JPH0790061B2 - 布帛加工における反物間縫合準備方法ならびにその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は布帛加工における先行反物の終端と後続反物の
始端を縫合する反物間縫合工程の改善、特に自動縫合ミ
シンへの準備作業の自動化に関するものである。

（従来の技術） 布帛加工において先行する反物の終端と後続の反物の始
端とは反物を連続化するために予め反継ぎすることが行
われており、現在、反継ぎ機構として自動縫合ミシンが
一般に用いられている。

この自動縫合ミシンはレール上をミシンヘッド部が走行
し、布帛固定装置により固定された先行反物を反末と後
続反物の反始を縫い合わせ、自動的に反継ぎを行うもの
であるが、この自動縫合ミシンにより縫い合わせを行う
には通常、その前準備として前記反末と反始がバノック
止めにより仮止めされ、絨種によってはバノックが抜け
落ちるのを防止するため１個所に２本のバノックが打た
れ、この仮止めされた反末と反始をミシンの布帛固定装
置にセットし縫合開始始指令を与えることにより反継ぎ
及び縫合後の糸切りが自動的に行われるようになってい
る。

そのため上記縫い合わせにあたっては、従来ではその準
備作業として仮止め用のバノックを取り外すことが行わ
れ、また編物など布端が捲かれやすい布帛においてはク
リップ等の把持具で布端を押さえることが行われてい
る。

（発明が解決しようとする課題） 上述の如く自動縫合ミシンで縫い合わせを行うときには
一応、予め仮止めしたバノックの切り離しを行うが、し
かし、このときバノックが反物に残ってしまうことが時
々あり、この場合には反物に残ったバノックは次工程へ
流れてしまい、循環パイプやシャワーの穴を詰まらせ、
布帛加工の円滑化を阻害する。

また上記バノックの切り離し作業は作業者が行うため、
切り離すための動作も無駄な時間であった。

本発明は上述の如き実情に対処し、特に反末，反始の自
動縫合ミシンへのセットを自動化することにより前記残
存バノックによるトラブルの発生を阻止し布帛加工準備
の円滑化を促進すると共に生地仕分け時の端出しの必要
を解消し生地仕分け生産性の向上をはかることを目的と
するものである。

（課題を解決するための手段） 即ち、上記目的に適合する本発明の特徴は、先ず第１に
布帛の加工準備工程としてガイドローラを介して下向き
に送り込まれる先行反物の反末をパレット上の台車に積
み重ねられた後続反物の反始と自動縫合ミシンにより縫
合し、反継ぎを行うに際し、前記後続反物を収容する台
車を昇降可能なパレットリフター上に載置し、先行反物
の反末を検出したときこれにもとづいて該先行反物を案
内する前記ガイドローラを自動縫合ミシンのミシンヘッ
ド位置側方に降下させ、かつその反末を把持してミシン
ヘッド上に位置させる一方、パレットリフターを所定位
置まで上昇させ、台車に積み重ねられた前記後続反物の
反始を把持機構により把持し、前記ミシンヘッド方向へ
移行させて該反物を降下したガイドローラ上を通してそ
の反始をミシンヘッド上に位置せしめた先行反物の反末
と重合し、両者を自動縫合ミシンにより縫合すると共
に、縫合ミシン動作開始信号と共に、後続反物把持機構
を元の位置に戻し、かつ前記降下したガイドローラを元
の位置に上昇復帰せしめる方法にある。

また、本発明は上記方法を実施するための装置として、
自動縫合ミシンと、該自動縫合ミシン前方に昇降動可能
に設けられ検知手段により上昇位置が規正されたパレッ
ト昇降手段、該パレット昇降手段上部に上下動可能に設
けられた位置決めセンサー付き後続反物反始把持手段、
該把持手段をパレット昇降手段上部所定位置より前記自
動縫合ミシンの間にわたり横方向に移動させる横移動手
段、前記先行反物を案内するガイドローラを上部所定位
置と自動縫合ミシンとの間で上下動させる上下動手段、
同先行反物反末を把持し、自動縫合ミシンのミシンヘッ
ド上に移行させる先行反物反末把持移動手段の各手段か
らなり、前記各手段は先行反物の反末を確認認知する検
知手段の検知にもとづいて夫々所定の作動を行わしめた
構成を特徴とする。

更に請求項３に係る発明は上記装置の一部をより具体化
した構成として後続反物反始把持手段を下端にピンを埋
め込んだ鈍角状の爪を有する一対の互いに対向するエア
ーハンドの複数をもって構成しその対向するエアーハン
ドを反物上へ下降後、その対向間隔を狭め、反物を中央
に寄せ把持すると共に、把持力の調節を可能としたこと
を特徴とする。

（作用） 本発明は上記の如き構成よりなるが、次にその作用につ
いて説明する。

先ず、ロット毎に台車に積み重ねた反物をパレット上に
載せパレットリフター上に載置する。

そして先行反物の反末が光電管の如き検知手段によって
確認されると、パレットリフターが後続反物を載せて所
定の位置まで上昇し、検知手段によってその位置で停止
する。と同時に後続反物の反始を把持する把持手段が下
降し、光学的位置決めセンサーで該把持手段を反物上面
を稍押さえる状態で停止し、エアーハンドにより反始を
把持する。そして、把持完了と共に把持手段を元の位置
まで上昇させ、次いで横移動手段によって該把持手段を
自動縫合ミシンの方へ移動させ、ミシンヘッド上に位置
させる。

一方、上記作動と並行して検知手段の検知によってガイ
ドローラが下降し、自動縫合ミシンの側方まで下降させ
ると共に先行反物の反末を把持移動手段によって自動縫
合ミシン側へ把持移動させて該反末を自動縫合ミシンの
ミシンヘッド上に位置させる。

このようにして自動縫合ミシンのミシンッド上に移動し
た先行反物の反末と後続反物の反始を両者重ねて自動縫
合ミシンにより縫う合わせ所要の反継ぎを行う。

なお、上記工程において自動縫合ミシンの動作開始信号
が発せられると後続反物の把持機構は把持を解放して元
の位置に戻り、降下したガイドローラも元の位置に上昇
復帰して正常送り込みの状態となり、次の反継ぎに備え
る。

以上のようにして先行反物を反末と後続反物の反始は継
合され、布帛加工工程へ反物は連続した状態で導入され
る。

（実施例） 以下、更に上記本発明の具体的実施例を添付図面に従っ
て説明する。

第１図及び第２図は本発明に係る装置の１例を示し、図
において（Ａ）は布帛の加工において反継ぎ工程を経た
反物（ａ）を次工程へ送り込むまでの所定時間滞溜させ
ておくための布帛滞溜部であり、反物は上部のガイドロ
ーラ（２）上を通して該布帛滞溜部（Ａ）に導入される
ようになっており、（１）は布帛滞溜部（Ａ）前端に設
けられた反継ぎのための自動縫合ミシン、（１）′は同
ミシンのミシンヘッドである。

本発明は上記構成においてガイドローラ（２）を通して
下むきに送り込まれる反物（ａ）がその終端に近づいた
とき、先行する反物の反末と、後続の反物の反始を自動
縫合ミシンにより自動的に縫合し反継ぎを行うものであ
り、前記布帛滞溜部（Ａ）の前部に一連の手段が配設さ
れている。

即ち、（３）は前記自動縫合ミシン（１）もミシンヘッ
ド（１）′前方に設けられたパレットリフターを示し、
反物を積み重ね収容した台車積載反（５）をパレット
（４）に載置して昇降し得る如く設けられており、その
上昇範囲は積み重ねた反物が側方に設けられる光電管の
如き検知手段（６）によって検知されるまでと規正され
ている。

そして、上記パレットリフター（３）上に載せられた台
車積載反（５）上方にはエアーハンド（８）がエアーシ
リンダ（９）により上下動可能に設けられており、エア
ーシリンダ（９）の上端は同シリンダ（９）を台車上方
位置より自動縫合ミシン（１）の上方に移動させるロッ
ドレスシリンダ（10）に連結されている。

この場合、上記エアーハンド（８）には、反物は通常、
中央が高く、両サイドが低くなるためエアーハンド
（８）の把持場所を決めるのに光学的位置決めセンサー
（７）が付設されて使用するようになっており、センサ
ー位置を調節して把持場所が決められている。

エアーハンド（８）及びエアーシリンダ（９）は第２図
に示すように反物の巾方向に間隔をおいて図では２個設
けられており、夫々のエアーハンド（８）は第３図に示
すように下端にピン（11）を埋め込んだ鈍角状の爪（1
2）を対向的に有してその間隔を拡縮し得るように形成
され、供給圧力を変えることによって把持力の調節が可
能となっている。

特にエアーハンド（８）の爪（12）は布帛を傷付けずに
外れないよう把持する必要から前記の如く鈍角状形状が
選ばれ、第４図の如くピン（11）の埋め込みによって反
物を中央部へかき寄せ把握を確実となしている。

一方、上記パレットリフター（３）上の反物、これは多
くの後続反物となるものであるが、自動縫合ミシン
（１）と該パレットリフター（３）、台車積載反
（５）、エアーハンド（８）による反物把持位置との間
には上記後続反物に対し先行する反物を自動縫合ミシン
（１）のミシンヘッド（１）′上に位置させるための手
段として反物を布帛滞溜部（Ａ）に案内するためのガイ
ドローラ（２）の上下動させるロッドレスシリンダ（1
3）及び自動縫合ミシン（１）のミシンヘッド（１）′
上に先行反物の反末を把持し移動させるためのエアーシ
リンダ（14）が夫々機枠によって設けられている。な
お、図においては後続反物の上昇位置を検知する光電管
が先行反物の反末を把持し、移動させるためのエアーシ
リンダ（14）の後端に付設され、先行反物の反末の確認
を兼用している。

本発明に係る装置は叙上の如く構成されており、上記装
置を用いて本発明方法を実施し反物間縫合の準備を行う
には先ず台車積載反（５）、即ち後続の反物をパレット
（４）と共にパレットリフター（３）上へ置く。

このリフター（３）は押ボタンで上昇し、光電管（６）
の位置でストップする。これと同時にエアーシリンダ
（９）が下降し、光学的位置決めセンサー（７）でエア
ーハンド（８）が反物上面をやや押さえる状態で停止す
る。その後、エアーハンド（８）の対向する爪（12）が
閉じて反物を把持する。そして把持が終わるとエアーシ
リンダ（９）は元の位置まで上昇し、上昇が完了する
と、エアーシリンダ（９）はロッドレスシリンダ（10）
によって自動縫合ミシン（１）の方へ移動し、後続反物
の反始を自動縫合ミシン（１）のミシンヘッド（１）′
上に運搬する。

一方、前記光電管（６）が働くと同時にガイドローラ
（２）を上下動させるロッドレスシリンダ（13）が下降
し、ハイドローラ（２）を下げると共に光電管（６）で
反物なしを確認と同時にエアーシリンダ（14）が動作し
先行の反物の最終端を把持し、自動縫合ミシン（１）の
ミシンヘッド（１）′上に位置させる。

かくして、ミシンヘッド（１）′上に位置した先行反物
の反末と後続反物の反始を重合状態で自動縫合ミシンに
動作指令を与え、両者の縫い合わせを行うと共に同動作
開始信号により、用のなくなったロッドレスシリンダ
（10）が元の位置に戻り、続いてガイドローラ用のロッ
ドレスシリンダ（13）も元の位置に上昇しガイドローラ
（２）を正常位置に復帰させる。

以上のようにして従来のように生地仕分け時の端出し、
バノック止めをする必要がなく反継ぎを自動的に行うこ
とができる。

（発明の効果） 本発明は以上のように先行反物の反末と後続反物の反始
とを自動縫合ミシンで縫合し、反継ぎを行うにあたり、
パレット昇降手段、反始把持上下動及び横動手段、ガイ
ドローラ上下動手段、先行反物の反末把持手段などの各
手段を配設して光電管など検知手段の検知にもとづいて
夫々の手段を所定の態様に従って作動させ、自動的に反
継ぎを行わせるものであり、直接、機械的に反末と反始
を縫合するものであるから、従来の如く反物間縫合の前
準備として端出しをし、反端をバノック止めすることは
特に必要がなくその手間も省けるのみならず、バノック
外れによる種々のトラブルやバノックを切り離すための
無駄な作業、時間のロスもなくなり、布帛加工における
準備作業の効率化を増進する顕著な効果を奏する。

特に本発明における準備工程は検知手段による検知にも
とづいて作業が行われる装置となっており、殆ど作業員
による人手作業を要しないため布帛加工につながる準備
作業の自動化に極めて有効である。

なお、請求項３記載の発明は反始把持機構として布帛を
傷つけずに外れないよう把持できる利点があり、把持力
の調節も可能で反始把持の確実性をもたらす実効があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法を実施する本発明装置の概要図、第
２図は同右側面概要図、第３図（ィ），（ロ）は本発明
において用いるエアーハンドの１例を示す正面図及び側
面図、第４図（イ），（ロ）はエアーハンドの把持態様
を示す説明図である。 （Ａ）……布帛滞溜部、 （ａ）……送り込まれる反物、 （１）……自動ミシン、 （１）′……自動ミシンヘッド、 （２）……ガイドローラ、 （３）……パレットリフター、 （４）……パレット、 （５）……台車積載反、 （６）……検知手段、 （７）……センサー、 （８）……エアーハンド、 （９），（14）……エアーシリンダ、 （10），（13）……ロッドレスシリンダ、 （11）……ピン、 （12）……爪。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】布帛の加工準備工程としてガイドローラを
   介して下向きに送り込まれる先行反物の反末をパレット
   上の台車に積み重ねられた後続反物の反始と自動縫合ミ
   シンにより縫合し、反継ぎを行うに際し、前記後続反物
   を収容する台車を昇降可能なパレットリフター上に載置
   し、先行反物の反末を検出したときこれにもとづいて該
   先行反物を案内する前記ガイドローラを自動縫合ミシン
   のミシンヘッド位置側方に降下させ、かつその反末を把
   持してミシンヘッド上に位置させる一方、パレットリフ
   ターを所定位置まで上昇させ、台車に積み重ねられた前
   記後続反物の反始を把持機構により把持し、前記ミシン
   ヘッド方向へ移行させて該反物を降下したガイドローラ
   上を通してその反始をミシンヘッド上に位置せしめた先
   行反物の反末と重合し、両者を自動縫合ミシンにより縫
   合すると共に、縫合ミシン動作開始信号と共に、後続反
   物把持機構を元の位置に戻し、かつ前記降下したガイド
   ローラを元の位置に上昇復帰せしめることを特徴とする
   布帛加工における反物間縫合準備方法。
2. 【請求項２】布帛の加工準備としてガイドローラを介し
   て下向きに送り込まれる先行反物の反末をパレット上の
   台車に積み重ねられた後続反物の反始と自動縫合ミシン
   により縫合し、反継ぎする装置であって、自動縫合ミシ
   ンと、該自動縫合ミシン前方に昇降動可能に設けられ検
   知手段により上昇位置が規正されたパレット昇降手段、
   該パレット昇降手段上部に上下動可能に設けられた位置
   決めセンサー付き後続反物反始把持手段、該把持手段を
   パレット昇降手段上部所定位置より前記自動縫合ミシン
   の間にわたり横方向に移動させる横移動手段、前記先行
   反物を案内するガイドローラを上部所定位置と自動縫合
   ミシンとの間で上下動させる上下動手段、同先行反物反
   末を把持し、自動縫合ミシンのミシンヘッド上に移行さ
   せる先行反物反末把持移動手段の各手段からなり、前記
   各手段は先行反物の反末を確認検知する検知手段の検知
   にもとづいて夫々所定の作動を行う如く構成されている
   ことを特徴とする布帛加工における反物間縫合準備装
   置。
3. 【請求項３】後続反物反始把持手段が下端にピンを埋め
   込んだ鈍角状の爪を有する一対の互いに対向するエアー
   ハンドの複数よりなり、上記対向するエアーハンドは反
   物上へ下降後、その対向間隔を狭め、反物を中央に寄せ
   把持する構成を有すると共に、把持力が調節可能である
   ことを特徴とする請求項２記載の布帛加工における反物
   間縫合準備装置。