JPH0786358A - 半導体ウェーハの厚さ測定方法、半導体基板、その基板の評価方法、化合物半導体検査方法及び化合物半導体検査装置 - Google Patents

半導体ウェーハの厚さ測定方法、半導体基板、その基板の評価方法、化合物半導体検査方法及び化合物半導体検査装置

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JPH0786358A
JPH0786358A JP11702794A JP11702794A JPH0786358A JP H0786358 A JPH0786358 A JP H0786358A JP 11702794 A JP11702794 A JP 11702794A JP 11702794 A JP11702794 A JP 11702794A JP H0786358 A JPH0786358 A JP H0786358A
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Kazuyoshi Furukawa
川 和 由 古
Yoshinori Natsume
目 嘉 徳 夏
Masafumi Miyagawa
川 雅 文 宮
Masanobu Ogino
野 正 信 荻
Shoichi Washitsuka
塚 章 一 鷲
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低抵抗拡散層と高抵抗層の二層構造を有する
半導体ウェーハの、高抵抗層の厚さを測定するに当た
り、これがどのような濃度プロファイルのウェーハであ
っても、非破壊により、高抵抗層の厚さを高精度で短時
間に測定する。 【構成】 所定の波長の赤外線のビームBをI層2に照
射し、I層2と低抵抗拡散層3の界面5で反射したビー
ムYと、ウェーハ表面4で反射したビームXの光学的干
渉情報を求め、これによりI層2の厚さを破壊検査によ
り測定して第1の測定値を求めておき、次いでI層2の
厚さを遠赤外線を用いたフーリェ変換赤外分光法により
非破壊で測定して第2の測定値を求め、続いて第1の測
定値と第2の測定値の関係に基づいて第2の測定値に対
する較正式を求め、次いでサンプル部と同条件のI層2
に対して上記と同様の非破壊で厚さを求め、この求めた
値に較正式に基づく補正を加えて被測定部の厚さを得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体ウェーハの厚さ測
定方法に係り、特に、例えばリンまたはボロン等の拡散
を施した低抵抗拡散層と、非拡散層部の高抵抗層による
二層構造を有する半導体ウェーハにおいて、非破壊で高
抵抗層の厚さを測定する方法に関する。
【0002】さらに、本発明は、非拡散層を有する半導
体基板及びその非拡散層の厚さを評価する半導体基板の
評価方法に係り、特に、遠赤外線の光学的干渉情報によ
って非拡散層の厚さ決めを半導体基板及びその厚さを評
価する半導体基板の評価方法に関する。
【0003】さらに、本発明は、化合物半導体のエピタ
キシャル層膜厚を測定する方法及び装置に関する。
【0004】
【従来の技術】一般に、トランジスタ素子で代表される
個別半導体に使用されるウェーハは、拡散ウェーハない
しは片面拡散ウェーハと呼ばれる。
【0005】この拡散ウェーハは、二重構造であり、N
型二層構造またはP型二層構造を持ち、片面が鏡面とな
ったウェーハが用いられる。
【0006】ここで、N型二層構造の場合は、N+ とN
- の二層構造であり、例えばN+ の低抵抗拡散層と、N
- の高抵抗層で構成される。この場合、高抵抗層は非拡
散層で、イントリンシックレイヤー(Intrinsi
c−layer)であるところから、一般にI層と呼ば
れる。(以下、高抵抗層のことをI層と称する。)一
方、P型二層構造の場合は、P+ とP- の二層構造であ
り、例えばP+ の低抵抗拡散層と、I層と呼ばれるP-
の高抵抗層で構成される。
【0007】以上のような構造を有する半導体ウェーハ
において、トランジスタのコレクタ層の直列抵抗を減少
させるために、N+ やP+ の低抵抗拡散層が、リンまた
はボロン等の不純物源を用いた拡散により、形成され
る。そして、このウェーハのN- やP- の高抵抗層に、
つまりI層に、トランジスタ部が形成され、素子ペレッ
トが完成する。
【0008】一方、半導体ウェーハにおいて、トランジ
スタを形成するためのI層の厚さ精度が、トランジスタ
の製品特性を左右し、製品の歩留に大きな影響を及ぼ
す。逆に、トランジスタ等の完成製品の高品質化のため
に、半導体ウェーハにおけるI層の厚さには、高精度が
求められている。
【0009】さて、I層の厚さ精度をコントロールする
ためには、まずI層の厚さを精密に測定評価する必要が
ある。このために、従来から、種々の厚さ測定方法が適
用されてきた。
【0010】従来の厚さ測定方法においては、例えば、
SR法と呼ばれる、拡がり抵抗を用いたI層評価方法が
用いられてきた。このSR法では、先ずウェーハを1c
m角程度の大きさに劈開分割して、これを角度付き研磨
治具に固定し、次にこれを斜めに研磨加工して、試料を
作成する必要がある。
【0011】以上のようにして作成した試料の研磨面
に、2本のプローブを立てる。次に、これらのプローブ
を、一定の間隔に保持しながら、I層側の表面側から、
深さ方向に向かって移動させる。以上のような操作を通
じて、プローブ間の拡がり抵抗を測定し、試料の表面か
らの抵抗の分布を求める。そして、この抵抗の分布特性
に基づき、試料表面から、拡散層の接合部に対応する抵
抗値が得られる位置までの距離(以下、SR値と称す
る)を求め、これに対応付けてI層の厚さを測定する。
【0012】ところが、従来のSR法には測定装置およ
び測定者の個体差が大きいという問題がある。これらの
個体差は、測定研磨面のラップ状態による変化のばらつ
き、測定プロファイルの読み取り誤差のばらつき、装置
の保守管理によるばらつき等が、原因とされる。そし
て、これらのばらつきを抑えるためには、測定者の経験
と熟練が必要である。
【0013】一方、半導体ウェーハのI層の厚さ精度
は、拡散ばらつき、測定誤差のばらつき、片面研磨加工
時のばらつき、等の様々な要因による総合ばらつきによ
り変動し、これらのばらつきにより製品特性が決定され
る。このため、ウェーハの品質確認の評価は、本来は全
数評価が望ましいが、試料を採集するためには、ウェー
ハの破壊が必要であり、現実的ではない。このため、従
来は、抜き取りによる破壊検査が行われていた。
【0014】しかし、先に述べたように、半導体ウェー
ハの特性が、さまざまなばらつき要素で決まる限り、抜
き取り検査だけでは、ウェーハの品質の高精度保証は困
難である。また、破壊検査に提供するサンプルコストも
無視できず、大口径ウェーハ程損失額が大きくなる。さ
らに、サンプル作成や評価に要する時間が長く、結果を
得るまでのロス時間が大きい。そして、I層の厚さを測
定しても、この測定結果を、直ちに、I層の厚さ保証の
ための歩留向上の改善対策に結びつけることは困難であ
る。
【0015】一方、エピタキシャルウェーハのように、
ステップ状の濃度プロファイルのウェーハでは、フーリ
ェ変換赤外分光法(以下、FT−IR法と称する)を用
いた非破壊による厚さ測定方法が適用されている。
【0016】このような非破壊による厚さ測定方法を用
いることができれば、ウェーハから試料を切り出し、こ
れにプローブを当てて評価測定するという従来の厚さ測
定方法に伴う問題点をほとんど解決することができる。
【0017】さて、化合物半導体は一般に、直接遷移で
発光効率が高く、混晶やヘテロ接合などバンド構造の自
由度が大きいことから、発光デバイスとして利用され
る。
【0018】代表的な発光デバイスであるLEDは、化
合物半導体の基板にエピタキシャル成長でPN接合を持
つウェーハを作り、このウェーハを利用して作られる。
【0019】図21はその代表的な例を示す断面図であ
るが、NタイプのGaAs単結晶基板であるGaAs基
板13の上に、SiをドーパントとしたNタイプGaA
sエピタキャル層14とPタイプGaAsエピタキャル
層14を積層してウェーハを構成している。ドーパント
のSiは高温ではGaに置換してドナーとなり、低温で
はAsに置換してアクセプタになる性質をもっている。
したがって、エピタキシャル成長を高温から低温へと温
度を下げながら行うことにより、1回のエピタキシャル
成長でNタイプGaAsエピタキャル層14とPタイプ
GaAsエピタキャル層15が同時に得られ、併せてP
N接合5が形成される。
【0020】このウェーハに電極を付け、適当な大きさ
に分割して、LEDのチップを得ることができる。チッ
プに順方向の電流を流すと、注入されたキャリアが再結
合する際に、発光が起こる。
【0021】図21の構成の場合、発光再結合はPタイ
プGaAsエピタキャル層15内で起こるとされてい
る。そのため、PタイプGaAsエピタキャル層15の
厚さは、発光特性に大きな影響を与える。
【0022】図22は、図21のウェーハに、Pタイプ
のGaAlAs層として形成されるCap層16を積層
した、シングルヘテロタイプのLED用ウェーハであ
る。Cap層16は電流をチップ全面に拡散して、発光
効率を上げる役割を担い、PタイプGaAsエピタキャ
ル層15で発生した光を、吸収せずに、これを効率的に
外部に取り出せるように、バンドギャップが広いGaA
lAsでできている。つまり、Cap層16の厚さも、
LEDの発光特性に大きな影響を与える。
【0023】さらに、発光層の上下を、クラッド層と呼
ばれるバンドギャップの大きな層で挟んだ、ダブルヘテ
ロ構造のLED用のウェーハも知られているが、いずれ
の構造にせよ、発光層であるPタイプGaAsエピタキ
ャル層15、電流拡散用のCap層16、クラッド層な
どのエピタキシャル層の厚みは、LEDの発光特性に大
きな影響を与える。
【0024】したがって、これらのエピタキシャル層の
厚さを管理するために、これを測定することは、発光デ
バイスや、そのためのエピタキシャルウェーハを製造す
る上で重要である。
【0025】従来、化合物半導体エピタキシャルウェー
ハのエピタキシャル層の厚さ測定は、ウェーハの一部、
一般に端の部分を劈開し、その断面を観察することによ
り行っていた。
【0026】また、図21のように、最上層が、その下
の層と異なる導電型であり、最上層の厚さを知りたい場
合には、ウェーハ表面のシート抵抗を測定し、予め求め
ておいた検量線から厚さを求める方法もあった。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】従来の半導体検査方法
は以上のように構成されるので、以下に述べるようなさ
まざまな問題点を内包する。
【0028】まず、拡散ウェーハのように、グレード状
の濃度プロファイルウェーハの場合、FT−IR法で通
常用いられる波長域(2.5〜25μm)では、干渉縞
が観測できない。つまり、I層の厚さを直接には測定で
きないという問題がある。
【0029】これに対して、遠赤外線を用いた方法とし
て、拡散層と非拡散層の界面付近の屈折率のプロファイ
ルを考慮して補正式を作成し、これによりI層の厚さを
測定する方法も提案されている。しかし、低抵抗拡散層
の濃度プロファイルが異なると、従来の測定値との間に
ずれが生じて数値の誤差が大きくなり、生産ベースでの
適用は困難である。
【0030】一方、広がり抵抗法(SR法)による測定
においては、評価するウエーハを抜き取り検査するた
め、検査結果は実際の製品となるウエーハのI層の精度
そのものではなく、製品となる各ウエーハを個別的に評
価することはできなかった。したがって、製品となるウ
エーハが、許容規格範囲に入っている保証が実際にな
く、規格外のウエーハも紛れ込む危険があるという問題
があった。
【0031】また、SR法においては、研磨状態による
測定面の変化のバラツキ、測定プロファイルの読取り誤
差のバラツキ、あるいは装置の保守管理によるバラツキ
等がある。このため、測定者の熟練度が必要であるとい
う問題点があった。
【0032】また、評価の精度をあげるためには全数評
価が必要となる。しかし、従来の方法は破壊検査である
ため、全数評価しようとすると全数破壊することにな
り、全数評価することはできない。
【0033】また、出荷されたウエーハを受け取る側に
おける受入検査においても、破壊検査となるため抜き取
り検査をせざるを得ない。このため、品質管理がしにく
く、また抜き取りのサンプルのコストがかかるという問
題点がある。
【0034】一方、化合物半導体の場合も、ウェーハを
一部でも破壊することは、当然歩留の低下をまねく。ま
た、ウェーハ全面の厚さを求める方法も、ウェーハを細
かく分割する必要があり、断面の観察をする前にエッチ
ングを施し、エピタキシャル層の界面を可視化する工程
が必要なこともあり、断面観察は非常に手間のかかる方
法であり、好ましくない。
【0035】また、シート抵抗から厚さを求める方法
も、測定できるのが、下層と導電型が異なる最上層に制
限される。また、非破壊であっても、ウェーハ表面に比
抵抗測定用のプローブを接触させるため、ウェーハ表面
の汚染や損傷を引き起こす恐れがあった。
【0036】本発明は、上記のような従来技術の問題点
を解消しようとするものであり、どのような濃度プロフ
ァイルのウェーハであっても、高抵抗層(I層)の厚さ
を、また、化合物半導体の場合、そのエピタキシャル層
の厚さを、最上層だけでなく、内部の層を含む複数の層
の厚さまで含めて、非破壊および非接触で、高精度で短
時間に、しかも簡単に測定評価することを可能とした半
導体検査方法を提供することを目的とする。
【0037】
【課題を解決するための手段】手段1 本発明の厚さ測定方法は、不純物を拡散した低抵抗層と
拡散しない高抵抗層の2層構造を有する半導体ウェーハ
の前記高抵抗層にその表面側から遠赤外光を入射し、そ
の表面で反射する反射光と、前記高及び低抵抗層の界面
で反射する反射との干渉端から前記高抵抗層の厚さを求
め、求めた方向値を前記遠赤外光の干渉を用いない他の
方法により求め得る第2の値に変換するものとして構成
される。 手段2 本発明の半導体基板の評価方法は、不純物を拡散した拡
散相と非拡散層(I層)との二層構造を有する半導体基
板の前記非拡散層の厚さを評価する方法において、所定
の波長の遠赤外線を前記非拡散層へ照射し、前記非拡散
層の境界面で反射した遠赤外線の光学的干渉情報を求
め、この干渉情報から前記非拡散層の厚さを評価するも
のとして構成される。 手段3 本発明の半導体基板は、不純物を拡散した拡散層と非拡
散層との二層構造を有する半導体基板において、所定の
波長の遠赤外線を前記非拡散層へ照射し、前記非拡散層
の境界面で反射した遠赤外線の光学的干渉情報を求め、
この干渉情報から前記非拡散層の厚さを規格化したもの
として構成される。 手段4 本発明の化合物半導体検査方法は、化合物半導体エピタ
キシャルウェーハに赤外線を入射し、この赤外線を目的
とするエピタキシャル層の上面および下面で反射させ、
両反射光を干渉させ、この干渉情報からエピタキシャル
層の膜厚を求めるものとして構成される。 手段5 本発明の化合物半導体検査装置は、検査目的としてのエ
ピタキシャル層を有する化合物半導体エピタキシャルウ
ェーハに赤外線を入射させる、赤外線光源と、前記エピ
タキシャル層の上面及び下面で反射した前記赤外線のそ
れぞれを互いに干渉させる、干渉手段と、前記エピタキ
シャル層の膜厚を求めるべく、前記干渉手段で干渉させ
た干渉光を検出する、検出手段と、を備えるものとして
構成される。
【0038】
【作用】手段1 遠赤外光を半導体ウェーハの高抵抗層にその表面側から
入射させる。遠赤外光は、その表面と、高抵抗層と低抵
抗層の界面とで反射する。それらの2つの反射光の干渉
から、高抵抗層の厚さが測定される。この測定値は遠赤
外光の干渉を利用しない他の方法、例えば拡がり抵抗を
用いて測定する方法によって得られる値に変換される。 手段2,3 所定の波長の遠赤外線を非拡散層へ照射し、非拡散層の
厚さを形成する両側の境界面で反射した遠赤外線を光学
的に干渉させ、この干渉情報から非拡散層の厚さが評価
され、またこの干渉情報から非拡散層の厚さが規格化さ
れる。 手段4,5 赤外線が化合物半導体エピタキシャルウェーハに入射す
る。この赤外線は、目的とするエピタキシャル層の上
面、下面からそれぞれ反射する。これらの反射光が干渉
し、干渉情報からエピタキシャル層の膜厚が得られる。
【0039】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の実施例
を説明する。 実施例1.図1は、本発明の実施例1の半導体検査方法
の原理図であり、特に厚さ測定方法を示すものである。
また、図2は図1をより具体化した測定部の構造の説明
図である。
【0040】各図に示すように、半導体ウェーハ1は非
拡散層部である高抵抗層としてのI層2と、低抵抗拡散
層3との二層構造を有している。I層2の上にウェーハ
表面4が形成され、I層2と低抵抗拡散層3の境界に界
面5が形成される。
【0041】半導体ウェーハ1の上にはI層2の厚さを
非破壊で測定するために、波長50μm以上の遠赤外線
のビームBを照射するための赤外線光源6が配置され
る。赤外線光源6からの遠赤外線のビームBは一部がウ
ェーハ表面4で反射され(X)、残りの一部がI層2と
低抵抗拡散層3の界面5で反射される(Y)。
【0042】この場合、それぞれの反射ビームX,Yの
光路差がI層2の厚さに対応する。ここで、I層2の厚
さをd、I層2の屈折率をn、ビームBの入射角度を
φ、I層2内部でのビームBの屈折角度をφ’とする
と、
【0043】
【数1】 が成立する。
【0044】実際の装置においては、図2からわかるよ
うに、赤源6からのビームBをビームスプリッタ7で分
離合成した後に、ウェーハ1に入射させる。即ち、赤源
6からのビームBをビームスプリッタ7によって、透視
光のビームB1と反射光のビームB2に分ける。それぞ
れのビームB1、B2は固定鏡8と可動鏡9で反射さ
れ、ビームスプリッタ7により合成された後、固定鏡1
1で反射されて、ビームB3としてウェーハ1に角度φ
で入射する。
【0045】ウェーハ1からの反射光X、Yは、固定鏡
12で反射されて検出器10に入射し、ここで干渉縞を
形成させる。この干渉縞を参照干渉計からのビームBR
を可動鏡9に当てつつ可動鏡9を移動させながら測定す
る。このとき、可動鏡9がある位置にくるとその波形
は、図3の説明図に示すようになり、中央ピークEと可
動鏡9の移動に対応する左側ピークPLと右側ピークP
Rとが観測される。ここで左側ピークPLと右側ピーク
PRの間隔をLとすると、2Lが光路差に一致する。こ
の関係から、
【0046】
【数2】 が成立する。そして、式(2)、式(3)からFT−I
R値としてのI層2の厚さdが求められる。
【0047】しかしながら、以上のようにして求められ
たI層2の厚さは、SR法等により測定した厚さに正確
に対応しない。このため、FT−IR法により厚さを測
定値とすると、これまで破壊検査により測定した測定結
果との対応がまるでとれないことになり、規格値を変更
する必要もでてくる。
【0048】これに対して、実施例1の厚さ測定方法で
は、従来方法により測定した厚さとFT−IR法により
測定した厚さの間の相関から、較正式を求め、この較正
式に基づいて、I層2の厚さを求める。つまり、非破壊
のFT−IR法により測定した厚さを補正して、破壊の
SR法等で測定した厚さに対応させる。
【0049】以上のような補正方法について、以下に詳
細に説明する。
【0050】図1において、半導体ウェーハ1は、拡散
ウェーハと呼ばれる二層構造を有するが、このウェーハ
は一般に、次の工程を経て作製される。
【0051】例えば、600μmの厚さで、数Ωcmか
ら数10Ωcmの比抵抗の基板ウェーハに、リンまたは
ボロンを両面から50〜250μm程度拡散し、低抵抗
拡散層3を形成する。この時点では、ウェーハの両面が
低抵抗拡散層3であるために、中央部に残る非拡散層で
ある高抵抗層を含めて、三層構造になっている。
【0052】次に、片側の低抵抗拡散層3をラップまた
は砥石研削により除去して、高抵抗層であるI層2と低
抵抗拡散層3とによる、全体で300μm程度の、二層
構造にする。
【0053】更に、砥石研削により除去された側のI層
2側を、鏡面加工して、全体で厚みが250〜280μ
m程度となる拡散ウェーハを形成する。
【0054】以上のような工程でウェーハを作る場合、
I層2の厚さの制御は、半導体ウェーハ1全体の厚さで
行われ、半導体ウェーハ1は全体の厚み管理に基づいて
作製される。
【0055】実施例の半導体検査方法は、以上のように
して作製された半導体ウェーハ1の、I層2の厚さの確
認を行うためのものである。
【0056】このプロセスについて、以下に更に詳細に
説明する。
【0057】先ず、検出器10において、明瞭な干渉波
形を得るために、赤外線光源6として、通常のFT−I
R装置では用いられない、例えば50μm以上の遠赤外
領域の波長を有するものを用いて測定する。
【0058】一方、サンプルは、従来方法であるSR法
による測定値と、FT−IR装置による測定値との較正
直線を得るために、同一のN+ プロファイルを有するも
のを用い、さらにI層2の厚さとして例えば3種類のも
のを用意する。
【0059】つまり、実施例1では、低抵抗拡散層3と
してリンを拡散した、例えば深さ190μmのN型ウェ
ーハで、I層2の厚さを、例えば60μm、90μm、
120μmとした、3種類のものをサンプルとして作製
する。
【0060】以上のようなサンプルについての測定の結
果、I層2の加工目標値60μm、90μm、120μ
mに対して、従来の方法によるSR値と、FT−IR法
による補正なしの値は、それぞれ表1に示すようにな
る。表1からも明らかなように、従来の方法によるSR
値と、FT−IR法による補正なしの値とはそれぞれ異
なっている。
【0061】 表 1 I層加工目標値 SR値 FT−IR値(補正なし) 60μm 56μm 130.59μm 90μm 88μm 161.22μm 120μm 119μm 190.98μm ここで、表1の関係に基づいて、較正直線を求めると、
図4に示すような特性が得られる。この図4において、
横軸はFT−IR法による値、縦軸はSR法による値で
ある。ここで、図4の較正直線の傾きを算出し、一次関
数を求めると、 y=1.045x+(−80.668) (4) を得ることができる。これを補正式として、厚さ測定方
法を実施する装置の演算プログラムに、予め、装置の立
ち上げ段階で入力の補正を行っておく。
【0062】これと同様にして、低抵抗拡散層3の拡散
深さ50μm〜250μmの間について、実際には10
μm間隔でのサンプルを各々作製し、同様の比較から較
正直線の補正式を算出して、低抵抗拡散層3の深さが違
っても補正ができるようにしておく。
【0063】これにより、半導体ウェーハ1として適用
される全品種のI層2の幅が当てはまる範囲での補正が
できるようになる。更に、P型のウェーハについても、
N型と同様の方法で補正式を求めることにより、更に品
種を拡大して、補正の適用ができるようになる。
【0064】実際の効果を確認するため、半導体ウェー
ハ1の全品種についての補正式の入力を完了した後に、
再度従来のSR法で測定結果が判明しているサンプルに
ついて、FT−IR法により測定を行い、予め装置に入
力されている補正式に基づき、結果を補正した。
【0065】その結果、全ての場合について、従来の測
定結果に対して、0.5μm以内の誤差で厚み測定結果
が得られることが判明した。この時の評価方法において
は、半導体ウェーハ1の品種名を入力すると、予め入力
済の補正式がリストより呼び出され、測定したFT−I
R法による測定値が、自動的に補正式により補正されて
補正値が得られるようにした。
【0066】このようにすることにより、従来のI層2
の厚さの規格値を変更することなく、直ちに適用するこ
とができる。なお、予め半導体ウェーハ1の品種名の入
力時に、半導体ウェーハ1の厚さも入力しておき、求め
られたI層2の厚さを、半導体ウェーハ1の厚さから引
き算することにより、低抵抗拡散層3の深さを求めるよ
うにすることもできる。
【0067】以上述べたように、リンまたはボロン等の
拡散において、不純物濃度勾配の異なる深さ毎に、SR
法による測定値と、FT−IR法による測定値との較正
直線から得られる補正式を用いることにより、規格値を
変えることもなく、従来法で得られている測定結果値を
破壊することもなく、短時間に測定を実施することがで
きる。
【0068】また、非破壊でしかも非接触で測定できる
ため、製品用ウェーハの全数検査に適用できる。このた
め、製品用ウェーハの全数検査による、厚さの選別と、
ランク別での半導体素子製品の製作が可能となる。ま
た、最終製品であるトランジスタ特性のばらつき幅が縮
小されるため、品質が向上し、図5の最終製品の歩留の
説明図に示すように、従来法による評価に比べて、実施
例1の方法による評価の場合、歩留を大幅に向上して生
産することができる。
【0069】なお、上記の説明では、従来方法としてS
R法を例示したが、従来から、厚さ測定には、着色法、
メッキ法、陽極酸化法、SEM法など、各種の方法が適
用されてきている。しかし、これらはいずれも破壊を伴
う方法である。したがって、これらの方法による測定値
に対応させて、FT−IR法による測定値への較正直線
を予め求めておくことにより、従来規格をまったく変更
することなく厚さの評価ができるようになるので、現在
の生産ラインに直ちに投入できるというメリットがあ
る。ただし、この場合、どの方法を用いても、評価した
値から得られる較正直線による補正効果が変わらないと
いうことが条件になる。
【0070】以上述べたように、実施例1によれば、従
来の破壊による厚さ測定結果と、遠赤外線を用いたFT
−IR法による厚さ測定結果の間の較正式を予め求めて
おくことにより、FT−IR装置による干渉縞から得ら
れた測定厚さと、従来法で得られている値との間に互換
性を持たせることが可能となり、非破壊、非接触で全数
評価が可能になり、製品の厚さ精度、つまり品質を大幅
に向上できると共に、最終製品の歩留を飛躍的に向上で
きる。 実施例2.図6は、本発明の実施例2の半導体検査方法
の原理図であり、特に片面拡散ウェーハの厚み評価方法
を示すものである。
【0071】さて、実施例1における拡散ウエーハは、
例えば、比抵抗が40Ωcm、直径125mmφ、Nタ
イプ、方位(111)、厚さ600μmのウエーハにリ
ンを拡散したものである。
【0072】このウエーハは次のようにして得られる。
【0073】まず、N+ /N- /N+ の三層構造の拡散
ウエーハを製作し、次に、このウエーハの片側にある低
抵抗拡散層(N+ )をラップまたは砥石研削により除去
して、300μm程度の二層構造(N- /N+ )のウエ
ーハを作製する。さらにこの二層構造(N- /N+ )の
研削した側の面を鏡面加工を施し、最終的に厚さ280
μmの片面拡散ウエーハ21を作製した。
【0074】図6に示すように、片面拡散ウエーハ21
は高抵抗の非拡散層(I層であるN- )2と低抵抗の拡
散層(N+ )3とが積層して構成されている。拡散層
(N+)3は、リン又はボロン等のドナーあるいはアク
セプターを不純物として拡散されている。このウエーハ
1の非拡散層(I層)2は、狙い値としてSR値90μ
mで作成されている。
【0075】次に、遠赤外線を発生する赤外線光源6に
よって、片面拡散ウエーハ21の非拡散層2の表面に、
波長が約100μmの遠赤外線のビームBを照射する。
遠赤外線は、水冷式の高圧水銀ランプを赤外線光源6と
して用い、その出射光を適当なフィルターを透過させる
ことにより波長選択して得られる。
【0076】ビームBは非拡散層2の表面、つまりウェ
ーハ表面4および、I層2と拡散層3との界面5で反射
し、反射ビームを生じる。反射ビームは、ウェーハ表面
4で反射した反射ビームXと界面5で反射した反射ビー
ムYとからなる。
【0077】光ビーム4がウェーハ表面4に入射したと
きの入射角をφ、非拡散層2へ屈折したときの屈折角を
φ′、非拡散層2の屈折率をn、および非拡散層2の厚
さをdとする。このとき、反射ビームXと反射ビームY
との間には、2ndcosφ′の光路差が生じる。この
光路差2ndcosφ′はまた、入射角φで表すと、
【0078】
【数3】 となる。この光路差
【0079】
【数4】 は、フーリエ変換遠赤外分光法(FT−IR)によって
検出する。
【0080】図7は、フーリエ変換遠赤外分光法(FT
−IR)を適用するための光学系の配置図である。図6
における、光路差
【0081】
【数5】 の大きさはこの光学系によって検出される。この光学系
は、互いに直交する位置関係に配設された固定鏡18、
可動鏡19、ビームスプリッタ17、および検出器10
を備えている。ちなみに、可動鏡19は、入射する光ビ
ームの方向に可動となっている。
【0082】反射ビームX、Yはビームスプリッタ17
へ入射し、一部は反射して固定鏡18に向かい、他は透
過して可動鏡19に向かう。ビームスプリッタ17およ
び可動鏡9で反射された光線はそれぞれ、ビームスプリ
ッタ17で透過または反射され、検出器10で干渉波形
が検出される。
【0083】図8に、可動鏡9の移動量に対して、検出
器10で検出された干渉波形を示す。図において、中央
ピークEから両側に間隔Lをおいて左側ピークPLと右
側ピークPRが存在する。左側ピークPLと右側ピーク
PRの間の間隔2Lは光路差
【0084】
【数6】 と等しい関係にある。すなわち、次式が成立する。
【0085】
【数7】 式(6)より非拡散層(I層)2の厚さdを求める。こ
こで、遠赤外線の波長は式(6)には表れていないが、
遠赤外線の波長は、フーリエ変換遠赤外分光法(FT−
IR)を適用する装置の中で、間隔Lに換算されてい
る。
【0086】遠赤外線の波長は約50μm以上であるこ
とが望ましく、ここでは前述のように約100μmであ
る。遠赤外線の適当な波長の大きさは、非拡散層(I
層)2と拡散層3との境界領域における不純物濃度分布
に関係する。
【0087】なお、非拡散層(I層)2と拡散層3との
境界領域における厚さ方向の不純物濃度分布の存在は、
厚さ方向に屈折率が分布していることに相当する。この
屈折率の分布のために、非拡散層(I層)2と拡散層3
との境界面が一義的に定義できず、間隔Lの値に分布が
生じる。このため、遠赤外線の波長が短かすぎる場合に
は、図8に示す干渉波形が明瞭に検出されなくなる。
【0088】片面拡散ウエーハ21の非拡散層(I層)
2の厚さについては、SR値として表現した場合、SR
値の狙い値が90μmで作成されている。
【0089】一方、上述のようなフーリエ変換遠赤外分
光法(FT−IR)を適用してこの片面拡散ウエーハ1
の非拡散層(I層)2の厚さを測定したところ、フーリ
エ変換遠赤外分光法(FT−IR)による厚さを表現す
るFT−IR値は、160.5μmであった。この再現
性は、160.5μm±0.5μmであり、極めてよい
ことが確認された。
【0090】図9に、フーリエ変換遠赤外分光法(FT
−IR)による厚さを表現するFT−IR値と、抵抗法
による厚さを表現するSR値を比較して示す。
【0091】FT−IR値の場合は、非拡散層(I層)
2の厚さとして、ウェーハ表面4から不純物濃度が約1
18atoms/cm3 の位置までの距離を測る。
【0092】これに対して、SR値の場合は、非拡散層
(I層)2の厚さとして、ウェーハ表面4から非拡散層
2の抵抗値の約1/2となる位置(不純物濃度が表面2
a近傍の濃度の約2倍となる位置)までの距離を測る。
【0093】次に、FT−IR値が160μm±1.0
μmとなるように規格化した片面拡散ウエーハを、規格
センター値で選別して作成してみた。
【0094】このように作成した片面拡散ウエーハを従
来のSR規格値で換算すると、FT−IR値が160μ
m±1.0μmである。ということは、SR値が90μ
m±1.5μmであることに相当する。
【0095】これに対して、従来のSR規格値で管理し
て片面拡散ウエーハを作成した場合には、90μmの管
理幅はせいぜい±5μmの精度が限度であり、FT−I
R値による±1.5μmに比べて精度が低いものであっ
た。
【0096】したがって、FT−IR値による規格セン
ター値を用いて選別して作成した片面拡散ウエーハは、
極めて高い精度で管理されていることがわかる。
【0097】図10、図11、図12に、FT−IR値
による規格値を用いた場合と、SR規格値を用いた場合
との、片面拡散ウエーハの相対歩留まり、破壊サンプル
数/月、およびI層のヒストグラムを示す。
【0098】ちなみに、図10は、片面拡散ウエーハの
相対歩留まりであり、(a)にFT−IR値による規格
値を用いた場合、(b)にSR規格値を用いた場合を示
すものである。
【0099】また、図11は、破壊サンプル数/月であ
り、(a)にFT−IR値による規格値を用いた場合、
(b)にSR規格値を用いた場合を示すものである。
【0100】そして、図12は、I層のヒストグラムで
あり、(a)にFT−IR値による規格値を用いた場
合、(b)にSR規格値を用いた場合を示すものであ
る。
【0101】図10においては、FT−IR値による規
格値を用いた場合(a)の破壊サンプル数は非接触測定
であるので、ゼロである。
【0102】図10〜図12で示されるように、FT−
IR値による規格値を用いた場合(a)の方が、SR規
格値を用いた場合(b)に比べて、極めて高精度に管理
されることが認められる。
【0103】また、FT−IR値による規格値を用いて
作成されたウエーハと、SR規格値を用いて作成された
ウエーハとの両方のウエーハを用いて、トランジスタを
作成して製品特性を比較した。
【0104】この結果、FT−IR値による規格値を用
いて作成されたウエーハから作成されたトランジスタの
方が、SR規格値を用いて作成されたウエーハから作成
されたトランジスタに比べて、hFE、ICBO 等の諸特性
や歩留まりにおいて向上していることが確認された。
【0105】また、SR規格値を用いる従来の場合は、
破壊検査であるため、評価や検査数はわずかに1〜2枚
/ロット程度と少ないのが通例である。このため、実際
の製品の特性との対応付けが難しい。これに対して、本
実施例による場合は、FT−IR値による規格値を用い
て規格選別管理されたウエーハを用いることにより、実
際の製品の特性と対応をつけることができ、また従来の
破壊検査によるウエーハの損失を解消することができ
る。
【0106】なお、実施例2においては、拡散層として
リン又はボロン等のドナーあるいはアクセプターを不純
物として拡散した場合を示したが、拡散層の構成はこれ
に限らない。また、実施例2では光学的干渉情報として
干渉波形について示したが、これに限らず、光学的干渉
情報として干渉縞等であってもよい。 実施例3.図13は、本発明の実施例3の半導体検査方
法の原理図であり、特に化合物半導体のエピタキシャル
ウェーハに赤外線を入射し、この赤外線を目的とするエ
ピタキシャル層の上面および下面で反射させ、両反射光
を干渉させて、その干渉情報からエピタキシャル層の膜
厚を求めようとするものである。
【0107】図13に示すように、この例は、GaAs
基板13の上に、NタイプGaAsエピタキャル層14
とPタイプGaAsエピタキャル層15を成長させたウ
ェーハの、PタイプGaAsエピタキャル層15の厚さ
を測定する例である。ここで、赤外線光源6より赤外線
のビームBを入射させると、一部が、PタイプGaAs
エピタキャル層15の上面、すなはちウェーハ表面4か
ら、反射ビームXとして反射される。
【0108】一方、ビームBの他の一部は、PタイプG
aAsエピタキャル層15の下面、つまりNタイプGa
Asエピタキャル層14との界面5から、反射ビームY
として反射される。
【0109】この場合、それぞれの反射ビームX,Yの
光路差がPタイプGaAsエピタキャル層15の厚dさ
に対応する。ここで、PタイプGaAsエピタキャル層
15の厚さをd、PタイプGaAsエピタキャル層15
の屈折率をn、ビームBの入射角度をφ、とすると、
【0110】
【数8】 の光路差を持つことになる。つまり、この光路差を知る
ことによって、PタイプGaAsエピタキャル層15の
厚さdを得ることができる。
【0111】実際の装置においては、図14に示すよう
なFT−IRと呼ばれるフーリエ変換赤外分光装置が適
用できる。このFT−IRは、赤外線光源6からのビー
ムBをビームスプリッタ7で分離合成した後に、ビーム
B3としてウェーハに入射させる。即ち、赤源6からの
ビームBをビームスプリッタ7によって、透視光のビー
ムB1と反射光のビームB2に分ける。それぞれのビー
ムB1、B2は固定鏡8と可動鏡9で反射され、ビーム
スプリッタ7により合成された後、ビームB3としてウ
ェーハに角度φで入射する。
【0112】ここで、可動鏡9を動かすことにより、ビ
ームスプリッタ7から固定鏡8および可動鏡9までの距
離に応じて光路差が生じ、その結果、ウェーハに向かう
ビームB3は、この光路差の分だけ位相がずれた光が合
成されている。したがって、このビームB3をウェーハ
に入射し、反射させると、入射光の光路差と、Pタイプ
GaAsエピタキャル層15の上下面で反射される光の
光路差との間で干渉を生じる。図中、10は検出器であ
る。
【0113】以上のような測定ではマイケルソン干渉計
と呼ばれるが、光路差と反射光の強度との関係は、図1
5に示すようになり、これはインターフェログラムと呼
ばれる。ここで、センターバーストの中央ピークEと、
サイドバーストの右側ピークPRないしは左側ピークP
Lとの間の距離Lから、次式を通じて、膜厚が得られ
る。
【0114】
【数9】 実施例1の特長は、測定用の赤外線光源6として、波数
400cm-1(波長25μm以上)以下の遠赤外線を使
用したことにある。
【0115】一般に、LED用ウェーハのエピタキシャ
ル層は、発光効率を高めたり、電流抵抗を減らすため
に、ドーパントを多く含み、キャリア濃度が高い。この
ため、一般にFT−IRに使用される。例えば、波数4
00〜4000cm-1の赤外線はキャリアによる吸収を
強く受け、エピタキシャル層を透過する間に弱くなり、
その結果、干渉波形を得ることが困難になる。
【0116】これに対して、キャリア濃度が高かった
り、エピタキシャル層の厚さが厚い場合には、赤外線光
源6として、波数200cm-1以下の遠赤外線を使用す
ることで、測定可能範囲を広げることができる。
【0117】さて、ここで、図13で示した、化合物半
導体エピタキシャルウェーハのPタイプGaAsエピタ
キャル層15の厚さを求めてみた。
【0118】ウェーハに波数40〜400cm-1の間に
分布を持つ遠赤外線ビームを入射し、FT−IRでその
反射強度を測定し、インターフェログラムから膜厚を求
めた。図16は、縦軸にその結果を、横軸に劈開したウ
ェーハの断面の観察から求めた膜圧を示すものである。
【0119】図からも明らかなように、FT−IRによ
る方法で求めたPタイプGaAsエピタキャル層15の
膜厚と、断面観察で求めた膜厚には、相関関係があり、
本実施例の方法で極めて正確にPタイプGaAsエピタ
キャル層15の膜厚を測定することができる。
【0120】この測定の特長は、膜厚を測定するPタイ
プGaAsエピタキャル層15の下面、つまり界面5か
らの反射をPN接合からの反射として得ていることであ
る。SiをドーパントとしたGaAsのエピタキシャル
では、1度のエピタキシャルでPN両方の層が得られ
る。
【0121】しかし、図17の説明図に示すように、P
層とN層のキャリア濃度は、ほぼ同じとなり、両層の屈
折率に差がなく、光は反射しない。しかしながら、両層
の間に、キャリア濃度の低いPN接合JPNを形成する
ことにより、キャリア濃度の立ち上り部CDRからの反
射が得られ、膜厚を測定することができる。
【0122】なお、ここでは、Siをドーパントとした
連続成長によるPN接合を例に説明したが、P層とN層
に別々のドーパントを添加して形成したPN接合でも、
同様の効果があり、PN接合を反射面とすることで強い
信号を得ることができる。
【0123】なお、ウェーハに逆方向電圧を印加しなが
ら干渉を測定するようにしてもよい。ウェーハに逆方向
に電圧をかけると、接合部の空乏層が広がる。その結
果、キャリアプロファイルは、図17に点線で示すプロ
ファイルCPのように変化する。つまり、空乏層は広く
なり、プロファイルCPは切り立ってくる。
【0124】以上のように、空乏層が広くなると、反射
率が上り、干渉が大きくなる。また、プロファイルCP
が切り立つと、サイドバーストがシャープになる。すな
わち、逆方向電圧を印加することにより、より強い信号
を得ることができ、より厚いエピタキシャル層の膜厚の
測定が可能になる。
【0125】また、複数のエピタキシャル膜の膜厚を同
時に測定することも可能である。
【0126】例えば、図22に示すように、PタイプG
aAsエピタキャル層15の上にCap層16を有する
構造の場合、PタイプGaAsエピタキャル層15の膜
厚とCap層16の膜厚の両方を測定する必要がある。
【0127】ここで、最も単純なのは、先に述べたと同
様の方法でインターフェログラムを求める方法である。
図18はそのインターフェログラムである。これは、左
右対称なので、センターバーストの中央ピークEから左
側は省略して示している。
【0128】PタイプGaAsエピタキャル層15の厚
さは、図19の説明図に示すように、反射ビームXと反
射ビームYの干渉によるサイドバーストの右側ピークP
R2から求められる。一方、Cap層16の厚さは、反
射ビームXと反射ビームZの干渉によるサイドバースト
の右側ピークPR1から求められる。
【0129】この方法は、複数のエピタキシャル層の厚
みが互いに異なり、その大小が知られている時、すなわ
ち、サイドバーストが重ならずに、同定が容易な場合に
有効である。
【0130】エピタキシャル層の厚さが全く不明である
時や、反射ビームYとZの干渉などの不要なサイドバー
ストが生じる場合は、どれが目的のサイドバーストか特
定できない場合がある。
【0131】このような場合は、ウェーハに逆方向に電
圧を印加しながら測定するのが有効になってくる。
【0132】図20はウェーハに逆方向に電圧を印加し
ながら、膜厚を測定した場合の、インターフェログラム
である。空乏層が広がり、キャリアプロファイルが切り
立った結果、PN接合が関与するサイドバーストの右側
ピークPR1は右側に位置が移動し、形状もシャープに
なっている。
【0133】電圧変化により位置や形状が変化するサイ
ドバーストは、PN接合からの反射を含む干渉によるも
のなので、電圧印加を変えたインターフェログラムを比
較することにより、サイドバーストの同定が容易にな
る。
【0134】なお、複数のエピタキシャル層の厚さを測
定するのに、波長の異なる赤外線を利用し、一方の赤外
線は表面のCap層16では吸収されず、PタイプGa
Asエピタキャル層15を含む内部のエピタキシャル層
のいずれかで吸収されるような波長に設定し、もう一方
の赤外線は膜厚測定を目的とするエピタキシャル層まで
吸収されないような波長であるようにしてもよい。
【0135】例えば、図19のCap層16とPタイプ
GaAsエピタキャル層15の膜厚を測定する場合、C
ap層16では吸収されず、内部のPタイプGaAsエ
ピタキャル層15で吸収される波長として800nmを
選び、測定した。
【0136】800nmの赤外線はPタイプGaAsエ
ピタキャル層15で吸収されるので、反射ビームYは観
測されず、Cap層16の厚さに応じた反射ビームXに
よるサイドバーストのみが得られた。その結果、Cap
層16の膜厚が判った。
【0137】次に、エピタキシャル層まで吸収されない
波長として、波数400cm-1以下、すなわち波長25
μm以上の遠赤外線を選択し、これを用いて測定する
と、Cap層16とPタイプGaAsエピタキャル層1
5の厚さに応じたサイドバーストが得られる。
【0138】このうち、Cap層16のサイドバースト
は800nmの波長による測定で判明しているので、P
タイプGaAsエピタキャル層15のサイドバーストは
容易に特定できるので、PタイプGaAsエピタキャル
層15の厚さを容易に求めることができる。
【0139】なお、実施例3を実現する装置としては、
FT−IRに複数の光源やフィルタなどを設け、波長選
択機能や、ウェーハに電圧を印加する機能を付加したも
のが望ましい。
【0140】
【発明の効果】本発明によれば、高及び低抵抗層の2層
構造をなす半導体ウェーハの高抵抗層の厚さを、非破壊
で且つ従来の他の測定規格値を変えることなく、短時間
で高精査に測定することができる。
【0141】また、本発明によれば、所定の波長の遠赤
外線を非拡散層へ照射し、非拡散層の厚さを形成する両
側の境界面で反射した遠赤外線を光学的に干渉させ、こ
の干渉情報から非拡散層の厚さを評価するので、破壊検
査を行うことなく非拡散層の厚さを高精度に評価するこ
とができる。
【0142】更に、本発明によれば、化合物半導体エピ
タキシャル層の厚さを、非接触、非破壊で短時間で測定
でき、従来のような破壊測定に伴う材料と時間のロスが
減り、生産性が向上し、また、エピタキシャル厚をウェ
ーハ全面にわたり迅速に知ることができるので、エピタ
キシャル層の厚さ制御の精度が上り、発光特性の優れた
LEDを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の半導体検査方法の原理図で
ある。
【図2】図1の方法を実現するための装置の説明図であ
る。
【図3】図2の装置で得られる干渉縞の説明図である。
【図4】実施例1の半導体検査方法における較正直線の
一例を示す説明図である。
【図5】実施例1の厚さ測定方法による最終製品の歩留
の説明図である。
【図6】本発明の実施例2の半導体検査方法の原理図で
ある。
【図7】図6の方法を実現するための装置の説明図であ
る。
【図8】実施例2の方法において得られる干渉波形の説
明図である。
【図9】片面拡散ウエーハの不純物濃度プロファイルを
示す説明図である。
【図10】実施例2の方法において得られる、片面拡散
ウエーハの相対歩留まりの説明図である。
【図11】実施例2の方法において得られる、破壊サン
プル数/月の説明図である。
【図12】実施例2の方法において得られる、I層のヒ
ストグラムの説明図である。
【図13】本発明の実施例3の半導体検査方法の原理図
である。
【図14】図13の方法を実現するための装置の説明図
である。
【図15】実施例3の方法において得られる干渉波形の
説明図である。
【図16】インターフェログラムの測定結果と断面観察
による測定結果を比較して示す説明図である。
【図17】P層とN層のキャリア濃度の説明図である。
【図18】複数膜厚から得られるインターフェログラム
の説明図である。
【図19】複数膜厚測定の原理図である。
【図20】ウェーハに逆方向電位を加えながら、複数膜
厚の測定を行った場合に得られるインターフェログラム
の説明図である。
【図21】一般的な化合物半導体の断面図である。
【図22】Cap層を有する化合物半導体の断面図であ
る。
【符号の説明】
1 半導体ウェーハ 2 I層 3 低抵抗拡散層 4 ウェーハ表面 5 界面 6 赤外線光源 7,17 ビームスプリッタ 8,11,12,18 固定鏡 9,19 可動鏡 10 検出器 13 GaAs基板 14 NタイプGaAsエピタキャル層 15 PタイプGaAsエピタキャル層 16 Cap層 21 片面拡散ウェーハ
フロントページの続き (72)発明者 荻 野 正 信 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 株式会 社東芝堀川町工場内 (72)発明者 鷲 塚 章 一 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 株式会 社東芝堀川町工場内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不純物を拡散した低抵抗層と拡散しない高
    抵抗層の二層構造を有する半導体ウェーハの前記高抵抗
    層にその表面側から遠赤外光を入射し、その表面で反射
    する反射光と、前記高及び低抵抗層の界面で反射する反
    射光との干渉縞から前記高抵抗層の厚さを求め、求めた
    第1の値を前記遠赤外光の干渉を用いない他の方法によ
    り求め得る第2の値に変換することを特徴とする厚さ測
    定方法。
  2. 【請求項2】前記第1の値から前記第2の値への変換
    は、前記低抵抗層の厚さが単位厚さの倍数のどの範囲に
    属するかに応じて、各範囲毎に予め作成した異なる較正
    関数を用いて行う、請求項1に記載の半導体ウェーハの
    厚さ測定方法。
  3. 【請求項3】前記他の方法は、拡がり抵抗を用いて測定
    する方法である、請求項1又は2に記載の半導体ウェー
    ハの厚さ測定方法。
  4. 【請求項4】前記遠赤外光の波長は50μm以上であ
    る、請求項1〜3の1つに記載の半導体ウェーハの厚さ
    測定方法。
  5. 【請求項5】不純物を拡散した拡散層と非拡散層との二
    層構造を有する半導体基板の前記非拡散層の厚さを評価
    する方法において、所定の波長の遠赤外線を前記非拡散
    層へ照射し、前記非拡散層の境界面で反射した遠赤外線
    の光学的干渉情報を求め、この干渉情報から前記非拡散
    層の厚さを評価することを特徴とする半導体基板の評価
    方法。
  6. 【請求項6】前記所定の波長の遠赤外線は50μm以上
    の波長を有する遠赤外線であることを特徴とする請求項
    5に記載の半導体基板の評価方法。
  7. 【請求項7】不純物を拡散した拡散層と非拡散層との二
    層構造を有する半導体基板において、所定の波長の遠赤
    外線を前記非拡散層へ照射し、前記非拡散層の境界面で
    反射した遠赤外線の光学的干渉情報を求め、この干渉情
    報から前記非拡散層の厚さを規格化したことを特徴とす
    る半導体基板。
  8. 【請求項8】前記所定の波長の遠赤外線は50μm以上
    の波長を有する遠赤外線であることを特徴とする請求項
    7に記載の半導体基板。
  9. 【請求項9】化合物半導体エピタキシャルウェーハに赤
    外線を入射し、この赤外線を目的とするエピタキシャル
    層の上面および下面で反射させ、両反射光を干渉させ、
    この干渉情報からエピタキシャル層の膜厚を求める、こ
    とを特徴とする化合物半導体検査方法。
  10. 【請求項10】複数のエピタキシャル層の膜厚を、同時
    に測定するようにした、請求項9の化合物半導体検査方
    法。
  11. 【請求項11】複数のエピタキシャル層の膜厚を、連続
    して測定するようにした、請求項9の化合物半導体検査
    方法。
  12. 【請求項12】赤外線として波長25μm以上の遠赤外
    線を使用したことを特徴とする請求項9乃至11の1つ
    に記載の化合物半導体検査方法。
  13. 【請求項13】ウェーハに逆方向電圧を印加しながら干
    渉を測定するようにした、請求項9乃至12の1つに記
    載の半導体検査方法。
  14. 【請求項14】複数のエピタキシャル層の膜厚を、エピ
    タキシャル層毎に吸収または非吸収となるような波長を
    有する異なる波長の複数種類の赤外線により、連続して
    測定するようにした、請求項2乃至13の1つに記載の
    半導体検査方法。
  15. 【請求項15】検査目的としてのエピタキシャル層を有
    する化合物半導体エピタキシャルウェーハに赤外線を入
    射させる、赤外線光源と、 前記エピタキシャル層の上面及び下面で反射した前記赤
    外線のそれぞれを互いに干渉させる、干渉手段と、 前記エピタキシャル層の膜厚を求めるべく、前記干渉手
    段で干渉させた干渉光を検出する、検出手段と、 を備えることを特徴とする、化合物半導体検査装置。
JP11702794A 1993-06-15 1994-05-30 半導体ウェーハの厚さ測定方法、半導体基板、その基板の評価方法、化合物半導体検査方法及び化合物半導体検査装置 Pending JPH0786358A (ja)

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