JPH078729A - ガス用フィルタとその製造方法 - Google Patents

ガス用フィルタとその製造方法

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JPH078729A
JPH078729A JP5180688A JP18068893A JPH078729A JP H078729 A JPH078729 A JP H078729A JP 5180688 A JP5180688 A JP 5180688A JP 18068893 A JP18068893 A JP 18068893A JP H078729 A JPH078729 A JP H078729A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】パティキュレートトラップなどに好適な逆洗性
に優れたガス用フィルタを提供する。 【構成】フィルタのフィルタ面を構成している骨材粒子
3の表面を、平均の厚さが4μm以下の表面が滑らかな
膜4によって、ガス用フィルタの濾過面にある気孔の開
口の大部分を塞がないように被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は逆洗による再生が良好な
ガス用フィルタとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ディーゼル機関の排気ガス中には炭素を
主成分とするパティキュレートが含まれ、このパティキ
ュレートを除去することを目的としてセラミックフィル
タが組み込まれたパティキュレートトラップが開発され
ている。セラミックフィルタには互いに平行な方向に延
在する含塵ガス流路と清浄ガス流路を有するハニカム型
フィルタと、含塵ガス流路と清浄ガス流路とが互いに交
差する方向に延在する交差流型フィルタの2種類があ
る。
【0003】セラミックフィルタに捕集されたパティキ
ュレートを除去または処理する方法として2つの方法が
志向され、その1つはフィルタに捕集された状態でパテ
ィキュレートを燃やす方法であり、もう1つはフィルタ
に捕集されたパティキュレートを逆洗し、別の場所に移
してから燃やす方法である。これらのパティキュレート
トラップにはハニカム型フィルタと交差流型フィルタの
いずれも使用が可能である。
【0004】しかし、パティキュレート中には若干の燃
えない灰分が含まれており、パティキュレートをフィル
タ中で焼却すると、燃えない灰分がフィルタを目詰りさ
せて通気圧損が増大するので、長時間の連続運転への対
応が必要なことから後者の方法が優れていると考えられ
る。
【0005】セラミックフィルタには耐熱性があるの
で、パティキュレートの燃焼熱にもある程度耐えられる
が、セラミックフィルタ中に多量のパティキュレートを
捕集した状態で、あるいは逆洗が不十分な状態でパティ
キュレートを急速に燃焼せしめると、1400℃より高
い融点を有する熱膨張率が小さいコーディェライト質の
セラミックフィルタであっても、溶損したりフィルタ中
に生じる大きい温度勾配によって熱破損する問題が起き
がちである。
【0006】逆洗を行うパティキュレートトラップで
は、逆洗によるフィルタの再生が常に十分になされてい
れば、基本的にはフィルタの溶損や熱破損は起きないは
ずである。しかし、フィルタの熱損傷はディーゼル機関
の特定の運転条件のときに起きており、逆洗によるフィ
ルタの再生が十分になされず、捕集されたパティキュレ
ートが逆洗時に濾過壁から剥離されない部分が残ってい
る場合に起きることが分かった。
【0007】逆洗によるフィルタの再生を十分に行うに
は、逆洗ガスの圧力を高めたり、含塵ガス流路の断面形
状を丸くして逆洗再生がなされにくいコーナー部分をな
くすなどの方法があるが、あまり逆洗の圧力を高めると
フィルタのシールが問題となり、含塵ガス流路のコーナ
ー部分をなくす方法もパティキュレート中に粘着性の成
分が少々含まれているような場合には十分な逆洗再生が
なされない。
【0008】このような現象は、石炭の燃焼排ガス中の
灰を除去する場合、たとえば加圧流動層燃焼器の燃焼排
ガスを除塵する大型の除塵装置のフィルタについても起
きている。たとえば、間欠的に排出される煤を主とする
未燃焼成分がフィルタの一部分の表面に堆積したまま逆
洗再生されないで残存し、なにかの折りに着火燃焼して
フィルタの熱損傷が起きる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
前述の課題を解消し、逆洗によってフィルタの再生が十
分なされることにより処理能力が大きく、フィルタの熱
損傷を避けられるガス用フィルタを提供しようとするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を達
成すべくなされたものであり、本発明のガス用フィルタ
は、フィルタのフィルタ面を構成している骨材粒子の表
面が、平均厚さ4μm以下の表面が滑らかな膜によっ
て、フィルタのフィルタ面にある気孔の開口の大部分が
塞がれることなく、被覆されていることを特徴とする。
【0011】高温ガスの除塵には、骨材と呼ばれる比較
的粗い粒子に、結合部(マトリックスともいう)を形成
する微粒子を混合した混合原料を、押し出し成形やプレ
ス成形などにより成形し、焼成したセラミックスフィル
タをそのまま、あるいは主に粗い骨材からなるフィルタ
基体の表面に、主に細かい骨材の粒子からなるフィルタ
層を一体に形成せしめたセラミックフィルタが使用され
ている。
【0012】いずれの場合にも、フィルタのフィルタ面
には骨材の粒子と骨材粒子の間にある気孔の開口が隣り
あって存在し、骨材の粒子表面には元来ミクロンオーダ
より細かい凹凸がある他、結合部を形成している微粒子
が骨材の表面に焼き付いていてミクロンオーダより細か
い凹凸が形成されている。パティキュレートなどの被捕
集粒子は互いに凝集しやすく、被捕集粒子がこのミクロ
ンオーダより細かい凹凸に引っ掛かると被捕集粒子の層
がフィルタ面に強く付着して逆洗による再生が十分にな
されにくいという現象が起きる。
【0013】本発明のガス用フィルタでは、これらのミ
クロンオーダより細かい凹凸のある粒子の表面に厚さが
4μm以下であって表面が滑らかな薄い膜が、フィルタ
面の気孔の開口をほとんど塞ぐことなく(但し、平均厚
さ4μmの膜を被覆すると7μm程度以下の大部分の気
孔は塞がれる。)形成されていて、これらのミクロンオ
ーダより細かい凹凸をあたかも釉薬がかけられたよう
に、通常の釉薬と比べてはるかに薄い4μm以下の厚さ
の被覆膜によって滑らかになっている。
【0014】被覆膜表面の滑らかさの程度は、凹凸の落
差が0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下で
あるが、数十μm程度の曲率半径を有する凹凸があって
も機能上支障はない。非腹膜表面の滑らかさの程度は透
過電子顕微鏡によるレプリカ像の観察や走査型電子顕微
鏡の観察により、あるいは試料を傾斜させて2つの角度
から撮影した走査型電子顕微鏡写真による立体写真像か
ら表面の滑らかさを見積ることができる。
【0015】セラミックフィルタのフィルタ面がこのよ
うに滑らかになっていることにより、被捕集粒子のフィ
ルタのフィルタ面への付着力が弱くなり、長期間にわた
って逆洗によりフィルタの初期の低い通気圧損が繰り返
し回復でき、良好な逆洗性が確保される。すなわち、逆
洗のガス圧力を高くしなくても、逆洗後にフィルタのフ
ィルタ面に残留している被捕集粒子が顕著に減少し、フ
ィルタの通気圧損が使用期間中平均して顕著に低減でき
ることになった。
【0016】通気圧損を低くできることはフィルタの処
理能力が増加することと等しく、セラミックフィルタの
フィルタ面に捕集されている被捕集粒子の残留が顕著に
減少したことによりフィルタ上に捕集されている被捕集
粒子への着火が起きにくくなり、たとえ着火して燃焼す
ることがあっても、フィルタ上に捕集されている可燃性
の被捕集粒子の量が少ないのでセラミックフィルタの熱
損傷が起きにくい。
【0017】フィルタのフィルタ面にある気孔の開口を
塞いだり開口を狭くしたりしないように、被覆膜の厚さ
は凹凸を滑らかにできる範囲で薄い方が好ましく、フィ
ルタの用途にもよるが、表面が滑らかな被覆膜の平均厚
さは0.1μm以上2μm以下であるのが好ましい。
【0018】ガス用フィルタの場合、捕集すべき細かい
塵の粒子は互いに凝集した粒子となっている場合が多い
ので、フィルタのフィルタ面にある気孔の開口の大きさ
を極端に小さくする必要はなく、フィルタに捕集された
塵の粒子が濾過層を形成することになるのでかなり大き
くてもよく、気孔の開口径は平均で被捕集粒子の0.5
〜20倍程度としておけばよい。
【0019】気孔の平均開口径が小さいとフィルタ自体
の通気圧損が大きくなってフィルタの処理能力が少なく
なり、大き過ぎるとフィルタの気孔中に被捕集粒子が入
り込み、気孔中に入り込んだ被捕集粒子が逆洗によって
除かれず、フィルタの通気圧損が徐々に増大する。した
がって、気孔の開口に塵の粒子が入り込まず、再生によ
って除ける範囲で気孔の平均開口径を大きくするのが好
ましい。
【0020】フィルタのフィルタ面にある骨材粒子の表
面に被覆される表面が滑らかな膜としては、シリカを主
成分とするものを選ぶと、原料の入手が容易で、耐酸性
があり、フィルタの濾過表面への付着強度が大きく、熱
膨張率が小さく、薄く、緻密で表面が滑らかな膜を形成
しやすいので好ましい。
【0021】本発明による逆洗性の優れたガス用フィル
タは、ディーゼル機関の排気ガス中のパティキュレート
を除去するパティキュレートトラップに好適であり、パ
ティキュレートのフィルタのフィルタ面への付着力が小
さく、逆洗がよく利くので大きいフィルタ能力を確保で
き、パティキュレートのフィルタ上における残留が少な
くなるので、フィルタ上でパティキュレートが燃えにく
く、たとえパティキュレートがフィルタ上で燃えても燃
えるパティキュレートの量が少ないのでフィルタの熱損
傷がほとんど起きなくなる。
【0022】本発明のガス用フィルタは、たとえばコー
ディェライト質セラミックからなるフィルタに、エチル
シリケートやアルミニウムアルコキシドなどの金属アル
コキシドを加水分解したゾル液を塗布あるいは含浸する
ことによって得られる。しかし、市販されているシリカ
ゾルを使用すると、粘性の割りにシリカ成分が少ないた
めか、フィルタのフィルタ面にある気孔の開口が塞がり
やすく、乾燥時に被覆膜に亀裂が生じることにより滑ら
かな被覆膜となりにくいので、金属アルコキシドを加水
分解したゾル液を使用するのが好ましい。
【0023】被覆膜には、SiO2 やAl23 の他
に、ZrO2 、TiO2 、In23、LiAlO2
SnO2 、Li2 O・SiO2 、B23 ・SiO2
よびこれらの混合物など無機質の材料が好ましく採用で
き、これらの被覆膜の原料液はフィルタと濡れやすい、
すなわちフィルタ材との界面エネルギーが小さいことが
必要である。金属アルコキシドを加水分解したゾル液は
この点でも特に好ましく、金属アルコキシドを加水分解
したゾル液を塗布あるいは含浸することによってフィル
タのフィルタ面にある骨材粒子の表面に滑らかな被覆膜
を形成することが容易である。
【0024】被覆膜としては、他にポリカルボシラン、
ポリシラザン、ポリシラスチレン、シリコーンなどの有
機珪素樹脂、用途によっては有機溶媒に可溶なフッ素樹
脂も使用可能であるが、金属アルコキシドを加水分解し
たゾル液の方がより耐熱性のある膜が形成できる。他
に、金属アセチルアセトナート水溶液、金属珪酸塩水溶
液、金属カルボキシレート水溶液などの水溶液を使用す
ることもできるが、表面張力が大きいことによって表面
が滑らかな被覆膜にはなりにくい。
【0025】本発明のガス用フィルタの材料には、ムラ
イト質、コーディェライト質、アルミナ質、β−スポジ
ューメン質、窒化珪素質、炭化珪素質などのセラミック
ス、ガラス、金属など自立性あるいは剛性を有する無機
材料または金属材料が使用できる。フィルタの形状とし
ては、交差流型、ハニカム型あるいは管のいずれであっ
てもよい。
【0026】フィルタの材料には、耐食性、耐熱性およ
び気孔径の制御の容易さからセラミックスを選ぶのが好
ましく、さらに耐熱衝撃性と耐熱性に優れていることか
ら、コーディェライト質、β−スポジューメン質または
炭化珪素質のものとするのがより好ましい。
【0027】本発明の好ましいガス用フィルタは、フィ
ルタが主に粗い骨材粒子からなる大きい平均気孔径を有
するフィルタ基体と、フィルタ基体の表面に形成された
主に細かい骨材粒子からなり小さい平均気孔径を有する
フィルタ層とで構成されたものである。このような構成
を採用することにより、通気圧損の小さい大型寸法の管
状のガス用フィルタを製造することができる。
【0028】フィルタ基体の表面に形成されるフィルタ
層の細かい骨材粒子はフィルタ基体と同じ材質であるの
が好ましいが、フィルタ基体の材質にかかわらず炭化珪
素質の骨材粒子は化学的安定性、耐熱性および熱伝導性
の点から好ましい。
【0029】本発明のガス用フィルタを製造するには、
たとえば、粒度調整されたコーディェライト質の骨材を
主とするセラミックス粉体、結合部を形成する粘土その
他の微粉末および粒度調整された気孔付与材(焼成時に
焼失して気孔を形成するもの)にメチルセルローズなど
の有機結合材と水を加えた混合物を混練し、押し出し成
形後乾燥して焼成することにより所要の気孔径分布を有
するフィルタが得られる。
【0030】気孔付与材には鉄分の含有量が少ないピッ
チコークス粉、たとえば平均粒径が20〜100μmの
範囲内にある分級されたものを使用する。フィルタは、
主に粗い骨材粒子からなる平均気孔径が大きいフィルタ
基体と、その表面に形成した被捕集粒子の粒度分布に適
した大きさの平均気孔径を有するフィルタ層とからなる
ものであるのが好ましい。フィルタ層を形成する細かい
骨材にはたとえば平均粒径が1〜100μmの骨材粒子
が選ばれ、フィルタ層の平均厚さは目的に応じて10μ
m〜500μmとされる。
【0031】フィルタ層の平均厚さが10μmより薄い
とき、フィルタ基体の表面付近に存在する気孔の大きな
開口をフィルタ層で覆うことが難しくなり、厚さが50
0μmを超えるとフィルタの通気圧損が大きくなってフ
ィルタの処理能力が小さくなる。フィルタ層の形成は、
たとえば細かい骨材の粉体に気孔付与材と結合材を混ぜ
た泥漿を、アイソスタッチックプレスの成形型の芯型の
表面に塗布あるいは吹き付けておき、芯型の周囲にフィ
ルタ基材の主に粗い粒子からなる粉体原料を充填してア
イソスタチックプレス成形し、焼成することによりなさ
れる。
【0032】他にフィルタ層の形成は、焼成されたフィ
ルタ基体の表面に、5〜100μmの細かい骨材粒子を
分散させた泥漿を刷毛や吹きつけで塗布したり、泥漿中
にフィルタ基体を浸漬してフィルタ層を付着せしめた後
焼成することによっても行える。
【0033】また、結合材を含まない細かい骨材の粉体
を主に粗い骨材からなる平均気孔径が大きいフィルタ基
体(焼結体)の表面に擦り付け、金属アルコキシドを加
水分解した溶液をこの表面にスプレーしてフィルタ層を
形成したり、金属アルコキシドを加水分解した溶液中に
フィルタ層となる細かい骨材の粒子を分散せしめてお
き、フィルタ基体をこの液中に浸漬してフィルタ基体に
両者を付着せしめ、フィルタの基体の表面にフィルタ層
を形成することと、薄く表面が滑らかな膜を細かい骨材
粒子の表面に形成することとを同時に行う方法もある。
【0034】フィルタのフィルタ面付近にある骨材粒子
の表面に、滑らかな薄い液膜を付けるには、被覆液が無
機塩溶液の場合には、薄い液膜を付けたフィルタをアン
モニアガスで処理してゲル化し、加熱して固化せしめる
とよい。また、気相からの析出によっても表面が滑らか
な膜の形成が可能である。
【0035】薄い膜をフィルタに付着させた後、100
〜200℃で乾燥して膜を固化させてもよいが、より高
い温度、たとえば500〜1400℃で加熱することに
よってさらに丈夫で表面が滑らかな皮膜が形成でき、逆
洗性がさらに良好なフィルタが得られる。しかし、この
加熱温度を1200℃より高くすると、フィルタの材質
によっては皮膜と骨材の間の反応や被膜の結晶化が起き
るためか、表面の滑らかさが劣化することがある。
【0036】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定され
るものではない。
【0037】図1と図2は本発明によるガス用フィルタ
を説明するためのフィルタの表面付近の拡大した断面の
模式図であり、図1は主に粗い骨材粒子からなる平均気
孔径の大きいフィルタ基体1の表面に、細かい骨材粒子
からなる平均気孔径が小さいフィルタ層2が形成されて
おり、3はフィルタ層を構成する細かい骨材粒子、4は
この骨材粒子の表面に固着された薄い皮膜である。ま
た、図2は図1の一部分をさらに拡大した断面の模式図
であり、5は被捕集粒子(たとえばパティキュレート)
である。
【0038】試験例1 フィルタ基体として、平均気孔径が20μmで気孔率が
40%のコーディェライト質セラミックスの多孔体から
なる有効フィルタ面積が5m2 のディーゼル機関の排ガ
ス用パティキュレートトラップに使用される交差流型フ
ィルタを準備した。また、他方でエチルシリケート6重
量%、エチルアルコール76重量%、水6重量%、ポリ
ビニルブチラール2重量%、平均粒径を15.5μm
(1000番)としたコーディェライトの細かい骨材粒
子10重量%からなる分散溶液を準備した。
【0039】フィルタ基体をアセトンで洗浄し、前記コ
ーディェライトの細かい骨材粒子を分散せしめた液中に
フィルタ基体を浸漬し、5cm/秒の速度で引き上げ
た。このフィルタを乾燥後1000℃で加熱して膜を完
全に固化させ、得られたフィルタをディーゼル機関のパ
ティキュレートを除去するパティキュレートトラップに
組み込み、ディーゼル機関の排気ガス中のパティキュレ
ート(凝集粒子径1〜10μm)を除去する試験に供し
た。試験の結果を表1にまとめて示した。
【0040】試験例2〜19 試験例1に準拠した条件で、エチルシリケートの混入濃
度を変えて膜の厚さを変えたもの(試験例2、3、4、
14)、引き上げ速度を変えてフィルタ層の厚さを変え
たもの(試験例6、7、8、15)、分散させるコーデ
ィェライトの細かい骨材粒子の平均粒径を変えてフィル
タ層の平均気孔径を変えたもの(試験例16、17)、
さらに膜中に約0.5μmの微細なゲル粒子を添加して
表面の粗さを増したもの(試験例18)、フィルタ層の
細かい骨材粒子に炭化珪素とアルミナを使用したもの
(試験例11、12)、乾燥後の加熱温度を変えたもの
(試験例9、10、19)、フィルタ層を付加しないも
の(試験例5)、および被覆膜を施さないもの(試験例
13)を試作した。
【0041】被覆された膜とフィルタ層の厚さはESC
AとAugerまたはSEMにより調べ、被覆されたフ
ィルタ面の粒子表面の粗さはSEMおよびTEMの観察
により、フィルタ層の平均気孔径は水銀ポロシメータに
より測定した。
【0042】フィルタの逆洗性の評価は、フィルタを取
り付けたパティキュレートトラップをディーゼル機関と
接続し、ディーゼル機関を一定のモードで約1時間運転
した後、逆洗を行って逆洗直後のフィルタに付着してい
るパティキュレートの重量(試験後にフィルタを取り外
してフィルタの重量を測定してフィルタの最初の重さと
の差から求める。)と試験の前後の通気圧損(上流側か
ら一定流量で常温の清浄な空気を流してフィルタの通気
圧損を測定。試験後の通気圧損は逆洗後のものについて
測定。)を測定することにより行い、これらの結果を表
1にまとめて示した。
【0043】表1中、試験例4、14ではフィルタ層の
骨材粒子に平均粒径30μmのものを使用し、試験例1
1と試験例12ではフィルタ層の骨材粒子にそれぞれ炭
化珪素質の粒子とアルミナ質の粒子を使用した。また、
試験例18では、細かいゲル状粒子を混合し、ゲル状粒
子を皮膜を形成する溶液中分散させておいてフィルタ層
と表面が滑らかでない皮膜を形成した。
【0044】
【表1】
【0045】これらの試験例のうち、試験例1〜12と
試験例15〜17は本発明の実施例であり、他は比較例
である。試験例5と試験例17のフィルタは、いずれも
フィルタ表面に開口している気孔が大きく、パティキュ
レートトラップ用のフィルタには適していないようであ
る。これらの試験結果から、次のようなことが分かる。
先ず、表面の平滑な膜が被覆されていない試験例13と
膜が被覆されていても平滑でない試験例18では、逆洗
を行ってもフィルタ中にパティキュレートが多く残留し
ていて、通気圧損が相対的に高くなった。
【0046】試験例14では、膜の平均厚さが4μmよ
り厚くなったためフィルタ層の気孔の開口の多くが塞が
って通気圧損が大きくなった。厚さが約5μmの被覆膜
では亀裂が生じて表面の平滑性が失われており、このた
めに残留パティキュレートの量が多くなったと推定され
る。
【0047】また、フィルタ層の厚さが大きかったり
(試験例15)、フィルタ層の平均気孔径が小さい(試
験例16)と、フィルタの通気圧損が大きくなって好ま
しくない。フィルタ層が形成されていない試験例5とフ
ィルタ層の気孔径が大きい試験例17では、パティキュ
レートがフィルタの内部にまで侵入したため、パティキ
ュレートの残留量はそれほど多くないが、通気圧損が大
きくなっている。また、試験例19のように加熱温度が
必要以上に高いと、結晶化によって被覆膜の滑らかさが
失われ、逆洗性が損なわれたことが分かる。
【0048】試験例1で使用したエチルシリケートの代
わりに珪酸ナトリウム水溶液、ポリシラスチレン溶液、
トリメチルメトキシシラン溶液を被覆液に使用したとこ
ろ、エチルシリケートが最も優れ、次いでトリメチルメ
トキシシラン、ポリシラスチレン、珪酸ナトリウムの順
でパティキュレート残留量、通気圧損ともに優れた性状
を示した。
【0049】
【発明の効果】本発明のガス用フィルタではフィルタの
フィルタ面にある骨材粒子のミクロな凹凸が被覆された
薄い膜によって滑らかにされているので、塵のフィルタ
表面への付着力が小さく、フィルタに捕集された塵の逆
洗が容易になって再生が十分になされ、全体として低い
通気圧損の状態でフィルタが使用できることになる。
【0050】このため、フィルタの処理容量が増加し、
被捕集粒子がディーゼル機関から排出されるパティキュ
レートのように可燃性の粒子である場合には、フィルタ
中に残留しているパティキュレートの量が平均して少な
くなり、フィルタ中でパティキュレートが燃える危険性
が小さくなり、たとえフィルタ中でパティキュレートが
燃えることがあっても、発生する燃焼熱が少ないのでフ
ィルタを熱損傷する危険性がほとんどなくなる。さらに
は、逆洗の圧力を下げることもできるので、逆洗装置の
負荷を低減でき、さらには、同じ処理量に対してフィル
タの寸法を小さくすることができる。
【0051】また、被覆した膜の材質がシリカを主成分
するものであれば、逆洗性とともにフィルタの耐酸性が
良好で、膜の材質を選ぶことによって溌水性や溌油性を
膜に付与することもでき、フィルタに水分を含む粒子や
油を含む粒子についても高い逆洗性を付与することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガス用フィルタの一例の構成を説
明するためのフィルタの表面付近の断面を拡大した模式
図。
【図2】図1のフィルタの表面付近の断面の一部をさら
に拡大した模式図。
【符号の説明】
1:フィルタ基体 2:フィルタ層 3:フィルタ層を構成する細かい骨材粒子 4:表面が滑らかな皮膜 5:被捕集粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F01N 3/02 M

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルタのフィルタ面を構成している骨材
    粒子の表面が、平均厚さ4μm以下の表面が滑らかな膜
    によって、フィルタのフィルタ面にある気孔の開口の大
    部分が塞がれることなく、被覆されていることを特徴と
    するガス用フィルタ。
  2. 【請求項2】被覆されている膜の平均厚さが0.1μm
    以上、2μm以下である請求項1に記載のガス用フィル
    タ。
  3. 【請求項3】フィルタ面に被捕集粒子の平均粒径の0.
    5〜20倍の平均孔径を有する気孔が開口している請求
    項1または2に記載のガス用フィルタ。
  4. 【請求項4】被覆されている膜がシリカを主成分とする
    ものである請求項1〜3のいずれか1つに記載のガス用
    フィルタ。
  5. 【請求項5】フィルタが、主に粗い骨材粒子からなる平
    均気孔径が大きいフィルタ基体と、フィルタ基体の表面
    に形成された主に細かい骨材粒子からなる平均厚さが1
    0〜500μmのフィルタ層とで構成されたものである
    請求項1〜4のいずれか1つに記載のガス用フィルタ。
  6. 【請求項6】フィルタがセラミックスからなり、フィル
    タがディーゼル機関の排気ガス中のパティキュレートを
    除去するのに使用されるものである請求項1〜5のいず
    れか1つに記載のガス用フィルタ。
  7. 【請求項7】フィルタのフィルタ面に、金属アルコキシ
    ドを加水分解した溶液を塗布または含浸して乾燥固化
    し、フィルタのフィルタ面に開口している気孔の大部分
    を塞がないように厚さが4μm以下の表面が滑らかな膜
    でフィルタのフィルタ面を構成する骨材粒子の表面を被
    覆することを特徴とするガス用フィルタの製造方法。
  8. 【請求項8】主に粗い骨材粒子からなるフィルタ基体
    に、金属アルコキシドを加水分解した液中にフィルタ層
    を形成する細かい骨材粒子を分散せしめた分散液を塗布
    または含浸してフィルタ基体の上に細かい骨材粒子から
    なるフィルタ層を形成するとともに、細かい骨材粒子の
    表面に平均厚さが4μm以下の表面が滑らかな膜を形成
    することを特徴とするガス用フィルタの製造方法。
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