JPH079028B2 - 溶接性および低温靭性にすぐれた高張力鋼の製造方法 - Google Patents

溶接性および低温靭性にすぐれた高張力鋼の製造方法

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JPH079028B2 JP5777190A JP5777190A JPH079028B2 JP H079028 B2 JPH079028 B2 JP H079028B2 JP 5777190 A JP5777190 A JP 5777190A JP 5777190 A JP5777190 A JP 5777190A JP H079028 B2 JPH079028 B2 JP H079028B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は溶接性および低温靱性にすぐれた降伏強さが70
kgf/mm2以上で、引張強さが80kgf/mm2以上の高張力鋼の
製造方法に関するものである。
(従来の技術) 近年エネルギー需要が益々増加の傾向にあり、海底資源
開発につながる海洋構造物および海底調査作業船の建造
あるいは、エネルギー源を貯蔵する圧力容器の建造等の
エネルギー関連の溶接鋼構造物の建造が活発化してい
る。これらに使用される構造物は大型化して、使用鋼材
が厚肉し、より安全性確保が重要課題である。
したがって、これらに使用される鋼材には、構造上、高
溶接性でかつ高靱性が要求されており、さらに海水およ
び原油等の使用環境条件において耐応力腐食割れ性を具
備することが望まれている。
従来、降伏強さが70kgf/mm2以上で引張り強さが80kgf/m
m2以上の溶接性にすぐれた高張力鋼(以下HT80と呼ぶ)
の製造方法として、〔B〕を微量添加して、その焼入性
向上効果を利用する方法がある。
すなわち、溶接性の指標の一つである炭素当量を低減さ
せるためC,Ni,Cr,Mo等の焼入性増加元素の必要以上の添
加をさけ、その代りに〔B〕の焼入性を最大に発揮させ
るため、Al-B処理あるいは低N化処理を施し、通常の再
加熱焼入れ焼戻し法あるいは圧延後直接焼入れ焼戻し法
によって製造されている。
例えば特公昭60-25494号公報「ボロン含有低合金調質型
高張力鋼板の製造法」、特公昭60-20461号公報「高強度
高靱性を有する厚肉高張力鋼板」がある。この焼入れ焼
戻し処理により得られた組織が、焼戻しマルテンサイト
あるいは焼戻し下部ベイナイト組織であるため高強度と
高靱性が達成されている。
一方、〔B〕を使用しない高強度鋼を製造する方法とし
ては、Cuの析出硬化を利用したNi-Cu鋼(ASTM規格の710
鋼)が知られており、再加熱焼入れ焼戻し法あるいは再
加熱焼準焼戻し法によって製造され、引張強さ60kgf/mm
2級の高張力鋼に適用されている。
(発明が解決しようとする課題) しかし、〔B〕の焼入性向上効果を利用する方法は、確
かにC,Ni,Cr,Mo等の元素が低減でき、溶接前の予熱温度
を下げても割れが発生しないなど溶接性は向上するが、
溶接時の予熱を完全に省略するまで至っていない。又、
溶接熱影響部(Heat Affected Zone:HAZ)の硬さが上昇
して、応力腐食割れ感受性を高めたりする欠点があっ
た。
さらに厚肉材においては、表層下から1/4t部は〔B〕に
よる焼入性向上によりマイテンサイトあるいは下部ベイ
ナイト組織が得られるが、板厚中心部においては、上部
ベイナイト組織の生成により十分な靱性が得られている
とは言えない。
一方、Cuによる析出硬化を利用する方法は、前述したよ
うに引張強さ60kgf/mm2級の高張力鋼に適用されている
が、80kgf/mm2級鋼においては、強度および靱性が不十
分であり、安全性に問題があった。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、高溶接性、耐応力腐食割れ性および低温
靱性にすぐれた厚肉HT80鋼を開発することを目的に、鋼
成分およびその製造方法について種々実験した結果、低
炭素鋼でも、小入熱溶接時の溶接HAZ硬さには〔B〕が
著しく影響し、〔B〕を0.0002%以下(実質的にB無添
加)とし、更に〔C〕を0.05%以下として、これを組合
わせることにより著しく溶接HAZ硬さが低下できること
を知見した。
又、更に、低CでかつB無添加をベースにした厚肉材の
板厚方向に対し、均一な高強度高靱性を得るには、上部
ベイナイト組織が生成しても、細粒化とCuによる析出硬
化を利用することが有効であり、加熱、圧延、冷却、熱
処理方法などを組合わせることにより、目的の鋼が製造
できることを知見した。
本発明は、このような知見に基づいて構成したもので、
その要旨は、重量%にてC:0.02〜0.05%、Si:0.5%以
下、Mn;0.4〜1.5%、Cu;0.5〜2.0%、Ni;0.5〜4.0%、M
o;0.20〜1.50%、Ti;0.005〜0.03%、Al;0.01〜0.08
%、N;0.01%以下、B;0.0002%以下を含有し、残部が鉄
および不可避的不純物からなる鋼片、あるいは、更にC
r;1.0%以下、Nb;0.05%以下、V;0.10%以下の強度改善
元素群、又はCa;0.0050%以下の一種又は二種以上を含
有する鋼片を1000℃〜1200℃に加熱した後、熱間圧延に
おいて、オーステナイトが再結晶しない温度域で累積圧
下率50%以上となるように圧延を行なった後、Ar3点以
上の温度から水冷を開始し、250℃以下の温度で停止す
る焼入れ処理を行ない、その後さらにAc3点からAc3+10
0℃の間に再加熱した熱、焼入れし、続いてAc1点以下の
温度で焼戻し処理を行なって製造するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明を上記のような鋼成分に限定した理由を述
べる。
C;Cは焼入性を向上させ強度を容易に上昇させるのに有
効な元素である。反面、本発明の目的である溶接性およ
び耐応力腐食割れ性に対しては、影響を与える元素であ
る。
すなわち、第1図に示すように、特にBなし(≦0.0002
%)の場合にCを0.05%以下とする時に溶接HAZ硬さが
著しく低下する。又、Cが0.05%を超えると溶接HAZが
硬化し、溶接性が低下すると共に応力腐食割れ感受性も
高める。又、Cが0.02%未満であると強度が得られな
い。したがって、C含有量の範囲を0.02〜0.05%とし
た。
Si;Siは製鋼上不可避な元素であり、0.02%は鋼中に含
まれることになるが、0.5%超になると母材靱性、溶接
性およびHAZ靱性を低下させるためSiの含有量を0.02〜
0.5%とした。
Mn;Mnは焼入性を向上させ、強度、靱性確保に有効であ
るが1.5%超では焼戻し脆性が大きくなり低温靱性が低
下し、更に0.4%未満では、強度および靱性が低下す
る。したがって、Mnの含有量を0.4〜1.5%とした。
Cu;CuはHAZ靱性を損なわずに強度を上昇させることが可
能で本発明の重要な元素である。低Cをベースにした本
発明鋼においては、焼入性の低下を補うため、焼入処理
後の焼戻し処理においてCuの析出硬化により強度を確保
することから0.5%以上必要である。しかし、2.0%超添
加しても強度は飽和し、かえって靱性の低下をきたすた
め2.0%を上限とした。
Ni;Niは鋼の低温靱性の向上および焼入性を高めて強度
を向上させると共に熱間割れおよび溶接高温割れ防止に
も効果がある。特に本発明においては、Niは焼入処理
時、細粒ベイナイト組織を生成させるためであり、低温
靱性付与の面から0.5%以上必要である。しかし、4.0%
を超えると溶接性の低下を招くこと、および高価な元素
であるため4.0%を上限とした。
Mo;Moは焼入性向上による強度確保、および焼戻し脆性
を防止するために有効な元素である。又、Cuと同様に本
発明の重要な元素である。すなわち、Moは未再結晶温度
域を拡大するので粒内に変形帯が増加され、これが再加
熱オーステナイト粒の核サイトとなり、より細粒化させ
ることができる。しかし、0.2%未満では、未再結晶温
度域の拡大効果が小さく、目標とする強度、靱性が得ら
れず、又、1.5%を超えると粗大なMo2C等の炭化物が増
加し靱性を低下させ、又、溶接熱影響部を著しく硬化さ
せる。
Ti;Tiはオーステナイト粒の粗大化を防ぎ、かつHAZ靱性
向上の面から不可欠な元素である。本発明では板厚中心
部の靱性を確保するため、厚板圧延を行なう前の鋼片加
熱時のオーステナイト粒の細粒化が必須であり、そのた
めTi/Nで2.0〜3.4になるようにTiを添加する。その量は
N量にもよるが、0.005%未満では細粒化効果が小さ
く、又、0.03%を超えるとかえって母材靱性およびHAZ
靱性を低下させる。したがって、Tiの含有量を0.005〜
0.03%とした。
Al;Alは脱酸のために必要な元素であると同時に、鋼片
加熱時に窒化物を形成し、オーステナイト粒の細粒化に
有効である。しかし、0.01%未満ではその効果が小さ
く、又、0.08%を超えるとアルミナ系介在物が増大し靱
性を阻害する。
N;NはTiと結合して炭窒化物を形成し、オーステナイト
粒の粗大化防止に効果がある。しかし、N量が多くなる
とHAZ靱性を劣化させるため、上限を0.01%とした。
B;Bは、溶接HAZ部を硬化させ、溶接割れ性、硬化性およ
び耐応力腐食割れ性を低下させるため、本発明において
も最も有害な元素である。特に小入熱溶接においては、
0.0002%を超えるとHAZ部を著しく硬化させる。したが
って、その含有量を0.0002%以下とした。
本発明では上記基本成分の他に(Cr,V,Nb)およびCaの
一種または二種以上添加する。
Cr,V,Nb成分は鋼の強度を向上させるという均等的作用
をもつもので、所望の効果を確保するためにはそれぞれ
含有下限量をCr;0.05%、V;0.005%、Nb;0.005%とする
必要がある。
しかし、それぞれCr;1.0%、V;0.10%、Nb;0.05%を超
えて含有させると、溶接硬化性が増大し応力腐食割れ感
受性を高めたり、溶接HAZ靱性が低下する。
Ca;Caは非金属介在物の球状化に有効であり、靱性の異
方性を小さくする効果がある。又、溶接後残留応力除去
焼鈍による割れ防止に効果を発揮する。しかし、0.0050
%を超えると介在物増加により靱性を低下させる。
上記の成分の他に不可避的不純物としてP,S等は、本発
明の特性である靱性を低下させる有害な元素であるか
ら、その量は少ない方がよい。好ましくはP≦0.010
%、S≦0.005%である。
次に本発明のもう一つの骨子である製造法について述べ
る。
上記のような鋼成分組成であってもCuの析出効果を十分
に発揮させ、更に厚肉材の板厚方向の靱性を均一高靱性
化させるには、製造方法が適切でなければならない。こ
のため、鋼片の加熱、圧延、冷却、再加熱焼入れ焼戻し
条件を限定した理由について説明する。
まず、上記の成分組成の鋼片を1000℃〜1200℃に加熱し
熱間圧延を行なう。本発明鋼においては、厚肉材の板厚
中心部の靱性の確保のため、上部ベイナイト組織が生成
しても十分なほど細粒化を行ない高靱性化をはかる。そ
れには、まず加熱オーステナイト粒を細粒化する必要が
ある。
一方、目標強度を得るためこの加熱温度においても、Cu
およびMo等が十分に固溶化され、最終の焼戻し処理でCu
およびMo析出物による析出硬化が十分に行なわれること
が必要である。
第2図は後述する第1表鋼Aについて鋼片加熱温度を90
0〜1250℃と変化させ、未再結晶温度域で累積圧下率75
%で圧延・水冷し、再加熱900℃から焼入れ、焼戻し処
理後の強度と、靱性に及ぼす鋼片加熱温度の影響につい
て調査した結果である。
これより1000℃未満の低い温度では、この固溶化作用が
不十分となり、焼戻し処理の際に十分な析出硬化を期待
できなく、強度低下する。一方、1200℃を超える温度で
は加熱オーステナイト粒が粗大化し、その後の制御圧延
および再加熱焼入れによってもオーステナイト粒が細粒
化しにくく、上部ベイナイト組織が高靱性化されない。
したがって、鋼片の加熱温度を1000℃〜1200℃とした。
次に、熱間圧延においてオーステナイトが再結晶しない
温度域(未再結晶温度域)で、累積圧下率50%以上とな
るように圧延をしなければならない理由について説明す
る。
これは、オーステナイト粒を伸長させ、かつ、オーステ
ナイト粒内に変形帯を形成させることにより、次工程に
おける再加熱時のオーステナイト粒の核サイトとなる粒
界面積が増加し、最終オーステナイト粒を極細粒化させ
るためである。
ここで未再結晶温度域の累積圧下率が50%以下では変形
帯の形成が減少し、その後の再加熱焼入れ時におけるオ
ーステナイト粒の細粒化が不十分となる。
以上の理由から、未再結晶温度域での累積圧下を50%以
上とした(以下制御圧延と云う)。好ましくは累積圧下
率は60〜85%である。
又、圧延後Ar3点以上の温度から水冷を開始し、250℃以
下の温度で停止する焼入れ処理を行なう必要がある。こ
れは、空冷では冷却過程でCuが析出し過時効となり、そ
の後の再加熱焼入れ−焼戻し処理時に十分な析出硬化が
得られない。又、水冷停止温度が250℃を超えると本発
明の場合、焼戻し処理における析出硬化作用が不十分と
なり、強度を低下させる。
次に熱間圧延後水冷された鋼は、Ac3点からAc3+100℃
の温度範囲の適正な温度に再加熱され、焼入れされる。
これは、未再結晶温度減圧延でオーステナイト粒の伸長
化と、粒内に変形帯が多数導入されており、これが再加
熱時のオーステナイト粒の核サイトとなり、α/γ変態
時に多数のオーステナイト粒が生成されるため、オース
テナイト粒が極めて細粒化される。
しかし、Ac3+100℃を超えた再加熱ではその効果が失わ
れる。また、Ac3点よりも下の温度ではオーステナイト
粒は混粒となり、細粒化不十分で、かつ、フェライト組
織が混合されるため強度が不十分となる。
第3図に、後述する第1表の鋼A,鋼Bおよび鋼Iについ
て本発明法(鋼片加熱温度1000〜1150℃で、未再結晶温
度域で60〜75%の累積圧下率で圧延し、直接焼入れ法、
再加熱850〜900℃から焼入れし、焼戻し処理)と比較法
(鋼片加熱温度1250℃で制御圧延なしで圧延し空冷後、
再加熱850〜900℃から焼入れし、焼戻し処理)の鋼のオ
ーステナイト粒度と靱性の関係を示した。
本発明の制御圧延−直接焼入れ後再加熱焼入れされた鋼
は、オーステナイト粒度(ASTM No.)が8番以上と細粒
で高靱性化していることがわかる。
制御圧延−直接焼入れ後再加熱焼入れされた鋼は、その
後Ac1点以下の温度で焼戻し処理を行なう必要がある。
この焼戻し処理は、CuおよびMo等の析出物を十分に析出
硬化させ、強度および靱性を得るためである。又、溶接
された鋼の応力除去焼鈍処理時の軟化を防止するために
も必要である。しかし、Ac1点を超えた温度では強度が
著しく低下し、更に靱性も低下するためAc1点以下と限
定した。
このような製造工程で得られた鋼は、低炭素にもかかわ
らず板厚方向に均質な高強度、高靱性が得られ、かつ、
溶接HAZ部の硬化性が著しく減少するため、常温溶接が
可能であり、更に耐応力腐食割れ性も著しく改善され
る。
(実施例) 第1表に示す組成を有する鋼を溶製して得た鋼片を、第
2表に示す本発明法と比較法の各々の製造条件に基づい
て、板厚30〜100mmの鋼板に製造した。これらについて
母材の機械的性質とオーステナイト粒度、更に溶接熱影
響部の硬さおよびKISCC値(耐応力腐食割れに対する限
界破壊靱性値)を調査した。
溶接は、溶接熱影響部の硬化性に対して、過酷な小入熱
17〜25KJ/cmで被覆アーク溶接で行なった。
第1表の化学組成を有する鋼と第2表で示す製造条件と
によって得られた機械的性質、および3.5%の人工海水
中でのASTM E399に示される試験片を使った溶接熱影響
部のKISCC試験結果を第3表に示す。
本発明例(本発明鋼と本発明法とを組合わせた1-A〜9-
I)においては、オーステナイト粒度が8番以上に細粒
化されており、母材の強度、靱性は、十分高い値であ
る。更に、HAZ硬さも低く、この結果HAZ部のKISCC値も
十分高い値である。
これに対し、比較例10-J,12-Lでは〔C〕が高く、更に
例10-Jは〔B〕が添加されているためHAZ硬さが極めて
高くなり、HAZ部のKISCC値も低い。又、例10-JはTiが添
加されてなく、かつ、制御圧延水冷なしのため細粒化が
不十分となり、靱性が低下している。例11-Kは〔B〕が
5ppm添加されているためHAZ硬さが高くなり、KISCC値も
低い。例13-MはCuおよびTiが添加されていないこと、お
よび、未再結晶温度域の累積圧下率が小さいため析出硬
化と細粒化が不十分となり強度、靱性が低下している。
同じ鋼Aを用いた例1(本発明法)と例14(比較法)で
製造した板厚30mm材の材質を比較してみると、前者では
1/2t部でも細粒の上部ベイナイト組織が生成し、目標の
性能が十分得られるが、後者では鋼片加熱温度が高く、
かつ、制御圧延なしの圧延後空冷のため粗粒の上部ベイ
ナイト組織となり強度、靱性が不十分である。例15(比
較法)では、未再結晶域圧延の累積圧下率が小さいた
め、細粒化が不十分で粗粒の上部ベイナイト組織が生成
し目標の靱性が得られない。例16では水冷停止温度が高
く、析出作用が不十分となり、強度不足である。
(発明の効果) 本発明の製造法によって、溶接硬化性、耐応力腐食割れ
性および低温靱性のすぐれた80kgf/mm2級高張力鋼の製
造が可能となった。その結果、現場溶接施工能率が著し
く向上し、且つ使用される環境条件においても十分な安
全性が確保されるものとなった。
【図面の簡単な説明】
第1図は〔B〕添加なし材および〔B〕添加材の溶接HA
Z硬さに及ぼす〔C〕量の影響について示す図表、第2
図は母材の強度および靱性に及ぼす鋼片加熱温度の影響
について示す図表、第3図は母材の靱性に及ぼすオース
テナイト粒度の影響について示す図表である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で C ;0.02〜0.05% Si;0.02〜0.5% Mn;0.4〜1.5% Cu;0.5〜2.0% Ni;0.5〜4.0% Mo;0.20〜1.5% Ti;0.005〜0.03% Al;0.01〜0.08% B ;0.0002%以下 N ;0.01%以下 残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼片を1000℃〜
    1200℃に加熱した後、熱間圧延において、オーステナイ
    トが再結晶しない温度域で累積圧下率50%以上となるよ
    うに圧延を行なった後、Ar3点以上の温度から水冷を開
    始し、250℃以下の温度で停止する焼入れ処理を行な
    い、その後さらにAc3点からAc3+100℃の間に再加熱し
    た後、焼入れし、続いてAc1点以下の温度で焼戻し処理
    することを特徴とする溶接性および低温靱性にすぐれた
    高張力鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】重量%で Cr;0.05〜1.0% V ;0.005〜0.10% Nb;0.005〜0.05% からなる強度改善元素群、又は介在物形態制御作用のあ
    る Ca;0.0005〜0.005% の一種又は二種以上を含有する請求項1記載の溶接性お
    よび低温靱性にすぐれた高張力鋼の製造方法。
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