JPH0789895B2 - 水蒸気で加圧加熱殺菌した缶詰の冷却方法 - Google Patents

水蒸気で加圧加熱殺菌した缶詰の冷却方法

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JPH0789895B2 JP21574289A JP21574289A JPH0789895B2 JP H0789895 B2 JPH0789895 B2 JP H0789895B2 JP 21574289 A JP21574289 A JP 21574289A JP 21574289 A JP21574289 A JP 21574289A JP H0789895 B2 JPH0789895 B2 JP H0789895B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は耐内圧力(角出し強度又はバックリング強度)
が1.0〜3.0kg/cm2で、耐外圧力(凹み変形強度はパネリ
ング強度)が0.4〜2.0kg/cm2の薄い壁厚の缶体に、飲料
や食品等を充填し、密封した缶詰を、レトルト釜内で水
蒸気により加圧加熱殺菌した後の冷却工程で、缶詰の蓋
部又は底壁が角出しやバックリングをしたり胴部がパネ
リングしたりすることがないように冷却する方法に関す
る。
(従来の技術) 缶詰をレトルト釜内で水蒸気により加熱殺菌した後に行
う冷却処理は、通常、冷却効率を良くするために、レト
ルト釜内への冷却水の供給を2〜3回に分けて行ってい
る(多次冷却方式)。
その理由は、冷却水をレトルト釜内に供給してレトルト
釜内を1回満水にするだけでは、レトルト釜と缶詰とを
所定の温度(通常35〜42℃)に下げることが難しく(1
回分の冷却水よりもレトルト釜内の熱容量が大きいた
め)、一方、満水状態に達した後、更に冷却水を供給し
続け、温まった冷却水をオーバーフローさせるような連
続冷却法を採れば、所定の温度まで下げることができる
が、缶詰の温度を均一にすることが難しいからである
(通常のレトルト釜では、冷却水はレトルト釜内の上部
から給水され、レトルト釜内の下部から排水されるよう
になっているので、レトルト釜内の上部に位置している
缶詰は速く冷えるが下部に位置している缶詰は冷えるの
が遅くなる。尚、レトルト釜によっては、この逆の場
合、即ち、下部から給水して上部から排水するようにな
っているものがあるが、この場合には、下部に位置する
缶詰が速く冷え、上部に位置する缶詰の冷え方は遅くな
る、いずれにしても、レトルト釜内に於ける垂直方向位
置によって各缶詰の温度に高低が生じてしまう)。
尚、冷却後の缶詰温度を均一にするために、レトルト釜
内の冷却水を循環させる循環ポンプも一部で採用されて
いるが、冷却水をオーバーフローさせながらしかもレト
ルト釜内循環を行うので、必然的に冷却水の使用量が多
くなり経済的でない(バッチ式で、注水、循環、排水を
複数回行って同じ温度にまで下げるのに比べて)。
ところで、缶詰をレトルト釜内で殺菌温度(通常110〜1
30℃)に加熱すると、缶詰の温度上昇に伴って缶詰の内
圧が上昇して大気圧よりもかなり高くなるので、もし何
の対策もとらないと、缶蓋(又は2ピーク缶の缶底)の
一部が外方へ突出する角出し或いは缶蓋(又は2ピーク
缶の缶底)全体が外方へ突出するバックリングという現
象が発生して缶詰が商品として販売できなくなってしま
う。
そこで缶詰を高温で殺菌する際には缶詰の内圧の上昇を
見込して又は缶詰の内圧にほぼ合わせてレトルト釜内を
加熱水蒸気や加熱空気等で加圧する(即ち、加圧加熱殺
菌をする)という方法が採られている。
一方、缶詰を水蒸気で加熱殺菌処理した後の冷却処理
は、前記したように、冷却水をレトルト釜内に導入して
行なうが、この際のレトルト釜内の急激な温度低下に伴
ってレトルト釜内の水蒸気が凝縮するので、もし何の対
策もとらないと、レトルト釜内の圧力は急激に低下して
缶詰の内圧よりも低くなり、缶詰(又は缶底)が角出し
或いはバックリング現象を起こして缶詰が商品として販
売できなくなってしまう。
この現象を起こさせないために、従来は比較的厚い壁厚
の缶体を用いたり、冷却前のレトルト釜内の圧力をかな
り高めにしておき、冷却水の導入に伴う温度低下からく
る水蒸気の凝縮によって急激な圧力降下が生じてもレト
ルト釜内の圧力と缶詰の内圧とに大きな差が生じないよ
うにしていた。
ところが、近年缶体の軽量化とコスト低減を目的として
缶体の壁厚(缶胴壁厚、缶底壁厚、缶蓋壁厚)を非常に
薄くするようになった(約0.25mmから0.22mm以下に)た
めに、冷却処理前のレトルト釜内の圧力をあまり高めに
しておくと、缶詰の胴壁が凹むパネリングという現象が
発生し易くなってしまうという新たな問題が生じた。
一方、プラスチック製やアルミニウムを主体とする複合
材製の薄壁厚容器に食品を充填・密封した後、レトルト
釜内で加圧加熱殺菌処理してから冷却処理する際のレト
ルト釜内及び密封容器内の急激な圧力変化によって密封
容器が破裂したり変形したりするのを防止するための方
法が数多く提案されている。
(イ) 加圧加熱殺菌処理した後、レトルト釜内の加熱
水を一部排出すると同時にこの排出量と同量の冷却水を
レトルト釜内に流入させ、この際のレトルト釜内の急激
な圧力低下をレトルト釜内へ加圧空気を送り込むことに
よって容器内の圧力とレトルト釜内の圧力の平衡を保ち
つつ、引続きレトルト釜内へ冷却水を送り込んで残余の
加圧熱水をレトルト釜外へ排出しながら、レトルト釜内
の圧力を徐々に低下させるというレトルト釜内の圧力制
御方法(特公昭54−38190号)。
(ロ) 加圧加熱殺菌の初期段階から殺菌、冷却に至る
までの全工程を通じてレトルト釜内の圧力と容器内圧と
の関係を、常にレトルト釜内の圧力がやや高い状態を維
持して殺菌及び冷却処理をする方法(特公昭56−12100
号)。
(ハ) 殺菌終了後にレトルト釜内への蒸気供給を停止
し、空気供給を行なってレトルト釜内の蒸気を凝縮させ
るが、この際に、レトルト釜内の飽和水蒸気圧の降下に
伴ってレトルト釜内の急激な圧力降下が生じないよう
に、空気供給量を調節し、容器内圧の降下に応じてドレ
ンコックを開いてレトルト釜内の圧力を少しずつ下げ容
器内圧が大気圧近くに下がったところでレトルト釜内か
ら容器を取り出す方法(特公昭56−22264号)。
(ニ) 密封容器の内部温度とレトルト釜内の圧力との
関係を示す変換曲線を容器内容物の加圧加熱殺菌処理に
先立って設定しておき、加圧加熱殺菌処理中、容器の内
部温度を検出し、検出された内部温度に対応するレトル
ト釜内の圧力を変換曲線より求め、求められた圧力にレ
トルト釜内圧力を保つことによりレトルト釜内の圧力を
容器内圧とほゞ平衡に保つレトルト処理法(特開昭59−
66865号)。
これら従来法の冷却開始から冷却終了までの缶のレトル
ト釜内圧と容器内圧との関係を、第6図に示す。
これから明らかなように、常にレトルト釜内圧の方が高
目に維持されている。
(解決すべき問題点) 前掲(イ)の方法にあたってはレトルト釜内の加圧熱水
を一部排出すると同時に同量の冷却水をレトルト釜内に
流入させ、この際のレトルト釜内の急激な圧力低下を加
圧空気の供給によって防止すると共に容器内の圧力とレ
トルト釜内の圧力との平衡を保ちつつ、引き続き徐々に
加圧熱水を冷却水と交換しながらレトルト釜内の圧力を
徐々に低下させるので、冷却処理に要する時間がかかり
すぎるという欠点と、殺菌処理に加圧熱水を使用するの
で貯湯タンクが必要となり、設備費が多くかかるという
難点がある。
又、(ハ)の方法では、常に容器内の圧力変化を検知装
置で検知しながらレトルト釜内の圧力を調節する必要が
あるので、操作が面倒であり、又、加圧熱水を使用する
ので、貯湯タンクが必要となり、設備費が多くかかる。
更に、(ハ)の方法では、空気を導入することによりレ
トルト釜内の温度を下げるので、冷却に時間がかかりす
ぎる。
又(ニ)の場合には殺菌及び冷却処理中の容器内の温度
を検出し続ける必要があるので、操作が面倒であり、
又、冷却処理中にレトルト釜内へ加圧空気を供給し続け
るので、後述の如く加圧空気の消費量が多くなりコスト
高となるおそれがある。
ところで、水蒸気を用いて加圧加熱殺菌した缶詰を冷却
するには、レトルト釜内に冷却水を注入するのが普通で
あるが、冷却水を注入すると水蒸気が凝縮してレトルト
釜内の圧力が急激に低下するので、これを避けるために
は冷却開始前のレトルト釜内の水蒸気の大部分を加圧空
気を置換しておくことが必要となる。
ところが、レトルト釜内の空隙部が広いために、この置
換には大量の加圧空気が必要となり、しかもレトルト釜
内の加圧力が大きい程、多くの加圧空気が必要となるの
で、前記した従来技術のように、冷却開始前からレトル
ト釜内の圧力を缶詰の内圧よりも少し高目に保持しよう
とするとコスト高になってしまう。
又、常にレトルト釜内の圧力を缶詰の内圧よりも少し高
目に維持するという従来技術の考え方を、冷却効率の良
い多次冷却方式による冷却方法に採用すると、冷却水の
レトルト釜内への注入排出(レトルト釜内の水位の変
動)に応じて、大量の加圧空気を使用してレトルト釜内
の圧力を所定の範囲内に保つ必要がある(冷却水の注入
時のレトルト釜内から空気を排出し、排出時には空気を
圧入する)ので、かなりコスト高になってしまう。
本発明は、上記従来技術にみられる問題点を解消するこ
と、即ち、耐内圧力が1.0〜3.0kg/cm2で耐外圧力が0.4
〜2.0kg/cm2の範囲内の薄い壁をもつ缶体に飲料や食品
等を充填し密封した後の缶詰を、レトルト釜内で水蒸気
により加圧加熱殺菌処理した後に冷却する方法であっ
て、冷却水や加圧空気の消費量をできるだけ少なくし、
簡単で冷却効率が良く、しかも缶詰が角出しやバックリ
ングやパネリング等の永久変形を起こさない冷却方法を
提供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するための本発明は薄い壁厚の缶体に飲
料や食品等を充填し、密封した缶詰を、レトルト釜内に
収容して水蒸気で加圧加熱殺菌した後に、該レトルト釜
内に冷却水を2回以上導入することによって該缶詰を冷
却する方法であって、 実質的に冷却開始直後から該缶詰内の温度が90℃以下に
なるまでの所定の間、該レトルト釜内を加圧して、該缶
詰が角出しやバックリングせずしかもパネリングしない
範囲内の圧力に該レトルト釜内圧を維持し、その後、該
缶詰の温度低下に伴って該レトルト釜内圧以下に低下し
た該缶詰内圧と該レトルト釜内圧との差圧が、該缶詰に
パネリングを発生させるだけの大きさに到達する前に、
該レトルト釜内の加圧を停止して該レトルト釜内圧を大
気圧となした状態で該缶詰の冷却を続け、その後、該缶
詰の冷却終了直前に、該レトルト釜内を加圧して、該缶
詰の缶蓋又は/及び底壁の外方への膨出は修正するが、
該缶詰の胴壁にパネリングを発生させない範囲内の圧力
に該レトルト釜内圧を保持してから該缶詰の冷却を停止
することを特徴とする水蒸気で加圧加熱殺菌した缶詰の
冷却方法である。
ここで、「実質的に冷却開始直後」とは、直後もしくは
冷却開始後僅少時間(60秒以内)後、を意味するもので
ある。
(作用) 本発明では、レトルト釜内を加圧する時期が実質的に冷
却開始直後から温度低下に伴って低下した缶詰内圧とレ
トルト釜内圧との差圧が缶詰にパネリングを発生させる
だけの大きさになる前までの時間と、冷却終了直前の短
時間だけなので、加圧空気をレトルト釜内へ供給する時
間が短かくなり、しかも冷却終了直前のレトルト釜内は
大部分が冷却水で満たされていて空隙部分が少ないの
で、少ない加圧空気で(又は冷却水を更に追加するだけ
で加圧空気を供給しないでも)十分加圧でき、従って、
加圧空気の消費量が少なくて済む。
又、本発明では、冷却終了直前に、缶蓋又は/及び底壁
の外方への膨出を修正し得るだけの圧力をレトルト釜内
に付与するので、薄い壁厚の缶体を使用した結果、レト
ルト釜内を加圧していなかった時期に缶蓋又は/及び底
壁が外方へ膨出したとしても、冷却終了時には修正され
ているので、冷却処理中常にレトルト釜内圧を缶詰内圧
よりも高目に維持して冷却処理した缶詰と同等の良好な
外観のもとが得られる。
更に、本発明では、レトルト釜内への加圧を停止してレ
トルト釜内を大気圧にするのが、缶詰内の温度が90℃以
下50℃以上に成った時点なので、通常は未だ1次冷却水
がレトルト釜内にある時期に相当し、その結果、1次冷
却水の排出と2次冷却水の注入(導入)とを行う際に、
レトルト釜内圧を一定圧に維持するために、加圧空気を
供給し続けた(排出中)後に加圧空気を排気し続ける
(注入中)という加圧空気の無駄使いがない上に、2次
又は2次と3次の冷却水の注入作業をレトルト釜内が大
気圧の際に行うので、作業が容易であり、注入スピード
を上げることができる。
次に本発明の実施態様を詳述する。
第1図は、本発明を実施するための加圧加熱殺菌装置の
概略図である。
1はレトルト釜であり、2は図示しない加熱水蒸気供給
源とレトルト釜1とを連結している水蒸気供給管で、水
蒸気弁3を備えている。又は、4は図示しない加圧空気
供給源とレトルト釜1とを連結している加圧空気管で、
空気弁5を備えている。6は図示しない冷却水供給源と
レトルト釜1とを連結する給水管で、7は給水弁であ
る。又、8は排気弁であり、9は排水弁である。
次に、本発明の冷却法を実施するための操作法について
説明する。
所定の時間、缶詰を加圧加熱殺菌した後、水蒸気弁3を
閉じる。
次いで、急激に水蒸気が凝縮してレトルト釜内の圧力が
大巾に低下しない程度の給水弁7を徐々に開ける(1次
冷却の開始)。
レトルト釜1内の圧力が0.5〜1.0kg/cm2の範囲内に下が
った時点で、空気弁5を開け、レトルト釜1内へ加圧空
気を供給してレトルト釜1内の圧力が0.5kg/cm2以下に
下がらないように調整しながら冷却する。
レトルト釜内の圧力をこの範囲に限定するのは1.0kg/cm
2以上の圧力下で冷却すると、冷却が進むにつれて缶詰
内が冷却されて部分的に負圧状態になる缶詰が見られる
ようになり、缶胴が外圧に耐えられずにパネリング(凹
む)を生ずるためであり、0.5kg/cm2以下の圧力で冷却
すると、冷却初期において缶詰内の圧力がレトルト釜内
の圧力より高くなり、缶蓋又は/及び底壁が膨出して角
出し又はバックリングを生ずるためである。
尚、レトルト釜内の缶詰(缶詰はバスケットに詰められ
た状態でレトルト釜内に収容されている)が十分に水没
するまで給水が続けられる。
給水弁7を閉じて給水を停止した後、各缶詰の冷却速度
のムラを少なくするために、図示しないポンプを用いて
冷却水を循環させる。
1次冷却の時間はレトルト釜1内への給水速度によって
異なるが、5〜10分間程度でよい。
1次冷却終了後、排気弁8を開けてレトルト釜1内を大
気圧に戻してから、排水弁9を開けてレトルト釜1内の
1次冷却水を排出する。
1次冷却水を排出後、排水弁9を閉じ、給水弁7を開け
て2次冷却水を大気圧下のレトルト釜1内へ給水し、2
次冷却を開始する。
2次冷却水も缶詰が十分に水没するまで給水した後、給
水弁7を閉じて冷却水を循環させて冷却を続ける。
冷却終了直前に、排気弁8を閉じた後、空気弁5を開け
て加圧空気をレトルト釜1内に供給し、レトルト釜1内
を0.1〜0.7kg/cm2の範囲内の圧力で短時間(5〜10秒
間)加圧する。
この加圧は、缶蓋や缶底壁(2ピース缶の場合)の歪み
(外方への膨出)を元の状態に復元修正するためのもの
で、これによって缶詰がすべて正常な外観(厚い壁厚の
缶体を用いた負圧缶詰と同様な外観)になる。
その後、空気弁5を閉じた後、排気弁8を開けてレトル
ト釜1内を大気圧にすると共に排水弁9を開けて2次冷
却水を排出する。
排水終了後、レトルト釜1の扉(図示せず)を開けて缶
詰をレトルト釜1内から取り出す。
上記説明の冷却開始から冷却終了までのレトルト釜内圧
力と缶詰内の圧力及び温度の変化を第2図に示す。
第2図において、実線はレトルト釜内圧力を、太い破線
は缶詰内圧力を、一点鎖線は缶詰内温度をそれぞれ示
す。
1次冷却の初期の段階(通常冷却開始から60秒以内)か
らレトルト釜内圧力を0.5〜1.0kg/cm2の範囲内に維持す
るわけであるが、この圧力は、冷却処理する缶詰に使用
されている缶体の耐内圧力と耐外圧力とを勘案して(特
に耐内圧力を重視)決定する。
又、レトルト釜内圧力を大気圧にする時期は、レトルト
釜内圧力と缶詰内圧力との差圧が缶詰にパネリングを起
こす前であり、これは冷却処理する缶詰に用いられてい
る缶体の耐外圧力によって決定されるが、缶詰内温度が
90℃以下50℃以上の温度範囲内の値に下がった適当な時
期を選べばよい。
第3図は、上記説明の冷却開始から冷却終了までの冷却
水の動き、即ち、レトルト釜内への冷却水の供給、レト
ルト釜内から冷却水の排出工程を示す図である。
第2〜3図を参照して、1次冷却時に0.5〜1.0kg/cm2
範囲内の圧力にレトルト釜内圧力を維持するのは、缶詰
の角出し防止のためであり、その後、缶詰内圧力が低下
してレトルト釜内圧力と缶詰内圧力との差圧によって缶
詰にパネリングが発生する前に、レトルト釜内圧力を大
気圧まで下げて冷却を続けるのは、加圧空気の消費量を
少なくするためであり、再度レトルト釜内を加圧するの
は、缶蓋(又は2ピース缶の底壁)が大気圧下での冷却
中に外方へ膨出したのを修正するためである。
例えば、板厚が0.15〜0.20mmのアルミニウム合金から製
造した外径が50〜65mmの開口容易缶蓋を用いた場合、缶
詰内圧力がレトルト釜内圧よりも高いと、アルミニウム
合金製缶蓋は外側に膨出する。
その後、冷却処理の進行に伴って缶詰内圧力がマイナス
(缶詰内外の差圧が10〜30cmHg)になっても、そのまま
放置しておいたのでは缶蓋の膨出は直らない。
これでは、細菌の繁殖に起因する膨張缶と外観上区別が
付かないので、加圧加熱殺菌した缶詰として好ましくな
い。
しかしながら、本発明のように、冷却終了直前に僅かの
時間、レトルト釜内を0.1〜0.7kg/cm2加圧するだけでア
ルミニウム合金製缶蓋の膨出は修正される。
この加圧手段としては、レトルト釜内へ加圧空気を供給
する方法の他に、排気弁8を閉じたままレトルト釜内へ
更に冷却水を供給してレトルト釜内の冷却水位を上げる
ことにより、レトルト釜内の空隙部分の容積を小さくし
てこの部分に収容されている空気を圧縮させる方法もあ
る。
ところで薄い壁厚の缶蓋の場合には、加熱殺菌中に缶詰
内圧力によって外側方向への歪みを付与され、それが冷
却処理中も残っていることがあるが、この歪みも冷却終
了直前にレトルト釜内を加圧することによって取り除く
ことができる。
尚、この際の加圧力は、缶詰に使用される缶体の耐外圧
力以下である必要があることは勿論である。
次に、角出し強度(耐内圧力)が2.0kg/cm2で、パネリ
ング強度(耐外圧力)が1.0kg/cm2の薄い壁厚の缶体を
用いた缶詰を、130℃で加圧加熱殺菌した後、本発明方
法で冷却処理する場合の缶詰内圧力とレトルト釜内圧力
との関係を第4図に示す。
即ち、缶詰が冷却するに伴って実線の如く缶詰内圧力が
低下する場合、レトルト釜内圧力を太い破線で示す如く
制御すれば良い。
尚、レトルト釜内圧力の0.5〜1.0kg/cm2の範囲内での決
定(この範囲内でどの値にするか)と、レトルト釜内圧
力を大気圧にする時期の決定とは、缶体の耐内圧力と耐
外圧力を測定すると共に実缶をレトルト釜内に入れて加
熱殺菌処理と冷却処理とを行って(予備試験)得たデー
タを基に行なわれる。
(実 施 例) 板厚が0.19mmの薄スズメッキ鋼板から抵抗シーム溶接法
により製造した胴部外径が約54mmで、高さが133.4mmの
両端ネックイン缶胴に、板厚が0.20mmのアルミニウム合
金板から製造した開口容易缶蓋(外径50.8mm)を巻締め
接合して得た内容積263mlの缶胴(通称250g缶)に、糖
度10(比重が1.04)で温度は80℃のコーヒー飲料を、周
知の充填機を用いて500缶/分の速度で充填した後、板
厚が0.19mmのフィンフリースチール(TFS−CT)製缶蓋
(外径50.8mm)を周知の缶蓋巻締機を用いて窒素ガスを
缶胴のヘッドスペース部に吹き込みながら(窒素ガスの
吹込量23m3/時)缶胴に巻締めて缶詰となした。
尚、コーヒー飲料を充填しない缶体を用いて耐内圧力
(缶蓋が角出し又はバックリングするまでの缶体内圧力
と缶体外圧力との差圧)と耐外圧力(缶胴がパネリング
するまでの缶体外圧力と缶体内圧力との差圧)を測定し
たところ、それぞれ2.9kg/cm2と1.6kg/cm2であった。
尚、耐内圧力と耐外圧力とは下記の方法で測定した。
(i)耐内圧力測定 内容物を充填しないで缶蓋を巻締めて密封した缶体の測
定対象と反対側の缶蓋(2ピース缶ならば缶底の場合も
ある)に、加圧空気供給源と連通し途中に圧力ゲージを
備えている加圧空気導入針を刺し込み、空気が漏れない
ように固定した後、徐々に加圧空気を缶体内に入れてゆ
き、測定対象の缶蓋の角出し(変形)が生ずる時の缶体
内の圧力をゲージで読み取る。通常は両端共に測定して
(少なくとも2つの缶体を使用することになる)、低い
方の圧力(弱い缶蓋又は缶底)を耐内圧力とする。
(ii)耐外圧力測定 内容物を充填しないで缶蓋を巻締めて密封した缶体を耐
圧容器内に収容し、耐圧容器内の圧力を徐々に加圧空気
により上げてゆき、缶体の胴部が凹んだ時の圧力をゲー
ジで読み取り、これを耐外圧力とする。
さて、上記方法で製造した缶詰を周知のバスケットに積
み重ねて第1図に示すレトルト釜内に収容した後、排気
弁8を開けると共に水蒸気弁3を開けて加熱水蒸気をレ
トルト釜1内に供給して、先ずレトルト釜1内の空気を
水蒸気と置換し、その後、排気弁8を閉じてレトルト釜
1内を所定の圧力(1.2kg/cm2)と温度(123℃)にした
後、缶詰を123℃で20分間加熱殺菌した(空気と置換し
た後のカムアップに15分間要した)。
その後、水蒸気弁3を閉じてから給水弁7を徐々に開け
て1次冷却水のレトルト釜1内への供給を開始した。レ
トルト釜1内の圧力が0.7kg/cm2に下がった時点で空気
弁5を開け、レトルト釜1内へ加圧空気を供給して、給
水開始時から7分間レトルト釜1内の圧力を0.7kg/cm2
に維持しながら冷却を続けた(冷却水中に全部の缶詰が
完全に漬かった時点で給水を止めポンプで冷却水を循環
させた)。
その後、空気弁5を閉じ、排気弁8を開けて加圧空気や
水蒸気を排気すると共に排水弁9を開けて1次冷却水を
排出させた。
1次冷却水の排出後、排水弁9を閉じ、給水弁7を開け
て、レトルト釜1内の全部の缶詰が完全に水没するまで
2次冷却水を供給した。
給水弁7を閉じて給水を停止させた後、ポンプで冷却水
を循環して缶詰の均一な冷却を図った。
冷却終了直前に、排気弁8を閉じ、空気弁5を開けてレ
トルト釜1内に加圧空気を供給して5秒間レトルト釜1
内の圧力を0.5kg/cm2に維持した。
その後、空気弁5を閉じ、排気弁8を開けると共に排水
弁9を開けて2次冷却水を排出した後、レトルト釜1内
から缶詰を取り出した。
本実施例の冷却シーケンスを第5図に示す。
本実施例では4800ケース(144,000缶)を14回に分けて
処理したが、外観が異常な缶(変形缶)は1個もなかっ
た。
又、処理済みの缶詰30個の20℃に於ける真空度を測定し
たところ、平均20cmHg(17〜22cmHg)であった。
(比 較 例) 比較例1 1次冷却水による冷却を大気開放(排気弁8開放、空気
弁5閉塞)で行ったこと以外は実施例と同一の方法で処
理した。
数多くの角出し缶詰が発生してしまった。
比較例2 2次冷却終了直前のレトルト釜1内の加圧を行わなかっ
たこと以外は実施例と同一の方法で処理した。
アルミニウム合金製缶蓋のほとんど全部が外方へ膨出し
てしまった。
比較例3 実施例と同一方法で殺菌した後、水蒸気弁3を閉じ、空
気弁5を開けて加圧空気をレトルト釜1内に供給してレ
トルト釜1内の圧力を1.3kg/cm2に上げてから、この圧
力を加圧空気で維持しながら給水弁7を開けて1次冷却
水をゆっくりとレトルト釜1内へ給水し全部の缶詰が完
全に水没した後、給水弁7を閉じ、ポンプでこの冷却水
を循環させて冷却を行った(給水開始から7分間)。
その後、加圧空気でレトルト釜1内の圧力を維持しなが
ら排水弁9を開けて1次冷却水を排出した後、排出弁9
と空気弁5とを閉じ、給水弁7を開けて2次冷却水をレ
トルト釜1内へ給水すると共に排気弁8を少し開けて排
気を行うことによりレトルト釜1内の圧力を維持しつつ
給水を続けた。
全部の缶詰が完全に水没した後、給水弁7と排気弁8と
を閉じ、2次冷却水をポンプで循環させて冷却を行った
(給水開始から25分間行った)。
その後、排気弁8を開けると共に排水弁9を開けて2次
冷却水を排出した後に、レトルト釜1内から缶詰を取り
出した。
この冷却方法で処理した缶詰のほとんど全部の缶胴にパ
ネリングが発生していた。
比較例4 1次冷却水の排水以降のレトルト釜1内を大気圧にする
こと以外は比較例3と同一の方法で処理した。
この冷却方法で処理した缶詰の缶胴の多くにパネリング
が発生していた。
比較例1〜4の冷却方法により処理した缶詰との比較か
ら、本実施例の冷却方法は、薄い壁厚をもつ缶体、換言
すると、耐内圧力と耐外圧力の低い缶体を用いた缶詰で
あって、水蒸気による加圧加熱殺菌をした缶詰の冷却方
法として優れていることが判る。
(発明の効果) 本発明は、薄い壁厚の缶体を用いた缶詰の耐外圧力と耐
内圧力とを勘案して必要最小限と言える量の加圧空気を
使用するだけなので、加圧空気の消費量が少なくて済
み、又冷却初期に好適なレトルト釜内圧力を維持すると
共に冷却終了直前に缶蓋等の外方への膨出を修正し得る
圧力をレトルト釜内に付与するので、従来法では変形す
る故に使用できなかったような厚さが0.20mm以下の薄い
壁厚の缶体を、水蒸気による加圧加熱殺菌を必要とする
内容物用の缶体として使用でき、その結果、缶詰製造コ
ストを大幅に低下させることができる。
又、本発明は実質的に冷却開始直後から一定期間は、レ
トルト内圧力を一定に維持し、その後は、大気圧にし、
最後に僅かに加圧するだけなので、レトルト釜内圧力の
制御が簡単且つ容易である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するための加圧加熱殺菌装置の概
略図である。 第2図は、本発明の冷却開始から冷却終了までのレトル
ト釜内圧力と缶詰内の圧力及び温度の変化を示す図であ
り、第3図はその際の冷却水の動きを示す図である。 第4図は、角出し強度が2.0kg/cm2でパネリング強度が
1.0kg/cm2の薄い壁厚の缶体を用いた缶詰を130℃で加熱
殺菌した後、本発明方法で冷却処理する場合の缶詰内圧
力とレトルト釜内圧力との関係を示す図である。 第5図は本発明の一実施例の冷却シーケンスである。 第6図は、従来法の冷却開始から冷却終了までの容器内
圧とレトルト釜内圧との関係を示す図である。 1……レトルト釜、3……水蒸気弁、5……空気弁、7
……給水弁、8……排気弁、9……排水弁。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄い壁厚の缶体に飲料や食品等を充填し、
    密封した缶詰を、レトルト釜内に収容して水蒸気で加圧
    加熱殺菌した後に、該レトルト釜内に冷却水を2回以上
    導入することによって該缶詰を冷却する方法であって、 実質的に冷却開始直後から該缶詰内の温度が90℃以下に
    なるまでの所定の間、該レトルト釜内を加圧して、該缶
    詰が角出しやバックリングせずしかもパネリングしない
    範囲内の圧力に該レトルト釜内圧を維持し、 その後、該缶詰の温度低下に伴って該レトルト釜内圧以
    下に低下した該缶詰内圧と該レトルト釜内圧との差圧
    が、該缶詰にパネリングを発生させるだけの大きさに到
    達する前に、該レトルト釜内の加圧を停止して該レトル
    ト釜内圧を大気圧となした状態で該缶詰の冷却を続け、 その後、該缶詰の冷却終了直前に、該レトルト釜内を加
    圧して、該缶詰の缶蓋又は/及び底壁の外方への膨出は
    修正するが、該缶詰の胴壁にパネリングを発生させない
    範囲内の圧力に該レトルト釜内圧を保持してから該缶詰
    の冷却を停止することを特徴とする水蒸気で加圧加熱殺
    菌した缶詰の冷却方法。
  2. 【請求項2】レトルト釜内の加圧を停止するのは、1次
    冷却水による冷却によって缶詰内の温度が90℃以下50℃
    以上の範囲内になった時点であることを特徴とする請求
    項1記載の缶詰の冷却方法。
  3. 【請求項3】レトルト釜内の再加圧を、缶詰内温度が20
    〜45℃の範囲内になった時点で行うことを特徴とする請
    求項1または2記載の缶詰の冷却方法。
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