及びそのスリーブを備えた排水ポンプ - Google Patents

スリーブとその製造方法及びそのスリーブを備えた排水ポンプ

Info

Publication number
JPH0790533A
JPH0790533A JP22844893A JP22844893A JPH0790533A JP H0790533 A JPH0790533 A JP H0790533A JP 22844893 A JP22844893 A JP 22844893A JP 22844893 A JP22844893 A JP 22844893A JP H0790533 A JPH0790533 A JP H0790533A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
sleeve
coated
coating
melted
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22844893A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryoji Okada
亮二 岡田
Masayuki Yamada
雅之 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP22844893A priority Critical patent/JPH0790533A/ja
Publication of JPH0790533A publication Critical patent/JPH0790533A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/04Heavy metals
    • F05C2201/0433Iron group; Ferrous alloys, e.g. steel
    • F05C2201/0466Nickel
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2253/00Other material characteristics; Treatment of material
    • F05C2253/12Coating

Abstract

(57)【要約】 【構成】摺動面を含む表面の一部を少なくとも70%の
WCとNi,Cr,Coの内少なくとも一つを含む皮膜
1で被覆し、皮膜1を除く他の表面をNi,Crのどち
らか、もしくは両方を含む皮膜2で被覆する。更に、皮
膜1に含まれるNi,Cr,Coと皮膜2が膜形成後、
スリーブ形成時に少なくとも一回溶融させ、皮膜内のボ
イド量が面積率で3%以下とする。 【効果】従来のWC焼結体製のスリーブに比べ、重量が
約1/2であり、かつ下地がねじ穴加工等の可能なSU
Sであるため、取扱が容易であり、組立て作業時の作業
員の労働量を大幅に低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は排水機場用排水ポンプに
係り、特に、軸受部に清浄水を供給することなく運転す
るポンプに適したスリーブとその製造方法、及び排水ポ
ンプに関する。
【0002】
【従来の技術】排水機場には近年の急激な都市化に伴う
都市型洪水の増加,運転維持管理費の増大という問題が
ある。これらの問題に対応すべく、ポンプシステムの高
性能化,高信頼性化について研究が進められている。現
在、高性能化,高信頼性化に対応する技術として、ポン
プの無給水運転技術と大容量化が検討されている。無給
水運転技術とは、軸受,スリーブ間に清浄水を供給する
ことなく運転するものである。清浄水の供給装置がない
ため清浄水供給装置,清浄水供用センサ等の故障による
誤動作がなく信頼性が高い。しかし、無給水運転技術を
可能とするためには、排水に含まれる土砂が進入しても
摩耗しない軸受,スリーブが必要である。従来の無給水
運転用の軸受装置には、耐摩耗性に優れるタングステン
カーバイド(以後、WCと表記する)焼結体製のスリー
ブと炭化珪素(以後、SiCと表記する)製の軸受との
組合せが用いられてきた。
【0003】一方、ポンプの大容量化は必然的に軸受の
大径化を必要とする。しかし、従来のWCスリーブとS
iC軸受との組合せによる構造のままでは、大径の焼結
体であるWCスリーブとSiC軸受が必要となり、焼結
技術とコストの点で対応できず、更に部品重量が大きく
なり組立て作業が難しくなるという問題がある。そこ
で、セラミックスと同等の硬さを有する膜を被覆する硬
質膜コーティング技術が検討されている。硬質膜には、
土砂摩耗に対する耐摩耗性と耐食性が求められる。耐摩
耗性の点からは、膜の硬さが高く、かつ膜厚が厚いほど
信頼性が高い。
【0004】硬質膜の形成方法は、物理的蒸着法,化学
的蒸着法,メッキ法,溶射法等があるが、物理的蒸着
法、化学的蒸着法、メッキ法等では十分な膜厚が得られ
ないため、溶射法が検討されている。
【0005】硬質膜に溶射膜を利用した例として、WC
あるいはクロムカーバイド(以後、Cr32と表記す
る)溶射膜スリーブと窒化珪素(以後、Si34と表記
する)、SiC軸受との組合せを用いた無給水排水ポン
プが、「トライボロジスト」、第36巻、第2号の14
4項から147項に明示されている。
【0006】溶射法で形成した膜は、多孔質となり耐摩
耗性が焼結体に劣るため、膜を緻密化する方法が検討さ
れている。例えば、WCと金属を溶射後加熱して金属部
分を一旦、溶融させ、膜内の孔を封じ耐摩耗性を増す方
法が特開昭49−34435 号,特開昭53−31530 号,特開昭
60−145369号公報に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】無給水軸受の場合は軸
受,スリーブの摺動面を保護する清浄水の供給がないた
め、土砂水に対する耐摩耗性は重要である。土砂水に含
まれる粒子のほとんどが長石と石英であり、最高の硬さ
がビッカース硬度(以後Hvと表記)1000程度(石
英)であり、軸受,スリーブに必要とされる硬さはHv
1000以上である。WC,SiC,Si34の焼結体
であれば、その硬度はHv1000以上であり(WCが
Hv約1400,SiCが約2800、Si34が約1
600)、硬度の点では十分で耐摩耗性も優れている。
しかし、焼結技術,組立て作業性,製造コストを考慮す
ると、スリーブの全体をWC,SiC,Si34の焼結
体で製作するのには大きさに限界があり上述のように、
焼結体に替わる硬質膜を用いることが検討されている。
【0008】硬質膜として広く用いられている溶射膜は
一般に、焼結体に比べ同組成であっても硬さが低く、耐
摩耗性が劣る。溶射膜の硬さが焼結体よりも低いのは、
WC粒子をつなぐ結合材に空隙等の欠陥がある、あるい
は結合材とWC粒子との結合力が不十分なため被膜の強
度が低いためである。また、他の膜形成方法に比較し膜
厚を厚く形成出来るとはいえ、WCを主成分にした溶射
膜では、膜形成時のひずみのため0.2〜0.3mmが限界
の膜厚であり、このように信頼性の点からはより厚い膜
厚の被膜が望まれる。
【0009】従来技術、WC溶射膜とセラミックス軸受
(焼結体)との組合せを用いた無給水排水ポンプ(「ト
ライボロジスト」、第36巻,第2号)については、W
C、あるいはCr32を主成分とする溶射膜の硬度,耐
摩耗性,信頼性、特に10年,20年におよぶ長期期間
の摺動摩耗についての検討が加えられていない。
【0010】膜形成後、加熱して、一旦、溶融させ緻密
化する方法(仮に溶融法と称して、以後記述する)で
は、加熱によって下地材料の特性が変質する場合があ
り、利用出来る下地材料や使用環境に限定がある。例え
ば、耐摩耗性に加え耐食性を求められる場合は、通常下
地材料としてステンレス(以後SUSと表記する)を用い
るが、被膜を一旦溶融させ緻密化する方法を適用する
と、オーステナイト系SUS、例えばSUS304の場合な
ど、耐食性が著しく低下するため溶融法は使用出来な
い。また、溶融法では耐食性を考慮し、膜の金属部分に
は通常Ni,CrもしくはCoを用いるが、被膜の端部
で下地材料との間に電気腐食を生じ、膜の剥離,破壊を
生じる可能性があるため、海水中などの腐食環境での適
用は困難である。
【0011】従来技術、特開昭49−34435号,特開昭53
−31530号,特開昭60−145369号公報では、加熱による
下地材料の特性変質及び腐食環境での信頼性についての
検討がなされていない。
【0012】本発明の目的は、大径化にも容易に対応で
き、軽量で、摩耗に対する信頼性の高いスリーブを提供
することにある。
【0013】本発明の他の目的は、大径化にも容易に対
応でき、軽量で、摩耗に対する信頼性の高いスリーブの
製造方法を提供することにある。
【0014】本発明のさらに他の目的は、軽量で組立て
性に優れ、摩耗に対する信頼性の高いスリーブを備え
た、長期信頼性の高い排水ポンプを提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】スリーブの大径化,軽量
化を達成するためにスリーブを金属製とし、摺動部の耐
摩耗性を増すために、摺動部にWCを70重量%以上含
みNi,Cr,Coを結合材とする皮膜1を被覆し、加
熱加圧し皮膜1の結合材を溶融させ緻密化させ、膜の耐
摩耗性,信頼性を増した。
【0016】また、加熱加圧し皮膜1の結合材を溶融さ
せる際に、下地金属の耐食性低下を補うため、皮膜1で
被覆されている以外の部分を、耐食性に優れるNiもし
くはCrからなる皮膜2で被覆した。
【0017】また、皮膜1の結合材料Ni,Cr,Co
と下地材料との電気腐食を防ぐため、皮膜1で被覆され
ている以外の部分を、導電位のNiもしくはCrからな
る皮膜2で被覆した。
【0018】さらに皮膜2の孔を封じるため、皮膜1の
加熱前に皮膜2を被覆し、皮膜1の加熱時に同時に溶融
させる手順とした。
【0019】
【作用】一般に土砂水を含む水中での摺動部の耐摩耗性
は、土砂粒子と皮膜との硬さによって決まる。摺動部の
耐摩耗性が硬さに依存するかどうか、さらにどの程度の
硬さであれば、軸受装置の摺動部に適用できるかを確認
するために、以下の摩耗試験を行った。前述のように、
河川水に含まれる土砂は長石と石英がほとんどであり、
最高硬さは石英のHv1000である。従って、摺動す
る雰囲気は河川水を模擬し、珪砂を9重量%含んだ水道
水中とした。また、摺動する試験片は回転側が外径25
mm,内径16mmのリング、固定側は26×26mm,厚み
3mmの板材とし、回転側と固定側との面を摺り合わせる
方法で行った。
【0020】各種組成のWC系溶射膜とWC−12%C
o焼結体を回転側試験片に用い、固定側に軸受材料であ
るSiC製試験片を用いた。約100km摺動後の、回
転側試験片の摩耗量を測定し、摩耗率に換算し、皮膜の
硬さとの相関を調べた。その結果を図6と図7にまとめ
る。
【0021】図6は各種組成の溶射膜とWC−12%C
o焼結体の硬さと摩耗率との相関をまとめた結果である
(図中の△,○,●は溶射膜の種類を示す)。摩耗率は
膜硬さとともに低下し、珪砂硬さであるビッカース硬さ
(以後、Hv硬さと表記する)約1000(図中の交点は
Hv1040)を超えると摩耗形態が変化し、低摩耗状
態となる。従って、硬質膜硬さはHv1000、好まし
くはHv1040以上が必要である。図7は溶射膜内の
ボイドの面積率と硬さとの相関をまとめた結果である。
ボイドの面積が少なくなるほど皮膜硬さは増し、先述の
Hv1040に相当するボイド率は約3%である。な
お、結合材料の量を変えるとボイド率と硬さとの相関は
変化する。しかし、結合材料の量を低くすると膜の靱性
が低下し、さらに皮膜の形成が困難となるため、図6に
示した関係が実用的である。従ってスリーブ用の硬質膜
は、膜硬さがHv1040以上であり、ボイド率が約3
%以下であることが必要である。
【0022】本発明において、摺動部に形成した70重
量%以上のWCとNi,Cr,Coの内少なくとも一つ
以上を含む皮膜1は、膜の平均硬さがHv1178(測
定点数十点、max1261,min962)であり、十分な
耐摩耗性を発揮する。
【0023】また、本発明において、皮膜1以外の部分
に形成したNi,Crで形成された皮膜2は、皮膜1以
外の部分の耐食性を補い、さらに皮膜1の結合材Ni,
Cr,Coと電位がほぼ同等であるため、皮膜1と下地
材料との間で発生する電気腐食を防止することができ
る。
【0024】皮膜2を溶射法で形成するため、蒸着やメ
ッキに比べ厚みのある膜が形成でき、組成を任意に調節
できる。さらに、皮膜1の加熱前に皮膜2を被覆し、皮
膜1の加熱時に同時に溶融させる手順をとることで、皮
膜2も加熱時に溶融し緻密な膜となり、膜内の孔が封じ
られて耐食性が増す。
【0025】
【実施例】本発明の一実施例を図1ないし図5を用いて
説明する。図1は本発明の一実施例の排水ポンプの構造
を示す縦断面図である。通常、排水ポンプには、インペ
ラ近くと、上部との二個所に軸受が設けられている。本
発明の軸受構造は、両方の軸受に適用できるものであ
る。
【0026】図1において、3は排水を汲みだすインペ
ラであり、4は駆動系から回転を伝達する主軸であり、
5は主軸に取り付けられているスリーブであり、6はス
リーブ4と摺動し、趣軸5を指示するSiCで形成され
ている軸受、これらを内蔵し内部を排水が通るケーシン
グが7である。
【0027】図2は図1に示した排水ポンプの上部に設
置された軸受部分の構造を示す、一部断面を含む斜視図
である。図2において、8はスリーブ5を上下で支持す
るスリーブ支持部材であり、9は軸受5を支持する軸受
支持部材であり、10は軸受5を軸受支持部材9ととも
に弾性的に支持する弾性体であり、11は軸受全体をケ
ーシング7に固定する軸受固定部材である。
【0028】図3は図2に示したスリーブを示す、一部
断面を含む斜視図である。なお、断面の詳細構造は図3
では記載しない。図4は図3で示したスリーブ断面の詳
細を示す縦断面図である。図4において、1はWC,N
i,Crからなる皮膜であり、以後皮膜1と表記する。
本実施例では皮膜1は、WC−20重量%Ni−5重量
%Crである(以後、重量%を%と表記する)。2はN
i−Crからなる皮膜であり、以後、皮膜2と表記す
る。本実施例では皮膜2は、Ni−20%Crである。
12はスリーブ素材である合金鋼であり、本実施例では
SKD1を用いた。
【0029】スリーブ12の製造手順を、図5を用いて
以下説明する。
【0030】まずSKD1でスリーブを製作する。この
際、次に形成する皮膜1,皮膜2が加熱時に生じる熱応
力によって破壊しないように、コーナ部を面取りし応力
の集中を防止する。
【0031】摺動面となる円筒面を除いた内面,端面に
溶射法でNi−20%Cr膜を形成する。溶射法はプラ
ズマ溶射法を用い、膜厚は約0.3mm 以上とする。スリ
ーブ加工完了後の膜厚と耐食性を考慮すると、この工程
における膜厚は約0.3mm 以上を必要とする。
【0032】円筒面にWC細線からなるクロスを貼付
け、その上にさらにNi−Crからなる臘材クロスを貼
付け、二重構造とする。WC細線からなるクロスと臘材
クロスとの分量比は、溶融,凝固後にWC−20%Ni
−5%Crとなるようにする。また全量は、溶融,凝固
後の膜厚が約3mmとなるようにする。スリーブ加工完了
後の膜厚と皮膜硬さを考慮すると、長期信頼性を得るた
めには、溶融,凝固後の膜厚が約3mm以上を必要とす
る。
【0033】なお、WCの分量については、増すほど皮
膜硬さと耐摩耗性が増し皮膜特性は優れる。しかし、W
Cの分量を増すほど熱膨張率が小さくなり、次工程であ
る加圧・加熱処理時に皮膜の破断が生じやすい。さら
に、WCの分量を増しすぎると、皮膜の靱性が低下し、
耐衝撃性が低下する。その結果、軸受との衝突によって
皮膜が破壊する可能性が生じて来る。そこで、WCの分
量については耐摩耗性と皮膜の形成し易さ,耐衝撃性と
を考慮し、両特性のバランスの取れた70%にした。
【0034】スリーブ全体をSUS薄板13で覆う。次
に、SUS薄板で全面を覆ったスリーブを加圧・加熱処
理(以後HIP処理:hot isostatic pressingと表記す
る)をする。約500〜1000kg/cm2 の圧力をか
けながら約1000〜1100℃の温度で約2時間保持
する。このHIP処理によって、皮膜1と皮膜2とを一
旦溶融させ緻密化を図り、下地材料と反応させて強固な
密着力を得る。約2hの保持後、熱膨張率差によって生
じる熱応力による皮膜1の破壊を防ぐため、炉内で徐々
に冷却する。
【0035】冷却後のスリーブ全面を覆うSUS薄板部
分を切削する。その後、内面,端面は切削によって、円
筒面は研磨によって所定の寸法,面粗さに仕上げる。
【0036】本実施例では素材加工工程においてSKD
1を用いているが、素材としてSKD1に限定されるもので
はない。ただ、WCからなる皮膜1の熱膨張率が低いた
め、熱膨張率差の小さい材料が望ましい。また、皮膜1
との界面は金属結合するため、炭素が黒鉛状態で析出し
ている組織は望ましくない。従ってSKD1に加え、S
KD11,SKD12,SUS403等であっても使用
できる。
【0037】皮膜2の被覆工程においてプラズマ溶射法
を用いているが、プラズマ溶射法に限定されるものでは
ない。0.3mm 以上の膜厚が形成できる方法であれば、
爆発溶射法,高速フレーム溶射法を用いてもよい。
【0038】皮膜1の被覆工程において、WC細線から
なるクロスとNi−Crからなる臘材クロスを二層に貼
付ける方法を用いたが、本発明は同方法に限定されるも
のではない。例えば、最終組成のWC−NiCr膜を1
回の溶射法で形成してもよい。あるいは、最終組成に比
較しWCを多く含むWC−NiCr膜を溶射法で形成
後、その上にNiCr膜を溶射法で形成してもよい。ま
たは、WC細線からなるクロスを貼付けた後、その上に
NiCr膜を溶射法で形成してもよい。臘材としてCo
を用いてもほぼ同等の効果が得られる。
【0039】HIP処理工程において、加熱温度を約1
000〜1100℃、圧力を約500〜1000kg/cm
2 、保持時間を約2時間としたが、処理する部品大き
さ,材料によってこれらの条件は変動するものであり、
本発明は上記条件に限定されるものではない。
【0040】加工完了後のスリーブは図4に示す断面構
造となり、摺動面の皮膜の硬さは膜断面での測定で平均
Hv1178(10点測定,最高1261、最低96
2)である。皮膜硬さと摩耗率との相関は図6に示すよ
うに、土砂粒子の硬さを超えるHv1000〜1050
以上で低摩耗状態となり、WC焼結体とほぼ同等の耐摩
耗性となる。
【0041】
【発明の効果】本発明のスリーブは、従来のWC焼結体
製のスリーブに比べ、重量が約半分であり、かつ下地が
ねじ穴加工等の可能なSUSであるため、取扱が容易で
あり、組立て作業時の作業員の労働量を大幅に低減する
ことができる。
【0042】さらに本発明のスリーブは、摺動面の皮膜
が一旦溶融するため、内部のボイド量が著しく少なく、
長期摺動に対する皮膜の信頼性が高い。
【0043】また本発明のスリーブは、摺動面以外が耐
食性に優れるNi−Cr皮膜で被覆されているため耐食
性が極めて高く、さらに摺動面の皮膜1に含まれる金属
元素とほぼ同一電位であるため電位差による電気腐食が
生じず、腐食に対する信頼性が高い。
【0044】また本発明のスリーブ製造方法によれば、
従来の焼結法では製造が困難だった大径のスリーブを製
造することができる。また、製造工程の中で摺動面の皮
膜を一旦、溶融するほどに加熱しても、スリーブ全面が
Ni−Cr皮膜で被覆されているため、熱影響による素
材の耐食性変化が問題とならず、腐食環境でも使用でき
るスリーブを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスリーブを適用した排水ポンプの縦断
面図。
【図2】本発明のスリーブを適用した排水ポンプの軸受
部の一部断面を含む斜視図。
【図3】本発明のスリーブの一部断面を含む斜視図。
【図4】本発明のスリーブの断面構造を示す断面図。
【図5】本発明のスリーブの製造方法を示す製造フロー
チャート。
【図6】皮膜硬さと耐摩耗性との関係を示す要素試験結
果の説明図。
【図7】溶射膜内のボイド率と皮膜硬さとの関係を示す
要素試験結果の説明図。
【符号の説明】
1…70%のWCとNi,Cr,Coの内少なくとも一
つを含む皮膜、2…Ni,Crのどちらか、もしくは両
方を含む皮膜、3…インペラ、4…軸、5…スリーブ、
6…SiCで形成されている軸受、7…ケーシング、1
2…SKD1で加工したスリーブ、13…SUS薄板。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸受装置に用いるスリーブにおいて、前記
    スリーブは金属で形成されており、さらに摺動面を含む
    表面の一部を少なくとも70重量%のWCとNi,C
    r,Coの内少なくとも一つ以上を含む第一の皮膜で被
    覆され、前記皮膜を除く他の表面をNi,Crのどちら
    か、もしくは両方を含む第二の皮膜で被覆しており、前
    記第一の皮膜に含まれるNi,Cr,Coと前記第二の
    皮膜が膜形成後、スリーブ形成時に少なくとも一回溶融
    し、皮膜内のボイド量が面積率で3%以下であることを
    特徴とするスリーブ。
  2. 【請求項2】軸受装置に用いるスリーブの製造過程で、
    摺動面となる部分にWCからなる皮膜を被覆し、WC膜
    の上にさらにNi,Cr,Coの内少なくとも一つ以上
    を含む臘材膜を被覆し、その後、前記スリーブの全体を
    金属薄板で覆い、高圧中で加熱して前記臘材膜を溶解し
    てWC膜と混合し、前記スリーブに臘材とWCからなる
    第一の皮膜を被覆する製造方法において、前記スリーブ
    を前記金属薄板で覆う前に、前記WC膜と臘材膜とを被
    覆しない他の部分に、Ni,Crのどちらか、もしくは
    両方を含む皮膜を溶射法で形成し、その後、前記スリー
    ブ全体を高圧中で加熱して前記臘材膜を溶解する際に、
    前記溶射法で形成した皮膜を溶解して、部材に緻密なN
    i,Crのどちらか、もしくは両方を含む緻密な第二の
    皮膜を形成することを特徴とするスリーブの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、軸受,スリーブからな
    る軸受装置と、水を排するインペラと、前記インペラを
    回転させる駆動系と、前記駆動系から前記インペラへ回
    転を伝達する軸と、これらを内蔵するケーシングとを備
    えた排水ポンプ。
JP22844893A 1993-09-14 1993-09-14 スリーブとその製造方法及びそのスリーブを備えた排水ポンプ Pending JPH0790533A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22844893A JPH0790533A (ja) 1993-09-14 1993-09-14 スリーブとその製造方法及びそのスリーブを備えた排水ポンプ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22844893A JPH0790533A (ja) 1993-09-14 1993-09-14 スリーブとその製造方法及びそのスリーブを備えた排水ポンプ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0790533A true JPH0790533A (ja) 1995-04-04

Family

ID=16876655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22844893A Pending JPH0790533A (ja) 1993-09-14 1993-09-14 スリーブとその製造方法及びそのスリーブを備えた排水ポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0790533A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09303245A (ja) * 1996-03-13 1997-11-25 Hitachi Ltd 水力機械用ランナ及びその製造方法
JP2013503306A (ja) * 2009-08-28 2013-01-31 サン−ゴバン パフォーマンス プラスチックス パンプス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 耐食性ブッシング
JP2015038376A (ja) * 2009-12-31 2015-02-26 サン−ゴバン パフォーマンス プラスチックス パンプス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング エネルギー変換構造と軸受部品とを含む再生可能エネルギー源
US9004802B2 (en) 2003-04-17 2015-04-14 Saint-Gobain Performance Plastics Rencol Limited Tolerance ring assembly
JP2019104194A (ja) * 2017-12-14 2019-06-27 株式会社極東精機 成型用金型の製造方法
US10371213B2 (en) 2009-09-25 2019-08-06 Saint-Gobain Performance Plastics Rencol Limited System, method and apparatus for tolerance ring control of slip interface sliding forces
US11005334B2 (en) 2017-12-15 2021-05-11 Saint-Gobain Performance Plastics Rencol Limited Annular member, method, and assembly for component displacement control

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09303245A (ja) * 1996-03-13 1997-11-25 Hitachi Ltd 水力機械用ランナ及びその製造方法
US9004802B2 (en) 2003-04-17 2015-04-14 Saint-Gobain Performance Plastics Rencol Limited Tolerance ring assembly
US9206853B2 (en) 2003-04-17 2015-12-08 Saint-Gobain Performance Plastics Rencol Limited Tolerance ring assembly
US10203004B2 (en) 2003-04-17 2019-02-12 Saint-Gobain Performance Plastics Rencol Limited Method of using a tolerance ring
JP2013503306A (ja) * 2009-08-28 2013-01-31 サン−ゴバン パフォーマンス プラスチックス パンプス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 耐食性ブッシング
US8944690B2 (en) 2009-08-28 2015-02-03 Saint-Gobain Performance Plastics Pampus Gmbh Corrosion resistant bushing
US10371213B2 (en) 2009-09-25 2019-08-06 Saint-Gobain Performance Plastics Rencol Limited System, method and apparatus for tolerance ring control of slip interface sliding forces
JP2015038376A (ja) * 2009-12-31 2015-02-26 サン−ゴバン パフォーマンス プラスチックス パンプス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング エネルギー変換構造と軸受部品とを含む再生可能エネルギー源
JP2019104194A (ja) * 2017-12-14 2019-06-27 株式会社極東精機 成型用金型の製造方法
US11005334B2 (en) 2017-12-15 2021-05-11 Saint-Gobain Performance Plastics Rencol Limited Annular member, method, and assembly for component displacement control

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6073648A (en) Metal element having a laminated coating
US7226671B2 (en) Use of powder metal sintering/diffusion bonding to enable applying silicon carbide or rhenium alloys to face seal rotors
US5871820A (en) Protection of thermal barrier coating with an impermeable barrier coating
US5851678A (en) Composite thermal barrier coating with impermeable coating
JP3217696B2 (ja) ディスクバルブ
EP0561391B1 (en) Bearing unit, drainage pump and hydraulic turbine each incorporating the bearing unit, and method of manufacturing the bearing unit
US8182931B2 (en) Coated fatigue critical components
JPS6133969B2 (ja)
JP2967245B2 (ja) 無給水ポンプ
JP3886394B2 (ja) 耐食性と耐摩耗性を有する被覆部材
JP2011527979A (ja) SiC−ダイヤモンドを接合する方法
US7829138B2 (en) Metal material for parts of casting machine, molten aluminum alloy-contact member and method for producing them
JPH0790533A (ja) スリーブとその製造方法及びそのスリーブを備えた排水ポンプ
CA3073562A1 (en) Pumps for hot and corrosive fluids
EP0508731B1 (en) Use of an oxide coating to enhance the resistance to oxidation and corrosion of a silicon nitride based gas turbine blade
JPS6123805A (ja) ターボ機械のための燃結された入口ライニング
JPH11315701A (ja) 合わせチタン合金基板
EP0570219B1 (en) Use of a molten zinc resistant alloy
JPH0737347B2 (ja) 液圧シリンダーのピストンロッドに適用される被覆
JP3627614B2 (ja) 排水ポンプ
US20030155043A1 (en) Elevated temperature oxidation protection coatings for titanium alloys and methods of preparing the same
JP2823086B2 (ja) 連結部材およびその連結方法
JP2001082479A (ja) 摺動部材とその製造方法
US20220170378A1 (en) Two-layer abrasive coating for rotor-blade tips, method, component, and turbine assembly
JPH06248472A (ja) 耐食・耐摩耗多層金属被膜及びその製造方法