JPH0785921B2 - 被覆用断熱シート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、人工的に温度調節を必
要とするきのこ栽培ハウス、植物栽培等の簡易ハウス、
簡易冷蔵庫等の被覆材として保冷用荷物の梱包材等の被
覆用断熱シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来技術としては、断熱材のみの用途と
しては、グラスウール、ロックウール、発泡スチロール
等を外壁として兼用させるもの。また、グラスウールの
両側にアルミフィルムを張り合わせたもの等を被覆用断
熱材として用いていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の断熱材にお
いては断熱と外壁は基本的に別々のものであるため、グ
ラスウールの両面にアルミフィルムを接着したものに於
いても、アルミフィルムが耐候性に劣るので、外壁とし
て使用する場合には短期間で劣化が生じ十分な強度は満
たすことができない。

【０００４】また、発泡スチロールのような硬質の板状
の場合には、曲線的な場所の成形が難しく、さらに、連
結の為の加工が必要となり、また、外被も別に設ける
等、全体の設備費が高価になることや、施工に多くの時
間を要する問題があった。

【０００５】本発明は、上記の点に鑑み、廉価で、軽く
扱いやすく、また、曲線的な所も気密性を欠くことな
く、さらに、断熱と外壁を同時に形成して、取付固定を
大幅に省力化することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、図１の如く、均一な厚みを持ったポリエステル繊
維でできた平板状のポリエステル綿１（厚さ約５０ｍ
ｍ、さらに厚くすれば断熱効果が大きくなる）と、該ポ
リエステル綿１の両面に接着剤４で接着されたそれぞれ
同形の木綿布地２と、該木綿布地２のそれぞれの外側に
接着剤４で接着された同形の通気性のない軟質プラスチ
ックフイルム、例えば軟質塩化ビニールフィルム３とか
らなっている。

【０００７】

【作用】上記課題解決手段において、断熱シートＡの使
用面積が大きい場合に該断熱シートＡを小屋の骨組に取
付ける時の使用状況を説明する。

【０００８】まず、断熱シートＡの使用面積が大きい場
合には、図２で示す如く、断熱シートＡ１を向かい合わ
せに二枚重ねて後、接続すべき所に細長く切った同じ断
熱シートＡ２で覆い、その後、対候性及び引張り強度に
耐えうる相応の糸Ｄ等で縫って、図３のように広げて使
用するものである。

【０００９】また、断熱シートＡを小屋（建物）の骨組
に取付ける方法の例としては、図４で示す如く、まず成
形パイプ５にコの字型取り付け金具６をー定間隔で取り
付け、該取り付け金具６にＣ状内板７Ａを成形パイプに
対して直角方向になるように固定する。その後、該成形
パイプ５とＣ状内板７Ａを覆うように断熱シートＡをか
ぶせた後、前記Ｃ状内板７Ａと同位置上にＣ状外板７Ｂ
を置き、該断熱シートＡを挟んだ状態で、ネジ８でＣ状
内板７ＡとＣ状外板７Ｂを固定するものである。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１，２，３，４に
基づいて説明すると、被覆用断熱シートは、綿状のポリ
エステル繊維を、均一な厚みをもった平板状（厚さは、
必要とされる断熱に応じて自由に製造できるが、取扱い
の利便性と、通常使用される温度域５〜１５℃を提定し
て５０ｍｍの厚さとした。）のポリエステル綿１と、該
ポリエステル綿１の両面に接着剤４で接着されたそれぞ
れ同形の木綿布地２と、該木綿布地２のそれぞれの外側
に接着剤４で接着された同形の通気性のない軟質プラス
チックフイルム例えば軟質塩化ビニールフィルム３とか
らなっている。ここで、それぞれ素材の役割はポリエス
テル綿は断熱及び厚みを保持すること、木綿布地は補強
及び軟質プラスチックフイルムの接着促進、軟質プラス
チックフイルムは層内への防れ、防湿と合わせて、層内
の空気層保持により断熱効果をあげうるものである。

【００１１】なお、前記ポリエステル綿１は、その平板
状に整形する際に、両面端から約１／３内に入った箇所
に接着剤を塗布して接着面１１を作り、ポリエステル繊
維が分離しにくいようにしている。

【００１２】次に、本発明の発泡スチロール製箱Ｂと断
熱シートＡ製箱Ｃとの熱伝導率を比較する試験データー
を説明する。

【００１３】次に本発明の被覆用断熱シートの断熱試験
について説明する。その試験方法には、発泡スチロール
製箱Ｂと断熱シートＡ製箱Ｃとの放熱試験を行い、各素
材の熱伝導率を求める。

【００１４】まず、試験装置においては、図５に示す如
く、それぞれの断熱材で覆った箱１２を作り、電気発熱
体１３で箱内の温度を上昇させ、その温度変化を測定
し、電算解析により最終平衡温度を求め、熱伝導率を求
める。なお、１４は撹拌ファン，１５は電源タイマーで
ある。

【００１５】この試験の詳しい状態は下記の表１に示す
通りである。

【００１６】

【表１】

【００１７】こうした試験によって得られた測定値につ
いては、表２のようになる。

【００１８】

【表２】

【００１９】 〜は、温度測定位置（Ｐ，Ｑは、周囲温度） ａは、発泡スチロール製箱内温度（〜）の平均、 ｂは、断熱シート製箱内温度（〜）の平均、 ｃは、周囲温度（Ｐ〜Ｑ）の平均である。

【００２０】この測定値を時間を追ってグラフに示した
ものが図６である。

【００２１】図６においては、 電算解析理倫値を同時
に示す。

【００２２】最終平衡温度は、発泡スチロール製箱Ｂ内
温度 ｔ１＝９３゜Ｃ、 断熱シート製箱Ｃ内温度 ｔ２＝７１゜Ｃ、 周囲温度 ｔ０＝２１゜Ｃとなる 次いで、熱伝導率の計算については、まず発泡スチロー
ルに関して、発泡スチロール製箱内発熱量 Ｑ＝（５０＋１３×０．１７）×０．８６＝４４．９ｋ
ｃａｌ／ｈ熱貫流率

【００２３】

【数１】

【００２４】 （Ａ１；表面積 ｔ１−ｔ０；箱の内外の温度差） 熱伝導率

【００２５】

【数２】

【００２６】 （αｉ；箱内表面熱伝導率 αｏ；箱外表面
熱伝導率 ｄ１；厚み ） この値は、発泡スチロールの通常値に近似している。

【００２７】同様にして、本発明断熱シートＡにおいて
は、断熱シート製箱Ｃ内発熱量 Ｑ２＝（５０＋１３×０．１７）×０．８６＝４４．９
ｋｃａｌ／ｈ 熱貫流率

【００２８】

【数３】

【００２９】（数値の低い方が断熱効果が良い）熱伝導
率

【００３０】

【数４】

【００３１】（数値の低い方が断熱材として良い。な
お、木綿の布地は無視された計算である。） （αｉ；箱内表面熱伝導率 αｏ；箱外表面熱伝導率 ｄｉ；内表面塩ビ厚さ ｄｏ；外表面塩ビ厚さ λｉ；内表面塩ビ熱伝導率 λｏ；外表面塩ビ熱伝導率） よって、断熱シート製箱Ｃの熱伝導率は、０．０２９ｋ
ｃａｌ／ｍｈ℃となるものである。

【００３２】こうした試験により、発泡スチロール製箱
Ｂとほぼ同程度の断熱効果を有するものであることが確
かめられた。

【００３３】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修
正および変更を加え得ることは勿論である。

【００３４】

【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明で
は、木綿布地の介在により、軟質プラスチックフイルム
の剥離を防ぎ、製品の固定化をはかっているので、製品
として、著しく強度が増し十分外壁として使用できるも
のとなっている。

【００３５】また、断熱特性が発泡スチロールと同程度
であり、断熱材としても非常に優れているうえに布団を
縫うように自由な形に縫い合わせることによって、骨組
に合わせての一体加工が可能であるので施工や加工が容
易である。

【００３６】また、部屋内の気密性も向上し、断熱をよ
り効果的にすることができる。さらに圧縮して荷姿を小
さくでき、軽く、運搬、保管にも大変有利である等優れ
た効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の断熱シートの部分断面斜視図である。

【図２】同じく断熱シートの使用面積が大きい場合、二
つの断熱シートの接続方法を示す斜視図である。

【図３】同じく断熱シートを図２で示すように接続した
後、広げた使用状態説明図である。

【図４】同じく屋外での使用状態斜視図である。

【図５】発泡スチロール製箱と本発明断熱シート製箱の
熱伝導率の試験装置の説明図である。

【図６】同じく試験結果を示すグラフである。

【図７】同じく本発明の断熱シートを使用したきのこ栽
培ハウスの斜視図である。

【符号の説明】

１ ポリエステル綿 ２ 木綿布地 ３ 塩化ビニールフィルム ４ 接着剤

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 均一な厚みを持った平板状のポリエステ
   ル綿と、該ポリエステル綿の両面に接着剤で接着された
   それぞれ同形の木綿布地と、該木綿布地のそれぞれの外
   側に接着剤で接着された同形の通気性のない軟質プラス
   チックフィルムとからなることを特徴とする被覆用断熱
   シート。