JPH09303245A - 水力機械用ランナ及びその製造方法 - Google Patents

水力機械用ランナ及びその製造方法

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JPH09303245A
JPH09303245A JP9057363A JP5736397A JPH09303245A JP H09303245 A JPH09303245 A JP H09303245A JP 9057363 A JP9057363 A JP 9057363A JP 5736397 A JP5736397 A JP 5736397A JP H09303245 A JPH09303245 A JP H09303245A
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vane
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亮二 岡田
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啓二 田口
Kazuo Niikura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】取扱い流体内に土砂などを含む条件下でも使用
可能な、耐摩耗性と耐食性に優れたランナ水車及びその
製造方法を提供する。 【解決手段】ランナの表面の少なくとも一部に、Ni,Cr,
Coの内の少なくとも1種類を含む金属とクロム炭化物と
を含む第1の皮膜と、Ni,Cr,Coの内の少なくとも1種類
を含む金属とタングステン炭化物とを含む第2の皮膜を
被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性,耐食性
に優れたランナ水車及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】水車は、近年流体内に固形物、例えば土
砂などを含む条件下での使用が増えている。このような
条件下で運転されるランナでは、固形物の衝突による摩
耗(以後、土砂摩耗と表記する)とキャビテーション壊
食とが複合した損傷が発生する。そのため、損傷発生部
にはゴム等の樹脂ライニング、もしくはセラミックス等
の高硬度材料の溶射が行われている。この種の技術とし
て特開平3-47477号公報を挙げることができる。
【0003】一般に3次元形状であるランナは鋳造によ
って製作されることが多い。しかし、大型ランナでは、
溶接によって組み立てる製造方法が一部用いられてい
る。この場合、ランナとしての機械強度を高めるため、
ステンレス系材料を溶接によって組み立てている。具体
的には羽根,クラウン,バンド若しくはシュラウドをス
テンレス系材料で別々に形状を作り、クラウン,バンド
若しくはシュラウドとの間に羽根を溶接し、ランナを形
成する。このとき、ランナに形成後は必要に応じて溶接
時の残留応力を除去するために加熱処理が施される。こ
の種の技術として特開平2-140465号公報に記載されてい
る技術を挙げることができる。
【0004】また、土砂摩耗が生じる場合では硬質被膜
の被覆が種々検討されている。例えば、ペルトン水車の
バケット、ニ−ドルチップの内面に傾斜組成を有するタ
ングステンカ−バイド皮膜を減圧プラズマ溶射法で被覆
する方法が特開平6-88201号公報に記載されている。ま
た、水車のランナに限れば、ランナの土砂摩耗を生じる
一部箇所にC,Si,Mn,Cr.Mo,Ni,Feを含むCo合金を
肉盛り溶接する技術が特開平2-75767号公報に記載され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、水力
機械を流体内に土砂などを含む条件下で使用する場合、
土砂摩耗とキャビテーション壊食とによる損傷防止のた
め、ランナには高硬度材料の被覆が必要である。しかし
ながら、ランナは三次元形状であるため高硬度材料の被
覆は容易ではない。
【0006】メッキ法は複雑形状物にも容易に被覆でき
る方法であるが、本例に適用する場合、以下の課題があ
る。Crメッキは最も広く用いられている電解メッキであ
り、皮膜硬さはメッキ膜中では最高に属し、ビッカース
硬さ(以後、Hvと表記する)が約1000である。しか
し電解メッキであるため、形状による電解集中が生じ膜
厚を均一にすることが困難である。また、メッキでは皮
膜内の歪のため厚膜形成が難しく、土砂摩耗とキャビテ
ーション壊食に十分な膜厚の皮膜形成が困難である。Ni
-Pメッキは無電解メッキであり、形状にとらわれず均一
な膜厚の皮膜を形成できる。しかしながら、Crメッキと
同様に、皮膜内の歪のため厚膜形成が難しく、土砂摩耗
とキャビテーション壊食に十分な膜厚の皮膜形成が困難
である。さらに、Crメッキ、Ni-Pメッキ共に浴槽に浸漬
するため、水車ランナのような大型部品への適用は設備
上実用的ではない。
【0007】溶射法によって形成する硬質被膜は、土砂
摩耗とキャビテーション壊食に対して十分な耐摩耗性を
有し、且つ溶射法は十分な厚みの皮膜を容易に被覆する
ことができる。しかしながら、溶射法を用いた場合には
以下の課題がある。良好な溶射皮膜を形成するためには
溶射ガンとランナとの間隔に適切な距離が必要であり、
さらに溶射ガンの寸法の制限から、比較的広いスペース
を必要とする。したがって、三次元形状であり、狭いス
ペースを有するランナには、十分な硬さと密着力を有す
る良好な皮膜を被覆することは困難である。
【0008】上記特開平6-88201号公報に記載されてい
る技術は、溶射施工が容易な形状の小型部品に減圧プラ
ズマ溶射法を適用した発明であり、施工時に被覆部材を
減圧容器内に納めねばならない。従って、減圧プラズマ
溶射法の大型部品への適用は困難であり、さらに複雑形
状の3次元部品への適用は極めて困難である。上記特開
平6-88201号公報に記載されている技術には、これら課
題に対する検討がなされていない。
【0009】また、上記特開平2-75767号公報に記載さ
れている技術は、施工が容易な箇所に肉盛り施工を適用
した発明である。肉盛り溶接は溶解を伴うため強固に密
着した改質層が形成できるが、投入熱量が大きく、大面
積へ施工すると加熱によって変形が生じる。従って、水
車ランナへの適用も実用上一部分に限られ、必要部分全
面への施工は困難である。また、上記特開平6-88201号
公報に記載されている技術と同様に複雑形状の3次元部
品へのプラズマ溶射の適用は極めて困難である。さら
に、Co合金では、土砂濃度の高い環境では皮膜硬さが足
らず、十分な耐摩耗性が得がたい。上記特開平2-75767
号公報に記載されている技術には、これら課題に対する
検討がなされていない。
【0010】以上の如く、三次元形状で且つ狭いスペー
スを有するランナには、溶射法を用いて十分な硬さと密
着力を有する良好な皮膜を被覆することは困難である。
すなわち溶射法を用いる場合、前述の溶接によって組み
立てる製造方法を用いなければならない。しかしなが
ら、溶接を用いるランナ製造方法において溶射による皮
膜被覆を適用する場合、詳細な検討をした結果、下記の
課題が生じることが明らかとなった。
【0011】まず全面に溶射を施した部材では溶接が出
来ず、たとえ溶接したとしても良好な溶接強度を得るこ
とは出来ない。また、溶接部近傍では溶接の熱によって
部材の温度が上がるため、一般に金属よりも熱膨張率の
小さい硬質皮膜に熱歪が生じ、皮膜の剥離、もしくは密
着力の低下が生じる。したがって、溶接部およびその近
傍には皮膜を被覆することはできない。
【0012】しかし、ランナの溶接部であるクラウンと
羽根、及びシュラウド若しくはバンドと羽根の接合部は
比較的流体速度が速く、かつ土砂の衝突頻度が大きいた
め土砂摩耗とキャビテーション壊食が生じやすい箇所で
ある。皮膜を施さない状態では土砂摩耗とキャビテーシ
ョン壊食によって損傷を受け、性能低下、寿命の低下な
どの問題が生じる。また、溶接近傍に溶射膜を被覆しな
いクラウンと羽根、及びシュラウ若しくはバンドと羽根
とを溶接し、溶接後に各溶接部に溶射皮膜を被覆する方
法は、詳細な検討をした結果、下記の課題が生じること
が明らかとなった。
【0013】十分な密着力を得るには、溶射膜を被覆す
る前にサンドブラスト処理によって被覆面に適切な凹凸
を形成しておかなければならない。しかしながら、本例
の場合すでに溶接部近傍には事前に被覆した溶射膜が存
在するため、サンドブラスト処理によってこの溶射膜が
損傷を受け、密着力低下が生じる可能性がある。さら
に、溶接構造物は溶接部の残留歪除去のため、Stress R
elease処理(以下、SR処理と略す)と称する熱処理を施
さねばならない。一般に、溶射によって形成する硬質皮
膜は熱膨張率が小さいため、SR処理時に適切な温度を設
定せねば、熱歪によって溶接前に被覆した皮膜の剥離、
破壊が生じる恐れがある。また、SR処理前に溶接部に溶
射皮膜を被覆した場合、SR処理による溶接部の残留歪の
解放によってさらに皮膜に歪が生じ、皮膜の剥離、破壊
が一層生じ易くなる。
【0014】本発明の目的は、上記課題を解決すべく、
取扱い流体内に土砂などを含む条件下でも使用可能な、
耐摩耗性と耐食性に優れたランナ水車及びその製造方法
を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、流路を流れる流体を動作流体として回転
するランナにおいて、前記ランナの表面の少なくとも一
部に、Ni,Cr,Coの内の少なくとも1種類を含む金属とク
ロム炭化物とを含む第1の皮膜と、Ni,Cr,Coの内の少な
くとも1種類を含む金属とタングステン炭化物とを含む
第2の皮膜が被覆されていることを特徴とする。
【0016】また、本発明の他の特徴は、流路を流れる
流体を動作流体として回転し、クラウン,バンド,羽根
からなる構成部材を有するランナにおいて、前記構成部
材の表面の少なくとも一部に、Ni,Cr,Coの内の少なく
とも1種類を含む金属とクロム炭化物とを含む第1の皮
膜が被覆され、前記クラウンと前記羽根、及び前記バン
ドと前記羽根との接合部の少なくとも一部に、Ni,Cr,
Coの内の少なくとも1種類を含む金属とタングステン炭
化物とを含む第2の皮膜が被覆されていることにある。
【0017】また、本発明の他の特徴は、流路を流れる
流体を動作流体として回転するランナと、該ランナと共
に回転する軸と、該軸を支持する軸受、該主軸と接続回
転する発電機とを備えた水車において、請求項1ないし
請求項?のいずれか1項記載のランナを有することにあ
る。
【0018】また、本発明の他の特徴は、流路を流れる
流体を動作流体として回転する水力機械用ランナの製造
方法において、前記水力機械用ランナの表面の少なくと
も一部に、Ni,Cr,Coの内の少なくとも1種類を含む金属
とクロム炭化物とを含む第1の皮膜を被覆し、次にNi,C
r,Coの内の少なくとも1種類を含む金属とタングステン
炭化物とを含む第2の皮膜を被覆することにある。
【0019】また、本発明の他の特徴は、クラウン、バ
ンド、羽根からなるランナ、主軸、軸受、発電機を備え
る水車の製造方法において、前記水力機械用ランナを形
成していない前記構成部材のクラウン,バンド,羽根各
々の表面の少なくとも一部に、Ni,Cr,Coの内の少なくと
も種類を含む金属とクロム炭化物とを含む第1の皮膜を
被覆し、次に前記クラウンと前記バンドの間に羽根を接
合して前記水力機械用ランナを形成し、次に350℃以
上で650℃以下の温度で1時間以上30時間以下加熱
し、次に前記クラウンと前記羽根、及び前記バンドと前
記羽根との接合部の少なくとも一部に、Ni,Cr,Coの内の
少なくとも1種類を含む金属とタングステン炭化物とを
含む第2の皮膜を被覆することにある。
【0020】ランナは、表面の少なくとも一部に、Ni,C
r,Coの内の少なくとも1種類を含む金属とクロム炭化物
を含むビッカース硬さ700以上の第1の皮膜と、Ni,Cr,C
oの内少なくとも1種類を含む金属とタングステン炭化
物を含み該第1の皮膜より硬いビッカース硬さ1000以上
の第2の皮膜が被覆した構造とする。
【0021】第1の皮膜と、第2の皮膜、特にクロム炭
化物としてCr3C2を用いる第1の皮膜、タングステン炭
化物としてWCを用いる第2の皮膜は、その皮膜硬さがHv
700以上、若しくはHv1000以上であり且つ優れた耐食性
を有する。土砂などを構成する主な物質は長石と石英で
あり、その硬さは石英のHv900〜1000、長石のHv600〜70
0である。土砂摩耗は衝突粒子の硬さを超えると急激に
耐摩耗性が向上するため、皮膜硬さがHv700、若しくは1
000以上である上記皮膜をランナの表面の少なくとも一
部に被覆することによって、土砂摩耗とキャビテーショ
ン壊食に対して十分な耐摩耗性を発揮することが出来
る。
【0022】皮膜被覆法として溶射を用いれば、第1の
皮膜では0.数mmから1mmまでの膜厚、第2の皮膜では0.
数mmから0.5mmまでの膜厚が形成できる。したがって、
溶射で皮膜を形成すれば、土砂摩耗とキャビテーション
壊食に対して十分な寿命を保証できる厚みの皮膜を容易
に被覆することができる。
【0023】溶射には各種方法があり、それぞれの長所
短所に応じた適用が行われている。最も緻密な皮膜を形
成できる溶射法は減圧中でプラズマ溶射法を行う減圧溶
射法である。しかし、減圧溶射法では施工部材を真空容
器中にいれて被覆処理せねばならず、本例のような大型
部材への適用は実用的でない。緻密な皮膜を被覆できる
他の方法として、爆発溶射法と高速フレーム溶射があ
る。爆発溶射法は一度の被覆面積が広いため、大型平面
部材への被覆には適するが、溶射ガン、設備が大きくラ
ンナのような三次元形状、あるいは接合部分のような狭
スペースを有する部材に対して均一に被覆することは困
難である。それに比し、高速フレーム溶射は、緻密な皮
膜が形成でき、且つガン、設備が比較的小さく、三次元
形状、あるいは接合部分のをような狭スペースを有する
部材に対して均一が緻密な皮膜が形成できる。
【0024】ランナを製作する場合、部材状態のクラウ
ン,バンド,羽根の各々に、Ni,Cr,Coの内の少なくと
も1種類を含む金属とCr3C2を50重量%から90重量
%、望ましくは70重量%から90重量%含む第1の皮
膜を被覆し、且つ膜厚を0.3mm以上1.0mm以下とし、さら
に溶接部の先端から20mm以内、望ましくは50mm以内
の領域を未被覆部とする。Cr3C2とNi,Cr,Coからなる
第1の皮膜はCr3C2の量によって皮膜硬さが変化する。C
r3C2の量を増せば皮膜硬さは増すが、皮膜の靭性が失わ
れ脆性となり、皮膜破壊、剥離等が生じやすく信頼性が
低下する。Cr3C2量が50重量%から90重量%範囲であれ
ば、土砂摩耗に対して十分な皮膜硬さを有し、且つ靭性
を保つことができる。
【0025】また、この範囲であれば、土砂摩耗に対し
優れた耐食性と耐摩耗性を有する。但し、土砂濃度が高
い場合はCr3C2量を高め、皮膜硬さを高める必要があ
る。この場合、Cr3C2量は70重量%から90重量%が望ま
しい。この範囲であれば皮膜硬さとしてHv700以上を得
ることが可能である。
【0026】溶射膜には微細なボイドが多数存在するた
め、優れた耐食性と耐摩耗性を示すには皮膜厚さとして
は0.3mm以上を必要とする。一方、溶射膜は膜厚が増す
と皮膜内部の歪が増すため密着力が低下する。密着力の
点からは、この溶射膜は膜厚1.0mm以下とする必要があ
る。また、この皮膜の耐摩耗性を考慮すると1.0mmの膜
厚があれば十分な寿命が予想され、作業の軽減、省エネ
ルギの点でも1.0mm以下とすることが望ましい。以上の
点から膜厚を0.3mm以上1.0mm以下とすれば、ランナの土
砂摩耗とキャビテーション壊食に対して十分な寿命を保
証でき、且つ生産性、省エネルギの点で良好となる。
【0027】Cr3C2とNi,Cr,Coとを含む第1の皮膜の
熱膨張率は、素材である鉄、ステンレスに比較し小さ
い。したがって、溶接による熱影響を受けると熱歪が生
じ、皮膜の密着力が低減する可能性がある。しかし、溶
接部の先端から20mm以内、望ましくは50mm以内の領
域を未被覆部とすれば、溶接時の熱影響がさけられ、第
1の皮膜の良好な密着力は溶接による影響を避けること
ができる。
【0028】またこの際、第1の皮膜の膜厚よりも厚
い、望ましくは2倍以上の厚みを有する金属板を付着し
て第1の皮膜の未被覆部を形成する。溶射法、特に高速
フレーム溶射法は、吹き付けいるガス速度が著しく速い
ため、十分な強度有するマスキング材でなければ、破断
が生じる。また、十分な厚みを有しないと、マスキング
部と被覆部の皮膜が連続し、皮膜端部が剥離しやすい。
従って、皮膜の膜厚より2倍以上の厚みを有する金属板
をマスキング材といて用いれば、上記不都合を回避する
ことができる。
【0029】また、ランナを製作する場合、第1の皮膜
を被覆したクラウンと羽根、バンドと羽根を溶接し、水
力機械用ランナを形成し、次に350℃以上、650℃
以下、望ましくは400℃以上、650℃以下の温度で
少なくとも1時間以上30時間以下加熱する。
【0030】この温度の加熱によって、溶接部の残留歪
が解放されるため、ランナ稼働時の歪解放による変形、
溶接部の疲労強度の低下が防げ、信頼性が増す。さら
に、第1の皮膜内部において、Ni,Cr,Coの金属相とCr3C
2粒子との密着力が増すため、皮膜の硬さが増加し、土
砂摩耗とキャビテーション壊食に対する耐摩耗性が増
す。さらに、第1の皮膜と母材との界面において密着力
が増し、皮膜剥離が抑制される。したがって、何らかの
衝撃によって皮膜に亀裂が発生しても、皮膜の剥離、脱
落が抑制され信頼性が増す。
【0031】加熱温度は高いほど、溶接部の残留歪の解
放、皮膜内のN i,Cr,Coの金属相とCr3C2粒子との密着力
増加、皮膜と母材との界面における密着力増加は早く進
むが、前述のごとく皮膜と母材との熱膨張率差によって
熱歪が生じる。熱歪による皮膜への影響を考慮すると6
50℃以下が望ましい。また、溶接部の残留歪の解放速
度と皮膜の改良速度を考慮すると、350℃が限界であ
り、これ以下では時間がかかり工業的利用が困難とな
る。
【0032】実用性を考慮すれば400℃以上、650
℃以下の温度範囲が望ましい。350℃以上、650℃
以下の温度範囲で検討すれば、350℃では最低でも2
0時間を必要し、650℃であれば最低1時間で加熱の
効果が生じる。400℃以上、650℃以下の温度範囲
で検討すれば、30時間でその効果は収束する、したが
って、効果と省エネルギの点を考慮すれば1時間以上3
0時間以下の加熱時間が望ましい。また、ランナを製作
する場合、加熱後、クラウンと羽根、及びバンドと羽根
との接合部に、Ni,Cr,Coの内少なくとも1種類を含む金
属とWCを50重量%以上、90重量%以下、望ましくは
70重量%以上、90重量%以下を含む第2の皮膜を膜
厚0.1mm以上0.5mm以下被覆し、少なくとも一部で被覆済
の第1の皮膜に重ねる。
【0033】WCとNi,Cr,Coとを含む第2の皮膜は皮膜硬
さがHv1000以上であり、土砂摩耗に対し優れた耐食性と
耐摩耗性を有する。また、WCの量を増せば皮膜硬さは増
すが、皮膜の靭性が失われ脆性となり、皮膜破壊、剥離
等が生じやすく信頼性が低下する。WC量が50重量%から
90重量%範囲であれば、土砂摩耗に対して十分な皮膜硬
さを有し、且つ靭性を保つことができる。但し、土砂濃
度が高い場合はWC量を高め、皮膜硬さを高める必要があ
る。この場合、WC量が70重量%から90重量%が望まし
い。
【0034】クラウンと羽根、及びバンドと羽根との接
合部は、比較的流体速度が速く、かつ土砂の衝突頻度が
大きいため土砂摩耗とキャビテーション壊食が生じやす
い箇所であるが、第2の皮膜を被覆することによって、
上記損傷を防ぐことができる。
【0035】高速フレーム溶射では、炭化物粒子は溶解
や分解せず個体のまま機材に衝突堆積する。したがっ
て、密度が高く、粒子重量が大きいほど、母材への食い
込みが大きく良好な密着力が得られる。比重の大きいWC
粒子は母材への食い込みが大きく、前処理としてサンド
ブラスト処理を施さなくともグラインダ加工等による表
面粗さで十分な密着力が得られる。さらに、WCはCr3C2
よりも高硬度であるため、すでに被覆済の第1の皮膜に
も十分食い込み、良好な密着力が得られる。
【0036】WCとNi、Cr、Coからなる溶射膜、すなわち
第2の皮膜が優れた耐食性と耐摩耗性を示すには、皮膜
厚さとしては0.1mm以上を必要とする。一方、第2の皮
膜は膜厚が増すと皮膜内部の歪が増すため密着力が低下
する。密着力の点からは、この溶射膜は膜厚0.5mm以下
とする必要がある。また、この第2の皮膜の耐摩耗性を
考慮すると0.5mmの膜厚があれば十分な寿命が予想さ
れ、作業の軽減、省エネルギの点でも0.5mm以下とする
ことが望ましい。皮膜の破壊、剥離は皮膜端部から生じ
やすい。したがって、第2のを被覆済の第1の皮膜に一
部重ねるて被覆することによって、母材が継ぎ目なしに
被覆されるため、土砂摩耗とキャビテーション壊食に対
しての耐摩耗性、信頼性を増すことができる。
【0037】第2の皮膜の熱膨張率は、含まれる金属の
堆積比率が等しければ第1の皮膜よりも熱膨張率が小さ
いため、母材との熱膨張率差によって生じる熱歪が大き
い。また、溶接部は残留歪解放によって変形を生じる。
従って、溶接部に被覆した第2の皮膜には、熱歪と残留
歪解放によって生じる歪が加わる。両者の加わった歪に
よって溶射膜の破壊、隔離の可能性があるため、溶接部
への第2の皮膜の被覆は、350℃以上、650℃以下
の加熱の後に行わねばならない。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例に係る水
力機械用ランナ及びその製造方法を、図を用いて説明す
る。図1は、本発明の一実施例に係る水力機械用ランナ
を適用した水車の概略構造を示す。内部構造を明確にす
るため、ケーシングの一部を分割表示している。なお、
分割断面のハッチングについては、煩雑さをさけるため
図1に限り、部材毎のハッチング種類を変えていない。
【0039】図1に示すように、水車1は、水力機械用
ランナ2(以下、ランナと略す),軸3,ガイドベーン
4,スリーブ5,軸受6で構成されている。ガイドベー
ン4を介して流入する流水によってランナ2は回転し、
同時にランナ2と接続した軸3が回転する。軸3と図中
上方で接続する発電機(図示せず)が回転し、発電す
る。
【0040】ランナ2に流入する流水に多数の土砂が含
まれる場合、ランナ2、ガイドベーン4は、土砂粒子の
衝突によって土砂摩耗が発生する。この土砂摩耗を防ぐ
ため、ランナ2,ガイドベーン4には、土砂摩耗の発生
が予想される流水速度の速い箇所及び粒子衝突頻度の高
い箇所に、第1の皮膜、すなわちCr3C2-16重量%Ni-4重
量%Cr(以後、Cr3C2-20%NiCrと表記する)と、第2の皮
膜、すなわちWC-20重量%Ni-5重量%Cr(以後、WC-25%N
iCrと表記する)とが被覆されている。
【0041】特に、ランナ2はクラウン、バンド、羽根
における土砂摩耗の発生が予想される流水速度の速い箇
所及び粒子衝突頻度の高い箇所にCr3C2-20%NiCr皮膜を
0.3mm以上1.0mm以下の膜厚で被覆し、さらにクラウンと
羽根、及びバンドと羽根との接合部には、WC-25%NiCr
皮膜を0.1mm以上0.5mm以下の膜厚で被覆している。ま
た、Cr3C2-20%NiCr皮膜とWC-25%NiCr皮膜は一部で重
なり、その重なり部分では下層にCr3C2-20%NiCr皮膜、
上層にWC-25%NiCr皮膜の構造となっている。
【0042】図2は、図1のランナ全体の概略斜視を示
し、図3は、図2におけるI-I断面をA方向から見た断
面を含む斜視を示す。図2,図3に示すように、ランナ
2は、クラウン21,バンド22,羽根23で構成されてお
り、クラウン21と羽根23、バンド22と羽根23は溶接によ
って接合され、ランナ2を形成している。
【0043】図4は、クラウン21と羽根23、及びバンド
22と羽根23との溶接部の拡大断面を示す。なお、図4で
は、クラウン21、バンド22、羽根23の断面ハッチングを
区別してはいない。図4において、7はCr3C2-20%NiCr
皮膜(第1の皮膜)であり、8はWC-25%NiCr皮膜(第
2の皮膜)である。両皮膜は一部で重なり、その範囲は
約10mmから50mmである。
【0044】本実施例では、Cr3C2-25%NiCr皮膜7,WC-
25%NiCr皮膜8は高速フレーム溶射法で形成した。ま
た、Cr3C2-25%NiCr皮膜とWC-25%NiCr皮膜についてCr3
C2およびWCの含有率を検討した結果、50重量%から90重
量%範囲が土砂摩耗とキャビテーション壊食に対して良
好であることが判明した。但し、黄河や揚子江、あるい
は大雨後の河川水といった時に2kg/m3を越える土砂濃度
の場合は、Cr3C2とWCの量を高め、皮膜硬さを高める必
要がある。この場合、Cr3C2とWCの量が70重量%から90
重量%が望ましい。また、皮膜の金属成分については、
耐食性,皮膜硬さ、靭性の点からNi,Cr,Coが適してい
る。これらの金属からの選定、若しくは組み合わせであ
れば耐食性,硬さ、靭性が良好である。
【0045】Cr3C2-25%NiCr皮膜7は皮膜硬さがHv700
以上、WC-25%NiCr皮膜8は皮膜硬さがHv1000以上であ
り且つ優れた耐食性を有する。土砂などを構成する主な
物質は長石と石英であり、その硬さは、長石がHv600〜7
00、石英がHv900〜Hv1000である。土砂摩耗は衝突粒子
の硬さを超えると急激に耐摩耗性が向上するため、皮膜
硬さがHv700、若しくはHv1000以上である皮膜を被覆す
ることによって、土砂摩耗とキャビテーション壊食に対
して十分な耐摩耗性を発揮することが出来る。
【0046】Cr3C2-20%NiCr皮膜7,WC-25%NiCr皮膜
8は、Cr3C2とWCの量によって皮膜硬さが変化する。Cr3
C2,WC量を増せば皮膜硬さは増すが、皮膜の靭性が失わ
れ脆性となり、皮膜破壊、剥離等が生じやすく信頼性が
低下する。Cr3C2,WC量が50重量%から90重量%範囲で
あれば、土砂摩耗に対して十分な皮膜硬さを有し、且つ
靭性を保つことができる。
【0047】また、この範囲であれば土砂摩耗に対し優
れた耐食性と耐摩耗性を有する。但し、黄河や揚子江、
あるいは大雨後の河川水といった土砂濃度が2kg/m3
越えるような高い場合はCr3C2とWCの量を高め、皮膜硬
さを高める必要がある。この場合、Cr3C2とWCの量が70
重量%から90重量%が望ましく、この範囲であれば皮膜
硬さとして、各々Hv700以上とHv1000以上を得ることが
可能である。
【0048】溶射膜には微細なボイドが多数存在するた
め、Cr3C2-20%NiCr皮膜7が優れた耐食性と耐摩耗性を
示すには皮膜厚さとしては0.3mm以上を必要とする。一
方、溶射膜は膜厚が増すと皮膜内部の歪が増すため密着
力が低下する。密着力の点からは、Cr3C2-20%NiCr皮膜
7は膜厚1.0mm以下とする必要がある。また、Cr3C2-20
%NiCr皮膜7の耐摩耗性を考慮すると1.0mmの膜厚があ
れば十分な寿命が予想され、作業の軽減、省エネルギの
点でも1.0mm以下とすることが望ましい。
【0049】同様にWC-25%NiCr皮膜8についても適正
膜厚範囲がある。一般にWCを含む皮膜は、Cr3C2を含む
皮膜に比較して、より硬く、且つ形成時の皮膜内歪が大
きい。しかしながら、溶射膜であるため、Cr3C2-20%Ni
Cr皮膜と同様に膜内には微細なボイドが多数存在する。
従って、優れた耐食性と耐摩耗性を示すには皮膜厚さと
しては0.1mm以上を必要とする。一方、先に示したよう
に皮膜内部の歪の点から膜厚0.5mm以下とする必要があ
る。また、この皮膜の耐摩耗性を考慮すると0.5mmの膜
厚があれば十分な寿命が予想され、作業の軽減、省エネ
ルギの点でも0.5mm以下とすることが望ましい。
【0050】溶射膜の破壊、剥離は皮膜端部から生じや
すい。したがって、WC-25%NiCr皮膜8を被覆済のCr3C2
-20%NiCr皮膜7に一部重ねるて被覆することによっ
て、母材が継ぎ目なしに被覆されるため、土砂摩耗とキ
ャビテーション壊食に対しての耐摩耗性、信頼性を増す
ことができる。
【0051】溶射膜内には微細なボイドが多数存在する
ため、信頼性の点から上記Cr3C2-20%NiCr皮膜7とWC-2
5%NiCr皮膜8の重ね量は少なくとも10mmを必要とす
る。重ね量が50mm以上となるとその効果は収束するた
め、効率の点から10mmから50mmの範囲が適正である。
【0052】高速フレーム溶射では、炭化物粒子は溶解
や分解せず個体のまま機材に衝突堆積する。したがっ
て、密度が高く、粒子重量が大きいほど、食い込みが大
きく良好な密着力が得られる。比重の大きいWC粒子は食
い込みが大きく、前処理としてサンドブラスト処理を施
さなくともグラインダ加工等による表面粗さで十分な密
着力が得られる。さらに、WCはCr3C2よりも高硬度であ
るため、WC-25%NiCr皮膜8を上層にすることによって
被覆済のCr3C2-20%NiCr皮膜7にも十分食い込み、良好
な密着力を得ることができる。
【0053】なお、土砂濃度が低い条件で使用する場
合、必ずしも上層にWC-25%NiCr皮膜を被覆する必要は
ない。Cr3C2-NiCr皮膜であっても使用可能であり、この
場合Cr3C2の比率を高めることが望ましい。また、この
場合はCr3C2-20%NiCr皮膜の被覆していない箇所につい
ては、被覆済みCr3C2-20%NiCr皮膜に影響せぬように保
護をして、サンドブラスト処理を施すことが望ましい。
【0054】次に、本発明の一実施例に係る水力機械用
ランナも製造方法を、図5から図10を用いて説明す
る。図5は、本発明の一実施例である水車ランナの製造
方法の工程を示す。まず、クラウン21,バンド22,羽根
23を個々に製作する。次に、個々に製作されたクラウン
21,バンド22,羽根23に、高速フレーム溶射法によって
Cr3C2-20%NiCr皮膜7を被覆する。なお、高速フレーム
溶射は各種ある溶射法に中で、緻密な皮膜が形成でき、
且つ溶射ガン、設備が比較的小さく、三次元形状または
接合部分のような狭スペースを有する部材に対して均一
が緻密な皮膜が形成できるため、ランナ2のような三次
元形状部材への被覆には最も適した溶射法である。
【0055】Cr3C2-25%NiCr皮膜7を被覆する際、溶接
部となる箇所はCr3C2-20%NiCr皮膜7の膜厚よりも厚
い、望ましくは2倍以上の厚みを有する金属板を張り付
け、Cr3C2-20%NiCr皮膜7の被覆を防ぐ。皮膜の膜厚よ
り2倍以上の厚みを有する金属板であれば、高速フレー
ム溶射法における高速ガスに対しても十分な強度、耐熱
性を有するため、破断飛散が防げる。また皮膜の膜厚よ
り2倍以上の厚みであれば、マスキング部と被覆部の皮
膜が連続することはなく、良好な皮膜端部が形成でき
る。
【0056】次に、クラウン21と羽根23、バンド22と羽
根23を溶接し、ランナ2を形成する。溶接後、溶接部9
をグラインダによって適切なR形状に加工し、稼働時の
応力集中を防ぐ。次に、ランナ2を炉中に設置し、1時
間以上、30時間以下の間、350℃以上、650℃以
下、望ましくは400℃以上、650℃以下の温度範囲
で保持するSR処理を施す。
【0057】本実施例では、550℃で約15時間保持
し、その後は炉中で冷却した。なお、15hは550℃におけ
る保持時間である。550℃加熱では、約5h以上の保持で
皮膜硬さが増し、約10h以上の保持で密着力の著しい改
善が図られる。ランナ2は大型部品であるため急激な昇
温、冷却は困難であり、また皮膜の熱歪の点からも適切
でない。ランナ2は炉中で15h、550℃に保持し、その後
炉中で緩やかに冷却したものである。十分な冷却後、R
形状に加工した溶接部の酸化膜を再びグラインダで削除
し、その上にWC-25%NiCr皮膜8を被覆する。
【0058】ここで、図6から図10を用いて上記工程
の詳細を説明する。図6は、高速フレーム溶射法によっ
てCr3C2-20%NiCr皮膜7を被覆した羽根23の外観斜視を
示す。羽根23はクラウン21,バンド22と溶接する箇所を
のぞき、全面をCr3C2-20%NiCr皮膜7によって被覆す
る。
【0059】図6に示すように、23aは断面ではなく、C
r3C2-20%NiCr皮膜7の被覆部を示す。ハッチングを施
していない部分は、溶接する端面から少なくとも40mm、
多い場合70mmの範囲となる未被覆部23bである。この未
被覆部23bは、溶接後の状態ではCr3C2-20%NiCr皮膜7
の端部と溶接部との間隔は20mmから50mmとなる(詳細は
後述)。特に図示はしないがクラウン21,バンド22のCr
3C2-20%NiCr皮膜7の被覆も同様である。
【0060】Cr3C2-20%NiCr皮膜7の熱膨張率は、素材
である鉄、ステンレスに比較し小さい。従って、溶接に
よる熱影響を受けると熱歪が生じ、皮膜の密着力が低減
する可能性がある。しかし、溶接部となる領域から20mm
以内、望ましくは50mm以内の領域を未被覆部とすれば、
溶接時の熱影響がさけられ、Cr3C2-20%NiCr皮膜7の良
好な密着力は溶接によっても影響を避けることができ
る。その後の溶接、R加工の詳細を、バンド22と羽根23
との溶接を例に取り説明する。
【0061】図7は、溶接前のバンド22と羽根23の溶接
部断面を示す。クラウン21と羽根23、バンド22と羽根23
の溶接は、完全溶け込み溶接であり、図7に示すような
形状に加工されている。
【0062】図8は溶接後の断面形状を示す。ただし、
図8では溶接部9は多層に積層された溶接線を表記して
おり、ハッチングを施していない。溶接する端面から40
mmから70mmの範囲のCr3C2-25%NiCr皮膜7を被覆しない
未被覆部23bは、溶接後の状態ではCr3C2-20%NiCr皮膜
7の端部と溶接部9との間隔は20mmから50mとなる。
【0063】図9は、溶接部9をグラインダによって適
切なR形状に加工した断面を示す。
【0064】この形状に加工した後、ランナを炉中に設
置し、1時間以上、30時間以下の間、350℃以上、
650℃以下、望ましくは400℃以上、650℃以下
の温度で保持するSR処理を施す。
【0065】この温度の加熱によって、溶接部の残留歪
が解放されるため、使用時の歪解放による変形、溶接部
の疲労強度の低下が防げ、信頼性が増す。さらに、Cr3C
2-20%NiCr皮膜7において、Ni、CrとCr3C2粒子との密
着力が増すため、皮膜の硬さが増加し、土砂摩耗とキャ
ビテーション壊食に対する耐摩耗性が増す。
【0066】さらに、Cr3C2-20%NiCr皮膜7と母材との
界面において密着力が増し、皮膜剥離が抑制される。し
たがって、何らかの衝撃によって皮膜に亀裂が発生して
も、皮膜の剥離、脱落が抑制され信頼性が増す。
【0067】加熱温度は高いほど、溶接部の残留歪の解
放、皮膜内のNi、Crの金属相とCr3C2粒子との密着力増
加、皮膜と母材との界面における密着力増加は早く進む
が、Cr3C2-20%NiCr皮膜7と母材との熱膨張率差によっ
て熱歪が生じる。熱歪による皮膜への影響を考慮すると
650℃以下が望ましい。
【0068】また、溶接部の残留歪の解放速度と皮膜の
改良速度を考慮すると、350℃が限界であり、これ以
下では時間がかかり工業的利用が困難となる。実用性を
考慮すれば400℃以上、650℃以下の温度範囲が望
ましい。350℃以上、650℃以下の温度範囲で検討
すれば、350℃では最低でも20時間を必要し、65
0℃であれば最低1時間で加熱の効果が生じる。400
℃以上、650℃以下の温度範囲で検討すれば、30時
間でその効果は収束する、したがって、効果と省エネル
ギの点を考慮すれば1時間以上30時間以下の加熱時間
が望ましい。
【0069】図10は、R形状に加工した溶接部にWC-25
%NiCr皮膜8を被覆した後の断面形状を示す。WC-25%N
iCr皮膜8は一部でCr3C2-20%NiCr皮膜7に重なる。一
部重ねるて被覆することによって、母材が継ぎ目なしに
被覆されるため、土砂摩耗とキャビテーション壊食に対
しての耐摩耗性、信頼性が増す。
【0070】WC-25%NiCr皮膜8の被覆をSR処理後に行
うのは以下の理由による。WC-25%NiCr皮膜8はCr3C2-2
0%NiCr皮膜7より熱膨張率が小さいため、SR処理で
はCr3C2-20%NiCr皮膜7以上の熱歪みが生じる。さら
に、溶接部では残留歪が解放するため、一層の歪みが発
生するため、Cr3C2-20%NiCr皮膜7が剥離、亀裂発生を
生じない温度範囲であっても、WC-25%NiCr皮膜8に亀
裂の発生する可能性が高い。
【0071】従って、溶接部へ被覆するWC-25%NiCr皮
膜8は、SR処理後に行わなければならない。また、WC
-25%NiCr皮膜は、WC粒子の密度が高いため密着力形が
高く、特に被覆済のCr3C2-20%NiCr皮膜7への影響のた
め全面にサンドブラスト処理を施せない、本実施例の溶
接部被覆に適している。
【0072】なお、上記実施例では溶射皮膜として、Cr
3C2-20%NiCr皮膜7とWC-25%NiCr皮膜8を用いたが、
本発明は前述のごとくこの組成に限定されるものではな
い。例えば、Cr3C2-15%NiCr皮膜、Cr3C2-25%NiCr皮
膜、Cr3C2-15%CoCr皮膜、Cr3C2-20%CoCr皮膜、Cr3C2-
25%CoCr皮膜、WC-15%NiCr皮膜、WC-20%NiCr皮膜、WC
-15%Co皮膜、WC-20%Co皮膜、WC-25%Co皮膜、WC-15%
CoCr皮膜、WC-20%CoCr皮膜、WC-25%CoCr皮膜は良好な
皮膜強度、密着力を有し、本発明に適した皮膜である。
【0073】また上記実施例では、個々に製作されたク
ラウン21,バンド22,羽根23にCr3C2-20%NiCr皮膜7を
被覆する際、高速フレーム溶射法を用いた。しかし、個
別部品に対する溶射する場合、狭スペースではないため
高速フレーム溶射法に限定する必要はなく、爆発溶射
法、部材の大きさによっては減圧溶射法も適用可能であ
る。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、流体内に土砂などを含
む条件下でも使用可能な、耐摩耗性と耐食性に優れたラ
ンナを実現でき、且つランナを、安価に、しかも効率よ
く製造することができる。また、流体内に土砂などを含
む条件下でも使用可能な、耐摩耗性と耐食性に優れた信
頼性高い水車を実現でき、且つ、安価に、しかも効率よ
く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナを適
用した水車の概略構造図である。
【図2】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナの斜
視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナの一
部断面を含む斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナの拡
大断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナの製
造手順を示す工程図である。
【図6】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナの羽
根の斜視図である。
【図7】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナの羽
根,バンド溶接部の一部断面を含む斜視図である。
【図8】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナの羽
根,バンド溶接部のR加工前の断面図である。
【図9】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナの羽
根,バンド溶接部のR加工後の断面図である。
【図10】本発明の一実施例に係る水力機械用ランナの
羽根,バンド溶接部の皮膜被覆後の断面図である。
【符号の説明】
1…水車、2…ランナ、21…クラウン、22…バン
ド、23…羽根、23a…Cr3C2-20%NiCr皮膜の被覆
部、23b…Cr3C2-20%NiCr皮膜の未被覆部、3…軸、
4…ランナベーン、5…スリーブ、6…軸受、7…Cr3C
2-20%NiCr皮膜(第1の皮膜)、8…WC-25%NiCr皮膜
(第2の)、9…羽根とバンドの溶接部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷 清人 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水車ランナにおいて、表面の少なくとも一
    部に、Ni,Cr,Coの内の少なくとも1種類を含む金属とク
    ロム炭化物とを含む第1の皮膜と、Ni,Cr,Coの内少なく
    とも1種類を含む金属とタングステン炭化物とを含む第
    2の皮膜が被覆されていることを特徴とする水車ラン
    ナ。
  2. 【請求項2】水車ランナにおいて、クラウン、バンド、
    及びベーンの表面の少なくとも一部に、Ni,Cr,Coの内の
    少なくとも1種類を含む金属とクロム炭化物とを含む第
    1の皮膜が被覆され、クラウンとベーンとの接合部、及
    びバンドとベーンとの接合部の少なくとも一部にNi,Cr,
    Coの内少なくとも1種類を含む金属とタングステン炭化
    物とを含む第2の皮膜が被覆されていることを特徴とす
    る水車ランナ。
  3. 【請求項3】水車ランナにおいて、表面の少なくとも一
    部に、Ni,Cr,Coの内の少なくとも1種類を含む金属とク
    ロム炭化物とを含むビッカース硬さ700以上の第1の皮
    膜と、Ni,Cr,Coの内少なくとも1種類を含む金属とタン
    グステン炭化物とを含み、該第1の皮膜より硬いビッカ
    ース硬さ1000以上の第2の皮膜が被覆されていることを
    特徴とする水車ランナ。
  4. 【請求項4】水車ランナにおいて、クラウン、バンド、
    及びベーンの表面の少なくとも一部に、Ni,Cr,Coの内の
    少なくとも1種類を含む金属とクロム炭化物とを含みビ
    ッカース硬さ700以上の第1の皮膜が被覆され、クラウ
    ンとベーンとの接合部、及びバンドとベーンとの接合部
    の少なくとも一部にNi,Cr,Coの内少なくとも1種類を含
    む金属とタングステン炭化物とを含み、該第1の皮膜よ
    り硬いビッカース硬さ1000以上の第2の皮膜が被覆され
    ていることを特徴とする水車ランナ。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1項記載の水車
    ランナは、前記第1の皮膜と、前記第2の皮膜とが、少
    なくとも一部で重なることを特徴とする水車ランナ。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれか1項記載の水車
    ランナは、前記第1の皮膜と、前記第2の皮膜とが重な
    りあう部分では、前記水車ランナに接する皮膜が前記第
    1の皮膜であることを特徴とする水車ランナ。
  7. 【請求項7】流路を流れる流体を動作流体として回転す
    るランナ、該ランナ周囲に配置されたガイドベーン、該
    ランナと勘合する主軸、該主軸を支持する軸受け、該主
    軸と接続回転する発電器とを備えた水車において、Ni,C
    r,Coの内の少なくとも1種類を含む金属とクロム炭化物
    とを含む第1の皮膜と、Ni,Cr,Coの内少なくとも1種類
    を含む金属とタングステン炭化物とを含む第2の皮膜と
    を、表面の少なくとも一部に被覆したランナ、ガイドベ
    ーンを用いていることを特徴とする水車。
  8. 【請求項8】固体粒子を2kg/m3以上含む流体を動作流体
    として回転するランナ、該ランナ周囲に配置されたガイ
    ドベーン、該ランナと勘合する主軸、該主軸を支持する
    軸受け、該主軸と接続回転する発電器とを備えた水車に
    おいて、Ni,Cr,Coの内の少なくとも1種類を含む金属と
    クロム炭化物とを含む第1の皮膜と、Ni,Cr,Coの内少な
    くとも1種類を含む金属とタングステン炭化物とを含む
    第2の皮膜とを、表面の少なくとも一部に被覆したラン
    ナ、ガイドベーンを用いていることを特徴とする水車。
  9. 【請求項9】水車の製造方法において、ランナの表面の
    少なくとも一部に、Ni,Cr,Coの内の少なくとも1種類を
    含む金属とクロム炭化物とを含む第1の皮膜を被覆し、
    次にNi,Cr,Coの内少なくとも1種類を含む金属とタング
    ステン炭化物とを含む第2の皮膜を被覆することを特徴
    とする水車の製造方法。
  10. 【請求項10】水車の製造方法において、ランナを形成
    していない個々のクラウン、バンド、及びベーンの表面
    の少なくとも一部に、Ni,Cr,Coの内の少なくとも1種類
    を含む金属とクロム炭化物とを含む第1の皮膜を被覆
    し、次にクラウンとバンドの間にベーンを接合してラン
    ナを形成し、次に350℃以上、650℃以下、望まし
    くは400℃以上、650℃以下の温度で1時間以上3
    0時間以下加熱し、次にクラウンとベーンとの接合部、
    及びバンドとベーンとの接合部の少なくとも一部にNi,C
    r,Coの内少なくとも1種類を含む金属とタングステン炭
    化物とを含む第2の皮膜を被覆することを特徴とする水
    車の製造方法。
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