JPH0790350A - 真空精錬用取鍋蓋 - Google Patents

真空精錬用取鍋蓋

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JPH0790350A
JPH0790350A JP24974793A JP24974793A JPH0790350A JP H0790350 A JPH0790350 A JP H0790350A JP 24974793 A JP24974793 A JP 24974793A JP 24974793 A JP24974793 A JP 24974793A JP H0790350 A JPH0790350 A JP H0790350A
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ladle
metal
vacuum
vacuum refining
lid
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Tsugio Chikama
次雄 近間
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 真空精錬される金属溶湯溶鋼が保持される真
空精錬取鍋上に載置される水冷化構造の真空精錬用取鍋
蓋を、スプラッシュが付着し難く且つ大幅に耐用寿命を
延長させる構造として、長期に亘る安定操業を可能とす
る。 【構成】 真空容器内の所定位置に設置され、真空精錬
される金属溶湯が保持される真空精錬取鍋上に載置され
る真空精錬用取鍋蓋4において、当該取鍋蓋4は主とし
て冷却水を通す金属製管4aから成る水冷化構造に構成さ
れており、少なくとも真空精錬取鍋上に載置される部分
から該金属製管4aがほぼ水平に並設される部分までにお
ける該金属製管4a同士間の内面側が溶射又は肉盛り溶接
などの手段で金属4bで被覆されてほぼ平滑な曲面に形成
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼やニッケ
ル合金などの溶銑や溶鋼や合金といった金属溶湯を脱炭
したり真空脱ガスしたりする炉外精錬法を実施するのに
好適な炉外精錬装置(炉)内で用いられる真空精錬用取
鍋蓋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】種々の鋼材や合金材の品質の改善と共に
生産性の向上などのために、転炉や電気炉等の製鋼炉
(1次)に対応して、前記金属溶湯の脱炭や脱ガス,撹
拌,加熱,増量,成分調整等々の機能を適宜備えた炉外
精錬装置(炉)(2次)を用いて各種の2次炉外精錬法
が広く行われている。
【0003】この様々な2次炉外精錬法のうちで、真空
精錬取鍋(以下、単に取鍋と言うことがある)を使用
し、取鍋内に保持されている金属溶湯に対して脱炭,脱
ガス,撹拌,成分調整などの機能を果たす方法も種々行
われており、例えばVOD法,B−V法(LD法を含
む),LD−VAC法,Elo−VAC法が挙げられ
る。これらの2次炉外精錬法は簡単に、真空脱ガス装置
(真空精錬装置)を用いて行われる真空脱ガス精錬法
(真空精錬法)とでも呼称されるものであり、この装置
の中では、概略的に、真空容器内の所定位置に金属溶湯
が保持されている取鍋を設置した後に、その真空容器内
を減圧して取鍋内に保持されている金属溶湯中にアルゴ
ンガスの如き不活性ガスを取鍋底部から吹き込むことに
より金属溶湯を撹拌しながら酸素ガスを上吹きし脱炭反
応を優先的に進行させて極低炭素の金属溶湯を製造する
と共に、当該金属溶湯に対して脱ガス,撹拌,増量,成
分調整等々を効果的に進行させることができるのである
(特公昭60-13406号公報,特公昭62-32248号公報,特公
平3-75813号公報,特開昭59-185720号公報,及び特願平
4-132390号参照)。
【0004】このようにして減圧下で金属溶湯を精錬す
る真空精錬装置の真空容器内においては、以下のような
理由により、この金属溶湯を保持している取鍋上に載置
する取鍋蓋は欠かせないものである。 取鍋内の金属溶湯の降温抑制,好適な金属溶湯の温度
及び品質管理化,省エネルギー化、 取鍋内の金属溶湯から真空容器の内壁やシール部への
輻射熱の遮断,真空容器系の設備寿命延長化及び軽保全
化,真空容器の高気密化及び所要動力の軽減化、 真空容器内の圧力を減圧する際に生じる金属溶湯の突
沸による取鍋外(即ち真空容器内)への金属溶湯の流出
防止、 不活性ガスの取鍋底吹きによる金属溶湯の撹拌と酸素
ガスの酸素上吹きランスからの吹錬とによって生ずるス
プラッシュの取鍋自体の上縁や外皮、更に取鍋外の真空
容器内壁部への飛散・付着の防止、 前記及びによって生じる取鍋自体及び真空容器内
の清掃や手直し作業負荷の軽減化、 前記及びによって生じる真空精錬された金属溶湯
の製造歩留低下の防止。
【0005】従来、このような減圧下で金属溶湯を精錬
する真空精錬装置において、この装置の真空容器内の取
鍋上に載置される取鍋蓋としては、例えば特開昭56-146
753号公報,特開平2-205619号公報に開示されているよ
うに、耐火物構造のものが使用されていたのである。こ
の取鍋蓋は、例えば1700℃以上といった非常に高温で多
量の金属溶湯を保持している取鍋の直上に載置されるの
で、操業現場の安全性の確保や操業性・作業性の向上の
ために、通常無冷却のものが使用されており、以下のよ
うな問題点を抱えていたのである。 (a)苛酷な使用条件下で、耐火物構造体が変形し易く、
この構造体から耐火物が破損し脱落し易い。 (b)前記及びの理由によって、金属溶湯の流出分や
スプラッシュが取鍋蓋に付着し肥大化して、取鍋上への
載置不能や繰り返し使用不能に陥る。 (c)この耐火物構造体に予め設けられている酸素ガスの
酸素上吹きランスの昇降用開口部,合金鉄等投入用ホッ
パー・ダクトの挿入口,ガス抜き口にスプラッシュが付
着し肥大化して、これらの各開口部を閉塞し操業困難或
いは操業不能に陥る。 (d)前記(a)〜(c)の理由によって、頻繁に点検,手直
し修理せねばならない。 (e)前記(a)及び(c)の理由によって、取鍋蓋の耐用寿
命が短縮され(例えば、100ヒートの耐用寿命)、非常
にコストアップを招き不経済である。
【0006】そこで近年、このような減圧下で金属溶湯
を精錬する真空精錬装置において、真空精錬取鍋上に載
置される取鍋蓋は、前記(a)〜(e)に記載した種々の問
題点を抱えている耐火物構造(体)のものから、前記
(c)に記載するようにこの取鍋蓋に予め設けられている
各開口部を除いて、この取鍋蓋中に冷却水を通す金属製
管を同心円状又は螺旋状に密着状態に巻いて、即ちハッ
ト(Hat)形状に巻いて形成した水冷化構造のものへ
と移行されてきているのである。
【0007】従って、本発明者は前述の如き水冷化構造
の取鍋蓋を試作し、種々の実験を行った結果、次のよう
な知見を得たのである。この水冷化構造の取鍋蓋におい
ては、取鍋底部からの不活性ガスの底吹きガス撹拌と酸
素上吹きランスからの酸素ガスの吹錬とによって生ずる
スプラッシュがステンレス鋼やその他鋼種の金属製管表
面に飛散付着すると、この金属製管がほぼ水平に並設さ
れている部分(頂部部分)では、付着したスプラッシュ
は通水により金属製管が水冷されているために急冷され
てその容積が収縮するので間隙が生じて速やかに取鍋蓋
の内面から落下するのであるが、取鍋上に載置される部
分から金属製管がほぼ水平に並設される部分までの間
(下端から頂部部分までの間)においては、付着したス
プラッシュは同様に急冷されてその容積が収縮して付着
部位に間隙を生じても金属製管と金属製管との間の内面
側の空間に入り込んでいるために剥離できずに徐々に肥
大化し下方に垂れ下がって、取鍋蓋を取鍋上に載置でき
なくしたり、取鍋の上部と連結してしまい取鍋蓋を取鍋
上から取り外すことができなくなったり、また取鍋蓋を
取鍋上から取り外す際に取鍋自体の上端近傍の耐火物を
破損させたりする現象を発生させる問題点が生じた。
【0008】このような問題点を解決するために本発明
者は、スプラッシュが入り込む金属製管と金属製管との
間の内面側の空間を無くすように図5に示す如く取鍋蓋
を構成する金属製管の取鍋蓋内面側の先端部間に鋼板を
溶接して取鍋蓋の内面側を平滑化させた処、金属製管同
士の接触部と鋼板との間の空気が断熱層の役目をなすた
め鋼板の冷却が不足し、金属溶湯の突沸によって溶接さ
れた鋼板表面が溶損し、この溶損部を起点にスプラッシ
ュが付着して肥大化し、操業困難となった。
【0009】そこで本発明者は前記断熱層を無くすため
に図6に示す如く金属製管として鋼製円管に代えて鋼製
角管を使用して取鍋蓋を製作した処、短期間では問題は
なかったが、鋼製角管の特にコーナー部では鋼管内の冷
却水の流速が遅くなるため熱膨張によって過大な引張り
応力が発生し、数ヵ月でコーナー部にヒートクラック
(無数の縦シワ状のヘヤークラック)が発生し、水漏れ
が多発して実用に供し得なくなった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、真空精錬取
鍋上に載置される取鍋蓋本来の前記〜に記載し説明
した機能(役割,目的)を達成し、且つ従来の耐火物構
造のもの自体が有していた問題点を解決するために水冷
化構造のものを採択するのではあるが、前述の如くこの
水冷化構造のものの使用においても生じる問題点を解消
するために、この取鍋上に載置される取鍋蓋部分から金
属製管(例えば鋼管)がほぼ水平に並設される部分まで
の間において、この金属製管と金属製管との間の内面側
の空間に飛散してくるスプラッシュが入り込んで剥離で
きずに肥大化することがない、つまり飛散付着したスプ
ラッシュが取鍋蓋の内面から速やかに自然落下し得ると
共に、水漏れの原因となるヒートクラックも発生しない
水冷化構造の取鍋蓋を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題
を解決すべく鋭意研究の結果、真空精錬される金属溶湯
の保持される真空精錬取鍋上に載置される取鍋蓋をその
中に冷却水を通す金属製管で形成した水冷化構造のもの
に構成し、少なくともその取鍋上に載置される部分から
金属製管がほぼ水平に並設される部分までの金属製管同
士間の内面側がほぼ平滑な曲面に形成されるように金属
によって被覆しておけば、飛散するスプラッシュが付着
して剥離せずにどうしても肥大化し易い取鍋の内面の部
分における金属製管同士の間の内面側の空間が被覆され
た金属によって埋められ平滑化されてスプラッシュが入
り込めなくなっており、またこのような内面側の空間を
埋めて被覆されている素材が熱伝導の良い金属であるた
めにこの表面に付着したスプラッシュは付着すると直ち
に急冷されてその体積が収縮し剥離して自然落下してし
まい、しかもこの金属は金属製管同士の間の内面側の空
間を埋めて被覆されているので接触面積も広くこの内面
側から容易に剥離して脱落しないことを究明して本発明
を完成したのである。
【0012】以下、図面により本発明に係る真空精錬用
取鍋蓋について詳細に説明する。図1は真空精錬取鍋上
に本発明に係る真空精錬用取鍋蓋を載置して真空精錬を
行っている金属溶湯の真空精錬装置全体の構成を簡略化
した模式図、図2は本発明に係る真空精錬用取鍋蓋の1
実施例の縦断面図、図3は同平面図、図4は図2におけ
るA部拡大図である。
【0013】本発明に関係する真空精錬装置としては様
々なものがあるが、大きく分けて真空容器(系)とこの
容器内を減圧して真空状態にする減圧装置(図示しな
い)とから成り、前述の如くその他に種々の機能を有す
る付帯装置を備えている。図面中、1は真空容器であ
り、固設された容器本体1aとこの本体1a上に密閉状態に
載置自在な蓋体1bとから成っており、容器本体1a上に蓋
体1bが載置して図示していない減圧装置を作動させて真
空容器1内を減圧していくと、この真空容器1の内部を
所定の真空状態に維持できる構造に構成されているので
ある。2は、例えばステンレス鋼やニッケル合金などの
溶銑や溶鋼や合金といった真空精錬される金属溶湯6が
保持されており、真空容器1外から運搬されてきて、固
設された容器本体1a内の所定位置に設置されて真空精錬
に使用される真空精錬取鍋である。この取鍋2の底部に
は、真空容器1外の不活性ガス供給源(図示しない)か
らアルゴンガスの如き不活性ガスの供給を受けて、かか
る不活性ガスを取鍋2内に保持されている金属溶湯6中
に吹き込んで撹拌するための底吹きガスノズル3が取り
付けられている。5は、蓋体1b及び後記説明する取鍋蓋
4を貫通して、この蓋体1b外まで昇降させ得る昇降機能
(図示しない)を有する酸素ガスの酸素上吹きランスで
ある。7は、同様に昇降機能(図示しない)を有する合
金鉄等を金属溶湯6に投入する合金鉄等投入用ホッパー
・ダクトである。Sはスプラッシュである。
【0014】4は、真空容器1内の所定位置に設置され
る真空精錬取鍋2上に載置自在な本発明に係る真空精錬
用取鍋蓋であって、酸素上吹きランス5や合金鉄等投入
用ホッパー・ダクト7やガス抜き口(図示しない)等の
各開口部分を除いて冷却水を通す金属製管4aを同心円状
又は螺旋状で密着状態に巻いてハット(Hat)形状に
形成された水冷化構造に構成されていて、少なくとも取
鍋2上に載置される部分から金属製管4aがほぼ水平に並
設される部分までの内面側がほぼ平滑な曲面を形成する
ように金属4bによって被覆されているのである。
【0015】
【作用】以上に説明したように構成される本発明に係る
真空精錬用取鍋蓋4を使用して取鍋2内に保持されてい
る金属溶湯6を以下のように好適に真空精錬することが
できる。先ず、金属溶湯6の保持されている取鍋2を真
空容器1内に持ち込み容器本体1a内の所定位置に設置し
た後に、この取鍋2上に本発明に係る真空精錬用取鍋蓋
4を載置し、更に真空容器1の容器本体1a上に密閉状態
に蓋体1bを載置する。そこで、真空精錬を開始するので
あるが、真空精錬中、必要に応じて昇降装置(図示しな
い)を作動して合金鉄等投入用ホッパー・ダクト7を所
定位置まで下降させて、この合金鉄等投入用ホッパー・
ダクト7を介して増量用や成分調整用の合金等を金属溶
湯6中に投入し添加することができる。そして、本発明
に係る真空精錬用取鍋蓋4を主として構成している金属
製管4a中に冷却水を通水しながら、図示していない減圧
装置を作動して真空容器1内を減圧していき、所定の真
空雰囲気状態とする。しかる後に、取鍋2の底部に取り
付けられている底吹きガスノズル3からアルゴンガスの
如き不活性ガスを取鍋2内の金属溶湯6中に吹き込むと
共に、真空容器1の蓋体1bと真空精錬用取鍋蓋4とを貫
通している酸素上吹きランス5から昇降装置(図示しな
い)を作動させて所定位置まで下降させて、このランス
5から金属溶湯6の上面に向けて酸素ガスを吹き付けて
所定の極低炭素含有量レベルに至るまで脱炭し真空精錬
するのである。
【0016】この際、取鍋2内の金属溶湯6はこの取鍋
2の底部から吹き込まれるアルゴンガスの如き不活性ガ
スにより撹拌され、且つ酸素上吹きランス5から酸素ガ
スが金属溶湯6の上面に吹き付けられるためにスプラッ
シュSが発生し、その一部が取鍋2上に載置される本発
明に係る真空精錬用取鍋蓋4の内面側に付着するのであ
る。しかしながら、本発明に係る真空精錬用取鍋蓋4を
主として構成する金属製管4aは、一般に熱伝導の良好な
金属製であり、より好ましくは入手し易く安価で加工性
や溶接性なども非常に良好なステンレス鋼や炭素鋼など
の鋼製であって、しかもこの金属製管4a自体が円管であ
れば管内の冷却水の流速が比較的抵抗なく円滑に流れる
ために流速が部分的に遅くなる部分がなく、管の外面全
体を通水により均一な低温状態を維持できると共に、更
に図4に図示するようにこの金属製管4a又はより好まし
くは鋼製円管4a同士間の内面側にやはり熱伝導の良好な
金属4bが被覆されているので、このより好ましく具体的
な鋼製円管4aがほぼ水平に並設される部分にスプラッシ
ュSが付着したとしても、そのスプラッシュSは直ちに
急冷されてその容積が収縮するために、その付着部分に
間隙が生じて容易に剥離して自然落下していき、スプラ
ッシュSが肥大化して付着することはないのである。ま
た、酸素上吹きランス5などを挿入するために貫通され
ている各開口部分にスプラッシュSが付着し閉塞してし
まうことも回避できるので、操業困難又は不能に陥るこ
とも防止されるのである。
【0017】この場合、前記金属製管4aにはステンレス
鋼や炭素鋼などの鋼製円管4aを用いるのが好ましいこと
を説明したが、このような鋼製円管4a同士の間を被覆し
て埋める金属4bとしては、このような鋼製円管4aと被覆
金属との関係が同質又は異種にかかわらず、銅やアルミ
ニウムの如き単一の金属でも良いし、ステンレス鋼の如
き合金でも良いのである。そして、このような単一の金
属とか合金を被覆して埋める方法としては、金属溶射し
ても良いし、肉盛り溶接によっても良いのである。例え
ば、耐熱性や耐酸化性など好ましい特性を有するステン
レス鋼鋼管同士の間を被覆して埋める金属として、同様
に好適な特性を有するステンレス鋼合金を溶射したり肉
盛り溶接したりして適宜行っても良いのである。しか
し、比較的入手し易く安価であり手間も取らず加工性も
良く経済的であって、何よりも熱伝導性に優れた最も好
ましい方法としては、銅を溶射して被覆する方法が挙げ
られる。
【0018】一方、前述の如き金属製管4aが取鍋2上に
載置される部分からほぼ水平に並設される部分までの内
側面に付着したスプラッシュSは、前述したように、図
4に示される如くその付着部分がほぼ平滑な曲面を形成
するように、単一の金属又は合金4bが溶射又は肉盛り溶
接されているので、入り込む凹部が存在せず、しかもそ
の部分は非常に熱伝導の良好な銅4bを溶射して好適に構
成されているので、直ちに急冷されてその容積が収縮す
るために、その付着部分に間隙が生じて容易に剥離して
自然落下するためスプラッシュSが肥大化して付着する
ことがないのある。更に、熱伝導の良い金属製管4aが円
管であると共にこの金属製管4a同士間の内面側に被覆さ
れている金属4bがやはり熱伝導の良い銅を溶射被覆して
いる場合には、水漏れの原因となるヒートクラックも発
生しないのである。
【0019】
【実施例】内径が5300mmの真空容器1の容器本体1a内の
所定位置に設置した内径が2830mmで内側高さが3000mmの
取鍋2内に、例えばステンレス鋼の鋼種SUS304や高ニッ
ケル合金やニッケル合金鋼などを精錬し溶製するため
の、所定範囲の化学組成を有し温度が1700℃程度の金属
溶湯6(例えば溶銑)が約75トン保持されており、その
金属溶湯6の湯面は取鍋2内の底面から1600mmの位置に
あった。次いで金属製管4aとして圧力配管用炭素鋼鋼管
65Aを用い取鍋蓋4の内面全面がほぼ平滑になるように
銅4bを溶射被覆した本発明に係る真空精錬用取鍋蓋4を
取鍋2上に載置し、真空容器1の容器本体1a上に密閉状
態に蓋体1bを載置し、取鍋蓋4の金属製管4a中に24℃の
冷却水を150トン/hrの割合で通しながら、真空容器1
内を減圧して100torrの真空雰囲気状態にし、取鍋2の
底部に取り付けられている2個の底吹きガスノズル3か
らそれぞれアルゴンガスを取鍋2内に保持されている金
属溶湯6中に400リットル/分だけ吹き込み撹拌すると
共に、昇降装置を作動させて真空容器1の蓋体1bと取鍋
蓋4とを貫通せしめその下端が湯面から1300mmの位置に
ある酸素上吹きランス5から金属溶湯6の上面に向けて
酸素ガスを1300Nm3/hrで全部で300Nm3だけ吹き付け
て、この金属溶湯6の炭素含有量が0.3%から0.02%に
なるまで脱炭させ、次いで0.5torrの真空雰囲気状態に
して10分間保持して真空精錬を終了した結果、この真空
精錬終了時の金属溶湯6(例えば溶鋼)の温度は約1600
℃であり、取鍋蓋4の金属製管4aから出てきた冷却水の
平均温度は29℃であり、本発明に係る真空精錬用取鍋蓋
4の内面全面にスプラッシュSが10mm以下で薄く付着し
ていた。しかし真空精錬終了後、前記と逆に作動操作し
て、真空精錬された金属溶湯6(例えば溶鋼)の保持さ
れている取鍋2を次工程へ搬出して行く間に、この取鍋
蓋4の内面に極く薄く付着していたスプラッシュSは金
属溶湯6からの熱供給を受けなくなったために急冷され
て、その容積収縮により完全に剥離し自然落下したので
ある。しかもこの真空精錬中に適宜合金鉄等を投入しな
がら目標とする化学組成を有し高品質な金属溶湯6を得
たのは言うまでもない。また、このような真空精錬操業
を100回繰返し行った後においても、本発明に係る真空
精錬用取鍋蓋4の内面にはスプラッシュSは一切付着し
ていないと共に、取鍋2上に載置される部分から金属製
管4aがほぼ水平に並設される部分までの内面側にほぼ平
滑な曲面を構成するように溶射被覆されている銅4bが剥
離することがなく、且つ一切水漏れも発生しなかった。
従って、本発明に係る真空精錬用取鍋蓋4は従来のもの
より大幅に耐用寿命を延長させることができたのであ
る。
【0020】
【発明の効果】以上に詳述したように構成される本発明
に係る真空精錬用取鍋蓋は、前記〜に記載した取鍋
蓋本来の機能(役割,目的)を達成するのは勿論のこ
と、従来の耐火物構造のもの自体が有していた問題点を
解決するために採択した水冷化構造のものの使用におい
ても出現する諸問題点を総合的に解消するための本発明
の課題を達成するものであり、その効果は非常に大きい
のである。そして何よりも、取鍋蓋そのものが格別な清
掃や手直し作業を頻々と行わないでも繰り返し使用可能
となり、その耐用寿命を大幅に延長させることが可能と
なるので、本来の真空精錬において金属溶湯を歩留良く
高生産性で、しかも目標とする高品質の金属溶湯を低コ
ストで製造できるようになる。従って、長期に亘って安
定操業が可能となり、経済性を伴なう本発明に係る真空
精錬用取鍋蓋の工業的価値は非常に大きなものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空精錬取鍋上に本発明に係る真空精錬用取鍋
蓋を載置して真空精錬を行っている金属溶湯の真空精錬
装置全体の構成を簡略化した模式図である。
【図2】本発明に係る真空精錬用取鍋蓋の1実施例の縦
断面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2におけるA部拡大図である。
【図5】鋼製円管の取鍋蓋の内面側の先端部間に鋼板を
溶接して取鍋蓋内面側を平滑化させた真空精錬取鍋の取
鍋蓋の部分拡大図である。
【図6】鋼製角管を使用した真空精錬取鍋の取鍋蓋の部
分拡大図である。
【符号の説明】
1 真空容器 1a 容器本体 1b 蓋体 2 真空精錬取鍋(取鍋) 3 底吹きガスノズル 4 本発明に係る真空精錬用取鍋蓋(取鍋蓋) 4a 金属製管(鋼製円管) 4b 被覆されている金属(単一金属又は合金,銅) 5 酸素上吹きランス 6 金属溶湯(溶銑,溶鋼,合金の溶湯) 7 合金鉄等投入用ホッパー・ダクト S スプラッシュ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器(1)内の所定位置に設置され、
    真空精錬される金属溶湯(6)が保持される真空精錬取鍋
    (2)上に載置される取鍋蓋(4)において、当該取鍋蓋
    (4)は主として冷却水を通す金属製管(4a)から成る水冷
    化構造に構成されており、少なくとも真空精錬取鍋(2)
    上に載置される部分から該金属製管(4a)がほぼ水平に並
    設される部分までにおける該金属製管(4a)同士間の内面
    側が金属(4b)で被覆されてほぼ平滑な曲面に形成されて
    いることを特徴とする真空精錬用取鍋蓋。
  2. 【請求項2】 金属製管(4a)が鋼製円管から成り、少な
    くとも真空精錬取鍋(2)上に載置される部分から該鋼製
    円管(4a)がほぼ水平に並設される部分までにおける該鋼
    製円管(4a)同士間の内面側が単一金属(4b)又は合金(4b)
    を溶射又は肉盛り溶接されてほぼ平滑な曲面に形成され
    ている請求項1に記載の真空精錬用取鍋蓋。
  3. 【請求項3】 少なくとも真空精錬取鍋(2)上に載置さ
    れる部分から金属製管(4a)がほぼ水平に並設される部分
    までにおける該金属製管(4a)同士間の内面側が、銅(4b)
    を溶射されて被覆されている請求項1又は2に記載の真
    空精錬用取鍋蓋。
JP24974793A 1993-09-13 1993-09-13 真空精錬用取鍋蓋 Withdrawn JPH0790350A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006214647A (ja) * 2005-02-03 2006-08-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 取鍋精錬用の水冷蓋および精錬処理方法
JP2015232420A (ja) * 2014-06-10 2015-12-24 住友金属鉱山株式会社 非鉄金属製錬炉用廃熱ボイラー
CN114749613A (zh) * 2022-04-26 2022-07-15 甘肃酒钢集团宏兴钢铁股份有限公司 一种金属冶炼吹氩保护包盖

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