JPH0788135A - 着座および起立補助装置付椅子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 着座並びに起立が何れも楽にできる着座およ
び起立補助装置付椅子を提供する。 【構成】 前脚４と後脚５とからなる左右一対をなす脚
体３，３に座席受フレーム１を水平に支持させて該座席
受フレームの左右両側辺に奥行き方向に長いブラケット
７，７を設けると共に、これらのブラケット７，７の後
部寄りに長孔１７を設け、また、座席１０の裏面左右両
側に前部支持片１４と後部支持片１５とを垂設して前部
支持片１４に長孔１６を設け、一方、長杆１１と短杆１
２を連結杆１３を介してＸ状に交差させてなる左右一対
をなすリンク部材９，９の長杆１１の上下両端をブラケ
ット７の前部位置と後部支持片１５とに枢支させると共
に、短杆１２の上下両端を摺動ピン２０，２１を介して
前記長孔１６，１７に遊嵌させ、さらに、前記連結杆１
３と座席受フレーム１の後端部の間にばね部材２２を締
緩調節自在に装着して、該ばね部材２２の付勢により座
席１０を無負荷状態で前傾位置させると共に、負荷状態
で水平に位置させるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、下肢の筋力が低下した
り、関節等に痛みのある人が下肢に体重負荷をかけず
に、着座がし易く、しかも、着座した状態から起立がし
易い着座および起立補助装置付椅子に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】近時、高齢化が急速に進展しているわが
国で、高齢者や障害者が椅子から立ち上がるときに、膝
や腰等に掛かる負担を軽くして、楽に立ち上がれるよう
に工夫されたものが強く要望されている。しかしなが
ら、このような要望を満足することができるような椅子
はこれまでには見受けられない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】それ故に本発明の目的
は、たとえ、介護を必要とするような高齢者や障害者で
あっても、自力で椅子から楽に立ち上がることができ、
しかも座わる時も楽な補助機能を備えた椅子を提供せん
とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の椅子は、前脚と後脚とからなる左右一対を
なす脚体に座席受フレームを水平に支持させて該座席受
フレームの左右両側辺に奥行き方向に長いブラケットを
設けると共に、これらのブラケットの後部寄りに長孔を
設け、また、座席の裏面左右両側に前部支持片と後部支
持片とを垂設して前部支持片に長孔を設け、一方、長杆
と短杆を連結杆を介してＸ状に交差させてなる左右一対
をなすリンク部材の長杆の上下両端をブラケットの前部
位置と後部支持片とに枢支させると共に、短杆の上下両
端を摺動ピンを介して前記各長孔に遊嵌させ、さらに、
前記連結杆と座席受フレームの後端部の間にばね部を締
緩調節自在に張設して該ばね部材の付勢により座席を無
負荷状態で前傾位置させると共に負荷状態で水平に位置
させるように構成した。

【０００５】

【作用】前傾位置にある座席に着座することにより、そ
の座席に体重負荷がかかり、その負荷に応じてばね部材
が伸長して、長杆と短杆が交差しているリンク部材が次
第に水平に近付き、楽に着座することができる。そし
て、このような着座状態から起立する時に腰を浮かせる
ことにより、座席に掛かる体重負荷が減少して、伸長し
ていたばね部材が次第に収縮してリンク部材が水平状態
から起立し、座席を水平状態から前傾させ、着座者は楽
に起立することができる。

【０００６】

【実施例】以下に本発明の一実施例を図面と共に説明す
る。図において１は座席受フレームであり、該座席受フ
レームは水平面で後向きのコ形状をなし、その後端に背
もたれ３２のフレーム２が起立状に一体に延設されてい
る。３，３は座席受フレーム１の左右両側に立設される
左右一対の脚体であり、これらの脚体３，３はそれぞれ
直立状の前脚４と後脚５の上端を座席受フレーム１より
上方に突出させると共に上端を連結して肘掛６とし、側
面門形をなすように形成される。座席受フレーム１の左
右側辺部１ａ，１ａの前部寄り内側に前後方向に長いブ
ラケット７，７を固設し、さらにこれらのブラケット
７，７より後方で座席受フレーム１の左右側辺部１ａ，
１ａを横バー８で連結している。なお、座席受フレーム
１，背もたれフレーム２，脚体３，３及び横バー８はそ
れぞれ角パイプ材で形成されている。

【０００７】９，９は座席１０を着座しない無負荷状態
で前傾させると共に、着座した負荷状態で水平になるよ
うに支持させるリンク部材であり、座席１０の左右側端
に対設される。これらのリンク部材９，９はそれぞれ長
杆１１と短杆１２をＸ状に交差させて組み合わせると共
に双互の交差点に連結杆１３の両端を軸支させる。前記
座席１０の裏面には左右両側端の前後位置に前部支持片
１４と後部支持片１５をそれぞれ垂設し、前部支持片１
４に長孔１６を開設している。また、前記ブラケット
７，７の後端寄り位置にも長孔１７を開設している。そ
して、長杆１１は上端を回転ピン１８を介して後部支持
片１５に枢支させると共に、下端を回転ピン１９を介し
てブラケット７の前端に枢支させ、短杆１２は上端に回
転摺動ピン２０を固設すると共に、下端に摺動ピン２１
を固設し、回転摺動ピン２０を前記支持片１４の長孔１
６に遊嵌させると共に、摺動ピン２１はブラケット７の
長孔１７に遊嵌させる。

【０００８】２２は座席１０の傾動する動作を着座者の
体重差に応じて調節するためのコイルばねである。該コ
イルばね２２は前端を連結杆１３に固設した支持杆２３
に支持させると共に、後端を調節用ねじ部材２４で支持
させるようにしている。この調節用ねじ部材２４は調節
ボルト２５とこの調節ボルト２５を伸縮可能に螺合させ
るスペーサ２６の組み合わせで構成され、スペーサ２６
の前端にコイルばね２２の後端を支持させ、調節ボルト
２５を前記横バー８に固設した支持片２７に回動自在に
支持させるようにしている。そして、着座者の体重に応
じて調節ボルト２５の締付けを体重が重い場合は強く締
め付け、体重が軽い場合は弱く締め付けるように締緩加
減する。

【０００９】また、２８はリンク部材９の短杆１２の傾
斜角度を調節すると共に短杆１２のストッパを兼ねるね
じ部材で、調節ボルト２９とナット３０とからなり、ナ
ット３０をブラケット７の内側面に固定させ、このナッ
ト３０に螺合させた調節ボルト２９の先端を短杆１２の
下端側面に衝止させるようにしている。前記座席１０の
下面左右両側端前後位置に、座席受フレーム１の左右側
片部１ａ，１ａに対向させて緩衝材３１を固設してい
る。

【００１０】このように構成される本発明の椅子は、座
席１０が常時図１及び図２に示すように前傾している。
そして、図３に実線で示すように着座者Ｍが着座すると
その体重が負荷となり、負荷に応じてコイルばね２２が
伸長して座席１０は傾斜を減じ、着座が完了すると図３
鎖線のように座席１０は座席受フレーム１上に重なり水
平状態になるように構成されている。

【００１１】このように構成した本発明の椅子は、調節
用ばね部材２４のスペーサ２６に対するボルト２５の締
め付けを強弱加減することにより、コイルばね２２の弾
発付勢力を着座者Ｍの体重に合わせて調節する。このよ
うにして着座者Ｍの体重に合わせてコイルばね２２の弾
発付勢力を調節した椅子は、図４に示すように、座席１
０に負荷を掛けない前傾の状態の時リンク部材９の長杆
１１と短杆１２はＸ状に交差し、短杆１２の上端に設け
た回転摺動ピン２０は前部支持片１４の長孔１６の後部
寄りに位置すると共に、短杆１２下端の摺動ピン２１が
ブラケット７の長孔１７の前端寄りに位置し、座席１０
を所要の前傾状態に支持する。

【００１２】そして、着座者Ｍの体重が座席１０に掛か
ることにつれて、その荷重に追随してコイルばね２２が
伸長して図５に示すようにリンク部材９は長杆１１と共
に短杆１２が水平に近くなり、短杆１２の上端に設けた
回転摺動ピン２０は長孔１６の前端に移動すると共に、
短杆１２下端の摺動ピン２１は次第に長孔１７の後端側
に移動する。

【００１３】そして、着座者Ｍが着座を完了した図３鎖
線位置及び図６に示す状態では、コイルばね２２は伸長
して、リンク部材９は長杆１１及び短杆１２とも水平に
近い状態となり、短杆１２の上端に設けた回転摺動ピン
２０は長孔１６の前端に位置すると共に、短杆１２の下
端に設けた摺動ピン２１は長孔１７の後端に位置してい
る。

【００１４】このようにして着座している着座者Ｍが椅
子から立ち上がろうとして腰を浮かすと、座席１０に掛
かる体重負荷が減少して、コイルばね２２が体重負荷の
減少に追随して次第に収縮することによって、図６から
図５，そして図４に示すようにリンク部材９の長杆１１
と短杆１２が互いに高く起立し、それに伴ない座席１０
が傾斜するから、着座者Ｍは両手を肘掛け６，６に当て
腰と共に上半身を浮かせれば、容易に立ち上がることが
できる。

【００１５】

【発明の効果】以上述べたように本発明の椅子は、着座
に際しては両手を肘掛に当てて、前傾している座席に尻
を当て座席に体重を掛ければ楽に着座することができ
る。 そして、このような着座状態から起立するときに
は、着座者は両手で肘掛を押し付けて腰を浮かせるよう
にすれば、座席が次第に前傾して楽に起立することがで
きる。結局、本発明の椅子は着座や起立の何れの動作も
テーブル等や人の介護を必要とすることなく自力で楽に
行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる椅子の全体斜視図。

【図２】図１の要部を示す斜視図。

【図３】動作を説明する全体斜視図。

【図４】同上着座が前傾している状態を示す要部拡大側
面図。

【図５】同上着座が前傾から水平になる中間の状態を示
す要部拡大側面図。

【図６】同上着座が水平状態を示す要部拡大側面図。

【符号の説明】

１ 座席受フレーム １ａ，１ａ 左右側辺部 ３，３ 脚体 ４，４ 前脚 ５，５ 後脚 ７，７ ブラケット ９，９ リンク部材 １０ 座席 １１ 長杆 １２ 短杆 １３ 連結杆 １４ 前後支持片 １５ 後部支持片 １６，１７ 長孔 ２０，２１ 摺動ピン ２２ コイルばね ２４ 調節用ねじ部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前脚と後脚とからなる左右一対をなす脚
   体に座席受フレームを水平に支持させて該座席受フレー
   ムの左右両側辺に奥行き方向にブラケットを設けると共
   に、これらのブラケットの後部寄りに長孔を設け、ま
   た、座席の裏面左右両側に前部支持片と後部支持片とを
   垂設して前部支持片に長孔を設け、一方、長杆と短杆を
   連結杆を介してＸ状に交差させてなる左右一対をなすリ
   ンク部材の長杆の上下両端をブラケットの前部位置と後
   部支持片とに枢支させると共に、短杆の上下両端を摺動
   ピンを介して前記各長孔に遊嵌させ、さらに、前記連結
   杆と座席受フレームの後端部の間にばね部材を装着して
   該ばね部材の付勢により座席を無負荷状態で前傾位置さ
   せると共に負荷状態で水平に位置させるように構成した
   着座および起立補助装置付椅子。
2. 【請求項２】 ばね部材は、その一端に調節用ねじ部材
   を設けて、該調節用ねじ部材の締め付けを着座者の体重
   に応じて締緩調節し、弾発付勢力を調節するようにした
   請求項１記載の着座および起立補助装置付椅子。